JP2020113389A - 有機el装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異物の除去に伴う残渣を抑制する有機EL装置の製造方法を提供する。【解決手段】有機EL装置1の製造方法は、透明電極3が形成されたフィルム基材2を準備し、透明電極3上の異物9と一体となるように透明電極3上に塗布膜4を形成し、形成された塗布膜4上に粘着シート5を貼り付け、粘着シート5をフィルム基材2から剥離して塗布膜4と共に異物9を除去する、ことを含んでいる。この有機EL装置1の製造方法は、異物の除去に伴う残渣を抑制することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、有機ELの製造方法に関する。
従来の技術として、移送具に粘着シートを備え、その粘着面を素子基板の少なくとも一部に粘着させる粘着工程と、所定の位置にて、粘着シートを素子基板に粘着させた状態で当該素子基板から移送具を分離する分離工程と、別途、素子基板から粘着シートを剥離する剥離工程と、を備えた有機EL(Electro Luminescence)表示装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この剥離工程は、素子基板から粘着シートを剥離させることで、当該粘着シートに粘着した異物を除去するものである。
しかし従来の有機EL装置の製造方法は、粘着シートの粘着剤が素子基板上に残って残渣となり、発光ムラなどを誘因する可能性がある。
従って本発明の目的は、異物の除去に伴う残渣を抑制する有機EL装置の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様は、透明電極が形成された基材を準備し、透明電極上の異物と一体となるように透明電極上に塗布膜を形成し、形成された塗布膜上に粘着シートを貼り付け、粘着シートを基材から剥離して塗布膜と共に異物を除去する、有機EL装置の製造方法を提供する。
本発明によれば、異物の除去に伴う残渣を抑制することができる。
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る有機EL装置の製造方法は、透明電極が形成された基材を準備し、透明電極上の異物と一体となるように透明電極上に塗布膜を形成し、形成された塗布膜上に粘着シートを貼り付け、粘着シートを基材から剥離して塗布膜と共に異物を除去する、ことを含んでいる。
実施の形態に係る有機EL装置の製造方法は、透明電極が形成された基材を準備し、透明電極上の異物と一体となるように透明電極上に塗布膜を形成し、形成された塗布膜上に粘着シートを貼り付け、粘着シートを基材から剥離して塗布膜と共に異物を除去する、ことを含んでいる。
この有機EL装置の製造方法では、透明電極上に形成した塗布膜を除去することで透明電極上の異物が一緒に除去される。従って有機EL装置の製造方法は、この方法を採用しない場合と比べて、粘着シートの粘着剤が直接透明電極に触れないので残らず、異物の除去に伴う残渣を抑制することができる。
[実施の形態]
(有機EL装置1の概要)
図1(a)〜図1(e)は、実施の形態に係る有機EL装置の製造方法の一例を示す概略図である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
(有機EL装置1の概要)
図1(a)〜図1(e)は、実施の形態に係る有機EL装置の製造方法の一例を示す概略図である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
有機EL装置1は、例えば、図1(e)に示すように、基材としてのフィルム基材2と、透明電極3と、有機発光層6と、上部電極7と、を備えて概略構成されている。
この有機EL装置1の製造方法は、例えば、図1(a)〜図1(d)に示すように、透明電極3が形成されたフィルム基材2を準備し、透明電極3上の異物9と一体となるように透明電極3上に塗布膜4を形成し、形成された塗布膜4上に粘着シート5を貼り付け、粘着シート5をフィルム基材2から剥離して塗布膜4と共に異物9を除去する、ことを含んでいる。
この異物9は、例えば、透明電極3が形成されたフィルム基材2の保管や搬送中に付着する空気中の塵や機械から出た物体などである。例えば、異物9が透明電極3の表面30に付着すると発光ムラが生じることがあり、また異物9が導電性を有する場合、透明電極3と上部電極7とが短絡して発光しなくなることもある。
従って有機EL装置1の製造時には、透明電極3上を洗浄する必要があるが、水分が残ると発光ムラの原因になるので、水による洗浄が困難となる。本実施の形態では、水を用いることなく透明電極3上の洗浄を可能とする製造方法を提供するものである。
(フィルム基材2の構成)
フィルム基材2は、例えば、外部からの液体や気体の侵入を抑制するガスバリア性を有するように構成されている。そしてフィルム基材2は、柔軟性に富んでいるので、有機EL装置1が高い柔軟性を有している。フィルム基材2は、有機発光層6から出力された光を透過する透明材料を用いて形成されている。
フィルム基材2は、例えば、外部からの液体や気体の侵入を抑制するガスバリア性を有するように構成されている。そしてフィルム基材2は、柔軟性に富んでいるので、有機EL装置1が高い柔軟性を有している。フィルム基材2は、有機発光層6から出力された光を透過する透明材料を用いて形成されている。
フィルム基材2は、例えば、芯材フィルムと、芯材フィルムに設けられたガスバリア層と、を有している。芯材フィルムは、一例として、PET(polyethyleneterephtalate)やPEN(polyethylene naphthalate)などを用いてフィルム状に形成されている。ガスバリア層は、例えば、無機材料と有機材料とを交互に積層して形成されている。無機材料は、一例として、SiやAlの酸化物や窒化物、ZnやSnの酸化物などが用いられる。また有機材料は、一例として、エポキシ樹脂やシリコン樹脂などの熱硬化性樹脂材料が用いられる。
なお芯材フィルムやガスバリア層の厚みは、任意である。また有機EL装置1は、例えば、上部電極7側にもガスバリア性を有するフィルムを有し、当該フィルムとフィルム基材2とにより透明電極3、有機発光層6及び上部電極7を挟むように概略構成されている。
(透明電極3及び上部電極7の構成)
透明電極3及び上部電極7は、一方が陽極であり、他方が陰極である。本実施の形態では、透明電極3が陽極、上部電極7が陰極であるものとする。透明電極3が光を透過するため、有機発光層6によって生成された光は、図1(e)の紙面下側、つまり透明電極3及びフィルム基材2を介して外に出力される。陽極は、有機発光層6に正孔を注入するためのものである。また陰極は、有機発光層6に電子を注入するためのものである。
透明電極3及び上部電極7は、一方が陽極であり、他方が陰極である。本実施の形態では、透明電極3が陽極、上部電極7が陰極であるものとする。透明電極3が光を透過するため、有機発光層6によって生成された光は、図1(e)の紙面下側、つまり透明電極3及びフィルム基材2を介して外に出力される。陽極は、有機発光層6に正孔を注入するためのものである。また陰極は、有機発光層6に電子を注入するためのものである。
透明電極3は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などにより、有機発光層6から出力される光を透過するITO(スズドープ酸化インジウム:Indium Tin Oxide)などにより形成される。
上部電極7は、有機発光層6から出力される光の取り出し効率を高めるため、当該光を反射する材料で形成される。上部電極7は、例えば、真空蒸着法などにより、Al、AgやMgなどの金属材料やその合金材料を用いて形成される。なお上部電極7は、例えば、透明電極であるITOであっても良い。
なお透明電極3及び上部電極7の厚みは、任意である。
(有機発光層6の構成)
有機発光層6は、例えば、陽極(透明電極3)側から順に少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層される。正孔輸送層は、例えば、α−NPD(ジフェニルナフチルジアミン)やTPD(Triphenyl Diamine)などを用いて形成される。発光層は、例えば、アルミキノリノール錯体(Alq3)やベリリウムキノリノール錯体(BeBq2)などを用いて形成される。電子輸送層は、例えば、アルミキノリノール錯体などを用いて形成される。
有機発光層6は、例えば、陽極(透明電極3)側から順に少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層される。正孔輸送層は、例えば、α−NPD(ジフェニルナフチルジアミン)やTPD(Triphenyl Diamine)などを用いて形成される。発光層は、例えば、アルミキノリノール錯体(Alq3)やベリリウムキノリノール錯体(BeBq2)などを用いて形成される。電子輸送層は、例えば、アルミキノリノール錯体などを用いて形成される。
この有機発光層6は、例えば、塗布法や印刷法などによって形成される。この有機発光層6の厚みは、任意である。
(塗布膜4の構成)
塗布膜4は、透明電極3と密着性が低い膜として透明電極3の表面30に生成される。この塗布膜4は、透明電極3よりも疎水性が高い膜である。この塗布膜4は、例えば、ウェットコーティング法によって、パターニング後の透明電極3上に形成される。異物9は、塗布膜4に内包され、塗布膜4と共に透明電極3から剥離される。
塗布膜4は、透明電極3と密着性が低い膜として透明電極3の表面30に生成される。この塗布膜4は、透明電極3よりも疎水性が高い膜である。この塗布膜4は、例えば、ウェットコーティング法によって、パターニング後の透明電極3上に形成される。異物9は、塗布膜4に内包され、塗布膜4と共に透明電極3から剥離される。
塗布膜4の材料は、透明電極3の親水性が高いので、疎水性膜を形成可能な材料であれば良い。つまり塗布膜4が疎水性膜であれば、透明電極3からの剥離が容易となる。この材料は、一例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPS(ポリスルフォン)などである。
この塗布膜4の厚みは、任意である。
(粘着シート5の構成)
粘着シート5は、塗布膜4を剥離するために用いられる。この粘着シート5は、例えば、図1(c)に示すように、アクリル系又はシリコン系の粘着剤51を備えて概略構成されている。この粘着剤51は、例えば、フィルム状の基材50に貼り付けられている。この粘着シート5の厚みは、任意である。
粘着シート5は、塗布膜4を剥離するために用いられる。この粘着シート5は、例えば、図1(c)に示すように、アクリル系又はシリコン系の粘着剤51を備えて概略構成されている。この粘着剤51は、例えば、フィルム状の基材50に貼り付けられている。この粘着シート5の厚みは、任意である。
以下に実施の形態の有機EL装置1の製造方法の一例について図1(a)〜図1(e)に従って説明する。
(有機EL装置1の製造方法)
図1(a)に示すように、透明電極3が形成されたフィルム基材2を準備する。具体的には、まず真空蒸着法によってフィルム基材2上に透明電極3の前駆体膜を形成する。そしてフォトリソグラフィ法によって前駆体膜を所望の形状に加工し、透明電極3を形成する。なお透明電極3は、フィルム基材2の耐熱可能温度域内でアニールにより結晶化されていても良い。
図1(a)に示すように、透明電極3が形成されたフィルム基材2を準備する。具体的には、まず真空蒸着法によってフィルム基材2上に透明電極3の前駆体膜を形成する。そしてフォトリソグラフィ法によって前駆体膜を所望の形状に加工し、透明電極3を形成する。なお透明電極3は、フィルム基材2の耐熱可能温度域内でアニールにより結晶化されていても良い。
次に図1(b)に示すように、透明電極3上の異物9と一体となるように透明電極3の表面30に塗布膜4を形成する。異物9は、塗布した材料に内包されて塗布膜4と一体となる。
次に図1(c)に示すように、形成された塗布膜4の上に粘着シート5を貼り付ける。
次に図1(d)に示すように、粘着シート5を透明電極3から剥離して塗布膜4と共に異物9を除去する。
次に図1(e)に示すように、少なくとも有機発光層6及び上部電極7を形成するなどの工程を経て有機EL装置1を得る。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る有機EL装置1の製造方法は、異物9の除去に伴う残渣を抑制することができる。具体的には、有機EL装置1の製造方法では、透明電極3上に形成した塗布膜4を除去することで透明電極3上の異物9が一緒に除去される。従って有機EL装置1の製造方法は、この方法を採用しない場合と比べて、粘着シート5の粘着剤51が直接透明電極3に触れないので残らず、異物9の除去に伴う残渣を抑制することができる。
本実施の形態に係る有機EL装置1の製造方法は、異物9の除去に伴う残渣を抑制することができる。具体的には、有機EL装置1の製造方法では、透明電極3上に形成した塗布膜4を除去することで透明電極3上の異物9が一緒に除去される。従って有機EL装置1の製造方法は、この方法を採用しない場合と比べて、粘着シート5の粘着剤51が直接透明電極3に触れないので残らず、異物9の除去に伴う残渣を抑制することができる。
有機EL装置1の製造方法では、透明電極3が親水性を有すると共に塗布膜4が疎水性を有するので、塗布膜4が異物9を内包しながら透明電極3から剥離し易い。従って有機EL装置1の製造方法は、塗布膜4が透明電極3に残り難く、異物9の除去に伴う残渣を抑制することができる。
有機EL装置1の製造方法では、水を使用しないので、乾燥工程がなく、製造に必要な時間が短縮される。
有機EL装置1の製造方法では、異物9が除去されるので、歩留まりが向上する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、この実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、この実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…有機EL装置、2…フィルム基材、3…透明電極、4…塗布膜、5…粘着シート、6…有機発光層、7…上部電極、9…異物、30…表面、50…基材、51…粘着剤
Claims (3)
- 透明電極が形成された基材を準備し、
前記透明電極上の異物と一体となるように前記透明電極上に塗布膜を形成し、
形成された前記塗布膜上に粘着シートを貼り付け、
前記粘着シートを前記透明電極から剥離して前記塗布膜と共に前記異物を除去する、
有機EL装置の製造方法。 - 前記塗布膜は、前記透明電極よりも疎水性が高い膜である、
請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。 - 前記粘着シートは、アクリル系又はシリコン系の粘着剤を備える、
請求項1又は2に記載の有機EL装置の製造方法。
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