以下、本発明の一実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。
<外観構成>
本実施形態の冷暖房機能付きヒートポンプ給湯機1の主要なユニットの外観構成を図1に示す。図1において、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、貯湯タンク2(後述の図2等参照)を備えた貯湯ユニット100と、室外機としてのヒートポンプユニット300と、室内機としてのエアコンユニット200と、を有している。
<回路構成>
本実施形態のヒートポンプ給湯機1全体の回路構成を図2に示す。図2に示すように、前記貯湯ユニット100は、冷媒を流通させる冷媒側の流路15bと水側の流路15aとを有し、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15と、沸上ポンプ19と、を備えている。すなわち、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aと前記貯湯タンク2とが湯水配管としての加熱往き管5及び加熱戻り管6によって環状に接続され、前記貯湯ユニット100内で湯水循環回路としての加熱循環回路4が形成されている。
加熱往き管5は、前記貯湯タンク2の下部に接続され、加熱戻り管6は、前記貯湯タンク2の上部に接続されている。前記沸上ポンプ19は、前記加熱往き管5の途中に設けられ、前記水側の流路15aを介し前記加熱往き管5からの湯水を前記加熱戻り管6へ流通させつつ、貯湯タンク2の湯水を循環させる。
貯湯タンク2の側面には、貯湯タンク2内の湯水の温度(貯湯温度)をそれぞれ検出し前記湯水の加熱状況(言い替えれば貯湯状況)を検知するための貯湯温度センサ12が上下にわたり複数設けられている。前記貯湯タンク2の下部にはまた、貯湯タンク2に水を給水する給水管7が接続され、前記貯湯タンク2の上部にはまた、貯湯されている高温水を出湯する出湯管8が接続され、給水管7からは給水バイパス管9が分岐して設けられている。さらに、出湯管8からの湯と給水バイパス管9からの水とを混合して給湯設定温度の湯とする混合弁10と、混合弁10で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ11と、が設けられている。
一方、前記水冷媒熱交換器15における熱交換(詳細は後述)によって前記貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路30が、前記ヒートポンプユニット300、前記貯湯ユニット100、及び前記エアコンユニット200にわたって設けられている。前記冷媒循環回路30は、前記ヒートポンプユニット300内に配置されたヒーポン回路部30Aと、前記ヒートポンプユニット300及び前記貯湯ユニット100に跨って配置された貯湯回路部30Bと、前記エアコンユニット200内に配置されたエアコン回路部30Cと、を含んでいる。
<ヒーポン回路部>
前記ヒーポン回路部30Aは、前記冷媒の流路となる冷媒配管18を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機14と、四方弁31と、前記冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)するヒートポンプ熱交換器としての室外熱交換器17とが、前記冷媒配管18によって接続されている。なお、室外熱交換器17には、前記室外熱交換器17に外気を通じるための室外ファン67が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管18は、圧縮機14の吐出側となる配管部18cと、冷房運転時(後述の図12参照)等において一方側が圧縮機14の吐出側の前記配管部18cに連通されるとともに、他方側が前記室外熱交換器17の圧縮機14側(言い替えれば当該冷房運転時における入口側、以下同様)に接続される、配管部18d(第1管路に相当)と、前記室外熱交換器17の反圧縮機14側に接続される配管部18eと、を含んでいる。前記配管部18eは、膨張弁113を備えており、後述の配管部25eに連通している。
また前記冷媒配管18は、前記圧縮機14の吸入側となる配管部18aと、前記冷房運転時(後述の図12参照)等において前記四方弁31を介し前記配管部18aに接続される配管部18bと、を含んでいる。前記配管部18bは、後述の配管部25mに連通している。
<四方弁詳細>
前記四方弁31は4つのポートを備える弁であり、前記冷媒配管18のうち(冷媒主経路を構成する)前記配管部18b,18d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの前記配管部18a,18c用の2つのポートのいずれを接続するかを切り替える。前記配管部18a,18c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された前記配管部18a,18cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に前記圧縮機14が設けられている。
例えば四方弁31は、後述する図12の状態に切り替えられた(=第1切替位置に相当。以下適宜、「冷房位置」「冷房側への切替」等と称する)場合は、前記圧縮機14の吐出側である前記配管部18cを前記室外熱交換器17側である前記配管部18dに連通させるとともに、前記圧縮機14の吸込側である前記配管部18aを前記室内熱交換器27側である前記配管部18bに連通させる。
また四方弁31は、後述する図8の状態に切り替えられた(=第2切替位置に相当。以下適宜、「暖房位置」「暖房側への切替」等と称する)場合は、前記配管部18cを前記前記室内熱交換器27側である前記配管部18bに連通させるとともに、前記配管部18aを前記室外熱交換器17側である前記配管部18dに連通させる。
このとき、前記室外熱交換器17から前記四方弁31に至る前記配管部18dの途中には、開閉可能な二方弁125(第3開閉弁に相当)が設けられている。そして、前記配管部18dのうち前記二方弁125よりも前記室熱交換器17側に位置する分岐点B(第3分岐点に相当)からは配管部18f(第6管路に相当)が分岐して設けられており、この配管部18fは前記配管部18bに位置する分岐点C(第4分岐点に相当)に接続されている。また、この分岐点Bから分岐点Cに至る前記配管部18fには、開閉可能な二方弁126(第2開閉弁に相当)が設けられている。
<貯湯回路部>
前記貯湯回路部30Bは、前記冷媒の流路となる冷媒配管25を備えており、前記水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bが、前記冷媒配管25に接続されている。
詳細には、前記冷媒配管25は、前記分岐点Cにおいて前記配管部18bに接続される配管部25mと、この配管部25mのうち前記分岐点Cと反対側に位置する分岐点E(第5分岐点に相当)に接続される配管部25aと、前記配管部25aのうち前記分岐点Eと反対側に位置する分岐点Fに接続されるとともに、反配管部25a側が前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の入口側に接続される配管部25bと、前記水冷媒熱交換器15(詳細には前記冷媒側の流路15b)の出口側に接続される配管部25c(第5管路に相当)と、を含んでいる。前記配管部25bは、開閉可能な二方弁121を備えており、前記配管部25cは全閉機能付きの膨張弁111を備えている。
また前記冷媒配管25は、前記配管部25b同様、前記配管部25aの前記分岐点Fに接続される配管部25hと、この配管部25hのうち前記分岐点Fと反対側に位置する分岐点Gに接続される配管部25dと、を含んでいる。前記配管部25dの反配管部25h側は、ヒートポンプユニット300外への出口となる接続口95aにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路104に連通している。
さらに前記冷媒配管25は、前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側に位置する分岐点Dに接続されるとともに、反配管部25c側が前記配管部18eに連通する配管部25eと、前記分岐点Gに接続される配管部25fと、この配管部25fのうち前記分岐点Gと反対側に位置する分岐点Hと前記分岐点Eとを接続する配管部25iと、前記配管部18dのうち前記二方弁125より四方弁31側に位置する分岐点Aに接続される配管部25jと、この配管部25jのうち前記分岐点Aと反対側に位置する分岐点Jと前記分岐点Hとを接続する配管部25kと、前記配管部25bのうち前記二方弁121よりも前記水冷媒熱交換器15側に位置する分岐点Iと前記分岐点Jとを接続する配管部25lと、を含んでいる。前記配管部25hは全閉機能付きの膨張弁114を備えており、前記配管部25iは開閉可能な二方弁122(第4開閉弁に相当)を備えており、前記配管部25kは開閉可能な二方弁124を備えており、前記配管部25lは開閉可能な二方弁123(第1開閉弁に相当)を備えている。
さらに前記冷媒配管25は、前記配管部25e同様に前記配管部25cの反水冷媒熱交換器15側に位置する前記分岐点Dに接続されるとともに、ヒートポンプユニット300外への出口となる接続口95bにおいて、前記ヒートポンプユニット300と前記エアコンユニット200とを接続する連通管路103に連通する配管部25gを含んでいる。この配管部25gは、全閉機能付きの膨張弁112(第5開閉弁に相当)を備えている。
なお、前記の圧縮機14、四方弁31、室外熱交換器17、室外ファン67、二方弁122,123,124,125,126、膨張弁111,112,113,114等は、前記ヒートポンプユニット300の筐体に内包されている(図1参照)。なお、前記膨張弁112は後述の配管部26b(すなわち前記エアコンユニット200の筐体内)に設けても良い。
また、前記の二方弁121、水冷媒熱交換器15、及び貯湯タンク2等は、前記貯湯ユニット100の筐体に内包されている(図1参照)。
<エアコン回路部>
前記エアコン回路部30Cは、前記冷媒の流路となる冷媒配管26を備えており、前記冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能(詳細は後述)する室内熱交換器27が前記冷媒配管26に接続されている。なお、室内熱交換器27には、前記室内熱交換器27に室内空気を通じるための室内ファン77が設けられている。
詳細には、前記冷媒配管26は、エアコンユニット200外への出口となる接続口76aにおいて前記連通管路104に連通するとともに、反連通管路104側が前記室内熱交換器27の前記接続口76a側(言い替えれば暖房運転時等における入口側、以下同様。後述の図8等参照)に接続される配管部26aと、前記接続口76aとは別の接続口76bにおいて前記連通管路103に連通するとともに、反連通管路103側が前記室内熱交換器27の前記接続口76b側(言い替えれば暖房運転時等における出口側、以下同様。後述の図8等参照)に接続される配管部26bと、を含んでいる。
なお、前記の室内熱交換器27及び室内ファン77等は、前記エアコンユニット200の筐体に内包されている(図1参照)。
なお、前記した回路構成において、前記配管部18e、前記配管部25e、前記配管部25g、前記連通管路103、及び前記配管部26bが、各請求項記載の第2管路に相当し、前記配管部18b、前記配管部25m、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、及び前記配管部26aが第3管路に相当する。また前記配管部25j及び前記配管部25lが第4管路に相当し、前記配管部25a及び前記配管部25bが第7管路に相当する。
<各種センサ>
前記冷媒循環回路30内には、冷媒として例えばR32冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。なお、冷媒はHFC冷媒やHFO冷媒、二酸化炭素冷媒であってもよい。そして、前記ヒーポン回路部30Aの前記冷媒配管18において、前記配管部18cには、圧縮機14から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ32が設けられ、前記配管部18aには、圧縮機14へ吸入される冷媒の冷媒吸入温度Tinを検出する吸入温度センサ20が設けられている。なお、前記室外熱交換器17の空気入口側には、外気温度Tairを検出する外気温度センサ22が設けられ、かつ室外熱交換器17内には、ヒーポン熱交温度Tex(蒸発器として作用している時の蒸発冷媒温度)を検出する熱交温度センサ35が設けられている。これらのセンサ32,20,22,35の検出結果は、ヒートポンプユニット300に設けられたヒーポン制御部410に入力され、さらに適宜、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420やエアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430へも入力される(ヒーポン制御部410を介し受信しても良いし、センサ32,20,22から直接受信してもよい)。
また、前記貯湯回路部30Bの前記冷媒配管25において、前記配管部25cには、前記冷媒側の流路15bから流出し前記膨張弁111に向かう冷媒流出温度T2を検出する流出温度センサ21が設けられている。なお、前記水冷媒熱交換器15には、前記冷媒が前記冷媒側の流路15bにおいて凝縮する際の冷媒凝縮温度を検出する凝縮温度センサ33が設けられている。また、前記加熱往き管5には、前記水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aに流入する入水温度T1(湯水の入口温度)を検出する入水温度センサ23が設けられ、前記加熱戻り管6には、前記水側の流路15aから前記貯湯タンク2に向かって流出する沸上温度Tbを検出する沸上温度センサ24が設けられている。
これらのセンサ21,33,23,24の検出結果は、貯湯ユニット100に設けられた貯湯制御部420に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410やエアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430へも入力される(貯湯制御部420を介し受信しても良いし、センサ21,33,23,24から直接受信してもよい)。
また、前記エアコン回路部30Cの前記冷媒配管26に関して、前記室内熱交換器27には、空調対象空間の室内温度Trを検出する室内温度センサ34が設けられ、また室内熱交換器27内には、室内熱交温度Tev(蒸発器として作用している時の蒸発冷媒温度)を検出する熱交温度センサ36が設けられている。これらセンサ34,36の検出結果は、エアコンユニット200に設けられたエアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、センサ34から直接受信してもよい)。
そして、前記貯湯ユニット100の前記貯湯制御部420、前記ヒートポンプユニット300の前記ヒーポン制御部410、及び、前記エアコンユニット200の前記エアコン制御部430は、互いに通信可能に接続されており、前記各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、前記貯湯ユニット100、前記ヒートポンプユニット300、前記エアコンユニット200内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、前記四方弁31、前記二方弁121,122,123,124、125,126及び前記膨張弁111,112,113,114の開閉動作や開度を制御し、冷媒の流れる経路を切り替えることにより、貯湯タンク2内の湯水を加熱して沸上を行う沸上運転、前記空調対象空間の室内冷房を行う冷房運転、前記空調対象空間の室内暖房を行う暖房運転、前記沸上と前記冷房とを並行して行う沸上・冷房運転、及び、前記沸上と前記暖房とを並行して行う沸上・暖房運転、等を選択的に実行することができる。
<リモコン>
このとき、前記エアコンユニット200は、リモコン等の適宜の操作部60(以下単に「リモコン60」と称する)によって操作可能である。すなわち、リモコン60は、例えば前記エアコン制御部430に対し情報送受信可能に接続されており、ユーザは、このリモコン60を適宜に手動操作することにより、前記の沸上運転、冷房運転、及び、暖房運転のいずれの運転を行うかを指示することができる。なお、沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)については、ユーザによりリモコン60を介し前記冷房運転(又は暖房運転)の指示があったとき、貯湯タンク2内における貯湯状況(未加熱水の量など)に応じて、適宜、自動的に沸上・冷房運転(又は沸上・暖房運転)に切り替えられるものである。さらに、このリモコン60における適宜の操作により、前記沸上運転時における沸上モード(例えば強力沸上モード、通常沸上モード、等)や、前記冷房運転又は暖房運転時におけるエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)やエアコン設定温度Tcon等も指示することができる。これらのリモコン60からの指示内容は、エアコンユニット200に設けられた前記エアコン制御部430に入力され、さらに適宜、ヒートポンプユニット300に設けられた前記ヒーポン制御部410や貯湯ユニット100に設けられた前記貯湯制御部420へも入力される(エアコン制御部430を介し受信しても良いし、リモコン60から直接受信してもよい)。
<ヒーポン制御部>
次に、前記ヒートポンプユニット300に備えられた前記ヒーポン制御部410について説明する。ヒーポン制御部410は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。このヒーポン制御部410の機能的構成を図3により説明する。
図3に示すように、前記ヒーポン制御部410は、四方弁制御部410A(四方弁制御手段に相当)と、圧縮機制御部410Bと、膨張弁制御部410Cと、室外ファン制御部410Dと、二方弁制御部410Eと、を機能的に備えている。
四方弁制御部410Aには、前記リモコン60により指示された、いずれの運転を行うかの運転指示(沸上運転、冷房運転、暖房運転等)と、前記貯湯温度センサ12により検出された前記貯湯温度とが入力される。四方弁制御部410Aは、前記運転指示と、前記貯湯温度に対応した前記湯水の加熱状況(貯湯状況)とに応じて、実際にヒートポンプ給湯機1をどのような運転態様(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、沸上・暖房運転等)で運転するかを決定し、対応する運転情報を、前記圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、二方弁制御部410E、及び、貯湯制御部420、エアコン制御部430に出力する。また四方弁制御部410Aは、上記決定された運転態様に対応する開閉信号を四方弁31へ出力し、四方弁31を切り替える(詳細な制御内容は後述)。
圧縮機制御部410Bには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tcon及び前記沸上モードとが入力される(直接入力される場合のほか、前記の間接的な入力も含む。以下同様)。圧縮機制御部410Bは、前記のようにして四方弁制御部410Aから入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記の温度及び設定のうち少なくとも1つに基づき、前記圧縮機14の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。なおこのときの圧縮機14の回転数(制御値)は、後述の膨張弁制御部410Cにも出力される。
膨張弁制御部410Cには、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードと、前記吐出温度センサ32により検出された前記冷媒吐出温度Toutと、前記流出温度センサ21により検出された前記冷媒流出温度T2と、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記吸入温度センサ20により検出された前記冷媒吸入温度Tinと、前記熱交温度センサ35により検出された前記ヒーポン熱交温度Texと、熱交温度センサ36により検出された前記室内熱交温度Tevと、が入力される。膨張弁制御部410Cは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に応じて、前記の入力された温度のうち少なくとも1つに基づき、前記膨張弁111,112,113,114の開度を制御する(詳細な制御内容は後述)。
室外ファン制御部410Dには、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairと、前記リモコン60により設定された前記エアコン運転モードとが入力される。室外ファン制御部410Dは、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報に応じて、前記外気温度Tair及び運転モードに基づき、前記室外ファン67の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
二方弁制御部410Eには、前記四方弁制御部410Aからの前記運転情報が入力される。二方弁制御部410Eは、前記運転情報に基づき、前記二方弁122,123,124,125,126の開閉動作を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記運転態様の決定は、貯湯制御部420やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら貯湯制御部420やエアコン制御部430から、決定された運転態様に対応した前記運転情報がヒーポン制御部410に入力され、その入力された運転情報に応じて四方弁制御部410A、圧縮機制御部410B、膨張弁制御部410C、室外ファン制御部410D、二方弁制御部410Eが各種制御を行う。
<貯湯制御部>
次に、前記貯湯ユニット100に備えられた前記貯湯制御部420について説明する。貯湯制御部420は、前記ヒーポン制御部410同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図4により説明する。
図4に示すように、前記貯湯制御部420は、ポンプ制御部420Aと、二方弁制御部420Cと、を機能的に備えている。
ポンプ制御部420Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記沸上温度センサ24により検出された前記沸上温度Tbとが入力される。ポンプ制御部420Aは、前記のようにしてヒーポン制御部410から入力される(沸上運転、冷房運転、沸上・冷房運転、暖房運転、及び沸上・暖房運転等のいずれの運転が行われるかを表す)前記運転情報に応じて、入力された前記沸上温度Tbに基づき、前記沸上ポンプ19の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
二方弁制御部420Cには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報が入力される。二方弁制御部420Cは、前記運転情報に基づき、前記二方弁121の開閉動作を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、貯湯制御部420内(例えば前記二方弁制御部420C)やエアコン制御部430で行っても良い。この場合は、それら二方弁制御部420Cやエアコン制御部430で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、ポンプ制御部420A、二方弁制御部420Cが各種制御を行う。
<エアコン制御部>
次に、前記エアコンユニット200に備えられた前記エアコン制御部430について説明する。エアコン制御部430は、前記ヒーポン制御部410及び貯湯制御部420同様、記憶部と制御部とを備えており、その機能的構成を図5により説明する。
図5に示すように、前記エアコン制御部430は、室内ファン制御部430Aを機能的に備えている。
室内ファン制御部430Aには、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報と、前記室内温度センサ34により検出された前記室内温度Trと、前記リモコン60により設定された前記エアコン設定温度Tconとが入力される。室内ファン制御部430Aは、前記ヒーポン制御部410からの前記運転情報に応じて、前記室内温度Tr及びエアコン設定温度Tconに基づき、前記室内ファン77の回転数を制御する(詳細な制御内容は後述)。
なお、前記と同様、運転態様の決定を、エアコン制御部430内や貯湯制御部420で行っても良い。この場合は、それらエアコン制御部430や貯湯制御部420で決定した運転態様に対応する運転情報に応じて、室内ファン制御部430Aが前記制御を行う。
前記したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1は、沸上運転、冷房運転、暖房運転、沸上・冷房運転、沸上・暖房運転等の各種類の運転を選択的に実行することができる。以下、各運転の詳細を順次説明する。
<冬期沸上運転>
まず、沸上運転について説明する。なお、本実施形態では、例えば冬期と夏期とで別態様の沸上運転を行うことができる(詳細は後述)ため、まず、冬期において実行するのに好適な沸上運転(以下適宜、冬期沸上運転という)を図6を用いて説明する。
この図6に示す冬期沸上運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18cを前記配管部18bに連通させると共に前記配管部18aを前記配管部18dに連通させる位置(前記暖房位置)に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全開状態、二方弁123が全閉状態、二方弁122が全閉状態、二方弁125が全開状態、二方弁126が全閉状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が全閉状態、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の△H制御が行われる)、前記膨張弁111が全開状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18b→配管部25m→配管部25a→配管部25b(二方弁121)→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d(二方弁125)→圧縮機14の吸入側の配管部18aの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bにおいて前記水側の流路15aを流れる水と熱交換を行って前記水に熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。このとき、貯湯タンク2下部に接続された前記加熱往き管5から取り出された低温水(未加熱水)が、水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aにおいて前記凝縮する冷媒から受熱して高温まで加熱された後、貯湯タンク2上部に接続された加熱戻り管6から貯湯タンク2内に戻されることで、貯湯タンク2内に順次高温水(加熱水)が積層状に貯湯される。
なおこのとき、前記膨張弁112、前記膨張弁114、前記二方弁122、前記二方弁124が全閉状態に制御されることにより、前記室内熱交換器27と、その室内熱交換器27側へ連通する、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26a、前記配管部26b、前記連通管路103等と、の内部には、前記冷媒が封じ込められた状態となる(図6中の左下段のテーブル参照)。
以上の作動において、前記圧縮機14の前記目標回転数(以下適宜、沸上運転時については「目標回転数Nb」と称する)は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、例えば図7(a)の右下がり特性線で示すように、外気温度Tairが低い場合は目標回転数Nbが大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は目標回転数Nbが小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairに基づき決定される。すなわち、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される(図示省略)。ここで、前記圧縮機14の目標回転数Nbおよび室外ファン回転数N2は、外気温度Tairの高低によらず予め定められた一定の沸上能力となるようにそれぞれの回転数が定められている。
図6に戻り、また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記沸上温度Tbが所定の目標温度となるように、フィードバック制御される。すなわち、沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなる(流量が低下する)ように制御され、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなる(流量が増大する)ように制御される。なお、室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、前記冬期沸上運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁113の開度を所定の周期でフィードバック制御する(△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、△H<△Hmの場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁113の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁113の開度を現状のまま維持する。
あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
<暖房運転>
次に、図8を用いて、暖房運転について説明する。この図8に示す暖房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記冬期沸上運転と同様、前記四方弁31は、前記暖房位置に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全閉状態、二方弁123が全閉状態、二方弁122が全開状態、二方弁125が全開状態、二方弁126が全閉状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が全開状態、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が開き状態(詳細には前記と同様の吐出制御が行われる)、前記膨張弁111が全閉状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18b→配管部25m→配管部25i(二方弁122)→配管部25f→配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)→配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d(二方弁125)→圧縮機14の吸入側の配管部18aの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する室内熱交換器27において室内空気と熱交換を行って熱を放出し空調対象空間を加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁112を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
なおこのとき、前記膨張弁111、前記二方弁121、前記二方弁123が全閉状態に制御されることにより、前記水冷媒熱交換器15と、その水冷媒熱交換器15側へ連通する前記配管部25l、前記配管部25b、前記配管部25cの水冷媒熱交換器15側の部分と、の内部には、前記冷媒が封じ込められた状態となる(図8中の左下段のテーブル参照)。
以上の作動において、前記圧縮機14の前記目標回転数(以下適宜、暖房運転時については「目標回転数Nh」と称する)は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、エアコン設定温度Tcon−前記室内温度Tr(=温度差△T。以下適宜,単に「温度差△T」という)の値が大きい場合は目標回転数が大きくなるように、前記温度差△T(=Tcon−Tr)の値が小さい場合は目標回転数が小さくなるように制御される。具体的には、この例では、図7(b)に示すように、前記温度差△Tの範囲を、△T≦2[℃]、2<△T≦5[℃]、5<△T≦10[℃]、10<T[℃]の4つに区分する。
そして、前記温度差△Tが4つの区分のうち最も小さい△T≦2[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを20[rps]となるように制御する。また、前記温度差△Tが4つの区分のうち2番目に小さい2<△T≦5[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを30[rps]となるように制御する。また、前記温度差△Tが4つの区分のうち2番目に大きい5<△T≦10[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを40[rps]となるように制御する。そして、前記温度差△Tが4つの区分のうち最も大きい10<△T[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、圧縮機14の前記目標回転数Nhを50[rps]となるように制御する。
図8に戻り、また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき決定される。すなわち、複数用意されたエアコン運転モード(例えば強力モード、通常モード、節電モード等)のそれぞれにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。すなわち、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように制御され、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。なお、沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、暖房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度がフィードバック制御される(前記同様の吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。なお、前記吐出制御に代え、前記冷媒吸入温度Tinと前記ヒーポン熱交温度Texとの温度差Tin−Texが所定の一定値となるように、膨張弁113の開度をフィードバック制御するようにしてもよい(SH制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、Tin−Texが小さすぎる場合は膨張弁113の開度を閉じる方向に制御し、Tin−Texが大きすぎる場合は膨張弁113の開度を開く方向に制御する。
<沸上・暖房運転>
次に、図9を用いて、沸上・暖房運転について説明する。この図9に示す沸上・暖房運転時においても、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記暖房位置に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全開状態、二方弁123が全閉状態、二方弁122が全閉状態、二方弁125が全開状態、二方弁126が全閉状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が全開状態、前記膨張弁114,111が開き状態(詳細には後述の分流制御が行われる)、前記膨張弁113が開き状態(詳細には前記と同様の△H制御が行われる)に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18b→配管部25m→配管部25aを経て前記分岐点Fにおいて2つに分かれ、一方は、配管部25b(二方弁121)→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て前記分岐点Dに至り、他方は、配管部25h(膨張弁114)→配管部25d→連通管路104→配管部26a→室内熱交換器27→配管部26b→連通管路103→配管部25g(膨張弁112)を経て前記分岐点Dへ至る。分岐点Dでこれら2つの経路が合流し、その後の経路は、前記分岐点D→配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d(二方弁125)→圧縮機14の吸入側の配管部18aとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後に前記のように分流し、前記一方の流れは前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、前記他方の流れは室内熱交換器27(凝縮器として機能)において前記同様に凝縮して室内空気に熱を放出することで空調対象空間を加熱する。前記の熱交換器15,27での凝縮で高圧の液体に変化した冷媒は前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となった後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、外気温度Tairに基づき決定される前記沸上運転時の目標回転数Nb(前記図7(a)参照)と、前記温度差△T(=エアコン設定温度Tcon−室内温度Tr)に基づき決定される前記暖房運転時の目標回転数Nh(前記図7(b)参照)とを合算した和である、目標回転数Nbh(=Nb+Nh)となるように制御される。すなわち、図7(c)に示すように、この例では、図示のように4つ用意された特性線(下から順番に破線、一点鎖線、点線、二点鎖線)において、前記温度差△Tが大きくなるにつれて、より大回転数側の特性線となるように、使用する特性線を段階的に切り替える。
具体的には、図7(c)に示すように、前記温度差△Tが前記△T≦2[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、制御基準としての実線(図7(a)の実線と同一)で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した20[rps]を加えた図7(c)中の破線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+20となるように)制御する。また、前記温度差△Tが前記2<△T≦5[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した30[rps]を加えた図7(c)中の一点鎖線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+30となるように)制御する。さらに、前記温度差△Tが前記5<△T≦10[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した40[rps]を加えた図7(c)中の点線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+40となるように)制御する。さらに、前記温度差△Tが前記10<△T[℃]の範囲である場合には、圧縮機制御部410Bは、前記目標回転数Nbhを、実線で示す前記沸上運転時の目標回転数Nbに対し、図7(b)に示した50[rps]を加えた図7(c)中の二点鎖線で示す特性となるように(すなわちNbh=Nb+50となるように)制御する。
図9に戻り、また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記暖房運転時と同様、外気温度Tairとエアコン運転モードに基づき、各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記冬期沸上運転と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記暖房運転時と同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上・暖房運転の運転状態に応じて可変に制御され、前記冬期沸上運転と同様、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、所定の周期でフィードバック制御される(前記した△H制御)。
また、前記膨張弁111,114の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、冷媒を所望の割合(分流比)で水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側に配分し供給する、分流制御によって可変に制御される。この分流制御の制御内容の詳細を、図10(a)及び図10(b)により説明する。
図10(a)に、前記膨張弁制御部410Cにより実行される前記膨張弁111の開度制御の制御マップの一例を示す。図10(a)及び図10(b)に示すマップでは、縦軸に沸上要求能力(この例では、対応する指標としての前記沸上時の目標回転数Nb)を下向き増加方向にとり、横軸に暖房要求能力(この例では、対応する指標としての前記暖房時の目標回転数Nh)を下向き増加方向にとったときの、各状態における目標開度の値(例えば全閉状態が「0」で全開状態が「500」となる相対値)を表している。
図10(a)に示すように、例えば沸上・暖房運転時における前記暖房要求能力が最小レベルで前記沸上要求能力も最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記目標開度は開度「250」(例えば全開と全閉のちょうど中間となる開度)となるように制御される。この暖房要求能力が最小レベルのままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記目標開度は少し大きな開度「300」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記目標開度はさらに少し大きな開度「350」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記目標開度はさらに少し大きな開度「400」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記目標開度はさらに少し大きな開度「450」(全開状態に近い状態)となるように制御される。このように膨張弁111の開度が徐々に大きくなることにより、水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側への分流における、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大するように制御される。
同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより1ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記目標開度は前記開度「250」より小さい開度「200」となるように制御される。これにより、前記分流における室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「250」の場合に比べると)やや増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁111の前記目標開度は少し大きな開度「250」となるように制御され、その後、前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記目標開度は「300」「350」「400」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより2ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記目標開度は前記開度「200」よりさらに小さい開度「150」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「200」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記目標開度は「200」「250」「300」「350」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより3ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記目標開度は前記開度「150」よりさらに小さい開度「100」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「150」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁111の前記目標開度は「150」「200」「250」「300」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最大レベルで前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁111の前記目標開度は前記開度「100」よりさらに小さい開度「50」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「100」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなるに連れて、膨張弁111の前記目標開度は「100」「150」「200」「250」と徐々に大きくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
図10(b)に、前記膨張弁制御部410Cにより実行される前記膨張弁114の開度制御の制御マップの一例を示す。図10(b)に示すマップでは、前記同様、縦軸に沸上要求能力(沸上時の目標回転数Nb)、横軸に暖房要求能力(前記暖房時の目標回転数Nh)を下向き増加方向にとって表している。
図10(b)に示すように、例えば沸上・暖房運転時における前記暖房要求能力が最小レベルで前記沸上要求能力も最小レベルであった場合には、膨張弁114の前記目標開度は開度「250」となるように制御される。この暖房要求能力が最小レベルのままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁114の前記目標開度は少し小さな開度「200」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁114の前記目標開度はさらに少し小さな開度「150」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁114の前記目標開度はさらに少し小さな開度「100」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁114の前記目標開度はさらに少し大きな開度「50」となるように制御される。このように膨張弁114の開度が徐々に小さくなることにより、水冷媒熱交換器15側及び室内熱交換器27側への分流における、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大するように制御される。
同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより1ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁114の前記目標開度は前記開度「250」より大きい開度「300」となるように制御される。これにより、前記分流における室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「250」の場合に比べると)やや増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁114の前記目標開度は少し小さな開度「250」となるように制御され、その後、前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁114の前記目標開度は「200」「150」「100」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより2ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁114の前記目標開度は前記開度「300」よりさらに大きい開度「350」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「300」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁114の前記目標開度は「300」「250」「200」「150」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最小レベルより3ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁114の前記目標開度は前記開度「350」よりさらに大きい開度「400」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「350」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁114の前記目標開度は「350」「300」「250」「200」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記暖房要求能力が最大レベルで前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁114の前記目標開度は前記開度「400」よりさらに大きな開度「450」(全開状態に近い状態)となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「400」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなるに連れて、膨張弁114の前記目標開度は「400」「350」「300」「250」と徐々に小さくなるように制御され、水冷媒熱交換器15側への分流比が増大する。
<夏期沸上運転>
次に、夏期において実行するのに好適な沸上運転(以下適宜、夏期沸上運転という)を図11を用いて説明する。
この図11に示す夏期沸上運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、前記配管部18cを前記配管部18dに連通させると共に前記配管部18aを前記配管部18bに連通させる位置(前記した冷房位置)に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全閉状態、二方弁123が全開状態、二方弁122が全閉状態、二方弁125が全閉状態、二方弁126が全開状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が全閉状態、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が開き状態(詳細には前述の△H制御が行われる)、前記膨張弁111が全開状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18d→配管部25j(二方弁123)→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)→配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→配管部18f→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18aの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の前記冷媒側の流路15bにおいて前記水側の流路15aを流れる水と熱交換を行って前記水に熱を放出し加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111を経て前記膨張弁113において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。このとき、貯湯タンク2下部に接続された前記加熱往き管5から取り出された低温水(未加熱水)が、水冷媒熱交換器15の前記水側の流路15aにおいて前記凝縮する冷媒から受熱して高温まで加熱された後、貯湯タンク2上部に接続された加熱戻り管6から貯湯タンク2内に戻されることで、貯湯タンク2内に順次高温水(加熱水)が積層状に貯湯される。
なおこのとき、前記図6の冬期沸上運転時と同様、前記膨張弁112、前記膨張弁114、前記二方弁122、前記二方弁124が全閉状態に制御されることにより、前記室内熱交換器27と、その室内熱交換器27側へ連通する、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26a、前記配管部26b、前記連通管路103等と、の内部には、前記冷媒が封じ込められた状態となっている(図11中の左下段のテーブル参照)。
以上の作動において、前記図6の冬期沸上運転時と同様、前記圧縮機14の前記目標回転数Nbは、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記図7(a)に示したすように、外気温度Tairが低い場合は目標回転数Nbが大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合は目標回転数Nbが小さくなるように制御される。また前記室外ファン67における前記室外ファン回転数N2は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように制御され、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御される。これら前記圧縮機14の目標回転数Nbおよび室外ファン回転数N2は、前記同様、外気温度Tairの高低によらず予め定められた一定の沸上能力となるようにそれぞれの回転数が定められている。
また沸上ポンプ19の回転数についても、前記図6の冬期沸上運転時と同様、前記ポンプ制御部420Aの制御により、沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなるように制御され、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。なお、室内ファン77は、前記室内ファン制御部430Aの制御により回転停止される。
また前記膨張弁113の開度についても、前記図6の冬期沸上運転時と同様、前記膨張弁制御部410Cにより、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、前記△H制御が行われる(これに代え、前記の吐出制御を行っても良い)。
<冷房運転>
次に、図12を用いて、冷房運転について説明する。この図12に示す冷房運転時においては、前記四方弁制御部410Aにより、前記夏期沸上運転と同様、前記四方弁31は、前記冷房位置に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全閉状態、二方弁123が全閉状態、二方弁122が全開状態、二方弁125が全開状態、二方弁126が全閉状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が開き状態(公知の過熱制御制御が行われる。詳細な説明は省略)、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が全開状態、前記膨張弁111が全閉状態に制御される。
この結果、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18d(二方弁125)→室外熱交換器17→配管部18e(膨張弁113)→配管部25e→配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25f→配管部25i(二方弁122)→配管部25m→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18aの冷媒経路が形成される。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、室外ファン67の回転駆動とともに凝縮器として機能する前記室外熱交換器17において外気と熱交換を行って熱を放出しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁113を経て前記膨張弁112において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、室内ファン77の回転駆動とともに蒸発器として機能する前記室内熱交換器27において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
なおこのとき、前記膨張弁111、前記二方弁121、前記二方弁123が全閉状態に制御されることにより、前記水冷媒熱交換器15と、その水冷媒熱交換器15側へ連通する前記配管部25l、前記配管部25b、前記配管部25cの水冷媒熱交換器15側の部分と、の内部には、前記冷媒が封じ込められた状態となる(図12中の左下段のテーブル参照)。
以上の作動において、前記暖房運転時と同様、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合は圧縮機回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合は圧縮機回転数が小さくなるように制御される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、エアコン運転モードが例えば強力モードの場合はファン回転数が大きくなるように制御され、通常モードや節電モードの場合はファン回転数が小さくなるように制御される。さらに各エアコン運転モードにおいて、外気温度Tairが低い場合はファン回転数が小さくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、前記Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。沸上ポンプ19は、前記ポンプ制御部420Aの制御により回転停止される。
次に、図13を用いて、沸上・冷房運転について説明する。この図13に示す沸上・冷房運転時においては、本実施形態の特徴の1つとして、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31は、従来の手法と異なり前記冷房位置(すなわち前記冷房運転時と同じ側)に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全閉状態、二方弁123が全開状態、二方弁122が全開状態、二方弁125が全閉状態、二方弁126が全開状態、二方弁124が全閉状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が開き状態(詳細には前記と同様の△H制御が行われる)、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が開き状態(詳細には後述の能力調整制御が行われる)、前記膨張弁111が全開状態に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18d→配管部25j→配管部25l(二方弁123)→配管部25b→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て前記分岐点Dにおいて2つに分かれ、一方は、配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d→配管部18f(二方弁126)を経て前記分岐点Cに至り、他方は、配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25f→配管部25i(二方弁122)→配管部25mを経て前記分岐点Cに至る。分岐点Cでこれら2つの経路が合流し、その後の経路は、前記分岐点C→配管部18b→圧縮機14の吸入側の配管部18aとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、まず前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となった後に前記のように分流する。そして、前記一方の流れは、前記膨張弁113においてさらに減圧された後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、前記他方の流れは、前記膨張弁112においてさらに減圧された後前記室内熱交換器27(蒸発器として機能)において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、それぞれ、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記圧縮機制御部410Bの制御により、前記冷房運転時と同様の、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記冷房運転時と同様、各エアコン運転モードにおいて外気温度Tairが低い場合はファン回転数が大きくなるように、外気温度Tairが高い場合はファン回転数が小さくなるように制御されるが、適宜の手法によって冷房運転時よりは低回転数に制御される。
また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記冬期沸上運転や前記夏期沸上運転や沸上・暖房運転と同様、前記沸上温度Tbが目標温度より低い場合はポンプ回転数が小さくなり、沸上温度Tbが目標温度より高い場合はポンプ回転数が大きくなるように制御される。また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記冷房運転等のときと同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき、Tcon−Trの値が大きい場合はファン回転数が大きくなるように、Tcon−Trの値が小さい場合はファン回転数が小さくなるように制御される。
そして、前記膨張弁112の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上・冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、膨張弁112の開度が所定の周期でフィードバック制御される(前記同様のいわゆる△H制御)。すなわち、前記膨張弁制御部410Cは、△H<△Hmの場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、△H>△Hmの場合は、膨張弁112の開度を開く方向に制御し、△H=△Hmの場合は、膨張弁112の開度を現状のまま維持する。
あるいは、この△H制御に代え、前記冷媒吐出温度Toutが所定の一定値となるように、膨張弁112の開度をフィードバック制御してもよい(吐出制御)。この場合、前記膨張弁制御部410Cは、冷媒吐出温度Toutが低すぎる場合は膨張弁112の開度を閉じる方向に制御し、冷媒吐出温度Toutが高すぎる場合は膨張弁112の開度を開く方向に制御する。
さらに、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、沸上・冷房運転の運転状態に応じて可変に制御される。詳細には、前記熱交温度センサ36により検出された前記室内熱交温度Tevに基づき、前記膨張弁113の開度の能力調整制御が行われる。この能力調整制御の意義及び内容は、以下の通りである。すなわち、この沸上・冷房運転の開始直後等の空調対象の冷房負荷が大きい状態から、ある程度時間が経過し、冷房負荷が小さくなると、実使用上は、冷房能力は定格能力よりも低い能力で十分となる。ここで、そのままだと冷房能力を抑制すると同時に沸上能力も低下してしまうこととなるが、貯湯タンク2における湯切れ等の発生防止の観点からは、沸上能力は一定のレベルを維持することが好ましい。そこで、前記室内熱交換器27に前記熱交温度センサ36を設け、冷房能力が低下し十分に冷媒が蒸発していないことを検出したら、これに対応して前記膨張弁113を制御することで、前記沸上能力を一定に保つようにする。具体的には、前記熱交温度センサ36が検出する蒸発温度の低下に対応して、膨張弁113の弁開度を大きくするように制御する。これにより、前記室内熱交換器27において不足した蒸発能力を前記室外熱交換器17側で補い、貯湯タンク2内の湯水に対する沸上能力が一定に保たれる。
なお、本実施形態においては、前記沸上・冷房運転の別の態様として、従来の手法と同様に、前記四方弁31を前記暖房位置(すなわち前記冷房運転時とは逆の側)に切り替えた状態で運転することも可能である。そのような沸上・冷房運転を図14により説明する。
図14に示す例は、例えば春期・秋期等、直前まで前記暖房運転や前記沸上・暖房運転を行い前記四方弁31が前記暖房位置に切り替わっていた状態で沸上・冷房運転を行いたいときに(典型的には季節の変わり目等において)、好適な運転例である。すなわち、この図14に示す沸上・冷房運転時においては、前記したように、前記四方弁制御部410Aにより前記四方弁31は前記暖房位置に切り替えられる。また前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121が全開状態、二方弁123が全閉状態、二方弁122が全閉状態、二方弁125が全開状態、二方弁126が全閉状態、二方弁124が全開状態に切り替えられる。さらに前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112が開き状態(詳細には前記と同様の△H制御が行われる)、前記膨張弁114が全閉状態、前記膨張弁113が開き状態(詳細には前述の分流制御が行われる)、前記膨張弁111が全開状態に制御される。
この結果、冷媒経路は、圧縮機14の吐出側の配管部18c→配管部18b→配管部25m→配管部25a→配管部25b(二方弁121)→水冷媒熱交換器15の冷媒側の流路15b→配管部25c(膨張弁111)を経て前記分岐点Dにおいて2つに分かれ、一方は、配管部25e→配管部18e(膨張弁113)→室外熱交換器17→配管部18d(二方弁125)を経て前記分岐点Aに至り、他方は、配管部25g(膨張弁112)→連通管路103→配管部26b→室内熱交換器27→配管部26a→連通管路104→配管部25d→配管部25f→配管部25k(二方弁124)→配管部25jを経て前記分岐点Aに至る。分岐点Aでこれら2つの経路が合流し、その後の経路は、前記分岐点A→配管部18d→圧縮機14の吸入側の配管部18aとなる。
これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機14で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、まず前記水冷媒熱交換器15(凝縮器として機能)で前記同様に凝縮して前記水側の流路15aを流れる水を加熱することで貯湯タンク2内へ順次高温水(加熱水)を供給し、液体となった冷媒は全開状態の前記膨張弁111において減圧されて低温・低圧の液体となって蒸発しやすい状態となった後に前記のように分流する。そして、前記一方の流れは、前記膨張弁113においてさらに減圧された後前記室外熱交換器17(蒸発器として機能)において蒸発して外気から吸熱し、前記他方の流れは、前記膨張弁112においてさらに減圧された後前記室内熱交換器27(蒸発器として機能)において室内空気から吸熱して蒸発しガスに変化することで空調対象空間を冷却し、それぞれ、低温・低圧のガスとして再び圧縮機14へと戻る。
以上の作動において、前記圧縮機14の回転数は、前記図13の沸上・冷房運転時と同様、前記圧縮機制御部410Bの制御により、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき決定される。また前記室外ファン67の回転数は、前記室外ファン制御部410Dの制御により、前記同様、各エアコン運転モードにおいて外気温度Tairに応じて制御されるが、冷房運転時よりは低回転数に制御される。また沸上ポンプ19の回転数は、前記ポンプ制御部420Aの制御により、前記同様、前記沸上温度Tbが目標温度となるように制御される。また前記室内ファン77の回転数は、前記室内ファン制御部430Aの制御により、前記同様、室内温度Trとエアコン設定温度Tconとの差に基づき制御される。
また、前記膨張弁112の開度は、前記図13の沸上・冷房運転時と同様、前記膨張弁制御部410Cにより、前記冷媒吐出温度Toutと前記冷媒流出温度T2との温度差△H=Tout−T2が、所定の目標温度差△Hmとなるように、前記の△H制御が行われる(あるいは、前記吐出制御でもよい)。
さらに、前記膨張弁113の開度は、前記膨張弁制御部410Cにより、冷媒を所望の割合(分流比)で室外熱交換器17側及び室内熱交換器27側に配分し供給する、前記同様の分流制御によって可変に制御される。この分流制御の制御内容の詳細を、図15により説明する。
図15に、前記膨張弁制御部410Cにより実行される前記膨張弁113の開度制御の制御マップの一例を示す。図15に示すマップは、縦軸に沸上要求能力を下向き増加方向にとり、横軸に冷房要求能力を下向き増加方向にとったときの、各状態における目標開度の値(例えば全閉状態が「0」で全開状態が「500」となる相対値)を表している。
図15に示すように、例えば前記沸上・冷房運転時における前記冷房要求能力が最小レベルで前記沸上要求能力も最小レベルであった場合には、膨張弁113の前記目標開度は開度「250」(例えば全開と全閉のちょうど中間となる開度)となるように制御される。この冷房要求能力が最小レベルのままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁113の前記目標開度は少し大きな開度「300」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁113の前記目標開度はさらに少し大きな開度「350」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁113の前記目標開度はさらに少し大きな開度「400」となるように制御され、さらに前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁113の前記目標開度はさらに少し大きな開度「450」(全開状態に近い状態)となるように制御される。このように膨張弁113の開度が徐々に大きくなることにより、室外熱交換器17側及び室内熱交換器27側への分流における、室外熱交換器17側への分流比が増大するように制御される。
同様に、前記冷房要求能力が最小レベルより1ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁113の前記目標開度は前記開度「250」より小さい開度「200」となるように制御される。これにより、前記分流における室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「250」の場合に比べると)やや増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなると膨張弁113の前記目標開度は少し大きな開度「250」となるように制御され、その後、前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁113の前記目標開度は「300」「350」「400」と徐々に大きくなるように制御され、室外熱交換器17側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記冷房要求能力が最小レベルより2ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁113の前記目標開度は前記開度「200」よりさらに小さい開度「150」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「200」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁113の前記目標開度は「200」「250」「300」「350」と徐々に大きくなるように制御され、室外熱交換器17側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記冷房要求能力が最小レベルより3ランク高い状態で前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁113の前記目標開度は前記開度「150」よりさらに小さい開度「100」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「150」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランクずつ高くなるに連れて、膨張弁113の前記目標開度は「150」「200」「250」「300」と徐々に大きくなるように制御され、室外熱交換器17側への分流比が増大する。
さらに前記同様に、前記冷房要求能力が最大レベルで前記沸上要求能力が最小レベルであった場合には、膨張弁113の前記目標開度は前記開度「100」よりさらに小さい開度「50」となるように制御される。これにより、前記室内熱交換器27側への分流比が(前記開度「100」の場合に比べ)さらに増大する。この状態のままで前記沸上要求能力が1ランク高くなるに連れて、膨張弁113の前記目標開度は「100」「150」「200」「250」と徐々に大きくなるように制御され、室外熱交換器17側への分流比が増大する。
以上説明したように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1においては、まず、前記四方弁31を前記冷房位置に切り替えることで、図12を用いて前記した前記冷房運転を実行することができる。すなわち、前記冷房位置への切替により、圧縮機14の吐出側の前記配管部18cが前記配管部18dを介し凝縮器としての室外熱交換器17の入口側に連通し、さらにその室外熱交換器17の出口側が前記配管部18e、前記配管部25e、前記配管部25g、前記連通管路103、前記配管部26bを介し蒸発器としての前記室内熱交換器27の入口側に接続され、さらにその室内熱交換器27の出口側が前記配管部26a、前記連通管路104、前記配管部25d、前記配管部25f、前記配管部25i、前記配管部25m、を介し圧縮機14の吸込側の前記配管部18aに連通する。これにより、圧縮機14から吐出された高温高圧の冷媒ガスが前記室外熱交換器17で外気へ放熱し凝縮して液体冷媒となり、その後前記室内熱交換器27で蒸発することで室内空気から吸熱して圧縮機14へと戻る、前記冷房運転が実現される。
そしてまた、本実施形態のヒートポンプ給湯機1においては、前記第1管路を構成する前記配管部18dや、前記第2管路を構成する前記配管部18e、前記配管部25e、前記配管部25g、前記連通管路103、前記配管部26bや、前記第3管路を構成する前記配管部18b、前記配管部25m、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26aとは別に、前記第1管路から分岐して接続される第4管路を構成する前記配管部25j及び前記配管部25l、前記第2管路から分岐して接続される第5管路を構成する配管部25c、前記第1管路から分岐して接続される第6管路を構成する配管部18fが設けられている。これらを用いることで、前記四方弁31を前記冷房位置とした状態で、室内空間の冷房を行いつつ貯湯タンク内の湯水の加温を行う、沸上・冷房運転を実行することができる。
すなわち、前記配管部18dの分岐点Aから分岐する前記前記配管部25j及び前記配管部25lを介し、圧縮機14の吐出側が凝縮器としての水冷媒熱交換器15の入口側に連通し、さらにその水冷媒熱交換器15の出口側が、配管部25cを介し、前記分岐点Dに接続される。このとき分岐点Dは、前記配管部25g、前記連通管路103、及び前記配管部26bを介して蒸発器としての前記室内熱交換器27の入口側に接続され、その室内熱交換器27の出口側が前記配管部26a、前記連通管路104、前記配管部25d、前記配管部25f、前記配管部25i、前記配管部25m、前記配管部18bを介して圧縮機14の吸込側に連通される。
一方、前記分岐点Dはまた、凝縮器として機能するときの前記室外熱交換器17の出口側(言い換えれば蒸発器としての前記室外熱交換器17の入口側)にも接続されている。この蒸発器としての前記室外熱交換器17の出口側(言い換えれば凝縮器として機能するときの前記室外熱交換器17の入口側)に接続される前記第1管路に備えられた前記分岐点Bからは前記配管部18fが分岐して接続されており、この配管部18fは、前記分岐点Cに接続され、圧縮機14の吸込側に連通されることとなる。
このような接続態様により、圧縮機14から吐出された高温高圧の冷媒ガスは前記配管部25j及び前記配管部25lを介して前記水冷媒熱交換器15へ導入され、当該水冷媒熱交換器15において貯湯タンク2へ通じる湯水配管へ放熱し凝縮して液体冷媒となり、その後配管部25cを介して分岐点Dへ導入される。導入された前記液体冷媒の一部は分岐点Dから前記室内熱交換器27へと導入され当該室内熱交換器27で蒸発することで室内空気から吸熱した後、前記配管部26a、前記連通管路104、前記配管部25d、前記配管部25f、前記配管部25i、前記配管部25m、前記配管部18bを介して圧縮機14へと戻る一方、前記導入された前記液体冷媒の残りは分岐点Dから前記室外熱交換器17へと導入され当該室外熱交換器17で蒸発することで外気から吸熱した後、分岐点Bから配管部18fを介して分岐点Cで合流し、圧縮機14へと戻る。このようにして、室内空間の冷却と貯湯タンク2内の湯水の加温とを同時並行して行う沸上・冷房運転が実現される。
以上のように、本実施形態のヒートポンプ給湯機1によれば、冷房運転及び沸上・冷房運転のいずれについても、四方弁31を同じ切替位置(前記冷房位置)に切り替えた状態のまま行うことができる。この結果、沸上・冷房運転時において四方弁31を冷房運転時とは逆向きの位置に切り替える必要があった従来手法のように、当該四方弁切替時における運転中断により室温が上昇し冷房感の低下が生じるのを防止することができる。
また、本実施形態では特に、前記四方弁31が前記暖房位置にある前記暖房運転時(図8参照)において、前記第3管路を構成する、前記配管部18b、前記配管部25m、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26aは、前記圧縮機14の吐出側の前記室内熱交換器27の入口側とを接続し、前記配管部18dは、前記圧縮機14の吸込側と蒸発器としての前記室外熱交換器17の出口側とを接続し、前記第2管路を構成する、前記配管部18e、前記配管部25e、前記配管部25g、前記連通管路103、及び前記配管部26bは、蒸発器としての前記室外熱交換器17の入口側と凝縮器としての前記室内熱交換器27の出口側とを接続する。これにより、圧縮機14から吐出された高温高圧の冷媒ガスが前記室内熱交換器27で室内空気へ放熱し凝縮して液体冷媒となり、その後前記室外熱交換器17で蒸発することで外気から吸熱して圧縮機14へと戻る、前記暖房運転を実現することができる。
一方、前記第3管路を構成する前記配管部18b、前記配管部25m、前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26aはまた、前記分岐点Eから分岐して設けられる前記配管部25a及び前記配管部25bを介し、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器15の入口側にも接続されている。前記したように、この水冷媒熱交換器15の出口側は、前記配管部25cを介し前記分岐点Dに接続されており、前記配管部25e、前記配管部18eを介して蒸発器としての前記室外熱交換器17の入口側に接続されることとなる。
このような接続態様により、圧縮機14から吐出された高温高圧の冷媒ガスのうち、前記の室内熱交換器27→前記室外熱交換器17の経路で流れて前記暖房を行うもの以外の残りを、前記配管部25a及び前記配管部25bへと分流させてそれらを介して前記水冷媒熱交換器15へ導入し、当該水冷媒熱交換器15において貯湯タンク2へ通じる湯水配管へ放熱し凝縮し、その凝縮後の液体冷媒を分岐点Dにて合流させ、前記室外熱交換器17へと導入可能となる。この結果、室内空間の暖房と貯湯タンク2内の湯水の加温とを同時並行して行う、沸上・暖房運転を実現することもできる。
以上の結果、本実施形態のヒートポンプ給湯機1によれば、暖房運転及び沸上・暖房運転のいずれについても四方弁31を同じ切替位置(前記暖房位置)に切り替えた状態のまま行うことができる。
この結果、冷房運転及び沸上・冷房運転を互いに同一の四方弁31の切替位置(前記冷房位置)で行うことができ、かつ、暖房運転及び沸上・暖房運転を互いに同一の四方弁31の切替位置(前記暖房位置)で行うことができる。言い換えれば、四方弁31の切替位置を、少なくとも冷房を行う運転時(冷房運転時、沸上・冷房運転時)、及び、少なくとも暖房を行う運転時(暖房運転時、沸上・暖房運転時)、それぞれで統一することができる。
また、本実施形態では特に、前記第4管路を構成する前記配管部25j及び前記配管部25lのうち前記配管部25lに前記二方弁123が設けられ、第6管路を構成する配管部18fに前記二方弁126が設けられている。これにより、例えば四方弁31を前記冷房位置とした状態において、それら二方弁123,126を閉じ状態とすることで前記冷房運転(図12参照)を実行するとともに、二方弁123,126を開き状態とすることで前記沸上・冷房運転(図13参照)を実行することができる。また例えば二方弁123,126を閉じ状態として前記四方弁31を前記暖房位置とすることで、前記暖房運転(図8参照)又は前記沸上・暖房運転(図9)を実行することができる。
また、本実施形態では特に、前記配管部18dにおける前記分岐点Aと前記分岐点Bとの間に、当該区間を開閉する二方弁125が設けられている。これにより、二方弁125を閉じ状態として分岐点Aと分岐点Cとの間の区間を閉止することで、図13に示す前記沸上・冷房運転時における、圧縮機14吐出側→前記配管部18d→分岐点A→前記配管部25j→前記配管部25l→・・の冷媒流れと、・・→前記室外熱交換器17→前記配管部18d→分岐点B→配管部18f→・・の冷媒流れと、を確実に分離することができる。
また、本実施形態では特に、前記二方弁122によって、分岐点Eよりも前記室内熱交換器27側の前記配管部25i、前記配管部25f、前記配管部25d、前記連通管路104、前記配管部26aを閉止可能に構成され、また、前記膨張弁112によって、分岐点Dよりも前記室内熱交換器27側の前記配管部25g、前記連通管路103、前記配管部26bを閉止可能に構成されている。すなわち、これら二方弁122及び膨張弁112を閉じ状態とすることで、二方弁122〜前記配管部25f〜前記配管部25d〜前記連通管路104〜前記配管部26a〜前記室内熱交換器27〜前記配管部26b〜前記連通管路103〜膨張弁112の間を閉止区間とし、この区間内の冷媒を封じ込めて、冷媒流動をなくすことができる。
これにより、前記四方弁31を前記冷房位置とすれば、前記図11に示すように、圧縮機14吐出側→前記配管部25j→前記配管部25l→水冷媒熱交換器15→配管部25c→前記配管部25e→前記配管部18e→前記室外熱交換器17→配管部18f→圧縮機14吸込側の経路にて、貯湯タンク2内の湯水の加温を行う前記夏期沸上運転を実現することができる。すなわちこの場合、前記冷房運転(図12参照)及び前記沸上・冷房運転(図13参照)と共通の四方弁31の切替位置(前記冷房位置)で、沸上運転を実現することができる。この結果、前記冷房運転、前記沸上・冷房運転、前記夏期沸上運転、相互間の運転切替を、四方弁31の切替を行うことなく実行することができる。
あるいは、前記四方弁31を前記暖房位置とすれば、前記図6に示すように、圧縮機14吐出側→前記配管部18b→前記配管部25m→前記配管部25a→前記配管部25b→水冷媒熱交換器15→前記配管部25c→前記配管部25e→前記配管部18e→前記室外熱交換器17→前記配管部18d→圧縮機14吸込側の経路にて、貯湯タンク2内の湯水の加温を行う冬期沸上運転を実現することができる。すなわちこの場合、前記暖房運転(図8参照)及び前記沸上・暖房運転(図9参照)と共通の四方弁31の切替位置(前記暖房位置)で、沸上運転を実現することができる。この結果、前記暖房運転、前記沸上・暖房運転、前記冬期沸上運転、相互間の運転切替を、四方弁31の切替を行うことなく実行することができる。
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものである。以下、そのような変形例を説明する。
(1)冬期沸上運転・夏期沸上運転を自動切り替えする場合
前記したように、ヒートポンプ給湯機1においては、沸上運転の態様として、図6を用いて説明した前記冬期沸上運転と、図11を用いて説明した前記夏期沸上運転と、のいずれかを選択的に実行可能である。これに対応して、前記リモコン60等を介して沸上運転の指示がなされた際、所定の運転切替因子(後述)に応じて、自動的に前記冬期沸上運転及び前記夏期沸上運転のいずれか一方が選択されるようにしてもよい。そのような変形例を図16を用いて説明する。
図16は、本変形例において前記ヒーポン制御部410、前記貯湯制御部420、及び前記エアコン制御部430が互いに協働して行う(あるいはこれらのうち少なくとも1つが他と連携して行っても良い)制御手順を表すフローチャートである。この例では、前記運転切替因子として、前記外気温度センサ22により検出される外気温度Tairを用いた場合を説明する。
図16において、まずステップS10で、前記ヒーポン制御部410、前記貯湯制御部420、及び前記エアコン制御部430(以下適宜、単に「制御部410等」と称する)は、前記リモコン60から前記沸上運転の指示がなされたか否かを判定する。沸上運転の指示がなければ判定が満たされず(S10:NO)、このフローを終了する。沸上運転の指示があったら判定が満たされ(S10:YES)、ステップS20に移る。
ステップS20では、前記制御部410等は、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairが、予め定められた所定温度(例えば10℃〜20℃の範囲にある適宜の温度、例えば15℃等)以下であるか否かを判定する。前記所定温度を超えていれば判定が満たされず(S20:NO)後述のステップS50に移り、前記所定温度以下であれば判定が満たされ(S20:YES)、ステップS30に移る。
ステップS30では、前記制御部410等は、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31を前記暖房位置に切り替える。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、前記制御部410等は、前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁121,125を全開状態かつ二方弁123,122,126,124を全閉状態に切り替え、前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112,114を全閉状態かつ前記膨張弁111を全開状態とし前記膨張弁113に△H制御を行うことで、前記図6を用いて前述した前記冬期沸上運転を実行する。その後、このフローを終了する。
一方、前記ステップS20の判定が満たされずに移行したステップS50では、前記制御部410等は、前記四方弁制御部410Aにより、前記四方弁31を前記冷房位置に切り替える。その後、ステップS60に移る。
ステップS60では、前記制御部410等は、前記二方弁制御部410E,420Cにより、二方弁123,126を全開状態かつ二方弁121,122,125,124を全閉状態に切り替え、前記膨張弁制御部410Cにより、前記膨張弁112,114を全閉状態かつ前記膨張弁111を全開状態とし前記膨張弁113に△H制御を行うことで、前記図11を用いて前述した前記夏期沸上運転を実行する。その後、このフローを終了する。
なお、前記二方弁制御部410E,420C及び前記膨張弁制御部410Cによる各弁の制御機能のうち、前記二方弁123及び前記膨張弁112を開閉制御する機能が、開閉制御手段に相当している。
本変形例においては、前記のように、リモコン60を介し前記沸上運転の指示がなされた場合には、冷房運転等に対応した前記冷房位置とすべきか暖房運転等に対応した前記暖房位置とすべきかの指標となる、所定の運転切替因子(前記の例では外気温度Tair)に応じて、四方弁31の切替制御が行われる。
すなわち、前記沸上運転が行われる際に、例えば前記外気温度Tairが比較的低かった場合は、四方弁31は、前記暖房運転等に対応して切り替えるべきとみなされ、前記暖房位置へと切り替えられる。これにより、四方弁31を暖房位置に切り替えた状態での前記冬期沸上運転が実行されるので、その後、さらに前記暖房運転もしくは前記沸上・暖房運転へと移行する指示がなされた場合であっても、四方弁31を同じ暖房位置とした状態のままで円滑に運転の移行を行うことができる。この結果、四方弁31の切替位置の変更が生じる場合のような、運転中断による室温低下(暖房感の低下)を確実に防止することができる。
逆に、前記沸上運転が行われる際、例えば前記外気温度Tairが比較的高かった場合においては、四方弁31は、前記冷房運転等に対応して切り替えるべきとみなされ、前記冷房位置へと切り替えられる。これにより、四方弁31を冷房位置に切り替えた状態での前記夏期沸上運転が実行されるので、その後、さらに前記冷房運転もしくは前記沸上・冷房運転へと移行する指示がなされた場合であっても、四方弁31を同じ冷房位置とした状態のままで円滑に運転の移行を行うことができる。
これらの結果、本変形例によれば、四方弁31の切替位置の変更が生じる場合のような、運転中断による室温上昇(冷房感の低下)を確実に防止することができる。
なお、前記においては、運転切替因子の例として、前記外気温度センサ22により検出された前記外気温度Tairを用いたが、これに限られない。すなわち、前記外気温度Tairの所定期間(例えば過去の複数日)内における平均値や、貯湯タンク2へ前記給水管7へ給水される給水温度又はその前記所定期間内における平均値や、所定期間(例えば過去の複数日)内における前記冷房運転又は前記暖房運転の運転態様の実績(又は運転態様の指示実績)等、を用いても良い。前記給水温度を用いる場合は、例えば前記ステップS20において、当該給水温度が所定値以下の場合はステップS30へ移行し、当該給水温度が所定値を超える場合はステップS50へ移行する。前記運転実績(又は前記運転指示実績)を用いる場合は、例えば前記ステップS20において、主に暖房運転又は沸上・暖房運転の実績が多かった場合はステップS30へ移行し、主に冷房運転又は沸上・冷房運転の実績が多かった場合はステップS50へ移行する。これらの場合も前記と同様の効果を得る。
また、前記の例では、前記リモコン60等を介した沸上運転の指示がなされた際に、前記冬期沸上運転若しくは前記夏期沸上運転の選択が実行されるようにしたが、選択のタイミングはこれに限られるものではない。すなわち例えば、予め定められたタイミング若しくは所望のタイミングで定期的・周期的に行われる沸上運転(通常毎日深夜に行われる夜間沸上運転等)において、そのタイミングで前記運転切替因子に応じて前記冬期沸上運転及び前記夏期沸上運転のいずれか一方が選択されるようにしてもよい。また、沸上運転の実行に関係なく、予め定められたタイミング若しくは所望のタイミング(特定の期日や特定の時刻等)において、前記運転切替因子に応じて、前記四方弁31を前記暖房位置又は前記冷房位置へ切り替える(まだ沸上運転は行われないが、沸上運転が行われるよりも前に事前に切り替え済としておく)ようにしてもよい。
(2)その他
例えば、前記二方弁121〜125のうち少なくとも1つを、閉止機能付きの膨張弁で置き換えても良い。また、前記膨張弁111〜114に代え、減圧器としてエジェクターを用いても良い。
また、図16に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。