JP2020114648A - インクジェット記録材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布欠陥が無くインク吸収性に優れ、かつ屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性に優れたインクジェット記録材料が得られるインクジェット記録材料の製造方法を提供する。【解決手段】支持体上に無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ほう酸またはほう酸塩、及び、炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体を少なくとも含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥後、グリオキシル酸塩を含有するオーバーコート液を該インク受容層上に付与する。【選択図】なし

Description

本発明は、塗布欠陥が無くインク吸収性に優れ、かつ屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性に優れたインクジェット記録材料が得られる、インクジェット記録材料の製造方法に関するものである。
近年インクジェット記録方式による記録材料は、種々の目的で使用されており、オフィスユース、ホームユースに留まらずサインディスプレーや掲示板等の屋外用途へも普及している。また、円柱状の建物など曲面への貼り付けも良くみられるようになった。
インクジェット記録方式に使用される記録材料としては、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を有するインクジェット記録材料が知られている。
近年では、顔料として気相法シリカのような超微粒子、あるいは数百nm程度まで粉砕した湿式法シリカを使用した、フォトライクな光沢を有する記録材料も知られるようになった。例えば、特公平3−56552号公報、特開平10−119423号公報、特開2000−211235号公報、特開2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号公報、特開平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。
しかし、上述の極微細な無機微粒子を使用すると高い光沢が得られる反面、塗布乾燥時に風紋(乾燥ムラ)やひび割れ、亀裂等の塗布欠陥が発生しやすくなる。特に、高い光沢や良好な質感を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸収性支持体を使用した場合、支持体がインクを吸収できないため、該支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要である。従って、インク受容層の空隙率及び空隙容量を高めるために、インク受容層は多量の顔料と低比率のバインダーで構成する必要があり、その結果、前記したインク受容層のひび割れ、亀裂等の塗布欠陥は益々発生しやすくなった。
このような塗布欠陥を防止するため、架橋剤を含有するインク受容層の塗布液を支持体に塗布した後、乾燥を比較的穏やかな条件で行う方法が知られている。例えば、前述した特開平10−119423号公報や、特開2000−27093号公報、特開2001−96900号公報等では、ポリビニルアルコールの架橋剤としてほう酸、ほう酸塩等のほう素化合物を用い、塗布液を塗布し一度冷却して塗布液の粘度を上昇させた後、比較的低温で乾燥する方法が開示されている。しかし、このような従来技術では乾燥条件が制約を受け、生産性の低下を招いていた。
一方、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールとその架橋剤を含有するインク受容層を有するインクジェット記録材料が、例えば特開昭63−176173号公報、特開平10−157283号公報、特開2000−52646号公報、特開2000−280600号公報、特開2003−335043号公報、特開2005−145043号公報(特許文献1)等に記載されている。アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールはその高い反応性のため前記した乾燥条件が制約を受けることはないが、使用環境によってはインク受容層が着色する場合があった。
このような問題を解決することを目的に、例えば特開2010−149305号公報(特許文献2)には、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール樹脂のグリオキシル酸塩による架橋物を含有するインクジェット記録媒体が開示されている。また、特開2018−043489号公報(特許文献3)、特開2018−149762号公報(特許文献4)ではアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びほう酸またはその塩を含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥後グリオキシル酸塩及びカチオンポリマーを含有するオーバーコート液をインク受容層に付与するインクジェット記録材料の製造方法が開示されている。しかし、屋外用途でのひび割れ耐性や、折り割れ耐性に関し、更なる改善が求められていた。
他方、多孔質のインク受容層を有するインクジェット記録材料の表面亀裂や折り割れを改良する技術としては尿素等の可塑剤を添加することや高沸点溶剤をはじめとする油滴を加えることが知られている。例えば特開2006−218626号公報、特開2009−172884号公報(特許文献5)、特開2010−201838号公報ではグリコール系化合物を含有することによりひび割れやインク吸収性が向上する例が記載されている。
特開2005−145043号公報 特開2010−149305号公報 特開2018−043489号公報 特開2018−149762号公報 特開2009−172884号公報
本発明は、塗布欠陥が無くインク吸収性に優れ、かつ屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性に優れたインクジェット記録材料が得られるインクジェット記録材料の製造方法を提供するものである。
上記した課題は、以下の発明により達成される。
支持体上に無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ほう酸またはほう酸塩、及び、炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体を少なくとも含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥後、グリオキシル酸塩を含有するオーバーコート液を該インク受容層上に付与することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
本発明により、塗布欠陥が無くインク吸収性に優れ、かつ屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性に優れたインクジェット記録材料が得られるインクジェット記録材料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、得られるインク受容層は無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含有する。無機微粒子の含有量は、インク受容層の全固形分に対して50質量%以上含有することが好ましく、65質量%以上含有することが更に好ましい。このように無機微粒子を主体に含有することによって、空隙率の高い多孔質なインク受容層となり、インク吸収性が向上するため、好ましい。
本発明において、インク受容層が含有する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ及びアルミナ系微粒子から選ばれる少なくとも1種が例示される。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、(株)丸尾カルシウムからトクシール(登録商標)、ファインシール(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゲル法シリカとしては、例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲル(登録商標)として、GCPジャパン(株)からシロイド(登録商標)、シロジェット(登録商標)として市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックス(登録商標)として市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル(登録商標)、(株)トクヤマからレオロシール(登録商標)として市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径としてその平均値を求めたものである。また本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散したものが好ましく使用できる。気相法シリカの平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは10〜300nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
本発明では、湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカとしては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均二次粒子径が500nm以下である湿式法シリカ粒子が好ましく、更には平均二次粒子径が20〜300nmである湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
湿式法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散・粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、水性媒体中に分散した湿式法シリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカを粉砕する好ましい方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中に湿式法シリカとカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも一つを用いてシリカ予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカの分散及び湿式法シリカの分散・粉砕に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
本発明に用いられるアルミナ系微粒子としてはγ−アルミナ及びアルミナ水和物が例示される。γ−アルミナは酸化アルミニウムのγ型結晶であって、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。本発明に使用されるアルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記したγ−アルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散されたものが好ましく用いられる。
本発明では上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとγ―アルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとγ−アルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。
本発明においてインク受容層は、バインダーとしてアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含有する。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのアセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。平均重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に2000〜4500のものが更に好ましい。またアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとしては市販品を入手し使用することも可能であり、例えば日本合成化学工業(株)からゴーセネックス(登録商標)Zシリーズとして市販されている。
本発明では上記したアセトアセチル変性ポリビニルアルコールに加えて、更に他の公知の高分子バインダーを併用してもよい。他の高分子バインダーとしては、例えば、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール以外のポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に、バインダーとして各種ラテックスを併用してもよい。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール以外のバインダーを併用する際、塗布後の表面光沢の点で、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと相溶性の高い高分子バインダーを併用することが好ましく、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度が200〜5000の完全または部分ケン化ポリビニルアルコールが好ましく使用できる。また、他の高分子バインダーの含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは50質量%未満である。
上記したカチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールが例示される。
本発明において、得られるインク受容層が含有するバインダー成分の含有量(上記したアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、及び他の高分子バインダーの合計の含有量)は、無機微粒子に対して3〜40質量%の範囲が好ましい。このような範囲とすることで、空隙容量の高い多孔質なインク受容層が得られるため好ましい。
なお、本発明でいうインク受容層の空隙容量とは、水銀ポロシメーター(測定器名称 Aut opore II 9220 製造元 micromeritics instrume nt corporation)を用い測定・処理された、インク受容層部分における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(ml/g)に、インク受容層の塗布固形分(g/m)を乗ずることで、単位面積(m)当たりの数値として求めることができる。
本発明において、得られるインク受容層は、上記したアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの架橋剤としてグリオキシル酸塩を含有する。該グリオキシル酸塩としては、グリオキシル酸のアルカリ金属塩、グリオキシル酸のアルカリ土類金属や2族元素の塩、グリオキシル酸のアミン塩等が挙げられ、好ましくは、グリオキシル酸のアルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩が用いられる。かかるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属や2族元素としては、マグネシウム、カルシウムなどを代表的なものとして挙げることができる。
インク受容層におけるグリオキシル酸塩の含有量は、上記したアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの含有量に対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明ではインク受容層にグリオキシル酸塩を添加するにあたりインク受容層を形成した後、該インク受容層にグリオキシル酸塩を含有するオーバーコート液を付与する。オーバーコート液に含まれるグリオキシル酸塩とインク受容層に含まれるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが反応することでアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが架橋され、凝集体等の異物を発生させることなくインクジェット記録材料のひび割れや亀裂への耐性を高めることができる。
本発明のインク受容層は架橋剤としてグリオキシル酸塩の他に、ほう酸またはその塩を含有する。本発明ではインク受容層塗布液にほう酸またはその塩を混合しておくことが必要である。これによりインク受容層を塗布・乾燥後に塗布欠陥なくインク受容層を形成することができ、後から付与されるオーバーコート液の効果を高める。本発明で使用されるほう酸は、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸等が、ほう酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ほう酸またはほう酸塩の添加量はアセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明においてインク受容層は、グリオキシル酸塩、及び、ほう酸またはその塩以外にも、他の架橋剤を含有することが可能である。他の架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明においてインク受容層塗布液は、炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体を含有する。上記したグリコールまたはグリコール誘導体(以下、単にグリコール類と記載する場合がある)は、常温では液体であり、吸湿性が高く、揮発性が低くまた水溶性の化合物である。該化合物は塗布欠陥やインク吸収性の低下を起こさずに屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性を改良する。また、該グリコール類によって前記したオーバーコート液が塗布される前のインク受容層表面の濡れ性が上がるためオーバーコート液が含有するグリオキシル酸塩を均一に拡散できる。これにより、グリオキシル酸塩とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが効率良く架橋され、屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性を高めることが可能となる。
本発明の炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体としてプロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールとその異性体や3−メチル−1,3−ブタンジオールやジエチレングリコールモノメチルエーテルなど分岐のある構造のものやエーテル結合を有するものも含まれる。これらの中でもプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)やプロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)が特に好ましい。
本発明の炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体は単一であっても複数のものを併用してもよい。インク受容層におけるこれらの化合物の含有量は、無機微粒子に対して0.1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。
本発明においてオーバーコート液は、前述したグリオキシル酸塩に加え、更にカチオン性ポリマーを含有することが好ましい。カチオン性ポリマーは特に顔料インクの吸収性や定着性へ寄与し、結果として印字部のひび割れ耐性に好影響をもたらす。更に本発明において、オーバーコート液が含有するカチオン性ポリマーが4級アンモニウム塩であることでインク受容層が高いカチオン性を保持できるため、インク吸収性に優れ、屋外用途でのひび割れ耐性に優れるという本発明の目的がより達せられる。カチオン性の4級アンモニウム塩としては、上記の非晶質合成シリカの分散に用いたものと同様の化合物が例示され、これらを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーの添加量は、上記の非晶質合成シリカの分散に用いたものと合わせて、最終的にインク受容層に含まれる無機微粒子に対して1〜50質量%が好ましく、より好ましくは6〜15質量%である。
本発明において、得られるインク受容層は、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有してもよい。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物が好ましく利用できる。水溶性アルミニウム化合物としては例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
上記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層が含有する無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
インク受容層は、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。また、本発明のインク受容層の塗布液のpHは3.3〜6.5の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。
また、インク受容層は、チオエーテル化合物、カルボヒドラジド及びその誘導体を含有することによって印字後の保存性を改良することができる。
本発明で用いられるカルボヒドラジド誘導体は、同一分子中に同構造を一つまたは二つ以上有する化合物であっても、あるいは同構造を分子主鎖または側鎖に有するポリマーであってもよい。
本発明に用いられるチオエーテル化合物には、硫黄原子の両側に芳香族基が結合した芳香族チオエーテル化合物、硫黄原子を挟んだ両端にアルキル基を有する脂肪族チオエーテル化合物等がある。これらの中でも特に親水性基を有する脂肪族チオエーテル化合物が好ましい。
なおこれらの化合物は既知の合成法や、特開2002−321447号公報、特開2003−48372号公報に記載の合成法などを参考に合成できる。また、一部の化合物については、市販の化成品をそのまま使用することができる。
本発明において、得られるインク受容層の固形分塗布量は10〜60g/mであることが好ましい。更に好ましくは15〜40g/mである。
本発明において、インク受容層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。これらの塗布装置の中でも2層以上のインク受容層を同時塗布するのに適しているスライドビードコーター、カーテンコーターなどが好ましい。
本発明では、グリオキシル酸塩を含むオーバーコート液をインク受容層が形成された後に付与するが、インク受容層塗布液を塗布、乾燥させた後に含水率を10質量%以下とした上でオーバーコートする方法が好ましい。オーバーコート液を付与する手段としてはスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等の塗布方式が好適であるが、オーバーコート液の湿潤塗布量はインク受容層の空隙容量以下とすることが好ましいため、予め所定の塗布量となるように計量しておいた塗布液を塗布する方式である、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式等が好ましい。中でも、オーバーコート液へ与える剪断力の大きさの観点からグラビアロール方式が特に好ましい。
本発明のインクジェット記録材料の支持体としては、屋外での用途に好適な非吸収性支持体が好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルムや、ポリプロピレン樹脂に無機充填材を配合して、二軸延伸フィルム成形法によって製造された合成紙(例えば、ユポ(登録商標):(株)ユポ・コーポレーション社製)や、基紙の少なくとも一方の面をポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙が好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙について詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性の観点より好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性のよいものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの二つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
非吸収性支持体のインク受容層が塗設される側は、下引き層を有することが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め非吸収性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に下引き層は、他に界面活性剤や硬膜剤を含有することが好ましい。非吸収性支持体に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布液を塗布、乾燥した際の、インク受容層のひび割れ防止に対し有効に作用する。
本発明のインクジェット記録材料のインク受容層を有する側の面と反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写を更に改善させるために種々の種類のバック層を設けてもよい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は記載がない場合は質量基準である。
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調成した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレンの樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作製した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
<気相法シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(質量平均分子量9000)4部と気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザー処理して、固形分濃度20%の気相法シリカ分散液を得た。気相法シリカの平均二次粒子径は135nmであった。
<インク受容層塗布液1の作製>
気相法シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度98モル%、平均重合度2300、アセトアセチル化度4モル%)
ほう酸 4部
プロピレングリコール 5部
インク受容層塗布液1は、イオン交換水で15%の固形分濃度となるように調製した。但しプロピレングリコールは固形分として計算した。
上記のように作製した支持体の下引き層を設けた面に、インク受容層塗布液1を乾燥塗布量が26g/mとなるようにスライドビードコーターで塗布した。塗布後10℃で20秒間冷却後、30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥した。乾燥後のインク受容層の含水率は1%であった。
<オーバーコート液1の作製>
グリオキシル酸ナトリウム 1部
(SPM−01:日本合成化学工業(株)製)
カチオン性4級アンモニウム塩ポリマー 4部
(サンブライトKH−55:大和化学工業(株)製)
以上の添加剤をイオン交換水で溶解して5%の固形分濃度となるようにオーバーコート液1を調製した。
上記のように作製したインク受容層上にオーバーコート液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて湿潤塗布量が20ml/mとなるように塗布を行い、45℃の温風を吹き付けて乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を得た。なお、グリオキシル酸ナトリウムの含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して4.1%である。
(実施例2)
<アルミナ分散液1の作製>
水に硝酸2部とアルミナ水和物(平均一次粒子径14nm、BET比表面積190m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して分散することにより、固形分濃度30%のアルミナ分散液1を得た。アルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。
<インク受容層塗布液2の作製>
アルミナ分散液1(アルミナ固形分として) 100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 11部
(ケン化度98モル%、平均重合度2300、アセトアセチル化度4モル%)
ほう酸 2部
プロピレングリコール 5部
インク受容層塗布液2は、イオン交換水で17%の固形分濃度となるように調製した。但しプロピレングリコールは固形分として計算した。
上記のように作製したポリオレフィン樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、上記インク受容層塗布液2を乾燥塗布量が35g/mとなるように塗布した。塗布後10℃で20秒間冷却後、30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥した。乾燥後のインク受容層の含水率は0.7%であった。
<オーバーコート液2の作製>
グリオキシル酸ナトリウム 1部
(SPM−01:日本合成化学工業(株)製)
カチオン性4級アンモニウム塩ポリマー 10部
(サンブライトKH−55:大和化学工業(株)製)
以上の添加剤をイオン交換水で溶解して11%の固形分濃度となるようにオーバーコート液2を調製した。
上記のように作製したインク受容層上にオーバーコート液2を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて湿潤塗布量が20ml/mとなるように塗布を行い、45℃の温風を吹き付けて乾燥し、実施例2のインクジェット記録材料を得た。なお、グリオキシル酸ナトリウムの含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して6.1%である。
(実施例3)
実施例1において、インク受容層塗布液1が含有するプロピレングリコールに代えて同量のプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。
(比較例1)
実施例1において、インク受容層塗布液1にプロピレングリコールを添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。なお、インク受容層のプロピレングリコールを添加しなかった代わりにイオン交換水を等量添加するものとし、このインク受容層を塗布、乾燥した結果塗布量は25g/mとなった。また、乾燥後のインク受容層の含水率は1%であった。
(比較例2)
実施例1において、プロピレングリコールに代えてジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<塗布欠陥の評価>
作製したインクジェット記録材料のインク受容層塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れ、亀裂が全く無く、かつ凝集体等の発生による光沢低下もみられない。
△:僅かにひび割れあるいは亀裂の発生が認められる。あるいは凝集体等の発生が原因とみられる粒状感が僅かに感じられる。
×:ひび割れあるいは亀裂の発生が明確に認められる。あるいは塗布面の光沢低下が明確に認められる。
<インク吸収性の評価>
作製したインクジェット記録材料に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製SC−PX5VII 印字条件 用紙種類:EPSON写真用紙、印刷品質:スーパーフォト、双方向印刷:オン、カラー設定:色補正なし)を用いて画像を印字した。インク吸収性について下記の基準にて評価を行った。なお、評価に用いた画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーンの各色ベタ印刷画像及び各色ベタ画像部中に白抜き文字を組み入れたパターンからなる。本発明において、○の評価であればインク吸収性が優れるものとする。
○:顕微鏡観察(25×)で各色ベタ印字画像の輪郭部や白抜き文字に、滲みが認められない。あるいは、僅かに認められるが目視観察では認められ難く、実用上は問題ない。
△:顕微鏡観察(25×)で各色ベタ印字画像の輪郭部や白抜き文字に、滲みが認められる。目視観察でも僅かに認められ、実使用上は問題になる。
×:目視観察で各色ベタ印字画像輪郭部や白抜き文字に明確な滲みが認められ、実使用上は問題になる。
<折り割れ耐性の評価>
作製したインクジェット記録材料を、23℃50%RHの環境にインク受容層を上にして8時間放置した後、円筒型マンドレル試験器(コーテック(株)製KT−SP1800)を使用して折り曲げた後の白紙部の割れを以下の基準で評価した。(なお、曲げ試験の評価方法はISO1519に準拠した。)
○:円筒直径が20mmで試験して割れが見当たらない。
△:円筒直径が20mmでは割れているが、25mmでは割れが見当たらない。
×:円筒直径が25mmで試験してインク受容層が割れている。
<屋外曝露でのひび割れ耐性評価>
作製したインクジェット記録材料に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製SC−PX5VII 印字条件 用紙種類:EPSON写真用紙、印刷品質:スーパーフォト、双方向印刷:オン、カラー設定:色補正なし)を用いてブラックインクを用いたベタ画像を印字した後、屋外の電柱状の円筒(直径約30cm)に印字面を表にして貼り付け、180日間屋外環境に曝露した後に印字部を観察し、以下の基準で評価した。
○:印字された画像にひび割れや亀裂が認められない。
△:印字された画像に僅かなひび割れか亀裂が認められ、実使用上は問題になる。
×:印字された画像に明確なひび割れや亀裂が認められる。
Figure 2020114648
表1の結果から、塗布欠陥が無くインク吸収性に優れ、かつ屋外用途でのひび割れ耐性、及び折り割れ耐性に優れたインクジェット記録材料が得られるインクジェット記録材料の製造方法を提供できることが判る。

Claims (1)

  1. 支持体上に無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ほう酸またはほう酸塩、及び、炭素数が3から5のグリコールまたはグリコール誘導体を少なくとも含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥後、グリオキシル酸塩を含有するオーバーコート液を該インク受容層上に付与することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
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