JP6757493B2 - ステアリング装置 - Google Patents

ステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6757493B2
JP6757493B2 JP2016053958A JP2016053958A JP6757493B2 JP 6757493 B2 JP6757493 B2 JP 6757493B2 JP 2016053958 A JP2016053958 A JP 2016053958A JP 2016053958 A JP2016053958 A JP 2016053958A JP 6757493 B2 JP6757493 B2 JP 6757493B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tooth
tooth member
dentition
steering device
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016053958A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017019482A (ja
Inventor
英信 田中
英信 田中
洋光 富山
洋光 富山
真幸 長岡
真幸 長岡
愛仁 吉原
愛仁 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to US15/200,804 priority Critical patent/US9840269B2/en
Priority to EP16177982.2A priority patent/EP3115278B1/en
Priority to CN201610537673.XA priority patent/CN106335534B/zh
Publication of JP2017019482A publication Critical patent/JP2017019482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6757493B2 publication Critical patent/JP6757493B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、ステアリング装置に関する。
下記特許文献1に記載のステアリングコラムは、ステアリングコラムの位置を調整するために調整方向に移動可能な調整部と、調整方向の位置が固定された保持部とを含む。調整部には、ステアリングシャフトを保持するジャケットユニットが取り付けられている。保持部に設けられた長孔は、調整方向に沿って延びている。
保持部には、調整方向に沿って並ぶ歯が設けられている。保持部の長孔に挿通されるクランプボルトには、ツースプレートが挿通されている。ツースプレートは、調整方向に沿って並ぶ歯を有する。
クランプボルトに取り付けられた操作部材を操作することにより、クランプボルトが挿通された押圧部材を保持部側へ移動させることができる。押圧部材を保持部側に移動させると、ツースプレートが、押圧部材に押圧されることによって保持部へ向けて移動する。その際、ツースプレートの歯が保持部の歯同士の隙間に入り込むと、保持部の歯とツースプレートの歯とが噛み合う。これにより、調整方向におけるジャケットユニットの位置が固定される。
米国特許出願公開第2009/0013817号明細書
特許文献1のステアリングコラムにおいて、調整方向は、車両のシャーシに固定されたブラケットに設けられた旋回軸まわりの円弧に沿った方向であり、いわゆるチルト方向である。旋回軸と長孔との間の距離は、車種毎に設定されるため、この距離が車種に応じて少しでも異なると、当該円弧の曲率が変化する。当該円弧の曲率が変化すると、保持部の長穴の形状を変更するだけでなく、保持部やツースプレートにおいて調整方向に沿って並ぶ歯部の形状やピッチも変更する必要がある。これでは、歯同士を噛み合わせることによって調整方向におけるコラムジャケットの位置を固定するための構成の共通化を図るのが困難である。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、ステアリングシャフトをコラムジャケットによって保持し、歯同士を噛み合わせることによってチルト方向におけるコラムジャケットの位置を固定する構成の共通化を図れるステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、一端(3A)に操舵部材(11)が連結されるステアリングシャフト(3)と、前記ステアリングシャフトを保持し、所定の曲率の円弧状の軌跡(K)に沿うチルト方向(C)に回動可能なコラムジャケット(4)と、前記コラムジャケットを回動可能に支持し、車体(2)に固定されるブラケット(6)と、前記ブラケットに対する前記コラムジャケットの移動を可能および不能とするために操作される操作部材(41)が取り付けられ、前記ステアリングシャフトの軸方向(X)と前記チルト方向との両方に対して交差する交差方向(Y)に延び、前記コラムジャケットとともに前記チルト方向に移動可能な挿通軸(40)と、前記軸方向に交差し前記交差方向に対して直交する第1直線方向(L1)に沿って延びる直線孔(52;104)が形成され、前記第1直線方向に沿って並ぶ複数の第1歯(51;103)によって構成された第1歯列(51L;103L)を含み、前記第1直線方向に交差し前記交差方向に対して直交する第2直線方向(L2)に移動可能に前記ブラケットによって支持された第1ツース部材(43;100,71)と、前記ブラケットに設けられ、前記ブラケットに対する前記第1ツース部材の前記第1直線方向への移動を規制する第1規制部(55,77)と、前記第1直線方向に沿って並ぶ複数の第2歯(63;113)で構成された第2歯列(63L;113L)を含み、前記交差方向から前記第1ツース部材に対向し、前記挿通軸によって支持され、前記操作部材の操作によって前記交差方向に移動可能な第2ツース部材(45;90;110,72)と、前記第2ツース部材に連結され、前記直線孔に対して前記第1直線方向へ移動可能に、かつ、前記直線孔に対して前記第2直線方向に移動不能に前記直線孔に挿通され、前記第1ツース部材に対する前記第2ツース部材の前記第2直線方向への移動を規制する第2規制部(58)と、を含むステアリング装置(1;1P;1Q)である。
請求項2記載の発明は、前記第1歯列は、前記交差方向に弾性変形可能であり、前記ブラケットには、前記第1歯列に前記交差方向から対向する位置に凹部(56,78)が設けられている、請求項1に記載のステアリング装置である。
請求項3記載の発明は、前記第1ツース部材には、前記第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部(49A)が設けられている、請求項2に記載のステアリング装置である。
請求項4記載の発明は、前記第1歯および前記第2歯の歯筋(51A,63B)は、前記交差方向に延びている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
請求項5記載の発明は、前記第1ツース部材に設けられ、前記第1直線方向における両端が互いに近づくように前記第1ツース部材が撓むのを抑制する撓み抑制構造(95)を含む、請求項1に記載のステアリング装置である。
請求項6記載の発明は、前記第1ツース部材は、前記第1歯を前記交差方向に傾けるように弾性変形可能であり、前記撓み抑制構造は、前記第1ツース部材と前記ブラケットとの間で前記第1歯が前記交差方向に傾くのを許容する許容空間(97)を有する、請求項5に記載のステアリング装置である。
請求項7記載の発明は、前記第1ツース部材には、前記第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部(49A)が設けられている、請求項5または6に記載のステアリング装置である。
請求項8記載の発明は、前記第2歯列が、前記交差方向に弾性変形可能である、請求項1に記載のステアリング装置である。
請求項9記載の発明は、前記第1歯および前記第2歯の歯筋(51A;103B,63B;113A)は、前記交差方向に延びている、請求項5〜8のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
なお、上記において、括弧内の数字などは、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1記載の発明によれば、一端に操舵部材が連結されるステアリングシャフトを保持するコラムジャケットは、所定の曲率の円弧状の軌跡に沿うチルト方向に回動可能である。この回動によって、ステアリングシャフトの一端(つまり、この一端に連結される操舵部材)の位置調整が可能になる。
複数の第1歯によって構成された第1歯列を含む第1ツース部材は、車体に固定されるブラケットによって支持されている。複数の第2歯によって構成された第2歯列を含む第2ツース部材は、コラムジャケットとともにチルト方向に移動可能な挿通軸によって支持されている。第2ツース部材は、ステアリングシャフトの軸方向とチルト方向との両方に対して交差する交差方向から第1ツース部材に対向している。複数の第1歯および第2歯は、軸方向に交差し交差方向に対して直交する第1直線方向に沿って並んでいる。また、第1ツース部材には、第1直線方向に沿って延びる直線孔が形成されている。
挿通軸に取り付けられた操作部材の操作によって、第2ツース部材が交差方向に移動すると、第1ツース部材の第1歯列の第1歯と第2ツース部材の第2歯列の第2歯とが第1直線方向において交互に並ぶので、第1歯列と第2歯列とが噛み合う。これにより、コラムジャケットが回動できなくなるので、チルト方向におけるコラムジャケットの位置が固定される。
第1ツース部材は、ブラケットに支持された状態において、第1直線方向に交差し交差方向に対して直交する第2直線方向に移動可能であるが、ブラケットに設けられた第1規制部によって、第1直線方向へのブラケットに対する移動が規制されている。第2ツース部材に連結された第2規制部は、第1ツース部材の直線孔に挿通され、この状態では第1直線方向へ移動可能であるものの第2直線方向には移動不能である。これにより、第2ツース部材は、第1ツース部材に対して第1直線方向へ相対移動可能であるとともに、第2直線方向へ一体移動可能である。
この構成であれば、チルト方向における操舵部材の位置調整のためにコラムジャケットとともに挿通軸がチルト方向に回動すると、第2ツース部材は、第1ツース部材とともにブラケットに対して第2直線方向へ直線移動しながら、第1ツース部材に対して第1直線方向へ直線移動することによって、回動する。つまり、第2ツース部材の回動を、第1直線方向および第2直線方向のそれぞれの直線移動ヘと分解できる。これにより、第2ツース部材の第2歯列における複数の第2歯や、第1ツース部材において第2歯列に噛み合う第1歯列における複数の第1歯を、円弧状の軌跡に沿ったチルト方向に並べずに済み、第1直線方向に沿って直線状に並べることができる。この場合、第1歯列および第2歯列の形状や配置が当該軌跡の影響を受けないので、ステアリング装置が搭載される車種に応じて当該軌跡の曲率が変わっても、第1歯列および第2歯列の形状や配置を変更せずに済む。そのため、当該軌跡の曲率が異なる複数の車種であっても、共通の第1ツース部材および第2ツース部材を適用できる。よって、第1ツース部材の共通化および第2ツース部材の共通化を図れる。
請求項2記載の発明によれば、ブラケットには、第1歯列に交差方向から対向する凹部が設けられている。第1歯列と第2歯列とが噛み合わず、第1歯列に第2歯列が乗り上げた場合には、この凹部が第1歯列を受け入れることができるので、第1歯列は、凹部側へ弾性変形して撓むことができる。これにより、第1歯列と第2歯列とは、噛み合わない状態であっても互いに圧接できるので、チルト方向におけるコラムジャケットの位置をロックできる。
請求項3記載の発明によれば、第1ツース部材には、第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部が設けられているため、第1歯列に第2歯列が乗り上げた場合には第1歯列を容易に撓ませることができる。
請求項4記載の発明によれば、第1歯と第2歯とを、それぞれの歯筋が延びる方向から噛み合わせることができる。
請求項5記載の発明によれば、第1ツース部材は、撓み抑制構造によって、第1直線方向における両端が互いに近づくように撓むことを抑制されている。そのため、第1直線方向に過大な成分を有する荷重が第1ツース部材に負荷された場合に第1ツース部材が急激に折れ曲ることが抑制される。
請求項6記載の発明によれば、第1ツース部材とブラケットとの間で交差方向に第1歯が傾くことが許容空間によって許容される。そのため、第1ツース部材が弾性変形することによって交差方向に傾いた第1歯とブラケットとの干渉を避けるための構成をブラケットに設ける必要がない。したがって、ブラケットの加工が容易となり、コストが低減される。
請求項7記載の発明によれば、第1ツース部材には、第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部が設けられている。そのため、第1ツース部材を弾性変形させて第1歯を交差方向に容易に傾けることができる。
請求項8記載の発明によれば、第2歯列が弾性変形可能である。第1歯列と第2歯列とが噛み合わず、第2歯列に第1歯列が乗り上げた場合には、第2歯列は、ブラケットとは反対側へ弾性変形して撓むことができる。これにより、第1歯列と第2歯列とは、噛み合わない状態であっても互いに圧接できるので、チルト方向におけるコラムジャケットの位置をロックできる。
請求項9記載の発明によれば、第1歯と第2歯とを、それぞれの歯筋が延びる方向から噛み合わせることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置の概略構成を示す側面図である。 図2は、ステアリング装置の斜視図である。 図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。 図4は、アッパーブラケットの左側の側板の付近の部材の分解斜視図である。 図5は、図3においてV−V線に沿った断面図である。 図6は、図3においてVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図6において第2歯列が第1歯列に乗り上げた状態を示した図である。 図8は、図5において解除状態を示した図である。 図9は、チルト調整の際の各部材の動作を示した概略図である。 図10は、第1ツース部材に対する第2規制部の移動を説明するための概略図である。 図11は、第1実施形態の変形例を図4に適用した図である。 図12は、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置のアッパーブラケットの左側の側板周辺の部材の分解斜視図である。 図13は、第2実施形態に係るアッパーブラケットの左側の側板周辺を第1直線方向に垂直な平面に沿って切断した断面の模式図である。 図14は、第2実施形態の第1変形例に係る撓み抑制構造周辺の断面の模式図である。 図15(a)は、第2実施形態の第2変形例に係る第1ツース部材の模式的斜視図であり、図15(b)は、第2実施形態の第1変形例に係る撓み抑制構造周辺の断面の模式図である。 図16は、本発明の第3実施形態に係るステアリング装置のアッパーブラケットの左側の側板周辺の部材の分解斜視図である。 図17は、第3実施形態に係るアッパーブラケットの左側の側板周辺を第1直線方向に垂直な平面に沿って切断した断面の模式図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す側面図である。図1において、紙面左側が、ステアリング装置1が取り付けられる車体2の前側であり、紙面右側が車体2の後側であり、紙面上側が車体2の上側であり、紙面下側が車体2の下側である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、コラムジャケット4と、ロアーブラケット5と、アッパーブラケット6(ブラケット)とを主に含んでいる。
ステアリングシャフト3では、後端である一端3Aに操舵部材11が連結されている。ステアリングシャフト3において前端である他端3Bが、自在継手12、インターミディエイトシャフト13および自在継手14を順に介して、転舵機構15のピニオン軸16に連結されている。
転舵機構15は、ラックアンドピニオン機構などで構成されている。転舵機構15は、ステアリングシャフト3の回転が伝達されたことに応じて、図示しないタイヤなどの転舵輪を転舵させる。
ステアリングシャフト3は、車体2の前後方向に延びている。以下では、ステアリングシャフト3が延びる方向を軸方向Xとする。軸方向Xは、他端3Bが一端3Aよりも低くなるように水平方向に対して傾斜している。軸方向Xにおける後側には、符号「X1」を付し、軸方向Xにおける前側には、符号「X2」を付す。
軸方向Xに対して交差する方向のうち、図1において紙面と垂直な方向を左右方向Y(交差方向)といい、図1において略上下に延びる方向を上下方向Zという。左右方向Yにおいて、図1の紙面の奥側は、右側Y1であり、紙面の手前側は、左側Y2である。上下方向Zにおいて、上側には、符号「Z1」を付し、下側には、符号「Z2」を付す。
なお、図1以外の各図において図1の軸方向X、後側X1、前側X2、左右方向Y、右側Y1、左側Y2、上下方向Z、上側Z1および下側Z2に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
ステアリングシャフト3は、少なくとも前側X2の一部が円筒状になったアッパーシャフト20と、円柱状のロアーシャフト21とを有している。アッパーシャフト20は、ロアーシャフト21よりも後側X1で同軸状に配置されている。アッパーシャフト20における後端20Aが、ステアリングシャフト3の一端3Aである。
ロアーシャフト21の後端部は、アッパーシャフト20の前端部に対して前側X2から挿入されている。ロアーシャフト21は、スプライン嵌合やセレーション嵌合によってアッパーシャフト20に嵌合される。そのため、アッパーシャフト20とロアーシャフト21とは、一体回転可能であるとともに、軸方向Xに沿って相対移動可能である。ロアーシャフト21に対するアッパーシャフト20の軸方向Xへの移動によって、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに伸縮可能である。
コラムジャケット4は、全体として、軸方向Xへ延びる中空体である。コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を収容している。コラムジャケット4は、軸方向Xに延びる筒状のアッパージャケット22およびロアージャケット23を有している。
アッパージャケット22は、ロアージャケット23よりも後側X1に位置している。ロアージャケット23は、アッパージャケット22に対して前側X2から外嵌されている。この状態で、アッパージャケット22は、ロアージャケット23に対する軸方向Xへの移動が可能である。この移動によって、コラムジャケット4の全体は、軸方向Xに沿って伸縮可能である。
コラムジャケット4は、軸受24および軸受25によってステアリングシャフト3に連結されていることから、コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3を回転自在に支持し、ステアリングシャフト3を保持している。コラムジャケット4は、ステアリングシャフト3とともに伸縮可能である。
ここでのステアリングシャフト3およびコラムジャケット4の伸縮を「テレスコ」と呼び、この伸縮調整、つまり、テレスコによる操舵部材11の軸方向Xでの位置調整をテレスコ調整と呼ぶ。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23の前側X2の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。
ロアーブラケット5は、ロアージャケット23に固定された一対の可動ブラケット5Aと、車体2に固定された固定ブラケット5Bと、左右方向Yに延びる中心軸5Cとを含んでいる。
可動ブラケット5Aは、固定ブラケット5Bによって、コラムヒンジなどの中心軸5Cを介して回動可能に支持されている。そのため、コラムジャケット4全体は、ステアリングシャフト3を伴って、固定ブラケット5Bおよびアッパーブラケット6に対して、中心軸5Cを中心に上下に回動することができる。ここでの回動を「チルト」と呼び、中心軸5Cを中心とした略上下方向をチルト方向Cと呼ぶ。チルト方向Cは、所定の曲率の円弧状の軌跡Kに沿っている。チルト方向Cは、軸方向Xに対して上下に交差している。チルト方向Cは、左右方向Yに直交している。チルトによる操舵部材11の位置調整をチルト調整と呼ぶ。
アッパーブラケット6は、コラムジャケット4のロアージャケット23の後側X1の部分を支持し、ステアリング装置1を車体2に連結している。
ステアリング装置1の斜視図である図2を参照して、アッパーブラケット6は、下向きに開放する溝形であり、軸方向Xから見て上下が逆になった略U字状をなすように、コラムジャケット4を挟んで左右対称に形成されている。詳述すると、アッパーブラケット6は、左右方向Yに薄くコラムジャケット4を挟んで対向する一対の側板30と、一対の側板30のそれぞれの上端部に連結された上下方向Zに薄い連結板31とを一体的に備えている。
連結板31は、たとえば一対の側板30よりも左右方向Yにおいて両外側へ延びた部分を有しており、当該部分に挿通される図示しないボルトなどによって、アッパーブラケット6全体が車体2(図1参照)に固定されている。
ロアージャケット23の上側Z1の部分には、軸方向Xの全域に延びて上下方向Zにロアージャケット23を貫通するスリット33が形成されている。また、ロアージャケット23の後端部23Aには、左右方向Yからスリット33を区画しつつ上側Z1に延びる一対の被締付部34が一体的に設けられている。各被締付部34は、軸方向Xおよび上下方向Zに広がる略直方体である。
図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。図3において、ステアリングシャフト3の中心軸3Cを通って上下方向Zに延びる平面を基準面3Dということにする。
図3を参照して、一対の側板30において、左右方向Yから見て同じ位置には、上下方向Zに長手の長方形状の挿通孔32が形成されている。一対の被締付部34のそれぞれには、左右方向Yに被締付部34を貫通する軸挿通孔35が形成されている。
ロアージャケット23の下側Z2の部分には、軸方向Xに延びる案内溝37が形成されている。案内溝37には、アッパージャケット22に固定された被案内突起38が挿通されている。案内溝37は、被案内突起38を介して軸方向Xへのアッパージャケット22の移動を案内しつつ、ロアージャケット23に対するアッパージャケット22の回転を規制する。また、案内溝37の軸方向Xの端部が被案内突起38と当接することにより、ロアージャケット23からのアッパージャケット22の抜けが防止されている。
ステアリング装置1は、挿通軸40と、左側Y2の側板30の付近に配置された操作部材41、カム42、第1ツース部材43、締付部材44、第2ツース部材45および弾性部材46とをさらに含む。
挿通軸40は、金属製であり、左右方向Yに延びる中心軸線C1を有する棒状である。挿通軸40は、チルトボルトともいう。挿通軸40は、左右方向Yから見て軸挿通孔35と挿通孔32とが重なる部分に挿通されている。詳しくは、挿通軸40は、軸挿通孔35内で中心軸線C1回りに回転可能に軸挿通孔35に挿通されており、挿通孔32内でチルト方向Cへ移動できるように挿通孔32に遊びをもって挿通されている。
挿通軸40は、コラムジャケット4に対する軸方向Xおよびチルト方向Cの移動が軸挿通孔35によって規制されており、コラムジャケット4のチルトに伴ってチルト方向Cに移動可能である。挿通軸40は、ステアリングシャフト3よりも上側Z1に位置している。
挿通軸40の左端部は、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30よりも左側Y2に位置している。挿通軸40の右端部は、アッパーブラケット6の右側Y1の側板30よりも右側Y1に位置している。挿通軸40の左端部には、挿通軸40の他の部分よりも大径な頭部40Aが設けられている。挿通軸40の外周面の右端部には、ねじ溝40Bが設けられている。
操作部材41は、把持可能なレバーなどである。操作部材41は、長手方向の一端である基端部41Aと、長手方向の他端である把持部41Bとを含む。基端部41Aには、左右方向Yに操作部材41を貫通する貫通孔41Cが形成されている。貫通孔41Cには、挿通軸40が挿通されている。
カム42は、操作部材41の基端部41Aに右側Y1から隣接する環状の板部42Aと、板部42Aから左側Y2に延びるボス部42Bとを一体的に含む。板部42Aの右側面には、カム突起42Cが設けられている。
板部42Aおよびボス部42Bの内周面が区画する空間には、挿通軸40が圧入状態で挿通されている。そのため、カム42は、挿通軸40と一体回転可能である。ボス部42Bの外形は、左右方向Yから見て、たとえば略四角形状である。ボス部42Bが操作部材41の貫通孔41Cに挿通されることによって、操作部材41とボス部42Bとの空転が防止されている。そのため、操作部材41は、カム42および挿通軸40と一体回転可能である。このように、操作部材41は、カム42を介して挿通軸40の左端部に取り付けられている。運転者は、操作部材41の把持部41Bを掴んで操作することで、操作部材41の操作に応じて、挿通軸40を操作部材41とともに回動させることができる。
図4は、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30の周辺の部材の分解斜視図である。
図4を参照して、第1ツース部材43は、たとえば、左右方向Yに弾性変形可能な金属板である。第1ツース部材43の外側の輪郭は、左右方向Yから見て、略四角形状である。
第1ツース部材43は、一対の支持部49と、一対の連結部50と、一対の第1歯列51Lとを一体的に含む。
支持部49は、上下方向Zに長手で左右方向Yに薄い板状である。一対の支持部49は、軸方向Xに互いに間隔を隔てて配置されている。各支持部49には、第1ツース部材43の剛性を低減するための剛性低減部としての複数の孔49Aが形成されている。各支持部49では、複数の孔49Aが、上下方向Zに等間隔に並んでいる。孔49Aは、左右方向Yに支持部49を貫通している。後側X1の支持部49の各孔49Aは、左右方向Yから見て、上底を前側X2へ向けた略台形状である。前側X2の支持部49の各孔49Aは、左右方向Yから見て、上底を後側X1へ向けた略台形状である。
連結部50は、軸方向Xに長手で左右方向Yに薄い板状である。一対の連結部50は、上下方向Zに互いに間隔を隔てて配置されている。一対の連結部50は、一対の支持部49を連結している。詳しくは、上側Z1の連結部50は、一対の支持部49の上端部間に架設されており、下側Z2の連結部50は、一対の支持部49の下端部間に架設されている。
第1ツース部材43には、第1ツース部材43を左右方向Yに貫通する直線孔52が形成されている。直線孔52は、軸方向Xに交差し左右方向Yに対して直交する第1直線方向L1に延びている。第1実施形態では、第1直線方向L1は、上下方向Zと平行な方向である。直線孔52は、一対の支持部49と一対の連結部50とによって囲まれた空間である。直線孔52には、挿通軸40が挿通されている(図3参照)。
一対の第1歯列51Lのそれぞれは、第1直線方向L1(上下方向Zでもある)に並ぶ略三角形状の複数の第1歯51で構成されている。前側X2の第1歯列51Lは、前側X2の支持部49の前端縁に設けられている。後側X1の第1歯列51Lは、後側X1の支持部49の後端縁に設けられている。前側X2の第1歯列51Lの第1歯51は、前側X2の支持部49から前側X2へ突出している。後側X1の第1歯列51Lの第1歯51は、後側X1の支持部49から後側X1へ突出している。
第1歯列51Lの各第1歯51は、その先端として左右方向Yに延びる歯筋51Aを有する。第1歯51の歯元部51Bは、支持部49によって支持されており、支持部49に一体化されている。第1ツース部材43は、前述したように左右方向Yに弾性変形可能であるが、第1ツース部材43では、少なくとも一対の第1歯列51Lが左右方向Yに弾性変形可能であればよい。第1ツース部材43は、左側Y2の側板30に左側Y2から隣接している(図3参照)。
第1ツース部材43に関連して、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30には、一対の第1規制部55と、一対の凹部56とが設けられている。
第1規制部55は、左側Y2の側板30を押出成型することによって形成されている。第1規制部55は、第1直線方向L1に交差し左右方向Yに対して直交する第2直線方向L2に長手の略直方体である。第2直線方向L2は、第1実施形態では、第1直線方向L1に直交している。一対の第1規制部55は、左側Y2の側板30と一体的に設けられているが、左側Y2の側板30とは別体として形成され、左側Y2の側板30に固定されていてもよい。各第1規制部55は、上下方向Zに互いに間隔を隔てて配置されている。詳しくは、第1規制部55は、挿通孔32において上下方向Zの両外側に1つずつ配置されている。
図3を参照して、軸方向Xから見て、一対の第1規制部55の間には、第1ツース部材43が配置されている。第1ツース部材43の上側Z1の連結部50は、上側Z1の第1規制部55に下側Z2から対向している。第1ツース部材43の下側Z2の連結部50は、下側Z2の第1規制部55に上側Z1から対向している。これにより、第1ツース部材43は、左側Y2の側板30に対する上下方向Zの移動が規制されている。また、第1ツース部材43は、一対の第1規制部55を介して、左側Y2の側板30に対して第2直線方向L2に移動可能に左側Y2の側板30によって支持されている。一対の第1規制部55は、第2直線方向L2へ延びているので、左側Y2の側板30に対する第2直線方向L2への第1ツース部材43の移動を案内することができる。
また、一対の第1規制部55によって、挿通軸40回りの第1ツース部材43の回転が規制されている。
図4を参照して、左側Y2の側板30において、挿通孔32を軸方向Xの両外側から区画する部分を周縁部32Aとする。凹部56は、軸方向Xにおいて一対の周縁部32Aの両外側に1つずつ位置している。各凹部56は、側板30を右側Y1へ窪ませることで形成されている。
締付部材44は、環状の板部57と、外形が右側Y1から見て略四角形状のブロック体である第2規制部58と、筒状のボス部59とを一体的に含む。締付部材44は、板部57の右側面を構成する押圧面44Bを含む。第2規制部58は、押圧面44Bから右側Y1に延びている。ボス部59は、第2規制部58の右側面から右側Y1に延びている。締付部材44には、締付部材44を左右方向Yに貫通する貫通孔44Aが形成されている。ボス部59の内部空間は、貫通孔44Aの一部を構成している。
図3を参照して、締付部材44は、カム42に右側Y1から隣接している。貫通孔44Aには、挿通軸40が遊びを持って挿通されている。これにより、締付部材44は、挿通軸40と相対回転可能なように挿通軸40によって支持されている。締付部材44の板部57の左側面には、カム42のカム突起42Cと乗り上げ可能なカム突起44Cが形成されている。
図4を参照して、第2ツース部材45は、たとえば、金属製の焼結体である。第2ツース部材45は、本体部60と、一対の突出部61と、一対の第2歯列63Lとを一体的に含む。
本体部60は、左右方向Yに薄い板状である。本体部60の外側の輪郭は、左右方向Yから見て、軸方向Xに長手の略矩形状である。本体部60において軸方向Xの略中央部の上下方向Zの両端部のそれぞれには、湾曲部60Aが1つずつ形成されている。上側Z1の湾曲部60Aは、上側Z1へ膨出しており、下側Z2の湾曲部60Aは、下側Z2へ膨出している。左右方向Yから見た一対の湾曲部60Aの輪郭は、左右方向Yから見た締付部材44の板部57の円弧状の輪郭と曲率がほぼ一致している。
本体部60において上下方向Zおよび軸方向Xの略中央には、本体部60を左右方向Yに貫通する貫通孔45Aが形成されている。貫通孔45Aは、左右方向Yから見て、略四角形状である。図3を参照して、貫通孔45Aには、挿通軸40および第2規制部58が挿通されている。本体部60は、締付部材44の板部57に右側Y1から隣接している。本体部60は、左側Y2から第1ツース部材43に対向している。
図4を参照して、突出部61は、左右方向Yから見て、上下方向Zに長手の略矩形状である。突出部61は、本体部60の軸方向Xにおける両端部のそれぞれから右側Y1へ向けて1つずつ突出している。
各第2歯列63Lは、第1直線方向L1(上下方向Zでもある)に沿って並ぶ複数の第2歯63によって構成されている。一対の第2歯列63Lは、一対の突出部61に1つずつ設けられることによって、軸方向Xに互いに間隔を隔てて配置されている。後側X1の第2歯列63Lは、その第2歯63の歯先部63Aを前側X2に向けて、後側X1の突出部61の前面から前側X2に突出している。前側X2の第2歯列63Lは、その第2歯63の歯先部63Aを後側X1に向けて、前側X2の突出部61の後面から後側X1に突出している。
第2歯列63Lの各第2歯63の歯先部63Aは、左右方向Yに延びる歯筋63Bを有する。一対の第2歯列63Lでは、第2歯63の本体部60側の端部である左端部63Cが本体部60の右側面60Bに固定されている。一対の第2歯列63Lでは、第2歯63の歯元部63Dが、突出部61に固定されている。このように、第2歯63は、歯元部63Dおよび左端部63Cの2箇所で固定されているため、強度が高い。
弾性部材46は、一枚の金属板をプレス成形することにより形成されたたとえば板ばねである。弾性部材46は、軸方向Xに互いに間隔を隔てて配置された一対の変形部65と、上下方向Zに互いに間隔を隔てて配置された一対の連結部66とを一体的に含む。
変形部65は、左右方向Yに薄く、上下方向Zに長手である。変形部65では、上下方向Zの略中央が左側Y2へ向けて膨出するように湾曲している。変形部65は、左右方向Yに弾性変形可能である。変形部65の上下方向Zの両端部のそれぞれには、左側Y2へクランク状に折り曲げられた引っ掛け部67が1つずつ形成されている。
引っ掛け部67は、左右方向Yに薄く上下方向Zに延びる第1部67Aと、上下方向Zに薄く、第1部67Aの先端部から延設され左側Y2に延びる第2部67Bとを一体的に含む。上側Z1の引っ掛け部67では、第2部67Bは、第1部67Aの上端部から延設されており、下側Z2の引っ掛け部67では、第2部67Bは、第1部67Aの下端部から延設されている。
弾性部材46の連結部66は、左右方向Yに薄く軸方向Xに長手である。上側Z1の連結部66は、一対の変形部65の上端部間に架設されており、下側Z2の連結部66は、一対の変形部65の下端部間に架設されている。
一対の変形部65と一対の連結部66とによって区画される空間46Aは、左右方向Yから見て、貫通孔45Aとほぼ一致する略四角形状である。
図3を参照して、弾性部材46は、第2ツース部材45に右側Y1から隣接しており、第1ツース部材43に左側Y2から隣接している。空間46Aには、挿通軸40および第2規制部58が挿通されている。
弾性部材46の上側Z1の引っ掛け部67の第2部67Bは、第2ツース部材45の本体部60に上側Z1から係合しており、弾性部材46の下側Z2の引っ掛け部67の第2部67Bは、第2ツース部材45の本体部60に下側Z2から係合している。これにより、弾性部材46が第2ツース部材45に一体化されている。
図5は、図3におけるV−V線に沿った断面図である。
図5を参照して、締付部材44の第2規制部58は、第2ツース部材45の貫通孔45Aと、弾性部材46の空間46Aと、第1ツース部材43の直線孔52とに、左側Y2からこの順で挿通されている。前述したように、締付部材44の貫通孔44Aには挿通軸40が挿通されている。これにより、第2ツース部材45および弾性部材46は、締付部材44を介して挿通軸40によって支持されている。前述したように、貫通孔45A、空間46Aおよび第2規制部58は、左右方向Yから見て略四角形状である。そのため、第2規制部58に対する第2ツース部材45および弾性部材46の空転が防止されるとともに、第2規制部58は、第2ツース部材45に連結されている。
第2規制部58と直線孔52の軸方向Xにおける両端縁との間の軸方向Xの隙間は、僅かであり、第2規制部58が直線孔52に沿って上下方向Zに相対移動できる程度である。そのため、第2規制部58は、直線孔52に対して第1直線方向L1へ移動可能であるとともに、直線孔52に対して第2直線方向L2へ移動不能である。これにより、第1ツース部材43に対する第2ツース部材45の第2直線方向L2への移動が規制されている。
また、第2規制部58の軸方向Xにおける両端面と、直線孔52の軸方向Xにおける両端縁とが当接することによって、第1ツース部材43に対する締付部材44の空転が防止される。
前述したように、挿通軸40まわりの第1ツース部材43の回転は、第1規制部55によって規制されている。したがって、第1ツース部材43に対する空転が防止された締付部材44と、締付部材44の第2規制部58に対する空転が防止された第2ツース部材45および弾性部材46とが挿通軸40まわりに回転することが規制されている。
締付部材44の第2規制部58の右端部とボス部59全体とは、挿通孔32に遊びを持って挿通されている。
凹部56の底面56Aは、各第1歯列51Lに右側Y1から1つずつ対向している。挿通孔32の周縁部32Aは、第1ツース部材43の支持部49、弾性部材46の変形部65および第2ツース部材45の本体部60を挟んで右側Y1から締付部材44の押圧面44Bに対向している。弾性部材46の一対の変形部65は、第1ツース部材43の支持部49と第2ツース部材45の本体部60との間で左右方向Yに圧縮されている。
図3を参照して、操作部材41の操作に応じてカム42が回転し、カム突起42Cとカム突起44Cとが乗り上げることによって、締付部材44は、挿通軸40の中心軸線C1に沿って左右方向Yに移動する。第2ツース部材45は、締付部材44の板部57に右側Y1から隣接しているので、締付部材44の右側Y1への移動に伴って右側Y1へ移動する。
ステアリング装置1は、右側Y1の側板30付近に配置された第1ツース部材71、第2ツース部材72、弾性部材73、ナット74、針状ころ軸受75およびスラストワッシャ76を含む。
右側Y1の第1ツース部材71、第2ツース部材72および弾性部材73のそれぞれは、基準面3Dを基準に左側Y2の第1ツース部材43、第2ツース部材45および弾性部材46のそれぞれを右側Y1に移動させて左右の向きのみを反転させたものである。右側Y1の側板30には、一対の第1規制部77および一対の凹部78が形成されている。一対の第1規制部77および一対の凹部78のそれぞれは、基準面3Dを基準に左側Y2の側板30に設けられている一対の第1規制部55および一対の凹部56をそれぞれ右側Y1に移動させて左右の向きのみを反転させたものである。
第1ツース部材71、第2ツース部材72、弾性部材73、一対の第1規制部77および一対の凹部78の各構成には、第1ツース部材43、第2ツース部材45、弾性部材46、一対の第1規制部55および凹部56の対応する構成と同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図3では、一対の凹部56のうち一方の凹部56のみを図示しており、一対の凹部78のうち一方の凹部78のみを図示している。
右側Y1の締付部材79は、左側Y2の締付部材44の左右の向きのみを反転させた形状と概ね等しい。締付部材79の各構成には、締付部材44の構成と同じ符号を付し、その説明を省略する。ただし、右側Y1の締付部材79には、締付部材44とは異なりカム突起44Cが形成されていない。
ナット74は、挿通軸40のねじ溝40Bに取り付けられている。ナット74と右側Y1の被締付部34との間には、右側Y1の側板30、第1ツース部材71、第2ツース部材72、弾性部材73、締付部材79、環状の針状ころ軸受75およびスラストワッシャ76が介在されている。針状ころ軸受75およびスラストワッシャ76は、締付部材79とナット74との間でこの順で左側Y2から並んでいる。挿通軸40は、第1ツース部材71の直線孔52、第2ツース部材72の貫通孔45A、弾性部材73の空間46A、締付部材79の貫通孔44A、針状ころ軸受75およびスラストワッシャ76のそれぞれに対して挿通されている。
図3を参照して、左側Y2の側板30、挿通軸40、カム42、第1ツース部材43、締付部材44、第2ツース部材45および弾性部材46は、左側Y2のチルトロック機構86を構成している。チルトロック機構86は、コラムジャケット4のチルト方向Cにおける位置を強固にロックしたり、コラムジャケット4の位置のロックを解除したりするための機構である。
チルトロック機構86と同様に、右側Y1の側板30、挿通軸40、第1ツース部材71、締付部材79、第2ツース部材72および弾性部材73は、右側Y1のチルトロック機構87を構成している。
ステアリング装置1は、筒状のロック部材80と、伝達部材81と、軸方向Xに延びる板状のロックプレート82とを含む。ロック部材80、伝達部材81およびロックプレート82は、軸方向Xから見て、一対の被締付部34の間に配置されている。ロック部材80は、挿通軸40によって回転可能に支持されている。ロックプレート82は、アッパージャケット22に固定されている。伝達部材81は、挿通軸40の回転をロック部材80に伝達するためのカムや、ロック部材80をロックプレート82に向けて付勢するためのばねなどを含む。
ロック部材80に設けられた歯部80Aと、ロックプレート82に設けられた歯部82Aとが噛み合うことによって、操舵部材11(図1参照)の軸方向Xの位置が強固にロックされる(後述のロック状態時の態様)。また、歯部80Aと歯部82Aとの噛み合いが解除されることによって、軸方向Xにおける操舵部材11の位置のロックが解除される(後述の解除状態時の態様)。このように、ロック部材80、伝達部材81およびロックプレート82は、テレスコロック機構83を構成している。
次に、ステアリング装置1の動作について説明する。
以下では、特徴的なチルトロック機構86について説明し、テレスコロック機構83の説明は省略する。
運転者がチルト調整やテレスコ調整をした後に、操作部材41を回転させると、締付部材44は、第2ツース部材45の本体部60を介して弾性部材46の一対の変形部65を圧縮させながら挿通軸40の中心軸線C1に沿って右側Y1に移動し、図5に示すように、左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧する。これにより、締付部材44と締付部材79との左右方向Yにおける間隔が狭まり、一対の側板30は、締付部材44と締付部材79との間で左右方向Yの両側から締め付けられる。各側板30と被締付部34との間、および、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間がそれぞれ摩擦保持され、コラムジャケット4の回動および伸縮が不能となり、操舵部材11(図1参照)がチルト方向Cおよび軸方向Xに移動不能となる。
チルト方向Cおよび軸方向Xにおいて操舵部材11の位置が固定されているときのステアリング装置1の状態を「ロック状態」と呼ぶ。なお、通常の運転時ではステアリング装置1はロック状態である。
ロック状態のステアリング装置1において、操作部材41を先程とは逆方向へ回転させると、締付部材44は、第2ツース部材45を介して弾性部材46によって付勢されて左側Y2に移動する。これにより、締付部材44と締付部材79との間隔が広がり、締付部材44と締付部材79との間における一対の側板30に対する締め付けが解除される。各側板30と被締付部34との間、および、ロアージャケット23とアッパージャケット22との間のそれぞれの摩擦保持が解除され、操舵部材11(図1参照)がチルト方向Cおよび軸方向Xに移動可能となる。
チルト方向Cおよび軸方向Xにおいて操舵部材11の位置の固定が解除されているときのステアリング装置1の状態を「解除状態」と呼ぶ。
挿通軸40、操作部材41、カム42、締付部材44、弾性部材46、弾性部材73、ナット74、針状ころ軸受75、スラストワッシャ76および締付部材79は、締付機構85を構成している。締付機構85は、一対の側板30および一対の被締付部34を締め付けてチルト調整やテレスコ調整を終えた操舵部材11の位置をロックしたり、この締め付けを解除して操舵部材11(図1参照)のチルト調整およびテレスコ調整を可能にしたりするためのものである。
ここで、ロック状態では、チルト調整位置に応じて、第1歯列51Lの第1歯51と第2歯列63Lの第2歯63とが、歯同士が重ならない状態(位相が一致)、または、歯同士が重なる状態(位相が不一致)となる。
次に、第1ツース部材43と第2ツース部材45との噛み合いの動作について説明する。
右側Y1の側板30の周辺に配置された第1ツース部材71と第2ツース部材72との噛み合いの動作については、左側Y2の側板30の周辺に配置された第1ツース部材43と第2ツース部材45との噛み合いの動作と同じである。よって、以下では、左側Y2の側板30側の構成について詳しく説明し、右側Y1の側板30側の構成についての説明については省略する。このことは、後述するチルト調整の際の第1ツース部材43および第2ツース部材45の動作についても同様である。
図6は、図3においてVI−VI線に沿った断面図である。VI−VI線に沿った断面図では、第2ツース部材45の本体部60は本来あらわれないが、説明の便宜上、二点鎖線で図示している。
図6を参照して、操作部材41(図3参照)の操作に応じて第2ツース部材45が右側Y1に移動する際に、第1歯列51Lの第1歯51と、第2歯列63Lの第2歯63とが左側Y2から見て重ならない位置関係にある場合、操作完了時には、第1歯51と第2歯63とが第1直線方向L1において交互に並びつつ、締付部材44の押圧面44Bは左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧する。よって、第1歯列51Lの第1歯51および第2歯列63Lの第2歯63に阻害されることなく、ロック状態に達することができる。このとき、第1歯51と第2歯63とは、それぞれの歯筋が延びる方向(左右方向Yに相当)から噛み合っている(図5参照)。
図7は、図6において第2歯列63Lが第1歯列51Lに乗り上げた状態を示した図である。
一方、図7に示すように、第2ツース部材45が右側Y1に移動する際に、第1歯列51Lの第1歯51と、第2歯列63Lの第2歯63とが左側Y2から見て重なる位置関係にある場合、締付部材44の押圧面44B(図5参照)が左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧する前に、第2歯列63Lが第1歯列51Lに乗り上げる。第2歯列63Lが第1歯列51Lに乗り上げて第1歯列51Lと第2歯列63Lとが互いに噛み合わない状態を、ツースオンツースの状態という。
図5を参照して、前述したように、左側Y2の側板30には、第1ツース部材43の第1歯列51Lと対向する位置に、凹部56が設けられている。そのため、第1歯列51Lの右側Y1には、空間56Bが存在する。よって、図5の二点鎖線で示すように、ツースオンツースの状態において、第1歯列51Lにおいて第2歯列63Lに乗り上げられた部分の第1歯51は、撓み、空間56B内に収容されている。なお、第1ツース部材43には、剛性低減部としての複数の孔49Aが設けられているため、第1歯列51Lを容易に撓ませることができる。
このように第1歯51が右側Y1に撓むことによって、ツースオンツースの状態であっても、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが互いに圧接できる。また、締付部材44の押圧面44Bが、第2ツース部材45の本体部60、弾性部材46の一対の変形部65および第1ツース部材43の一対の支持部49を介して力を伝えることによって、左側Y2の側板30を押圧できる。したがって、操作部材41(図3参照)が操作途中で回転不能となることなく、ステアリング装置1はロック状態に達することができる。
以上のように、このステアリング装置1では、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの位置関係に関わらず、ロック状態になることができる。すなわち、チルト調整位置がどの位置であってもステアリング装置1をロック状態にすること、いわゆる無段階ロックが可能である。
図8は、図5において解除状態を示した図である。
前述したように、ロック状態から解除状態へ変化する際、締付部材44および第2ツース部材45は、弾性部材46の一対の変形部65の付勢力によって左側Y2へ移動する。そのため、図8を参照して、第2ツース部材45の第2歯列63Lは、第1ツース部材43の第1歯列51Lから左側Y2へ離間する。ロック状態でツースオンツースによって第1歯51が撓んでいた場合、ロック状態から解除状態への変化に伴い、第1歯51は、弾性変形する前の状態へ戻る。
解除状態において、締付部材44の第2規制部58は、第2ツース部材45の貫通孔45Aと、弾性部材46の空間46Aと、第1ツース部材43の直線孔52とに引き続き挿通されている。また、解除状態において、締付部材44では、第2規制部58が挿通孔32から外れて、ボス部59のみが挿通孔32に挿通されているが、第2規制部58の右端部も挿通孔32に挿通されていてもよい。
次に、チルト調整の際の第1ツース部材43および第2ツース部材45の動作について説明する。
チルト調整の際の各部材の動作を示した概略図である図9を参照して、解除状態でチルト調整を行う際、挿通軸40は、アッパーブラケット6の各挿通孔32内で、チルト方向Cに移動する。図9では、説明の便宜上、第1ツース部材43の孔49Aの図示を省略し、第2ツース部材45を二点鎖線で示している。また、図9では、チルト調整によって挿通軸40をチルト方向Cの最も下方へ移動させたときの挿通軸40および締付部材44を実線で示し、チルト調整によって挿通軸40をチルト方向Cの最も上方へ移動させたときの挿通軸40および締付部材44を二点鎖線で図示している。
挿通軸40は、アッパーブラケット6における左右の側板30の挿通孔32内において、締付部材44および締付部材79のそれぞれの第2規制部58またはボス部59とともに、チルト方向Cに移動可能である。しかし、挿通軸40は、コラムジャケット4のロアージャケット23の軸挿通孔35内では、中心軸線C1まわりに回転可能であるものの、他の方向には移動できない。そのため、チルト調整のためにコラムジャケット4をチルトさせると、挿通軸40は、コラムジャケット4とともにチルト方向Cに回動する。このように、アッパーブラケット6は、挿通軸40を介してコラムジャケット4を回動可能に支持している。
運転者がチルト調整のために操舵部材11(図1参照)をチルト方向Cに移動させると、コラムジャケット4(図1参照)全体が、アッパーブラケット6に対し相対的にチルトする。操舵部材11のチルト調整は、締付部材44の第2規制部58やボス部59が挿通孔32内で移動可能な範囲で行われる。
第1ツース部材43は、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30に支持された状態において、第2直線方向L2に移動可能であるが、一対の第1規制部55によって、第1直線方向L1への左側Y2の側板30に対する移動が規制されている。第1ツース部材43に対する第2規制部58の移動を説明するための概略図である図10に示すように、第2ツース部材45に連結された第2規制部58は、第1ツース部材43の直線孔52に挿通され、この状態では第1直線方向L1へ移動可能であるものの第2直線方向L2には移動不能である。これにより、第2ツース部材45は、第1ツース部材43に対して第1直線方向L1へ相対移動可能であるとともに、第2直線方向L2へ一体移動可能である。なお、図10では、チルト調整によって挿通軸40をチルト方向Cの最も下方へ移動させたときの第2ツース部材45を二点鎖線で示し、チルト調整によって挿通軸40をチルト方向Cの最も上方へ移動させたときの挿通軸40、締付部材44および第2ツース部材45を一点鎖線で図示している。
図9を参照して、操舵部材11(図1参照)のチルト調整のためにコラムジャケット4とともに挿通軸40がチルト方向Cに回動すると、第2ツース部材45は、第1ツース部材43とともにアッパーブラケット6に対して第2直線方向L2へ直線移動しながら、第1ツース部材43に対して第1直線方向L1へ直線移動することによって、回動する。つまり、第2ツース部材45の回動を、第1直線方向L1および第2直線方向L2のそれぞれの直線移動ヘと分解できる。これにより、第2ツース部材45の第2歯列63Lにおける複数の第2歯63や、第1ツース部材43において第2歯列63Lに噛み合う第1歯列51Lにおける複数の第1歯51を、円弧状の軌跡Kに沿ったチルト方向Cに並べずに済み、第1直線方向L1に沿って直線状に並べることができる。この場合、第1歯列51Lおよび第2歯列63Lの形状や配置が軌跡Kの影響を受けないので、ステアリング装置1が搭載される車種に応じて軌跡Kの曲率が変わっても、第1歯列51Lおよび第2歯列63Lの形状や配置を変更せずに済む。そのため、軌跡Kの曲率が異なる複数の車種であっても、共通の第1ツース部材43および第2ツース部材45を適用できる。
詳しくは、中心軸5Cと、挿通軸40との間の距離D(図1参照)が、車種によって異なったとしても、第1ツース部材43および第2ツース部材45の第2直線方向L2への移動量(スライド量)と、第1ツース部材43に対する第2ツース部材45の第1直線方向L1への移動量が変化するだけであり、複数の第1歯51および複数の第2歯63が並ぶ方向を変更する必要がない。そのため、第1ツース部材43の共通化および第2ツース部材45の共通化を図れる。ひいては、部品費の低減を図れる。
また第1実施形態とは異なり、複数の第1歯51および複数の第2歯63がチルト方向Cに沿って並んでいる構成(たとえば後述する比較例の構成)では、第1歯51および第2歯63を中心軸5Cから放射状に延びるように設計する必要がある。そのため、中心軸5Cと、挿通軸40との間の距離D(図1参照)が1mmでも変更されれば前側X2の第1歯列51Lおよび第2歯列63Lと、後側X1の第1歯列51Lおよび第2歯列63Lとで歯ピッチを変更する必要がある。一方、第1実施形態のように、複数の第1歯51および複数の第2歯63が第1直線方向L1に沿って並んでいる構成では、第1歯列51Lおよび第2歯列63Lの軸方向Xの位置によって歯ピッチを変更する必要がない。
なお、チルト調整の際、第2規制部58を介して挿通軸40によって支持された弾性部材46も第2ツース部材45と同じ動作をするため、チルト調整によって第2ツース部材45と弾性部材46とが第1直線方向L1または第2直線方向L2に相対移動することはない。
ところで、第1ツース部材43が左側Y2の側板30に固定され、左側Y2の側板30にチルト方向Cに延びるチルト溝が設けられた構成の比較例のステアリング装置を想定する。比較例では、チルト調整時の第2ツース部材45の移動は、チルト溝によってガイドされる。比較例のステアリング装置では、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの噛み合いの際の寸法のばらつきは、第1ツース部材43、第2ツース部材45および締付部材44のそれぞれの寸法のばらつきと、左側Y2の側板30のチルト溝の寸法のばらつきとの合計、つまり4部品の寸法のばらつきの合計となる。
第1実施形態のステアリング装置1では、チルト調整時の第2ツース部材45の移動は、第1ツース部材43の直線孔52によって直接ガイドされる。そのため、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの噛み合いの際の寸法のばらつきには、比較例とは異なり、左側Y2の側板30の寸法のばらつきが付加されない。すなわち、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの噛み合いの際の寸法のばらつきは、第1ツース部材43および第2ツース部材45および締付部材44のそれぞれの寸法のばらつきの合計、つまり、3部品の寸法のばらつきの合計となる。
したがって、第1実施形態のステアリング装置1では、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの噛み合わせにおける軸方向Xの精度を、比較例のステアリング装置よりも向上できる。これにより、前述したばらつきの影響により、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが軸方向Xにずれることによって、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが乗り上げたり、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが互いに噛み合う量が小さくなったりすることを抑制できる。その結果、チルト方向Cにおける操舵部材11の位置を保持する力、すなわちチルト保持力の向上を図れる。
また、右側Y1のチルトロック機構87においても、左側Y2のチルトロック機構86の上記の効果と同様の効果を奏する。
次に、車両衝突時に運転者が操舵部材11に衝突する二次衝突が発生した場合を想定する。
第1歯列51Lに第2歯列63Lが乗り上げた状態(図5の二点鎖線参照)で二次衝突が発生すると、第2ツース部材45が第1ツース部材43に対して上下方向Zに移動することによって、第1歯列51Lに対する第2歯列63Lの乗り上げが解消される。これにより、第1歯列51Lが弾性変形する前の状態に戻り、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが噛み合う。
二次衝突時には、ステアリングシャフト3を保持するコラムジャケット4が、第2ツース部材45を伴ってチルト方向Cに移動しようとする。一方、車体2に固定されるアッパーブラケット6によって支持された第1ツース部材43は、上下方向Zへは移動しない。そのため、第1歯列51Lと第2歯列63Lとが噛み合った状態では、上下方向Zにおける操舵部材11の位置が保持される。
次に第1実施形態の変形例について説明する。
図11は、第1実施形態の変形例を図4に適用した図である。図11において上記で説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図4および図11を参照して、第1実施形態の変形例に係るステアリング装置1は、締付部材44および第2ツース部材45の代わりに、第2ツース部材90を含む。第2ツース部材90は、第1実施形態の締付部材44と第2ツース部材45とを一体的に形成した部材である。すなわち、第2ツース部材90は、貫通孔45Aに第2規制部58が挿通された状態の締付部材44および第2ツース部材45を一体化したような形状である。
図11を参照して、第2ツース部材90は、本体部60と、一対の突出部61と、一対の第2歯列63Lと、第2規制部58と、ボス部59とを含む。第2ツース部材90には、第2ツース部材90を左右方向Yに貫通する貫通孔90Aが形成されている。貫通孔90Aには、挿通軸40が遊びをもって挿通される。
第2規制部58は、弾性部材46の空間46Aと、第1ツース部材43の直線孔52とに左側Y2から挿通される。
本体部60の右側面60Bは、第1ツース部材43の支持部49、弾性部材46の変形部65を挟んで左側Y2の側板30の周縁部32Aに左側Y2から対向する。
本体部60の左側面には、カム突起44Cが形成されている。操作部材41の操作に応じて第2ツース部材90が右側Y1へ移動することによって、弾性部材46の一対の変形部65、および第1ツース部材43の一対の支持部49を介して、左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを本体部60の右側面60Bで押圧する。このように、本体部60の右側面60Bが押圧面を構成している。
変形例によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、変形例のステアリング装置1では、チルト調整時の第2ツース部材90の移動は、第1ツース部材43の直線孔52によってガイドされる。そのため、第1歯列51Lと第2歯列63Lとの噛み合いの際の寸法のばらつきは、第1ツース部材43および第2ツース部材90のそれぞれの寸法のばらつきの合計、つまり2部品の寸法のばらつきの合計となる。したがって、第1実施形態のステアリング装置1では、前述した比較例のステアリング装置よりも第1歯列51Lと第2歯列63Lとを一層精度良く噛み合わせることができる。これにより、チルト保持力の向上を一層図れる。
<第2実施形態>
以下では、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係るステアリング装置1Pのアッパーブラケット6の左側Y2の側板30周辺の部材の分解斜視図である。図13は、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30周辺を第1直線方向L1に垂直な平面に沿って切断した断面の模式図である。図12および図13ならびに後述する図14〜図17では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図12を参照して、第2実施形態に係るステアリング装置1Pが、第1実施形態に係るステアリング装置1と主に異なる点は、ステアリング装置1Pが、第1ツース部材43に設けられ、第1直線方向L1における両端が互いに近づくように第1ツース部材43が撓むのを抑制する撓み抑制構造95を含む点である。第1ツース部材43は、撓み抑制構造95の有無にかかわらず、第1歯列51Lを右側Y1に傾けるように左右方向Yに弾性変形可能である。
撓み抑制構造95は、例えば、第1直線方向L1に延びる一対のリブ96を含む。各リブ96は、右側Y1に突出している。各リブ96は、第1直線方向L1から見て、略半円弧状である(図13参照)。一対のリブ96は、第1ツース部材43と一体に形成されることによって第1ツース部材43に設けられている。この実施形態とは異なり、第1ツース部材43とは別体で設けられた一対のリブ96が第1ツース部材43に固定されていてもよい。
一対のリブ96のそれぞれは、対応する第1歯列51Lと直線孔52との間に位置している。より詳しくは、一対のリブ96のそれぞれは、対応する孔49Aと直線孔52との間に位置している。各支持部49においてリブ96が設けられている部分には、左側面を右側Y1へ向けて窪ませる窪み96Aが形成されている。リブ96は必ずしも一対設けられている必要はなく、1つだけ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
図13を参照して、ロック状態では、一対のリブ96の突出側の端部である右端部96Bは、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30に当接している。この状態で、締付部材44の押圧面44Bは、第2ツース部材45の本体部60、弾性部材46の一対の変形部65および第1ツース部材43の一対のリブ96を介して左側Y2の側板30を押圧している。第1ツース部材43の一対の第1歯列51Lと左側Y2の側板30との間の空間を許容空間97という。
ツースオンツースの状態では、左側Y2の側板30に当接している一対のリブ96の右端部96Bのそれぞれが支点となって第1ツース部材43が弾性変形する。これにより、第1歯列51Lにおいて第2歯列63Lに乗り上げられた部分の第1歯51が右側Y1に傾く(図13の二点鎖線参照)。第1歯51の先端は、右側Y1へ移動し、左側Y2の側板30と干渉することなく許容空間97内に収容される。このように、撓み抑制構造95は、第1ツース部材43と左側Y2の側板30との間で第1歯列51Lが右側Y1に傾くのを許容する許容空間97を有する。
ロック状態で、操舵部材11を上下に動かそうとした場合や、二次衝突時に運転者が操舵部材11に衝突した場合には、ステアリングシャフト3、コラムジャケット4、挿通軸40、締付部材44および第2ツース部材45を介して操舵部材11から第1ツース部材43に荷重が伝達されることがある。これらの荷重は、第1直線方向L1に過大な成分を有する場合があり、規制部55によって第1直線方向L1への左側Y2の側板30に対する移動が規制されている第1ツース部材43が撓む虞がある。
この実施形態によれば、第1ツース部材43は、撓み抑制構造95によって、第1直線方向L1における両端が互いに近づくように撓むことを抑制されている。そのため、第1直線方向L1に過大な成分を有する荷重が第1ツース部材43に負荷された場合であっても、第1ツース部材43が急激に折れ曲ること、すなわち座屈することを抑制できる。
また、第1ツース部材43とアッパーブラケット6の左側Y2の側板30との間で第1歯列51Lが右側Y1に傾くことが許容空間97によって許容される。そのため、右側Y1に傾いた第1歯51との干渉を避けるための構成(例えば、図1〜図11で説明した実施形態の凹部56,78)を側板30に設ける必要がない。したがって、アッパーブラケット6の加工が容易となり、コストが低減される。また、側板30に凹部56,78を設ける必要がないので、その分、左右方向Yにおける側板30の幅を小さく(厚みを薄く)することができる。
この実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、軌跡Kの曲率が異なる複数の車種であっても、共通の第1ツース部材43および第2ツース部材45を適用でき、第1ツース部材43の共通化および第2ツース部材45の共通化を図れる。
また、第1ツース部材43には、剛性低減部としての複数の孔49Aが設けられているため、第1歯列51Lに第2歯列63Lが乗り上げた場合には第1ツース部材43を弾性変形させて第1歯列51Lを(詳しくは、第1歯列51Lにおいて第2歯列63Lに乗り上げられた部分の第1歯51を)右側Y1に容易に傾けることができる。
また、第1歯51と第2歯63とを、それぞれの歯筋が延びる方向である左右方向Yから噛み合わせることができる。
図12では、左側Y2の側板30周辺の部材のみを図示しているが、右側Y1の側板30の周辺に配置された第1ツース部材71にも同様の撓み抑制構造95が設けられていてもよい。ただし、右側Y1の撓み抑制構造95の構成は、左側Y2の撓み抑制構造95を右側Y1に移動させて左右の向きのみを反転させたものである。
図14は、第2実施形態の第1変形例に係る撓み抑制構造95周辺の断面の模式図である。この実施形態におけるリブ96は、第1直線方向L1から見て、略半円弧であるとしたが、図14に示す第1変形例のように、リブ96は、第1直線方向L1から見て、略台形状であってもよい。リブ96の右端部96Bは、平坦面96Cを有するため、ロック状態でアッパーブラケット6の左側Y2の側板30に当接する際に、リブ96が側板30から受ける反力を平坦面96C全体で受けることができる。これにより、リブ96が受ける圧力を低減することができる。
図15(a)は、第2実施形態の第2変形例に係る第1ツース部材43の模式的斜視図である。図15(b)は、第2実施形態の第2変形例に係る撓み抑制構造95周辺の断面の模式図である。
図15(a)および図15(b)を参照して、第2実施形態に係る第1ツース部材43の撓み抑制構造95は、第1変形例のリブ96の代わりに、各支持部49において第1直線方向L1の全域に設けられた一対の段差98を含む。
この変形例の第1ツース部材43では、各支持部49に段差98が設けられることによって、直線孔52の周囲の部分が、一対の第1歯列51Lよりも右側Y1に突出している。
詳しくは、一対の段差98のそれぞれは、対応する孔49Aと直線孔52との間に設けられている。各支持部49は、対応する段差98を介して左右に配置された右側部49Bおよび左側部49Cを含む。一対の連結部50は、右側部49B同士を連結している。また、一対の第1歯列51Lは、対応する支持部49の左側部49Cによって支持されている。各第1歯列51Lは、一対の支持部49の右側部49Bおよび一対の連結部50よりも左側Y2に配置されている。
図15(b)を参照して、ロック状態では、一対の支持部49の右側部49Bは、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30に当接している。この状態で、第2変形例の締付部材44の押圧面44B(図13参照)は、第2実施形態の一対のリブ96の代わりに一対の支持部49の右側部49Bを介して左側Y2の側板30を押圧している。そのため、第1ツース部材43の一対の第1歯列51Lと左側Y2の側板30との間に許容空間97が形成される。ツースオンツースの状態では、支持部49の右側部49と段差98との境界部分が支点となって第1ツース部材43が弾性変形する。
また、第2実施形態においても、図11に示す変形例を適用することができる。
<第3実施形態>
以下では、本発明の第3実施形態について説明する。
図16は、本発明の第3実施形態に係るステアリング装置1Qのアッパーブラケット6の左側Y2の側板30周辺の部材の分解斜視図である。図17は、アッパーブラケット6の左側Y2の側板30周辺を第1直線方向L1に垂直な平面に沿って切断した断面の模式図である。
第3実施形態のステアリング装置1Qが、第1実施形態に係るステアリング装置1と主に異なる点は、ステアリング装置1Qが、第1ツース部材43の代わりに第1ツース部材100を含み、第2ツース部材45の代わりに第2ツース部材110を含む点である。
詳しくは、第1ツース部材100は、たとえば、金属製の焼結体である。第1ツース部材100は、たとえば、左右方向Yから見て略矩形状である。第1ツース部材100は、本体部101と、一対の突出部102と、一対の第1歯列103Lとを一体的に含む。
本体部101は、左右方向Yから見て略矩形状である。突出部102は、左右方向Yから見て、上下方向Zに長手の略矩形状である。突出部102は、本体部101の軸方向Xにおける両端部のそれぞれから左側Y2へ向けて1つずつ突出している。
第1ツース部材100には、第1ツース部材100を左右方向Yに貫通する直線孔104が形成されている。直線孔104は、第1直線方向L1に延びている。第3実施形態では、第1直線方向L1は、第1実施形態と同様に上下方向Zと平行である。直線孔104は、本体部101の軸方向Xおよび上下方向Zの略中央に形成されている。直線孔104には、挿通軸40が挿通されている。
各第1歯列103Lは、第1直線方向L1(上下方向Zでもある)に沿って並ぶ複数の第1歯103によって構成されている。一対の第1歯列103Lは、一対の突出部102に1つずつ設けられることによって、軸方向Xに互いに間隔を隔てて配置されている。後側X1の第1歯列103Lは、その第1歯103の歯先部103Aを前側X2に向けて、後側X1の突出部102の前面から前側X2に突出している。前側X2の第1歯列103Lは、その第1歯103の歯先部103Aを後側X1に向けて、前側X2の突出部102の後面から後側X1に突出している。
第1歯列103Lの各第1歯103の歯先部103Aは、左右方向Yに延びる歯筋103Bを有する。一対の第1歯列103Lでは、第1歯103の本体部101側の端部である右端部103Cが本体部101の左側面に固定されている。一対の第1歯列103Lでは、第1歯103の歯元部103Dが、突出部102に固定されている。このように、第1歯103は、歯元部103Dおよび右端部103Cの2箇所で固定されているため、強度が高い。
第1ツース部材100は、一対の第1規制部55の間に配置されている。第1直線方向L1への第1ツース部材100の移動は、第1規制部55によって規制されている。また、第1ツース部材100の挿通軸40まわりの回転は、第1規制部55によって規制されている。第1ツース部材100は、一対の第1規制部55を介して、左側Y2の側板30によって支持されている。これにより、第1ツース部材100は、一対の第1規制部55の間で左側Y2の側板30に対して第2直線方向L2に移動可能である。一対の第1規制部55は、第1ツース部材100の第2直線方向L2への移動を案内する案内部としても機能する。
第2ツース部材110は、たとえば、左右方向Yに弾性変形可能な金属板である。第2ツース部材110の外側の輪郭は、左右方向Yから見て、軸方向Xに長手の略四角形状である。
第2ツース部材110は、一対の支持部111と、一対の連結部112と、一対の第2歯列113Lとを一体的に含む。
一対の支持部111は、軸方向Xに互いに間隔を隔てて配置されている。各支持部111には、第2ツース部材110の剛性を低減するための剛性低減部としての複数の孔111Aが形成されていてもよい。孔111Aは、第1実施形態の孔49Aと同様の形状を有している。一対の連結部112は、上下方向Zに互いに間隔を隔てて配置されている。一対の連結部112は、一対の支持部111を連結している。
一対の第2歯列113Lのそれぞれは、第1直線方向L1(上下方向Zでもある)に並ぶ略三角形状の複数の第2歯113で構成されている。第1直線方向L1における第2歯列113Lの幅は、第1直線方向L1における第1歯列103Lの幅よりも小さい。また、各第2歯列113Lの第2歯113の数は、各第1歯列103Lの第1歯103の数よりも少ない。
前側X2の第2歯列113Lは、前側X2の支持部111の前端縁に設けられている。後側X1の第2歯列113Lは、後側X1の支持部111の後端縁に設けられている。前側X2の第2歯列113Lの第2歯113は、前側X2の支持部111から前側X2へ突出している。後側X1の第2歯列113Lの第2歯113は、後側X1の支持部111から後側X1へ突出している。
第2歯列113Lの各第2歯113は、その先端として左右方向Yに延びる歯筋113Aを有する。第2歯113の歯元部113Bは、支持部111によって支持されており、支持部111に一体化されている。第2ツース部材110は、前述したように左右方向Yに弾性変形可能であるが、第2ツース部材110では、少なくとも一対の第2歯列113Lが左右方向Yに弾性変形可能であればよい。
第2ツース部材110には、第2ツース部材110を左右方向Yに貫通する貫通孔110Aが形成されている。貫通孔110Aは、左右方向Yから見て、略四角形状である。貫通孔110Aは、一対の支持部111と一対の連結部112とによって囲まれた空間である。貫通孔110Aには、挿通軸40および第2規制部58が挿通されている。支持部111は、締付部材44の板部57に右側Y1から隣接している。
第2ツース部材110は、弾性部材46を挟んで第1ツース部材100と左右方向Yに対向している。詳しくは、第2ツース部材110の一対の支持部111は、弾性部材46の一対の変形部65に左側Y2から対向しており、第1ツース部材100の本体部101に左側Y2から対向している。
締付部材44の第2規制部58は、第2ツース部材110の貫通孔110Aと、弾性部材46の空間46Aと、第1ツース部材100の直線孔104とに、左側Y2からこの順で挿通されている。前述したように、締付部材44の貫通孔44Aには挿通軸40が挿通されている。これにより、第2ツース部材110および弾性部材46は、締付部材44を介して挿通軸40によって支持されている。貫通孔110A、空間46Aおよび第2規制部58は、左右方向Yから見て略四角形状である。そのため、第2規制部58に対する第2ツース部材110および弾性部材46の空転が防止されるとともに、第2規制部58は、第2ツース部材110に連結されている。
第2規制部58と直線孔104の軸方向Xにおける両端縁との間の軸方向Xの隙間は、僅かであり、第2規制部58が直線孔104に沿って上下方向Zに相対移動できる程度である。そのため、第2規制部58は、直線孔104に対して第1直線方向L1へ移動可能であるとともに、直線孔104に対して第2直線方向L2へ移動不能である。これにより、第1ツース部材100に対する第2ツース部材110の第2直線方向L2への移動が規制されている。
また、第2規制部58の軸方向Xにおける両端面と、直線孔104の軸方向Xにおける両端縁とが当接することによって、第1ツース部材100に対する締付部材44の空転が防止される。
前述したように、挿通軸40まわりの第1ツース部材100の回転は、第1規制部55によって規制されている。したがって、第1ツース部材100に対する空転が防止された締付部材44と、締付部材44の第2規制部58に対する空転が防止された第2ツース部材110および弾性部材46とは、挿通軸40まわりの回転することが規制されている。
次に、図17を参照して、ステアリング装置1Qの動作について説明する。締付機構85によって一対の側板30および一対の被締付部34を締め付ける動作については第1実施形態とほぼ同様であるため、その説明を省略し、以下では、第1ツース部材100と第2ツース部材110との噛み合いの動作について詳しく説明する。
操作部材41(図3参照)の操作に応じて第2ツース部材110が右側Y1に移動する際に、第1歯列103Lの第1歯103と、第2歯列113Lの第2歯113とが左側Y2から見て重ならない位置関係にある場合、操作完了時には、第1歯103と第2歯113とが第1直線方向L1において交互に並びつつ、締付部材44の押圧面44Bは左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧する。よって、ステアリング装置1Qは、第1歯103および第2歯113に阻害されることなく、ロック状態に達することができる。このとき、第1歯103と第2歯113とは、それぞれの歯筋が延びる方向(左右方向Yに相当)から噛み合っている。
一方、第2ツース部材110が右側Y1に移動する際に、第1歯列103Lの第1歯103と、第2歯列113Lの第2歯113とが左側Y2から見て重なる位置関係にある場合、締付部材44の押圧面44Bが左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧する前に、第1歯列103Lが第2歯列113Lに乗り上げる。これにより、ツースオンツースの状態になる。
ツースオンツースの状態において、第2ツース部材110は、第2歯列113Lの第2歯113を左側Y2に傾けるように弾性変形している。詳しくは、第1歯列103Lに乗り上げられた第2歯列113Lの第2歯113は、弾性変形して左側Y2へ撓み、軸方向Xにおける締付部材44の両外側の空間115に位置している。このように、ツースオンツースの状態であっても、第2歯113が空間115に位置することによって、締付部材44は、第1歯列103Lおよび第2歯列113Lに阻害されることなく右側Y1へ移動することができる。そのため、ツースオンツースの状態であっても、締付部材44の押圧面44Bは、弾性部材46の変形部65および第1ツース部材100の本体部101を介して、左側Y2の側板30の挿通孔32の周縁部32Aを押圧できる。したがって、操作部材41(図3参照)が操作途中で回転不能となることなく、ステアリング装置1Qはロック状態に達することができる。
以上のように、このステアリング装置1Qでは、第1歯列103Lと第2歯列113Lとの位置関係に関わらず、ロック状態になることができる。すなわち、チルト調整位置がどの位置であってもステアリング装置1Qをロック状態にすること、いわゆる無段階ロックが可能である。
第3実施形態によれば、第2歯列113Lが弾性変形可能である。第1歯列103Lと第2歯列113Lとが噛み合わず、第2歯列113Lに第1歯列103Lが乗り上げた場合には、第2歯列113Lは、左側Y2(アッパーブラケット6の側板30側とは反対側)へ弾性変形して撓むことができる。これにより、第1歯列103Lと第2歯列113Lとは、噛み合わない状態であっても互いに圧接できる。また、締付部材44の押圧面44Bが、第2ツース部材110の一対の支持部111、弾性部材46の一対の変形部65および第1ツース部材100の本体部101を介して力を伝えることによって、左側Y2の側板30を押圧できる。したがって、チルト方向Cにおけるコラムジャケット4の位置をロックできる。
また、第1ツース部材100が焼結体であって、弾性変形しにくい(撓みにくい)部材である。したがって、第1直線方向L1に過大な成分を有する荷重が第2ツース部材110に負荷された場合であっても、第2ツース部材110が急激に折れ曲ること、すなわち座屈することを抑制できる。なお、第1ツース部材100は、焼結体に限らず、弾性変形しにくい(撓みにくい)部材であればよい。
また、第2歯列113Lが右側Y1に傾くことが軸方向Xにおける締付部材44の両外側の空間115によって許容される。そのため、左側Y2に傾いた第2歯113との干渉を避けるための構成を側板30に設ける必要がなく、図1〜図11で説明した実施形態の凹部56,78を側板30に設ける必要もない。したがって、アッパーブラケット6の加工が容易となり、コストが低減される。また、側板30に凹部56,78等を設ける必要がないので、その分、左右方向Yにおける側板30の幅を小さく(厚みを薄く)することができる。
また、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、軌跡Kの曲率が異なる複数の車種であっても、共通の第1ツース部材100および第2ツース部材110を適用でき、第1ツース部材100の共通化および第2ツース部材110の共通化を図れる。
また、第2ツース部材110には、剛性低減部としての複数の孔111Aが設けられているため、第2歯列113Lに第1歯列103Lが乗り上げた場合には第2ツース部材110を弾性変形させて第2歯列113Lを(詳しくは、第1歯列103Lに乗り上げられた第2歯列113Lの第2歯113を)左側Y2に容易に傾けることができる。
また、第1歯51と第2歯63とを、それぞれの歯筋が延びる方向である左右方向Yから噛み合わせることができる。
図16および図17では、左側Y2の側板30周辺の部材のみを図示しているが、右側Y1の側板30の周辺に配置された第1ツース部材71にも第1ツース部材100と同様の構成を適用し、右側Y1の側板30の周辺に配置された第2ツース部材72にも第2ツース部材110と同様の構成を適用することができる。ただし、第1ツース部材71および第2ツース部材72のそれぞれの構成は、第1ツース部材100および第2ツース部材110のそれぞれを右側Y1に移動させて左右の向きのみを反転させたものである。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1直線方向L1と第2直線方向L2とは、直交していなくてもよく、互いに交差していればよい。また、第1直線方向L1は、上下方向Zと一致していなくてもよい。
また、第1歯列51Lおよび第2歯列63Lは、互いに対向する方向(左右方向Y)と直交する方向に延びる歯筋を有する複数の歯、すなわち左右方向Yに起伏する複数の歯によって構成されていてもよい。
また、剛性低減部は、孔49Aに限られず、支持部49を左右方向Yに薄くする窪みや切り欠きであってもよい。
また、締付部材44が第2規制部58を含んでおらず、第2ツース部材45が第2規制部58を含んでいてもよい。また、第2規制部58は、締付部材44および第2ツース部材45とは別部材として設けられていてもよい。
また、前述の実施形態とは異なり、ステアリング装置1は、左側Y2のチルトロック機構86または右側Y1のチルトロック機構87のうちのいずれか一方を含んでいてもよい。
また、ステアリング装置1は、操舵部材11の操舵が補助されないマニュアルタイプのステアリング装置に限らず、電動モータによって操舵部材11の操舵が補助されるコラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。
また、ステアリング装置1は、テレスコロック機構83に限らず、異なる構造のテレスコロック機構を備えてもよいし、本実施形態とは異なり、テレスコロック機構83を含んでいなくてもよい。
また、ステアリング装置1は、テレスコ調整機能を備えず、チルト調整機能のみを備える構成であってもよい。
また、ロアージャケット23は、一対の側板30の挟持により縮径してアッパージャケット22を保持する構成であればよく、例えば、スリット33は前側X2が閉端となっていてもよい。また、ステアリング装置1は、ロアージャケット23に代えて、縮径せずにアッパージャケット22を保持する構成であってもよい。
また、チルトロック機構86およびチルトロック機構87は、前述の実施形態とは異なり、アッパーブラケット6の連結板31(図2参照)と車体2(図1参照)とを連結するカプセル(図示せず)を有するカプセルタイプのステアリング装置1にも適用可能である。二次衝突時には、カプセル(図示せず)が破断されることでアッパーブラケット6が車体2から離脱する。
また、前述の実施形態のステアリング装置1,1P,1Qは、操作部材41の基端部41Aがアッパージャケット22よりも上側Z1に配置された、いわゆるレバー上置きタイプのステアリング装置であるが、操作部材41の基端部41Aがアッパージャケット22よりも下側Z2に配置された、いわゆるレバー下置きタイプのステアリング装置にもチルトロック機構86およびチルトロック機構87を適用することができる。
1;1P;1Q…ステアリング装置、2…車体、3…ステアリングシャフト、3A…一端、4…コラムジャケット、6…アッパーブラケット、11…操舵部材、40…挿通軸、41…操作部材、43…第1ツース部材、45…第2ツース部材、49A…孔、51…第1歯、51A…歯筋、51L…第1歯列、52…直線孔、55…第1規制部、56…凹部、58…第2規制部、63…第2歯、63B…歯筋、63L…第2歯列、71…第1ツース部材、72…第2ツース部材、77…第1規制部、78…凹部、90…第2ツース部材、95…撓み抑制構造、97…許容空間、100…第1ツース部材、103…第1歯、103B…歯筋、103L…第1歯列、104…直線孔、110…第2ツース部材、113…第2歯、113A…歯筋、113L…第2歯列、C…チルト方向、K…軌跡、L1…第1直線方向、L2…第2直線方向、X…軸方向、Y…左右方向

Claims (9)

  1. 一端に操舵部材が連結されるステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトを保持し、所定の曲率の円弧状の軌跡に沿うチルト方向に回動可能なコラムジャケットと、
    前記コラムジャケットを回動可能に支持し、車体に固定されるブラケットと、
    前記ブラケットに対する前記コラムジャケットの移動を可能および不能とするために操作される操作部材が取り付けられ、前記ステアリングシャフトの軸方向と前記チルト方向との両方に対して交差する交差方向に延び、前記コラムジャケットとともに前記チルト方向に移動可能な挿通軸と、
    前記軸方向に交差し前記交差方向に対して直交する第1直線方向に沿って延びる直線孔が形成され、前記第1直線方向に沿って並ぶ複数の第1歯によって構成された第1歯列を含み、前記第1直線方向に交差し前記交差方向に対して直交する第2直線方向に移動可能に前記ブラケットによって支持された第1ツース部材と、
    前記ブラケットに設けられ、前記ブラケットに対する前記第1ツース部材の前記第1直線方向への移動を規制する第1規制部と、
    前記第1直線方向に沿って並ぶ複数の第2歯で構成された第2歯列を含み、前記交差方向から前記第1ツース部材に対向し、前記挿通軸によって支持され、前記操作部材の操作によって前記交差方向に移動可能な第2ツース部材と、
    前記第2ツース部材に連結され、前記直線孔に対して前記第1直線方向へ移動可能に、かつ、前記直線孔に対して前記第2直線方向に移動不能に前記直線孔に挿通され、前記第1ツース部材に対する前記第2ツース部材の前記第2直線方向への移動を規制する第2規制部と、を含むステアリング装置。
  2. 前記第1歯列は、前記交差方向に弾性変形可能であり、
    前記ブラケットには、前記第1歯列に前記交差方向から対向する位置に凹部が設けられている、請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記第1ツース部材には、前記第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部が設けられている、請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記第1歯および前記第2歯の歯筋は、前記交差方向に延びている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置。
  5. 前記第1ツース部材に設けられ、前記第1直線方向における両端が互いに近づくように前記第1ツース部材が撓むのを抑制する撓み抑制構造を含む、請求項1に記載のステアリング装置。
  6. 前記第1ツース部材は、前記第1歯を、前記交差方向に傾けるように弾性変形可能であり、
    前記撓み抑制構造は、前記第1ツース部材と前記ブラケットとの間で前記第1歯が前記交差方向に傾くのを許容する許容空間を有する、請求項5に記載のステアリング装置。
  7. 前記第1ツース部材には、前記第1ツース部材の剛性を低減するための剛性低減部が設けられている、請求項5または6に記載のステアリング装置。
  8. 前記第2歯列が、前記交差方向に弾性変形可能である、請求項1に記載のステアリング装置。
  9. 前記第1歯および前記第2歯の歯筋は、前記交差方向に延びている、請求項5〜8のいずれか一項に記載のステアリング装置。
JP2016053958A 2015-07-08 2016-03-17 ステアリング装置 Active JP6757493B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/200,804 US9840269B2 (en) 2015-07-08 2016-07-01 Steering system
EP16177982.2A EP3115278B1 (en) 2015-07-08 2016-07-05 Steering system
CN201610537673.XA CN106335534B (zh) 2015-07-08 2016-07-08 转向装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015137045 2015-07-08
JP2015137045 2015-07-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017019482A JP2017019482A (ja) 2017-01-26
JP6757493B2 true JP6757493B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=57887488

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016053958A Active JP6757493B2 (ja) 2015-07-08 2016-03-17 ステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6757493B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005035009B3 (de) * 2005-07-22 2006-12-14 Thyssenkrupp Presta Ag Verstellbare Lenksäule für ein Kraftfahrzeug
JP2007083852A (ja) * 2005-09-21 2007-04-05 Nsk Ltd ステアリング装置
GB0723485D0 (en) * 2007-11-30 2008-01-09 Trw Das A S Adjustable steering column assembly
JP6044259B2 (ja) * 2012-10-22 2016-12-14 日本精工株式会社 チルト式ステアリング装置
JP2014201268A (ja) * 2013-04-08 2014-10-27 株式会社ジェイテクト ステアリング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017019482A (ja) 2017-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3115278B1 (en) Steering system
JP6558572B2 (ja) ステアリング装置
JP6528967B2 (ja) ステアリング装置
JP5061900B2 (ja) ステアリングコラム装置
EP3115276B1 (en) Steering system
JP6902213B2 (ja) ツース部材
EP2998192A2 (en) Steering device
EP3025928A1 (en) Steering system
EP2923920B1 (en) Steering device
EP3031696B1 (en) Steering system
JP2015147542A (ja) ステアリング装置
JP6658766B2 (ja) ステアリングホイールの位置調節装置
JP2018144801A (ja) ステアリング装置
JP6757493B2 (ja) ステアリング装置
US7306259B2 (en) Lock for tilting and telescoping steering column
JP6440580B2 (ja) ステアリング装置
JP7444122B2 (ja) ステアリングハンドル
JP2014144761A (ja) ステアリング装置
JP6566243B2 (ja) ステアリング装置
JP7334644B2 (ja) ステアリングコラム装置
JP7279581B2 (ja) カム装置及びステアリング装置
JP2019182238A (ja) ステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6757493

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150