JP2020115141A - タウの動態測定 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、対象におけるタウのインビボ代謝のインビトロ測定方法を提供する。【解決手段】対象から得た各血液サンプル中の標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を質量分析法によって検出及び測定する。【選択図】なし

Description

政府の権利
本発明は、米国国立衛生研究所により付与されたR−01−NS065667の下で、米国政府からの援助によって行われたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本願は、2014年9月30日に提出された米国特許仮出願第62/057,853号に基づく利益を主張するものであり、この仮出願は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
本発明は、対象におけるタウのインビボ代謝のインビトロ測定方法に関する。
配列表の参照
配列表の紙による写しと、同じ配列表のコンピューター可読形式が下に添付されており、これらは、参照により本明細書に援用される。コンピューター可読形式で記録されている情報は、37 C.F.R.1.821(f)に従い、書面の配列表と同一である。
アルツハイマー病及びその他のタウオパチーにおける神経原線維変化(NFT)は、不溶性の過剰リン酸化タウタンパク質から構成されているが、溶解性の高いタウが不溶性のNFTに変換する際の基礎となる機構は、依然として不明である。したがって、CNSにおけるタウのインビボ代謝を高感度かつ高精度に、再現良く測定する方法に対するニーズが存在する。
本発明の一態様は、タウのインビボ代謝の測定方法であって、標識部分を投与された対象から得た1つ以上の生体サンプル中の標識タウと非標識タウの量を検出し、生体サンプルにおける標識タウの非標識タウに対する比率を割り出すことによる方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)1日以上の日程で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することと、(b)1日目前後と20日目前後との間、20日目前後と40日目前後との間、40日目前後と100日目前後との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)1日以上の日程で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することと、(b)2日目前後と20日目前後との間、20日目前後と40日目前後との間、40日目前後と100日目前後との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)2日以上の日程で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することと、(b)1日目前後と20日目前後との間、20日目前後と40日目前後との間、40日目前後と100日目前後との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)2日以上の日程で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することと、(b)2日目前後と20日目前後との間、20日目前後と40日目前後との間、40日目前後と100日目前後との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含む方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)対象から得た各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した標識タウ及び/または非標識タウの量を用いて、タウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)標識が、1日以上の日程で対象に投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、1日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)対象から得た各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した標識タウ及び/または非標識タウの量を用いて、タウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)標識が、1日以上の日程で対象に投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)対象から得た各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した標識タウ及び/または非標識タウの量を用いて、タウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量が、タウの代謝を反映していることを含み、(i)標識が、2日以上の日程で対象に投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、1日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法を提供する。
本発明の別の態様は、対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)対象から得た各生体サンプル中の標識タウの量及び/または非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した標識タウ及び/または非標識タウの量を用いて、タウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量が、タウの代謝を反映していることを含み、(i)標識が、2日以上の日程で対象に投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、1日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法を提供する。
本発明の更なる態様は、対象における神経由来タンパク質のインビボ代謝を測定するキットを含み、このタンパク質の代謝は、神経疾患もしくは神経変性疾患の予測因子、その疾患の進行のモニタリング因子、またはその疾患に対する治療の有効性の指標として用いてよい。
出願ファイルには、カラーで作成した写真が少なくとも1つ含まれている。カラー写真の付いた本特許出願公開のコピーは、要請と、必要な費用の支払いにより、米国特許庁から得られる。
図1A〜Cは、プレセニリン変異(PSmt))を持つ対象とコントロールから得たヒト神経芽腫細胞SH−SY5Yまたは誘導多能性細胞(iPSC)に由来するニューロンの標識の成功を示している画像とグラフを示している。(A)インビトロでのタウSILK実験のワークフローを示す概略図である。SH−SY5Y細胞とiPSCニューロン(左端:SH−SY5Y細胞は顕微鏡写真、iPSCニューロンは図である)を50%13ロイシン標識培地で6日間標識する(中央のパネルの上部)。培地と細胞溶解液のサンプルを12日間、毎日採取した(中央のパネルの下部)。最後に、タウ特異抗体を用いて、標識タウと非標識タウを各サンプルから免疫沈降させ、酵素的に消化し、質量分析法によって、標識タウ断片と非標識タウ断片の量を検出した。(B)SH−SY5Y細胞溶解液と培地のタウ標識動態曲線である。TTRは、トレーサーのトレースに対する比率である。(C)iPSCコントロール(Ctrl)とプレセニリン変異(PSmt)細胞のタウ標識動態曲線である。TTRは、トレーサーのトレースに対する比率である。 図2A〜Cは、タウのトリプシンによる消化を示している。(A)ヒト完全長タウのアミノ酸配列(2N4R、配列番号1)である。ロイシンは赤で示されている。下線が引かれているとともに青で示されているアミノ酸配列は、トリプシンによる酵素的切断によって作られる、タウのロイシン含有断片を示している。定量で用いるトリプシンペプチド断片は、TPSLPTPPTR(配列番号2)である。本発明の実験で用いる抗タウ抗体によって認識されるエピトープは、RSGYS(配列番号3)である。(B)(A)で同定されたタウトリプシンペプチドのクロマトグラムである。それらのペプチドをそれらの疎水性に従って溶出した。上から下に向かって、IGSTENLK(配列番号4)、TPSLPTPPTR(配列番号2)、(HVPGGGSVQIVYKPVDLSK(配列番号5)、STPTAEDVTAPLVDEGAPGK(配列番号6)及びLQTAPVPMPDLK(配列番号7)である。(C)TPSLPTPPTR(配列番号2)の検量線である。 図3A〜Dは、本発明の方法の一実施形態の概要を示す図である。(A)対象を安定同位体標識アミノ酸(13ロイシン)で経口標識する。(B)標識の開始後、脳脊髄液(CSF)と血液サンプルを採取する。(C)CSFサンプルからタウを免疫沈降させ、質量分析のために処理する。サンプル中の非標識タウと標識タウの量を質量分析で割り出す。(D)CNS中のタウの同位体濃縮度の概略図(上)と、標識とサンプリングタイムラインの例(下)である。産生段階中の標識タウの増加は、中枢神経系(CNS)におけるタウの相対的な産生を、クリアランス段階中の標識タウの除去は、CNSにおけるタウのクリアランスを反映している。 図4A〜Fは、インビボでのタウの標識の成功と、インビトロでの標識タウの動態の分析を示すグラフを示している。5人の若齢の正常コントロール(NC)対象に、13ロイシンを5日間(NC01)または10日間(NC02、NC03、NC05、NC06)経口投与した。14日目、28日目、42日目及び67〜84日目に、CSFサンプルを得た。GC−MSによって、各CSFサンプルにおける遊離ロイシンと総タンパク質の割合を測定した。抗タウ抗体による免疫沈降法とトリプシン消化後、LC−MSを用いて、各CSFサンプル中の13ロイシン標識タウと非標識タウを測定した。標識タウの定量には、TPSLPTPPTR(配列番号2)を用いた。(A)はNC01、(B)はNC02、(C)はNC03、(D)はNC05、(E)はNC06である。各パネルにおいては、遊離ロイシン(四角)、総タンパク質(ダイヤモンド)及びタウトリプシンペプチドTPSLPTPPTR(配列番号2、三角)の割合である。 図5A〜Bは、10日間、13−ロイシンで経口標識し、CSFサンプルを採取した6人の参加者(すなわち、NC02、NC03、NC05、NC06、NC07及びNC08)に対するタウSILK分析を示すグラフを示している。(A)は、ガスクロマトグラフィー(GC)−MSによって測定した血漿中の遊離ロイシンであり、(B)は、液体クロマトグラフィーLC/MSを用いて、トリプリケートで測定したCSF中の13ロイシン標識タウである。 図6A〜Dは、ある1人の対象におけるタウSILKのコンパートメントモデルの一実施形態を示す図とグラフを示している。(A)血漿中ロイシン、CSF中タウ、CSF中総タンパク質及び血漿中総タンパク質のトレーサー標識動態を説明するコンパートメントモデルを示す概略図である。代謝回転の遅い別のタンパク質SOD1であって、サンプルにおいてその動態を測定したものも、比較のためにモデルに含めた。このモデルは、一次速度定数kによって連結された一連のコンパートメントを含み、これらの定数は、1日当たりにコンパートメントiに輸送されるコンパートメントjの割合を反映している。(B)血漿中ロイシンのトレーサー標識動態である。このモデルでは、10日間で、経口トレーサーが3倍/日で血漿中に現れることから始まり、全身血漿中タンパク質プールが、トレーサーの摂取から84日までの血漿中ロイシンの経時変化の形を説明する。脳(CSFを含む)と血漿中のタンパク質は、血漿からトレーサーロイシンを取り込む。したがって、血漿中ロイシンの経時変化の形により、これらのタンパク質の形成の際のトレーサーアベイラビリティの経時変化が定められる。(C)CSF中タウとSOD1のトレーサー標識動態である。各タンパク質のSILK曲線の形は、その代謝回転比速度(FTR)によって一意に決まる。タウのFTRは0.049プール/日であり、SOD1のFTRは0.039プール/日である。(D)CSF中総タンパク質と血漿中総タンパク質のトレーサー標識動態である。 図7A〜Gは、タウの13経口標識のコンパートメントモデル化の一実施形態を示す図とグラフを示している。(A)このモデルは、一次速度定数k(i,j)によって連結された一連のコンパートメント(q1〜q3)からなり、これらの定数は、1日当たりにコンパートメントiに輸送されるコンパートメントjの割合を反映している。このモデルは、参加者全員の血漿中遊離ロイシン(緑)とCNS中タウ(赤)の標識にあてはめられている。Y軸は、遊離13C−ロイシンと13C−ロイシン標識CSF中タウである。X軸は、時間(日)である。NC02(B)、NC03(C)、NC05(D)、NC06(E)、NC07(F)及びNC08(G)のモデルが示されている。
本発明は、中枢神経系(CNS)におけるタウ代謝の動態を割り出す方法を含む。本発明の方法を用いることによって、当業者は、タウの代謝の考え得る変化を調べることができるようになり得る。ある治療レジメンによって、タウの代謝の変化を必要としている対象において、タウの代謝が変化するか判断できるという点で、本発明の有用性は、当業者には明らかであろう。
I.タウタンパク質
タウタンパク質は、1つの遺伝子から選択的スプライシングにより作られるものである。多くの動物(ヒト、ヒト以外の霊長動物、齧歯動物、魚、ウシ、カエル、ヤギ及びニワトリが挙げられるが、これらに限らない)においては、その遺伝子は、MAPTという。この遺伝子がMAPTと同定されていない動物では、当該技術分野において周知の方法によってホモログを同定できる。「タウタンパク質」、「タウ」及び「タウアイソフォーム」という用語は、同義的に使用してよい。タウタンパク質は、翻訳後修飾されていても、されていなくてもよい。例えば、タウは、リン酸化、ユビキチン化、グリコシル化及び糖化されることがあることが当該技術分野において知られている。
ヒトにおいては、タウには、MAPTのエクソン2、3及び10の選択的スプライシングにより生成される6つのアイソフォームが存在する。これらのアイソフォームの長さは、352〜441個のアミノ酸の範囲である。エクソン2及び3は、N末端における、29個のアミノ酸の挿入配列(Nという)をそれぞれコードし、したがって、タウアイソフォームは、2N(両方が挿入されたもの)、1N(エクソン2のみ)または0N(両方とも挿入されないもの)であってよい。ヒトタウのアイソフォームにはいずれも、3リピートの微小管結合ドメイン(Rという)がある。C末端におけるエクソン10の包含により、エクソン10によってコードされる第4の微小管結合ドメインが包含される。すなわち、ヒトタウのアイソフォームは、4リピートの微小管結合ドメイン(エクソン10が包含されたもの)または3リピートの微小管結合ドメイン(エクソン10が包含されなかったもの)から構成されることがある。したがって、タウアイソフォームは、(2N,3R)、(2N,4R)、(1N,3R)、(1N,4R)、(0N,3R)または(0N,4R)であってよい。タウをコードする遺伝子の選択的スプライシングは、他の動物においても同様に生じる。
タウは、可溶性区画と不溶性区画に、単量体形態と凝集形態で、規則構造または不規則構造で、細胞内と細胞外で見ることができ、他のタンパク質または分子と複合体を形成することもある。タウの凝集形態の1つは、アミロイドである。アミロイドは、準結晶の規則的なタンパク質集合体である。アミロイドは概して、インビボまたはインビトロでクロスβ構造を有する。大半のクロスβ構造(ただし、全てではない)は、Congo Redで染色して偏光光下で観察したときのアップルグリーン色の複屈折、またはX線繊維回折パターンによって同定してよい。アミロイドは、末梢もしくは中枢神経系、またはこれらの両方に存在し得る。アミロイドは、当該技術分野において周知である。例えば、Eisenberg et al.Cell.2012 Mar 16;148(6):1188−203を参照されたい。
アミロイドは、疾患関連アミロイドであっても、なくてもよい。また、アミロイドは、2つ以上の疾患と関連し得る。「アミロイドーシス」という用語は、対象におけるアミロイドの沈着を指す。したがって、「タウアミロイドーシス」という用語は、対象におけるタウアミロイドの沈着を指す。タウアミロイドーシスは、当該技術分野において既知の方法によって臨床的に定義できる。例えば、脳内のタウ沈着の徴候は、タウ凝集体を選択的に標的とするイメージング剤(例えば、PETイメージング剤、SPECTイメージング剤またはMRIイメージング剤)を用いることによって評価してよい。例えば、Zhang et al.J Alzheimer’s Disease 31(3):601−612,2012を参照されたい。別の例としては、Avidから市販されているトレーサーT−807が挙げられる。
タウアミロイドーシスの対象では、タウアミロイドーシスが関連する疾患の発症リスクも上昇する。タウアミロイドーシスが関連する疾患は、「タウオパチー」と称することもある。当該技術分野において既知のタウオパチーとしては、進行性核上麻痺、ボクサー認知症、慢性外傷性脳症、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、リティコ・ボディグ病、グアム型パーキンソン−認知症複合症、神経原線維変化優位な認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛エンセファロパシー、結節性硬化症、ハレルフォルデン・スパッツ病、リポフスチン症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒性疾患(AGD)、前頭側頭葉変性症、アルツハイマー病及び前頭側頭認知症が挙げられるが、これらに限らない。
II.神経由来生体分子のインビボ代謝の測定方法
本発明は、対象におけるタウのインビボ代謝のインビトロ測定方法を提供する。「タウ代謝」とは、タウの合成、輸送、分解、修飾またはクリアランス速度をいずれかに組み合わせたものを指す。タウ代謝は、標識部分を投与された対象から得た1つ以上の生体サンプル中の標識タウと非標識タウの量を検出して、生体サンプルにおける標識タウの非標識タウに対する比率を割り出すことによって測定してよい。概して、生体サンプルにおける標識タウの非標識タウに対する比率は、CNSにおけるタウの代謝に正比例する。これらの測定値を用いて、タウ代謝の1つ以上のパラメーターを算出してもよい。具体的には、本発明は、タウ標識の動態を測定するために、1つ以上の生体サンプルを得る重大なタイムフレームを提供する。
(a)対象
本発明は、タウのインビボ代謝、すなわち、対象におけるタウの代謝の測定方法を提供する。本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、哺乳動物を指す。好適な対象としては、ヒト、ペット、家畜、動物園の動物または研究用動物が挙げられるが、これらに限らない。ペットの非限定例としては、イヌまたはネコが挙げられる。家畜の非限定例としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジまたはヤギが挙げられる。研究用動物の非限定例としては、ヒト以外の霊長動物または齧歯動物が挙げられる。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
本発明の方法を用いて、タウアミロイドーシスの対象におけるタウ代謝を特徴付けることができるが、本発明は、タウアミロイドーシスの対象に限定されないことは、当業者には明らかであろう。タウ代謝の変化が、その疾患、障害またはプロセスの臨床徴候または症状に寄与することが知られているかまたは考えられているいずれの疾患、障害またはプロセスも含め、いずれかの疾患、障害またはプロセスを有する対象におけるタウ代謝を特徴付けるために、本発明の方法を用いてよいことが想定されている。加えて、健常な対象における正常なタウ代謝を特徴付けるために、本発明の方法を用いてよいことが想定されている。いくつかの実施形態では、対象は、タウアミロイドーシスではない対象であり、その対象は、認知症、軽度認知症、中度認知症または重度認知症ではない。いくつかの実施形態では、対象は、タウアミロイドーシスの対象であり、その対象は、認知症、軽度認知症、中度認知症または重度認知症ではない。特定の実施形態では、認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、混合型認知症、パーキンソン病型認知症及び前頭側頭認知症からなる群から選択したタイプのものである。いくつかの実施形態では、対象は、タウアミロイドーシスではない対象であり、その対象は、認知症、軽度認知症、中度認知症または重度認知症ではない。特定の実施形態では、認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、混合型認知症、パーキンソン病型認知症及び前頭側頭認知症からなる群から選択したタイプのものである。認知症の診断を行うためのいずれかの好適な評価スケールを用いてよい。
(b)標識部分
タウ代謝は、標識部分、好ましくは標識アミノ酸を投与された対象において測定する。異なるいくつかの部分を用いて、タウを標識してよい。一般的に言えば、本発明の方法で典型的に用いられる2種類の標識部分は、放射性同位体と非放射性(安定)同位体である。好ましい実施形態では、非放射性同位体を用いてよく、その同位体を質量分析法によって測定してよい。好ましい安定同位体としては、重水素H、13C、15N、17O、18O、33S、34Sまたは36Sが挙げられるが、一般的に見られる天然型よりも中性子が多いかまたは少ないことによって、原子の質量を変化させる多くの他の安定同位体も有効であることが認識されている。好適な標識は概して、検査下で、タウの質量を変化させて、質量分析計で検出できるようにする。一実施形態では、標識部分は、非放射性同位体を含むアミノ酸であり、標識タウの量を質量分析法によって測定する。好ましい実施形態では、非放射性同位体は13Cである。別の実施形態では、放射性同位体を用いてよく、標識タウの量をシンチレーションカウンターで測定してよい。1つ以上標識部分を同時または順次に用いてよい。
いくつかの標識アミノ酸を用いて、タウを標識してよいことは当業者には明らかであろう。概して、アミノ酸の選択は、(1)そのアミノ酸が概して、対象となるタンパク質またはペプチドの少なくとも1つの残基に存在すること、(2)そのアミノ酸が概して、タンパク質合成部位まで迅速に到達できるとともに、CNSで合成されるタンパク質の場合には、血液脳関門を越えて迅速に平衡化できること、(3)そのアミノ酸が理想上は、必須アミノ酸(体内で産生されないアミノ酸)であってよく、その結果、より高い標識率を得ることができること(非必須アミノ酸も用いてよいが、測定の精度が下がる可能性が高くなる)、(4)そのアミノ酸標識が、所定の投与量において、概して、対象となるタンパク質の代謝に影響を及ぼさないこと、及び(5)所望のアミノ酸の入手可能性(すなわち、いくつかのアミノ酸は、他のアミノ酸よりも、かなり高額か、または製造が困難である)といった様々な要因に基づく。CNSで合成されるタンパク質を標識するには、ロイシンとフェニルアラニンが、好ましいアミノ酸である。一実施形態では、13−フェニルアラニンを用いて、タウを標識する。別の実施形態では、13−ロイシンを用いて、タウを標識する。
標識アミノ酸(非放射性同位体及び放射性同位体の両方)の供給業者は数多く存在する。概して、標識アミノ酸は、生物または合成により作製してよい。生物により作製されるアミノ酸は、その生物がタンパク質を産生するときにアミノ酸に組み込まれる13C、15Nまたは別の同位体の富化混合物中で生育した生物(例えばコンブ/海藻)から得てよい。続いて、そのアミノ酸を分離及び精製する。あるいは、アミノ酸は、既知の合成化学プロセスによって作製してもよい。
(c)標識部分の投与
標識部分は、いくつかの方法によって対象に投与してよい。好適な投与方法としては、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、筋内投与または経口投与が挙げられる。好ましい実施形態では、標識部分は標識アミノ酸であり、その標識アミノ酸は、静脈内注入によって投与する。別の実施形態では、標識部分は標識アミノ酸であり、その標識アミノ酸は、経口投与する。
標識部分の量(または投与量)は、投与期間と投与頻度と同様に、変化できるとともに、変化することになる。標識部分は、対象に1日に1回以上(例えば、1日に1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上)、1日以上の日程で(例えば1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上)投与してよい。各ケースでは、標識部分は、ある期間をかけてゆっくり投与しても、大量の単回投与量として投与してもよい。標識タウが、確実に定量できる量で生体サンプルに存在するように、標識部分は、十分な量かつ十分な期間投与しなければならない。いずれのケースにおいても、「0日目」とは、標識初日を指し、「1日目」とは、を指す。
標識タウの量は、投与標識率と標識期間に左右される(また、投与標識率と標識期間によって推定される)。一般的に言えば、標識タウの量は、投与標識率に標識期間を乗じた値とほぼ等しくなる。換言すると、標識時間の長さは、標識アミノ酸の非標識アミノ酸に対する割合(例えば10%、50%または100%)と逆相関する。同じ量のタウ標識を得るには、標識時間が短いほど、標識アミノ酸の量を増やす必要がある。タウの代謝回転速度が遅いことにより、典型的には、標識タウの高感度な定量方法(例えば<5%)及び/または長い標識期間(例えば>9時間)が必要となる。
標識タウを確実に定量するのに十分な標識時間は、生体サンプルによって変わり得る。例えば、血液サンプルを用いるときに必要な標識時間は、CSFサンプルにおける同じタウアイソフォームを確実に定量するのに必要な時間よりも短くなり得る。
確実な定量のために必要な標識タウの量は、定量方法の感度の関数である。現行の質量分析方法は、0.01〜0.2%ほどの低さの標識タウを測定することができるが、約1%〜約2%の標識タウが好ましい。しかしながら、これらの測定は、技術の進歩により、向上する(すなわち、更に低レベルの標識タウを測定できる)可能性が高い。他の検出方法による確実な定量のために必要な標識タウの割合は、日常的な実験によって容易に割り出すことができ、本明細書における教示に基づき、標識プロトコールを修正することができることは当業者には明らかであろう。
いくつかの実施形態では、標識アミノ酸は、対象に、1日以上の日程で、静脈内または経口投与してよい。例えば、標識アミノ酸は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上の日程で投与してよい。標識アミノ酸の1日当たりの総投与量を数回に分け、各投与間の時間間隔がほとんどない状態で、少ない量で順次投与してもよく、または、1日を通じて複数回投与を等間隔または不等間隔で行ってもよい。各投与間の時間間隔の長さは、数秒、数分または数時間であってよい。静脈内投与するときには、ある投与量の標識アミノ酸を数分から数時間の期間にわたって投与してよく、その期間としては、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1.0時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2.0時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3.0時間、少なくとも3.5時間、少なくとも4.0時間、少なくとも4.5時間、少なくとも5.0時間、少なくとも5.5時間、少なくとも6.0時間、少なくとも6.5時間、少なくとも7.0時間、少なくとも7.5時間、少なくとも8.0時間、少なくとも8.5時間、少なくとも9.0時間、少なくとも9.5時間、少なくとも10.0時間、少なくとも10.5時間、少なくとも11.0時間、少なくとも11.5時間または少なくとも12時間が挙げられるが、これらに限らない。別の態様では、ある投与量の標識アミノ酸を約1時間〜約12時間または約3時間〜約15時間の期間にわたって静脈内投与してよい。別の態様では、ある投与量の標識アミノ酸を約1時間〜約6時間、約6時間〜約12時間または約9時間〜約15時間の期間にわたって静脈内投与してよい。別の態様では、ある投与量の静脈内標識アミノ酸を約10分〜約30分、約10分〜約1時間または約30分〜約3時間の期間にわたって投与してよい。別の態様では、ある投与量の標識アミノ酸を約1時間〜約3時間、約3時間〜約6時間、約6時間〜約9時間の期間にわたって静脈内投与してよい。別の態様では、ある投与量の標識アミノ酸を約9時間〜約12時間、約10時間〜約13時間または約12時間〜約15時間、静脈内投与してよい。経口投与するときには、各投与量の標識アミノ酸を単回投与または多回数投与として、1日以上の日程で投与してよい。多回数経口投与を順次行うか、または各投与間に、ある長さの時間間隔を置いてもよい。各経口投与間の時間間隔の長さは、数秒、数分または数時間であってよい。好ましい実施形態では、標識アミノ酸を経口投与するときには、対象に飲料として供給する。例示的な一実施形態では、標識タウを検出するために、標識アミノ酸を20%で少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間またはそれ以上の時間投与してよい。別の例示的な実施形態では、標識アミノ酸を5日間、6日間、7日間、8日間、9日間または10日間、1日当たり約3%〜約4%の標識アミノ酸で、毎日投与してよい。
単一の対象に、2つ以上の標識を用いてよいことは当業者には明らかであろう。これにより、同じ生体分子の多重標識が可能になり、その生体分子の様々な時点における産生またはクリアランスに関する情報を得ることができる。例えば、第1の標識を最初の期間にわたって対象に供給してから、薬理作用剤(薬剤)を投与してよく、続いて、第2の標識を投与してよい。概して、この対象から得たサンプルの分析により、薬剤投与前と薬剤投与後の代謝の測定値が得られ、同じ対象における薬剤の薬力学的効果が直接測定される。
あるいは、生体分子の標識を増やすとともに、より広範な生体分子の標識を得るために、多重標識を同じ時点に用いてもよい。
(d)生体サンプル
測定する標識タウは、対象から得た生体サンプル内にある。好適な生体サンプルとしては、標識タウを検出できる体液または組織が挙げられるが、これらに限らない。例えば、いくつかの実施形態では、生体サンプルは脳脊髄液(CSF)である。別の実施形態では、生体サンプルは間質液(ISF)である。更に別の実施形態では、生体サンプルは血液サンプルである。本明細書で使用する場合、「血液」とは、全血、血漿または血清を指す。別の実施形態では、生体サンプルは組織サンプルである。好適な組織サンプルとしては、脳組織と脊髄組織が挙げられるが、これらに限らない。
脳脊髄液は、CSFカテーテルを留置した状態または留置しない状態で、腰椎穿刺によって得てよい。血液は、静脈内カテーテルを用いるかもしくは用いずに静脈穿刺によって、または指先採血(もしくはその類似法)によって採取してよいとともに、当該技術分野において既知の方法に従って処理してよい。標準的な適正製造基準(GMP)の方法を用いて直接採取することによって、他のタイプのサンプルを採取してもよい。生体サンプルは、すぐに用いても、凍結して無期限に保存してもよい。
第1の生体サンプルは、対象におけるベースラインを得るために、標識の投与前に、対象から採取してよい。あるいは、標識の投与前に、第1の生体サンプルを対象から採取しないときには、ベースラインサンプルの同位体分布が正常であると推測することができる。標識の投与後、1つ以上のサンプルを対象から得てよい。生体サンプルは、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超または10日超にわたって採取してよい。あるいは、生体サンプルは、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間または12週間にわたって採取してもよい。いずれのケースにおいても、「0日目」とは標識初日を指し、標識初日は、サンプル採取初日であってもなくてもよい。概して、標識段階中に得た生体サンプルを用いて、タウの合成速度を割り出してよく、クリアランス段階中に採取した血液サンプルを用いて、タウのクリアランス速度を割り出してよい。加えて、タウ標識曲線の全体にわたる様々な時点に得た生体サンプルを用いて、タウ代謝の他の態様(例えば、標識タウのピーク時間、標識タウのピーク量、絶対定量値、相対標識値、代謝回転比速度)を割り出してよい。当業者には明らかなように、サンプルの数とタイミングは概して、分析の種類、標識段階の長さ、対象となるタウタンパク質、生体サンプル、検出の種類、対象などといった多くの要因によって決定し得る。
タウ標識の動態曲線は、標識段階の長さから影響を受けることがあるが、タウの動態(例えば、産生、クリアランス、代謝回転速度)は実質的に変化しない。実施例に示されているように、標識タウは、5日の標識後では、10日の標識よりも早くピークに達するとともに、ピーク値が低い。同様に、標識タウは、10日超の標識では、10日の標識よりも遅くピークに達するとともに、ピーク値が高い。しかしながら、同様の対象群(例えば、年齢及び/または疾患の状態が合致する群)では、曲線の形が概ね同じになる。したがって、当業者は、本明細書に示されているデータを用いれば、標識プロトコールに基づき、好適なサンプリングタイムフレームを選択できるであろう。
タウ代謝の動態は、生体サンプルの種類によって異なることもある。例えば、血液サンプルで測定されるタウ代謝の動態は、CSFサンプルで測定される動態よりも速いことが予想される。例えば、血液サンプルで測定されるタウ代謝の動態は、CSFサンプルと比べて、約2〜約15倍または約5〜約10倍速いことがある。
いくつかの実施形態では、生体サンプルは、CSFサンプルまたは血液サンプルであり、0日目と20日目との間、1日目と20日目との間または2日目と20日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。例えば、0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目もしくは20日目、またはこれらのいずれかに組み合わせた日に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のCSFサンプルを採取してよい。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、0日目と20日目との間、1日目と20日目との間または2日目と20日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、0日目と15日目との間、1日目と15日目との間、2日目と15日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、0日目と10日目との間、1日目と10日目との間または2日目と10日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、5日目と20日目との間または5日目と15日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。生体サンプルがCSFサンプルである実施形態では、0日目と20日目との間でのサンプル採取を用いて、標識タウの産生速度、またはタウの産生と関連する代謝パラメーターを割り出してよい。生体サンプルが血液サンプルである実施形態では、標識タウの産生は、CSFにおける標識タウの産生よりも短いタイムフレームで行われる可能性が高くなる。
いくつかの実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルまたは血液サンプルであり、20日目と40日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。例えば、20日目、21日目、22日目、23日目、24日目、25日目、26日目、27日目、28日目、29日目、30日目、31日目、32日目、33日目、34日目、35日目、36日目、37日目、38日目、39日目もしくは40日目、またはこれらをいずれかに組み合わせた日に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のCSFサンプルを採取してよい。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、20日目と35日目との間、20日目と30日目との間または20日目と25日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、25日目と40日目との間、25日目と35日目との間または25日目と30日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。生体サンプルがCSFサンプルである実施形態では、20日目と40日目との間のサンプル採取を用いて、標識タウの産生ピークまたは標識タウのピーク産生と関連する代謝パラメーター(例えば、ピークまでの時間、ピーク高さなど)を割り出してよい。生体サンプルが血液サンプルである実施形態では、標識タウの産生ピークは、CSFにおけるよりも早く現れる可能性が高くなる。標識タウの産生ピークが合理的に分かっているときには、20日目と40日目との間のサンプル採取を用いて、標識タウの産生と標識タウのクリアランスとに関連する代謝パラメーターを割り出してよい(例えば、標識タウの産生ピーク前に採取したサンプルを用いて、標識タウの産生と関連する代謝パラメーターを算出してよく、標識タウの産生ピーク後に採取したサンプルを用いて、標識タウのクリアランスと関連する代謝パラメーターを算出してよい)。
いくつかの実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルまたは血液サンプルであり、25日目と45日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。例えば、25日目、26日目、27日目、28日目、29日目、30日目、31日目、32日目、33日目、34日目、35日目、36日目、37日目、38日目、39日目、40日目、41日目、42日目、43日目、44日目もしくは45日目、またはこれらをいずれかに組み合わせた日に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のCSFサンプルを採取してよい。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、25日目と40日目との間、25日目と35日目との間または25日目と30日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、30日目と45日目との間、30日目と40日目との間または30日目と35日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。生体サンプルがCSFサンプルである実施形態では、20日目と40日目との間のサンプル採取を用いて、標識タウの産生ピークまたは標識タウのピーク産生と関連する代謝パラメーター(例えば、ピークまでの時間、ピーク高さなど)を割り出してよい。生体サンプルが血液サンプルである実施形態では、標識タウの産生ピークは、CSFにおけるよりも早く現れる可能性が高くなる。標識タウの産生ピークが合理的に分かっているときには、25日目と45日目との間のサンプル採取を用いて、標識タウの産生と標識タウのクリアランスとに関連する代謝パラメーターを割り出してもよい(例えば、標識タウの産生ピーク前に採取したサンプルを用いて、標識タウの産生と関連する代謝パラメーターを算出してよく、標識タウの産生ピーク後に採取したサンプルを用いて、標識タウのクリアランスと関連する代謝パラメーターを算出してよい)。
いくつかの実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルまたは血液サンプルであり、40日目と100日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。例えば、40日目、41日目、42日目、43日目、44日目、45日目、46日目、47日目、48日目、49日目、50日目、51日目、52日目、53日目、54日目、55日目、56日目、57日目、58日目、59日目、60日目、61日目、62日目、63日目、64日目、65日目、66日目、67日目、68日目、69日目、70日目、71日目、72日目、73日目、74日目、75日目、76日目、77日目、78日目、79日目、80日目、81日目、82日目、83日目、84日目、85日目、86日目、87日目、88日目、89日目、90日目、91日目、92日目、93日目、94日目、95日目、96日目、97日目、98日目、99日目または100日目に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のCSFサンプルを採取してよい。いくつかの実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、40日目と90日目との間、40日目と80日目との間、40日目と70日目との間または40日目と60日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、50日目と100日目との間、50日目と90日目との間、50日目と80日目との間、50日目と70日目との間または50日目と60日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。更に別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、60日目と100日目との間、60日目と90日目との間、60日目と85日目との間、60日目と80日目との間または60日目と70日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。更に別の実施形態では、生体サンプルはCSFサンプルであり、70日目と100日目との間、70日目と95日目との間、70日目と90日目との間、70日目と85日目との間または70日目と80日目との間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のサンプルを採取する。生体サンプルがCSFサンプルである実施形態では、40日目と100日目との間のサンプル採取を用いて、標識タウの産生速度またはタウの産生と関連する代謝パラメーターを割り出してよい。生体サンプルが血液サンプルである実施形態では、標識タウのクリアランスは、CSFにおけるよりも早く開始され、CSFにおけるよりも早く完了する可能性が高くなる。
(e)標識タウと非標識タウの量の検出
標識タウと非標識タウの好適な検出方法は、検査下のタウの形態及び/またはタウを標識するのに用いる標識部分の種類によって変化し得るとともに、変化することになる。標識部分が、放射性標識アミノ酸である場合には、検出方法は、シンチレーションカウンターであってよい。標識部分が、非放射性標識アミノ酸である場合には、検出方法は典型的には、非標識タンパク質に対する標識タンパク質の質量変化を検出するのに十分な感度でなければならない。好ましい実施形態では、質量分析法を用いて、標識タウと非標識タウとの間の質量差を検出する。特定の実施形態では、ガスクロマトグラフ質量分析法を使用する。代替的な実施形態では、MALDI−TOF質量分析法を使用する。好ましい実施形態では、高分解能タンデム質量分析法を使用する。
検出前に、追加的な技法を用いて、生体サンプル中の他のタンパク質と生体分子から、標識タウと非標識タウを分離してよい。例えば、免疫沈降法を用いて、タウ(その断片を含む)を単離して、部分的または完全に精製してから、質量分析法によって分析してよい。タウタンパク質の他の分離または濃縮方法を単独で用いても、免疫沈降法と組み合わせて用いてもよい。例えば、クロマトグラフィーの技法を用いて、タウタンパク質(またはその断片)をサイズ、疎水性またはアフィニティーによって分離してよい。具体的には、クロマトグラフィーの工程を質量分析法と結びつける技法を用いてよい。例示的な一実施形態では、タウを免疫沈降させてから、高分解能タンデムMSユニットと連結した液体クロマトグラフィーシステムによって分析する。別の例示的な実施形態では、タウを免疫沈降させてから、エレクトロンスプレイイオン源を備えた高分解能タンデムMSユニットと連結した液体クロマトグラフィーシステム(LC−ESI−タンデムMS)によって分析する。
標識タウと非標識タウは、検出前に、更に小さいペプチドに切断してもよい。例えば、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断して、いくつかの小さいペプチドを作製してよい。好適なプロテアーゼとしては、トリプシン、Lys−N、Lys−C及びArg−Nが挙げられるが、これらに限らない。例示的な一実施形態では、標識タウと非標識タウを生体サンプルから完全または部分的に精製し、プロテアーゼによって酵素的に切断してから、高分解能タンデムMSユニットと連結した液体クロマトグラフィーシステムによって分析する。別の例示的な実施形態では、標識タウと非標識タウをプロテアーゼによって酵素的に切断し、完全または部分的に精製してから、高分解能タンデムMSユニットと連結した液体クロマトグラフィーシステムによって分析する。特定の例示的な実施形態では、タウを免疫沈降法によって完全または部分的に精製する。
本発明は、同じ生体サンプル中の多数のタウアイソフォームを同じ質量分析サンプルで同時に測定できることも提供する。すなわち、非標識タウと標識タウの両方の量を、多数のタウアイソフォームについて、別々または同時に検出及び測定することができる。したがって、本発明は、様々なアイソフォームの合成とクリアランスの変化の有用な大規模スクリーニング方法を提供するとともに、裏に潜む病態に関与するタンパク質の高感度な検出及び測定手段を提供する。
(f)代謝分析
標識タウと非標識タウの量を検出したら、タウの相対標識値を算出してよい。本明細書で使用する場合、「相対標識値」は、標識タウの非標識タウに対する比率または標識タウの割合を指してよい。標識タウ、非標識タウの量またはタウの相対標識値を用いて、1つ以上の追加のタウ代謝パラメーターも算出してもよい。好適なタウ代謝パラメーターの非限定例としては、合成比速度、クリアランス比速度、絶対合成速度、絶対クリアランス速度、代謝回転比速度、ラグタイム、半減期、ピーク高さまでの時間、ピーク高さなどが挙げられる。これらのパラメーターの算出方法は、当該技術分野において周知であり、当業者は、本発明の方法とともに用いてよい標識の一次動態モデルに精通しているであろう。加えて、ラグタイム及び同位体トレーサー定常状態のような他のパラメーターを割り出して、タウの代謝及び生理作用の測定値として使用してもよい。また、そのデータに対してモデル化を行って、マルチコンパートメントモデルをあてはめて、コンパートメント間の移動を推定してもよい。当然ながら、選択する数学的モデル化の種類は、個々のタンパク質の合成パラメーターとクリアランスパラメーター(例えば、1プール、マルチプール、定常状態、非定常状態、コンパートメントモデル化など)によって決まることになる。概して、生体サンプルにおけるタウの相対標識値は、CNSにおけるタウの代謝に正比例する。例えば、産生段階中の標識タウの増大と、クリアランス段階中の標識タウの除去は、CNSにおけるタウの相対的な産生とクリアランスを反映している。したがって、標識及び/または非標識タウの測定値を用いて算出されるタウ代謝パラメーターも、CNSにおけるタウの代謝を反映している。
所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量は、合成速度(すなわち、産生)またはクリアランス速度(すなわち、除去もしくは破壊)を含む、タウの代謝を反映している。本発明では、タウの合成が典型的には、標識タンパク質/非標識タンパク質の比率の経時的な増加速度に基づく(すなわち、勾配、指数あてはめ曲線またはコンパートメントモデルあてはめによって、タウ合成速度を定義する)ことが提供される。これらの算出には、最低1つのサンプルが典型的に必要となり(ベースライン標識を推定できる)、標識の経時的な増加速度を算出するには、2つ以上のサンプルが好ましい。逆に、標識アミノ酸の投与の終了後では、標識タンパク質の非標識タンパク質に対する比率の低下速度は、典型的には、そのタンパク質のクリアランス速度を反映している。これらの算出には、最低1つのサンプルが典型的には必要となり(ベースライン標識を推定できる)、タウからの標識の経時的な減少速度を算出するには、2つ以上のサンプルが好ましい。
例示的な一実施形態では、実施例に示されているように、13−ロイシンを対象に5日または10日間、経口投与し、1回目の標識投与の2日後よりも後の時点に、少なくとも1つの生体サンプルを採取することによって、タウのインビボ代謝を測定する。生体サンプルは、CSFから採取してよい。生体サンプルにおける標識タウと非標識タウの量は典型的には、免疫沈降後に、LC−ESI−タンデムMSによって割り出す。これらの測定値から、標識タウと非標識タウの量を割り出してよく、これらの測定値により、タウの相対標識値、合成速度、クリアランス速度などの、タウ動態の代謝パラメーターを割り出すことができるようになる。
(g)好ましい実施形態
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで、対象に少なくとも3日間、少なくとも5日間または少なくとも10日間投与することと、(b)1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することであって、標識を対象に、2日以上の日程で、0日目と3日目前後との間、好ましくは0日目と5日目前後との間、より好ましくは0日目と10日目前後との間に、1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで投与することと、(b)1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することであって、標識を対象に、2日、3日、4日またはそれ以上の日程で、0日目と5日目前後との間、好ましくは0日目と10日目前後との間に、1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで投与することと、(b)1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に投与することであって、標識を対象に、2日、3日、4日、5日、7日、8日または9日の日程で、0日目と10日目前後との間に、1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで投与することと、(b)1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に、1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで、少なくとも3日間、少なくとも5日間または少なくとも10日間投与することと、(b)タウの半減期の計算に基づき、タウの半減期から±1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日または10日に、少なくとも1つの生体サンプルを対象から採取することと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝の測定方法であって、(a)少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入の形で、少なくとも1つの標識アミノ酸を対象に、1日当たりの総投与量約0.1g〜約10gで、少なくとも3日間、少なくとも5日間または少なくとも10日間投与することと、(b)タウの半減期の計算に基づき、タウの半減期から±1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日または10日のみに、1つ以上の生体サンプルを対象から採取する(すなわち、このタイムフレーム以外では、サンプルを採取しない)ことと、(c)質量分析法によって、各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(d)工程(c)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含む方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(b)と工程(c)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識が、少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、0日目から少なくとも3日目前後まで、好ましくは0日目から少なくとも5日目前後まで、より好ましくは0日目から少なくとも10日目前後まで、毎日投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識が、少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、2日以上の日程で、0日目と3日目前後との間、好ましくは0日目と5日目前後との間、より好ましくは0日目と10日目前後との間に投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法。あるいは、1日当たりの投与量が、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識を少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、対象に、2日、3日、4日またはそれ以上の日程で、0日目と5日目前後との間、好ましくは0日目と10日目前後との間に投与し、(ii)各生体サンプルが、1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識を少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、対象に、2日、3日、4日、5日、7日、8日または9日の日程で、0日目と10日目前後との間に投与し、(ii)各生体サンプルが、1日目もしくは2日目と20日目との間、20日目と40日目との間、40日目と100日目との間またはこれらを組み合わせた日程に、対象から採取したものである方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識が、少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、0日目から少なくとも3日目前後まで、好ましくは0日目から少なくとも5日目前後まで、より好ましくは0日目から少なくとも10日目前後まで、毎日投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、タウの半減期の計算に基づき、タウの半減期から±1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日または10日に、対象から採取したものである方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
対象におけるタウの代謝のインビトロ測定方法であって、(a)質量分析法によって、対象から得た各生体サンプルにおける標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を検出及び測定することと、(b)工程(a)で割り出した、標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を用いてタウの代謝を算出することであって、所定の時点における生体サンプル中の標識タウの量(任意に応じて、タウの相対標識値として表される)がタウの代謝を反映している、こととを含み、(i)その標識が、少なくとも1回のボーラスまたは少なくとも1回の注入として、0日目から少なくとも3日目前後まで、好ましくは0日目から少なくとも5日目前後まで、より好ましくは0日目から少なくとも10日目前後まで、毎日投与したものであり、(ii)各生体サンプルが、対象から、計算に基づき、タウの半減期の±1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日または10日のみに採取したものである(すなわち、このタイムフレーム以外では、サンプルを採取しない)方法。あるいは、1日当たりの投与量は、約0.5g〜約5gの標識アミノ酸、0.5g〜約1gの標識アミノ酸または約1g〜約5gの標識アミノ酸であることができる。各実施形態では、1日当たりの投与量を数回に分け、その少ない投与量ずつ一気に投与しても、1日を通じて等間隔または不等間隔で投与してもよい。好ましい生体サンプルとしては、CSFサンプル、血液サンプルまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この方法は、工程(a)と工程(b)との間に、タウをプロテアーゼによって酵素的に切断すること、及び/またはタウもしくはその断片を完全または部分的に精製することを更に含んでもよい。
III.神経疾患と神経変性疾患の診断または進行のモニタリングまたは治療をするためのキット
本発明は、対象におけるタウのインビボ代謝を測定することによって、タウを測定するか、またはタウと関連する神経疾患もしくは神経変性疾患の進行をモニタリングするもしくは治療するためのキットを提供する。概して、キットは、代謝パラメーターを算出できるように、標識アミノ酸と、その標識アミノ酸を投与する手段と、経時的に生体サンプルを採取する手段と、標識タウ及び/または非標識タウの量を検出及び測定するための説明書を含む。続いて、その代謝パラメーターを、正常で健常な個体の代謝パラメーターと比較しても、同じ対象から事前に得た代謝パラメーターと比較してもよい。好適な代謝パラメーターは、上に記載されている。好ましい実施形態では、このキットは13−ロイシンまたは13−フェニルアラニンを含み、標識するタンパク質はタウであり、評価する疾患はタウアミロイドーシスである。
定義
別段の定義のない限り、本明細書で使用されている全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)及びHale& Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)という参照文献は、本発明で使用されている多くの用語の一般的な定義を当業者に示す。本明細書で使用する場合、下記の用語は、別段の定めのない限り、それらに割り当てられた意味を有する。
「クリアランス速度」は、タウのような、対象となる生体分子を除去する速度を指す。
「クリアランス比速度」またはFCRは、所定の期間における、タウなどの標識生体分子の比率の自然対数として算出する。
「合成比速度」またはFSRは、所定の期間における、タウなどの標識生体分子の増加する比率の勾配を標識前駆体の予測値で除したものとして算出する。
「代謝回転比速度」またはFTRは、タウなどの生体分子がCNSから不可逆的に失われる速度であり、CSF及びその他の喪失経路(例えば、局所組織での取り込み、タンパク質分解、アミロイドへの沈着)への喪失総量である。
「同位体」とは、核の原子番号は同じであるが、異なる数の中性子を含むために質量数が異なる、所定の元素の全ての形態を指す。非限定例としては、12Cと13Cはいずれも、炭素の安定同位体である。
「ラグタイム」とは概して、タウなどの生体分子を最初に標識してから、標識生体分子が検出されるまでの遅延時間を指す。
「代謝」とは、タウなどの生体分子の合成、輸送、分解、修飾またはクリアランス速度のいずれかの組み合わせを指す。
「神経由来細胞」には、ニューロン、星状細胞、ミクログリア、脈絡叢細胞、上衣細胞、その他のグリア細胞などを含む、血液脳関門内の全ての細胞が含まれる。
「相対標識値」とは、標識タウの非標識タウに対する比率または標識タウの割合を指す。相対標識値は、いずれかの好適な単位を用いて表してよい。非限定例としては、標識タウの非標識タウに対する比率は、質量分析から得られる、トレーサーとトレースとの関係(TTR)として表してよい。別の非限定例として、TTRの比率を標識モル分率に変換してもよい。
「標識の開始」とは、標識が開始される時点、すなわち、時間=0を指す。多数の日における標識の投与を必要とするタウ標識プロトコールでは、「標識の開始」とは、最初の標識を投与することを指す。標識の開始後、標識タウが確実に検出されたらすぐにサンプル採取を始めてよく、この検出は、標識の開始から1時間またはそれ以上のうちに行ってよい。
「定常状態」とは、所定の期間において、パラメーター測定値の変化がわずかである状態を指す。
「合成速度」とは、対象となる生体分子が合成される速度を指す。
代謝トレーサー調査では、「安定同位体」は、最も豊富な天然の同位体よりも豊富ではない非放射性同位体である。
「対象」とは、本明細書で使用する場合、中枢神経系を有する生物を意味する。具体的には、対象は哺乳動物である。好適な対象としては、研究用動物、ペット、家畜及び動物園の動物が挙げられる。好ましい対象はヒトである。
したがって、本発明は例えば以下の実施形態を提供する。
[1]
対象におけるタウの代謝をインビトロで測定する方法であって、
(a)タウのN末端またはミドルドメイン内に親和性を有する試薬を用いて標識タウまたは標識タウと非標識タウを対象から得た少なくとも1つの脳脊髄液(CSF)サンプルから分離すること、
(b)前記対象から得た各CSFサンプル中の標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を質量分析法によって検出及び測定すること、および
(c)工程(b)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出すること、ここで所定の時点におけるCSFサンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映する、
を含み、
(i)前記対象が、少なくとも1つの標識アミノ酸を、1日以上投与されており、
(ii)少なくとも1つのCSFサンプルが、5日目〜20日目、20日目〜40日目、40日目〜100日目またはこれらの組み合わせにおいて、前記対象から採取されたものである、前記方法。
[2]
前記試薬が、タウの27〜35個目または194〜198個目のアミノ酸内に親和性を有する試薬である、前記[1]に記載の方法。
[3]
前記試薬が、タウの27〜35個目または194〜198個目のアミノ酸内に親和性を有する抗体である、前記[2]に記載の方法。
[4]
前記対象が、0日目〜3日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]
前記対象が、0日目〜5日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[6]
前記対象が、0日目〜10日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[7]
前記対象が、前記標識アミノ酸を毎日投与されている、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8]
前記標識アミノ酸が非放射性同位体で標識されている、前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9]
前記非放射性同位体をH、13C、15N、17O、18O、33S、34S及び36Sからなる群から選択する、前記[8]に記載の方法。
[10]
前記標識アミノ酸が13ロイシンである、前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11]
前記対象が、前記標識アミノ酸を静脈内投与または経口投与されている、前記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12]
免疫沈降法によってタウを分離する、前記[1]に記載の方法。
[13]
前記標識アミノ酸が、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、0.1〜20%及び0.1〜10%からなる群から選択した量の、前記CSFサンプル中の標識アミノ酸を産生させるために投与されている、前記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の方法。
[14]
前記対象が齧歯動物である、前記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15]
前記対象がヒトである、前記[1]〜[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16]
請求項1の工程(c)で割り出した、標識及び/または非標識タウの量を用いて、タウ代謝の代謝パラメーターを算出することを更に含み、前記代謝パラメーターが、相対標識値、合成比速度、クリアランス比速度、絶対合成速度、絶対クリアランス速度、代謝回転比速度、ラグタイム、半減期、ピーク時間及びピーク高さからなる群から選択されている、前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17]
タウが、(2N 3R)、(2N 4R)、(1N 3R)、(1N 4R)、(0N 3R)及び(0N 4R)からなる群から選択したタウアイソフォームである、前記[1]〜[16]のいずれか1項に記載の方法。
[18]
タウがリン酸化タウアイソフォームである、前記[1]〜[17]のいずれか1項に記載の方法。
実施例
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す目的で含まれている。下記の実施例に開示されている技法は、本発明の実施の際に十分に機能すると本発明者が発見した技法を表しており、したがって、本発明の実施のための好ましい態様を構成するとみなすことができることは当業者には明らかであるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みれば、開示されている具体的な実施形態に対して多くの変更を行うことができ、その変更によっても、本発明の趣旨と範囲から逸脱しなければ、同様または類似の結果が依然として得られることが分かるはずである。
実施例1.タウの免疫沈降法(IP)と質量分析法の開発
CSF中タウは、切断断片の異種プールであると推定され、存在量が少ない。例えば、若齢の正常コントロールにおけるタウの総量は、約200pg/mL=4.4fmol/mLと推定される。ヒトCSFからタウを高い回収率で得るために、完全長タウのN末端からC末端に及ぶエピトープを有する様々なタウ抗体のIP効率について試験した(表1、図2)。様々なタウ(pg〜ng)を含むヒトCSFと、ピコグラム〜ナノグラムのタウを含む細胞培養液(ヒト神経芽腫細胞SH−SY5Y及び完全長タウを一過性に過剰発現させたHEK293T細胞)とを検証アッセイに用いた。回収率をN末端タウELISA(HJ8.5:捕捉用、HJ8.7:ビオチン検出用)によってアッセイし、CSF中タウにおいては、タウのN末端を認識する3つの抗体(タウ12、HJ8.5及びHJ8.7)の免疫沈降効率が最も高かった(平均99.3%)。このデータによって、完全長タウがヒトCSFに存在しないことが示唆されており、これは、本文献と一致している。N末端抗体HJ8.5とミドルドメイン抗体タウ1が、CSFにおける多数のタウ種の免疫沈降に最適な抗体として同定された。
質量分析(MS)を用いて、タウペプチドを定量するために、続いて、免疫沈降させたタウを400ngのトリプシンで16時間、37℃で消化した。代替的な酵素と消化期間を用いてもよい。Toptip C18カラム(glygen製)を用いて、消化したサンプルを脱塩または精製した。精製後、サンプルを乾燥し、2%アセトニトリルと0.1%ギ酸に再懸濁させ、ナノLC−MS分析のために注入した(Thermoscientific TSQまたはThermoscientific Orbitrap Fusion)。ペプチドフィンガープリンティングによって、ヒトCSFと、SH−SY5Y培地(実施例2参照)と、ヒトタウを過剰発現させたHEK293Tに由来する培地におけるタウから多数の断片を検出し、その断片には、単一または2つのロイシンを有するペプチド(TPSLPTPPTR(配列番号2)及びLQTAPVPMPDLK(配列番号7)など)が含まれていた。全てのサンプルにおいて、TPSLPTPPTR(配列番号2)が、最大かつ最も整合性の高いシグナルを有していたので、13−ロイシン標識タウの定量の更なる分析で使用した。
TPSLPTPPTRペプチド(配列番号2)の検量線を作成するために、タウを過剰発現させたHEK293Tを13−ロイシン標識培地とともにインキュベートし、その培地中の標識細胞外タウを回収した。簡潔に述べると、HEK293T細胞を13−ロイシンによって、0%、0.078%、0.156%、0.312%、0.625%、1.250%及び2.5%で標識し、標識細胞培地に対して、上記のIP/MS法を行った。検量線によって、予測標識率と測定した標識率との線形相関が示され、TPSLPTPPTRペプチド(配列番号2)の検出限界(LOQ)が約0.1%であることが示唆されている(図2C)。
実施例2.インビトロでのタウの安定同位体標識動態(SILK)
インビトロでのタウSILK法の実現可能性を試験するために、2つの細胞培養モデルを原理証明実験に用いた。第1のモデルでは、ヒト神経芽腫細胞SH−SY5Yを用いた。この細胞は、培地中で細胞外タウを産生することが既に示されているからである。SH−SY5Y細胞を培養し、50%13−ロイシン標識培地で6日間標識してから、6日間、逆標識化し、培地と細胞溶解液を回収し、タウに関して、IP/MS分析にかけた(図1A)。標識タウを定量するためのTPSLPTPPTR(配列番号2)を用いて、溶解液と培地において、40〜50%の13−ロイシン前駆体に向かって、標識が安定的に増加したことを我々は観察した(図1B)。溶解液と比べて、培地では、標識タウが検出されるまで、2〜3日の遅延が観察され、これにより、標識タウが溶解液から培地に放出されるのに、2〜3日を要することが示唆された。12−ロイシン培地に戻した後、培地と溶解液において、ベースラインに向かって標識が安定的に低下したことも観察された。産生曲線において、2〜3日目(溶解液)または5〜6日目(培地)に、標識率が20〜25%(すなわち、50%標識の標識ロイシン前駆体の2分の1)であることに基づき、溶解液と培地における細胞外タウの半減期は、約3日であると我々は推定する。
第2のモデルでは、プレセニリン1変異H163R(PSmt)キャリアとノンキャリア(Ctrl)の皮膚線維芽細胞から得た誘導多能性細胞(iPSC)を用いた。これらのiPSCをニューロンに分化させ、タウSILK法を行った。AD患者から得たiPSCは、培地においてタウの分泌が増えることが既に報告されている。これらの実験では、iPSCを6日間、50%13−ロイシン標識培地で培養してから、6日間、逆標識化した(図1A)。培地のみを回収した。タウロイシン標識を定量するためのTPSLPTPPTR(配列番号2)を用いて、培地において、20%13−ロイシン前駆体に向かって標識が安定的に増加したことを観察した(図1C)。50%の標識率に達するには、6日間では十分ではなく、通常の培地に戻した後も、標識率は向上し続けた。SH−SY5Y細胞とiPSCニューロンとの間の標識曲線の差は、iPSCが最終分化細胞であるのに対して、SH−SY5Y細胞が分裂細胞であることによるものとみられる。興味深いことに、PSmtの方が、産生曲線が急であったことから、PSmtのiPSCニューロンにおいて、タウの産生が増えることが示唆された。
これらのインビトロでの原理証明実験により、2つの細胞培養モデルを用いて、タウトリプシンペプチドTPSLPTPPTR(配列番号2)を定量することが示されている。また、これらの結果により、タウSILKの検査が、ヒトにおいて実行可能であることが強く示唆されている。
実施例3.ヒトにおけるタウの安定同位体標識動態(SILK)
図3は、本発明の方法の一実施形態の概要を示している。簡潔に述べると、正常コントロール(NC)対象(年齢32〜73歳)に包装済みの低ロイシン食を与え、13−ロイシンで5日間(NC01)または10日間(NC02、NC03、NC05、NC06、NC07、NC08)標識した。13−ロイシンは、330mgの散剤をKool−Aidに溶解させ、1日当たりの総溶解投与量が1gになるように、1日に3回飲ませることによって、参加者に投与した。標識期間中、血漿中ロイシンの測定のために、1日目と10日目に、一晩絶食後の採血を行った。標識後、参加者は、正常な食事に戻した。標識の開始から約14日、28日、42日及び67〜84日に、腰椎穿刺(LP)と採血を行った(実際の時点は、参加者によって多少異なっていた)。各CSFサンプル1mLに対して、免疫沈降法/質量分析(IP/MS)法を行って、ヒトタウを測定した。簡潔に述べると、タウ特異抗体を用いて、生体サンプルからタウを免疫沈降させてから消化し、ロイシンを含む多数のペプチドを得た(図2)。具体的には、消化にはトリプシンを用いてよく、定量にはTPSLPTPPTR(配列番号2)のペプチドを用いてよい。その他の酵素とペプチドを用いてもよい。
インビボでのタウSILK法を実証するために、まず、13ロイシンを5日間(NC01)または10日間(NC02、NC03、NC05、NC06)経口投与した5人の正常コントロール(NC)参加者から、CSFサンプルを得た(図4)。これらの対象では、ヒトCNSにおけるタウの半減期は、約15日である。タウの半減期の正確な測定値には幅があり、すなわち、約10〜約30日である。図5には、2人の追加の参加者(すなわち、NC07及びNC08)から得たデータが含まれている。これらの2人の追加の対象を含めた後、半減期は約19.6日となり、幅は、最初の算定と同様であった(13〜30日、CV32.2%)。
図4及び図5のタウ動態曲線は合わせて、タウの代謝回転が、総タンパク質よりも遅いことを示している。10日間の経口標識では、13−ロイシンのロバストな標識(遊離アミノ酸プール)を血漿において実現でき(2−3%)、ロイシンをコントロールした食事中に、トレーサー濃度が十分なレベルに達したことが示された(図5A)。CNS中タウ標識曲線では、ゆっくり上昇したとともに(10〜30日)、低下(80日以降)し、CNS中タウの代謝回転速度が遅いことが示された(図5B)。
実施例4.タウ動態モデル
限られた数の測定時点から完全な動態曲線を得て、タウの半減期を算出するために、血漿中ロイシン、CSF中タウ、CSF中総タンパク質及び血漿中総タンパク質のトレーサー標識動態を説明するコンパートメントモデルを開発した(1g/日の経口13−ロイシンを10日)。代謝回転の遅い別のタンパク質SOD1であって、その動態を同じサンプルで測定したものも、比較のためにモデルに含めた。これまで用いられてきた、代謝回転動態の「非モデル依存的」評価方法よりも、多数のデータ収集部位を説明する包括的モデルが好ましい。前駆体(すなわち、血漿中ロイシン)の経時変化の形を考慮に入れるからである。例えば、単一指数勾配分析では、勾配分析期間中に、産生タンパク質にトレーサーが組み込まれない、すなわち、前駆体プール(血漿中ロイシン)が標識を含まないと仮定される。半減期が長く、標識が長期のタンパク質では、コンパートメントモデルは、時間の関数としての前駆体プールの濃縮度を考慮する必要がある。このモデルでは、10日間で、3倍/日で経口トレーサーが血漿中に現れることから始まり、全身血漿中タンパク質プールが、トレーサーの摂取から84日まで、血漿中ロイシンの経時変化の形を説明する。脳(CSFを含む)と血漿中のタンパク質は、血漿からトレーサーロイシンを取り込むので、血漿中ロイシンの経時変化の形によって、これらのタンパク質の形成の際のトレーサーアベイラビリティの経時変化が定められる。このモデルは、一次速度定数k(i,j)によって連結された一連のコンパートメントからなり、この定数は、1日当たりにコンパートメントiに輸送されるコンパートメントjの割合を反映している。
このトレーサー入力量経時変化が定められると、各タンパク質のSILK曲線の形は、その代謝回転比速度(FTR)または不可逆的喪失によって一意に決まる。ある対象における結果が図6に示されている。対象NC02、NC03、NC04、NC05、NC06、NC07及びNC08における結果は、それぞれ図7B〜Gに示されている。参加者の代謝回転比速度(FTR)、CNS中タウの半減期、及びその他の情報(年齢、体重、身長、BMI、性別及び人種)の概要が、下記の表2に示されている。
実施例における方法
13−ロイシン標識タウの検量線の作成:HEK293T細胞内で一過性に過剰発現させた完全長(FL.2N4R)タウを標識することによって、標準の標識培地を調製した。10%ウシ胎仔血清(Sigma、F6178)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma、D5546)で、HEK293T細胞を増殖し、トランスフェクションの前日に6ウェルプレートに分けた。トランスフェクションの日に、その培地に、1.05g/Lの12−ロイシンを含むDMEMへの13−ロイシン(Cambridge Isotopes、CLM−2262)を添加して、最終的なトレーサーのトレースに対する比率(TTR)を2.5%、1.25%、0.625%、0.312%、0.156%、0.078%及び0%にした。Fugene HD(Promega、E2312)を用いて、HEK293Tに、FLタウ−pcDNA3.1を一過性にトランスフェクトした。6日後に、培地と細胞を回収した。培地を15000gで5分間回転させ、上清を希釈して、ヒトCSFタウから得られるシグナルと適合させ、分注してから、−80℃で凍結した。細胞をPBSで1回洗浄し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、04693116001)を用いて冷PBS中に回収し、15000gで5分間回転させてから、それらのアリコートを−80℃で凍結した。
13−ロイシン標識タウと血漿中遊離13−ロイシンの単離と質量分析:
CNBr活性化セファロースビーズ(GE Healthcare 17−0430−01)をタウ12、タウ1、タウ5抗体(マウスモノクローナル、Michigan State UniversityのDr.Skip Binder及びDr.Nick Kanaanが提供)、HJ8.5、HJ8.7、HJ9.3、HJ9.1(マウスモノクローナル、Dr. David Holtzman及びHong Jiangが提供)に、ビーズ1g当たり3mgの抗体という濃度で架橋させた。洗剤(1%NP−40)、カオロトピック試薬(5mMグアニジン)及びプロテアーゼ阻害剤(Roche Complete Protease Inhibitor Cocktail)中で、参加者から採取した1mLのヒトCSFと、Barnes−Jewish Hospital Neurology Critical Care Unit(ミズーリ州セントルイス)から集めたヒトCSFと、細胞培養液(SH−SY5Yヒト神経芽腫と、完全長タウを一過性に過剰発現させたHEK293T細胞)から可溶性タウを免疫沈降させた。その溶液とともに、タウ抗体ビーズの50%スラリー30uLを90分、室温で回転させた。そのビーズを0.5Mグアニジン中で1回洗浄し、25mM重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEABC、Fluka17902)中で2回洗浄した。結合したタウをビーズ上で、質量分析グレードトリプシン(Promega、V5111)400ngによって16時間、37℃で消化した。トリプシン消化物をTopTip C18(Glygen、TT2C18.96)に充填し、メーカーの説明書に従って脱塩し、精製し、溶出した。溶出したペプチド溶液を真空分離機(CentriVap Concentrator Labconco)によって乾燥し、MSグレード水中の2%アセトニトリルと0.1%ギ酸の溶液25uLに再懸濁させた。そのペプチド再懸濁液の5uLアリコートをnano−Acquity LCとMS分析にかけた。nano−Acquity LC(マサチューセッツ州ミルフォードのWaters Corporation)には、HSS T3 130C18 100□m×100mmカラムを取り付け、0.5□l/分の流速の溶液A及びBのグラジエントを用いて、ペプチドを分離した。溶液Aは、MSグレード水中の0.1%ギ酸から構成されていたとともに、溶液Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸であった。ペプチドをカラムから、溶液Bの2%〜20%のグラジエントで8分溶出してから、20%〜40%の溶液Bで更に3分溶出した後、更に3分で85%の溶液Bまで上昇させて、カラムをクリーンアップした。Orbitrap Fusionに、電子スプレイ源のnanoflex(カリフォルニア州サンノゼのThermo Scientific)を取り付けた。イオン源に噴霧されるペプチドイオンを標的にし、四重極で単離してから、HCDによって断片化し、Orbitrapで60,000の分解能において検出した。標識タウペプチドが非標識ペプチドとともに溶出し、これらの両方を順次断片化した。それらのクロマトグラフィーピークプロファイル下面積を算出し、面積比として表した。
各時点における血漿中の前駆体13−ロイシンの濃縮率を割り出すために、血漿中タンパク質を10%トリクロロ酢酸で一晩、4℃で沈殿させてから、21,000×gで10分間回転させることによって除去した。上清中の遊離アミノ酸をN−ヘプタフルオロブチリルn−プロピルエステル誘導体に変換し、上記23のように、ガスクロマトグラフィー(GC)−負化学イオン化−MS(Agilent 6890N Gas Chromatograph及びAgilent 5973N Mass Selective Detector)によって、13−ロイシンの同位体濃縮度[質量/電荷比(m/z)349及び355]を分析した。組織溶解液50μLに対して10%TCA沈殿を一晩、4℃で行い、サンプルを21,000×gで10分間遠心分離し、上清を除去し、そのペレットを10%TCA冷溶液中で2回超音波処理することによって、総タンパク質への13−ロイシン取り込みの測定値を割り出した。続いて、そのペレットを6N HCl中で24時間、110℃で酸加水分解した。続いて、陽イオン交換クロマトグラフィー(50W−X8樹脂)を用いて、溶出用緩衝液としての6N NHOHによって、得られたアミノ酸を単離した。続いて、サンプルをスピードバックで乾燥し、GC−MSのために処理した。トレーサー濃縮度の上昇に応じて生じる、トレーサー:トレーシー比(TTR)におけるバイアスを考慮するために、MFL=(TTR)/(1+TTR)という式を用いることによって、TTRをモル分率標識(MFL)に変換した。
ヒト対象:ヒト対象が関与する研究については、Washington University Human Studies CommitteeとGeneral Clinical Research Center(GCRC)から承認を受けた。参加者全員からインフォームドコンセントを得た。参加者は、身体検査と神経学的検査からなる最初のスクリーニング診察を受けた。除外基準には、病歴または検査による神経障害の証拠、食料と飲料を安全に口から取ることができないこと、正常値よりも2倍高い検査値、特殊な食生活(例えばグルテンフリー)、妊娠、リドカインアレルギー、出血障害の病歴または腰椎穿刺の禁忌が含まれていた。続いて、参加者に包装済みの低ロイシン食を与え、13−ロイシンで10日間標識した。低ロイシン食(ロイシン約2000mg/日)は、Washington University Research Kitchenの栄養士が準備して、参加者に渡し、その後、家で消費させた。食料摂取量は、自己申告式の食事日記によってモニタリングした。散剤330mgをKool−Aid120mLに溶解させることによって、Cambridge Isotope Laboratoriesから得た13−標識ロイシン(CLM−2262)を参加者に投与した。参加者は、1日当たりの総溶解投与量が1gになるように、この13−ロイシンを1日に3回飲んだ。標識期間中、一晩絶食後の採血を1日目と10日目に行った。標識後、参加者は、正常な食事に戻した。標識を始めてから約14日、28日、42日及び67〜84日に、腰椎穿刺と採血を行った(実際の時点は、参加者によって多少異なっていた)。
血液は、1800×gで10分間遠心分離し、その上清(血清)を1.5mLのローバインディングチューブに分注し、ドライアイス上で凍結し、−80℃で保管した。CSFは、1000×gで10分間、4℃で回転させ、1mLのアリコートを1.5mLのローバインディングチューブに入れ、ドライアイス上で凍結し、−80℃で保管した。
動態データのコンパートメントモデル化:上記23のように、SAAM IIというソフトウェア(シアトルのResource for Kinetic Analysis、University of Washington)を用いて、モデル化を行った。このモデルは、一次速度定数k(i,j)によって連結された一連のコンパートメントからなり、この定数は、1日当たりにコンパートメントiに輸送されるコンパートメントjの割合を反映している。図4に示されているように、血漿中遊離13−ロイシンの動態データをコンパートメントモデルに取り込んだ。TPSLPTPPTRペプチドをモデル化に用いた。LC−MSシグナルが最もロバストであったからである。

Claims (18)

  1. 対象におけるタウの代謝をインビトロで測定する方法であって、
    (a)タウのN末端またはミドルドメイン内に親和性を有する試薬を用いて標識タウまたは標識タウと非標識タウを対象から得た少なくとも1つの血液サンプルから分離すること、
    (b)前記対象から得た各血液サンプル中の標識タウの量または標識タウと非標識タウの量を質量分析法によって検出及び測定すること、および
    (c)工程(b)から得た測定値を用いてタウの代謝を算出すること、ここで所定の時点における血液サンプル中の標識タウの量がタウの代謝を反映する、
    を含み、
    (i)前記対象が、少なくとも1つの標識アミノ酸を、1日以上投与されており、
    (ii)少なくとも1つの血液サンプルが、5日目〜20日目、20日目〜40日目、40日目〜100日目またはこれらの組み合わせにおいて、前記対象から採取されたものである、前記方法。
  2. 前記試薬が、タウの9〜18個目または194〜198個目のアミノ酸内に親和性を有する試薬である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記試薬が、タウの9〜18個目または194〜198個目のアミノ酸内に親和性を有する抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記対象が、0日目〜3日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記対象が、0日目〜5日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記対象が、0日目〜10日目において、前記標識アミノ酸を2日以上投与されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記対象が、前記標識アミノ酸を毎日投与されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記標識アミノ酸が非放射性同位体で標識されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記非放射性同位体をH、13C、15N、17O、18O、33S、34S及び36Sからなる群から選択する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記標識アミノ酸が13ロイシンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が、前記標識アミノ酸を静脈内投与または経口投与されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 免疫沈降法によってタウを分離する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記標識アミノ酸が、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、0.1〜20%及び0.1〜10%からなる群から選択した量の、前記血液サンプル中の標識アミノ酸を産生させるために投与されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記対象が齧歯動物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記対象がヒトである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1の工程(c)で割り出した、標識及び/または非標識タウの量を用いて、タウ代謝の代謝パラメーターを算出することを更に含み、前記代謝パラメーターが、相対標識値、合成比速度、クリアランス比速度、絶対合成速度、絶対クリアランス速度、代謝回転比速度、ラグタイム、半減期、ピーク時間及びピーク高さからなる群から選択されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. タウが、(2N 3R)、(2N 4R)、(1N 3R)、(1N 4R)、(0N 3R)及び(0N 4R)からなる群から選択したタウアイソフォームである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. タウがリン酸化タウアイソフォームである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
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