JP2020106729A - プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
中間転写ベルト方式による一成分接触現像方式の画像形成装置においては、感光体ドラムに対して現像部材である現像ローラ、トナー封止部材、中間転写ベルト、帯電部材などが常時または間欠当接している。また、転写工程の後に感光体ドラム上に残留するトナーを除去するために、クリーニング装置が設けられている。クリーニング装置としては、構成の単純さ及びトナーの除去能力の観点から、弾性体で構成されたクリーニングブレードを感光体ドラムの回転方向に対してカウンター方向で感光体ドラムに当接させるカウンター方式の構成が広く用いられている。
カウンター方式のブレードクリーニングでは、クリーニングブレードが感光体ドラムに対して強く当接され摺擦される。このために、感光体ドラムで発生するトルクの多くはクリーニング装置で費やしている。したがって、この部分の低トルク化が画像形成装置の小型に対して大きく寄与している。
ブレードクリーニングにおけるトルクを低減したものとして、特許文献1では、感光体ドラム周面上に略周方向に延びる複数の溝を形成し、感光体ドラムとクリーニングブレードとの接触面積を小さくする技術が提案されている。
本発明の目的は、長期にわたる使用において低トルクを実現し、消費電力の低減が可能なプロセスカートリッジを提供することである。
本発明のプロセスカートリッジは、
画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
潜像が形成される周面を有する回転可能な感光体と、
前記感光体上の前記潜像を現像するために前記感光体へ現像剤を供給する現像装置と、
前記感光体の前記周面に当接して当該周面をクリーニングする板状弾性体と、
を備え、
前記感光体は、前記周面に、前記周面の周方向に延びる溝が回転軸方向に複数並ぶように形成されており、
前記現像装置から前記感光体へと供給される前記現像剤は、
トナー粒子、及び、前記トナー粒子の表面に存在する、下記式(1)で示される構造を有する有機ケイ素重合体を含有する微粒子、を有するトナーを含有し、
前記板状弾性体の前記感光体に対する侵入量をδ(mm)とし、
前記トナー粒子の表面に対する前記微粒子の固着率(%)をαとしたときに、
下記式(2)を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
R−SiO3/2 (1)
(前記Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
δ≦0.02×α−0.4 (2)
装置本体と、
前記装置本体に対して着脱可能な、本発明のプロセスカートリッジと、
を備えることを特徴とする。
なお、本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
<画像形成装置の全体的な概略構成>
本発明の実施例に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式を利用した複写機、プリンタなどが挙げられ、ここ
ではレーザプリンタに適用した場合について説明する。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザプリンタである。画像形成装置100は、画像情報にしたがって、記録材(たとえば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置100に接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどのホスト機器から、画像形成装置本体100に入力される。
尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
トナー像が転写された記録材12は、定着装置34に搬送される。定着装置34において記録材12に熱および圧力を加えることで、記録材12にトナー像が定着される。
本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施例のプロセスカートリッジ7の断面(主断面)図である。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置100の装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7はすべて同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー10が収容されている。本実施例では、プロセスカートリッジ7全体が画像形成装置100に対して着脱可能な構成とされている場合について説明するが、かかる構成に限定されない。例えば、プロセスカートリッジ7のうち後述する現像装置3が単独で(後述する感光体ユニット13と分離して)画像形成装置に着脱可能な構成としても良い。
尚、本実施例では、収容しているトナー10の種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
現像室18aには、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向に回転するトナー担持体(現像剤担持体)としての現像ローラ4が設けられている。本実施例では、現像ローラ4と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同一方向に移動するように、すなわち、回転方向が互いに逆になるように、それぞれ回転する。
また、現像室18aの内部には、トナー収容室18bから搬送されたトナー10を現像ローラ4に供給するトナー供給部材としてのトナー供給ローラ(以下、「供給ローラ」という)5が配置されている。また、現像室18aの内部には、供給ローラ5によって供給された現像ローラ4上のトナー10のコート量規制及び電荷付与を行うトナー量規制部材6が配置されている。
(不図示)を介して感光体ドラム1が回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、画像形成装置100の装置本体に設けられた駆動モータの駆動力を受けることによって、図示矢印A方向に回転駆動される。
金属板金8aは、クリーニング枠体9に固定されている。金属板金8aは、一端がクリーニング枠体9に固定され、自由端である他端にクリーニングブレード8が固定されている。金属板金8aは、L字に折り曲げられた一方の板部がクリーニング枠体9にビス等の締結具によって固定されており、他方の板部が一方の板部に対して略直交する方向に延びており、その先端にクリーニングブレード8が固定されている(図2参照)。金属板金8a(他方の板部)とクリーニングブレード8は、金属板金8aの固定端(一方の板部)から略同じ方向に一体的に延びている。その延びる方向は、感光体ドラム1周面においてクリーニングブレード8の先端(他端)が当接する部分における感光体ドラム1の回転方向に対して対向する方向(逆方向)となる。金属板金8a及びクリーニングブレード8が延びる方向は、下方から上方に向かう方向である。感光体ドラム1の回転方向は、感光体ドラム1周面においてクリーニングブレード8の先端(他端)が当接する部分が上方から下方に向かう方向に移動する方向になる。
なお、図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態(使用時)での姿勢であり、本明細書においてプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。すなわち、図2における紙面の上下方向が鉛直方向に対応し、紙面の左右方向が水平方向に対応する。なお、この配置構成の設定は、画像形成装置が、通常の設置状態として、水平面に設置されることを前提とした設定である。
クリーニングブレード8が感光体ドラム1周面と摺擦することにより、転写工程で残留したトナー10や微粒子を感光体ドラム1から掻き取り、残留トナー等が帯電ローラ2を汚染したり感光体ドラム1と連れ周ることによる画像問題の発生を防止する。また、クリーニングブレード8は、帯電工程で感光体ドラム1の表面に付着する放電生成物を除去し、感光体ドラム1の摩擦性の増大などを防止している。クリーニングブレード8で感光体ドラム1表面から除去されたトナー10は、クリーニング枠体9において、クリーニングブレード8の下方に設けられた廃トナー収容室9aへ落下、収容される。
すなわち、トナー粒子がその表面に特定の有機ケイ素重合体を含有する微粒子を有することにより、表面自由エネルギーを小さくすることが可能となるため、低摩擦性が発揮できる。
低摩擦性を備えた該微粒子は、感光体ドラム1の周面に形成された溝を保つことができ、長期の使用においても、感光体ドラム1とクリーニングブレード8との接触面積を小さい状態でとどめることが可能となる。これにより、長期にわたる使用において低トルクを実現し、消費電力の低減を図ることができる。以下、本実施例のプロセスカートリッジのより具体的な構成について詳述する。
本実施例で用いるクリーニングブレード8は、特開2017−134386号公報の実施例記載の方法を用いて作製した。クリーニングブレード8は、ウレタンゴム、シリコンゴムなどのゴム部材を板状の金属の支持体としての金属板金8aに固定したものを用いる。そして、感光体ドラム1と当接する先端部分のダイナミック硬度Hを0.1(mN/μm2)≦H≦0.4(mN/μm2)とする。先端部分のダイナミック硬度Hは、0.4より大きいと、表面の硬度が大き過ぎるため、エッジ欠けが発生する場合がある。また、ダイナミック硬度Hが0.1未満では、表面近傍の内部の硬度が大きくても、当接幅(当接部の面積)が広くなりすぎてピーク圧(当接部の単位面積あたりの当接圧(当接圧を当接部の面積で割った圧))が下がり、クリーニング性能が低下する場合がある。このような特徴を備えるクリーニングブレード8は、ウレタンゴムを表層硬化したものがよい。表面を硬化したクリーニングブレード8は、感光体ドラム1に当接させたときの変形量が小さく、感光体ドラム1とのニップ幅が広がらないので、当接圧の最大値は高く、高いすり抜け抑止性能を示しつつ、トルクの上昇を抑えることができる。
島津製作所製「島津ダイナミック超微小硬度計 DUH−W211S」)を用い、特開2017−134386号公報に開示されている方法で、クリーニングブレード8の感光体ドラム1との当接エッジ近傍の硬度を測定した。圧子としては、115°三角すい圧子を用い、以下の計算式よりダイナミック硬度を求めた。
ダイナミック硬度H=α×P/D2
ここで、P:荷重(mN)、D:圧子の試料への押し込み深さ(μm)、α:圧子形状による定数である。
なお、測定条件は以下の通りである。
α :3.8584
P :1.0mN
負荷速度:0.03mN/sec
保持時間:5秒
測定環境:温度23℃、相対湿度55%
測定サンプルのエージング:温度23℃、相対湿度55%の環境下で6時間以上放置
本実施例における感光体ドラム1は、特許第4027407号公報に記載の製造方法により作製した。感光体ドラム1は、円筒状で導電性を有する金属支持体と、支持体の下引き層としての導電層と、下引き層上に形成される感光層(電荷発生層、電荷輸送層)と、感光層上に形成される保護層からなっている。
本実施例の感光体ドラム1は、クリーニングブレード8との接触面積を低減させ、感光体ドラム1の駆動トルクを小さくするために、感光体ドラム1の表面を研磨する粗面化処理を行っている。特許第4027407号公報によれば、感光体ドラム1の周面に該周面の略周方向に延びる幅が0.5μm以上40μm以下の範囲内にある溝が長手方向(母線方向)に複数並ぶように形成されている。
図3に、感光体ドラム1の周面1aに形成される溝1bの状態の例を示す。図3に示すように、各溝1bは、それぞれ感光体ドラム1の周面1a上においてその周方向に延びる環状の溝であり、周面1aの母線方向において互いに間隔を空けて並ぶように形成されている。すなわち、周面1aは、溝1bが形成されていない平坦部1cと、溝1bと、が母線方向に交互に形成された構成となっている。なお、周面1aにおいて溝1bが形成される領域は、少なくとも、クリーニングブレード8が当接する領域を含んでいればよく、必ずしも、周面1aの長手方向の全域に渡って形成する必要はない。したがって、ここで説明する周面1aに対する溝1bの本数の比率等に関する記載は、あくまで、周面1aにお
いて、溝1b及び平坦部1cが設けられる領域範囲にのみ着目した記載である。例えば、周面1aの長手方向両端などのクリーニングブレード8との接触がない領域、すなわち、溝1bが設けられない(設ける必要がない)領域における、溝1bの本数の比率等は、本発明を特定するための事項には含まれず、ここでの議論の対象外である。
上記公報では、この溝1bの本数が周面1aの母線方向の幅1000μmあたり20本以上1000本以下であることが望ましいとしている。(以下、幅が0.5μm以上、40μm以下の範囲内にある溝1bの、周面1aの母線方向の幅1000μmあたりの本数を、「溝密度」ともいう。つまり、上記の場合、溝密度は20以上1000以下である。)
なお、上記公報でも述べているように、溝1bは、図3に示すように周方向と同じ方向に延びるように形成される構成に限定されない。例えば、溝1bが周方向に対して10°の角度をもたせて形成される構成でもよい。また、溝1bが周方向に対して±30°の角度をもたせて形成された構成とし、角度の異なる溝1bが互いに交差するように構成してもよい。本実施例において、「略周方向」とは、完全に周方向である場合とほぼ周方向である場合とを含み、ほぼ周方向とは、具体的には、周方向に対して±60°未満の方向である。
また、溝密度が1000を超えると、文字再現性が低下し、小文字(例えば3ポイント以下の文字)画像が再現されにくく、かすれてしまう場合や、特に低湿環境下においてトナーがクリーニングブレードをすり抜けるというクリーニング不良が発生する場合がある。
また、幅が40μmを超える溝は、ハーフトーン画像上で濃淡ムラや白いキズ画像を生じさせやすく、また、白地画像上に黒いキズ画像を生じさせやすい。そのため、感光体ドラム1の周面に形成された溝のうち幅が40μmを超える溝の割合は、感光体ドラム1の周面に形成された溝すべてに対して20本数%以下であることが好ましい。
平坦部1cの幅が40μmを超えると、クリーニングブレードを有するクリーニング手段を搭載する電子写真装置に用いた場合、感光体ドラムとクリーニングブレードとの間のトルクが上昇しやすく、クリーニング不良が発生しやすい。
また、感光体ドラムの周面1aに、感光体ドラムの回転軸方向に複数並ぶように形成された、周面の周方向に延びる、溝1bの、幅0.5μm以上40μm以下の範囲内の本数を周面1aの母線方向の幅1000μmあたりi本(20≦i≦1000)とし(つまり溝密度がi)、該i本の溝1bの幅0.5μm以上40μm以下の範囲内の幅をそれぞれW1〜Wi[μm]としたときに、下記関係式(a)を満足することが好ましい。
溝の幅の合計が800μmを超えると、クリーニングブレードを有するクリーニング手段を搭載する電子写真装置に用いた場合、電子写真感光体とクリーニングブレードとの間でのトナーすり抜けによるクリーニング不良が発生しやすい。一方、溝の幅の合計が200μmより小さいと、電子写真感光体とクリーニングブレードとの間のトルクが上昇しやすく、ブレードのビビリ(による鳴き)や捲れによるクリーニング不良が発生しやすい。
まず、マイクロマップの光学顕微鏡部に5倍の二光束干渉対物レンズを装着し、電子写真感光体をレンズ下に固定し、表面形状画像をWaveモードでCCDカメラを用いて干渉像を垂直走査させて3次元画像を得る。得られる画像の範囲は1.6mm×1.2mmである。
次に、得られた3次元画像を解析し、データとして単位長さ1000μmあたりの溝の数、溝の幅が得られる。このデータを基に、溝の幅、溝の数の解析が可能となる。
なお、本発明においては、溝は幅が0.5μm以上のものをカウントし、電子写真感光体の母線方向の3箇所で、それぞれの箇所での円周方向について各4箇所の計12箇所を測定箇所とした。
本発明の実施例において、電子写真感光体の周面の十点平均面粗さRzおよび最大表面粗さRmaxは、JIS規格1982を基準とし、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器サーフコーダSE3500型を用い、以下の条件で測定した。
検出器:R2μm
0.7mNのダイヤモンド針
フィルタ:2CR
カットオフ値:0.8mm
測定長さ:2.5mm
送り速さ:0.1mm
なお、本発明においては、電子写真感光体の母線方向の3箇所で、それぞれの箇所での
円周方向について各4箇所の計12箇所を測定箇所とした。
図4は、感光体ドラム1の表面を研磨する研磨装置の概略図である。研磨シート40の研磨面が感光体ドラム1の表面に押し当てられるように、感光体ドラム1とバックアップローラ41との間で研磨シート40を挟持する状態となるように、夫々配置される。かかる配置において、感光体ドラム1とバックアップローラ41は、研磨シート40を挟持するニップ部においてそれぞれが同じ方向に移動するように、それぞれ逆方向に回転される。また、研磨シート40は、上記ニップ部において、感光体ドラム1とバックアップローラ41の移動方向と同じ方向に移動するように、不図示の巻き取り機構によって巻き取られる。
感光体ドラム1の長手方向に、塗布上端から30、110、185mmの位置において測定した、また、120°手前に回転させた後、同様にして塗布上端から30、110、185mmの位置において測定した。更に、120°手前に回転させた後、同様にして測定し、計9点の測定を行い、計9点の測定を行い、その平均値は、JISB0601−2001規格で、Rz=0.45μmであった。測定条件は、測定長さ:2.5mm、カットオフ値:0.8mm、送り速さ:0.1mm/s、フィルタ特性:2CR、レベリング:直線(全域)とした。
また、その他のパラメータは以下の通りである。
(Rmax−Rz):0.2μm
周面の母線方向の幅1000μmあたりの、幅0.5μm以上40μm以下の範囲内の溝の本数:400本
「ΣWn」:350μm
本実施例においては、感光体ドラムの周面のユニバーサル硬さ値(HU)は150N/mm2以上であることが好ましく、より好ましくは、160N/mm2以上である。感光体ドラムの周面が摩耗しにくく、傷も発生しにくいという観点から、本実施例においては、電子写真感光体の周面のユニバーサル硬さ値(HU)は210N/mm2以下であるが、さらには200N/mm2以下であることがより好ましい。
例えば、ユニバーサル硬さ値(HU)は150N/mm2以上210N/mm2以下であることが好ましい。
また、本実施例においては、感光体ドラムの周面の弾性変形率は50%以上65%以下であることが好ましい。
体ドラムの表面の弾性力が不足しているため、感光体ドラムの周面とクリーニングブレードとの間に挟まれた紙粉やトナーが感光体ドラムの周面を擦ることによって、感光体ドラムの表面に傷が発生しやすくなり、それにともなって摩耗も発生しやすくなる。また、ユニバーサル硬さ値(HU)が大きすぎると、たとえ弾性変形率が高くても弾性変形量は小さくなってしまうため、結果として感光体ドラムの表面の局部に大きな圧力がかかり、よって電子写真感光体の表面に深い傷が発生しやすくなる。
圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、電子写真感光体の周面に圧子を押し当て、圧子に連続的にかける荷重の最終(最終荷重)は6mNとし、圧子に最終荷重6mNをかけた状態を保持する時間(保持時間)は0.1秒とした。また、測定点は273点とした。
ユニバーサル硬さ値(HU)は、圧子に最終荷重6mNをかけたときの圧子の押し込み深さから下記式により求めることができる。なお、下記式中、HUはユニバーサル硬さ値(HU)を意味し、Ffは最終荷重を意味し、Sfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込まれた部分の表面積を意味し、hfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込み深さを意味する。
(式)HU=Ff[N]/Sf[mm2]
=(6×10−3)/〔26.43×(hf×10−3)2〕
また、周面のユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率が上記範囲にある感光体ドラムを得るための感光体ドラム表面層の具体的な形成手法についても、特許第4027407号公報に記載された手法と同様である。すなわち、感光体の表面層を、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化重合(架橋を伴う重合)させることによって形成することが、特には、連鎖重合性官能基を同一分子内に2つ以上有する正孔輸送性化合物を硬化重合させることによって形成することが有効である。また、逐次重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を用いる場合には、該化合物としては、逐次重合性官能基を同一分子内に3つ以上有する正孔輸送性化合物が好ましい。
なお、本発明で用いた感光体ドラム周面の弾性変形率が、60%であり、ユニバーサル硬さ値(HU)は、180N/mm2である。
本実施例の感光体ドラム1に対するクリーニングブレード8の侵入量δと設定角θについて説明する。図5は、本実施例における侵入量δ、設定角θを示す概略図である。
図5に示すように、感光体ドラム1の軸線に垂直な断面において、感光体ドラム1の回転中心軸を原点とし、クリーニングブレード8(金属板金8a)の延びる方向に平行な方向をX軸、該X軸に垂直な方向をY軸とした座標を基準として各配置関係を考える。
上記座標系において、感光体ドラム1の回転方向は時計回りであり、クリーニングブレード8は、第3象限に位置し、X軸方向において離れた位置から感光体ドラム1に向かっ
てアプローチする配置となる。図5に示すように、クリーニングブレード8と感光体ドラム1とを、両者の変形を考慮せずに仮想的に配置すると、クリーニングブレード8の先端部が仮想感光体ドラム1´と重なる。実際の当接状態では、クリーニングブレード8の先端が感光体ドラム1の周面に沿うように撓み変形し、クリーニングブレード8において感光体ドラム1周面と対向する側の面の先端側が、感光体ドラム1周面と当接する状態となる。このクリーニングブレード8における感光体ドラム1との当接面の先端部(該当接面と先端面との間の角部)を先端Pとする。なお、本実施例ではクリーニングブレード8の先端部が断面矩形に構成されているため、上記角部が先端Pとなるが、例えば、角部が丸形の断面構成においては、先端Pが角部と必ずしも一致しない。すなわち、実際の当接状態における上記当接面の先端側の境界端が先端Pとなる。先端Pを通り、クリーニングブレード8における感光体ドラム1との当接面に対してY軸方向に下した直線と、仮想感光体ドラム1´との交点を交点Qとし、先端Pと交点Qとの距離を侵入量δとする。また、交点Qを接点とした仮想感光体ドラム1´の接線とクリーニングブレード8における感光体ドラム1との当接面とが成す角を設定角θとする。
本発明のトナーの形態は、トナー粒子、及び、前記トナー粒子の表面に存在する、下記式(1)で示される構造を有する有機ケイ素重合体を含有する微粒子、を有するトナーである。
R−SiO3/2 (1)
該Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。また、該Rは、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基、又はビニル基が好ましく例示できる。
また、該微粒子の固着率は、30%以上90%以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体を含有する微粒子は、アルキルトリアルコキシシランの脱水縮合で得られる、ポリアルキルシルセスキオキサンを含有する微粒子であることが好ましく、ポリアルキルシルセスキオキサン微粒子であることがより好ましい。
なお、該ポリアルキルシルセスキオキサンは、3官能性シランを加水分解することで得られる、R−SiO3/2の構造(該Rは、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)を有するネットワーク型ポリマーである。
上記アルキルトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
2000mLフラスコに、水200.0g、及び触媒として酢酸0.1gを仕込み、30℃で撹拌した。ここにメチルトリメトキシシラン100.0gを加えて2時間撹拌する。これを、工程Aとする。
500mLフラスコに、水150g、メタノール200.0g及び水酸化ナトリウム5gを投入して30℃で5分間撹拌し、アルカリ性水系触媒を作製した。このアルカリ性水系触媒を、前記工程Aの2000mLフラスコに投入した。その後10分間撹拌した。これを、工程Bとする。
5000mLフラスコに、水2500gを投入し、これを35℃で撹拌しながら工程Bで得た水溶液全量を投入した。その後8時間撹拌を継続し、ポリメチルシルセスキオキサ
ン微粒子を含む分散液を得た。これを、工程Cとする。
工程Cで得られた分散液を吸引濾過し、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子のケーキを形成した。さらに、メタノール洗浄を2回行った。その後、40℃で24時間減圧乾燥して白色の微粒子を得た。その後、この白色微粒子を風力分級機でふるい分けすることで粒度を調整した。これによって、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)が得られた。該ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)の個数平均粒径は、102nmであった。
該微粒子の個数平均粒径は、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)「S−4800、日立ハイテクノロジーズ」を用い、微粒子を10万倍に拡大して撮影された画像から算出した。
まず、微粒子を、メタノールに濃度0.5質量%程度に懸濁し、ホモジナイザー(出力20W)で1分間分散させた液を用意した。その後、観察用の台座に滴下し、風乾させた。これを、30秒間の白金蒸着をほどこし、上記FE−SEMを用い、10万倍の拡大画像を得た。次に、得られた画像を印刷するが、その際、100個以上測れるだけの複数の画像を出力した。これら印刷物からランダムで100個選び、ノギスで長径を測定した。その100個の長径の算術平均値を、個数平均粒径(単位:nm)とした。
20L反応容器に、イオン交換水400質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、6,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75質量部
・n−ブチルアクリレート 25質量部
・C.I.PigmentBlue15:3 5質量部
・ポリエステル樹脂 5質量部
(重量平均分子量=12500、酸価=5.5mgKOH/g)
・ジアルキルサリチル酸のアルミニウム化合物 1質量部
・炭化水素ワックス 3質量部
(吸熱ピーク=80℃、半値幅=8、重量平均分子量=750)
・エステルワックス 9質量部
(吸熱ピーク=67℃、半値幅=4、重量平均分子量=690)
・ジビニルベンゼン 0.05質量部
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを8に調製した。
更に昇温速度40℃/hrで80℃に昇温し4時間反応させた。
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去した。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、3時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。
濾過・水洗を行った後、40℃にて48時間乾燥し、風力分級により微粉と粗粉を取り除き、トナー粒子(A)を得た。トナー粒子Aの重量平均粒径(D4)は、7.0μmであった。
このトナー粒子100質量部に対し、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)2.0質量部を後述する方法で外添して、本実施例のトナー(A)とした。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出した。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンターMultisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いた。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールターMultisizer3Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いた。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行った。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)を使用した。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定した。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTONIIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れた。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去した。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れた。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個の位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備した。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加した。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調
整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出した。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
上記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)又はシリカ微粒子の固着率(%)の測定方法を以下に示す。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQver.4.0F」(PANalytical社製)を用いた。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とした。また、軽元素を測定する場合には、プロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出した。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定した。この際、X線発生装置の加
速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとした。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO2添加量を横軸として、一次関数の検量線を得た。
本実施例トナー(A)は、トナー粒子(A)に対し、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)を特開2016−38591号公報の実施例記載の方法に従って外添することで得た。
すなわち、トナー粒子(A)100質量部に対して、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)2.0質量部を、図6から図10に示すトナー処理装置(表面改質装置)101を用い、表1に示す条件で2段階の処理を行った。その後、200メッシュの篩を用いて、粗大粒子を除去することで、本実施例トナー(A)を得た。
図6に示すように、トナー処理装置101は、処理室(処理槽)110、舞上げ手段としての撹拌羽根120、回転体130、駆動モータ150、及び制御部160で構成されている。処理室110は、トナー粒子及び外添剤を含む被処理物を収容するためのものである。撹拌羽根120は、処理室内における回転体130の下方となる処理室110の底部に回転可能に設けられている。回転体130は、撹拌羽根120よりも上方で回転可能に設けられている。図7に処理室110の概略図を示す。図7では、説明の便宜上、処理室110の内周面(内壁)110aを一部切断した状態を示している。処理室110は略平らな底部を持った円筒形の容器であり、底部の略中心に撹拌羽根120や回転体130を取り付けるための駆動軸111を備えている。図8(a)および(b)に舞上げ手段としての撹拌羽根120の概略図を示す(図8(a)に上面図、図8(b)に側面図を示す)。撹拌羽根120は、回転することで、トナー粒子及び外添剤を含む被処理物を処理室110内で舞上げ可能に構成されている。撹拌羽根120は、回転中心から外側(径方向の外向き(外径方向)、外径側)に向かって伸びる羽根部121を有し、羽根部121の先端が被処理物を舞上げるように跳ねあげられた形状をしている。撹拌羽根120は、処理室110の底部の駆動軸111に固定され、上方から見て(図8(a)に示す状態で)時計方向(矢印R方向)に回転する。撹拌羽根120の回転により、被処理物は処理室110内で撹拌羽根120と同じ方向に回転しながら上昇し、やがて重力によって下降してくる。このようにして被処理物は均一に混合される。図9、10に回転体130の概略図を示す。図9(a)は回転体130の上面図、図9(b)は側面図である。図10(a)は処理室110内に設置された回転体130を示す上面図、図10(b)は回転体130の要部を示す斜視図、図10(c)は図10(b)のA−A断面を示す図である。回転体130は、処理室110内で撹拌羽根120よりも上方にあって、撹拌羽根120と同じ駆動軸111に固定され、撹拌羽根120と同じ方向(矢印R方向)に回転する。回転体130は、回転体本体131と、回転体130の回転により被処理物に衝突して該被処理物を処理する処理面133を備えた処理部132と、で構成されている。処理面133は、回転体本体131の外周面131aから外径方向に延び、かつ、処理面133のうち回転体本体131から離れた領域の方が、該領域より回転体本体131に近い領域より、回転体130の回転方向下流側に位置するように形成されている。すなわち図10(a)において、処理面133は、回転体130の半径方向に対して、回転体130の回転方向Rの方向に傾いて配置されている。回転体130の回転により、被処理物と処理面133が衝突することによって外添剤凝集物の解砕処理が行われる。
上90%以下であることが好ましい。固着率を上記範囲にすることで、トナー粒子(A)間の接触する機会が適切となり、トナー付着力が変化しにくく、帯電性の変化が抑制される。尚、上記の外添方法では90%より高い固着率を得ることは難しい。
本実施例の測定方法により求められる固着率が60%〜90%まで10%刻みになるように作製した実施例トナー(A)を用意した。また、同様の固着率となるように、トナー粒子に外添剤として無機微粒子(無機ケイ素微粒子)を外添した比較トナー(B)を用意し、本実施例トナー(A)と以下の比較実験を行った。
比較例トナー(B)は、特開2016−38591号公報の実施例5の記載にしたがって製造した無機微粒子を上記外添方法に従い作製した。
以下、本実験において使用した比較例トナー(B)に用いるトナー粒子及び無機微粒子の製造方法について説明する。
四つ口容器中にイオン交換水710質量部と0.1モル/LのNa3PO4水溶液850質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミクサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/L−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
・n−ブチルアクリレート 36質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 13質量部
・低分子量ポリスチレン 40質量部
(ガラス転移点=55℃、Mw=3、000、Mn=1,050)
・ポリエステル樹脂(1) 10質量部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)(モル比=51:50)、酸価=10mgKOH/g、ガラス転移点=70℃、Mw=10500、Mw/Mn=3.20)
・負荷電性制御剤 0.8質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・ワックス 15質量部
(フィシャートロプシュワックス、吸熱メインピーク温度=78℃)
上記の材料を、アトライターを用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。該単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20.0質量部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、メタノール590.0g、水42.0g、28質量%アンモニア水48.0gを加えて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながら、テトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)及び5.5質量%アンモニア水395.0gを同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは6時間かけて、アンモニア水は5時間かけて、それぞれを滴下した。滴下が終了した後、さらに0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。次いで、ガラス製の反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。得られたシリカ粒子を、恒温槽にて400℃で10分間加熱した。
得られたシリカ粒子を、パルベライザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理を行なった。
準備したプロセスカートリッジ7を、図1に示す画像形成装置より、低温低湿環境(15℃/10%Rh)で10000枚の1%印字率画像形成を行った。
プロセスカートリッジ7を取り付けることができ、感光体ドラム1を回転駆動できるトルク測定装置を用い、印字前、及び10000枚印字後の感光体ドラム1の駆動トルクを計測することで、印字前後での感光体ドラム1の駆動トルクの増加量を計測した。
本実施例における画像形成装置100は、単一のプロセスカートリッジ7における感光体ドラム1の駆動トルク変動範囲を、プロセスカートリッジ7新品時に対し−100%から+120%まで許容するものとする。これは、感光体ドラム1の駆動トルク(以下、感
光体駆動トルク)が新品時のターゲットに対して120%を超えてしまうと、画像形成装置に必要な電力量を超えてしまい、装置全体の駆動がかからなくなってしまうためである。したがって、本実験においては印字前後での感光体駆動トルクの増加率が120%を超えているか否か(超えている:×、超えていない:〇)により判断を行う。表2に本実施例トナー(A)の印字前後の感光体駆動トルクの増加率の判定結果を示す。また、表3には比較例トナー(B)の印字前後の感光体駆動トルクの増加率の判定結果を示す。また、本実施例トナー(A)の固着率αを横軸に、各固着率αに対して感光体駆動トルクの増加率が120%を超えていない侵入量δの最大値を縦軸にしたグラフを作成し、図11に示す。
本実験結果における低トルク化効果の維持は、現像装置3からクリーニング装置へと送り込まれる微粒子の感光体ドラム1に対する摩耗性と量により決まる。微粒子の感光体ドラム1に対する摩耗性が低いほど低トルク効果の維持することが可能である。本実施例トナー(A)の微粒子であるポリメチルシルセスキオキサン微粒子(A)は、比較例トナー(B)の微粒子である無機ケイ素微粒子に対して摩耗性が低い。
また、感光体ドラム1を摩耗する微粒子を現像装置3からクリーニング装置へ送り込む量が少ないほど、感光体ドラム1を摩耗する頻度が低下し、低トルク効果を維持することが可能である。固着率が高いほど、トナー粒子についていない微粒子が少なく、クリーニング装置へ送り込む微粒子量が減少する。
また、該トナーは、無機微粒子を外添剤として用いないことも好ましい態様である。
Claims (11)
- 画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
潜像が形成される周面を有する回転可能な感光体と、
前記感光体上の前記潜像を現像するために前記感光体へ現像剤を供給する現像装置と、
前記感光体の前記周面に当接して当該周面をクリーニングする板状弾性体と、
を備え、
前記感光体は、前記周面に、前記周面の周方向に延びる溝が回転軸方向に複数並ぶように形成されており、
前記現像装置から前記感光体へと供給される前記現像剤は、
トナー粒子、及び、前記トナー粒子の表面に存在する、下記式(1)で示される構造を有する有機ケイ素重合体を含有する微粒子、を有するトナーを含有し、
前記板状弾性体の前記感光体に対する侵入量をδ(mm)とし、
前記トナー粒子の表面に対する前記微粒子の固着率(%)をαとしたときに、
下記式(2)を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
R−SiO3/2 (1)
(前記Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
δ≦0.02×α−0.4 (2) - 前記トナー粒子の表面に対する前記微粒子の固着率が、30%以上90%以下である、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記Rが炭素数1以上6以下のアルキル基である、請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記微粒子が、ポリアルキルシルセスキオキサン微粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記トナーは、無機微粒子を外添剤として用いない、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記溝の前記周面の母線方向における幅が、0.5μm以上40μm以下の範囲内であり、
前記溝の本数が、前記周面の母線方向の幅1000μmあたり20本以上1000本以下であり、
前記感光体の前記周面の弾性変形率が、50%以上65%以下であり、
前記感光体の前記周面のユニバーサル硬さ値(HU)が、150N/mm2以上210N/mm2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。 - 前記感光体の前記周面の十点平均面粗さ(Rz)が、0.3μm以上1.3μm以下であり、
前記十点平均面粗さ(Rz)と、前記周面の最大表面粗さ(Rmax)との差(Rmax−Rz)が、0.3μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。 - 前記板状弾性体を支持する前記板状支持体と、
前記感光体を回転可能に支持するとともに、前記板状支持体が固定される枠体と、
をさらに備え、
前記板状弾性体は、一端が前記板状支持体に固定され、自由端である他端が前記周面に当接し、
前記板状支持体は、一端が前記枠体に固定され、自由端である他端に前記板状弾性体が固定され、
前記板状支持体の前記一端から前記板状弾性体の前記他端へ延びる方向が、前記他端が前記周面と当接する部分における前記感光体の回転方向とは逆方向である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。 - 使用時の姿勢において、前記感光体は、前記板状弾性体が当接する部分において、前記周面が上方から下方に向かう方向に移動するように回転する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
- 装置本体と、
前記装置本体に対して着脱可能な、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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