JP2017128236A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外方部材の変形を低減させてボール列に接する転走面の真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。【解決手段】ナックル取り付けフランジ2eに設けられたねじ孔に螺着されるボルト2hを介して、このナックル取り付けフランジ2eがナックル取付部12aの側面に接した状態で固定される車輪用軸受装置1において、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Taをナックル取付部12aの肉厚Tbよりも大きくなるように形成した。【選択図】図6

Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。詳しくは転動疲労寿命の低下を防ぐことができる車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに外方部材が固定される。また、車輪用軸受装置は、外方部材の内側に転動体が介装され、この転動体によって内方部材を支持している。つまり、車輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受を構成している。こうして、車輪用軸受装置は、車体に固定された状態で、内方部材に取り付けられた車輪を回転自在としているのである。
ところで、車輪用軸受装置は、ナックルに固定されると外方部材が変形し、ボール列に接する転走面の真円度が劣化してしまう場合があった。特に、懸架装置が所定の構造(いわゆるH形ビームと称される鋼鈑溶接構造のトーションビーム方式)である場合は、ナックルに固定されると、ナックル取付部の平面精度の劣化に起因して外方部材が変形し、ボール列に接する転走面の真円度が劣化してしまう場合があった。そこで、真円度の劣化を抑えて転動疲労寿命の低下を防ぐ車輪用軸受装置が求められていた。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、ナックル取り付けフランジの凹溝が弾性変形することで形状偏差(寸法公差)の影響を軽減し、外方部材の変形を抑えて転走面の真円度を維持することを特徴としている。しかしながら、このような構造としても、加工精度の限界から外方部材が変形し、ボール列に接する転走面の真円度が劣化することによって転動疲労寿命が低下してしまう可能性があった。
特許文献2に記載の車輪用軸受装置は、ナックル取り付けフランジにおける路面側と反路面側の肉厚が異なる構造とし、これによって剛性の向上を実現したことを特徴としている。しかしながら、このような構造としても、路面側と反路面側の剛性がアンバランスとなって外方部材が変形したり、ナックル取付部の平面精度の劣化に起因してボール列に接する転走面の真円度が劣化したりして転動疲労寿命が低下してしまう可能性があった。
特開2012−228909号公報 特開2009−292370号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、外方部材の変形を低減させてボール列に接する転走面の真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、本発明は、外周にナックル取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装された複列の転動体と、を備え、前記ナックル取り付けフランジに設けられたねじ孔に螺着されるボルトを介して、このナックル取り付けフランジがナックル取付部に接した状態で固定される車輪用軸受装置において、前記ナックル取り付けフランジの肉厚を前記ナックル取付部の肉厚よりも大きくなるように形成した、ものである。
本発明は、前記ナックル取り付けフランジと前記ナックル取付部が鉄を主体とする材質である場合、前記ナックル取り付けフランジの肉厚を前記ナックル取付部の肉厚よりも1.4倍以上となるように形成した、ものである。
本発明は、前記複列の外側転走面がインナー側に設けられた外側転走面とアウター側に設けられた外側転走面とである場合、二つの前記外側転走面の中間位置よりもインナー側に前記ナックル取り付けフランジの合せ面が配置され、前記中間位置よりもアウター側に前記ナックル取り付けフランジの反合せ面が配置されている、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置は、ナックル取り付けフランジの肉厚をナックル取付部の肉厚よりも大きくなるように形成している。これにより、本車輪用軸受装置は、外方部材の変形を低減させてボール列に接する外側転走面の真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、ナックル取り付けフランジとナックル取付部が鉄を主体とする材質である場合、ナックル取り付けフランジの肉厚をナックル取付部の肉厚よりも1.4倍以上となるように形成している。これにより、本車輪用軸受装置は、確実に外方部材の変形を低減させてボール列に接する外側転走面の真円度を良好な範囲に維持することにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、二つの外側転走面の中間位置よりもインナー側にナックル取り付けフランジの合せ面が配置され、中間位置よりもアウター側にナックル取り付けフランジの反合せ面が配置されている。これにより、本車輪用軸受装置は、更に確実に外方部材の変形を低減させてボール列に接する外側転走面の真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
車輪用軸受装置の全体構成を示す斜視図。 車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 外方部材の形状を示す正面図と断面図。 車輪用軸受装置がナックルに取り付けられた状態を示す断面図。 外側転走面の真円度が転動疲労寿命に及ぼす影響を示す図。 ナックル取り付けフランジとナックル取付部の肉厚比が真円度に及ぼす影響を示す図。 外方部材の形状を示す正面図と側面図。
以下に、図1から図4を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。なお、図2は、図1におけるA−A断面図である。図3および図4は、図2における一部領域の拡大図である。
車輪用軸受装置1は、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)、転動体6、シール部材7(以降「一側シール部材7」とする)、シール部材10(以降「他側シール部材10」とする)を具備する。なお、以下において、「一側」とは、車輪用軸受装置1の車体側、即ち、インナー側を表す。また、「他側」とは、車輪用軸受装置1の車輪側、即ち、アウター側を表す。
外方部材2は、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)を支持するものである。外方部材2は、略円筒形状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外方部材2の一側端部には、拡径部2aが形成されている。外方部材2の他側端部には、拡径部2bが形成されている。外方部材2の内周には、環状に外側転走面2cと外側転走面2dとが互いに平行となるように形成されている。外側転走面2cと外側転走面2dには、高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。なお、外方部材2の外周には、懸架装置を構成するナックル12(図6参照)に取り付けるためのナックル取り付けフランジ2eが一体に形成されている。
内方部材3は、図示しない車輪を回転自在に支持するものである。内方部材3は、ハブ輪4と内輪5で構成されている。
ハブ輪4は、有底円筒形状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪4の一側端部には、小径段部4aが形成されている。小径段部4aには、内輪5が圧入されている。ハブ輪4の他側端部には、車輪取り付けフランジ4bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ4bには、円周等配位置にハブボルト4dが設けられている。また、ハブ輪4の外周には、環状に内側転走面4cが形成されている。ハブ輪4は、小径段部4aから内側転走面4cを経て、シールランド部(後述の軸面部4eと曲面部4fと側面部4gで構成される)まで高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。これにより、ハブ輪4は、車輪取り付けフランジ4bに付加される回転曲げ荷重に対して十分な機械的強度と耐久性を有している。なお、内側転走面4cは、外方部材2の外側転走面2dに対向する。
内輪5は、略円筒形状に形成されたSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。内輪5の外周には、環状に内側転走面5aが形成されている。つまり、内輪5は、ハブ輪4の小径段部4aに圧入嵌合され、小径段部4aの外周に内側転走面5aを構成している。内輪5は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。これにより、内輪5は、車輪取り付けフランジ4bに付加される回転曲げ荷重に対して十分な機械的強度と耐久性を有している。なお、内側転走面5aは、外方部材2の外側転走面2cに対向する。
転動体6は、外方部材2と内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の間に介装されるものである。転動体6は、インナー側のボール列(以降「一側ボール列6a」とする)とアウター側のボール列(以降「他側ボール列6b」とする)を有している。一側ボール列6aと他側ボール列6bは、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。一側ボール列6aと他側ボール列6bには、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。一側ボール列6aは、複数のボールが保持器によって環状に保持されている。一側ボール列6aは、内輪5に形成されている内側転走面5aと、それに対向する外方部材2の外側転走面2cとの間に転動自在に収容されている。他側ボール列6bは、複数のボールが保持器によって環状に保持されている。他側ボール列6bは、ハブ輪4に形成されている内側転走面4cと、それに対向する外方部材2の外側転走面2dとの間に転動自在に収容されている。このようにして、一側ボール列6aと他側ボール列6bは、外方部材2と内方部材3(ハブ輪4と内輪5)とで複列アンギュラ玉軸受を構成している。なお、車輪用軸受装置1は、複列アンギュラ玉軸受を構成したものであるが、これに限定するものではない。例えば、複列円錐ころ軸受等を構成したものであっても良い。また、車輪用軸受装置1は、ハブ輪4の外周に他側ボール列6bの内側転走面4cが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置であるがこれに限定するものではなく、ハブ輪4に一対の内輪5が圧入固定された第2世代構造であっても良い。
一側シール部材7は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのインナー側端部に装着されるものである。一側シール部材7は、円環状のシールリング8と円環状のスリンガ9で構成されている。
シールリング8は、外方部材2の拡径部2aに嵌合されて外方部材2と一体的に構成される。シールリング8は、芯金81と弾性部材であるシールゴム82とを有する。
芯金81は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金81は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が略L字状に形成されている。これにより、芯金81は、円筒状の嵌合部81aと、その一端から内方部材3(内輪5)に向かって延びる円板状の側板部81bとが形成されている。嵌合部81aと側板部81bは、互いに略垂直に交わっており、嵌合部81aは、後述するスリンガ9の嵌合部9aに対向する。また、側板部81bは、後述するスリンガ9の側板部9bに対向する。なお、嵌合部81aと側板部81bには、弾性部材であるシールゴム82が加硫接着されている。
シールゴム82は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム82には、シールリップであるラジアルリップ82a、内側アキシアルリップ82bおよび外側アキシアルリップ82cが形成されている。
スリンガ9は、内方部材3の外周(内輪5の外周)に嵌合されて内方部材3と一体的に構成される。
スリンガ9は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。スリンガ9は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が略L字状に形成されている。これにより、スリンガ9は、円筒状の嵌合部9aと、その端部から外方部材2に向かって延びる円板状の側板部9bとが形成されている。嵌合部9aと側板部9bは、互いに垂直に交わっており、嵌合部9aは、前述したシールリング8の嵌合部81aに対向する。また、側板部9bは、前述したシールリング8の側板部81bに対向する。なお、側板部9bには、磁気エンコーダ9cが設けられている。
一側シール部材7は、シールリング8とスリンガ9とが対向するように配置される。このとき、ラジアルリップ82aは、油膜を介してスリンガ9の嵌合部9aに接触する。また、アキシアルリップ82bは、油膜を介してスリンガ9の側板部9bに接触する。そして、外側アキシアルリップ82cも、油膜を介してスリンガ9の側板部9bに接触する。このようにして、一側シール部材7は、いわゆるパックシールを構成し、砂塵等の侵入を防止しているのである。
他側シール部材10は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのアウター側端部に装着されるものである。他側シール部材10は、円環状のシールリング11で構成されている。
他側シール部材10は、外方部材2の拡径部2bに嵌合されて外方部材2と一体的に構成される。シールリング11は、芯金111と弾性部材であるシールゴム112とを有する。
芯金111は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金111は、円環状の鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面視で略C字状に形成されている。これにより、芯金111は、円筒状の嵌合部111aと、その一端から内方部材3(ハブ輪4)に向かって延びる円板状の側板部111bとが形成されている。嵌合部111aと側板部111bは、互いに湾曲しながら交わっており、嵌合部111aは、ハブ輪4の軸面部4eに対向する。また、側板部111bは、ハブ輪4の曲面部4fおよび側面部4g(車輪取り付けフランジ4bの端面を指す)に対向する。なお、側板部111bには、弾性部材であるシールゴム112が加硫接着されている。
シールゴム112は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム112には、シールリップであるラジアルリップ112a、内側アキシアルリップ112bおよび外側アキシアルリップ112cが形成されている。
他側シール部材10は、シールリング11とハブ輪4とが対向するように配置される。このとき、ラジアルリップ112aは、油膜を介してハブ輪4の軸面部4eに接触する。また、アキシアルリップ112bは、油膜を介してハブ輪4の曲面部4fに接触する。そして、外側アキシアルリップ112cも、油膜を介してハブ輪4の側面部4gに接触する。このようにして、他側シール部材10は、砂塵等の侵入を防止しているのである。
次に、図5および図6を用いて、本車輪用軸受装置1の取付構造について詳細に説明する。図5は、外方部材2の形状を示している。(A)は、外方部材2の正面図であり、(B)は、(A)におけるB−B断面図である。また、図6は、車輪用軸受装置1がナックル12に取り付けられた状態を示している。
本車輪用軸受装置1は、外方部材2のインナー側外周面にパイロット部2fが形成されている。パイロット部2fは、内方部材3の回転軸Cを中心とする略円筒形状となっており、このパイロット部2fがナックル取付部12aの開口部に内嵌される。また、車輪用軸受装置1は、外方部材2の外周に回転軸Cに対して垂直となるナックル取り付けフランジ2eが形成されている。ナックル取り付けフランジ2eに設けられたねじ孔2gには、それぞれボルト2hが螺着される。このため、車輪用軸受装置1は、これらボルト2hを介して、ナックル取付部12aの側面に固定される。つまり、車輪用軸受装置1は、パイロット部2fがナックル取付部12aの開口部に内嵌され、かつナックル取り付けフランジ2eがナックル取付部12aの側面に接した状態で固定される。なお、ナックル取り付けフランジ2eは、S53C等の中高炭素鋼で形成されており、ナックル取付部12aは、S45C等の機械構造用炭素鋼材やSS400等の一般構造用圧延鋼材で形成されている。そして、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Ta(※印部の平均厚さ)は、ナックル取付部12aの肉厚Tb(※印部に相当する部分の平均厚さ)よりも大きくなるように設計されている。これは、以下の実験データに基づくものである。
即ち、図7は、外側転走面2c・2dの真円度が転動疲労寿命に及ぼす影響を示している。図7の横軸は、外側転走面2c・2dの真円度を表し、図7の縦軸は、転動疲労寿命を表している。かかる実験データによると、外側転走面2c・2dの真円度がr2よりも良ければ、安定して転動疲労寿命が長くなることが分かる(図中のハッチング部分参照)。反対に、外側転走面2c・2dの真円度がr2よりも悪ければ、その真円度に応じて次第に転動疲労寿命が短くなることが分かる。
また、図8は、ナックル取り付けフランジ2eとナックル取付部12aの肉厚比が真円度に及ぼす影響を示している。図8の横軸は、ナックル取り付けフランジ2eとナックル取付部12aの肉厚比を表し、図8の縦軸は、外側転走面2c・2dの真円度を表している。かかる実験データによると、ナックル取り付けフランジ2eとナックル取付部12aの肉厚比が1.4よりも大きければ、良好な真円度を維持できることが分かる(図中のハッチング部分参照)。反対に、ナックル取り付けフランジ2eとナックル取付部12aの肉厚比が1.4よりも小さければ、その肉厚比に応じて次第に真円度が劣化していくことが分かる。このような傾向は、インナー側の外側転走面2cよりもアウター側の外側転走面2dで顕著である。これは、旋回等の際にアウター側のボール列6bに掛かる荷重が増大すると、外方部材2のアウター側開口部が略楕円形状に変形し、ボール列6bに接する外側転走面2dの真円度が劣化することに起因する。
以上より、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Taをナックル取付部12aの肉厚Tbよりも大きくすれば、真円度の劣化を抑えることができ、ひいては長い転動疲労寿命を確保することが可能となる。具体的には、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Taをナックル取付部12aの肉厚Tbよりも1.4倍以上とすれば、真円度をr2よりも良好な範囲に維持することができ、ひいては長い転動疲労寿命を確保することが可能となる。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Taをナックル取付部12aの肉厚Tbよりも大きくなるように形成している。これにより、本車輪用軸受装置1は、外方部材2の剛性を高めて変形を低減させ、ボール列6a・6bに接する外側転走面2c・2dの真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。詳細には、ボール列6bに接する外側転走面2dの真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
更に特定すると、本発明に係る車輪用軸受装置1は、ナックル取り付けフランジ2eとナックル取付部12aが鉄を主体とする材質である場合、ナックル取り付けフランジ2eの肉厚Taをナックル取付部12aの肉厚Tbよりも1.4倍以上となるように形成している。これにより、本車輪用軸受装置1は、確実に外方部材2の剛性を高めて変形を低減させ、ボール列6a・6bに接する外側転走面2c・2dの真円度を良好な範囲に維持することにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。詳細には、ボール列6bに接する外側転走面2dの真円度を良好な範囲に維持することにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
次に、本車輪用軸受装置1の他の特徴点について説明する。ここで、二つの外側転走面2c・2dの中間位置で、回転軸Cに対して垂直となる仮想面Sを想定する(図5の(B)参照)。
本車輪用軸受装置1において、ナックル取り付けフランジ2eの合せ面2eaは、仮想面Sよりもインナー側に配置されている。また、ナックル取り付けフランジ2eの反合せ面2ebは、仮想面Sよりもアウター側に配置されている。これは、ナックル取り付けフランジ2eから外方部材2のインナー側端部までの距離とナックル取り付けフランジ2eから外方部材2のアウター側端部までの距離のバランスをとり、外方部材2の剛性を高めるためである。
このように、本発明に係る車輪用軸受装置1は、二つの外側転走面2c・2dの中間位置よりもインナー側にナックル取り付けフランジ2eの合せ面2eaが配置され、中間位置よりもアウター側にナックル取り付けフランジ2eの反合せ面2ebが配置されている。これにより、本車輪用軸受装置1は、更に確実に外方部材2の剛性を高めて変形を低減させ、ボール列6a・6bに接する外側転走面2c・2dの真円度が劣化するのを抑えることにより、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
次に、図9を用いて、本車輪用軸受装置1に適用し得る構造について説明する。図9は、外方部材2の形状を示している。(A)は、外方部材2の正面図であり、(B)は、(A)におけるB−B断面図である。
本車輪用軸受装置1は、ナックル取り付けフランジ2eに四つのねじ孔2gが設けられている。ナックル取り付けフランジ2eの合せ面2eaは、それぞれのねじ孔2gを中心とする円弧状の平面部分を有しており、上辺および下辺が各円弧に接する内側に窪んだ円弧形状となっている(図5参照)。しかし、剛性を高めることを目的として各円弧を直線でつないだ形状のリブ2iを設けてもよい(図中のハッチング部分参照)。また、ナックル取り付けフランジ2eの合せ面2eaは、それぞれの貫通孔2gを中心とする円弧状の平面部分に加えて、パイロット部2fを中心とする円弧状の平面部分を有しており、左辺および右辺の一部が各円弧に接する内側に窪んだ円弧形状となっている(図5参照)。しかし、剛性を高めることを目的として各円弧を直線でつないだ形状のリブ2jを設けてもよい(図中のハッチング部分参照)。
また、本車輪用軸受装置1は、外方部材2の外周にナックル取り付けフランジ2eが設けられている。ナックル取り付けフランジ2eの断面形状は、ナックル取り付けフランジ2eの反合せ面2ebとアウター側外周面をつなぐ円弧部分を有している(図5参照)。しかし、剛性を高めることを目的としてナックル取り付けフランジ2eの反合せ面(背面)2ebとアウター側外周面を直線でつないだ形状のリブ2kを設けてもよい(図中のハッチング部分参照)。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2c 外側転走面
2d 外側転走面
2e ナックル取り付けフランジ
2f パイロット部
2g ねじ孔
2h ボルト
3 内方部材
4 ハブ輪
5 内輪
6 転動体
6a ボール列
6b ボール列
7 シール部材
8 シールリング
9 スリンガ
10 シール部材
11 シールリング
12 ナックル
12a ナックル取付部
Ta ナックル取り付けフランジの肉厚
Tb ナックル取付部の肉厚
C 回転軸

Claims (3)

  1. 外周にナックル取り付けフランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装された複列の転動体と、を備え、
    前記ナックル取り付けフランジに設けられたねじ孔に螺着されるボルトを介して、このナックル取り付けフランジがナックル取付部に接した状態で固定される車輪用軸受装置において、
    前記ナックル取り付けフランジの肉厚を前記ナックル取付部の肉厚よりも大きくなるように形成した、車輪用軸受装置。
  2. 前記ナックル取り付けフランジと前記ナックル取付部が鉄を主体とする材質である場合、前記ナックル取り付けフランジの肉厚を前記ナックル取付部の肉厚よりも1.4倍以上となるように形成した、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記複列の外側転走面がインナー側に設けられた外側転走面とアウター側に設けられた外側転走面とである場合、二つの前記外側転走面の中間位置よりもインナー側に前記ナックル取り付けフランジの合せ面が配置され、前記中間位置よりもアウター側に前記ナックル取り付けフランジの反合せ面が配置されている、請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
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WO2022185382A1 (ja) * 2021-03-01 2022-09-09 株式会社ジェイテクト 車輪用軸受装置

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