JP2020109002A - ツース部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度の安定化を図れるツース部材を提供する。【解決手段】ツース部材63が、ブロック状の本体部80と、本体部80において互いに平行に延びる一対の側面85のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられた一対の歯部62とを含む。一対の歯部62は、歯先84が互いにずれている。ツース部材63は、一対の側面85の対向方向を加圧方向とする加圧成形によって成形されている。【選択図】図5

Description

この発明は、ステアリング装置に用いられるツース部材に関する。
下記特許文献1に記載されたステアリングコラム装置では、ステアリングホイールと操舵機構とを連結するステアリングシャフトがコラム本体内に挿通されている。コラム本体の側部には、両面に複数の歯が形成された板状のテレスコ用ギアベースが固定されている。コラム本体には、操作レバーが取り付けられたシャフトが挿通されたテレスコ方向の長孔が設けられている。操作レバーには、テレスコ用ギアベースに対応して、テレスコ用ギア部材が固定されている。テレスコ用ギア部材は、テレスコ用ギアベースの複数の歯に対向する面に、テレスコ用ギアベースの複数の歯と同じピッチで複数の歯を有している。操作レバーを回動させると、テレスコ用ギアベースにテレスコ用ギア部材が噛み合う。これにより、コラム本体のテレスコ位置調整が規制される。
特開2007−238012号公報
特許文献1に記載のステアリング装置では、テレスコ位置調整した後にコラム本体等のコラムジャケットの伸縮を規制するために、テレスコ用ギアベース等の両面に歯が形成されたツース部材の歯と、テレスコ用ギア部材の歯とを噛み合わせる。
ツース部材では、歯の頂部が形成されている部分と歯の底部が形成されている部分とで厚みが異なるため、たとえば加圧成形によってツース部材が成形される場合、歯の頂部が形成されている部分と歯の底部が形成されている部分とでは、加圧成形での圧縮率つまり密度が異なる。したがって、歯が並ぶ方向におけるツース部材の強度といった機械的性能が不安定になることにより、ツース部材とテレスコ用ギアベースとの噛み合いの強度が不安定になる虞がある。
この発明は、強度の安定化を図れるツース部材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ブロック状の本体部(80)と、前記本体部において互いに平行に延びる一対の側面(85)のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられた一対の歯部(62)と、を含み、前記一対の歯部は、歯先(86)が互いにずれており、一対の前記側面の対向方向(F)を加圧方向とする加圧成形によって成形されたツース部材(63;63P)である。
請求項2に記載の発明は、前記一対の歯部の歯先は、前記一対の側面(95)の前記対向方向において前記一対の側面と同じ位置に位置している、請求項1に記載のツース部材である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1に記載の発明によれば、加圧成形により成形されたツース部材では、ブロック状の本体部において互いに平行に延びる一対の側面のそれぞれに歯部が少なくとも1つずつ設けられている。一対の歯部の歯先が互いにずれているので、加圧成形によって成形されたツース部材の密度が側面の延びる方向における位置に応じて変動することを抑制できる。したがって、ツース部材の強度の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、一対の歯部の歯先は、一対の側面の対向方向において一対の側面と同じ位置に位置しているため、対向方向におけるツース部材の厚みを極力一定にすることができる。したがって、ツース部材の形状が簡素化されるので、ツース部材を加圧成形によって成形しやすくできる。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置の概略構成を示す側面図である。 図2は、ステアリング装置の斜視図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、ツースロック機構の周辺の分解斜視図である。 図5は、ツース部材を下側から見た図である。 図6は、ツースロック機構の模式的側面図であって第2歯と第1歯とが噛み合った状態を示した図である。 図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。 図8は、ツースロック機構の模式的側面図であって第2歯と第1歯との噛み合いが解除された状態を示した図である。 図9は、本実施形態の変形例に係るツース部材を下側から見た図である。 図10は、本実施形態の変形例に係るツース部材を後側から見た図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す側面図である。図1において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、コラムジャケット4と、ロアーブラケット5と、アッパーブラケット6と、締付機構7と、ツースロック機構8と、を主に含んでいる。
ステアリングシャフト3では、その後端である一端3Aに、ステアリングホイール等の操舵部材11が連結される。ステアリングシャフト3において、その前端である他端3Bは、自在継手12、インターミディエイトシャフト13および自在継手14を順に介して、転舵機構15のピニオン軸16に連結されている。
転舵機構15は、ラックアンドピニオン機構等で構成されている。転舵機構15は、ス
テアリングシャフト3の回転が伝達されたことに応じて、タイヤ等の転舵輪(図示せず)を転舵させる。
ステアリングシャフト3は、車体2の前後方向に延びている。以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向を、ステアリングシャフト3の軸方向Xという。軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。軸方向Xにおいて一端3A側である後側には、符号X1を付し、軸方向Xにおいて一端3Aとは反対側である前側には、符号X2を付す。
軸方向Xに対する交差方向のうち、図1において紙面と垂直な方向を左右方向Yといい、図1において略上下に延びる方向を上下方向Zという。左右方向Yにおいて、図1の紙面の奥側は、右側Y1であり、紙面の手前側は、左側Y2である。上下方向Zにおいて、上側には、符号Z1を付し、下側には、符号Z2を付す。
なお、図1以外の各図において図1の軸方向X、後側X1、前側X2、左右方向Y、右側Y1、左側Y2、上下方向Z、上側Z1および下側Z2に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
ステアリングシャフト3は、軸方向Xに延びるアッパーシャフト20およびロアーシャフト21を含む。アッパーシャフト20は、ロアーシャフト21よりも後側X1に位置している。ロアーシャフト21の後端部21Aは、アッパーシャフト20において円筒状に形成された前端部20Aに対して前側X2から挿入されている。
ロアーシャフト21は、スプライン嵌合やセレーション嵌合によってアッパーシャフト20に連結されているため、アッパーシャフト20とロアーシャフト21とは、一体回転可能であるとともに、軸方向Xに沿って相対移動可能である。ロアーシャフト21に対するアッパーシャフト20の軸方向Xへの移動によって、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに沿って伸縮可能である。
コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を収容している。コラムジャケット4は、軸方向Xに延びるアッパージャケット22およびロアージャケット23を有する。アッパージャケット22は、ロアージャケット23よりも後側X1に位置している。アッパージャケット22の前端部22Aが、ロアージャケット23に対して後側X1から内嵌されている。
コラムジャケット4は、軸受24および軸受25を介してステアリングシャフト3を回転自在に支持し保持している。詳しくは、アッパージャケット22は、軸受24を介して、アッパーシャフト20を回転自在に支持し、アッパーシャフト20を後側X1で保持している。ロアージャケット23は、軸受25を介して、ロアーシャフト21を回転自在に支持し、ロアーシャフト21を前側X2で保持している。
互いに連結されたアッパーシャフト20およびアッパージャケット22は、ロアーシャフト21およびロアージャケット23に対して軸方向Xに移動可能である。これにより、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3とともに伸縮可能である。ここでのステアリングシャフト3およびコラムジャケット4の伸縮をテレスコといい、テレスコによるステアリングシャフト3の一端3Aに連結される操舵部材11の軸方向Xでの位置調整をテレスコ調整という。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23の前端部23Bの上側外周面に固定された左右一対の可動ブラケット5A(後述する図2も参照)と、車体2に固定される固定ブラケット5Bと、左右方向Yに延びた中心軸5Cとを含んでいる。中心軸5Cは、一対の可動ブラケット5Aの間に架設されつつ固定ブラケット5Bを貫通している。これにより、ロアージャケット23の前端部23Bが車体2に連結されている。
可動ブラケット5Aは、固定ブラケット5Bによって、中心軸5Cまわりに回動可能に支持されている。そのため、コラムジャケット4全体は、ステアリングシャフト3を伴って、固定ブラケット5Bおよびアッパーブラケット6に対して、中心軸5Cまわりに上下に回動することができる。このように中心軸5Cを支点とするコラムジャケット4の回動をチルトといい、中心軸5Cを中心とする円弧に沿った略上下の方向をチルト方向という。
チルトによる操舵部材11のチルト方向での位置調整をチルト調整という。コラムジャケット4をチルト方向に沿って回動させることによって、チルト調整が可能になる。
なお、ロアージャケット23は、ロアーブラケット5を介して車体2に連結されることによって軸方向Xに移動できないので、テレスコ調整の際には、アッパージャケット22が実際に移動する。
アッパーブラケット6は、ロアージャケット23の後端部23Aを支持し、後端部23Aを車体2に連結するブラケットである。ステアリング装置1の斜視図である図2を参照して、アッパーブラケット6は、左右方向Yに薄くロアージャケット23の後端部23Aを挟んで左右方向Yに対向配置される一対の側板30と、一対の側板30のそれぞれの上端部に連結され、上下方向Zに薄い連結板31とを一体的に含む。
一対の側板30において、左右方向Yから見て同じ位置には、チルト溝32が形成されている(後述する図3も参照)。チルト溝32は、チルト方向に沿って円弧状に延びている。連結板31は、一対の側板30よりも左右方向Yの両外側へ延びた部分を有しており、当該部分に挿通される図示しないボルト等によって、アッパーブラケット6全体が車体2(図1参照)に固定される。
ロアージャケット23の上側外周面には、軸方向Xの全域に亘って延びて上下方向Zにロアージャケット23を貫通するスリット33が形成されている。また、ロアージャケット23の後端部23Aには、左右方向Yからスリット33を区画しつつ上側Z1に延び出た一対の延設部34が一体的に設けられている。各延設部34は、軸方向Xおよび上下方向Zに広がる板状であって左右方向Yに薄い。一対の延設部34は、一対の側板30の間に配置されていて、左右方向Yにおいて互いに対向する対向面34Aをそれぞれ有する。それぞれの延設部34は、左右方向Yにおいて同じ側に位置する側板30に対して左右方向Yから対向している。
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図3を参照して、一対の延設部34のそれぞれにおいて左右方向Yから見て同じ位置には、左右方向Yに延設部34を貫通する円形状の挿通穴35が形成されている。一対の延設部34の挿通穴35は、左右方向Yから見て、アッパーブラケット6の一対の側板30のチルト溝32の一部と重なっている。
ロアージャケット23の下側Z2の部分には、軸方向Xに延びる案内溝37が形成されている。案内溝37には、アッパージャケット22に固定された被案内突起38が挿通されている。案内溝37は、被案内突起38を介して軸方向Xへのアッパージャケット22の移動を案内しつつ、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の回転を規制する。また、案内溝37の軸方向Xの端部(図示せず)が被案内突起38と当接することにより、ロアージャケット23からのアッパージャケット22の抜けが防止されている。
締付機構7は、チルト調整およびテレスコ調整のために操舵部材11(図1参照)の位
置のロックを解除したり、チルト調整やテレスコ調整を終えた操舵部材11の位置をロックしたりするための機構である。締付機構7は、チルトボルト40と、操作部材41と、リング状のカム42およびカムフォロワ43と、ナット44と、リング状の介在部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47とを含む。
チルトボルト40は、左右方向Yに延びる中心軸線40Aを有する金属製のボルトである。チルトボルト40では、左端部に頭部40Bが設けられ、外周面の右端部にねじ溝40Cが設けられている。チルトボルト40において頭部40Bよりも右側Y1の部分は、ステアリングシャフト3よりも上側Z1の位置において、一対の側板30のチルト溝32と一対の延設部34の挿通穴35とに挿通されている。この状態では、頭部40Bが左側Y2の側板30よりも左側Y2に位置し、ねじ溝40Cが右側Y1の側板30よりも右側Y1に位置している。
操作部材41は、たとえば把持可能なレバーである。操作部材41は、長手方向の一端である基端部41Aと、長手方向の他端である把持部41Bとを含む。操作部材41の基端部41Aは、チルトボルト40の頭部40B付近に取り付けられている。運転者は、操作部材41の把持部41Bを掴んで操作することで、操作部材41の操作に応じてチルトボルト40を操作部材41とともに回動させることができる。
チルトボルト40の左端部は、カム42およびカムフォロワ43に挿通されている。頭部40Bと左側Y2の側板30との間には、カム42およびカムフォロワ43が、左側Y2からこの順に並んでいる。
カム42は、チルトボルト40に対して一体回転可能であるのに対して、カムフォロワ43は、チルトボルト40に対して相対回転可能かつ左右方向Yに移動可能である。ただし、カムフォロワ43において左側Y2の側板30のチルト溝32に挿通される部分には、二面幅が形成されているので、カムフォロワ43の空転がチルト溝32によって防止されている。
チルトボルト40のねじ溝40Cには、ナット44が取り付けられている。ナット44と右側Y1の側板30との間には、介在部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47が、左側Y2からこの順に並んでいる。チルトボルト40は、介在部材45、針状ころ軸受46およびスラストワッシャ47のそれぞれに対して挿通されている。
チルトボルト40は、アッパーブラケット6の各チルト溝32内で、前述したチルト方向に移動可能である。運転者がチルト調整のために操舵部材11(図1参照)をチルト方向に移動させると、コラムジャケット4全体が、アッパーブラケット6に対し相対的にチルトする。操舵部材11のチルト調整は、チルトボルト40がチルト溝32内で移動可能な範囲で行われる。
運転者がテレスコ調整やチルト調整をした後に、操作部材41を操作して回転させると、カム42が回転し、カム42およびカムフォロワ43における互いのカム突起56が乗り上げる。これにより、カムフォロワ43は、左右方向Yに延びるチルトボルト40に沿って右側Y1に移動し、カムフォロワ43が左側Y2の側板30の左側面を左側Y2から押圧する。これにより、カムフォロワ43と介在部材45との左右方向Yにおける間隔が狭まり、一対の側板30は、カムフォロワ43と介在部材45との間で左右方向Yの両側から締め付けられる。この状態では、各側板30と延設部34との間、および、締め付けに伴って縮径するロアージャケット23とアッパージャケット22との間が摩擦保持されるので、コラムジャケット4の回動および伸縮が規制され、操舵部材11(図1参照)がチルト方向Cおよび軸方向Xに移動不能となる。
このように、チルト方向および軸方向Xにおいて操舵部材11の位置がロックされてい
るときのステアリング装置1の状態をロック状態という。なお、通常の運転時では、ステアリング装置1はロック状態にある。
ロック状態のステアリング装置1において、操作部材41を操作して先程とは逆方向へ回転させると、カム42がカムフォロワ43に対して相対的に回転するので、カム42およびカムフォロワ43における互いのカム突起56の乗り上げが解除される。これにより、カムフォロワ43がチルトボルト40に沿ってロック位置から左側Y2に移動する。カムフォロワ43の移動に連動して、介在部材45は、チルトボルト40に沿って右側Y1へ移動する。これにより、カムフォロワ43と介在部材45との間隔が広がり、カムフォロワ43と介在部材45との間での一対の側板30の締め付けが解除される。この状態では、各側板30と延設部34との間、および、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間のそれぞれの摩擦保持が解除されるので、コラムジャケット4の回動および伸縮が可能となり、操舵部材11がチルト方向および軸方向Xに移動可能となる。そのため、テレスコ調整やチルト調整が再び可能となる。
このように、チルト方向および軸方向Xにおいて操舵部材11の位置の固定が解除されているときのステアリング装置1の状態を解除状態という。
以下では、ツースロック機構8の構成について詳細に説明する。
ツースロック機構8の周辺の分解斜視図である図4を参照して、ツースロック機構8は、第1歯60を有するツースプレート61と、第1歯60と噛み合い可能な歯部としての第2歯62を有するツース部材63とを含む。また、ツースロック機構8は、ツース部材63を支持する支持機構64と、ツース部材63の一部を上下方向Zに案内する案内機構65と、チルトボルト40の回転にツース部材63の運動を連動させる連動機構66とを含む。
ツースプレート61は、軸方向Xに長手の平板状の本体部70と、複数の第1歯60によって構成される一対の第1歯列60Lとを含む。本体部70には、上下方向Zに本体部70を貫通する貫通孔70Aが形成されている。貫通孔70Aは、上下方向Zから見て、軸方向Xに長手の矩形状である。
第1歯列60Lは、左右方向Yにおける貫通孔70Aの両端縁70Bのそれぞれに1つずつ設けられている。一対の第1歯列60Lは、左右方向Yに間隔を隔てていて、軸方向Xに互いに平行に延びている。
各第1歯列60Lの各第1歯60は、その歯先73として上下方向Zに延びる歯筋74を有する、いわゆる横歯形状の歯である。右側Y1の第1歯列60Lの各第1歯60は、右側Y1の端縁70Bから貫通孔70A内へ突出しており、その歯先73Aを左側Y2へ向けている。左側Y2の第1歯列60Lは、左側Y2の端縁70Bから貫通孔70A内へ突出しており、その歯先73Bを右側Y1へ向けている。
各第1歯列60Lにおいて、複数の第1歯60は、軸方向Xに所定のピッチPで並んでいる。軸方向Xにおいて、右側Y1の第1歯列60Lの第1歯60の歯先73Aと、左側Y2の第1歯列60Lの第1歯60の歯先73Bとは、本実施形態ではピッチPの半分に相当する距離Lだけずれている。距離Lは、本実施形態とは異なり、必ずしもピッチPの半分でなくてもよく、ピッチPよりも小さい距離であればよい。
ツースプレート61は、軸方向Xから見て一対の延設部34の間に配置されており(図3参照)、アッパージャケット22の外周面に溶接等によって固定されている。そのため、ツースプレート61は、軸方向Xにアッパージャケット22と一体移動可能である。ツースプレート61は、図示しないボルト等によってアッパージャケット22の外周面22Bに固定されていてもよい。また、ツースプレート61は、アッパージャケット22と単一の材料で一体的に形成されていてもよい。
ツース部材63は、ブロック状の本体部80と、複数の第2歯62によって構成された一対の第2歯列62Lとを含む。ツース部材63は、焼結や鍛造等の加圧成形によって成形されている。この実施形態のツース部材63は、たとえば焼結体であるため、一対の第2歯列62Lと本体部80とを焼結体として一体的に形成することができる。
本体部80は、第1部分81と、第1部分81の後側X1に隣接する第2部分82とを一体的に含む。第2部分82は、その後端部として後側X1へ向けて突出した係合突起83を含む。また、第2部分82は、その下端部として歯形成部84を含む。
ツース部材63を下側Z2から見た図5を参照して、歯形成部84は、左右方向Yの両側面として一対の側面85を含む。一対の側面85は、歯形成部84において互いに平行に延びている。一対の側面85が延びる方向は、軸方向Xと平行である。右側Y1の側面85Aは、本体部80における一方の側面の一例である右側面の一部でもあり、左側Y2の側面85Bは、本体部80における他方の側面の一例である左側面の一部でもある。
第2歯列62Lは、歯形成部84の一対の側面85のそれぞれに1つずつ設けられている。右側Y1の第2歯列62Lは、右側Y1の側面85Aに設けられており、左側Y2の第2歯列62Lは、左側Y2の側面85Bに設けられている。
各第2歯列62Lの第2歯62は、その歯先86として上下方向Zに延びる歯筋87を有する、いわゆる横歯形状の歯である(図4も参照)。右側Y1の第2歯列62Lの各第2歯62は、右側Y1の側面85Aから右側Y1へ突出しており、その歯先86Aを右側Y1へ向けている。左側Y2の第2歯列62Lは、左側Y2の側面85Bから左側Y2へ突出しており、その歯先86Bを左側Y2へ向けている。
右側Y1の側面85Aの第2歯列62Lの複数の第2歯62は、前述した所定のピッチPで軸方向Xに並んでいる。左側Y2の側面85Bの第2歯列62Lの複数の第2歯62も、所定のピッチPで軸方向Xに並んでいる。
軸方向Xにおいて、右側Y1の第2歯列62Lの第2歯62の歯先86Aと、左側Y2の第2歯列62Lの第2歯62の歯先86Bとは、ピッチPの半分に相当する距離Lだけずれている。つまり、一対の第2歯列62Lは、左右方向Yで非対称に構成されている。
このようなツース部材63を焼結によって成形する場合には、焼結によって、粉末状の金属を金型内で加圧する。ツース部材63は、加圧方向(左右方向Yに相当)に第2歯62が起伏するように成形される。
ここで、本実施形態のツース部材63とは異なり、ツース部材の一対の歯列が左右方向Yで対称形状を構成している比較例を想定する。比較例のツース部材では、軸方向Xにおいて、ツース部材の右側Y1の歯列の歯先の位置と、左側Y2の歯列の歯先の位置とが一致しているので、歯先が形成された山部と、歯底が形成された谷部とで、ツース部材の厚さの差が大きい。すなわち、ツース部材の厚さが軸方向Xにおいて大きく変動する。加圧成形でのツース部材の圧縮率に相当する密度が、歯が並ぶ方向において不均一になる。詳しくは、ツース部材の密度は、山部で高く谷部で低い。
一方、図5を参照して、距離LがピッチPよりも小さい場合、左右方向Yにおける厚さWを、軸方向Xにおけるどの位置においても極力均一にすることができる。これにより、歯形成部84の密度が軸方向Xの位置に応じて変動することを抑制できる。そのため、第2歯62の密度(歯部密度)が安定し、歯形成部84の強度や第2歯62の強度(歯部強度)等のツース部材63の機械的性能の向上を図れる。
本実施形態では、距離LがピッチPの半分に相当するので、左右方向Yにおける歯形成部84の厚さWは、少なくとも、最も前側X2の第2歯62の歯先86Aと、最も後側X
1の第2歯62の歯先86Bとの間でほぼ均一である。そのため、加圧成形によって成形されたツース部材63の密度が軸方向Xにおける位置に応じて変動することを一層抑制できる。
図4を参照して、ツース部材63は、ツースプレート61の貫通孔70Aの底面でもあるアッパージャケット22の外周面22Bよりも上側Z1で、かつ、チルトボルト40よりも前側X2に配置されている。
支持機構64は、ツース部材63の本体部80の第1部分81から左右方向Yの両外側へ突出する一対の支持軸89と、ロアージャケット23の一対の延設部34にそれぞれ設けられた一対の第1案内孔34Bとにより構成されている。一対の支持軸89は、左右方向Yに延びる中心軸線89Aを有する。各第1案内孔34Bは、軸方向Xに延びる長孔である。
一対の第1案内孔34Bのそれぞれには、支持軸89が1つずつ挿通されている。これにより、一対の支持軸89のそれぞれは、延設部34によって支持されており、チルトボルト40に対して平行な状態で軸方向Xに移動可能である。ツース部材63の本体部80の第1部分81は、一対の支持軸89を介して一対の延設部34によって支持されている。
一対の支持軸89は、ツース部材63と別体で設けられていてもよい。この場合、一対の支持軸89は、ツース部材63を左右方向Yに貫通する図示しない孔に挿通されることによってツース部材63の本体部80の第1部分81を支持するように構成される。
案内機構65に関連して、一対の延設部34のそれぞれの対向面34Aには、丸孔である支持穴34Cが形成されている。なお、図4では、説明の便宜上、右側Y1の延設部34の支持穴34Cのみを図示している。
案内機構65は、左右方向Yに延びる棒状の案内軸90と、ツース部材63の第2部分82に設けられ、上下方向Zに長手の第2案内孔82Aとを含む。案内軸90の左右方向Yの両端部は、一対の延設部34の支持穴34Cに挿通されている。これにより、案内軸90は、一対の延設部34によって上下方向Zに移動不能に支持されている。
連動機構66は、第2歯62が第1歯60に噛合するようにツース部材63を支持軸89の中心軸線89A回りに付勢する付勢部材91と、付勢部材91に抗して、第2歯62と第1歯60との噛合が解除するようにツース部材63を駆動する解除部材92とを含む。
連動機構66に関連して、右側Y1の延設部34の対向面34Aには、係止穴34Dが形成されている。
付勢部材91は、たとえば、ねじりばねである。付勢部材91は、右側Y1の延設部34に設けられた係止穴34Dに係止された第1端部91Aと、ツース部材63の第2部分82を下側Z2に付勢する第2端部91Bと、第1端部91Aと第2端部91Bとの間でチルトボルト40に巻き付けられたコイル部91Cとを含む。
解除部材92は、環状の本体92Aと、本体92Aの外周から突出する解除突起92Bとを含む。本体92Aは、左右方向Yに本体92Aを貫通する貫通孔92Cを有する。貫通孔92Cには、チルトボルト40が挿通されている(図3参照)。解除部材92は、チルトボルト40と一体回転可能である。詳しくは、本体92Aの内周面には、図示しない雌スプラインが形成されており、チルトボルト40の外周には、図示しない雄スプラインが形成されており、本体92Aとチルトボルト40とがスプライン嵌合している。解除突起92Bは、下側Z2からツース部材63の第2部分82の係合突起83に対向している。
以下では、ツースロック機構8の動作について説明する。
図6は、ツースロック機構8の模式的側面図であって第2歯62と第1歯60とが噛み合った状態を示した図である。
ステアリング装置1の状態がロック状態であるときは、ツース部材63の本体部80の第2部分82が付勢部材91の第2端部91Bによって下側Z2に付勢されることによって、図6に示すように、ツース部材63の第2歯62とツースプレート61の第1歯60とが噛み合っている。
図6のVII−VII線に沿った断面図である図7に示すように、一対の第2歯列62Lは、一対の第1歯列60Lと噛み合っている。詳しくは、右側Y1の第2歯列62Lと右側Y1の第1歯列60Lとが噛み合っている状態で、左側Y2の第2歯列62Lと左側Y2の第1歯列60Lとが噛み合っている。
図6を参照して、ステアリング装置1がロック状態から解除状態に変化するように操作部材41を回転させると、解除部材92がチルトボルト40と一体回転し、解除部材92の解除突起92Bが上側Z1へ移動する。解除突起92Bは、上側Z1へ移動することによって、係合突起83と係合する。
操作部材41を先程と同じ方向にさらに回転させると、解除突起92Bが付勢部材91に抗して係合突起83を押し上げる。このとき、案内軸90がツース部材63の第2部分82の第2案内孔82A内で下側Z2に相対移動することによって、第2部分82は、上側Z1に案内される。これにより、第2歯62が上側Z1へ移動し、ツースロック機構8の模式的側面図である図8に示すように、第2歯62と第1歯60との噛み合いが解除される。
このように、解除状態では、ツースロック機構8によるロアージャケット23に対するアッパージャケット22の軸方向Xの位置の固定が解除される。
図8を参照して、逆に、解除状態からロック状態に変化するように操作部材41を回転させると、解除部材92がチルトボルト40と一体回転し、解除部材92の解除突起92Bが下側Z2へ移動する。係合突起83を有するツース部材63の第2部分82は、付勢部材91によって付勢されているため、解除突起92Bの下側Z2への移動に伴って下側Z2へ移動する。このとき、案内軸90が第2部分82の第2案内孔82A内で上側Z1に相対移動することによって、第2部分82は、下側Z2に案内される。これにより、第2歯62が下側Z2へ移動し、一対の第2歯列62Lの第2歯62と一対の第1歯列60Lの第1歯60とが上下方向Zから噛み合う(図6も参照)。
このように、ロック状態では、ツースロック機構8によるロアージャケット23に対するアッパージャケット22の軸方向Xの位置のロックが達成される。
本実施形態によれば、前述したように、図5を参照して、ツース部材63では、軸方向Xにおいて、右側Y1の第2歯列62Lの第2歯62の歯先86Aと左側Y2の第2歯列62Lの第2歯62の歯先86Bとが距離Lだけずれているため、第2歯62の強度が向上されている。したがって、第2歯62と第1歯60との噛み合いによってコラムジャケット4の伸縮を規制する構成において、第2歯62と第1歯60との噛み合いの安定化を図ることができる。
図1を参照して、車両衝突の際、車両が障害物に衝突する一次衝突の後に、運転者が操舵部材11に衝突する二次衝突が発生する。二次衝突では、操舵部材11に内蔵されたエアバッグが開いたり運転者がエアバッグに衝突したりすることで生じる反力によって、操舵部材11は、少なくとも軸方向Xに衝撃を受ける。しかし、ステアリング装置1では、締付機構7によってコラムジャケット4の位置が保持されているのに加えて、ツースロッ
ク機構8によって軸方向Xにおけるコラムジャケット4の位置および操舵部材11の位置が強固に保持されている。ツースロック機構8によるこのようなコラムジャケット4の保持を、ポジティブロックという。
ポジティブロックにより、二次衝突時に案内軸90が剪断されるまでの間、すなわち二次衝突の初期段階において、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の拘束が安定化される。つまり、二次衝突時の初期拘束が安定化される。これにより、案内軸90が軸方向Xの衝撃をばらつき無く受けて剪断され、アッパージャケット22の移動が許容される。すると、ツース部材63がツースプレート61およびアッパージャケット22とともに前側X2へ移動することによって、コラムジャケット4が収縮する。案内軸90が剪断される際に発生する荷重(剪断荷重という)と、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の摺動によって二次衝突時の衝撃が吸収される。
前述したように、図6を参照して、第2歯62と第1歯60との噛み合い強度は安定している。そのため、案内軸90は、二次衝突時の衝撃を安定して受けることができるので、安定した剪断荷重を発生させることができる。したがって、二次衝突時の衝撃吸収性能等の衝突性能の安定化を図れる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図9は、本実施形態の変形例に係るツース部材63Pを下側Z2から見た図である。図10は、ツース部材63Pを後側X1から見た図である。図9および図10では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図9および図10を参照して、ツース部材63Pの本体部80は、その外面として、一対の側面95と、側面95同士を連結する下面96および上面97とを含む。
一対の側面95は、左右方向Yに平行な方向に互いに対向する。一対の側面95が互いに対向する方向(左右方向Yに平行な方向)を対向方向Fという。本体部80の一対の側面95のそれぞれは、第2歯列62Lが設けられた第1面(歯形成部84の側面85)と、対向方向Fにおいて側面85よりも本体部80の外側に位置する第2面98とを含む。
右側Y1の第1面は、右側Y1の側面85Aに相当し、左側Y2の第1面は、左側Y2の側面85Bに相当する。また、右側Y1の第2面98Aは、歯形成部84の右側Y1の側面85Aよりも右側Y1に位置し、左側Y2の第2面98Bは、歯形成部84の左側Y2の側面85Bよりも左側Y2に位置する。
下面96は、歯形成部84の各側面85と対応する第2面98とを連結する連結面99と、歯形成部84の下面100とを含む。連結面99および歯形成部84の下面100は、対向方向Fに延びている。
各第2歯列62Lは、対向方向Fに歯先86を向けて、歯形成部84の対応する側面85から突出している。詳しくは、右側Y1の第2歯列62Lの各第2歯62は、右側Y1の側面85Aから右側Y1へ突出しており、その歯先86Aを右側Y1へ向けている。左側Y2の第2歯列62Lは、左側Y2の側面85Bから左側Y2へ突出しており、その歯先86Bを左側Y2へ向けている。各第2歯列62Lの第2歯62は、対応する連結面99に連結されている。
対向方向Fにおいて、右側Y1の側面85Aの第2歯62の歯先86Aと、左側Y2の側面85Bの第2歯62の歯先86Bとの間の距離W1と、第2面98同士の間の距離W2とが等しい。一対の第2歯列62Lの第2歯62の歯先86のそれぞれは、対向方向Fにおいて対応する側面95の第2面98と同じ位置に位置している。詳しくは、右側Y1の第2歯列62Lの歯先86Aは、右側Y1の第2面98Aと対向方向Fにおいて同じ位置に位置しており、左側Y2の第2歯列62Lの歯先86Bは、左側Y2の第2面98B
と対向方向Fにおいて同じ位置に位置している。言い換えると、軸方向Xからみて、一対の第2歯列62Lのそれぞれの第2歯62の歯先86と、対応する側面95の第2面98との間には、段差が設けられていない。
この変形例によれば、一対の第2歯62の歯先86は、対向方向Fにおいて一対の側面95の第2面98と同じ位置に位置しているため、対向方向Fにおけるツース部材63Pの厚みを極力一定にすることができる。したがって、ツース部材63Pの形状が簡素化されるので、ツース部材63Pを加圧成形によって成形しやすくできる。詳しくは、ツース部材63Pを焼結によって成形する場合において、焼結の際に粉末状の金属を加圧するために用いる金型(つまり、加圧成形の際に用いる金型)の構造を簡素化することができるので、ツース部材63Pの成形が容易となる。また、加圧成型の際に用いる金型の構造が簡素化されることによって金型のコストを低減することもできる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、ステアリング装置1は、ツースロック機構8に限らず、異なる構造のツースロック機構を備えていてもよい。たとえば、案内機構65を含んでいない構成のツースロック機構であってもよい。この場合、一対の延設部34には、ツース部材63の支持軸89が挿通される第1案内孔34Bの代わりに、軸方向Xにおける支持軸89の移動を規制する支持孔が設けられていて、二次衝突時には、支持軸89が剪断されることによりコラムジャケット4が収縮する。
また、ツース部材63,63Pでは、右側Y1の第2歯列62Lと左側Y2の第2歯列62Lとで軸方向XにおけるピッチPが異なっていてもよい。ただし、この場合であっても右側Y1の第1歯列60Lの複数の第1歯60は、右側Y1の第2歯列62Lと等しい所定のピッチで軸方向Xに並んでいる必要があるし、左側Y2の第1歯列60Lの複数の第1歯60は、左側Y2の第2歯列62Lと等しいピッチで軸方向Xに並んでいる必要がある。
また、ツース部材63,63Pは、第2歯列62Lを含んでおらず、各側面85に第2歯62を1つずつ含んでいてもよい。
62…第2歯、63;63P…ツース部材、80…本体部、85…側面、86…歯先、95…側面、F…対向方向

Claims (2)

  1. ブロック状の本体部と、
    前記本体部において互いに平行に延びる一対の側面のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられた一対の歯部と、を含み、
    前記一対の歯部は、歯先が互いにずれており、
    一対の前記側面の対向方向を加圧方向とする加圧成形によって成形された、ツース部材。
  2. 前記一対の歯部の歯先は、前記一対の側面の前記対向方向において前記一対の側面と同じ位置に位置している、請求項1に記載のツース部材。
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