JP2015220422A - 印刷積層回路及びその製造方法 - Google Patents

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浩司 野田
吉原 晋二
Shinji Yoshihara
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Abstract

【課題】可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と、
前記印刷樹脂絶縁層上に形成されており、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線と、
を備えることを特徴とする印刷積層回路。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷積層回路及びその製造方法に関する。
近年、小型化、軽量化、微細化や低価格化と同時に高機能化の要求が高まっているエレクトロニクスデバイスにおいて、金属ナノ粒子を含むインクやペーストを使用して、インクジェット印刷やスクリーン印刷等の印刷法により金属配線(配線パターン、導電膜)を形成する手法が注目され、低コスト次世代回路技術として期待されている。印刷プロセスは、高コストな真空装置を必要とせず大気圧処理が可能な簡便な工程であり、また、直接パターニングが可能なためフォトリソグラフィーやエッチング等の工程が不必要であり、基材等の上に金属ナノ粒子を含む金属ペーストやインクを所望の配線パターン状に塗布、焼成して、所望の配線パターンを有する金属配線やプリント基板等を製造することができる。例えば、金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いてインクジェット法等の印刷法で、金属配線回路や導電性薄膜の形成を簡便に行うことができる。更に、金属ナノ粒子分散液をインクとして用いたインクジェット印刷は、良好な導電膜をオンディマンドで形成することを可能とするため、印刷を活用したプリンテッド・エレクトロニクスの分野において期待が高まっている。
このような金属ナノ粒子を含むインクやペーストを用いた印刷により配線パターンを形成する技術(金属配線技術)としては、金属ナノ粒子として銀を用いた技術が開発されているが、銀はコストが高く、また、マイグレーション現象が起こりやすいため欠陥率が増加し、長時間使用していると絶縁不良を引き起こす可能性があるという問題があった。一方、金属配線として銅を用いたものは配線抵抗・コスト・マイグレーション耐性の点で優れた特性を示すと考えられ、銅ナノ粒子を使用することも試みられている。
このような印刷銅配線を形成する手法の一つに、銅ナノ粒子ペースト又はインクを用いて印刷形成し加熱処理する手法が知られている。この手法では、加熱処理時に有機溶媒、銅ナノ粒子の分散性を向上させるための有機修飾剤、及びペースト化のための添加成分を揮発除去させると同時に、サイズ効果によりバルクよりも融点の下がったナノ粒子同士がバルク融点未満の低温で融解もしくは拡散して結合することにより比較的低い加熱処理条件においても低抵抗配線が得られるという特徴を有しているため、印刷積層回路用の印刷銅配線を形成する手法として有望視されている。
このような銅配線形成に用いる銅ナノ粒子ペースト又はインクとして、特開2012−28243号公報(特許文献1)には、平均粒径が2μm〜10μmの銅粉、平均粒子径が0.2μm〜1.0μmの微細銅粉及び(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに溶解した脂肪族モノカルボン酸の銅塩を分散溶媒の脂肪族多価アルコールとともに均一に混合してなる導電性銅ペースト、又は、前記銅粉、微細銅粉及び(ジアルキルアミノ)アルキルアミンに分散した銅ナノ粒子を分散溶媒の脂肪族多価アルコールとともに均一に混合してなる導電性銅ペースト、並びに、前記ペーストに更に平均粒子径が10nm〜100nmの銅ナノ粒子を混合してなる導電性銅ペーストが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている導電性銅ペーストは、金属配線用材料として用いて樹脂絶縁層上に印刷法により銅配線を形成した場合、得られた印刷積層回路の信頼性が十分なものではなかった。
また、特開2007−207577号公報(特許文献2)には、一次粒子径が30nm〜300nmのスズ粒子、一次粒子径が30nm〜300nmの銅粒子及び銀粒子の一種以上、及び溶媒を含む多成分系金属粒子スラリー、並びに、そのスラリーを用いた導電性インク又は導電性ペーストが開示されている。しかしながら、特許文献2に開示されている多成分系金属粒子スラリー等においても、金属配線用材料として用いて樹脂絶縁層上に印刷法により銅を含む金属配線を形成した場合、得られた印刷積層回路の信頼性が十分なものではなかった。
更に、特開2010−59469号公報(特許文献3)には、平均粒子径が10〜100nmでリンを含む銅ナノ粒子と、平均粒子径が0.5〜20μmの金属フィラー(Cu、Au、Pd、Ni、Sn、Al、Bi、In、Pb、等)を含む金属ペーストが開示されている。しかしながら、特許文献3に開示されている金属ペーストにおいても、金属配線用材料として用いて樹脂絶縁層上に印刷法により銅配線を形成した場合、得られた印刷積層回路の信頼性が十分なものではなかった。
特開2012−28243号公報 特開2007−207577号公報 特開2010−59469号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線とを備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂絶縁層上に印刷法により印刷銅配線を形成した印刷積層回路において、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層に対して印刷銅配線として銅ナノ粒子と特定粒径及び特定質量比率の銅粉粒子との混合粉末の焼結体を組み合わせることによって、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路を形成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の印刷積層回路は、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と、前記印刷樹脂絶縁層上に形成されており、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線と、
を備える、ことを特徴とするものである。
上記本発明の印刷積層回路においては、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.5〜0.7であることが好ましい。
本発明の印刷積層回路の製造方法は、基材上に可溶性ポリイミド及び該可溶性ポリイミドを溶解することが可能な溶媒を含む印刷用樹脂ペーストを印刷して樹脂ペースト層を形成し、得られた樹脂ペースト層を加熱処理することにより、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層を形成する工程と、前記印刷樹脂絶縁層上に粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む印刷用銅ペーストを印刷して銅ペースト層を形成し、得られた銅ペースト層を加熱処理して前記混合粉末の焼結体からなりかつ粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線を形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
上記本発明の印刷積層回路の製造方法においては、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.5〜0.7であることが好ましい。
なお、本発明の印刷積層回路及びその製造方法によって製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路及びその製造方法の提供が可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、本発明者らは、先ず、印刷積層回路として、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と印刷銅配線とを備える印刷積層回路及びその製造方法について検討を重ねたところ、印刷樹脂絶縁層上に印刷銅ナノ粒子配線を形成すると、製造時における配線抵抗の増大や絶縁層や配線におけるクラックの発生により、所望の特性が得られないという課題が生じることを見いだした。このような製造時における配線抵抗の増大は、印刷樹脂絶縁層が溶媒を加熱揮発させて形成される工程を含むために水分等の不純物を吸着しやすく、銅ナノ粒子を含む銅ペースト又はインクの加熱処理工程において印刷樹脂絶縁層の吸着不純物が再脱離して活性化された銅ナノ粒子と反応するために、銅ナノ粒子の焼結が阻害されたり、銅ナノ粒子配線を酸化させたりして生じるものと推察する。また、絶縁層や配線におけるクラックの発生は、樹脂と銅の線膨張係数の違いにより加熱処理時に銅印刷配線に引っ張りの熱応力がかかり、更に銅ナノ粒子を含む銅ペースト又はインクの加熱処理時に有機修飾剤の揮発により印刷銅配線が収縮して引っ張りの収縮応力が加わるために生じるものと推察する。このように、本発明者らは、可溶性ポリイミド絶縁層と銅配線とを組み合わせた印刷積層回路の検討を重ねる中で、このような製造時における配線抵抗の増大及び絶縁層や配線におけるクラックの発生という新たな課題を見いだし、原因を明らかにするに至った。
そして、このような考察結果に基づいて、本発明者らは検討を重ね、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と前記印刷樹脂絶縁層上に印刷形成された印刷銅配線とを備える印刷積層回路において、可溶性ポリイミド絶縁層に対して粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmで特定質量比率の銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体で印刷銅配線を形成すると、このような銅粉粒子は銅ナノ粒子よりも安定なために脱離不純物ガスの影響をあまり受けず、更に特定質量比率の銅粉粒子と銅ナノ粒子の混合体は銅ナノ粒子のみの場合よりも充填密度が向上するために不純物ガスの膜中への拡散を抑制することができ、印刷銅配線への脱離不純物ガスの影響が抑制されて製造時における配線抵抗の増大の防止が可能になるものと本発明者らは推察する。また、可溶性ポリイミド樹脂と銅の線膨張係数の違いによる印刷銅配線への引っ張りの熱応力は低減できないものの、銅粉粒子は有機修飾剤が無い若しくは極めて少ないために加熱処理時の有機修飾剤の揮発による収縮応力の低減が可能であり、これにより印刷銅配線にかかる引っ張りの応力が低減されて絶縁層や配線におけるクラックの発生の十分な防止が可能になるものと本発明者らは推察する。更に、印刷樹脂絶縁層として可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層とすることにより、印刷時及び/又は印刷後の熱処理温度をより低下させることができるため、絶縁層や配線におけるクラックの発生の十分な防止が可能になるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路及びその製造方法を提供することが可能となる。
実施例1〜4、比較例1〜3及び参考例1〜6で得られた銅配線の配線抵抗率と銅粉粒子質量比率との関係を示すグラフである。 実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた銅配線の抵抗率比と銅粉粒子質量比率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例5において得られた銅配線表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例4において得られた銅配線表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の印刷積層回路について説明する。本発明の印刷積層回路は、可溶性ポリイミドを含む印刷用樹脂ペースト(インクを含む)を用いて印刷形成された可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と、銅ナノ粒子及び銅粉粒子を含む印刷用銅ペースト(インクを含む)を用いて前記印刷樹脂絶縁層上に形成されており、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線と、を備えるものである。
(印刷樹脂絶縁層)
本発明にかかる印刷積層回路における印刷樹脂絶縁層は、溶媒に可溶な可溶性ポリイミドからなる電気絶縁性を有する印刷樹脂絶縁層であることが必要である。なお、このような可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層は、電気絶縁性を有しかつ可溶性ポリイミドからなるものであること以外は特に制限されない。ここで、「可溶性ポリイミドからなる」とは、前記印刷樹脂絶縁層が可溶性ポリイミドのみから構成されるもの、或いは、主として可溶性ポリイミドからなり本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含み構成されるものであることを意味する。他の成分としては、この種の用途の樹脂絶縁層として用いられる他の樹脂、無機フィラー及び添加剤等を用いることができる。後者の場合、印刷樹脂絶縁層における可溶性ポリイミドの含有量は、印刷樹脂絶縁層の全質量100質量%に対して50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。このような印刷樹脂絶縁層における可溶性ポリイミドの含有量が前記下限未満では、耐熱性が低下する、印刷性が低下する、或いは、絶縁耐圧が低下する等の不具合が生じる傾向にある。
なお、このような他の樹脂としては、一般に電気絶縁性を示す材料であればよく、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。また、これらは単独又は二種類以上を併用しても良い。なお、絶縁信頼性、接続信頼性、耐熱性、焼結性等の観点から、熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、良好な機械特性を併せ持つ等の観点から、特にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂がより好ましい。また、無機フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。更に、添加剤としては、特に制限されないが、例えば、セルロース樹脂等の増粘剤、ウレアウレタン等のレオロジー調整剤、シリコーンやポリエーテル等の消泡剤、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。
また、本発明にかかる印刷積層回路における印刷樹脂絶縁層の厚さとしては、特に制限されないが、配線基板や半導体上電子回路等の製造する電子回路部品の種類に応じて、任意の範囲に設定することができる。このような印刷樹脂絶縁層の厚さとしては、0.1〜200μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。印刷樹脂絶縁層の厚さが下限未満になると、ピンホールが多くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コストが高くなる傾向にある。具体的には、電子回路部品が多層配線基板等の配線基板若しくは半導体上電子回路であって、印刷樹脂絶縁層が厚み方向に積層される上下の印刷銅配線を含む導体回路間を絶縁する絶縁層である場合は、印刷樹脂絶縁層の厚さが1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
(印刷銅配線)
本発明にかかる印刷積層回路における印刷銅配線は、銅ナノ粒子及び銅粉粒子を含む印刷用銅ペースト(インクを含む)を用いて前記印刷樹脂絶縁層上に印刷形成された印刷銅配線であって、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなる銅配線であることが必要である。銅ナノ粒子Aの粒径が前記下限未満になると、粒子が酸化されてしまい還元が困難となり、他方、前記上限を超える(1μm以上になる)と、焼結温度が高くなる。また、このような銅ナノ粒子Aの粒径としては、耐酸化性と低い焼結温度の両立という観点から、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることが特に好ましい。更に、銅粉粒子Bの粒径が前記下限未満になると、不純物ガスの膜中への拡散抑制が不十分となる。他方、前記上限を超えると、充填密度の低下による抵抗上昇や平坦性低下という問題が生じる。また、このような銅粉粒子Bの粒径としては、充填密度の向上や平坦性の向上という観点から、1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
また、このような本発明において用いる印刷銅配線としては、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8であることが必要である。銅粉粒子Bの質量比率が前記下限未満になると、充填密向上による不純物ガスの膜中への拡散抑制や収縮応力の低減によるクラック防止が不十分となる。他方、前記上限を超えると充填密度の低下による抵抗上昇という問題が生じる。また、このような銅粉粒子Bの質量比率としては、充填密度の向上や収縮応力の低減という観点から、0.5〜0.7の範囲内であることが好ましい。
更に、本発明において用いる印刷銅配線としては、銅粉粒子Bの粒径が印刷銅配線の膜厚よりも小さいものであることが好ましい。このようにすることにより、印刷銅配線の平坦性の悪化を防止し、上下配線間での絶縁性を確保することができる。
なお、このような銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合粉末の焼結体からなる印刷銅配線は、前記特定粒径及び特定質量比率の「銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合粉末の焼結体からなる」ものであること以外は特に制限されない。ここで、「銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合粉末の焼結体からなる」とは、前記印刷銅配線が銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合粉末の焼結体のみから構成されるもの、或いは、主として銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合粉末の焼結体からなり本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含み構成されるものであることを意味する。他の成分としては、この種の用途の金属配線として用いられる他の添加剤等を用いることができる。このような添加剤としては、セルロースやアクリル樹脂等の増粘剤、アマイドワックスやウレアウレタン等のレオロジー調整剤、シリコーンやポリエーテル等の消泡剤、シリコン系等の界面活性剤が挙げられる。後者の場合、印刷銅配線における他の成分の含有量は、印刷銅配線の全質量100質量%に対して10質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。このような印刷銅配線における他の成分の含有量が前記上限を超えると、抵抗率が上昇する傾向にある。
更に、本発明にかかる印刷積層回路における印刷銅配線の厚さ(厚み)としては、特に制限されないが、配線基板や半導体上電子回路等の製造する電子回路部品の種類に応じて、任意の範囲に設定することができる。具体的には、印刷銅配線の厚さとしては、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましい。印刷銅配線の厚さが下限未満になると、配線抵抗が上昇する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コストが高くなる傾向にある。
(印刷積層回路)
本発明の印刷積層回路は、前記印刷樹脂絶縁層とその上に印刷形成された印刷銅配線とを備える印刷積層回路である。
このような印刷積層回路は、基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に可溶性ポリイミドを含む印刷用樹脂ペースト(インクを含む)を用いて印刷形成された可溶性ポリイミドからなる前記印刷樹脂絶縁層と、銅ナノ粒子及び銅粉粒子を含む印刷用銅ペースト(インクを含む)を用いて前記印刷樹脂絶縁層上に印刷形成された前記印刷銅配線とを備える印刷積層回路であることが好ましい。
このような本発明の印刷積層回路において用いる基材としては、特に制限されないが、例えば、ガラスやアルミナ等のセラミック基板、ポリイミド等の樹脂基板、ガラスエポキシ等の回路基板、シリコン等の半導体基板等が挙げられ、その上にパワー素子回路、LSI、配線回路等の電子回路が形成されていても良い。印刷積層回路が形成される基材表面としては酸化シリコンや酸化アルミニウム等の酸化物、窒化シリコンや窒化アルミニウム等の窒化物、ポリイミドやガラスエポキシ等の樹脂、アルミニウムや銅等の金属電極、タンタルや窒化タンタル等のバリアメタル・コンタクトメタル等が挙げられる。
なお、このような基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に直接銅配線を印刷形成する場合においては、両者の密着性を向上させる観点で、基材等と銅配線の間に密着性を確保するための密着層を形成してもよい。このような銅配線用の密着層としては、ニッケル、コバルト、マンガン、銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン等が挙げられる。このような密着層の形成方法は、特に限定されるものではないが、スパッタ法、メッキ法、塗布法等で形成することができる。例えば、密着層形成方法の具体的な一例として、スパッタ法について説明すると、先ず、基板又は半導体素子等の基材を真空チャンバーに挿入後、真空引きを行う。真空が一定の値になった時点でアルゴン/酸素混合ガスを導入し、基材側にRFプラズマを生成して基材表面の吸着不純物等の除去を行う。その後、密着層に用いられる材料のターゲットを用いたRFスパッタリング法により密着層を形成する。密着層形成時の基材温度は特に制限されるものではないが、室温以上450℃以下が好ましい。このような基材温度が450℃を超えると、半導体素子の耐熱温度を超える場合があり、熱応力も増大して反りや剥離の原因となる傾向にある。また、密着層の膜厚は1nm以上であればどのような膜厚でも密着性が向上することができるが、成膜時間を考慮すると1μm以下が好ましい。
なお、本発明の印刷積層回路においては、印刷樹脂絶縁層と前記印刷樹脂絶縁層上に形成された印刷銅配線とからなる印刷積層回路を二以上積層して備える実施形態の印刷積層回路や、前記印刷積層回路又はこれを二以上積層した印刷積層回路の印刷銅配線上に更に印刷樹脂絶縁層を積層した実施形態の積層印刷積層回路など、目的とする配線基板や半導体上電子回路等の製造する電子回路部品の種類に応じて、多様な実施形態を採ることができる。
[印刷積層回路の製造方法]
次に、本発明の印刷積層回路の製造方法について説明する。本発明の印刷積層回路の製造方法は、基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に可溶性ポリイミド及び該可溶性ポリイミドを溶解することが可能な溶媒を含む印刷用樹脂ペースト(インクを含む)を印刷して樹脂ペースト層を形成し、得られた樹脂ペースト層を加熱処理することにより、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層を形成する工程(印刷樹脂絶縁層形成工程)と、前記印刷樹脂絶縁層の上に粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む印刷用銅ペースト(インクを含む)を印刷して銅ペースト層を形成し、得られた銅ペースト層を加熱処理して前記混合粉末の焼結体からなりかつ粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線を形成する工程(印刷銅配線形成工程)と、を含むものである。
(印刷樹脂絶縁層形成工程)
本発明の印刷積層回路の製造方法においては、先ず、基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に可溶性ポリイミド及び該可溶性ポリイミドを溶解することが可能な溶媒を含む印刷用樹脂ペーストを印刷して樹脂ペースト層を形成し、得られた樹脂ペースト層を加熱処理することにより、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層を形成する。
このような本発明に係る印刷樹脂絶縁層形成工程において用いる印刷用樹脂ペーストとしては、可溶性ポリイミド及び該可溶性ポリイミドを溶解することが可能な溶媒を含む印刷用樹脂ペーストであることが必要である。
このような印刷樹脂絶縁層形成工程において用いる可溶性ポリイミドとしては、特に制限されず、公知の可溶性ポリイミドを適宜採用することができる。本発明にかかる可溶性ポリイミドはそれ自体既知の化合物であり、このような本発明にかかる可溶性ポリイミドを調製する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、通常用いられる方法に準じて製造することができる。例えば、特開2005−156929号公報、特開2005−120176号公報、特開2005−272655号公報、特開2008−297360号公報、特開2013−1899号公報明細書等に記載の方法に準じて製造することができる。
また、このような本発明に係る印刷用樹脂ペーストに含まれる溶媒としては、可溶性ポリイミドを溶解させることができる溶媒であれば、特に限定されないが、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、テトラメチル尿素、ピリジン等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
更に、このような印刷樹脂絶縁層形成工程において用いる印刷用樹脂ペーストとしては、本発明の効果を損なわない範囲で用いることが可能な他の樹脂、無機フィラー及び各種添加剤を配合することができる。このような他の樹脂、無機フィラー及び各種添加剤としては、特に制限されないが、例えば、前記本発明の印刷積層回路において説明した他の樹脂、無機フィラー及び各種添加剤を用いることができる。
また、このような印刷用樹脂ペーストとしては、市販のものを利用してもよく、例えば、日立化成社製の高耐熱コーティング剤(商品名「HIMAL HP−300」、添加剤:ポリアミドイミド樹脂、等)、三菱ガス化学社製の可溶性ポリイミドワニス(商品名「ネオプリム」)に各種添加剤(フッ素系界面活性剤、ウレアウレタン系レオロジー調整剤、セルロース樹脂増粘剤)を添加したペースト、等が挙げられる。
次に、本発明に係る印刷樹脂絶縁層形成工程においては、基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に前記印刷用樹脂ペースト(インクを含む)を印刷して樹脂ペースト層を形成する。このような本発明の印刷樹脂絶縁層形成工程において用いる基材としては、特に制限されないが、例えば、前記本発明の印刷積層回路において説明した基材を用いることができる。
また、基材(基材又は基材に形成した他の層や電子回路等を含む印刷積層回路被形成体)上に前記印刷用樹脂ペーストを印刷して樹脂ペースト層を形成する方法としては、特に限定されないが、具体的には、大気中又は不活性ガス雰囲気中で、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法等の印刷手法により前記印刷用樹脂ペーストをパターニング塗布することで行うことができる。また、スピンコート法等により全面に塗布した後、レーザー等により不必要な部分を除去する手法でも形成可能である。なお、印刷用樹脂ペースト層の厚さは、溶媒乾燥及び加熱処理後の厚さが所望の値になるように印刷用樹脂ペーストの濃度や印刷条件を変えて調整する。
次いで、本発明に係る印刷樹脂絶縁層形成工程においては、前記印刷用樹脂ペースト(インクを含む)を印刷して樹脂ペースト層を形成した後に、得られた樹脂ペースト層を加熱処理することにより、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層を形成する。このような加熱処理により樹脂ペースト層中の溶媒を乾燥及び/又は除去し、樹脂を焼成して印刷樹脂絶縁層を形成する。このような加熱処理の方法としては、特に限定されないが、具体的には、ホットプレート、オーブン等を用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空等等の処理雰囲気下で加熱することで行うことができる。加熱処理の温度としては特に制限はないが、溶媒の乾燥を十分行うために100℃以上が好ましく、樹脂や半導体素子等の耐熱温度以下、例えば450℃以下が好ましい。
なお、このような印刷樹脂絶縁層形成工程を経て形成される樹脂絶縁層の厚さ(厚み)は、目的とする電子回路部品等の種類や諸元に応じて任意(所望)の範囲(又は値)に設定することができる。
(印刷銅配線形成工程)
次に、本発明の印刷積層回路の製造方法においては、前記印刷樹脂絶縁層の上に粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む印刷用銅ペースト(インクを含む)を印刷して銅ペースト層を形成し、得られた銅ペースト層を加熱処理して前記混合粉末の焼結体からなりかつ粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線を形成する。このような本発明の印刷積層回路の製造方法において、前記印刷樹脂絶縁層上に前記印刷用銅ペーストを印刷して銅ペースト層を形成し、得られた銅ペースト層を加熱処理して、印刷銅配線を形成させる方法としては、上記以外は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
このような本発明に係る印刷銅配線形成工程において用いる印刷用銅ペーストとしては、特定粒径範囲の銅ナノ粒子Aと特定粒径範囲の銅粉粒子Bとの混合粉末及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む印刷用銅ペーストであることが必要である。
このような印刷銅配線形成工程において用いる印刷用銅ペーストの銅ナノ粒子Aとしては、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子であることが必要である。銅ナノ粒子Aの粒径が前記下限未満になると、バルクに対する表面比率が高くなるため、Cuナノ粒子の表面が大気中で酸化されやすくCuナノ粒子の酸化割合が高くなり、加熱処理時に酸化成分が除去しきれずに残存して配線抵抗が高くなる。他方、前記上限を超える(1μm以上になる)と、粒子サイズ効果が小さいため、融点の低下効果が小さくCu粒子の焼結温度が高くなり、比較的低温(例えば300℃以下)での加熱によるCuナノ粒子同士の結合が起こりにくく、その結果、配線抵抗が高くなる。なお、このような銅ナノ粒子Aの粒径としては、耐酸化性と低い焼結温度の両立という観点から、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることが特に好ましい。
なお、Cuナノ粒子の直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察において測定することができ、本発明においては、Cuナノ粒子の平均粒子径を、前記TEM観察において、無作為に200個のCu粒子を抽出し、これらの直径を測定することによって求められる値とする。
また、このような印刷用銅ペーストにおいて用いる銅ナノ粒子としては、前記粒径以外は特に制限されないが、含浸法と呼ばれる高温処理法や、液相還元法、気相法等の公知の方法を利用して適宜製造することができる。更に、このような銅ナノ粒子としては、銅ナノ粒子インクとして、(株)イオックス製「Cu60−BtTP」、立山科学工業(株)製の銅ナノ粒子分散液等の市販品、銅ナノ粒子ペーストとして、大研化学工業(株)製「NCU−09」、(株)イオックス製「INCu80−50TP−AC」等の市販品を適宜用いることができる。
また、このような印刷銅配線形成工程において用いる印刷用銅ペーストの銅粉粒子Bとしては、粒径が1〜100μmの銅粉粒子であることが必要である。銅粉粒子Bの粒径が前記下限未満になると、充填密度の向上による不純物ガスの膜中への拡散抑制が不十分となる。他方、前記上限を超えると、銅粉粒子間を銅ナノ粒子が埋めきれなくなりボイドが増加して配線抵抗の増加やクラックの発生が起こる。なお、このような銅粉粒子Bの粒径としては、銅粉粒子混合による脱離不純物ガスの拡散抑制効果や焼結時の収縮抑制効果が十分に得られ、配線抵抗の増加やクラックの発生を抑制するという観点から、1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
更に、このような印刷銅配線形成工程において用いる印刷用銅ペーストとしては、前記印刷用銅ペーストに含まれる銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8であることが必要である。銅粉粒子Bの質量比率が前記下限未満になると、銅粉粒子混合による脱離不純物ガスの拡散抑制効果が小さくなるため製造時における配線抵抗が増大しやすくなり、また、銅ナノ粒子の割合が高いために焼成時の収縮応力で絶縁層や配線におけるクラックの発生が起こりやすくなるという問題が生じる。他方、前記上限を超えると、銅粉粒子間を銅ナノ粒子が埋めきれなくなりボイドが増大して配線抵抗の増大やクラックの発生が起こりやすくなるという問題が生じる。また、このような銅粉粒子Bの質量比率としては、充填密度の向上や収縮応力の低減という観点から、0.5〜0.7の範囲内であることが好ましい。
また、本発明において用いる印刷銅配線としては、銅粉粒子Bの粒径が印刷銅配線の膜厚よりも小さいものであることが好ましい。このようにすることにより、印刷銅配線の平坦性の悪化を防止し、上下配線間での絶縁性を確保することができる。
なお、このような印刷用銅ペーストにおいて用いる銅粉粒子としては、前記粒径以外は特に制限されないが、エプソンアトミックス(株)製の超高圧水アトマイズ球状銅微粉「PF−1F」(平均粒径:1.8μm)、福田金属箔粉工業(株)製の銅粉「Cu−HWQ」(平均粒径:3μm)、(株)高純度化学研究所製の銅球状粉末「CUE12PB」(平均粒径:5μm)等の市販品を適宜用いることができる。
更に、このような印刷銅配線形成工程において用いる印刷用銅ペーストの溶媒としては、前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、水又は水溶性有機溶媒が挙げられ、水溶性有機溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、テルピネオール、2−フェノキシエタノール(エチレングリコールモノフェニルエーテル)、トリプロピレングリコール等のアルコール又はアルコール系化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。この中でも、高沸点であることや高粘度ペーストへの対応の容易性の観点から、テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、2−フェノキシエタノール、トリプロピレングリコールであることが好ましい。なお、このような溶媒としては、銅ナノ粒子及び/又は銅粉粒子として市販のものを用いる場合、市販品の銅ナノ粒子及び/又は銅粉粒子に含まれていてもよい。
また、このような印刷用銅ペーストの調製法としては、特に制限されないが、前記銅ナノ粒子Aと前記銅粉粒子B及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を用い、公知の方法を利用して適宜調製することができる。例えば、銅ナノ粒子Aと銅粉粒子Bとの混合粉末に対して可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を混合する方法や、銅ナノ粒子Aと可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を混合し更に銅粉粒子Bを混合する方法、可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む銅ナノ粒子ペーストに銅粉粒子Bを混合する方法、銅粉粒子Bと可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を混合し更に銅ナノ粒子Aを混合する方法、可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む銅粉粒子ペーストに銅ナノ粒子Aを混合する方法、等が挙げられる。このようにして得られた印刷用銅ペーストにおいて、銅ナノ粒子Aと銅粉粒子Bとの混合粉末及び可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒が含まれている状態であればよい。
次に、本発明に係る印刷銅配線形成工程においては、前記印刷樹脂絶縁層の上に前記印刷用銅ペースト(インクを含む)を印刷して銅ペースト層を形成する。このような印刷用銅ペーストを印刷して銅ペースト層を形成する方法としては、特に限定されないが、具体的には、大気中又は不活性ガス雰囲気中で、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法等の印刷手法により前記印刷用銅ペーストをパターニング塗布することで行うことができる。なお、印刷用銅ペースト層の厚さは、溶媒乾燥及び加熱処理後の厚さが所望の値になるように印刷用銅ペーストの濃度や印刷条件等を変えて適宜調整する。
次いで、本発明に係る印刷銅配線形成工程においては、前記印刷用銅ペースト(インクを含む)の印刷して銅ペースト層を形成した後に、得られた銅ペースト層に加熱処理を施すことにより、銅ペーストの溶媒を乾燥及び/又は除去し、更に、銅ナノ粒子及び銅粉粒子を焼結し導体化して銅配線を形成する。このような加熱処理の方法としては、特に限定されないが、具体的には、窒素等の不活性ガス又は還元性ガスの処理雰囲気下で加熱処理を施すことで行うことができる。なお、このような処理雰囲気は、酸化成分を除去して配線抵抗を下げるという観点から、還元性ガス雰囲気であることが好ましい。また、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気での熱処理の前に、酸化性ガス雰囲気での熱処理を行うことが好ましく、銅ナノ粒子の有機修飾剤やペースト添加剤の揮発除去をより確実に行うことができ、配線抵抗をより低減させることができる。
また、加熱処理の温度としては特に制限はないが、100〜450℃の範囲であることが好ましく、150〜400℃がより好ましい。加熱処理温度が前記下限未満になると、銅ナノ粒子の有機修飾剤の揮発除去が十分されないために抵抗率が下がらない傾向にあり、他方、加熱処理温度が前記上限を超えると、基材の耐熱温度を超える場合があり、熱応力も増大して反りや剥離の原因となる傾向にある。なお、還元性向上の観点から、加熱処理中にプラズマや光の照射を行ってもよい。
更に、このような印刷銅配線形成工程における加熱処理としては、印刷用銅ペーストの溶媒を乾燥及び/又は除去する第1の工程と、銅ナノ粒子及び銅粉粒子を焼結し導体化する第2の工程の2つに分けて行うこともできる。このような第1の工程においては、基材を加熱したり、基材に熱風を吹き付けたりする加熱処理方法を採用することができる。また、このような加熱処理は、例えば、加熱温度50〜200℃、加熱時間0.1秒〜2.0時間で行うことができる。他の方法としては、真空環境下において溶媒を除去することもできる。また、このような第2の工程においては、(1)原子状水素を利用した還元方法、(2)水素、アンモニア、ギ酸のような還元性ガス雰囲気下において加熱する方法、(3)RFやマイクロ波等を利用した真空プラズマ装置や大気圧プラズマ装置により発生させた原子状水素により還元する方法、等を採用することができる。また、これらを組合せて用いることもできる。
なお、本発明の印刷積層回路においては、印刷樹脂絶縁層と前記印刷樹脂絶縁層上に形成された印刷銅配線とからなる印刷積層回路を二以上積層して備える実施形態の印刷積層回路や、前記印刷積層回路又はこれを二以上積層した印刷積層回路の印刷銅配線上に更に印刷樹脂絶縁層を積層した実施形態の積層印刷積層回路など、目的とする配線基板や半導体上電子回路等の製造する電子回路部品の種類に応じて、多様な実施形態を採ることができる。特に、印刷積層回路の印刷銅配線上に、更に印刷樹脂絶縁層を積層する場合は、本発明においては印刷樹脂絶縁層として可溶性ポリイミドを用いることにより、このような可溶性ポリイミドの印刷形成時の熱処理温度をより低下させることができるため、絶縁層や配線におけるクラックの発生を防止することが可能になる。
このような本発明の印刷積層回路の製造方法により、可溶性ポリイミドからなる樹脂絶縁層上に印刷銅ナノ粒子配線を印刷形成しても、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路を製造することが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、基材としてシリコン基板(SUMCO社製、p型、面方位(100)、比抵抗1〜100Ω・cm、4インチφ×0.5mm厚さ)を準備し、このシリコン基板に熱酸化処理(1100℃、6時間)を施し、シリコン基板の表面に300nm厚さのシリコン酸化膜を形成した。
次に、銅ナノ粒子ペースト(大研化学工業社製、商品名:NCU−09、平均粒径100nm、粒径範囲5〜200nm、溶媒:テルピネオール)に超高圧水アトマイズ球状銅微粉(エプソンアトミックス社製、商品名:PF−1F、平均粒径1.8μm、粒径範囲500nm〜10μm)を加え、銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率が0.5となるように調整した印刷用銅ペーストを準備した。なお、超高圧水アトマイズ球状銅微粉は500nmから10μmまでの範囲の粒度分布を持つが、500nm以上1μm未満の成分は銅ナノ粒子成分、1μm以上の成分は銅粉粒子成分として質量比率を計算した。
次いで、前記準備したシリコン基板のシリコン酸化膜の上に、可溶性ポリイミド含有高耐熱コーティング剤(日立化成社製、商品名:HIMAL HP−300ペースト、主成分:可溶性ポリイミド、溶剤:γ−ブチロラクトン、添加成分:ポリアミドイミド樹脂等)を用いてスクリーン印刷法で印刷した後、Nガス中で300℃の温度条件で1時間の熱処理を行い、平均膜厚3μmの可溶性ポリイミド層を形成した。
次に、前記において得られたシリコン基板の可溶性ポリイミド層の上に、前記準備した印刷用銅ペーストを用いてスクリーン印刷法で印刷した後、N/5%O混合ガス中で300℃の温度条件で30分間の加熱処理を行い、更に、N/3%H混合ガス中で300℃の温度条件で30分間の加熱処理を行い、平均膜厚15μmの銅配線を形成して印刷積層回路を作製した。なお、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)は6.5μΩcmであった。
(実施例2〜4)
銅ナノ粒子ペーストにおける銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率を表1に示す質量比率(実施例2:0.7、実施例3:0.8、実施例4:0.3)となるように調製して印刷用銅ペーストを準備した以外は、実施例1と同様にして印刷積層回路を作製した。得られた印刷積層回路の銅配線の抵抗率を表1に示す。また、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)の最小値(実施例1の6.5μΩcm)を1とした時の銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)比を表1に示す。
(比較例1)
銅ナノ粒子ペーストとして銅粉粒子を加えずに、銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率を0.0となるように調整した印刷用銅ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして比較用印刷積層回路を作製した。得られた比較用印刷積層回路の銅配線の抵抗率及び銅配線の抵抗率比を表1に示す。
(比較例2〜3)
銅ナノ粒子ペーストにおける銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率を表1に示す質量比率(比較例2:0.2、比較例3:0.95)となるように調製して印刷用銅ペーストを準備した以外は、実施例1と同様にして比較用印刷積層回路を作製した。得られた比較用印刷積層回路の銅配線の抵抗率及び銅配線の抵抗率比を表1に示す。
(参考例1〜6)
先ず、実施例1と同様にして、準備したシリコン基板の表面に300nm厚さのシリコン酸化膜を形成した。
次に、前記準備したシリコン基板のシリコン酸化膜の上に、RFスパッタリング法により密着層としてのNi(10nm)/Ta(10nm)層を形成した。
次いで、前記において得られたシリコン基板のNi/Ta層の上に、実施例1と同様にして準備した印刷用銅ペーストを用いて、実施例1と同様にして銅配線を形成して参考用印刷積層回路を作製した。なお、本参考例は、シリコン基板とNi/Ta密着層と銅配線とからなる参考用印刷積層回路であり、絶縁層を有していない。本参考例は、可溶性ポリイミド層の存在の有無による印刷積層回路の性能(特性)への影響を確認するための参考例である。得られた参考用印刷積層回路の銅配線の抵抗率(シリコン酸化膜上銅配線の抵抗率)を表2に示す。
<評価及び評価結果>
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた印刷積層回路の銅配線の配線抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)と銅粉粒子質量比率との関係を、図1のグラフに示す。なお、図1中の「●」は実施例を表し、「○」は比較例を表す。
図1に示した実施例1〜4の結果と比較例1〜3の結果との比較から明らかなように、実施例1〜4の印刷積層回路は、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)が十分に小さく、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大が防止され、絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止された印刷積層回路が得られていることが確認された。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた銅配線の抵抗率比と銅粉粒子質量比率との関係を、図2のグラフに示す。銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)比は、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)の最小値(実施例1の6.5μΩcm)を1とした時の抵抗率比である。すなわち、図2は、図1において印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率の最小値を1とした時の印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率比の銅粉粒子重量比依存性を示す。
図2に示した実施例1〜4の結果と比較例1〜3の結果との比較から明らかなように、印刷積層回路の銅配線における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8(銅配線の抵抗率の上昇率は30%以内に相当する)において、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)比が十分に小さく、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路が得られていることが確認された。なお、更に、銅配線の抵抗率の上昇率が10%以内であることがより好ましく、前記銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.5〜0.7の範囲内にあることがより好ましいことが確認された。
更に、実施例1〜4及び比較例1〜3に加え、参考例1〜6で得られた銅配線の配線抵抗率と銅粉粒子質量比率との関係を図1のグラフに併せて示す。図1中の「◇」は参考例を表す。参考例1〜6は、印刷ポリイミド層を形成せず、シリコン酸化膜上に密着層としてNi/Ta層を形成し、その上に銅配線を形成した参考用印刷積層回路であり、このような参考用印刷積層回路の銅配線の銅配線抵抗率(シリコン酸化膜上銅配線の抵抗率)の銅粉粒子重量比依存性を示している。
図1に示した実施例1〜4の結果、比較例1〜3の結果、及び、参考例1〜6の結果との比較から、銅粉粒子質量比率が小さい領域では、シリコン酸化膜上における抵抗率はわずかしか変化しなかったのに対して、印刷ポリイミド上では銅粉粒子質量比率が0に近づくに従って抵抗率が大きく上昇した。シリコン酸化膜は密着層も含めて加熱処理時に不純物ガスの脱離がほとんど無く銅粉粒子混合の効果が限定的であるため抵抗率変化がわずかであったのに対して、印刷ポリイミド上では熱処理時のポリイミドからの不純物ガスの脱離量が多いために、銅粉粒子量が少なくなると充填密度が低下して不純物ガスの影響を強く受けるようになり高抵抗率化したと考えられる。この結果から、本発明による効果は印刷ポリイミド上の印刷銅配線に特有の現象であることが確認された。一方、銅粉粒子質量比率が大きい領域ではシリコン酸化膜上と印刷ポリイミド上共に同様の傾向を示し、銅粉粒子質量比率が大きくなるに従い抵抗率が上昇した。これは銅粉粒子質量比率が大きくなると銅粉粒子間を銅ナノ粒子が埋めきれなくなりボイドが増大するためであると考えられ、ペースト固有の問題であるため両者が同様の傾向を示したものと考えられる。
(実施例5)
印刷用銅ペーストのスクリーン印刷法後の加熱処理条件を、N/5%O混合ガス中で400℃の温度条件で30分間、及び、N/3%H混合ガス中で400℃の温度条件で30分間とした以外は、実施例1と同様にして平均膜厚10μmの銅配線を形成して印刷積層回路を作製した。なお、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)は4.6μΩcmであった。
また、実施例5において得られた印刷積層回路の銅配線表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。
(比較例4)
銅ナノ粒子ペーストとして銅粉粒子を加えずに、銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率を0.0となるように調整した印刷用銅ペーストを用いた以外は、実施例5と同様にして比較用印刷積層回路を作製した。得られた比較用印刷積層回路の銅配線の平均膜厚は8.9μm、銅配線の抵抗率は10.1μΩcmであった。
また、比較例4において得られた比較用印刷積層回路の銅配線表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図4に示す。
<SEM観察結果>
図3に示した実施例5のSEM写真と図4に示した比較例4のSEM写真との比較から明らかなように、比較例4ではクラックが発生したのに対して実施例5では発生していないことが確認された。なお、本発明の実施例5においては、銅ナノ粒子と銅粉粒子との混合により加熱処理時の有機修飾剤の揮発による収縮応力が低減されたためクラックが発生しなかったものと考えられる。この結果より、実施例5の印刷積層回路は、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)が十分に小さく、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路が得られていることが確認された。
(実施例6)
印刷用銅ペーストの銅粉粒子として超高圧水アトマイズ球状銅微粉(エプソンアトミックス社製、商品名:PF−3F、平均粒径3.6μm、粒径範囲500nm〜20μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率が0.5となるように調製して印刷用銅ペーストを準備した。なお、超高圧水アトマイズ球状銅微粉は、500nm以上1μm未満の成分は銅ナノ粒子成分、1μm以上の成分は銅粉粒子成分として質量比率を計算した。更に、実施例1と同様にして、平均膜厚15μmの銅配線を形成した印刷積層回路を作製した。なお、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)は6.6μΩcmであった。
(実施例7)
印刷用銅ペーストの銅粉粒子として超高圧水アトマイズ球状銅微粉(エプソンアトミックス社製、商品名:PF−7F、平均粒径5.0μm、粒径範囲500nm〜25μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、銅ナノ粒子と銅粉粒子の合計量に対する銅粉粒子の質量比率が0.5となるように調製して印刷用銅ペーストを準備した。なお、超高圧水アトマイズ球状銅微粉は、500nm以上1μm未満の成分は銅ナノ粒子成分、1μm以上の成分は銅粉粒子成分として質量比率を計算した。更に、実施例1と同様にして、平均膜厚15μmの銅配線を形成した印刷積層回路を作製した。なお、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)は6.8μΩcmであった。
実施例6及び7の結果より、銅粉粒子の大きさが異なっても、銅配線の抵抗率(印刷ポリイミド上銅配線の抵抗率)が十分に小さく、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路が得られていることが確認された。
(実施例8)
実施例1により得られた印刷積層回路の上に、更に可溶性ポリイミド含有高耐熱コーティング剤(日立化成社製、HIMAL HP−300ペースト)を用いてスクリーン印刷法で印刷した後、Nガス中で300℃1時間の熱処理を行い、平均膜厚3μmの可溶性ポリイミド層を形成し、本実施例の印刷積層回路を作製した。なお、可溶性ポリイミド層間に挟まれた銅配線の抵抗率は6.7μΩcmであった。
(比較例5)
先ず、実施例1において形成した可溶性ポリイミド層の代わりに、ポリイミドワニス(宇部興産社製、U−ワニス・S、ポリアミック酸焼成型)にウレアウレタン系レオロジー調整剤、セルロース樹脂増粘剤、フッ素系界面活性剤等を添加して調整したペースト(ポリイミドワニス調整ペースト)を用いてスクリーン印刷法で印刷した後、Nガス中で450℃1時間の熱処理を行い、平均膜厚3μmのポリイミド層を形成した以外は、実施例1と同様にして印刷積層回路を作製した。
次に、得られた比較用印刷積層回路の上に、更に前記ポリイミドワニス調整ペーストを用いてスクリーン印刷法で印刷した後、Nガス中で450℃の温度条件で1時間の熱処理を行い、平均膜厚3μmのポリイミド層を形成し比較用印刷積層回路を作製した。なお、得られた比較用印刷積層回路は、ポリイミド層間に挟まれた銅配線に大きなクラックが発生して電気が流れず抵抗率の測定ができなかった。
実施例8及び比較例5の結果より明らかなように、実施例8の可溶性ポリイミド層間に挟まれた銅配線を有する印刷積層回路は、銅配線の抵抗率が十分に小さく、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大が防止され、絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止された印刷積層回路が得られていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、可溶性ポリイミド絶縁層と印刷銅配線を備える印刷積層回路において、製造時における配線抵抗の増大を防止しつつ絶縁層や配線におけるクラックの発生が十分に防止されている印刷積層回路を得ることが可能となる。したがって、本発明の印刷積層回路は、パワー素子、LSI、抵抗、コンデンサ等の各種半導体装置やその部品、電子装置、表示装置等のエレクトロニクスデバイスにおける各種デバイスの積層回路として有用である。

Claims (4)

  1. 可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層と、
    前記印刷樹脂絶縁層上に形成されており、粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線と、
    を備えることを特徴とする印刷積層回路。
  2. 前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.5〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載の印刷積層回路。
  3. 基材上に可溶性ポリイミド及び該可溶性ポリイミドを溶解することが可能な溶媒を含む印刷用樹脂ペーストを印刷して樹脂ペースト層を形成し、得られた樹脂ペースト層を加熱処理することにより、可溶性ポリイミドからなる印刷樹脂絶縁層を形成する工程と、
    前記印刷樹脂絶縁層上に粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末及び前記可溶性ポリイミドを溶解しない溶媒を含む印刷用銅ペーストを印刷して銅ペースト層を形成し、得られた銅ペースト層を加熱処理して前記混合粉末の焼結体からなりかつ粒径が1nm以上1μm未満の銅ナノ粒子Aと粒径が1〜100μmの銅粉粒子Bとの混合粉末の焼結体からなり、かつ、前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.3〜0.8である印刷銅配線を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする印刷積層回路の製造方法。
  4. 前記焼結体における銅粉粒子Bの質量比率(B/(A+B))が0.5〜0.7であることを特徴とする請求項3に記載の印刷積層回路の製造方法。
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