JP2020112022A - 構造物狭隘部における補修部形成方法及びその装置 - Google Patents

構造物狭隘部における補修部形成方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工にて、構造物狭隘部の被補修部位へ補修材を打って補修を行うに適した補修部形成装置を提供する。【解決手段】この装置は、縦にして構造物狭隘部へ挿入することができる縦型枠1と横にして上部工の下面に当てることができる横型枠2と膨張体3とを備え、横型枠2は被補修部位の下部へ配置することができ、構造物の側面視において、横型枠2と共に被補修部位を取り囲むように縦型枠1は立てた状態にして横型枠2の上面に載せられ、縦型枠1と横型枠2とが交差するコーナーを形成し、膨張体3は、被補修部部位へ対向する端面と縦型枠1との間に配置され膨張することにより横型枠2から縦型枠1が外れるのを防止し、横型枠2と縦型枠1とに囲まれた被補修部位へ補修材を充填させることができ、縦型枠1、横型枠2及び膨張体3は、補修部形成後、構造物から取り除かれる。【選択図】図5

Description

本願発明は、構造物狭隘部における補修部形成方法及びその装置に関する。
本願発明は、高架道路等を構成する構造物、特にコンクリート構造物の継ぎ目部分、すなわち、構造物伸縮継ぎ手および構造目地部分に存在する隙間である構造物狭隘部においてコンクリート構造物の補修に関するものである。
高架道路や橋梁等を構成するコンクリート構造物は、地上や川床上に構築された橋脚の上面に、支承を介して桁部材が配置された構造とされており、この桁部材の上面が舗装されて車両の走行等に用いられる。
ここで、各桁部材の継ぎ目部分、すなわち、構造物伸縮継ぎ手および構造目地部分には構造上隙間が設けられている。この隙間を構造物狭隘部と称する。この構造物狭隘部における各桁部材の端面間の寸法は、20mm〜100mmと狭窄である。また、このように狭窄で風通しが悪い故に、この構造物狭隘部は湿潤状態となりやすい。また、これに加え、冬季において舗装面に凍結防止剤(塩化ナトリウム・塩化カルシウム等)が散布使用され、この凍結防止剤が水溶液となって流れ込むことが原因で、各桁部材の端面におけるコンクリートの劣化を引き起こしたり、コンクリート中の鉄筋に悪影響が生じたりしやすい。つまり、構造物に塩化物イオンが供給され、この塩化物イオンの影響により、鉄筋が発錆して膨張し、コンクリートの変状破壊やひび割れ等の変状、表面の劣化等をきたす(塩害)。また、現在使用されている凍結防止剤の大部分を占める塩化ナトリウムによる、コンクリート自体の劣化も問題視されている(アルカリ骨材反応)。
従来から、この構造物狭隘部がコンクリート構造物にとって悪い環境にあること、そして、補修の必要性は認識されていたが、非常に狭窄であることから、物理的、人為的に手が入らない等の関係で、補修はほとんど施工されていなかった。このため構造物のコンクリートの劣化を知るための検査も行われていなかった。
この構造物狭隘部については、最近では、構造物の新規構築時に表面被覆が行われることがあるが、過去に構築された構造物においては、そのようなことは行われておらず、端面が劣化の進行を把握されないまま使用されているのが現状である。
即ち、補修どころか、実質的には何らの調査もなされず、放置されているに等しいものであった。この点について、構造物狭隘部周辺の構造物を掘削して大かかりな検査を行うことも考えられるが、費用が膨大なものとなり現実的ではない。更に、このような掘削工事のために、上記と同様、道路を通行止めにするなどの規制が必要となり、周辺の交通の調整等の手間を要する。道路の規模によっては、交通規制による経済的損失も無視できるものではない。このため、何の情報も得ることなく、各桁部材の端面の劣化が進行してしまった場合、最終手段として、桁部材自体の取替え等が必要となることもあり、莫大な損失を招く恐れがあった。
一方、仮に劣化部分が特定できたとして、劣化部分を除去手段について上記構造物狭隘部への適合性を無視するとすれば、従来から、ウォータージェット(超高圧水)によって、コンクリート構造物の表面にはつり等の処理を行うことは、例えば特許文献1〜3に示されたように公知である。
しかしながら、上記のように構造物狭隘部は非常に狭窄であり、構造物によっては20mm程度の隙間しかなく、特許文献1〜3に示されたような公知の除去方法を実施することは不可能であった。よって、細長い棒状の治具を差し込むこと等により施工するぐらいしか方法がなく、多くの時間と費用を要し、また、施工精度も悪かったため、実質的には放置しているに等しいものであった。よって、各桁部材の端面の劣化が進行してしまった場合、最終手段として、桁部材自体の取替え等が必要となることもあり、莫大な損失を招く恐れがあった。
また、劣化した端面部分のみを破壊して再構築することも選択肢の一つとして考えられるが、この場合も、道路構造物等、実際に供用中の構造物でそのような工事を行うことは、工事中に構造物の通常使用が不可能となるため、全く現実的でない。
上記問題を解決するために、既に特許文献4に見られる構造物狭隘部の表面処理装置が提案されている。
特許文献4の構造物狭隘部の表面処理装置は、高架道路等を構成する構造物の継ぎ目部分、すなわち、構造物伸縮継ぎ手および構造目地部分に存在する、構造物の端面である被処理面間の隙間である構造物狭隘部の表面処理装置において、はつり等の表面処理を上記の被処理面に対して行うための作業治具と、この作業治具を移動させる移動装置とを備え、移動装置は、構造物の被処理面に向かって少なくとも左右方向に、構造物狭隘部内を移動可能な治具支持部を備え、治具支持部に支持された作業治具を、移動装置によって、構造物狭隘部の左右両端間において移動させることにより、構造物上の交通等、構造物の通常使用状態を維持したまま、構造物の被処理面の表面処理を可能にしたものであり、構造物狭隘部の左右両端よりも外側において、構造物に固定された一対のレール部材を備えたものであり、上記の移動装置は、少なくとも、移動台と長尺索状体とからなるものであって、上記の移動台は、上記のレール部材に上下移動可能に設けられたものであり、上記の長尺索状体は、左右の各移動台によって支持されたものであって、上記の治具支持部を有し、この治具支持部が構造物狭隘部の左右両端間を移動可能とされたものであり、上記の作業治具は、長尺索状体の治具支持部に取り付けられたものであり、移動台のうちの少なくとも一つは、長尺索状体の張力を調整するための張力調整装置)を備える。
特開2004−299042 特開2003−311691 特開2003−166212 特許第4619184
第1に、上記特許文献4の装置により、構造物上の通行を規制することなく構造物狭隘部にてコンクリートの劣化部分の除去を行えるものとしても、通行の規制を必要とせずに、作業の制約の大きな構造物狭隘部においてコンクリートを除去した被補修部位へ新たな補修材を打って補修部を形成する実用的な手段は、提案されるに至っていない。
第2に、劣化部分の除去についても、特許文献4に開示されたノズルヘッド(作業治具)をワイヤーロープ(長尺索状体)に支持させる構造では、重量のある大量の水を取り扱うには限界があり、構造物狭隘部にてコンクリートをより深くはつることは不可能である。
第3に、事前にコンクリートの劣化を調べる手段として、試料を適切に採取できるものは提案されるに至っていない。
即ち、上記特許文献4の表面処理装置にて、構造物狭隘部内にて構造物のコンクリートをはつることはできても、はつったコンクリートの一部を構造物の劣化の状況を把握する試料として適切な状態で回収するという発想はなかった。
従って、特許文献4の発明は、そのまま構造物狭隘部のコンクリートの試料採取に適用できるものではなく、劣化試験用試料採取の適切な別途の手段が求められた。
第4に、補修前、事前に構造物狭隘部にてコンクリートの欠陥の深さを調べたり、検出した欠陥をはつってできた空間の大きさを確認して充填する補修材料の量を知得しようとしても、簡便に測定する手段が無かった。
例えば最近では3D(スリーディー)スキャナが普及し、立体の形状や大きさのデータを取得することが容易になっているが、3Dスキャナは比較的嵩の大きな装置であり、上記構造物狭隘部へ挿入して利用できる3Dスキャナは皆無である。即ち構造物上の通行を規制することなく、欠陥やはつりによって上部工の構造物端面から後退する空間の深さや大きさを検出する手段は現在のところ提案されるに至っていないのである。
以上の点を鑑みて、本願発明は、構造物狭隘部において、通行の規制を行う必要なく、適切にコンクリートの補修部を形成することができる手段を提供して上記第1の課題の解決を図る。
また、本願発明は、構造物狭隘部において大量の流体を噴射して劣化部分のはつりを行えるものを提供して上記第2の課題の解決を図る。
更に本願発明は、劣化部分の除去のための試料採取についても、構造物狭隘部から、劣化試験用の試料採取するに適した方法及び装置を創作し、上記第3の課題を解決しようとするものである。特に本願発明では試料採取においても、交通を規制するなど大掛かりならず、少数の作業者にて採取作業を遂行することができる、簡易な手段を提供しようとするものである。
また更に本願発明は、補修前、事前に構造物狭隘部にてコンクリートの欠陥の深さを検出したり、検出した欠陥をはつってできた空間の少なくとも深さを確認できる、簡便な手段を提供して上記第4の課題の解決を図る。
本願発明は、高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成装置について次の構成を採るものを提供する。
即ち、この装置は、前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、前記補修材を供給する補修材供給部を備え、前記補修材供給部の前後の幅は前記端面間の幅より小さく、前記補修材供給部は、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ当該挿入状態において前記補修材の送り方向を当該挿入方向と交差する方向とする先端側区間を備え、前記被補修部位へ向けて前記補修材を充填又は吹き付けることができる。
尚、ここでいう高架道路等高架のコンクリート構造物には、高架道路を含む他、高架橋その他の上部に道路、鉄道、水路、或いは歩行者の通路が設けられ、高架に形成されたコンクリート構造物を含む。
また、本願発明では、前記補修材供給部は、補修材を前記補修部へ噴射する噴射装置と、前記噴射装置を移動させる噴射装置移動部とを備え、前記補修材供給部について、少なくとも前記噴射装置が前記先端側区間を備え、少なくとも前記先端側区間を、上記の通り前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができるものである。
尚、ここでいう橋脚には、通常の橋脚の他、橋台も含む。
更に、本願発明では、前記噴射装置は、前記補修材を噴射するノズル部と、基端側に設けられた補修材を前記ノズル部に向けて送る材料ホースと、エア圧送管とを備え、前記エア圧送管の先端側は前記ノズル部に接続され、エア圧送管の基端側はコンプレッサへ接続され、前記エア圧送管は、コンプレッサにて圧縮された空気を前記ノズル部へ送るものであり、前記エア圧送管を主管とし前記エア圧送管のノズル部に至るまでの途中区間へ前記材料ホースの先端側が接続されて、前記エア圧送管からの圧縮空気によって前記補修材を前記ノズル部から噴射するものである構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また更に、本願発明に係る構造物狭隘部における補修部形成装置は、1つ又は複数の型枠を備え、前記型枠の少なくとも1つは、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ、前記構造物狭隘部内へ挿入されて前記被補修部位を覆うものであり、前記型枠には注入孔が設けられ、前記補修材供給部は、前記型枠に覆われた前記被補修部位へ前記注入孔から前記補修材を充填させることを可能とするものであり、前記型枠は、当該補修部形成後、前記構造物から取り外されるものである。
更にまた、本願発明では、前記被補修部位が、少なくとも前記上部工の前記端面から前記橋梁工の下面へ連続するようコンクリートの除去された空間であり、前記型枠として縦にして前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部へ挿入することができる縦型枠と横にして前記上部工の下面に当てることができる横型枠とを含むと共に、少なくとも前後に膨張することができる膨張体を備えるものであり、前記被補修部位の下部へ前記横型枠を配置し、前記構造物の側面視において、前記横型枠と共に前記被補修部位を取り囲むよう、前記縦型枠を立てた状態にして前記横型枠の上面に載せ或いは前記横型枠へ連結し、前記膨張体を、前記被補修部位へ対向する前記端面と前記縦型枠との間に配置し膨張させることにより、前記横型枠から前記縦型枠が外れるのを防止しつつ、前記横型枠と前記縦型枠とに囲まれた前記被補修部位へ前記補修材供給部にて前記補修材を充填するものであり、補修部形成後、前記縦型枠、横型枠及び膨張体を前記構造物から取り外す構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また、本願発明は、高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成方法について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、この方法は、前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、前記補修材を供給する補修材供給部を用い、前記補修材供給部の前後の幅が前記端面間の幅より小さく、前記補修材供給部には、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ当該挿入状態において前記補修材の送り方向を当該挿入方向と交差する方向とする先端側区間を備えるものを用い、前記被補修部位へ向けて前記補修材を充填又は吹き付ける。
更に、本願発明は、高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成装置について次の構成を採るものを提供できた。
即ち、この装置は、前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、前記被補修部位は、少なくとも前記上部工の前記端面から前記橋梁工の下面へ連続するようコンクリートの除去された空間であり、前記上部工は、橋脚の上面に支承を介して配置された桁部材と、前記部材の上部へ一体に設けられた上部部材S4とを備える構造のものであり、構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、前記補修材を供給する補修材供給部を備え、縦にして前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部へ挿入することができる縦型枠と横にして前記上部工の下面に当てることができる横型枠とを含むと共に、少なくとも前後に膨張することができる膨張体を備え、前記被補修部位の下部へ前記横型枠を配置し、前記構造物の側面視において、前記横型枠と共に前記被補修部位を取り囲むよう、前記縦型枠を立てた状態にして前記横型枠の上面に載せ或いは前記横型枠へ連結し、前記膨張体を、前記被補修部部位へ対向する前記端面と前記縦型枠との間に配置し膨張させることにより、前記横型枠から前記縦型枠が外れるのを防止しつつ、前記横型枠と前記縦型枠とに囲まれた前記被補修部位へ前記補修材供給部にて前記補修材を充填するものであり、前記縦型枠又は前記横型枠には、注入孔が設けられ、前記補修材供給部は、補修材の送り方向を下方から上方とする上下区間を備え、橋脚側から前記注入孔へ向けて補修材を供給し、前記補修材供給部は、前記型枠に覆われた前記被補修部位へ前記注入孔から前記補修材を充填させることを可能とするものであり、補修部形成後、前記縦型枠、横型枠及び膨張体を前記構造物から取り外すものである。
また、本願発明は、前記補修部形成に先立ち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、流体を前記構造物端面へ噴射してコンクリート構造物のはつりを行う構造物狭隘部のはつり装置を備えるものであり、次の構成を採る構造物狭隘部における補修部形成装置を提供する。
即ち、前記はつり装置は、前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ加圧した流体を噴射するノズルを備えた噴射部と、前記構造物狭隘部内において前記噴射部を前記構造物の全幅方向即ち左右方向に沿って移動させることができる移動部と、前記構造物狭隘部内へ挿入でき且つ前記噴射部の荷重を受け当該荷重を構造物へ直接伝達する噴射部支承部とを備え、前記噴射部支承部は、移動部に連動して前記噴射部を移動させることができ、前記移動部へ前記噴射部の荷重が掛るのを抑制する。
更に、本願発明では、はつり装置の前記噴射部は、前記ノズルとして高圧水を噴射してコンクリートをはつるウォータージェットノズルを先端に備えた高圧パイプであり、前記噴射部の基端側は高圧ポンプへ接続されるものであり、前記噴射部支承部は、前記構造物へ固定されたものであり且つ上面へ前記噴射部が載置されて固定されるスライド部を備え、前記移動部は、間接或いは直接的に前記スライド部を左右方向へスライドさせることにより、前記構造物狭隘部内にて噴射部の少なくとも前記ノズル側を左右方向へ移動させるものである構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また、本願発明では、前記噴射部支承部は、前記構造物へ固定され且つ前記スライド部の前記左右方向への移動をガイドするガイドレールを備え、前記移動部は、前記構造物狭隘部内にて構造物の左右に渡され前記構造物狭隘部内へ前記左右方向に沿って配置されたワイヤーロープ等線条部材と、前記線条部材を移動させる駆動部と、前記線条部材へ前記噴射部を固定する固定部材とを備え、前記線条部材の移動にて前記スライド部と共に前記噴射部を移動させるものである構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
更に、本願発明では、前記線条部材は、環状にされ、前記固定部材は、噴射部の回り止めを構成するものであり、前記噴射部は、前記線条部材の循環により、前記固定部材と共に前記構造物狭隘部内を左右に移動することができ、環状の前記線条部材の循環経路は、前記経路の他の区間よりも上方の上方区間と、当該上方区間の下方に位置する下方区間とを有し、前記上方区間と下方区間の一方において、前記固定部材は、前記線条部材に固定され或いは前記線条部材の環の一部をなし線条部材の前記循環に伴い構造物狭隘部内を左右へ移動することができ、前記固定部材は、上下方向について、前記上方区間から下方区間へ掛けて配置されるものであり、前記固定部材には、前記上方区間と下方区間の他の一方において、前記線条部材を通す挿通部が設けられ、線条部材の前記挿通部に通された部位は、前記固定部材に対し左右に移動でき、前記固定部材の少なくとも前後方向への移動が線条部材の前記挿通部に通された部位に制限されて、前記固定部材と共に前記噴射部が噴射の反動で回るのを抑制する、構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また、本願発明では、前記ノズルを覆うカバーを備え、前記カバーは、はつる部位のある前記構造物端面と対面する方向を前記ノズルに対し開放する開放部を備え、前記カバーは、前記開放部以外において前記ノズルを覆うものであり、前記構造物端面のはつる部位以外に流体が飛散するのを抑制する、構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
更にまた、本願発明では、前記補修部形成に先立ち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、流体を前記構造物端面へ噴射してコンクリート構造物のはつりを行うものであって、次の構成を採る構造物狭隘部における補修部形成方法を提供できた。
即ち、前記はつりは、前記構造物狭隘部内へ挿入することができ加圧した流体を噴射するノズルを備えた噴射部と、前記構造物狭隘部内において前記噴射部を前記構造物の全幅方向即ち左右方向に沿って移動させることができる移動部と、前記構造物狭隘部内へ挿入でき且つ前記噴射部の荷重を受け当該荷重を構造物へ直接伝達する噴射部支承部とを用い、
前記噴射部支承部には、前記移動部と別体に形成されると共に移動部に連動して前記噴射部を移動させるものを採用し、前記移動部へ前記噴射部の荷重が掛るのを抑制する。
また、本願発明は、前記コンクリート構造物のはつりに先だち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、構造物の劣化試験用の試料として前記構造物のコンクリートの一部を採取する劣化試験用試料採取装置を備える、構造物狭隘部における補修部形成装置について、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、前記劣化試験用試料採取装置は、切削部と、操作部と、採取部とを備え、前記切削部は、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つコンクリートをはつり取ることが可能なビットを備えたものであり、前記操作部は、前記切削部と一体又は別体に形成された棒状体であり、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ差し込み、作業者の操作にて前記切削部を前記構造物狭隘部内の所望の位置へ配置させることができ、前記採取部は、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができる受け部を備え、前記切削部がはつり採った構造物のコンクリートの砕粉を受けるものである。
更に、本願発明では、前記劣化試験用試料採取装置が、前記構造物狭隘部内において前記構造物の全幅方向即ち構造物の左右に渡って配置され前記切削部の前記構造物狭隘部内での左右の移動をガイドする細長のガイド部を備え、前記切削部又は前記操作部を前記ガイド部へ支持させることにて、前記ガイド部に沿って、前記切削部を左右方向へ移動させることができ、前記切削部は、前記操作部の先に前記操作部と一体に設けられ、前記切削部は、前記操作部の軸と交差する方向に突出する短軸と、当該短軸の先に前記ビットとして設けられたドリルビットとを備えたエアツールであり、前記切削部は、前記構造物狭隘部の外部に配置されたエアコンプレッサから駆動力を得て前記短軸を中心として前記ドリルビットを回転させることができ、前記構造物の右又は左側において、前記操作部の基端側を握って前記操作部を回転させることにより、前記操作部の軸を中心として前記短軸を旋回させて、前記ドリルビットを構造物の前記端面に当てることができ、採取部の前記受け部は、前記構造物狭隘部内にて前記ドリルビットの近傍へ配置することができる樋状のものであるものを提供できた。
また、本願発明では、前記受け部について、集塵機に接続されて、前記砕粉を吸引することができる造物狭隘部におけるものを提供できた。
更に、本願発明では、前記ガイド部は、前記切削部又は前記操作部を、前記ガイド部へ吊るした状態にして左右の移動を案内するワイヤーロープであり、前記操作部は、中空の筒状体であり、前記操作部の内部に前記エアツールの本体が設けられ、左右に伸びる前記操作部の、側部先端側は、前記操作部の周方向について一部を残して上部側が開放された区間を開放部位として備え、側部先端側において当該周方向の下部側が樋状の前記受け部を構成するものであり、前記切削部は、操作部の前記開放部位から、前記短軸を操作部の軸方向と直交する方向に突出させたものを提供できた。
また更に本願発明では、前記コンクリート構造物のはつりに先だち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、構造物の劣化試験用の試料として前記構造物のコンクリートの一部を採取する劣化試験用試料採取を行うものであって、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、劣化試験用試料採取は、前記切削部と、操作部と、採取部とを用いるものであり、前記切削部には、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つコンクリートをはつり取ることが可能なビットを備えたものを採用し、前記操作部には、前記切削部と一体又は別体に形成された棒状体であるものを採用し、前記採取部には、前記構造物の右又は左側から前記狭隘部内へ挿入することができる受け部を備えるものを採用し、作業者が、前記操作部を、前記構造物の右又は左側から前記狭隘部内へ差し込み、操前記切削部を前記構造物の右又は左側から前記狭隘部内にて、前記切削部を前記狭隘部内の所望の位置へ配置させ、前記切削部にて構造物のコンクリートを切削し、前記切削部がはつり採った構造物のコンクリートの砕粉を、前記採取部にて受けるものである。
更に本願発明では、欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間とし、前記補修部形成に先立ち少なくとも前記計測空間の前記構造物端面から後退する深さを計測することができる計測装置を備え、測定動作前の前記計測装置の前後の幅は前記端面間の幅より小さなものである構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また本願発明では、前記計測装置が、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができる案内部と、案内部の前記挿入方向と交差する方向に向けて前記案内部から出没可能な出没部と、前記出没部の突出幅を検出する深さ検出部とを備え、前記案内部を構造物狭隘部へ挿入した状態にて、前記計測空間にて前記出没部を突出させることができ、前記深さ検出部にて前記出没部の突出幅を検出することにより、前記計測空間の深さを検知することを可能とする構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
更にまた本願発明では、前記案内部は、構造物狭隘部への挿入方向に沿って伸びる長尺の部材であり、前記計測装置は、前記案内部へ案内される被案内部を備え、前記被案内部は、前記案内部に案内され、前記案内部に対し前記案内部の伸びる方向に沿って変位することができ、前記被案内部の先端側が前記出没部を構成するものであり、前記案内部は、先端側に前記被案内部の先端側を突き当てる突当り部を備え、前記被案内部は、前記案内部の伸びる方向を長手方向として伸び、前記変位にて前記突当り部へ突き当たることによって撓むものであり、前記案内部を構造物狭隘部へ挿入した状態において、前記被案内部の先端側を前記突当り部へ突き当てて前記案内部の伸びる方向と交差する方向へ向きを変えさせることにより、前記被案内部の先端側を前記出没部として、前記案内部から突出させる構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
また更に、本願発明では、前記案内部は、中空の内部へ前記被案内部を収容する筒状体であり、前記案内部の構造物狭隘部内への挿入方向について前記案内部を移動させることができる案内移動部と、前記挿入方向について前記案内部の位置を検出する位置検出部とを備え、前記突当り部は前記案内部の先端側を閉鎖するものであり、前記案内部の先端側の側面は、筒状の前記案内部の内部と外部とを連絡する開口部を備え、前記案内部を構造物狭隘部へ前記挿入した状態において、前記被案内部の基部側を前記案内部の基端側から前記案内部内へ押し込むことにて、前記被案内部の先端側を前記突当たり部へ突き当てて、前記開口部から前記出没部を突出させることができ、前記深さ検出部は、被案内部の前記出没部へ当該出没方向に沿ってふられた目盛りと、前記案内部に設けられたカメラとを備え、前記カメラは、前記構造物狭隘部の外部にて少なくとも前記開口部から露出している前記目盛りを確認することができる或いは少なくとも前記開口部から露出している前記目盛りを録画することができるものであり、前記位置検出部により前記挿入方向についての前記出没部の位置を検出でき、前記位置検出部が検出した各位置において前記深さ検出部により計測空間の深さを検出することにて、計測空間の大きさを検知可能とする構造物狭隘部における補修部形成装置を提供できた。
更に本願発明は、欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間とし、前記補修部形成に先立ち少なくとも前記計測空間の前記構造物端面から後退する深さを、計測装置にて計測するものであり、前記計測装置は、計測動作前の前後の幅を前記端面間の幅より小さく構成したしたものである構造物狭隘部における補修部形成方法を提供できた。
本願発明は、構造物(上部工)の左右や下方から構造物狭隘部にて補修部を形成することができる。このため、構造物の上方から施工を行う工法と異なり、構造物上の通行の規制を行う必要ない。
また特に、噴射装置にて吹き付けにより補修部を形成する場合、当該噴射装置を、圧縮空気をコンプレッサからノズルへ送るエア圧送管を主管とし、エア圧送管の途中にモルタル等の補修材を送る材料ホースの先端を、エア圧送管の途中に接続することによって、図12へ示す補修材を送る材料導管bを主管としてノズル部aに接続し材料導管bの途中にエアホースcを接続する従来の噴射装置に比して接続するホースを細く易く装置を小型化することが容易である。このため、本願発明では構造物の狭隘部にて補修を行うのに好適な装置を提供できる。本願発明の上記噴射部は、補修材の吹き付けにて補修部を形成する際特に適したものである。
更に、本願発明では、型枠を用いて円滑な補修部の形成を行うことも可能となった。
また、本願の発明では、構造物狭隘部における流体の噴射による構造物のはつりにおいて、噴射部支承部が噴射部の荷重を受けることにより、移動部に掛る噴射部の荷重を緩和することが可能となった。これによって、噴射部に比較的大量の流体を送り込み高圧にて噴射することができる。従って、噴射部によるはつりにて劣化コンクリートを除去する際、より深くコンリートを深くはつることが可能となった。例えば、構造物内部の鉄筋を露出させるまでコンクリートをはつることが可能となった。
特に、本願発明では、構造物の左右にて上記はつり作業を行うことができる。このため、構造物の上を移動する車両等の交通を規制する必要がない。
また、本願発明は、特に固定部材を回り止めとすることによって、噴射部による噴射の反動にて、噴射部が線条部材にて回るのを抑制できた。
また、上記カバーを備えることにより、流体の噴射にて被処理部位以外の部位が損傷するのを抑制することができた。
更にまた、本願発明では、高架道路の継ぎ手等が設けられる構造物狭隘部からコンクリートの劣化を調べる試料を採取するに適した劣化試験用資料採取装置を備えたものの提供を可能とする。
特に、劣化試験用資料採取装置を備えることにより、上記の構成を採る本願発明では、構造物の左右にて試料採取の作業を行うことができる。このため、構造物の上を移動する車両等の交通を規制する必要がない。
また、劣化試験用資料採取装置を備えることにより、簡易な構成にて、比較的少人数で作業を遂行することができる。更に、構造物狭隘部から試料を適切な状態で確実に採取することができる。とりわけ、エアツールを利用して切削により試料砕粉を得、当該試料砕粉を、集塵機にて採取することによって、試料を濡らすことなく採取することができる。
従来、狭隘なコンクリート壁面からの劣化試験用試料採取は不可能であったため、狭隘部以外の場所から試料を採取し、狭隘部の劣化を推定するしかなかったが、本願発明により、正確な劣化範囲の判定ができるため、的確な補修範囲の決定が可能となった。
更に、本願発明では、欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間として、前記補修部形成に先立ち、計測装置にて少なくとも当該空間の深さを調べておくことができる。即ち、上記計測装置により、劣化によって生じた欠陥の深さを予め検出ことができる。また、上記計測装置により、欠陥をはつったことにて形成された空間の深さを補修部形成に先立ち調べることができる。特に、はつったことにて形成された空間の各位置において当該空間の深さを上記計測装置で計測し当該空間の大きさを調べることができる。上記にて当該空間の大きさを調べることにより、補修部形成のために必要な充填材料の量を簡便に知得することができる。
上述した通り、本願発明では、劣化部分の試料採取から、特定した劣化部分の除去・補修部の形成まで、一貫して、交通規制を行う必要なく、全工程を遂行することができる。
(A)は、本願発明の一実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の側面図、(C)は(B)の一部切欠要部拡大側面図、(D)は(C)の変更例を示す一部切欠要部拡大側面図、(E)は(C)の他の変更例を示す一部切欠要部拡大側面図。 (A)は図1の略平面図、(B)は補修材供給部の要部拡大平面図、(C)は(B)の補修材供給部を用いた補修部形成装置の正面図、(D)は(C)の側面図、(E)は(C)の一部切欠要部拡大側面図。 (A)は本願発明の実施に適した試料採取装置の正面図、(B)は(A)の平面図。 (A)は図3の側面図、(B)は(A)の要部拡大図。 図3の要部拡大略斜視図。 本願発明の実施に適したはつり装置の正面図。 図6の要部拡大図。 構造物狭隘部を示す略側面図。 (A)は図6のはつり装置にて実施するに適した噴射部についてカバーを透視した状態の略平面図、(B)は図6のはつり装置にて実施するに最適な噴射部についてカバーを透視した略側面図。 (A)は図6のはつり装置にて実施するに適した噴射部の一部切欠略正面図、(B)は(A)のX−X略断面図、(C)は(A)のY−Y略縦断面図、(D)は(B)の要部拡大図。 (A)は本願発明の変更例を示す要部平面図、(B)は(A)の正面図、(C)は(A)の側面図、(D)は(A)の底面図。 従来の噴射部の説明図。 (A)は本願発明の実施に適した計測装置の使用状態を示す正面図、(B)は(A)の平面図。 (A)は図13の側面図、(B)は(A)の要部拡大図。 図13に示す計測装置の要部拡大正面図。 図15に示す計測装置の縦断面図。 図15に示す計測装置の側面図。
以下、図面に基づき本願発明の一実施の形態を説明する。図1及び図2は、本実施形態の劣化試験用試料採取装置を構造物狭隘部Gに配置した状態を示す。
尚、下記の説明における上下左右の表現は、図1(B)に示した、コンクリート構造物Sの端面S5に向かって即ち当該端面S5を正面に見て各方向を示すものである。
[補修部の形成]
(補修対象)
この装置は、コンクリート構造物S、例えば、道路橋、鉄道橋、人道橋、水路橋等のコンクリート橋梁をはじめとするコンクリート構造物S(図8)の、構造物狭隘部Gを画するコンクリート構造物の端面S5について補修を行うことができる。
構造物狭隘部Gは、通行方向について前後のコンクリート構造物Sの上記端面に挟まれた遊間部である。
この実施の形態において、構造物狭隘部Gを画する上記端面S5にて被処理部位Sf(図6及び図10(B)(C))からコンクリートを除去することによって生じた被補修部位Sg(図2(A)(D)(E))である空間へ、新たにコンクリートを打って補修部を形成するものである。
このコンクリート構造物Sは、例えば、図1(A)に示すように、橋脚S1の上面S10に、支承S2を介して桁部材S3が配置された構造とされており、この桁部材S3の上部には一体に上部部材S4が設けられたものである。以下必要に応じて、桁部材S3と上部部材S4とをまとめて上部工と呼ぶ。
補修部の形成前、構造物狭隘部Gの左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって、被補修部位Sgとして、少なくとも前記上部工の前記端面S5から前記橋梁工の下面へ連続するようコンクリートが除去された空間を形成しておく。この除去処理については、後述する前処理の3)はつり処理の説明にて好適な手段を例示する。
補修は、上記被補修部位Sgへ新たに補修材としてモルタルを打って補修部を形成するものである。
上記の補修部の形成の方法としては、充填工法と吹付工法とがある。
前記充填工法は、型枠を設置して型枠内に補修材となる材料を流し込む工法である。充填工法では、補修材には流動性の高いものを用いて被補修部位Sgの隅々まで補修材の充填を行うことができる。充填工法は、型枠の設置を必要とし、材料硬化後に型枠を撤去する必要があるが、複数の補修個所をまとめて一度に施工することができるというメリットがある。
前記吹付工法は、材料を圧縮空気で対象箇所即ち被補修部位Sgに吹き重ねる工法である。吹付工法では、材料に接着性が高く剥離が起こり難いものを用いる。吹付工法は、一度に材料を積層出来ず、吹き付けるため対象箇所とのスタンドオフ(離れ)を必要とするが、
型枠不要のメリットがある。
被補修部位Sgが深く構造物狭隘部の遊間が狭い(50mm以下)場合、上記充填工法が適する。
被補修部位Sgが広く浅いものであり構造物狭隘部の遊間が広い(50mm以上)場合、上記吹付工法が適する。
以下、充填工法を用いるものを例示する。
(補修部形成装置の主要部)
図1(A)〜(C)及び図2(A)へ示す通り、この補修に用いる補修部形成装置は、型枠と、膨張体203と、補修材供給部260とを備えるものである。ここでは、上記型枠が縦型枠201と横型枠202とにて構成されたものを例示する。また、この例では、上記補修部形成装置は、縦型枠移動部204と、横型枠支持部205とを備える。
以下主要部各部の具体的構成について説明する。
(縦型枠201)
図1(B)へ示す通り、縦型枠201は、縦にして前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部Gへ挿入することができる略矩形のパネルである。詳しくは、長手方向を構造物Sの全幅方向即ち左右方向にして立てた状態における縦型枠201の前後の幅即ち縦型枠201のパネルの厚みは、上記構造物狭隘部Gの幅即ち一般の各桁部材S3(上部工)の端面S5間の寸法である20mm〜100mmよりも小さいものとする。但し、桁部材S3の端面間の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、縦型枠201の上記幅も、上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさのものであっても実施できる。
縦型枠201には、金属製、木製、樹脂製、或いはこれら素材の複合材製の型枠を採用することができる。特に、鋼板などの金属製の型枠は、繰り返し利用できる点で優れる。
(横型枠202)
図1(B)へ示す通り、横型枠202は、縦型枠201と別体に形成されたものであり、横にして桁部材S3(上部工)の下面S30へ当てることができる略矩形のパネルである。具体的には、横にした横型枠202の上下の幅即ち横型枠202のパネルの厚みは、橋脚S1の上面S10と桁部材S3の下面S30との間の間隔よりも小さい。
横型枠202には、縦型枠201と同様、金属製、木製、樹脂製、或いはこれらの素材の複合材製の型枠を採用することができる。
図1(B)へ示す通り、構造物Sの側面視において、前記横型枠と共に前記被補修部位Sgを取り囲むように、前記縦型枠201は、立てた状態にして横型枠202の上面に載せられ、縦型枠201と横型枠202とが交差するコーナーを形成する。
(膨張体203)
膨張体203は、この例では流体を注入することによって膨らませることができるものである。膨張体203は、柔軟な、袋状体やチューブを採用することができる。膨張体203には、空気を注入することによって膨張させることができるゴムチューブが最適である。ゴムチューブは、使用後空気を抜くことによって縮めることができる。
膨張体203をゴムチューブとすることによって、狭い構造物狭隘部Gへの挿入が極めて円滑に行える。
この例では、膨張体203は縦型枠201の外側即ち補修材と接触する面と反対側の面に固定されている長尺のチューブである。長尺の当該膨張体203は、長手方向を横方向にして縦型枠201へ設けられている。但し、膨張体203は、長手方向を縦方向として縦型枠2へ複数並行設けられるものであってもよい。また、膨張体203は、略球に形成されたものとし複数を、縦型枠201の上記外側の面へ分布させるものとしてもよい。
図示した例では、膨張体203は上下に3本設けられている。但し、縦型枠201の横型枠202からの脱落を適切に抑えることができれば、膨張体203は、1本や2本、4本以上であっても実施できる。
膨張体203は、縮んだ状態において、縦型枠201と共に前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部Gへ挿入することができる大きさのものとする。コンプレッサ(図示しない。)により流体(空気)を膨張体203へ注入することにて、構造物狭隘部G内において膨張した膨張体203は、被補修部位Sgのある端面S5へ添わされた縦型枠201と当該端面S5と対面する他方の端面S5との間にて突っ張り、縦型枠201が横型枠202の上から脱落するのを抑止する。
(縦型枠移動部204)
縦型枠移動部204は、構造物狭隘部G内にてコンクリート構造物Sの全幅方向即ち左右方向に前記縦型枠201を移動させるものである。この縦型枠移動部204にて前記補修部位へ縦型枠201を配置することができるのである。
具体的には、縦型枠移動部204は、環状にされて構造物狭隘部G内にて左右に渡された線状体204aと、構造物Sの左右に配置された一対の支持体241と、一方の支持体241へ設けられて線状体204aを循環させる循環駆動部242と、他の一方の支持体241に設けられた滑車243とを備える。循環駆動部242はモータにて自転するプーリである。線状体204aは、長尺で環状に形成することができるものであればよく、線状、紐状或いはチェーン等の索状体を採用することができる。線条体204aには、この例では、ワイヤーロープを採用する。
線状体204aは、上記両支持体241に架け渡されて構造物狭隘部G内に配置され左右に伸びる。詳しくは線状体204aは、上記循環駆動部242と滑車243とに架けられる。
縦型枠201の固定手段については省略するが周知の固定具にて、縦型枠201は、線状体204aへ吊され、線状体204aの前記循環にて、構造物狭隘部S内へ出し入れでき、また、構造物狭隘部S内で左右に移動することができる。即ち、線状体204aの前記循環にて、縦型枠201を移動させ前記被補修部位Sgへ配置することができるのである。
前記チューブ即ち膨張体203は、縦型枠201において、線状体204aや上記固定具を干渉しない位置に設けておく。
(横型枠支持部205)
横型枠支持部205は、橋脚S1の上面S10へ置かれ、前記被補修部位Sgの下部へ配された横型枠202と、橋脚S1上面S10との間に介される。
図1(A)(B)へ示す通り、この例では、横型枠支持部205は、上下に伸縮するジャッキである。
即ち、横型枠支持部205は上下の幅を縮めた状態において、上記の通り、横型枠202と共に桁部材S3の下面S30と橋脚S1上面S10との間へ配置することができる。
そして、横型枠支持部205の上下の幅を伸ばすことによって、横型枠支持部205は横型枠202を上方へ向け押圧し、横型枠202を支持する。
(補修材供給部260)
図1(C)及び図2(A)へ示す通り、補修材供給部260は、モルタルミキサ(図示しない。)と、当該モルタルミキサに接続されたポンプ(図示しない。)と、当該ポンプに接続された供給ホース261とを備える。
この例では、供給ホース261の先端が縦型枠201へ設けられて、モルタルミキサからモルタルを型枠内即ち被補修部位Sgへ導入する。具体的には、縦型枠201を前後に貫通する注入孔211が設けられている。縦型枠201の配置前、注入孔211へ供給ホース261の先を差し込んだ状態にして、線状体204aの前記循環にて縦型枠201を移動させ縦型枠201と共に供給ホース261の先を被補修部位Sgへ向けて配置することができる。そして注入孔211を通じて被補修部位Sgへ向けられた供給ホース261の先から補修材を被補修部位Sgへ充填して行くことができる。
より詳しくは、図1(C)及び図2(A)へ示す通り、構造物狭隘部Gの右又は左側から構造物狭隘部G内へ先端側が挿入された供給ホース261は挿入方向と交差する方向に先端側が曲げられた先端側区間262を備える。この先端側区間262の前後の幅は、上記の構造物狭隘部Gの前後両端面S5間の幅よりも小さい。先端側区間262の前後の幅を上記の通り設定することによって、縦型枠201と共に供給ホース261を構造物狭隘部G内で円滑に移動させることができる。供給ホース261をフレキシブルなホースとすることにより、当該フレキシブルホースの先を注入孔211に合わせ湾曲させて一時的に先端側区間262を形成するものとすることができる。
但し、供給ホース261の先端にノズルその他の口金を設ける場合は、先端側区間262となる湾曲部が賦形された口金を採用すればよい。
この他ホース261は、被補修部位Sgの位置によっては、横型枠202へ設けるものとして実施することもできる。
特に上記の充填工法に適した補修材としては、無収縮ポリマーセメントグラウトを利用するのが好ましい。上記無伸縮ポリマーセメントグラウトには、粉末ポリマーがプレミックスされており、現場で水と練り混ぜるだけで品質の安定したものを採用するのが最適である。
(補修方法)
次に、上記補修部形成装置を用いた補修の方法について説明する。
この方法では、a)縦型枠移動部設置工程、b)縦型枠配置工程、c)横型枠支持部設置工程、d)横型枠配置工程、e)膨張体膨張工程、f)補修材供給工程、g)硬化工程、h)撤去工程とを順に遂行する。
上記a)縦型枠移動部設置工程にて、前記支持体241を構造物狭隘部Gを挟んで構造物Sの左右に配置し、循環駆動部242と滑車243とへ環状にした線状体204aとを掛けることによって、線状体204aを構造物狭隘部Gへ配置する。また、張力調整部を設けて、線状体204aのテンションを調整しておくのが望ましい。
上記b)縦型枠配置工程にて、構造物Sの右又は左側から縦型枠201を構造物狭隘部G内へ挿入し、縦型枠201を線状体204aへ取り付ける。
取り付け後循環駆動部242を作動させて線状体204aを循環させることによって、縦型枠201を被補修部位Sgへ配置する。
上記c)横型枠支持部設置工程において、上下の幅を縮めた状態にして横型枠支持部205を、橋脚S1上面S10にて被補修部位Sgの下方に配置する。このとき縦型枠201が横型枠202の上に載るように横型枠202を配置する。横型枠202の上に縦に縦型枠201を載せた状態とすることによって、縦型枠201と横型枠202とにてコーナーを形成しつつ被補修部位Sgを両型枠201,202に取り囲ませる。
d)横型枠配置工程において、横型枠202を桁部材S3の下面S30の被補修部位Sgのある位置へ配置する。この配置に伴って上記型枠支持部205の上下の幅を伸ばして横型枠支持部205に横型枠202を支持させる。
上記e)膨張体膨張工程において、コンプレッサを作動させて膨張体203を膨らませて、縦型枠201と、構造物Sにおいて被補修部位Sgのある端面S5に対向する端面S5とを膨張体203にて押圧する。
上記f)補修材供給工程において、上記補修材供給部により、上記ポンプを作動させて補修材であるモルタルをホースから被補修部位Sg内へ導入する。
必要に応じて、横型枠支持部205を調整して、被補修部位Sgへ補修材が充填された横型枠202を押圧する。
補修材を型枠内へ充填した後、上記g)硬化工程によって、補修材が硬化するまで必要な時間、型枠が被補修部位Sgを取り囲んだ状態を維持する。即ち、横型枠支持部205にて横型枠202を押圧し、膨張体203を膨らませた状態を維持する。
補修材の上記硬化後、上記h)撤去工程により、型枠を撤去する。
具体的には、横型枠支持部205の上下の幅を縮めて横型枠202を外し、上記コンプレッサにて負圧を供給して膨張体203を縮め、循環駆動部242を前記と逆に作動させて線状体204aを逆循環させることによって、縦型枠201をコンクリート構造物Sの外部へ搬出する。
(補修部形成装置の変更例)
上記において、縦型枠201は横型枠202の上に単に載せられるものとした。この他、溝や臍などの係合部を、縦型枠201や横型枠202へ設けて、縦型枠201と横型枠202とをより確実に一体にするものとしてもよい。
上記において縦型枠移動部204は、線状体204aを用いるものとした。この他、縦型枠移動部204には、縦型枠201を構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部G内へ挿入し左右方向へ移動させることができるスライドテーブルなどの他の手段を採用するものとしてもよい。
また上記において、横型枠支持部205にはジャッキを例示した。この他横型枠支持部205には、流体圧にてシリンダからピストンが上下に出没するアクチュエータなど他の手段を採用することができる。また、膨張体203についても、上記と同様のアクチュエータを用いるものとしても実施できる。但し、膨張体203を流体の注入により膨らむものとすることによって構造物狭隘部G内への挿入が円滑に行える。
更に型枠は、上記の縦型枠201と横型枠202とが当初より一体に形成されたものであっても実施できる。更に、図1(B)へ示す被修復部位Sgが桁部材S3の下面S30に達するものでない場合、図1(E)へ示す通り、型枠として縦型枠201のみ用いて実施すればよい。また、横型枠202を用いる場合、図1(D)へ示すように、横型枠202へ横型枠202を上下に貫通するよう注入孔211を設けて実施することができる。この場合、図1(D)へ示すように、補修材供給部260は、補修材の送り方向を下方から上方とする上下区間263を備え、橋脚S1側から注入孔211へ向けて補修材を供給する。具体的には、補修材を圧送するコンプレッサ(図示しない。)を橋脚S1の上面S10と桁部材S3の下面S30との間或いは桁部材S3下方の他の位置へ配置し、口金及び供給ホース261が提供する上記上下区間263を通じて横型枠202の注入孔211へ向けて下方から上方へ補修材を圧送することができる。更に上記図1(C)に示す例において、補修材供給部260は、前述の先端側区間262と、上記上下区間263の双方を備えるものとし、補修材を圧送するコンプレッサ(図示しない。)を橋脚S1の上面S10と桁部材S3の下面S30との間或いは桁部材S3下方の他の位置へ配置し、構造物狭隘部Gの下方から構造物狭隘部G内に補修材供給部260の先端側を挿入するものとしても実施できる。
尚、例示した型枠の数量や形態に拘わらず、適切な位置に補修材を充填するために上記注入孔を例示した位置と異なる他の位置に設けて実施することを制限するものではない。
図示した実施の形態や上記型枠の変更例において、型枠は被補修部位Sgを密閉するものではなく、補修材充填時に空気を抜く隙間を型枠と被補修部位Sgとの間へ持つものとして実施するのが好ましい。空気抜きには、上記隙間以外に、空気吹き用の孔を型枠へ設けるものとしても実施できる。
次に、前述の吹付工法に適した補修材供給部260について説明する。
この補修材供給部は、モルタル即ち補修材を噴射する噴射装置206を備える。上記噴射装置206はノズルを備え、上記ホースの先端に設けるものである。
特に、噴射装置206として、図2(B)へ示すものを用いて実施することができる。
この噴射装置206は、補修材を噴射するノズル部207と、上記ポンプから補修材を前記ノズル部207に向けて送る材料ホース208と、エア圧送管209とを備える。
エア圧送管209は、先端側がノズル部207に接続されると共に基端側がコンプレッサ(図示しない。)に接続されている。エア圧送管209は、コンプレッサにて圧縮された空気をノズル部207側へ向けて送るものである。即ち、この噴射装置206は、エア圧送管209を主管としエア圧送管209のノズル部に至るまでの途中区間へ材料ホース208の先端側が接続され、エア圧送管209からの圧縮空気によって補修材をノズル部207から噴射する。
具体的には、図2(B)へ示す通り、エア圧送管209は、金属製のパイプである。エア圧送管209は、真直ぐ伸びる直線区間209aと、直線区間209aから屈曲する屈曲区間209bとを備える。屈曲区間209bは、ノズル部207と直線区間209aとの間に設けられ、ノズル部207の向きをエア圧送管209の直線区間209aの軸方向に対し交差する方向へ向ける。この例では、屈曲区間209bは、直線区間209aの軸方向に対し、略直角に屈曲している。即ちこの例では、屈曲区間209bの形成により、前記先端側区間262が形成されている。
エア圧送管209は、直線区間209aに対し直角に短筒状の接続管209cが設けられている。この接続管209cへ材料ホース208が接続される。
補修材は、直線区間209aに対し直角方向から直線区間209a内へ侵入して、直線区間を直進する圧縮空気へ合流するのである。
この例では、図2(B)へ示すように、エア圧送管209の直線区間209aは、前後2つの導管にて構成されている。図2(B)へ示す通り、当該2つの導管は横にした状態にて、T字型接続管209dを介して横一直線に接続され一つの直線区間209aをなす。また材料ホース208はT字型接続管209dへ縦に接続されている。即ちT字型接続管209dの上下の伸びる縦管が上記接続管209cを構成する。
上記のエア圧送管209の基端にはエアカプラ209fが設けられている。エアカプラ209fには、ホース209eが接続される。即ち、エア圧送管209の基端側は、ホース209eを介して上記コンプレッサと接続されている。
上記の噴射装置206は、構造物の左右から、上記の縦型枠201と横型枠202とに囲まれた空間へ補修材を噴射する。
但し、補修材供給部260は、上記噴射装置206を用いるものに限定するものではなく、型枠内へ補修材を充填するのに補修材の噴射が不要であれば、補修材供給部には、上記噴射装置を備えないものを採用することができる。
また、上記構造を採る噴射装置206は、一般的な補修材の吹き付けによる補修部の形成にも適する。即ち、上記構造を採用することにより、構造物の狭隘部の補修に限らず、補修作業スペースの確保が難しい現場での補修材の吹き付けに適する噴射装置を提供することができる。
一方、構造物の上記狭隘部Gにおける補修部の形成についても、必要に応じ、上記構造の噴射装置を用いた周知の吹き付け工法により行うこともでき、この場合、上記縦型枠201や横型枠202、膨張体203は、設置する必要がなく、外しておけばよい。
具体的には、上記の吹き付けにて補修部を、被補修部位Sgへ形成する場合、構造物の狭隘部G内にて上記噴射装置206を被補修部位Sgへ配置する方法として、図2(C)〜(E)へ示す通り、前出の縦型枠移動部204と同様の移動部を構造物狭隘部G内にて噴射装置206を移動させる噴射装置移動部(以下必要に応じて噴射装置移動部204と呼ぶ。)として用いればよい。前述の縦型枠移動部204として説明した通り、噴射装置移動部204は、環状にされて構造物狭隘部G内にて左右に渡された線状体204aと、構造物Sの左右に配置された一対の支持体241と、一方の支持体241へ設けられて線状体204aを循環させる循環駆動部242と、他の一方の支持体241に設けられた滑車243とを備える。循環駆動部242はモータにて自転するプーリである。
噴射装置移動部204の線状体204aは、上記両支持体241に架け渡されて構造物狭隘部G内に配置され左右に伸びる。詳しくは線状体204aは、上記循環駆動部242と滑車243とに架けられる。
噴射装置206は、吊り下げ用部材240にて線状体204aへ吊され、線状体204aの前記循環にて、構造物狭隘部G内へ出し入れでき、また、構造物狭隘部G内で左右に移動することができる。線状体204aの前記循環にて、噴射装置206を移動させ前記被補修部位Sgへ配置することができるのである。
また、図示は省略するが、図1に示す縦型枠201の内側即ち被補修部位Sgに、溶接金網を配置して吹き付けを行うものとしてもよい。
図2(B)の例では、直線区間209aに対し先端側区間262は、90度の挟み角をなすものとした。直線区間209aに対し先端側区間262がなす当該挟み角は、160〜90度の範囲で設定することができる。言い換えると、構造物狭隘部Sへの挿入方向に対する先端側区間262の偏向角度(当該挟み角の補角)は20〜90度の範囲にて設定することができる。特に当該偏向角度を20〜70度とするのが好ましい。
また特に吹付工法に適した補修材としては、亜硝酸リチウム混入ポリマーセメントモルタルを利用するのが好ましい。上記亜硝酸リチウム混入ポリマーセメントモルタルには、特に、高機能性特殊粉末樹脂及び特殊短繊維をプレミックスした、ポリマーセメント系断面修復材であって亜硝酸リチウムの混入(特に固形分55kg/立法メートル までの混入)を前提とするものが最適である。
補修材としては、モルタル、セメントといったものの他、経時に硬化する樹脂やその他の材料を用いるものとしても実施できる。
(前処理)
以下、上記[補修部の形成]に先立ち行うに適した前処理について説明する。
この前処理は、順に、補修の必要性を確認するための試料を採取する1)劣化試験用試料採取と、採取した試料により補修の必要な個所を定める2)劣化試験と、定めた補修個所のコンクリートを除去する3)はつり処理にて構成することができる。
この前処理について順に説明する。
1)劣化試験用試料採取
以下上記の試料採取に最適な装置及び方法について説明する。尚、下記の説明における上下左右の表現は、図3に示した、コンクリート構造物Sの被処理部位Sfに向かっての方向を示すものである。即ち、図3及び図4において、Uは上方、Kは下方、Lは左側、Rは右側を示す。
(検査対象)
この試料採取装置は、前述の通り、コンクリート構造物S、例えば、既述の道路橋、鉄道橋、人道橋、水路橋等のコンクリート橋梁をはじめとする、コンクリート構造物Sの端面S5であり、構造物狭隘部Gにおける表面である、被検面から、試料のコンクリートをはつって、構造物の劣化試験用の試料としてコンクリートの砕紛を採取するものである。
このコンクリート構造物Sは、図1の説明で既に述べた通り、例えば、図3(A)に示すように、橋脚S1の上面に、支承S2を介して桁部材S3が配置された構造とされており、この桁部材S3の上部には一体に上部部材S4が設けられたものである。この試料採取装置は、桁部材S3及び上部部材S4における端面S5即ち上記被検面からコンクリートの上記砕粉を採取する。
(試料採取装置の主要部)
図3(A)へ示す通り、この試料採取装置は、切削部1と、操作部2と、採取部3と、ガイド部4とを備える。
以下上記試料採取装置の各部の具体的構成について説明する。
(切削部1)
切削部1は、コンクリート構造物Sの右R又は左L側から構造物狭隘部G内へ挿入することができる大きさのものである。
具体的には、切削部1の少なくとも前後方向(上記左右L,R方向と直交し水平に伸びる方向)の幅は、上記構造物狭隘部Gの幅即ち一般の各桁部材S3の端面S5間の寸法である20mm〜100mmよりも小さい。但し、各桁部材S3の端面S5間の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、切削部1の前後の幅も、上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさのものであっても実施できる。
切削部1には、エアツールを採用するのが望ましい。エアツールは、コンプレッサからの圧縮エアで駆動する工具であり、一般に、ショートによる火花で引火の危険性がある塗装環境における研磨作業などにおいて電動工具に代えて用いられる。
エアツールは、通常の電動工具に比べて小型であり、切削部1の実施に好適である。
図5へ示す通り、切削部1は、構造物狭隘部Gの外部に配置されたコンプレッサPから圧縮空気の供給を受けて駆動軸12を駆動するエアツール本体11と、ギア等の伝達部15を介して駆動軸12と接続された短軸13と、短軸13の先に設けられたドリルビット14とにて構成される。短軸13は、駆動軸12の軸方向に対して直角に伸びる。
ドリルビット14は、駆動軸12の回転駆動を受けて短軸13を中心に回転するものであり、回転により接触するコンクリートをはつることかできる。ドリルビット14にはダイヤモンドビットを採用することができる。
図4及び図5へ示す通り、短軸13を縦にした状態において、切削部1の前後の幅が上記構造物狭隘部G内へ挿入することができるものであればよく、短軸13を斜めに向けたり寝かせたときの切削部1の前後の幅は、構造物狭隘部Gの前後の幅と同じか当該幅を超えるものであってもよい。
この例では、切削部1は、操作部2と一体に形成されている。即ち、少なくともエアツール本体11は操作部2内に設けることが可能な寸法に形成されている。
(操作部2)
操作部2は、構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部G内へ差し込み、作業者の操作にて切削部2を前記構造物狭隘部G内の所望の位置へ配置させることができる。
図5へ示す通り、操作部2は、中空の筒状に形成されたものであり、分離可能な複数の筒状体21を継ぐことで必要な長さを備えたものとして形成する。
操作部2の外径は、上記構造物狭隘部Gの幅即ち一般の各桁部材S3の端面間の寸法である20mm〜100mmよりも小さい。但し、桁部材S3の端面間の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、操作部2の外径も上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさとしても実施できる。
この例では、操作部2は、上記エアツール本体11を一体に収容するものであり、操作部2の中心軸は、上記エアツール本体11の駆動軸12と略一致する。
この例では、図5へ示す通り、筒状に形成されて左右に伸びる操作部2の、側部先端側は、操作部2の周方向について一部を残して上部側が開放された区間を開放部位22として備える。
図5へ示す通り、開放部位22を通じて、上記短軸13の先を筒状の操作部2から操作部2の軸方向と直交する方向へ突出させて、ドリルビット14全体を操作部2の外部へ露出させることができる。
(採取部3)
採取部3は、構造物Sの左又は左側から構造物狭隘部G内へ挿入することができる受け部31と、吸引部32と、集塵機33(図3(A))とを備える。受け部31は、切削部1がはつり採った構造物のコンクリートの砕粉を受けるものである。この例では、受け部31は、樋状に形成され、ドリルビット14の下方に配置される。
吸引部32は図示を省略するコンプレッサと集塵機へ接続され、或いは集塵機33が備えるコンプレッサにて受け部31に負圧を発生させて、採取した試料を集塵機33に送る。
操作部2の側部先端側において当該周方向の下部側が、樋状の前記受け部31を構成し、中空の筒状体である操作部2内部が集塵機33へ連絡する吸引部32を提供する。即ちこの例では、操作部2が採取部3の一部を兼ねる。吸引部32は、操作部2の基端の開口に対し、一端が集塵機33へ接続されたホースの、他の一端を接続することによって形成することができる。この他、当該ホースを操作部2の内部を通し前記受け部31付近にホースの上記他の一端を開放端として配置することにより、吸引部32を形成することができる。このように上記ホースを中空の操作部2内部へ通すことによって、後述する切削部1のチューブ16も操作部2内へ通して実施することができる。
図5において、左側を操作部2の基端側とし、右側を操作部2の先端側として描いてある。従って、図5に示す例では、操作部2の受け部31より左側が、上記吸引部32を構成する。そして、エアツール本体11は、吸引部32の邪魔にならないように、受け部31の右側に収容されている。図5では、エアツール本体11とコンプレッサPとは、操作部2の外側においてチューブ16により接続されている。この他、前述した通り、当該チューブ16を、吸引部32のホースと共に操作部2内へとり回して配置しておくことにより、採取作業をより行い易いものとすることができる(図示しない)。
(ガイド部4)
ガイド部4は、構造物狭隘部G内において構造物Sの全幅方向即ち構造物Sの左右に渡って配置され切削部1の構造物狭隘部G内での左右の移動をガイドする細長のものである。ガイド部4は、長尺で環状に形成することができるものであればよく、線状、紐状或いはチェーン等の索状体を採用することができる。
この例では、ガイド部4はワイヤーロープである。図3の41は、構造物Sの左右に配されて、ガイド部4であるワイヤーロープが渡されたワイヤの支持体を示している。 一方の支持体41には、ワイヤーロープのテンションを調整する張力調整部42が設けられている。また、図3(A)の43は、上記ワイヤーロープを掛ける滑車を示している。図示の通り、滑車43は、他の一方の支持体41に設けられている。
この例では、ガイド部4のワイヤーロープを環状にして構造物Sの全幅方向即ち構造物Sの左右に渡って配置している。当該ワイヤーロープを循環移動させることによって、ガイド部4につり下げた切削部1(操作部2)を所望の位置へ移動させることができる。
即ち、図3(A)へ示す通り、切削部1が設けられた操作部2は、吊下げ用治具40にて、ワイヤーロープに吊り下げられている。この例では吊下げ用治具40は、フック状に形成され、前記ワイヤーロープに引っ掛けられて吊るされるものである(図4(B))。
上記において、切削部1の左右方向への上記移動を、ワイヤーロープの循環移動に頼るのではなく、切削部1(操作部2)を左右に移動可能に当該ワイヤーロープへ引っ掛けて吊るすものとし、構造物Sの左右から構造物狭隘部G内へ操作部2を挿入して行くことにて行うことができる。具体的には操作部2の前記各筒状体を継ぎ足して行くことによって、切削部1を所望の位置へ移動させるものとしても実施できる。但し、ワイヤーロープの循環移動に付随して上記筒状体を継ぎ足して行くものとして実施できる。
上記ワイヤーロープを切削部1の移動手段として利用するのでなければ、上記ワイヤーロープを環状にせずに用いるものとしても実施できる。
また、ガイド部4において、吊下げ用治具40の上下長さを調整できるものとし、切削部1の上下の位置を変更できる。
更に、特許第4619184号に開示されたものと同様、切削部1(この例では、切削部1と操作部2と採取部3)が取り付けられた移動台と、上下への移動を担当するレール部材とを備えるものとし、移動台の上下の移動にて、切削部1の上下の位置を変更できるものとしても実施できる。この場合、前述の支持体41を上記レール部材とすればよい。
またガイド部4を図1(A)及び図2へ示した縦型枠移動部204として兼用し、前述の補修に至るまで利用することができる。
(上記試料採取装置を利用した劣化試験用試料採取方法)
この採取方法は、ガイド部設置工程、切削部挿入操作工程、試料採取工程を順に遂行するものである。
上記ガイド部設置工程において、作業者は、先ず、構造物狭隘部Gのある位置にて、前記構造物Sの左右に前記支持体41を設置する。そして両支持体4間にガイド部4であるワイヤーロープを掛け渡し、当該ワイヤを構造物狭隘部G内に配置する。
次に切削部挿入操作工程において、操作部2の先端側に設けられた前記吊下げ用治具40を前記ワイヤーロープへ引っ掛けて、操作部2を吊るし、操作部2を構造物Sの右又は左側から前記狭隘部内へ差し込む。差し込みつつ操作部2に筒状体を継ぎ足して、操作部2を伸ばし、切削部1と採取部3の受け部31とを構造物狭隘部G内にて上記端面S5の所望の位置へ配置させる。配置後吸引部32を集塵機33と接続する。
試料採取工程において、構造物Sの右又は左側にて、作業者は、操作部2の基端側を握って操作部2を回転させることにより、操作部2の軸を中心として短軸13を旋回させて、図4へ示す通り、ドリルビット14を構造物の端面S5の被処理部位Sfに当てる。端面S5へ当てられたドリルビット14は、短軸13を中心に回転して、コンクリートをはつる。
採取部3の受け部31は、はつられたコンクリートの砕粉を試料として受け、試料を吸引部32にて吸引し集塵機33へ送る。
構造物狭隘部Gの左右の幅を10mとすると、伸ばされた操作部2の長さを5mとして先に構造物Sの左右一方の側から操作部2を構造物狭隘部G内へ挿入して所望の各位置にて試料を採取した後、構造物Sの左右他の一方から操作部2を構造物狭隘部G内へ挿入し直して残りの各位置にて試料を採取すればよい。
このように、構造物狭隘部Gの左右の幅の略半分の長さに操作部2を形成して試料採取の作業を行うことができる。
(試料採取装置の変更例)
上記において、採取部3は、コンクリートの砕粉を吸引するものとした。この他、上記砕粉を吸引するのではなく受け部31にて単に受けるだけとし、試料である砕粉を受けた受け部31を移動させて、構造物狭隘部Gの外側へ試料を運び出すものとしても実施できる。
上記の実施の形態において、操作部2は、複数の筒状体を継ぐことによって必要な長さを確保するものとした。この他操作部2を一本の筒状体として構成することも可能である。但し、複数の筒状体を継いで一本の操作部2を形成するものとすれば、使用しないとき、各筒状体を分離して嵩張らないものとすることができる。
また、上記の実施の形態において、切削部1は操作部2と一体に形成されるものを例示した。この他、切削部1は、操作部2と別々に形成されてガイド部4に支持され、ガイド部4を循環させることによって、切削部1を所望の位置へ移動させ配置させるものとし、配置後、操作部2を構造物狭隘部G内へ差し込んで、操作部2の先端を切削部1に接続し、ドリルビット14の向きを操作するものとしても実施できる。この場合、操作部2は採取部3を兼ねるものとせずに、操作部2は中実の棒状体として形成することも可能である。
更に、ガイド部4は、上記ワイヤーロープや、チェーンなどの紐状体とする他、針金その他の細棒で、構造物狭隘部G内において構造物の左右に渡される自立性を備えたものとしても実施できる。
上記実施の形態において、採取部3を切削部1と共に操作部2へ設けるものとした。この他、採取部3を操作部2と別体に形成するものとしても実施できる。但し、採取部3を、切削部1と共に操作部2へ一体に設けることにより、コンクリート構造物Sの左右から構造物狭隘部G内へ挿入する際に切削部1と操作部2と採取部3の三者を一体に取り扱え便利である。
またガイド部4を設けずに切削部1がキャスタを備えたものとし橋脚S4の上面にて乗せて移動させるものとしても実施できる。但し、キャスタを用いる場合、切削位置にて切削部1の位置が安定するように、細長のレールを橋脚S4上面へ敷設するものとするのがより好ましい。
(上記試料採取装置の概括とそのメリット)
この試料採取装置は、前述の高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、構造物の劣化試験用の試料として前記構造物のコンクリートの一部を採取する劣化試験用試料採取装置であり、次の手段を備える。
即ち、この試料採取装置は、切削部1と、操作部2と、採取部3とを備える。切削部1は、コンクリート構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部G内へ挿入することができ且つコンクリートをはつり取ることが可能なビットを備える。操作部2は、前記切削部1と一体又は別体に形成された棒状体であり、構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部G内へ差し込み、作業者の操作にて切削部1を構造物狭隘部G内の所望の位置へ配置させることができる。採取部3は、構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部G内へ挿入することができる受け部31を備える。受け部31にて切削部1がはつり採った構造物Sのコンクリートの砕粉を受ける。
また、この試料採取装置は、構造物狭隘部G内において構造物Sの全幅方向即ち構造物Sの左右に渡って配置され切削部1の構造物狭隘部G内での左右の移動をガイドする細長のガイド部4を備え、切削部1又は操作部2をガイド部4へ支持させることにて、ガイド部4に沿って、切削部1を左右方向へ移動させることができ、切削部1は、操作部2の先に操作部2と一体に設けられ、切削部1は、操作部2の軸と交差する方向に突出する短軸13と、当該短軸13の先に前記ビットとして設けられたドリルビット14とを備えたエアツールであり、切削部1は、構造物狭隘部Gの外部に配置されたエアコンプレッサから駆動力を得て短軸13を中心として前記ドリルビット14を回転させることができ、構造物Sの右又は左側において、操作部2の基端側を握って操作部2を回転させることにより、操作部2の軸を中心として短軸13を旋回させて、ドリルビット14を構造物Sの前記端面に当てることができ、採取部3の受け部31は、構造物狭隘部G内にてドリルビット14の近傍へ配置することができる樋状のものとすることができる。
更にこの試料採取装置では、前記受け部が、集塵機に接続されて、前記砕粉を吸引することができるものとすることができる。
また更に、この試料採取装置では、ガイド部4は、切削部1又は操作部2を、ガイド部4を吊るした状態にして左右の移動を案内するワイヤーロープとし、操作部2は、中空の筒状体であり、操作部2の内部に前記エアツールの本体11が設けられ、左右に伸びる操作部2の、側部先端側は、操作部2の周方向について一部を残して上部側が開放された区間を開放部位として備え、側部先端側において当該周方向の下部側が樋状の前記受け部31を構成するものとすることができ、切削部1は、操作部の前記開放部位から、前記短軸13を操作部2の軸方向と直交する方向に突出させたものとすることができる。
上記試料採取法は、高架道路の継ぎ手等が設けられる構造物狭隘部からコンクリートの劣化を調べる試料を採取することを初めて可能とした。
特に、上記試料採取法では、構造物の左右にて試料採取の作業を行うことができる。このため、構造物の上を移動する車両等の交通を規制する必要がない。
また、簡易な構成にて、比較的少人数で作業を遂行することができる。更に、構造物狭隘部から試料を適切な状態で確実に採取することができる。とりわけ、エアツールを利用して切削により試料砕粉を得、当該試料砕粉を、集塵機にて採取することによって、試料を濡らすことなく採取することができる。
2)劣化試験
この例では、劣化試験は、採取したコンクリート内の含有塩分量を周知の検査方法にて検出するものである。前記試料の採取は、構造物S端部を区分けして各区域から採取したコンクリートの砕粉することによって行われる。この劣化試験によって、補修の必要な区域を定める。
補修が必要とされた区域について、次の3)はつり処理が行われる。
3)はつり処理
(処理対象)
次に説明するはつり処理に用いるはつり装置は、構造物狭隘部Gを画するコンクリート構造物Sの端面S5において補修が必要とされた上記区域に対しはつりを行うものである。
即ち、このはつり装置は、桁部材S3における被処理部位Sfからコンクリートをはつり、劣化したコンクリートを除去する。この他、このはつり装置は、コンクリートを除去するのみならず腐食した鉄筋を露出させることもできる。
(はつり装置の主要部)
図6(A)へ示す通り、このはつり装置は、噴射部101と、移動部102と、噴射部支承部103とを備える。
以下上記はつり装置の主要部各部の具体的構成について説明する。
(噴射部101)
噴射部101は、前記構造物狭隘部G内へ挿入することができるものであり、加圧した流体を噴射するノズル111を備える。
具体的には、噴射部101は、上記ノズル111として高圧水を噴射してコンクリートをはつることかできるウォータージェットノズルを先端に備えた高圧パイプである。噴射部101の基端側は高圧ポンプ(図示しない。)へ接続されている。
上記の高圧パイプは自立性を有するロッドであり、構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部Gへ差し込むことができる。詳しくは、噴射部101の少なくとも外径は、上記構造物狭隘部Gの幅即ち一般の各桁部材S3の端面S5間の寸法である20mm〜100mmよりも小さいものとする。但し、桁部材S3の端面間の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、噴射部101の外径も、上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさのものであっても実施できる。
ノズル111は、上記ロッドの軸方向に対して交差する方向へ向けて流体を噴射することができる。即ち上記ロッドの先端側は、折曲してロッドの基部におけるロッドの軸に対し、直角或いは斜めになっている。
上記のロッドの先端側を屈曲させてノズル111の噴射方向をロッドの軸に対し交差するものとする他、図9(A)へ示す通り、ロッドの先端に傾斜面112を形成して当該傾斜面へノズル111を設けることによって、ノズル111の噴射方向をロッドの軸に対し交差するものとしてもよい。図9(A)へ示す例では、噴射部101を平面視した状態において、一点鎖線で示す噴射方向がなす、二点鎖線で示す噴射部101のロッドの軸方向に対する傾き角θを28度とする(言い換えると、一点鎖線で示す噴射方向と噴射部101のロッドの中心軸とがなす挟み角を152度とする)。構造物狭隘部Gの前後の幅を20〜100mmとした場合、このように傾き角θを28度とするのが、構造物の全幅方向即ち左右方向に沿った噴射部101の移動により、構造物狭隘部G内の全域を流体噴射の射程とするのに適する。即ち、左右方向について構造物狭隘部G内の何れの個所に被処理部位Sfがあったとしても、傾き角θの設定にて当該被処理部位Sfに対し確実に流体を噴射することができる。
但し、傾き角θは、このような角度に限定されるものではなく、構造物狭隘部Gへ挿入でき円滑なはつりが行える、種々の角度に変更が可能である。例えば、上記傾き角θは、25〜90度の範囲で変更することができる。即ち上記の挟み角を155〜90度とすることができる。上記傾き角θを、25より小さくした場合や鈍角とした場合噴射の力が被処理面即ちコンクリート構造物Sの端面S5へ伝わり難く、円滑なはつりが行い難くなる。上記傾き角θは特に28〜60度(挟み角152〜120度)で円滑なはつりが確実に行える。
但し、傾き角θは、噴射の勢いの調整にてはつりが適切に行えるものであれば、このような範囲を外れたものであっても実施できる。
また図9(A)(B)へ示すように、噴射部1へカバー113を設けて実施するのが好ましい。カバー113がノズル111の周囲を覆うことにより、被処理部位Sf以外の部位へ流体が飛散するのを抑制するものである。
この例では、カバー113には、上記ロッド先端の先に配されてロッドの先端を覆う先端面部113aとノズル111の背面側を覆う背面部113bとノズル111の上方を覆う上面部113cとノズル111の下方を覆う下面部113dとを備えると共にノズル111の正面側に開放された開放部113eを備える、ケースを採用する。カバー113は、流体の噴射にて変形し難く壊れ難い剛性を有する素材を採用する。カバー113は金属ケースとすることができる。
(移動部102)
移動部102は、前記構造物狭隘部G内において噴射部101をコンクリート構造物Sの全幅方向即ち左右方向に沿って移動させるものである。
具体的には、移動部102は、コンクリート構造物Sの左右に渡され構造物狭隘部G内へ左右方向に沿って配置された線条部材121と、線条部材121を移動させる駆動部122と、線条部材121へ噴射部101を固定する固定部材123とを備える。
線条部材121は、長尺で環状に形成することができるものであればよく、線状、紐状或いはチェーン等の索状体を採用することができる。この例では、線条部材121には、ワイヤーロープを採用する。以下線条部材121を、ワイヤーロープ121と呼ぶ。
図6へ示す通り、この例では、ワイヤーロープ121は、環状にされたものであり、移動部102の移動は、ワイヤーロープ121の循環移動によるものである。駆動部122は、構造物Sの右又は左側に配置される。より詳しくは、移動部102は、駆動部122としてモータ(図示しない。)からの駆動力を受けて自転するプーリと、コンクリート構造物Sを挟んで当該プーリと構造物Sの左右反対側へ配置された滑車124とを備える。環状にされたワイヤーロープ121は、前記プーリと滑車124とに掛けられる。前記プーリの駆動によりワイヤーロープ121は上記循環移動して、固定部材123にて固定された噴射部101を左右方向へ移動させる。上記プーリを自転させるモータとしては、コンプレッサにて加圧或いは減圧された空気を受けて回転するエアモータの採用が好ましい。
尚、移動部102には、必要に応じてワイヤーロープ121の張力を調整する聴力調整機構を設けて実施する。
固定部材123は、この例においてロッドである噴射部101をワイヤーロープ121へ取り付けるロッドガイドである。
また、前記ガイド部4を前述の通り縦型枠移動部204と兼用すると共に、上記移動部102にも兼用することができる。
(噴射部支承部103)
噴射部支承部103は、前記構造物狭隘部G内へ挿入でき且つ噴射部101の荷重を受け当該荷重を構造物Sへ直接伝達する。即ち、噴射部支承部103は、移動部102に噴射部101の荷重が掛るのを回避しつつ移動部102に連動して噴射部101を移動させることができる。このように噴射部支承部103は、移動部102へ噴射部101の荷重が掛るのを抑制するのである。
具体的には、噴射部支承部103は、前記構造物Sへ設置されるものであり、スライド部131と、スライドレール132と、縦ガイド133とにて構成される。
スライド部131は、噴射部101即ち上記ロッドを固定するロッド受け部である。スライドレール132は、左右へ伸びるガイドレールである。スライド部131は、スライドレール132上に載置され、スライドレール132に対し当該スライドレール132に沿って左右にスライドすることができる。
噴射部101が前記ワイヤーロープ121の循環により移動する固定部材123に引かれて移動することにより、噴射部101と一体にスライド部131はスライドレール132上を移動するのである。また図示したものと異なり、スライド部131を固定部材123へ取り付けるものとしても実施できる。
上記の縦ガイド133は、図6及び図7へ示す通り、構造物Sへ設置されて、スライドレール132の上下移動をガイドする上下に伸びる縦レール133aと、当該縦レール133aに沿って上下にスライドレール132を移動させる環状のチェーン(図示しない。)と、当該チェーンを循環させるモータ(図示しない。)と、基体133bとを備える。
より詳しくは、縦レール133aは、構造物Sの左右に配置される。一方の縦レール133aには上記スライドレール132と移動部102の前記プーリとが取り付けられる。他の一方の縦レール133aには、上記滑車124を軸止する治具125が、上下に移動可能に取り付けられる。
この縦ガイド133にて、噴射部101と移動部102の上下の位置を変えることができるのである。前記基体133bは、ボルトその他の周知の固定具にて構造物Sへ固定され、この基体133bへ一体に設けられた前記縦レール133aは、構造物Sに対して不動である。尚、基体133bは、橋脚S1の上面に載置され自重にて構造物Sに対し位置を変えないものとしても実施できる。
そして噴射部101の荷重は、順に、スライド部131、スライドレール132、縦レール133a、基体133bを経て構造物Sへ伝達され、移動部102のワイヤーロープ121には掛からない。
また、移動部102の荷重も縦レール133a及び基体133bを経て構造物Sへ伝達される。
上記のスライドレール132自身は、構造物狭隘部G内に設けられる必要がなく、構造物狭隘部Gの外部にて構造物Sに設置しておくことができる。この場合、噴射部101であるロッドは、スライド部131から構造物狭隘部Gへ向け突出するように設けておく。スライド部131のスライドによって、噴射部101をノズル側から構造物狭隘部G内へ挿入することができ、またスライド部131の上記と逆方向へのスライドによって、噴射部101を構造物狭隘部Gの外側へ後退させることができる。
上記のように、スライド部131は、構造物Sの右又は左側から構造物狭隘部Gへ入れて行くことができる大きさのものである。詳しくは、スライド部131の前後の幅(交通の流れの方向に沿った幅)は、上記構造物狭隘部Gの幅即ち一般の各桁部材S3の端面S5間の寸法である20mm〜100mmよりも小さいものとする。但し、桁部材S3の端面間S5の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、スライド部131の上記幅も、上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさのものであっても実施できる。
スライドレール132を構造物狭隘部Gへ配置する場合、スライドレール132は、スライド部131と同様の上記端面S5間の寸法の制限を受ける。
上記の通り、噴射部支承部103が、移動部102に追従して移動でき且つ噴射部101の荷重を移動部102を避けて直接構造物Sへ伝承することにより、移動部102は噴射部101の荷重から逃れて、専ら噴射部101の移動が行うことができればよいものとなった。このため、噴射部101にはつりに必要な大量の流体を供給することができるものとなった。
例えば、従来の構造物狭隘部Gにおいて、通行規制を不要とする構造物S左右からの作業にて、構造物端面のコンクリートをはつる場合不可能であった80mmの深さまで、コンクリートをはつることができる。このため、構造物狭隘部Gにおいて、鉄筋の裏側までコンクリートをはつることが可能となった。
(はつり装置の変更例)
上記の実施の形態において、噴射部支承部103は、噴射部101と共に移動部102の荷重を受ける即ち、噴射部101と移動部102の双方を支持するものとした。この他、移動部102の支持は噴射部支承部103とは別の支持部材にて受けるものとしても実施できる。
また、上記の実施の形態において、移動部102のワイヤーロープ121は環状にされて循環するものとした。この他、ワイヤーロープ121を環状にせず、図示した駆動部122と滑車に代えてリールを設けるものとし、構造物Sの左右にワイヤーロープの各端部側を巻き取ることができるリールを配置し、噴射部101の移動時一方のリールからワイヤーロープをリリースし、他方のリールにてワイヤーロープを巻き取るものとしても実施できる(図示しない)。噴射部101の移動方向を上記と逆向きにするときは、リリースと巻取りのリールを逆転させれば(回転方向を逆にしてリリースと巻取りという役割を入れ替えれば)よい。
また、移動部102として上記ワイヤーロープやチェーンなどの紐状体を利用する他、移動部支承部103を自走させることが可能な駆動輪を設けて、当該駆動輪を移動部102としても実施できる(図示しない)。
図10(B)(C)へ示す通り、噴射部1は、被処理部位Sfのある端面S5と対向する端面S5を倣う、キャスタ114を備えるものとしても実施できる。キャスタ114は、構造物狭隘部Gの前後の幅に応じて、スペーサ115を介して噴射部101へ設けておけばよい。噴射部101は、スペーサ115の幅が異なる種々のものを用意する。この他、スペーサ115を噴射部101に対し交換可能なものとして、狭隘部Gの上記幅に応じて、付け替えて使用するものとしても実施できる。
図10へ示す例では、噴射部101は、図9へ示す例と同様カバー113を備えており、キャスタ114は当該カバー113の背面部113bへスペーサ115を介して設けられている。
また、スペーサ115自体伸縮できるものとし、前後の幅の調整が可能なものとしても実施できる。
具体的には、図10(D)へ示す通り、スペーサ115は、エアシリンダ115aとエアシリンダ115a内へ納められたピストン115bとにて構成する。図10(D)の115cは、ポンプ(図示しない。)からエアシリンダ115a内へ空気を出し入れする孔を示している。
エアシリンダ115aは噴射部101即ちカバー113の背面部113bに設けられており、キャスタ114はピストン115bへ設けられている。
上記ポンプの稼働にて、エアシリンダ115a内を加圧することによりピストン115bを後方へ向けエアシリンダ115a内で移動させることができる。ピストン115bの当該移動によって、スペーサ115の前後の幅を拡大することができるのである。また、上記ポンプの稼働にて、エアシリンダ115a内を減圧することによりピストン115bを前方へ向けエアシリンダ115a内で上記と逆方向へさせることができる。ピストン115bの当該逆方向への移動によってスペーサ115の前後の幅を縮小することができるのである。
狭隘部G内にて噴射部101の移動を阻害しないものであれば、スペーサ115には、上記エアシリンダやピストンを用いる他、周知のジャッキなどの伸縮装置を用いることができる。
図6及び図7へ示す固定部材123について、より好ましい変更例を図11へ示す。
図11(A)〜(D)へ示す通り、固定部材123は、上方部123aと、上方部123aの下方に設けられた下方部123bと、上方部123aと下方部123bとを結合する中間部123cとを備える。この例では、上方部123aと下方部123bの夫々は、横方向に伸びるH型鋼にて形成されている。また、中間部123cは、縦方向に伸びるL字型鋼にて形成されている。
この例では、上方部123aは、ワイヤーロープ121の一部として、ワイヤーロープ21を環状に留める結合具をなすものである。例えば、図6へ示す通りワイヤーロープ121の両端を夫々輪にして図11(A)(B)へ示す通り圧縮留め金具121aにより当該輪を留め、固定部材123の上方部123aへ設けられた連結ピン121bの夫々に当該各輪を掛けて固定することにて、固定部材23を介しワイヤーロープ121を環状にすることができる。
図11(A)へ示す例では、実線で示す通り、噴射部101は、上方部123aへ取り付けられている。
図11(A)へ示す実線で通り、上方部123aの上面には、噴射部101を取り付ける取付部126が設けられている。この例では、溶接やボルトまたはネジ等の周知の固定の手法にて、取付部126は固定部材123の上方部123a上面へ固定されている。
取付部126は、高圧パイプである噴射部101を通して保持する受容穴126aが設けられている。上記カバー113は、噴射部101へ一体に設けられるものとしてもよいが、上方部123aへ取付部126と同様の固定の手法によって固定するものとし、噴射部101へ直接固定しないものとしても実施することができる。
図11(A)へ破線で示す通り、噴射部101は、下方部123bへ付け替え可能に形成しておけば、被処理部位Sfの高さに応じて柔軟に対応でき便利である。噴射部101を下方部123bへ設ける場合も、上方部123aへ取り付けるのと同様の手法によって固定部材123へ固定すればよい。上記の取付部126やカバー113を、上方部123aと下方部123bの双方に設けておき、高圧パイプである噴射部1のみ、上方部123aと下方部123bとの間にて付け替えて使用するものとしても実施できる。
環状にされたワイヤーロープ121の循環経路は、当該循環経路の他の区間よりも上方に位置する上方区間120aと、上方区間120aの下方に位置する下方区間120bとを有する。図6及び図7へ示す例では図示した通り、固定部材123は、ワイヤーロープ121の上方区間120aへ取り付けられ下方区間120bには届かないものとした。一方図11へ示す例では、固定部材123は上方区間120aへ配置された際下方区間120bに届くものとして、固定部材123が噴射部1の回り止めを構成する。この点について詳しく説明する。前記上方区間120aと下方区間120bの一方において、固定部材123は、ワイヤーロープ121に固定され或いはワイヤーロープ121の環の一部をなしワイヤーロープ121の前記循環に伴い構造物狭隘部G内を左右へ移動することができる。固定部材123は、上下方向について、上方区間120aから下方区間120bへ掛けて配置される。固定部材123には、上方区間120aと下方区間120bの他の一方において、ワイヤーロープ121を通す挿通部123dが設けられている(図11(C))。この例では、挿通部123dは、固定部材123の中間部23cを左右に貫通する貫通孔である。ワイヤーロープ121の前記挿通部123dに通された部位が固定部材23に対し左右に移動できる一方で、固定部材123の少なくとも前後方向への移動がワイヤーロープ21の挿通部123dに通された部位に制限されて、固定部材123が回るのを防ぐ。即ち、当該制限により固定部材123と共に噴射部1が噴射の反動で回るのを防ぐのである。
図11(A)において、上方部123aと下方部123bと中間部123cの夫々に描かれている複数の円は、固定部材123を軽量化するために設けられた貫通穴である。
また、図11(C)へ示す通り、挿通部123dは、この例では固定部材123の中間部123cを左右に貫通し上下に伸びる長穴であり、ワイヤーロープ121の垂下によって生じる固定部材123の上下動を許容する。挿通部123dの上下の幅は、ワイヤーロープ121の上記上下動を許容する大きさ確保すればよい。詳しくは、中間部123cには、縦長の環状金具123eが溶接やボルト或いはネジ等の周知の固定手段にて中間部123cと一体に固定されており、当該環状金具123eの中空部分が、上記の挿通部123dを構成する。この他挿通部123dを下方部123bに設けるものとしても実施できる(図示しない)。
また、下方部123bへ上記の連結ピン121bを設けて輪にしたワイヤーロープ121の圧縮留め金具121aを下方部123bへ固定するものとし、挿通部123dを上方部123a或いは中間部123cにおける上方部123a寄りの位置に設けて実施しても、噴射部1が噴射の反動で回るのを防ぐことができる(図示しない)。
更に、図11へ示した例では、固定部材123の上方部123aは、ワイヤーロープ121のなす環の一部としてワイヤーロープ121の両端を結合する結合具とした。この他、固定部材123の上方部123aは、ワイヤーロープ121の別体に形成されて、ワイヤーロープ121に引っかけられるフックを備え、ワイヤーロープ121において上方部123aの左右両側に当たり部材を設けて、固定部材123のワイワーロープ121に対する左右の移動を制限するものとしても実施できる。上記の当たり部材としては、挟み止め可能なクリップなどワイヤーロープ121に対して付け外しが行えるものを採用して実施するのが便利である(図示しない)。
(上記はつり装置の概括とそのメリット)
上記はつり装置は、前述の高架道路等の高架のコンクリート構造物Sの、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物S端面間の隙間即ち構造物狭隘部Gにて、流体を前記構造物S端面へ噴射してコンクリート構造物Sのはつりを行う構造物狭隘部G内のはつり装置であって、次の構成を採る。
即ち、上記はつり装置は、構造物狭隘部G内へ挿入することができ且つ加圧した流体を噴射するノズル111を備えた噴射部101と、構造物狭隘部G内において噴射部101を構造物Sの全幅方向即ち左右方向に沿って移動させることができる移動部102と、構造物狭隘部G内へ挿入でき且つ噴射部101の荷重を受け当該荷重を構造物Sへ直接伝達する噴射部支承部103とを備える。噴射部支承部103は、移動部102に連動して噴射部101を移動させることができ、移動部102へ噴射部101の荷重が掛るのを抑制する。
また、この上記はつり装置では、噴射部101は、前記ノズル111として高圧水を噴射してコンクリートをはつるウォータージェットノズルを先端に備えた高圧パイプとすることができ、前記噴射部101の基端側は高圧ポンプへ接続されるものとすることができる。噴射部支承部103は、構造物Sへ設けられ且つ上面へ噴射部101が載置されて固定されるスライド部131を備え、移動部102は、間接或いは直接的にスライド部131を左右方向へスライドさせることにより、構造物狭隘部G内にて噴射部101の少なくとも前記ノズル側を左右方向へ移動させるものとすることができる。
更に上記はつり装置では、噴射部支承部103は、構造物Sへ固定され且つスライド部131の前記左右方向への移動をガイドするガイドレール即ちスライドレール132を備え、移動部102は、構造物Sの左右に渡され構造物狭隘部G内へ前記左右方向に配置されたワイヤーロープ等線条部材121と、線条部材121を移動させる駆動部122と、線条部材121へ噴射部101を固定する固定部材123とを備え、線条部材121の移動にてスライド部131と共に噴射部101を移動させるものとすることができる。
また、線条部材121は、環状にされ、固定部材123は、噴射部101の回り止めを構成するものであり、噴射部101は、線条部材121の循環により、固定部材123と共に構造物狭隘部G内を左右に移動することができ、環状の線条部材121の循環経路は、前記経路の他の区間よりも上方の上方区間120aと、上方区間120aの下方に位置する下方区間120bとを有し、上方区間120aと下方区間120bの一方において、固定部材123は、線条部材121に固定され或いは線条部材121の環の一部をなし線条部材121の前記循環に伴い構造物狭隘部G内を左右へ移動することができ、固定部材123は、上下方向について、上方区間120aから下方区間120bへ掛けて配置されるものであり、固定部材123には、前記上方区間120aと下方区間120bの他の一方において、線条部材121を通す挿通部123dが設けられ、線条部材121の挿通部123dに通された部位は、固定部材123に対し左右に移動でき、固定部材123の少なくとも前後方向への移動が線条部材121の挿通部123dに通された部位に制限されて、固定部材123と共に噴射部101が噴射の反動で回るのを抑制する
またこの上記はつり装置には、前記ノズル111を覆うカバー113が備えられている。カバー113は、はつる部位のある前記構造物端面と対面する方向をノズル111に対し開放する開放部113eを備え、カバー113は、開放部113e以外においてノズル111を覆うものであり、構造物端面のはつる部位以外に流体が飛散するのを抑制することができる。
上記はつり装置については、構造物狭隘部G内における流体の噴射による構造物のはつりにおいて、噴射部支承部103が噴射部101の荷重を受けることにより、移動部102に掛る噴射部101の荷重を緩和することが可能となった。これによって、噴射部101に比較的大量の流体を送り込み高圧にて噴射することができる。従って、噴射部101によるはつりにて劣化コンクリートを除去する際、より深くコンリートを深くはつることが可能となった。例えば、構造物内部の鉄筋を露出させるまでコンクリートをはつることが可能となった。
特に、上記はつり装置では、構造物Sの左右にて上記はつり作業を行うことができる。このため、構造物Sの上を移動する車両等の交通を規制する必要がない。
また特に、上記はつり装置は、固定部材123を回り止めとすることによって、噴射部101による噴射の反動にて、噴射部101が線条部材121にて回るのを抑制できた。
また、上記カバー113を備えることにより、流体の噴射にて被処理部位以外の部位が損傷するのを抑制することができた。
(欠陥等の計測)
補修部の形成に先立ち行う上記の前処理中、欠陥やはつり後の被補修部位Sgのなす空間の大きさを把握しておくことが望ましい。そこで、上記1)の劣化試験用試料採取の前或いは後に欠陥による空間の大きさを計測し、更に上記3)のはつり処理後の被補修部位Sgなす空間の大きさを計測するに適した計測装置5について図13〜図17を用いて説明する。
この計測装置5は、上記欠陥による空間やはつり後の被補修部位Sgが画する空間、即ち前記上部工の構造物端面S5から後退する空間を計測空間Skとする。
計測装置5は、前後の幅を構造物狭隘部Gの端面S5間の幅より小さなものとし、前記計測空間Skの端面S5から後退する深さを計測することができる。
図13〜図17へ示す通り、この計測装置5は、案内部51と、被案内部52と、深さ検出部6と、案内移動部7と、位置検出部とを備える。
以下、計測装置5の上記各部の構成について詳しく説明する。
(案内部51)
案内部51が、長尺の部材であり、コンクリート構造物Sの左右の少なくとも一方又は下方から構造物狭隘部G内へ挿入することができる。案内部51は構造物狭隘部Gへの挿入方向に長手方向を沿わせることができる。
図13〜図14に示す例では、案内部51は、コンクリート構造物Sの左右横方向から構造物狭隘部G内へ挿入され左右横方向へ伸びる。
図15〜図17へ示す通り、この例において、案内部51は中空の内部へ被案内部52を収容する筒状体である。案内部51は先端側に前記被案内部の先端側を突き当てる突当り部55を備える。突当り部55は筒状体である案内部51の先端側を閉鎖する。
突当り部55は、案内部51の先端に配置された、案内部51の伸びる方向と略直角に交差する面である。案内部51は平面とする他、当該交差方向へ伸びる樋状の凹曲面とすることができる。
案内部51の先端側の側面は、筒状の案内部51の内部と外部とを連絡する開口部57を備える。
上記の筒状体としては、塩化ビニル製のパイプ51aを採用することができる。パイプ51aの先端には塩化ビニル製のエルボ51bが固定されている。パイプ51aの後端は開放されている。以下開放されたパイプ51a後端の開口部を後端開口59と呼ぶ。
エルボ51bは、2本の塩化ビニル製のパイプを直角に接続するのに利用されるL字型の接続管である。
図16へ示す通り、エルボ51bの内側面が上記突当り部55を備える。
詳しくは、エルボ51bは2つの筒状部分511,512を備える。一方の筒状部分511に対し他方の筒状部分512は、直角に交差するよう一体に形成されている。
エルボ51bの一方の筒状部分511は、パイプ51aに接続され接着剤にて固定される。エルボ51bの他方の筒状部分512は、他に接続されずその先端を開放端とする。この開放端が、上記開口部57をなすものである。
また、上記開放端を有する筒状部分512の内側面は、突当り部55と共に出没案内部56を備える。出没案内部56は、後述する被案内部52の伸びる方向を計測空間Skへ向けて案内するものである。出没案内部56は突当り部55と連続する面である。出没案内部56は、突当り部55から案内部51の長手方向と交差する上記方向へ前記開口部57に掛けて伸びる。出没案内部56の終端即ち当該筒状部分512の先端に上記開口部57が位置するのである。
案内部51は、自立性を有するものであればよく、上記塩化ビニル製のパイプ51aや塩化ビニル製のエルボ51b以外の部材によって実施することもできる。また、案内部51は、パイプ51aに別体のエルボ51bを接着剤によって固定する他、案内部51に当初より先端側が屈曲するよう賦形されたパイプを採用して実施してもよい。
(被案内部52)
被案内部52は、案内部51の長手方向に沿って伸びる長尺の部材である。被案内部52は、案内部51に案内されて、案内部51に対し変位することができる。この例では、被案内部52は、中空の案内部51の内部へ収容されて、案内部51に対し変位することができる。案内部51に収容された被案内部52は、その基端側を案内部51の後端開口29から露出させる。
案内部51の先端側を構造物狭隘部Gの内部へ挿入させた状態において、作業者は、構造物狭隘部Gの外側にて、案内部51の後端開口29から露出する被案内部52の上記基端側を、操作することができる。当該操作により、作業者は、案内部51に対し案内部51の伸びる方向に沿って被案内部52を変位させることができる。
被案内部52の先端側は出没部58を備える。出没部58は、作業者の上記操作による被案内部52の変位により、案内部51の構造物狭隘部Gへの挿入方向と交差する方向に向けて案内部51から出没することができる。
案内部51を構造物狭隘部Gへ挿入した状態において、作業者は、被案内部52の基部側を案内部51の後端開口29から案内部51内へ押し込むように操作して、被案内部52の先端側を突当り部55へ突き当てて撓ませる。撓ませることにより被案内部52の先端側の向きを案内部51の伸びる方向と交差する方向へ転換し、出没部58を案内部51の上記開口部57から突出させることができる。従って、被案内部52には、長さが変化しない強さを備えると共にその長手方向と交差する方向へ撓むことができるものを採用するのが好ましい。
例えば、被案内部52の少なくとも先端側が帯鋼にて形成されたものを採用するのが好ましい。
案内部51を構造物狭隘部Gへ挿入し、上記開口部57を上記計測装置Skへ配置し、被案内部52を操作して、計測装置Sk内にてコンクリート構造物Sへ突き当たるまで開口部57から出没部58を突出させる。出没部58の突出幅を検出することにて計測装置Skの深さを検知することができる。
この例では、図16へ示す通り、被案内部52は、電気工事用ワイヤの先に鋼製巻尺の金属製帯を継ぎ足したものである。即ち、この被案内部52は、先端側部分521を鋼製巻尺の鋼帯とし、基端側部分522を電気工事用ワイヤとする。
上記鋼製巻尺は、通常コンベックス(コンベックスルール)と呼ばれる、目盛り61(図17)の付いた鋼帯である。被案内部52は、当該鋼帯を上記の出没部58とする。
上記電気工事用ワイヤは、家屋の屋根裏などに電気配線を行う際、電線の呼び線として通すものである。上記電気工事用ワイヤは、通線用スチールとも呼ばれるが、金属製のものに限らない。プラスチック製の呼び線を上記被案内部52の後端側を構成する電気工事用ワイヤとして採用することもできる。被案内部52の後端側は、被案内部52の長さが変化しない強さを持ったものであれば、上記電気工事ワイヤ以外の長尺状体を採用して実施することもできる。
上記基端側部分522の基端には、作業者が被案内部52を操作する際に掴むことができる握り手523が設けられている。
(深さ検出部6)
深さ検出部6は、出没部58の突出幅を検出する。作業者は、深さ検出部6にて出没部58の突出幅を検出することにより、前記計測空間Skの深さを検知することができる。
深さ検出部6は、図15及び図17へ示す通り、被案内部52の出没部58へ当該出没方向に沿ってふられた目盛り61即ち前述の鋼製巻尺の目盛り61と、案内部51に設けられたカメラ62とを備える。カメラ62は出没部58の映像を捉えるように案内部51へ設けられており、構造物狭隘部Gの外側に配置されたモニタ(図示しない。)へ捉えた出没部58の映像を映すことができる。カメラ62の捉えた映像により上記突出する出没部58の目盛り61を視認し、上記計測空間Skの深さを確実に検知することができる。
具体的には、カメラ62は、図17へ示す通り、案内部51へ固定される台座54へ通信装置63と共に取り付けられる。通信装置63にカメラが接続されて通信装置63から上記モニタへ映像が送られる。この例では、通信装置63と上記モニタとは有線にて接続されている。この例では、通信装置63とカメラとの間はブルートゥース(登録商標)やWi−fiにて映像の送受信を行う。但し、カメラ62がモニタと直接電気的に結線できるものや無線により直接モニタへ映像を送ることができるものであれば、上記の通信装置63を設けずに実施することができる。上記モニタは、ノートパソコンやタブレットその他のコンピュータとする他、スマートフォンといった携帯機器を利用するものであってもよく、カメラに付属する専用のものを用いるものであってもよい。
また、カメラ62は、深さ検出部6の構成要素であるだけでなく、深さ測定に先立ちモニタを見て計測装置Skの位置を検出するサーチ部をなすものである。
この例では、カメラ62が備えるバンド64にてカメラ62及び通信装置63が台座54を介し、案内部51の外周へ固定されている。台座54は案内部51の外周へ一体に形成又は固定されたものとしてもよく、案内部51と別体に形成されカメラ62や通信装置63と共に案内部51へ取り付けられるものとしてもよい。
出没部58を案内部51内に収めた状態において、図17へ示す計測装置5の最大前後幅Wを上記構造物狭隘部Gの幅(コンクリート構造物Sの端面S5間の幅)よりも小さいものとする。即ち、計測装置5の最大前後幅Wは、構造物狭隘部Gの幅として一般の各桁部材S3の端面S5間の寸法である20mm〜100mmよりも小さいものとする。但し、桁部材S3の端面間の幅が上記数値範囲よりも大きなものであれば、計測装置5の最大前後幅Wも、上記数値範囲の上限以上或いは下限以下の大きさのものであっても実施できる。
欠陥やはつり後の空間を計測する場合、出没部58は10cm程度開口部57から出没できればよく、前記先端側部分521を構成する鋼製巻尺は30cm程度で足りる。但し、このような寸法は、例示であり測定する対象や状況によって変更することができる。
(案内移動部7)
案内移動部7は、計測装置5の案内部51を構造物狭隘部Gに内で移動させるものである。
案内移動部7は、案内部51を左右横方向へ移動することができる横移動部71と、案内部51を上下縦方向へ移動させることができる縦移動部72とにて構成される。
横移動部71は、構造物狭隘部G内において構造物Sの全幅方向即ち構造物Sの左右に渡って配置され案内部51の造物狭隘部G内での左右の移動をガイドする細長のものである。横移動部71は、長尺で環状に形成することができるものであればよく、線状体、紐状体或いはチェーンなどの、索状体を採用することができる。
この例では、横移動部71はワイヤーロープである。図13(A)の73は、構造物Sの左右に配されて、横移動部71であるワイヤーロープが渡された横移動部支持体を示している。一方の横移動部支持体73には、ワイヤーロープのテンションを調整するテンション調整部74が設けられている。また、図13(A)の75は、上記ワイヤーロープを掛ける滑車を示している。図示の通り、滑車75は、他の一方の横移動部支持体73に設けられている。
この例では、横移動部71であるワイヤーロープを環状にしてコンクリート構造物Sの全幅方向即ち構造物Sの左右に渡って配置している。コンクリート構造物Sの上記全幅は通常約10mである。当該ワイヤーロープを循環移動させることによって、横移動部71につり下げた案内部51を構造物狭隘部G内の所望の位置へ移動させることができる。
図13(A)へ示す通り、案内部51は、吊下治具76にて、横移動部71であるワイヤーロープに吊り下げられている。この例では吊下治具76は、フック状に形成され、前記ワイヤーロープに引っ掛けられて吊るされるものである(図14(B))。
縦移動部72は、図13(A)へ示す通り、両横移動部支持体73をレールとし、横移動部支持体73に沿って縦に移動することができる縦移動台77を備える。縦移動台77は横移動部支持体73を挟む複数のローラ(図示しない)を備える。縦移動台77は当該ローラを電動機(図示しない)にて回転駆動することにより、横移動部支持体73に対して上下に移動することができる。
左右の縦移動台77に、横移動部71である上記ワイヤーロープを掛けるテンション調整部74と滑車75の夫々が固定されている。この縦移動部72としては、特許第4619184号に示されたもの(レール部材2や移動台3)と同様の構成を採用して実施することができる。
上記の、横移動部71、横移動部支持体73、テンション調整部74、滑車75及び吊下治具76は、計測装置専用のものとしてもよいが、上記試料採取装置のガイド部4、支持体41、張力調整部42、滑車43及び吊下げ用治具40を以って代用することができる。即ち、計測装置5の移動手段は上記試料採取装置の移動手段を兼用するものとしてもよい。また、上記はつり装置の移動部102を計測装置5の移動手段として兼用してもよい。筒状体である案内部51についても、上記試料採取装置の操作部2と同様、複数の筒状体を継ぎ足して必要な長さに伸ばすものとしても実施できる。案内部51は、上記コンクリート構造物Sの上記全幅の半分の幅をカバーできる長さを確保することができればよい。左右一方から構造物狭隘部G内へ挿入して計測空間Skへ届かない場合、左右の他の一方から挿入し直して計測を行えばよいのである。
更に横移動部71は、上記試料採取装置のガイド部4を兼用することができるし、上記補修部形成装置の縦型枠移動部204を兼用することもできる。
(位置検出部)
上記の位置検出部は、案内移動部7の横移動部71にて配置した案内部51(の出没部58)の横方向の位置と、縦移動部72にて配置した案内部51(の出没部58)の縦方向の位置を検出することができる。大まかな計測空間Skの大きさの把握で足りる場合は、位置検出部は、案内部51(の出没部58)の横方向の位置のみを検出するものとしても実施できる。逆に、位置検出部は、案内部51(の出没部58)の縦方向の位置のみを検出するものとしても実施できる。
この例では、位置検出部については、横移動部71や横移動部71を駆動する駆動部などにエンコーダーを設けて案内部51の横方向の位置を検出し、縦移動部71の縦移動台77を駆動する駆動部などにエンコーダーを設けて案内部51の縦方向の位置を検出するものとして実施することができる。
例えば、横移動部71であるワイヤーロープの出し位置を上記エンコーダーで検知して案内部51の横方向の位置を知得することができる。
(上記計測装置を利用した計測装置の測定方法)
上記計測装置を利用した計測装置の測定方法は、計測装置をサーチするサーチ工程と、計測工程とを遂行するものである。
上記サーチ工程において、計測装置5は、案内移動部7を駆動して、案内部51を構造物狭隘部Gにて移動させ、作業者は、カメラ62からの映像をモニタで確認して、計測の対象となる欠陥やはつり後の空間を探す。このとき出没部58は、移動の邪魔にならないように案内部51内へ没した状態としておく。
計測空間Skを確認すると、計測工程として、作業者の握り部523の操作により、出没部58を計測空間Sk内へ突き当たるまで突出させて、カメラ62がモニタへ写した目盛り61を作業者が知得する。案内移動部7の駆動により、計測空間Skの異なる位置へ案内部51を移動させ、先と同様突出部58を計測空間Sk内へ突き当たるまで突出させ、カメラ62からの目盛り61の映像にて計測空間Skの当該異なる位置の深さを計測する。この計測作業を繰り返して、計測空間Skの大きさを知得することができる。
上記において、カメラの読む目盛から自動的にコンピュータに突出部58を突出させた計測空間Skの各位置における計測数値を読み込むものとしてもよい。例えば、目盛りに数値を表示しておき、光学読み取りソフトウエア(OCR)にてキャプチャした映像から数値データを取得するものとしてもよい。また、出没部58の出没即ち被案内部52の変位を電動機やアクチュエータで自動的に行うものとし、エンコーダーで突出部58の突出幅を検出し計測数値のデータとしてコンピュータへ読み込むものとしても実施できる。
更には、コンピュータに、深さ検出部6及び位置検出部から得た深さと位置に関するデータから計測空間Skの容積を算出させるものとしてよい。
(計測装置の変更例)
作業者が被案内部の握り手を掴んで操作し、被案内部52を変位させて出没部58を開口部57から出没させるものとした。この他、案内部51の基端側の区間をシリンダとし、被案内部52の基端に空気圧などの流体圧にて当該シリンダ内を変位するピストンを設けて、当該シリンダをコンプレッサへ接続し、コンプレッサの駆動にて被案内部52を変位させるものとしてもよい。
上記案内部51のエルボ51bは、交差する2つの筒状部分511,512を備えるものとした。この他、他方の筒状部分512について、上記突当り部55と出没案内部56のみ残して他の部分を除去した形態としてもよい。更には、上記案内部51のエルボ51bに代えて、パイプ51aの先端へキャップを取り付けて当該先端を閉鎖すると共に、パイプ51a先端側の側部又は当該キャップの側部に開口部57を設けるものとしても実施できる。この場合、開口部57の内部から外部へ向けて突出する板状部材を設けて、当該板状部材の板面が、突当り部55と出没案内部56とを提供するものとすればよい(図示しない)。上記板状部材は、開口部57の縁について、案内部51の長手方向における案内部51の先端側を通って開口部57外部へ突出するものとすればよい。
上記のカメラ62は、有線でモニタと接続されるものとした。この他、上記カメラ62は無線で画像を送信するものとしても実施できる。また、リアルタイムで深さ測定を行う必要がなければカメラ62に録画する機能を備えたものを採用し、録画したものを観察するものとしてもよい。
また、深さ検出部6を、出没部58の目盛り61とカメラ62に代えて、被案内部52の基端側へ被案内部52の長手方向に沿って目盛をふるものとしてもよい。案内部51の基端開口59から露出する露出幅について当該目盛りを読むことにより検知し、計測空間Skの深さを知得するものとしても実施できるのである。
但し、カメラ62は、単に目盛りを観察するために使用するのみならず、上記の通り構造物狭隘部Gの外部から欠陥やはつった後の空間を見つけるためのサーチ部を兼ねるのが好ましく、有線・無線に関わらずリアルタイムに画像をモニタから観察できるものが望ましい。一方、計測装置5は、上記サーチ部として、上記カメラ62とは別途のカメラを備えるものとしても実施できる。
(上記計測装置の概括とそのメリット)
上記計測装置5は、欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間Skとし、前記補修部形成に先立ち少なくとも前記計測空間Skの前記構造物端面から後退する深さを計測することができるものであり、測定動作前の前記計測装置の前後の幅は前記端面間の幅より小さなものとする。
補修部形成に先立ち、計測装置5にて少なくとも上記計測空間Skの深さを調べておくことができる。即ち、計測装置5により、劣化によって生じた欠陥の深さを予め検出することができる。また、計測装置5により、欠陥をはつったことにて形成された空間の深さを補修部形成に先立ち調べることができる。はつったことにて形成された空間の各位置において当該空間の深さを上記計測装置で計測し当該空間の大きさを調べることにより、補修部形成のために必要な充填材料の量を簡便に知得することができるのである。
1 切削部
2 操作部
3 採取部
4 ガイド部
5 計測装置
6 深さ検出部
7 案内移動部
8 位置検出部
11 エアツール本体
12 駆動軸
13 短軸
14 ドリルビット
21 筒状体
22 開放部位
31 受け部
32 吸引部
33 集塵機
40 吊下げ用治具
41 支持体
51 (計測装置5の)案内部
52 (計測装置5の)被案内部
53 (計測装置5の)深さ検出部
55 (計測装置5の)突当り部
56 出没案内部
57 開口部
58 出没部
59 後端開口
101 噴射部
102 移動部
103 噴射部支承部
111 ノズル(ウォータージェットノズル)
121 ワイヤーロープ
122 駆動装置
123 固定部材
124 滑車
131 スライド部
132 スライドレール
133 縦ガイド
201 縦型枠
202 横型枠
203 膨張体
204 縦型枠移動部
205 横型枠支持部

Claims (22)

  1. 高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成装置であって、
    前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、
    構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、
    前記補修材を供給する補修材供給部を備え、
    前記補修材供給部の前後の幅は前記端面間の幅より小さく、前記補修材供給部は、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ当該挿入状態において前記補修材の送り方向を当該挿入方向と交差する方向とする先端側区間を備え、前記被補修部位へ向けて前記補修材を充填又は吹き付けることができるものである構造物狭隘部における補修部形成装置。
  2. 前記補修材供給部は、補修材を前記補修部へ噴射する噴射装置と、前記噴射装置を移動させる噴射装置移動部とを備え、
    前記補修材供給部について、少なくとも前記噴射装置が前記先端側区間を備え、少なくとも前記先端側区間を、上記の通り前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができるものであり、
    前記噴射装置移動部は、前記噴射装置を移動させて、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入するものであり、
    前記噴射装置は、前記補修材を噴射するノズル部と、基端側に設けられた補修材を前記ノズル部に向けて送る材料ホースと、エア圧送管とを備え、前記エア圧送管の先端側は前記ノズル部に接続され、エア圧送管の基端側はコンプレッサへ接続され、前記エア圧送管は、コンプレッサにて圧縮された空気を前記ノズル部へ送るものであり、前記エア圧送管を主管とし前記エア圧送管のノズル部に至るまでの途中区間へ前記材料ホースの先端側が接続されて、前記エア圧送管からの圧縮空気によって前記補修材を前記ノズル部から噴射するものであることを特徴とする請求項1に記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  3. 1つ又は複数の型枠を備え、
    前記型枠の少なくとも1つは、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ、前記構造物狭隘部内へ挿入されて前記被補修部位を覆うものであり、前記型枠には注入孔が設けられ、
    前記補修材供給部は、前記型枠に覆われた前記被補修部位へ前記注入孔から前記補修材を充填させることを可能とするものであり、
    前記型枠は、当該補修部形成後、前記構造物から取り外すことができるものであることを特徴とする請求項1記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  4. 前記被補修部位は、少なくとも前記上部工の前記端面から前記橋梁工の下面へ連続するようコンクリートの除去された空間であり、
    前記型枠として縦にして前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部へ挿入することができる縦型枠と横にして前記上部工の下面に当てることができる横型枠とを含むと共に、少なくとも前後に膨張することができる膨張体を備え、
    前記被補修部位の下部へ前記横型枠を配置し、前記構造物の側面視において、前記横型枠と共に前記被補修部位を取り囲むよう、前記縦型枠を立てた状態にして前記横型枠の上面に載せ或いは前記横型枠へ連結することができ、
    前記膨張体を、前記被補修部位へ対向する前記端面と前記縦型枠との間に配置し膨張させることにより、前記横型枠から前記縦型枠が外れるのを防止しつつ、前記横型枠と前記縦型枠とに囲まれた前記被補修部位へ前記補修材供給部にて前記補修材を充填することができ、
    補修部形成後、前記縦型枠、横型枠及び膨張体を前記構造物から取り外すことができるものであることを特徴とする請求項3記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  5. 高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成方法であって、
    前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、
    構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、
    前記補修材を供給する補修材供給部を用い、
    前記補修材供給部の前後の幅が前記端面間の幅より小さく、前記補修材供給部には、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ当該挿入状態において前記補修材の送り方向を当該挿入方向と交差する方向とする先端側区間を備えるものを用い、前記被補修部位へ向けて前記補修材を充填又は吹き付けることを特徴とする構造物狭隘部における補修部形成方法。
  6. 高架道路等高架のコンクリート構造物の上部工における、伸縮継ぎ手や目地が設けられる端面間の隙間即ち構造物狭隘部の、被補修部位へモルタル等の補修材を打って補修を行う構造物狭隘部における補修部形成装置であって、
    前記構造物狭隘部の左右又は下方から前記上部工のコンクリートをはつって形成した、コンクリートの除去された空間を前記被補修部位とし、当該被補修部位へ新たに前記補修材を打って補修部を形成するものであり、
    前記被補修部位は、少なくとも前記上部工の前記端面から前記橋梁工の下面へ連続するようコンクリートの除去された空間であり、
    前記上部工は、橋脚の上面に支承を介して配置された桁部材と、前記部材の上部へ一体に設けられた上部部材とを備える構造のものであり、
    構造物狭隘部である前記端面間の幅を20mm〜100mmとし、
    前記補修材を供給する補修材供給部を備え、
    縦にして前記上部工の右又は左側から構造物狭隘部へ挿入することができる縦型枠と横にして前記上部工の下面に当てることができる横型枠とを含むと共に、少なくとも前後に膨張することができる膨張体を備え、
    前記被補修部位の下部へ前記横型枠を配置し、前記構造物の側面視において、前記横型枠と共に前記被補修部位を取り囲むよう、前記縦型枠を立てた状態にして前記横型枠の上面に載せ或いは前記横型枠へ連結することができ、
    前記膨張体を、前記被補修部部位へ対向する前記端面と前記縦型枠との間に配置し膨張させることにより、前記横型枠から前記縦型枠が外れるのを防止しつつ、前記横型枠と前記縦型枠とに囲まれた前記被補修部位へ前記補修材供給部にて前記補修材を充填することができ、
    前記縦型枠又は前記横型枠には、注入孔が設けられ、
    前記補修材供給部は、補修材の送り方向を下方から上方とする上下区間を備え、橋脚側から前記注入孔へ向けて補修材を供給し、前記補修材供給部は、前記型枠に覆われた前記被補修部位へ前記注入孔から前記補修材を充填させることを可能とするものであり、
    補修部形成後、前記縦型枠、横型枠及び膨張体を前記構造物から取り外すことができるものであることを特徴とする構造物狭隘部における補修部形成装置。
  7. 前記補修部形成に先立ち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、流体を前記構造物端面へ噴射してコンクリート構造物のはつりを行う構造物狭隘部のはつり装置を備え、
    前記はつり装置は、前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つ加圧した流体を噴射するノズルを備えた噴射部と、前記構造物狭隘部内において前記噴射部を前記構造物の全幅方向即ち左右方向に沿って移動させることができる移動部と、前記構造物狭隘部内へ挿入でき且つ前記噴射部の荷重を受け当該荷重を構造物へ直接伝達する噴射部支承部とを備え、前記噴射部支承部は、移動部に連動して前記噴射部を移動させることができ、前記移動部へ前記噴射部の荷重が掛るのを抑制する請求項1乃至4の何れかに記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  8. はつり装置の前記噴射部は、前記ノズルとして高圧水を噴射してコンクリートをはつるウォータージェットノズルを先端に備えた高圧パイプであり、前記噴射部の基端側は高圧ポンプへ接続されるものであり、
    前記噴射部支承部は、前記構造物へ固定されたものであり且つ上面へ前記噴射部が載置されて固定されるスライド部を備え、
    前記移動部は、間接或いは直接的に前記スライド部を左右方向へスライドさせることにより、前記構造物狭隘部内にて噴射部の少なくとも前記ノズル側を左右方向へ移動させるものであることを特徴とする請求項7記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  9. 前記噴射部支承部は、前記構造物へ固定され且つ前記スライド部の前記左右方向への移動をガイドするガイドレールを備え、
    前記移動部は、前記構造物狭隘部内にて構造物の左右に渡され前記構造物狭隘部内へ前記左右方向に沿って配置されたワイヤーロープ等線条部材と、前記線条部材を移動させる駆動部と、前記線条部材へ前記噴射部を固定する固定部材とを備え、前記線条部材の移動にて前記スライド部と共に前記噴射部を移動させるものであることを特徴とする請求項8記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  10. 前記線条部材は、環状にされ、前記固定部材は、噴射部の回り止めを構成するものであり、
    前記噴射部は、前記線条部材の循環により、前記固定部材と共に前記構造物狭隘部内を左右に移動することができ、環状の前記線条部材の循環経路は、前記経路の他の区間よりも上方の上方区間と、当該上方区間の下方に位置する下方区間とを有し、
    前記上方区間と下方区間の一方において、前記固定部材は、前記線条部材に固定され或いは前記線条部材の環の一部をなし線条部材の前記循環に伴い構造物狭隘部内を左右へ移動することができ、
    前記固定部材は、上下方向について、前記上方区間から下方区間へ掛けて配置されるものであり、
    前記固定部材には、前記上方区間と下方区間の他の一方において、前記線条部材を通す挿通部が設けられ、線条部材の前記挿通部に通された部位は、前記固定部材に対し左右に移動でき、前記固定部材の少なくとも前後方向への移動が線条部材の前記挿通部に通された部位に制限されて、前記固定部材と共に前記噴射部が噴射の反動で回るのを抑制する請求項7乃至9の何れかに記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  11. 前記ノズルを覆うカバーを備え、
    前記カバーは、はつる部位のある前記構造物端面と対面する方向を前記ノズルに対し開放する開放部を備え、前記カバーは、前記開放部以外において前記ノズルを覆うものであり、前記構造物端面のはつる部位以外に流体が飛散するのを抑制することを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  12. 前記補修部形成に先立ち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、流体を前記構造物端面へ噴射してコンクリート構造物のはつりを行うものであって、
    前記はつりは、前記構造物狭隘部内へ挿入することができ加圧した流体を噴射するノズルを備えた噴射部と、前記構造物狭隘部内において前記噴射部を前記構造物の全幅方向即ち左右方向に沿って移動させることができる移動部と、前記構造物狭隘部内へ挿入でき且つ前記噴射部の荷重を受け当該荷重を構造物へ直接伝達する噴射部支承部とを用い、
    前記噴射部支承部には、前記移動部と別体に形成されると共に移動部に連動して前記噴射部を移動させるものを採用し、
    前記移動部へ前記噴射部の荷重が掛るのを抑制する請求項5記載の構造物狭隘部における補修部形成方法。
  13. 前記コンクリート構造物のはつりに先だち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、構造物の劣化試験用の試料として前記構造物のコンクリートの一部を採取する劣化試験用試料採取装置を備え、
    前記劣化試験用試料採取装置は、切削部と、操作部と、採取部とを備え、
    前記切削部は、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つコンクリートをはつり取ることが可能なビットを備えたものであり、
    前記操作部は、前記切削部と一体又は別体に形成された棒状体であり、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ差し込み、作業者の操作にて前記切削部を前記構造物狭隘部内の所望の位置へ配置させることができ、
    前記採取部は、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができる受け部を備え、前記切削部がはつり採った構造物のコンクリートの砕粉を受けるものであることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  14. 前記劣化試験用試料採取装置は、前記構造物狭隘部内において前記構造物の全幅方向即ち構造物の左右に渡って配置され前記切削部の前記構造物狭隘部内での左右の移動をガイドする細長のガイド部を備え、
    前記切削部又は前記操作部を前記ガイド部へ支持させることにて、前記ガイド部に沿って、前記切削部を左右方向へ移動させることができ、
    前記切削部は、前記操作部の先に前記操作部と一体に設けられ、
    前記切削部は、前記操作部の軸と交差する方向に突出する短軸と、当該短軸の先に前記ビットとして設けられたドリルビットとを備えたエアツールであり、
    前記切削部は、前記構造物狭隘部の外部に配置されたエアコンプレッサから駆動力を得て前記短軸を中心として前記ドリルビットを回転させることができ、
    前記構造物の右又は左側において、前記操作部の基端側を握って前記操作部を回転させることにより、前記操作部の軸を中心として前記短軸を旋回させて、前記ドリルビットを構造物の前記端面に当てることができ、
    採取部の前記受け部は、前記構造物狭隘部内にて前記ドリルビットの近傍へ配置することができる樋状のものであることを特徴とする請求項13記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  15. 前記受け部は、集塵機に接続されて、前記砕粉を吸引することができることを特徴とする請求項13又は14記載の造物狭隘部における補修部形成装置。
  16. 前記ガイド部は、前記切削部又は前記操作部を、前記ガイド部へ吊るした状態にして左右の移動を案内するワイヤーロープであり、
    前記操作部は、中空の筒状体であり、前記操作部の内部に前記エアツールの本体が設けられ、
    左右に伸びる前記操作部の、側部先端側は、前記操作部の周方向について一部を残して上部側が開放された区間を開放部位として備え、側部先端側において当該周方向の下部側が樋状の前記受け部を構成するものであり、
    前記切削部は、操作部の前記開放部位から、前記短軸を操作部の軸方向と直交する方向に突出させたことを特徴とする請求項14又は15記載の造物狭隘部における補修部形成装置。
  17. 前記コンクリート構造物のはつりに先だち、高架道路等の高架のコンクリート構造物の、伸縮継ぎ手や目地が設けられる構造物端面間の隙間即ち構造物狭隘部にて、構造物の劣化試験用の試料として前記構造物のコンクリートの一部を採取する劣化試験用試料採取を行うものであって、
    切削部と、操作部と、採取部とを用いるものであり、
    前記切削部には、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができ且つコンクリートをはつり取ることが可能なビットを備えたものを採用し、
    前記操作部には、前記切削部と一体又は別体に形成された棒状体であるものを採用し、
    前記採取部には、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ挿入することができる受け部を備えるものを採用し、
    作業者が、前記操作部を、前記構造物の右又は左側から前記構造物狭隘部内へ差し込み、操前記切削部を前記構造物の右又は左側から前記狭隘部内にて、前記切削部を前記構造物う狭隘部内の所望の位置へ配置させ、前記切削部にて構造物のコンクリートを切削し、
    前記切削部がはつり採った構造物のコンクリートの砕粉を、前記採取部にて受けるものであることを特徴とする請求項12記載の構造物狭隘部における補修部形成方法。
  18. 欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間とし、前記補修部形成に先立ち少なくとも前記計測空間の前記構造物端面から後退する深さを計測することができる計測装置を備え、
    測定動作前の前記計測装置の前後の幅は前記端面間の幅より小さなものである請求項1記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  19. 前記計測装置は、前記構造物の左右の少なくとも一方又は下方から前記構造物狭隘部内へ挿入することができる案内部と、案内部の前記挿入方向と交差する方向に向けて前記案内部から出没可能な出没部と、前記出没部の突出幅を検出する深さ検出部とを備え、
    前記案内部を構造物狭隘部へ挿入した状態において、前記計測空間にて前記出没部を突出させることができ、前記深さ検出部にて前記出没部の突出幅を検出することにより、前記計測空間の深さを検知することを可能とする請求項18記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  20. 前記案内部は、構造物狭隘部への挿入方向に沿って伸びる長尺の部材であり、
    前記計測装置は、前記案内部へ案内される被案内部を備え、
    前記被案内部は、前記案内部に案内され、前記案内部に対し前記案内部の伸びる方向に沿って変位することができ、
    前記被案内部の先端側が前記出没部を構成するものであり、
    前記案内部は、先端側に前記被案内部の先端側を突き当てる突当り部を備え、
    前記被案内部は、前記案内部の伸びる方向を長手方向として伸び、前記変位にて前記突当り部へ突き当たることによって撓むものであり、
    前記案内部を構造物狭隘部へ挿入した状態において、前記被案内部の先端側を前記突当り部へ突き当てて前記案内部の伸びる方向と交差する方向へ向きを変えさせることにより、前記被案内部の先端側を前記出没部として、前記案内部から突出させることができる請求項19記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  21. 前記案内部は、中空の内部へ前記被案内部を収容する筒状体であり、
    前記案内部の構造物狭隘部内への挿入方向について前記案内部を移動させることができる案内移動部と、前記挿入方向について前記案内部の位置を検出する位置検出部とを備え、
    前記突当り部は前記案内部の先端側を閉鎖するものであり、
    前記案内部の先端側の側面は、筒状の前記案内部の内部と外部とを連絡する開口部を備え、
    前記案内部を構造物狭隘部へ前記挿入した状態において、前記被案内部の基部側を前記案内部の基端側から前記案内部内へ押し込むことにて、前記被案内部の先端側を前記突当たり部へ突き当てて、前記開口部から前記出没部を突出させることができ、
    前記深さ検出部は、被案内部の前記出没部へ当該出没方向に沿ってふられた目盛りと、前記案内部に設けられたカメラとを備え、
    前記カメラは、前記構造物狭隘部の外部にて少なくとも前記開口部から露出している前記目盛りを確認することができる或いは少なくとも前記開口部から露出している前記目盛りを録画することができるものであり、
    前記位置検出部により前記挿入方向についての前記出没部の位置を検出でき、前記位置検出部が検出した各位置において前記深さ検出部により計測空間の深さを検出することにて、計測空間の大きさを検知可能とする請求項20記載の構造物狭隘部における補修部形成装置。
  22. 欠陥により又は当該欠陥の除去により前記上部工の構造物端面から後退する空間を計測空間とし、前記補修部形成に先立ち少なくとも前記計測空間の前記構造物端面から後退する深さを、計測装置にて計測するものであり、
    前記計測装置は、計測動作前の前後の幅を前記端面間の幅より小さく構成したものである請求項5記載の構造物狭隘部における補修部形成方法。
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