JP2020113623A - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機基板が備えるスルーホールに埋設銅電極とセラミックス基板とが強固な密着性を有する電子部品の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る電子部品の製造方法は、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する埋設工程と、酸素含有ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満且つ銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して焼結体を形成する焼結工程と、不活性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する軟化工程と、還元性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する還元工程と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の製造方法に関する。
従来より、電子部品に用いる代表的な基板材料として、酸化物基板(ガラス、水晶、酸化アルミ、酸化ガリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト酸化物等)、窒化物基板(窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化ガリウム等)、炭化物基板(炭化ケイ素等)のようなセラミックス基板が挙げられる。このようなセラミックス基板は、無線通信デバイスや電力変換デバイス等、広範な用途の電子部品に用いられている。
ここで、電子部品の一つであるビア電極は、セラミックス基板のスルーホールに金属電極が埋設された構造を備えるものであり、この金属電極を通じてセラミックス基板を挟むようにして設けられるチップの導電パスを確保するものである。
一方で、近年では、従来金属電極として用いられている銀電極やニッケル電極に代わりより安価な銅電極に注目が集まっている。
しかしながら、銅はセラミックスとの密着性に乏しい。また、ビア電極を製造するには一般に、スルーホールの内部に導電性ペーストを埋設した後、窒素雰囲気で焼結するが、このような方法において、導電性ペーストとして銅ペーストを用いると、銅が焼結に伴って収縮する。このため、ビア電極の形成のために銅ペーストを用いた場合には、スルーホールから電極の脱離が生じやすい。そこで、このような脱離を抑制するために様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、アルミナ基板に設けられたスルーホール内部に、銅粉末とともに、焼結による収縮が少ないアルミニウム粉末を添加して窒素ガス雰囲気で焼結を行うビア電極の製造方法が開示されている。そして、このようにして得られるビア電極によれば、導電性金属として銅粉末のみを用いた場合に比べて、金属焼結体の収縮を低減できることが開示されている。
特開2016−139488号公報
しかしながら、特許文献1の方法では焼結体の収縮を抑制しているに過ぎず、すなわち、一定の割合は収縮が生じており、これに伴って密着強度が低下することは避けらない。このため、ビア電極のスルーホールにおいて、銅電極とセラミックス基板との密着性を高めるためには、なお改良の余地がある。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、無機基板が備えるスルーホールに埋設銅電極とセラミックス基板とが強固な密着性を有する電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する埋設工程と、酸素含有ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満且つ銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して、少なくとも銅を含む焼結体を形成する焼結工程と、不活性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する軟化工程と、還元性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する還元工程とを経て得られた電子部品では、安価な銅電極を主として用いた場合でも、無機基板が備えるスルーホールに埋設された銅電極とセラミックス基板とが強固な密着性を有し、しかも金属電極の抵抗が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する埋設工程と、酸素含有ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点未満且つ前記銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して焼結体を形成する焼結工程と、不活性ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する軟化工程と、還元性ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する還元工程と、を含む、電子部品の製造方法。
(2)前記焼結工程における加熱温度が、250℃以下750℃未満である、(1)に記載の電子部品の製造方法。
(3)前記焼結工程における前記酸素含有ガス雰囲気中における酸素濃度が、1000ppm以上である、(1)又は(2)に記載の電子部品の製造方法。
(4)前記軟化工程において、前記無機酸化物粒子に由来する成分と、無機基板とを一体化させる、(1)〜(3)のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
本発明によれば、無機基板が備えるスルーホールに埋設された銅電極とセラミックス基板とが強固な密着性を有する電子部品が得られる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<電子部品の製造方法>
本実施形態に係る電子部品の製造方法は、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する埋設工程と、酸素含有ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満且つ銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して焼結体を形成する焼結工程と、不活性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する軟化工程と、還元性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する還元工程と、を含むものである。
なお、本明細書において、「銅電極」とは、銅を主たる成分(60質量%以上)とする電極をいい、電極としての機能を果たす場合において、他の金属等の含有を排除するものではない。
また、「スルーホール」とは、無機基板の両面を貫通する穴のことを言い、「ビアホール」とも呼ばれる。さらに、「軟化点」は、DTAを用いてその有無及び温度を求めることができる。
このような方法で得られる電子部品は、無機基板が備えるスルーホールの内部に多孔質の銅焼結体を備えるものである。そして、この銅焼結体の細孔には、無機酸化物が充填されている。好ましい態様において、銅焼結体の細孔に充填された無機酸化物は、無機基板のスルーホール内壁と一体化している。
無機基板が備えるスルーホールの内部には、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストが埋設される。ペーストに含まれる銅粒子は、焼結工程において酸化雰囲気で焼結されることにより、多孔質構造の酸化銅(一部金属銅を含んでもよい)を形成することで体積膨張が生じ、無機基板と物理的に密着する。次いで、軟化工程において、無機酸化物粒子の軟化点以上に加熱すると、無機酸化物粒子が軟化し、焼結工程において形成された多孔質構造の細孔を通り、無機基板と接触し、無機酸化物粒子に由来する成分(無機酸化物粒子が軟化されて、多孔質の銅焼結体の細孔に充填されているものをいう。)と無機基板の間で一体化された構造が形成される。次いで還元工程において、酸化銅が金属銅へと還元されて電極として充分な導電性が担保される。
このように、焼結工程において一旦酸化銅を形成させて体積膨張させる。これにより、積極的に銅電極の体積を増加させて、銅電極と基板との密着性を高めることができる。なお、還元工程においては、酸素の脱離反応による体積収縮を伴うが、焼結工程における体積膨張と比較して小さい。また、既に焼結体として多孔質構造が形成された後であるため、収縮はそもそも大きくない。
また、この焼結体の体積膨張による密着性向上に加えて、無機酸化物粒子に由来する成分が無機基板が一体化した構造を形成する。そして、この無機酸化物粒子に由来する成分は、複雑な形状を有している銅電極の多孔質構造の空隙に充填されているため、銅電極とも密着しているため、この無機酸化物粒子に由来する成分によっても銅電極と無機基板との密着性を高めることができる。
〔埋設工程〕
埋設工程は、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する工程である。
[無機基板]
無機基板は、少なくともスルーホールを備えるものである。無機基板は、例えば半導体基板であり、表面に酸化物を有するものであってよい。後述する軟化工程において無機酸化物粒子が軟化されて無機基板と無機酸化物粒子に由来する成分が反応する。無機酸化物粒子に由来する成分は、銅粒子並びに銅酸化物粒子及び/又はニッケル酸化物粒子が焼結して生成する多孔質体(電極)の空隙に含まれているため、上述のようにして無機基板と反応することにより、多孔質体である電極と、無機基板との密着性を高めることができる。
[ペースト]
ペーストは、銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含んでいるものである、銅粒子は酸素含有ガス雰囲気下で焼結されることにより、銅酸化物の多孔質体となり体積膨張が生じる。
このようなペーストの一例としては、銅粒子と、軟化点を有する無機酸化物粒子と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。なお、以下、主としてバインダー樹脂及び溶剤等から構成される有機成分を「有機ビヒクル」と呼ぶ。
(銅粒子)
銅粒子としては、特に限定されないが、例えばガスアトマイズ法、水アトマイズ法、または液相還元析出法等の方法で製造された粒子であり、50%粒子径が70nm以上、10μm以下であることが好ましい。
銅粒子の粒径としては、特に限定されないが、例えば0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。銅粒子の平均粒径が、0.3μm以上であることにより焼結した銅粒子間に隙間を形成することができる。0.3μm未満であると焼結工程で緻密に焼結された銅粒子間の隙間が小さくなり、その後の軟化工程において無機酸化物が界面に到達せず、密着性が乏しくなる。0.5μm以上では密着強度はさらに高くなる。なお、銅粒子の平均粒形は、マイクロトラック等のレーザー回折式粒度分布計によって測定される値である。
(無機酸化物粒子)
無機酸化物粒子は、軟化点を有するものである。このように、無機酸化物が軟化点を有することにより、後述する軟化工程において軟化させて多孔質の焼結体の内部を、細孔を経由して無機基板付近まで移動させることができる。
この無機酸化物粒子は、B,Al,Si,Zn,Ba,Bi,Ca,Mg,Sr,Hf,K,Zr,Ti及びNaからなる群から選択される3種以上の金属元素を含むものであることが好ましい。このように複数の金属元素の酸化物が含まれることにより、軟化点が生じやすくなる。
無機酸化物粒子の軟化点としては、特に限定されないが、例えば550℃以上であることが好ましく、570℃以上であることがより好ましく、590℃以上であることがさらに好ましく、600℃以上であることが特に好ましい。550℃以上であることにより、銅粒子の焼結温度との差を設け、焼結工程において軟化を抑制することができる。一方で、軟化点としては、750℃以下であることが好ましく、740℃以下であることがより好ましく、720℃以下であることがさらに好ましく、700℃以下であることがさらに好ましい。750℃以下であることにより、無機酸化物粒子に由来する成分と無機基板とが反応して気体を放出し、界面にバブル状の空隙を形成することを防止することでき、これにより銅粒子の焼結により生成する銅の多孔質体と、無機基板との密着強度をより高めることができる。
ペースト中の無機酸化物粒子の含有量としては、特に限定されないが、例えば銅粒子の質量に対して0.4質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。無機酸化物粒子の含有量が0.4質量%以上であることにより、軟化工程において無機基板との界面に移動する無機酸化物量を多くし無機基板との密着強度を確保できる。また、無機酸化物粒子の含有量を1.0質量%以上とすることで、密着強度をより高めることができる。一方で、無機酸化物粒子の含有量としては、20質量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、4.8質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。無機酸化物粒子の含有量が20質量%以下であることにより、密着強度を確保できる。また、特に無機酸化物粒子の含有量が4.8質量%以下であることにより、密着強度を維持しながら電気抵抗を低減することができる。
無機酸化物粒子の平均粒径としては、特に限定されないが、例えばレーザー回折式粒度分布における50%粒径(D50)で0.5μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましく、1.5μm以上であることが特に好ましい。無機酸化物粒子の平均粒径が0.5μm以上であることにより、粒子の凝集を防止して、ペーストの印刷性を向上させることができ、また、焼結体内部に球状の空隙の形成を防止して、当該電子部品の力学的強度を高めることができる。一方で、無機酸化物粒子の平均粒形としては、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、7μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。無機酸化物粒子の平均粒形が7μm以下であることにより、ガラスに熱を均一且つ充分に付与することができ、後述する軟化工程において、軟化しない無機酸化物粒子を抑制することができる。そしてこれにより、銅の焼結により生成する多孔質体と無機基板の密着強度を高めることができる。
(バインダー樹脂)
有機ビヒクル中のバインダー樹脂の含有量%としては、0.05質量%以上17質量%以下であることが好ましい。バインダー樹脂は加熱により分解される樹脂であれば特に限定されないが、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。その中でも、酸素や一酸化炭素と反応してペースト中から容易に消失する傾向があるセルロース系樹脂を用いることが好ましく、セルロース系樹脂の中でも、エチルセルロースを用いることがより好ましい。
後述する焼結工程において、酸素含有ガス雰囲気下で加熱することにより、バインダー樹脂が酸素と反応し、焼結後の配線中に残留する樹脂量を極力低減し、樹脂の残留による配線抵抗の上昇が抑制される。ただし、それでもバインダー樹脂成分が配線中に残留し、焼結性が悪化するとともに配線抵抗が上昇するおそれがあるため、有機ビヒクル中のバインダー樹脂の含有量を17.0質量%より小さくすることによって、焼結後に配線中に残留するバインダー樹脂成分が配線抵抗に与える影響を無視できるようにすることができる。一方で、有機ビヒクル中のバインダー樹脂の含有量が0.05質量%未満であると、ペーストの粘度が小さくなり、印刷性が悪化するおそれがある。
(溶剤)
導電性ペーストに含有される溶剤としては、適正な沸点、蒸気圧、粘性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭化水素系溶剤、塩素化炭化水素系溶剤、環状エーテル系溶剤、アミド系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系化合物、多価アルコールのエステル系溶剤、多価アルコールのエーテル系溶剤、テルペン系溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中で、沸点が200℃近傍にあるテキサノール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールを用いることが好ましい。
(その他の有機ビヒクル中の成分)
有機ビヒクルとは、バインダー樹脂、溶媒及びその他必要に応じて添加される有機物を全て混合した液体のことである。本発明に記載の雰囲気中で焼結する場合は、バインダー樹脂と溶剤を混合して作製した有機ビヒクルを用いることで十分であるが、必要に応じて金属塩とポリオールを混合して用いることができる。金属塩の例としては、例えば第1の金属元素としてCuを用いる場合には、酢酸銅(II)、安息香酸銅(II)、ビス(アセチルアセトナート)銅(II)等が挙げられる。また、ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールが挙げられる。これらを添加することで、焼結時にポリオールが金属塩を還元して、還元された金属が粒子間の空隙に析出するので、粒子間の電気伝導性を高める作用をする。
ペーストに含有される上記有機ビヒクルの含有量としては、特に限定されないが、例えば3質量%以上19質量%以下であることが好ましく、8質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
ペーストに含有される有機ビヒクルの含有量を、3質量%以上19質量%以下とすることで、配線形状を良好に保つことができる。有機ビヒクルの含有量19質量%超であると、ペーストの粘性が小さくなるため、印刷した配線形状に垂れが生じるおそれがある。一方で、有機ビヒクルの含有量が3質量%未満であると、ペーストの粘性が大きくなり過ぎるため、一様な形状の電極を形成することができなくなるおそれがある。
[ペーストの製造方法]
ペーストは、上述したバインダー樹脂と溶媒を混合し、さらに銅粒子を添加して、遊星ミキサー等の装置を用いて混練することができる。また、必要に応じて三本ロールミルを用いて粒子の分散性を高めることもできる。
また、ペーストの塗布方法としては、特に限定されず、例えばインクジェット法、ディスペンシング法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
また、ペーストを塗布した後の無機基板は、適宜室温又は高温下で乾燥させて溶剤を所定量除去することが好ましい。
〔焼結工程〕
焼結工程は、上述した埋設工程で得られた埋設基板を、酸素ガス含有雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満且つ銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して焼結体を形成する工程である。
酸素含有雰囲気における酸素濃度としては、特に限定されないが、例えば1000ppm以上であることが好ましく、2000ppm以上であることがより好ましく、5000ppm以上であることがさらに好ましい。ガス雰囲気は、例えば大気(酸素濃度約20%=約20,000ppm)であってもよく、純酸素雰囲気(酸素濃度100%)であってもよい。酸素濃度が以上の範囲にあることにより、銅粒子が酸化して体積膨張が生じ、緻密な焼結体を形成でき、ビア側壁に対しても強く密着することができる。なお、酸素以外に雰囲気中に含まれるガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
焼結工程における加熱温度としては、無機酸化物粒子の軟化点未満であれば特に限定されないが、例えば250℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。加熱温度が以上の範囲にあることにより、銅粒子が酸化して体積膨張が生じ、緻密な焼結体を形成でき、ビア側壁に対しても強く密着することができる。一方、加熱温度としては、750℃未満であることが好ましく、700℃以下であることがより好ましく、650℃以下であることがさらに好ましく、620℃以下であることが特に好ましい。
また、焼結工程における加熱温度としては、特に限定されないが、無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上低いことが好ましく、50℃以上低いことがより好ましく、70℃以上低いことがさらに好ましく、100℃以上低いことが特に好ましい。加熱温度が無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上低いことにより、この焼結工程において無機酸化物粒子の軟化が生じることをより確実に防止できる。
銅粒子焼結工程における加熱時間としては、特に限定されないが、例えば5分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましい。加熱時間が以上の範囲にあることにより、軟化したガラスの流路をふさぐことなく、しかし、銅粒子を充分に焼結できる。
〔軟化工程〕
軟化工程は、不活性雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する工程である。
不活性雰囲気としては、酸化性ガスや還元性ガスを実質的に含まない雰囲気であればよく、例えば窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気、アルゴン雰囲気等を用いることができる。その中でも、コストの観点から窒素雰囲気であることが好ましい。なお、不活性雰囲気とは言っても、実施を行うための装置には酸化性ガスや還元性ガスを排除するために限度があるため、例えばそれぞれ100ppm以下の酸化性ガスや還元性ガスを含有することまでは排除されない。
軟化工程における加熱温度としては、無機酸化物粒子の軟化点以上の温度であれば特に限定されないが、例えば600℃以上であることが好ましく、620℃以上であることがより好ましく、650℃以上であることがさらに好ましい。加熱温度が以上の範囲にあることにより、無機基板と無機酸化物粒子に由来する成分を一体化させることができ、無機基板と銅焼結体の密着性をより高めることができる。また、加熱温度としては、900℃以下であることが好ましく、870℃以下であることがより好ましく、850℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度が以上の範囲にあることにより、金属成分の蒸発によりバブルが生じて、無機基板と銅焼結体の密着性が低下することを抑制することができる。
また、軟化工程における加熱温度としては、無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことがより好ましく、70℃以上高いことがさらに好ましい。加熱温度が無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上高いことにより、無機酸化物粒子の軟化が生じやすくすることができる。
軟化工程における加熱時間としては、特に限定されないが、例えば5分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましい。また、加熱時間としては、60分以下であることが好ましく、45分以下であることがより好ましい。加熱時間が以上の範囲にあることにより、軟化した無機酸化物粒子を無機基板付近に充分に移動させることができる。
なお、無機酸化物粒子については、1種の組成の無機酸化物粒子を単独で、又は複数種の組成の無機酸化物粒子を混合して用いることができる。複数種の無機酸化物を用いる場合において、「無機酸化物粒子の軟化点以上」とは、当該複数種の無機酸化物のうち、最も低い軟化点を有するものを基準とする。
〔還元工程〕
還元工程は、還元性ガス雰囲気下、無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する工程である。
この還元工程では、上述した銅粒子焼結工程で生成した酸化銅を還元して金属銅とすることにより、銅電極として十分な導電性を付与するものである。
還元雰囲気における還元性ガスとしては、特に限定されず、例えば水素、ギ酸蒸気、アルコール蒸気、COガス等を用いることができる。また、還元ガス以外に雰囲気中に含まれるガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
還元性ガスの濃度としては、特に限定されるものではない。例えば、還元ガスに水素ガスを用いる場合、水素ガスの濃度としては、例えば0.5体積%以上であることが好ましく、1体積%以上であることがより好ましい。一方、水素ガスの濃度としては、10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましい。水素ガス濃度が0.5体積%以上であることにより、還元効率を高めることができる。
還元工程における加熱温度としては、無機酸化物粒子の軟化点未満であれば特に限定されないが、例えば250℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。加熱温度が以上の範囲にあることにより、銅焼結体に含まれる酸化銅を効率的に還元することができる。一方、加熱温度としては、750℃未満であることが好ましく、700℃以下であることがより好ましく、650℃以下であることがさらに好ましく、620℃以下であることが特に好ましい。加熱温度が以上の範囲にあることにより、無機基板や無機酸化物粒子に由来する成分が還元されることをより防止することができる。
また、還元工程における加熱温度としては、特に限定されないが、例えば無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上低いことが好ましく、50℃以上低いことがより好ましく、70℃以上低いことがさらに好ましく、100℃以上低いことが特に好ましい。加熱温度が無機酸化物粒子の軟化点に対し、30℃以上低いことにより無機酸化物粒子に由来する成分が軟化し還元されることによって生じる無機基板からの脱離を防止することができる。
還元工程における加熱時間としては、特に限定されないが、例えば5分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましい。
以上で説明した製造方法によって得られる電子部品(ビア電極)は、例えば、パワーモジュール用大電流基板、LED用絶縁放熱基板等に使用することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
50が4.0μmの略球状銅粒子66.6質量%、D50が1.0μmの略球状銅粒子33.3質量%(銅粒子として、合計100質量%)及びD50が3μmの軟化点を有する無機酸化物粒子所定量を、ビヒクルと混錬し、銅ペーストを作製した。
一方で、アルミナ基板に、レーザービームを用いて直径300μmの貫通孔(ビア)を形成した。基板を真空チャック付きの台座上に置き、基板表面に銅ペーストを塗布した。このとき真空チャックによってビア上の銅ペーストがビア内部に移動してビア全体に銅ペーストを充填した。
銅ペーストが塗布されたアルミナ基板について、大気雰囲気で60分の焼成を行った。その後、窒素雰囲気にて750℃で15分の軟化焼成、Ar+5%H雰囲気で550℃、30分の還元処理を施した。得られた試料に対して、万能機械試験機に直径が150μmのタングステン針を装着し、ビア内に形成された銅電極上部表面から針を押し込み、押込み変位の増加とともに変化する押込み荷重値を求めた。荷重値がビア電極とアルミナ基板ビア側壁との密着強度を超えると、荷重が急激に減少するが、このときの値を押し出し強度とする。また、ビア電極の中央部を切断、研磨してビア電極断面を露出し、研磨した平坦な表面に4探針を配置して電気抵抗率を測定した。表1に、表1に、無機酸化物粒子中の含有元素(酸素を除く)、無機酸化物粒子の添加量(質量%)、無機酸化物粒子の軟化点(℃)、焼結工程の加熱温度(℃)、軟化工程の加熱温度(℃)、還元工程の加熱温度(℃)、得られた電極の押し出し強度(N)及び電気抵抗率(μΩ・cm)を下記表1に示す。
Figure 2020113623

Claims (4)

  1. 銅粒子及び軟化点を有する無機酸化物粒子を含むペーストを、無機基板が備えるスルーホールに埋設する埋設工程と、
    酸素含有ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点未満且つ前記銅粒子の焼結温度以上の温度で加熱して焼結体を形成する焼結工程と、
    不活性ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点以上の温度で加熱する軟化工程と、
    還元性ガス雰囲気下、前記無機酸化物粒子の軟化点未満の温度で加熱する還元工程と、を含む、
    電子部品の製造方法。
  2. 前記焼結工程における加熱温度が、250℃以下750℃未満である、
    請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記焼結工程における前記酸素含有ガス雰囲気中における酸素濃度が、1000ppm以上である、
    請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記軟化工程において、前記無機酸化物粒子に由来する成分と、無機基板とを一体化させる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。

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