JP2020114103A - 車両用の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】システム起動指示がなされてからの蓄電池の昇温時間の短縮と消費電力の抑制との両立を図る。【解決手段】蓄電池と、蓄電池を加熱する複数のヒータと、を備える車両に搭載され、システム起動指示がなされたときに蓄電池の温度が上昇するようにヒータを制御する車両用の制御装置であって、システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数のヒータのうち通電するヒータを変更する。これにより、システム起動指示がなされてからの蓄電池の昇温時間の短縮と消費電力の抑制との両立を図ることができる。【選択図】図3
Description
本発明は、車両用の制御装置に関し、詳しくは、蓄電池と、蓄電池を加温する複数のヒータと、を備える車両に搭載され、システム起動時に蓄電池の温度が上昇するように複数のヒータを制御する車両用の制御装置に関する。
従来、この種の車両用の制御装置としては、蓄電池(バッテリパック)と、ヒータ(抵抗体)と、を備える車両に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ヒータは、蓄電池と、蓄電池と負荷との間に取り付けられたシステムメインリレーと、の間に接続されている。この装置では、システム起動指示(イグニッションオン)がなされたときにシステムメインリレーを導通させると共にヒータを通電させて、蓄電池を加温する。これにより、システム起動時に蓄電池の温度を上昇させている。
上述の車両用の制御装置では、システム起動指示がなされたときに非0田による蓄電池の加熱を開始することから、長時間低温下で駐車した後のシステム起動時には、蓄電池の温度を常温まで上昇させるのに比較的長い時間を要してしまう。システム起動指示がなされてから蓄電池の温度を常温まで速やかに上昇させる手法として、システム起動指示がなされる前にヒータを作動して蓄電池を加温する手法が考えられる。しかしながら、この手法では、システム起動指示がなされる前にヒータを作動することから、ヒータによる消費電力が増加してしまう。
本発明の車両用の制御装置は、システム起動指示がなされてからの蓄電池の昇温時間の短縮とヒータの消費電力の増加の抑制との両立を図ることが主目的とする。
本発明の車両用の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両用の制御装置は、
蓄電池と、前記蓄電池を加熱する複数のヒータと、を備える車両に搭載され、システム起動指示がなされたときに前記蓄電池の温度が上昇するように前記ヒータを制御する車両用の制御装置であって、
前記システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数の前記ヒータのうち通電する前記ヒータを変更する、
ことを要旨とする。
蓄電池と、前記蓄電池を加熱する複数のヒータと、を備える車両に搭載され、システム起動指示がなされたときに前記蓄電池の温度が上昇するように前記ヒータを制御する車両用の制御装置であって、
前記システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数の前記ヒータのうち通電する前記ヒータを変更する、
ことを要旨とする。
この本発明の車両用の制御装置は、システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数のヒータのうち通電するヒータを変更する。ここで、「所定のトリガ」としては、無線通信により、スマートキーの図示しないトランスポンダから発信されるキー側IDコードと記憶している車両側IDとを照合してユーザ認証を行なうスマートキー照合システムを搭載した車両では、スマートキーからのキー側IDコードの受信などを挙げることができる。また、ドアロックの解除を検出するロック解除信号やドアの開閉を検出する開閉信号、ユーザのシートへの着座を検出する着座信号、システムを起動させるためのイグニッション信号などの入力を挙げることができる。システム起動より前に複数のヒータのうちいずれかのヒータを通電するから、システム起動より前にある程度蓄電池を昇温させることができる。したがって、システム起動指示がなされてからの蓄電池の昇温時間の短縮を図ることができる。また、システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数のヒータのうち通電するヒータを変更するから、システム起動指示がなされるより前に一律に複数のヒータの全てを通電するものに比して、ヒータの消費電力の増加を抑制できる。この結果、システム起動指示がなされてからの蓄電池の昇温時間の短縮とヒータの消費電力の増加の抑制との両立を図ることができる。
こうした本発明の車両用の制御装置において、前記車両は、前記複数のヒータへ電力を供給する前記蓄電池より定格電圧が低い低電圧電源を備え、前記ヒータは、前記蓄電池に沿って配置されており通電に伴って発熱する発熱体と、前記発熱体への前記低電圧電源の電力を用いた通電および通電の遮断を行なう通電回路と、を有しており、前記システム起動より前に、前記所定のトリガに基づいて、複数の前記ヒータのうち通電する前記ヒータが変更されるように前記通電回路を制御してもよい。こうすれば、低電圧電源の消費電力の増加の抑制を図ることができる
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としての車両用の制御装置を搭載した自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車20は、電気自動車やハイブリッド自動車として構成されており、図示するように、モータ22と、インバータ23と、高電圧バッテリ24と、DC/DCコンバータ26と、システムメインリレー28と、駆動用電子制御ユニット(以下、「駆動ECU」という)32と、車載蓄電装置としての低電圧バッテリ40と、補機44と、ヒータ90a〜90eと、電源用電子制御ユニット(以下、「電源ECU」という)80と、を備える。実施例では、電源ECU80が「車両用の制御装置」に相当する。
モータ22は、例えば同期発電電動機として構成されており、走行用の動力を出力する。インバータ23は、モータ22の駆動に用いられると共に、高電圧側電力ラインPHの正極ラインPHPおよび負極ラインPHNに接続されている。モータ22は、駆動ECU32によってインバータ23の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
高電圧バッテリ24は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成された複数のセルを直列接続してなる電池モジュールとして構成されている。
DC/DCコンバータ26は、第1正極端子および第1負極端子が高電圧側電力ラインPHの正極ラインPHPおよび接地された負極ラインPHNに接続されており、第2正極端子が低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPに接続されており、第2負極端子が接地されている。DC/DCコンバータ26は、高電圧側電力ラインPHの電力を降圧して低電圧側電力ラインPLに供給する。
システムメインリレー28は、ノーマルオープンタイプの電磁リレーとして構成されており、オンオフにより高電圧バッテリ24の正極端子と高電圧側電力ラインPHの正極ラインPHPとの接続および遮断を行なう。システムメインリレー28は、コイル28aおよび作動部28bを有する。コイル28aは、一端が駆動ECU32に接続されていると共に他端が接地されている。作動部28bは、コイル28aが通電状態のときには、高電圧バッテリ24の正極端子と高電圧側電力ラインPHの正極ラインPHPとを接続し、コイル28aが非通電状態のときには、高電圧バッテリ24の正極端子と高電圧側電力ラインPHの正極ラインPHPとを遮断する。
駆動ECU32は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。この駆動ECU32は、正極端子が低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPに接続されていると共に負極端子が接地されており、低電圧側電力ラインPLからの給電を受けて作動する。
駆動ECU32には、モータ22の状態(例えば、回転子の回転位置や相電流)を検出するセンサや、高電圧バッテリ24の状態(例えば、電圧や電流)を検出するセンサ、DC/DCコンバータ26の状態(例えば、高電圧側電力ラインPHの電圧や低電圧側電力ラインPLの電圧)を検出するセンサなどからの信号が入力ポートを介して入力される。駆動ECU32からは、インバータ23やDC/DCコンバータ26などへの各種制御信号が出力ポートを介して出力される。駆動ECU32は、コイル28aを通電状態または非通電状態にすることにより、システムメインリレー28のオンオフを制御する。駆動ECU32は、通信ポートを介して電源ECU80と接続されている。
低電圧バッテリ40は、例えば定格電圧が12Vの鉛蓄電池として構成されており、負極端子が接地されている。
補機44は、正極端子が低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPに接続されていると共に負極端子が車体に接地されている。補機44としては、例えば、自動車20の盗難防止・セキュリティに関する補機(例えば、ホーンや非常点滅表示灯など)、自動車20のドアの施錠および解錠を行なうドアロック装置などを挙げることができる。
ヒータ90a〜90eは、発熱体92a〜92eと、リレーR1〜R5と、を備える。発熱体92a〜92eは、線状の抵抗体として構成されており、一端がリレーR1〜R5に接続されていると共に他端が接地されている。発熱体92a〜92eは、高電圧バッテリ24に沿って並んで配置されている。リレーR1〜R5は、ノーマルオープンタイプの電磁リレーとして構成されており、オンオフにより発熱体92a〜92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとの接続および遮断を行なう。リレーR1〜R5は、コイル95および作動部96を有する。コイル95は、一端が電源ECU80に接続されていると共に他端が接地されている。作動部96は、コイル95が通電状態のときには、発熱体92a〜92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとを接続し、発熱体92a〜92eを通電し、高電圧バッテリ24を加熱する。このとき、高電圧バッテリ24は、発熱体92a〜92eのうち通電している発熱体に応じて加熱される範囲が限定される。例えば、リレーR1のコイル95が通電状態のときには、作動部96は発熱体92aと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとを接続し(リレーR1〜R5をオンとする)、発熱体92aを通電し、高電圧バッテリ24の発熱体92aに対応する部分を加熱する。作動部96は、コイル95が非通電状態のときには、発熱体92a〜92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとを遮断する(リレーR1〜R5をオフとする)。リレーR1〜R5のオンオフは、電源ECU80により制御される。
電源ECU80は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。この電源ECU80は、正極端子が低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPに接続されていると共に負極端子が接地されており、低電圧側電力ラインPLからの給電を受けて作動する。電源ECU80のROMには、ユーザ認証を行なうための車両側IDが記憶されている。
電源ECU80には、低電圧バッテリ40の状態(例えば、電圧や電流)を検出するセンサや、補機44の状態(例えば、ドアロック装置によるドアの施錠状態など)を検出するセンサ、ドアの開閉状態を検出するドアセンサ82、ユーザの運転席への着座を検出する着座センサ84、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキポジションセンサ86、スタートスイッチ88などからの信号が入力ポートを介して入力される。電源ECU80からは、補機44への制御信号が出力ポートを介して出力される。
電源ECU80は、スマートキー89と無線により通信可能となっており、スマートキー89からのキー側IDとROMに記憶している車両側IDとを照合することによりユーザ認証を行なう。以下、この機能を「スマートキー照合機能」という。
こうして構成された実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20では、駐車後に、通信によりスマートキー89からの電波、即ち、キー側IDを電源ECU80が受信すると、電源ECU80のスマートキー照合機能が作動し、スマートキー89からのキー側IDと電源ECU80のROMに記憶された車両側IDとを照合する。照合結果がNGのときには、動作を終了する。照合結果がOKのときには、電源ECU80は、システム起動前シーケンスを実行する。システム起動前シーケンスでは、自動車20の補機44に含まれるドアロック装置によりドアが解錠される。そして、ドアセンサ82からドアが開いていることを示す信号を入力され、着座センサ84からユーザの運転席への着座を示す信号が入力され、ブレーキポジションセンサ86からブレーキペダルの踏み込み量がブレーキオンの閾値を超えたことを示す信号が入力され、スタートスイッチ88から操作されていることを示す信号が入力されたとき、即ち、ユーザがドアを開けて運転席へ着座し、ブレーキペダルを踏み込んでスタートスイッチ88を操作したときには、システム起動を行なう。こうしてシステム起動が完了すると、駆動ECU32によりDC/DCコンバータ26が駆動され、高電圧側電力ラインPHの電力が降圧されて低電圧側電力ラインPLに供給される。これにより、低電圧バッテリ40が充電される。
次に、こうして構成された実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20の動作、特に、システム起動前に高電圧バッテリ24を加熱する際の動作について説明する。図2は、電源ECU80により実行される第1リレー制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。第1リレー制御ルーチンは、自動車20の駐車後に、自動車20の駐車後にスマートキー照合機能で照合結果がOKとなったときに繰り返し実行される。
第1リレー制御ルーチンが実行されると、電源ECU80は、スマートキー89からの電波を受信しているか否かを判定する(ステップS100)。スマートキー89はユーザが携帯することから、ユーザが電源ECU80が受信可能な距離より自動車20から離れているときには、スマートキー89からの電波は受信されない。したがって、ステップS100は、ユーザが自動車20の近くにいるか否かを判定する処理となっている。
ステップS100でスマートキー89からの電波を受信していないときには、ユーザが自動車20から離れていると判断して、リレーR1〜R5のコイル95を非通電状態としてリレーR1〜R5をオフして(ステップS110)、本ルーチンを終了する。これにより、発熱体92a〜92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92a〜92eが発熱しない。したがって、ヒータ90a〜90eによる高電圧バッテリ24の加熱が行なわれない。
ステップS100でスマートキー89からの電波を受信しているときには、ユーザが自動車20付近にいると判断して、本ルーチンを終了する。スマートキー89からの電波を受信しているときには、次に説明する第2リレー制御ルーチンを実行する。
図3は、電源ECU80により実行される第2リレー制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。第2リレー制御ルーチンは、第1リレー制御ルーチンのステップS100でスマートキー89からの電波を受信していると判定されたときに、第1リレー制御ルーチンおよび上述したシステム起動前シーケンスと並行して実行される。なお、第2リレー制御ルーチンを実行しているときに第1リレー制御ルーチンのステップS100でスマートキー89からの電波を受信していないと判定されたときには、第2リレー制御ルーチンの実行を終了する。したがって、この場合、第1リレー制御ルーチンのステップS110が実行されて、リレーR1〜R5をオフする。したがって、ヒータ90a〜90eによる高電圧バッテリ24の加熱が行なわれないこととなる。
第2リレー制御ルーチンが実行されると、リレーR1〜R5のうちリレーR2のコイル95を通電状態として、リレーR2をオンする(ステップS200)。これにより、発熱体92bと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92bに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24の発熱体92bに対応する部分が加熱される。
続いて、自動車20の補機44に含まれるドアロック装置によるドアの解錠を待ち(ステップS210)、ドアが解錠したときには、リレーR2のコイル95を非通電状態とすると共にリレーR4のコイル95を通電状態として、リレーR2をオフすると共にリレーR4をオンする(ステップS220)。リレーR2をオフするから、発熱体92bと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92bの発熱が停止して、高電圧バッテリ24の発熱体92bに対応する部分の加熱が停止する。リレーR4をオンするから、発熱体92dと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92dに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24の発熱体92dに対応する部分が加熱される。
続いて、ドアセンサ82からドアが開かれたことを示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザによりドアが開かれるまで待ち(ステップS230)、ドアが開かれたときには、リレーR4のコイル95を非通電状態とすると共にリレーR5のコイル95を通電状態として、リレーR4をオフすると共にリレーR5をオンする(ステップS240)。リレーR4をオフするから、発熱体92dと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92dの発熱が停止して、高電圧バッテリ24の発熱体92dに対応する部分の加熱が停止する。リレーR5をオンするから、発熱体92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24の発熱体92eに対応する部分が加熱される。
次に、着座センサ84からユーザの運転席への着座を示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザが運転席に着座するまで待ち(ステップS250)、ユーザが運転席に着座したときには、リレーR5のコイル95を非通電状態とすると共にリレーR1のコイル95を通電状態として、リレーR5をオフすると共にリレーR1をオンする(ステップS260)。リレーR5をオフするから、発熱体92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92eの発熱が停止して、高電圧バッテリ24の発熱体92eに対応する部分の加熱が停止する。リレーR1をオンするから、発熱体92aと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92aに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24の発熱体92aに対応する部分が加熱される。
そして、ブレーキポジションセンサ86からブレーキペダルが踏み込まれたことを示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザがブレーキペダルを踏み込んでブレーキをオンするまで待ち(ステップS270)、ユーザがブレーキをオンしたときには、リレーR1のコイル95を非通電状態とすると共にリレーR3のコイル95を通電状態として、リレーR1をオフすると共にリレーR3をオンする(ステップS280)。リレーR1をオフするから、発熱体92aと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92aの発熱が停止して、高電圧バッテリ24の発熱体92aに対応する部分の加熱が停止する。リレーR3をオンするから、発熱体92cと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92cに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24の発熱体92cに対応する部分が加熱される。
続いて、スタートスイッチ88が操作されるまで、即ち、ユーザがイグニッションオンするまで待ち(ステップS290)、ユーザがイグニッションオンしたときには、リレーR1〜R5を通電状態として、リレーR1〜R5をオンする(ステップS300)。リレーR1〜R5をオンするから、発熱体92a〜92dと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが接続されて、発熱体92a〜92dに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24全体が加熱される。
こうしてリレーR1〜R5をオンしたら、システム起動が完了されるまで待つ(ステップS310)。システム起動が完了したときには、リレーR1〜R5を非通電状態として、リレーR1〜R5をオフして(ステップS320)、本ルーチンを終了する。リレーR1〜R5をオフするから、発熱体92a〜92eと低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPとが遮断されて、発熱体92a〜92eの発熱が停止して、高電圧バッテリ24全体の加熱が停止する。
このように、システム起動より前に、ヒータ90a〜90eのうちいずれかのヒータを通電することにより、システム起動より前に高電圧バッテリ24を加熱することから、システム起動指示がなされてからの高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮を図ることができる。また、第1リレー制御ルーチンのステップS100でスマートキー89からの電波を受信していると判定されたときに、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオン(ステップS210、S230、S250、S270、S290)をトリガとして、通電するヒータ90a〜90e(発熱体92a〜92e)を変更することにより、スマートキー89からの電波を受信していると判定されてからシステム起動までの間で継続して全てのヒータ90a〜90eを通電するものに比して、消費電力の増加を抑制することができる。さらに、第2リレー制御ルーチンを実行している途中で第1リレー制御ルーチンのステップS100でスマートキー89からの電波を受信していないと判定したとき、即ち、ユーザが自動車20に近づいたり乗車したりしたものの自動車20から離れたとき、例えば、ユーザが駐車後忘れ物を取りに来たときなど、ユーザにシステム起動の意志がないと考えられるときには、リレーR1〜R5をオフするから、不必要なヒータ90a〜90eの作動を抑制して、消費電力の増加を抑制することができる。これにより、高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮とヒータ90a〜90eの消費電力の増加の抑制との両立を図ることができる。
以上説明した第1実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20によれば、システム起動指示がなされるより前に、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオンをトリガとして、通電するヒータ90a〜90e(発熱体92a〜92e)を変更することにより、高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮とヒータ90a〜90eの消費電力の増加の抑制との両立を図ることができる。
第1実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20では、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオンをトリガとして、通電するヒータ90a〜90e(発熱体92a〜92e)を変更している。しかしながら、トリガとしては、駐車中の自動車20のシステム起動前にユーザが自動車20に近づいてきたことやユーザが駐車中の自動車20をシステム起動させようとしていることを示す信号であれば、様々なものを用いることができる。
第1実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20では、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオンをトリガとして、通電するヒータ90a〜90e(発熱体92a〜92e)を変更している。しかしながら、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオンのうちの少なくとも1つをトリガとすればよい。
第1実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20では、図3に例示した第2リレー制御ルーチンのステップS200、S220、S240、S260、S280において、リレーR2、R4、R5、R1、R3の順にオンしている。しかしながら、各リレーをオンする順番はこの順番に限定されるわけではなく、異なる順番としてもよい。また、第2リレー制御ルーチンのステップS200、S220、S240、S260、S280において、1つずつリレーをオンするものに限定されるわけではなく、一度に2つ以上のリレーをオンして、オンするリレーを逐次変更していけばよい。
第1実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車20では、ヒータ90a〜90eは、線状の発熱体92a〜92eを備えている。しかしながら、発熱体92a〜92eとしては、線状のものに限定されたわけではなく、通電に伴って発熱するものであれば如何なるものとしてもよい。
図4は、本発明の第2実施例としての車両用の制御装置を搭載した自動車120の構成の概略を示す構成図である。自動車120は、DC/DCコンバータ196を備えている点やヒータ90a〜90eに代えてヒータ190で高電圧バッテリ24を加熱する点を除いて、自動車20と同一の構成となっている。そのため、自動車120において、自動車20と同一の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
ヒータ190は、発熱体92a〜92eが直列に接続された線状の抵抗体として構成されている。ヒータ190は、一端がDC/DCコンバータ196に接続されていると共に他端が接地されてている。ヒータ190は、高電圧バッテリ24の近くに配置されており、高電圧バッテリ24を加熱する。
DC/DCコンバータ196は、第1正極端子が低電圧側電力ラインPLの正極ラインPLPに接続されており、第1負極端子が接地されており、第2正極端子がヒータ190の発熱体92aに接続されており、第2負極端子が接地されている。DC/DCコンバータ196は、低電圧側電力ラインPLの電力を降圧してヒータ190に供給する。
次に、こうして構成された第2実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車120の動作、特に、システム起動前に高電圧バッテリ24を加熱する際の動作について説明する。図5は、電源ECU80により実行される第3リレー制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。第3リレー制御ルーチンは、自動車120の駐車後にスマートキー照合機能で照合結果がOKとなったときに、繰り返し実行される。
第3リレー制御ルーチンが実行されると、電源ECU80は、図2に例示した第1リレー制御ルーチンのステップS100と同様の処理で、スマートキー89からの電波を受信しているか否かを判定する(ステップS400)。
ステップS400でスマートキー89からの電波を受信していないときには、ユーザが自動車20から離れていると判断して、DC/DCコンバータ196の作動を停止して(ステップS410)、本ルーチンを終了する。これにより、発熱体92a〜92eが通電しないから、発熱体92a〜92eが発熱しない。したがって、ヒータ190による高電圧バッテリ24の加熱が行なわれない。
ステップS400でスマートキー89からの電波を受信しているときには、ユーザが自動車20付近にいると判断して、本ルーチンを終了する。スマートキー89からの電波を受信しているときには、次に説明する第4リレー制御ルーチンを実行する。
図6は、電源ECU80により実行される第4リレー制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。第4リレー制御ルーチンは、第3リレー制御ルーチンのステップS400でスマートキー89からの電波を受信していると判定されたときに、第3リレー制御ルーチンおよび上述したシステム起動前シーケンスと並行して実行される。なお、第4リレー制御ルーチンを実行しているときに第3リレー制御ルーチンのステップS400でスマートキー89からの電波を受信していないと判定されたときには、第4リレー制御ルーチンの実行を終了する。したがって、この場合、第3リレー制御ルーチンのステップS410が実行されて、DC/DCコンバータ196を停止する。したがって、ヒータ190による高電圧バッテリ24の加熱も停止される。
第4リレー制御ルーチンが実行されると、ヒータ190に流れる電流Iheatが電流I1となるようにDC/DCコンバータ196を制御する(ステップS500)。これにより、発熱体92a〜92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24が加熱される。
続いて、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS210と同様に、自動車20の補機44に含まれるドアロック装置によるドアの解錠を待ち(ステップS510)、ドアが解錠したときには、ヒータ190に流れる電流Iheatが電流I1より大きい電流I2となるようにDC/DCコンバータ196を制御する(ステップS520)。これにより、発熱体92a〜92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24が加熱される。ヒータ190に電流I1より大きい電流I2が流れるから、より高い発熱量で高電圧バッテリ24を加熱することができる。
続いて、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS230と同様に、ドアセンサ82からドアが開かれたことを示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザによりドアが開かれるまで待ち(ステップS530)、ドアが開かれたときには、ヒータ190に流れる電流Iheatが電流I2より大きい電流I3となるようにDC/DCコンバータ196を制御する(ステップS540)。これにより、発熱体92a〜92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24が加熱される。ヒータ190に電流I2より大きい電流I3が流れるから、より高い発熱量で高電圧バッテリ24を加熱することができる。
次に、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS250と同様に、着座センサ84からユーザの運転席への着座を示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザが運転席に着座するまで待ち(ステップS550)、ユーザが運転席に着座したときには、ヒータ190に流れる電流Iheatが電流I3より大きい電流I4となるようにDC/DCコンバータ196を制御する(ステップS560)。これにより、発熱体92a〜92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24が加熱される。ヒータ190に電流I3より大きい電流I4が流れるから、より高い発熱量で高電圧バッテリ24を加熱することができる。
そして、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS270と同様に、ブレーキポジションセンサ86からブレーキペダルが踏み込まれたことを示す信号が入力されるまで、即ち、ユーザがブレーキペダルを踏み込んでブレーキをオンするまで待ち(ステップS570)、ユーザがブレーキをオンしたときには、ヒータ190に流れる電流Iheatが電流I4より大きい電流I5となるようにDC/DCコンバータ196を制御する(ステップS580)。これにより、発熱体92a〜92eに電流が流れて発熱し、高電圧バッテリ24が加熱される。ヒータ190に電流I4より大きい電流I5が流れるから、より高い発熱量で高電圧バッテリ24を加熱することができる。
続いて、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS290と同様に、スタートスイッチ88が操作されるまで、即ち、ユーザがイグニッションオンするまで待ち(ステップS590)、ユーザがイグニッションオンしたときには、図3に例示した第2制御ルーチンのステップS310と同様に、システム起動が完了されるまで待つ(ステップS510)。システム起動が完了したときには、DC/DCコンバータ196を停止して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。DC/DCコンバータ196を停止するから、発熱体92a〜92eの発熱が停止して、高電圧バッテリ24全体の加熱が停止する。
このように、システム起動より前に、ヒータ190を通電して高電圧バッテリ24を加熱するから、システム起動指示がなされてからの高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮を図ることができる。また、第3リレー制御ルーチンのステップS300でスマートキー89からの電波を受信していると判定されたときに、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオンをトリガにして、ヒータ190に流れる電流量を変更することにより、スマートキー89からの電波を受信していると判定されてからシステム起動までの間継続してヒータ190に流れる電流を比較的大きい電流(例えば、電流I5など)とするものに比して、消費電力の増加を抑制することができる。さらに、第4リレー制御ルーチンを実行している途中で第3リレー制御ルーチンのステップS300でスマートキー89からの電波を受信していないと判定したとき、即ち、ユーザが自動車20に近づいたり乗車したものの自動車20から離れたとき、例えば、ユーザが駐車後忘れ物を取りに来たときなど、ユーザにシステム起動の意志がないと考えられるときには、DC/DCコンバータ196を停止するから、不必要なヒータ190の作動を抑制して、消費電力の増加を抑制することができる。これにより、高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮とヒータ190の消費電力の増加の抑制との両立を図ることができる。
以上説明した第2実施例の車両用の制御装置を搭載した自動車120によれば、システム起動指示がなされるより前に、ドアの解錠やドアの開状態、ユーザの運転席への着座、ブレーキペダルのオン、イグニッションオンをトリガとして、ヒータ190に流れる電流量を変更することにより、高電圧バッテリ24の昇温時間の短縮とヒータ190の消費電力の増加の抑制との両立を図ることができる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例では、高電圧バッテリ24が「蓄電池」に相当し、ヒータ90a〜90eが「複数のヒータ」に相当し、電源ECU80が「車両用の制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両用の制御装置の製造産業などに利用可能である。
20,120 自動車、22 モータ、23 インバータ、24 高電圧バッテリ、26,196 DC/DCコンバータ、28 システムメインリレー、28a,95 コイル、28b,96 作動部、32 駆動用電子制御ユニット(駆動ECU)、40 低電圧バッテリ、44 補機、80 電源用電子制御ユニット(電源ECU)、82 ドアセンサ、84 着座センサ、86 ブレーキポジションセンサ、88 スタートスイッチ、89 スマートキー、90a〜90e,190 ヒータ、92a〜92e 発熱体,R1〜R5 リレー。
Claims (1)
- 蓄電池と、前記蓄電池を加熱する複数のヒータと、を備える車両に搭載され、システム起動指示がなされたときに前記蓄電池の温度が上昇するように前記ヒータを制御する車両用の制御装置であって、
前記システム起動指示がなされるより前に、所定のトリガに基づいて、複数の前記ヒータのうち通電する前記ヒータを変更する、
車両用の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019003464A JP2020114103A (ja) | 2019-01-11 | 2019-01-11 | 車両用の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=71667430
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7476929B2 (ja) | 2022-09-01 | 2024-05-01 | いすゞ自動車株式会社 | ヒータ制御装置 |
-
2019
- 2019-01-11 JP JP2019003464A patent/JP2020114103A/ja active Pending
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