JP2020105368A - 塗料組成物セット、複層塗膜形成方法、路面標示及び路面標示除去方法 - Google Patents

塗料組成物セット、複層塗膜形成方法、路面標示及び路面標示除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】路面標示用塗料組成物から形成される塗膜の劣化及び減耗を抑制でき、その上、形成された塗膜を容易に除去できる路面標示用塗料組成物を提供することを目的とする。【解決手段】第1塗膜と第2塗膜とを有する複層塗膜形成用の塗料組成物セットであって、塗料組成物セットは、第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含み、第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含み、第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含み、第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、第2塗料組成物は、第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、炭化剤(C)とを含む、塗料組成物セット。【選択図】なし

Description

本開示は、塗料組成物セット、複層塗膜形成方法、路面標示及び路面標示除去方法に関する。
塗料組成物から形成できる塗膜、例えば、路面標示は、路面上の車線、例えば白線等として使用できる。また、通常の路面だけでなく工事中の路面においても、車線等の仮設用の路面標示は必要である。例えば、本来の車線とは異なる仮設用車線を表示するための境界線(白線等)として、種々の塗料組成物を使用できる。
更に、仮設用の路面標示であっても、工事中には運転者、歩行者等から視認できるようにする必要がある。
一方、工事完了後は、仮設用車線を除去するか、観察者から視認できないように、何らかの措置を行う必要がある。
例えば、特開2005−154672号公報(特許文献1)は、バインダーと顔料と熱膨張性微小球とを含有する熱膨張層を有する、路面仮設用のマーキング材を提供する。
特開2005−154672号公報
近年、道路の維持管理のための補修工事が数多く行われている。その際に、路面標示を書き換えて車線を変更する等の必要があるため、補修工事の際には、複数回に亘り路面標示(以下、塗膜ともいう)を書き換えることが増加している。このような場合、塗膜の耐用期間よりも大幅に短い使用期間、状況によっては、数日〜数か月単位で、塗膜を書き換え、消去しなければならない場合が生じている。
しかし、このような路面において、通常の路面標示用塗料組成物を用いると、白線等の塗膜の除去を、グラインダー等の回転する砥石を用いて研磨するか、又はショットブラストやウォータージェット等で塗膜を削り落とす必要があり、路面を傷める、除去作業に多大な労力がかかるといった問題がある。
また、路面と同じ色(黒色、灰色等)の塗料組成物を仮設の白線の上に塗装し、その仮設の塗膜を隠すことも行われている。しかし、車両通行により塗膜が剥落し、隠した白線が現れる場合がある。
一方、仮設用の路面用塗料組成物で路面標示を形成することも行われている。例えば、上述した特許文献1に記載される仮設用マーキング材は、路面から塗膜を容易に除去するために、マットリックス樹脂に加えて、熱膨張性微小球を含む。
しかし、このような路面仮設用のマーキング材は、車両の通行等による劣化及び減耗を充分に抑制できない。例えば、数年単位で使用する場合、頻繁に路面標示を補修、再塗装する必要が生じてしまう。
同様に、剥離容易な接着テープを、仮設の白線として用いることもある。しかし、接着テープを交通量の多い道路(重交通の道路とも称する)で使用する場合、路面からの剥離、位置ズレ等が発生しやすい。
このように、近年の道路事業の状況を鑑みると、従来にはない特性、すなわち、路面標示用塗料組成物から形成される塗膜の劣化及び減耗を長期間に亘り、十分に抑制でき、その上、形成された塗膜を容易に除去できるといった、相反する特性が、塗料組成物に要求されている。
本開示は、上記課題を解決することを目的とし、塗料組成物から形成される塗膜の劣化及び減耗を抑制でき、その上、形成された塗膜を容易に除去できる塗料組成物セットを提供することを目的とする。更に、複層塗膜形成方法、路面標示及び路面標示除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本開示は下記態様を提供する。
[1]本開示は、第1塗膜と第2塗膜とを有する複層塗膜形成用の塗料組成物セットを提供し、
塗料組成物セットは、第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含み、
第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含み、
第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、
第2塗料組成物は、
第2塗膜形成成分(A2)と、
発泡剤(B)と、
炭化剤(C)とを含む。
[2]ある態様において、炭化剤(C)の水酸基価は、500mgKOH/g以上1,900mgKOH/g以下である。
[3]ある態様において、第2塗膜中における、下記式によって表される、第2塗膜形成成分(A2)及び炭化剤(C)の水酸基価の総合計は、40mgKOH/g以上1,600mgKOH/g以下である:
水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[(A2)の水酸基価×(A2)の質量+(C)の水酸基価×(C)の質量]/第2塗膜の総質量。
[4]ある態様において、発泡剤(B)は、リン酸化合物(B1)、含窒素化合物(B2)及びハロゲン化合物(B3)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
[5]ある態様において、第2塗膜形成成分(A2)は、アクリル樹脂(A2−1)、ポリウレタン樹脂(A2−2)、エポキシ樹脂(A2−3)、石油樹脂(A2−4)、セルロース樹脂(A2−5)、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマー(A2−6)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
[6]ある態様において、第2塗料組成物は、更に、反応開始剤(D)を含む。
[7]ある態様において、炭化剤(C)は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジオキサングリコール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、セルロース、リグニン、キチン及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
[8]ある態様において、リン酸化合物(B1)は、リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸メラミンからなる群から選択される少なくとも1種である。
[9]ある態様において、含窒素化合物(B2)は、メラミン、ジシアンジアミド、アゾビステトラゾール、アゾジカルボンアミド、尿素、チオ尿素及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である。
[10]ある態様において、第2塗料組成物中における、炭化剤(C)の量は、第2塗料組成物に含まれる第2塗膜形成成分(A2)100質量部に対して、3質量部以上500質量部以下である。
[11]ある態様において、本開示の塗料組成物セットは、路面標示用の塗料組成物セットである。
[12]別の態様において、本開示は、上記塗料組成物セットを用いる、複層塗膜形成方法であって、被塗物上に、塗料組成物セットにおける、第1塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、及び
工程(1)によって得られた第1塗膜上に、塗料組成物セットにおける、第2塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法を提供する。
例えば、本開示に係る複層塗膜形成方法は、上記[1]に記載するように、第1塗膜は、乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、かつ第2塗料組成物は、第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、炭化剤(C)を含む。
ある態様において、本開示に係る複層塗膜形成方法は、上記[2]〜[11]の少なくとも1に記載の塗料組成物セットを用い、複層塗膜を形成できる。
[13]ある態様において、上記複層塗膜形成方法は、路面標示用の複層塗膜を形成するための複層塗膜形成方法である。
[14]別の態様において、本開示は、上記路面標示用の複層塗膜形成方法で得られた路面標示を、更に加熱して除去することを含む、路面標示除去方法を提供する。
本発明の塗料組成物セットは、重交通に対応でき、耐久性に優れた複層塗膜を形成できる。更に、本開示の塗料組成物セットから形成した複層塗膜は、容易に除去できる。
本発明に至った経緯を説明する。特許文献1に示される仮設用マーキング材は、既知の塗膜形成樹脂に多量の熱膨張性微小球を添加しており、塗膜形成樹脂の有する耐久性を物理的に抑制することにより、剥離性を向上させている。一方、塗料組成物において、塗膜の耐久性を向上させるに伴い、塗膜の容易な剥離は困難となる傾向がある。
このように、塗料組成物、例えば、路面標示用の塗料組成物において、塗膜の耐久性と易除去性(容易な剥離性)とは、トレードオフの関係が生じている。
本発明者らは、上述の新規な課題を解消すべく、塗膜の耐久性と剥離性とが両立する塗料組成物セットを開発することを目的とした。
その結果、本発明者らは、
第1塗膜と第2塗膜とを有する複層塗膜形成用の塗料組成物セットであって、
塗料組成物セットは、第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含み、
第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含み、
第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、
第2塗料組成物は、
第2塗膜形成成分(A2)と、
発泡剤(B)と、
炭化剤(C)とを含む、
本開示の塗料組成物セットによって、塗膜の耐久性と易除去性とをバランスよく備え、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本開示に係る所定の第1塗料組成物と第2塗料組成物とを組合せて含むことにより、運転者、歩行者等から良好に視認でき、更に、劣化及び減耗を抑制できる複層塗膜を形成できる。その上、形成された複層塗膜を、従来の塗膜と比べ容易に除去できる。
更に、本開示の別の態様によると、
被塗物上に、第1塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、及び
工程(1)によって得られた第1塗膜上に、第2塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法であって、
第1塗膜は、乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、かつ
第2塗料組成物は、
第2塗膜形成成分(A2)と、
発泡剤(B)と、
炭化剤(C)を含む、複層塗膜形成方法が、提供される。
本開示に係る所定の第1塗料組成物と第2塗料組成物とを組合せて含むことにより、運転者、歩行者等から良好に視認でき、更に、劣化及び減耗を抑制できる複層塗膜を形成できる。その上、形成された複層塗膜を容易に除去できる。
特定のメカニズムに解釈されるべきではないが、本開示の塗料組成物セットから形成される複層塗膜、例えば、路面標示用の複層塗膜において、塗膜の剥離に際し、塗膜形成温度よりも高い加熱工程を含むことにより、塗膜に含まれる発泡剤(B)の熱分解による発泡、併せて、炭化剤(C)の炭化の相互作用により、塗膜を脆化させることができ、ブラシによる剥離及び吸引除去が可能であり、より簡便に塗膜除去ができる。すなわち、本開示の塗料組成物であれば、塗膜の除去を、グラインダー等の回転する砥石を用いて研磨する、又は削り落とす必要がなく、路面を傷める、除去作業に多大な労力がかかるといった問題を解決できる。
更に、本開示においては、第1塗料組成物における、乾燥塗膜について測定した熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、その上、第2塗膜が所定の塗料組成物から形成されることにより、少なくとも、第2塗膜を効率的に発泡、炭化することができる。
本開示において、所定の第1塗料組成物と第2塗料組成物とを組合せて含むことにより、運転者、歩行者等から良好に視認でき、更に、劣化及び減耗を抑制できる複層塗膜を形成できる。
より詳細には、本開示の塗料組成物セットにより形成される複層塗膜を、例えば、路面標示に用いる場合、得られる複層塗膜は、車両の通行等による劣化及び減耗を充分に抑制できる。例えば、数年単位で使用する場合であっても、頻繁に路面標示を補修、再塗装する必要が生じないか、又は、生じにくい。また、重交通の道路で使用する場合であっても、路面からの剥離、位置ズレ等を抑制できる。
更に、特定の第1塗膜を設けることで、第2塗膜を短時間で容易に発泡、炭化することが可能となり、形成された複層塗膜、特に、第2塗膜を容易に除去できる。
また、本開示の塗料組成物セットにより形成される複層塗膜であれば、少なくとも、第2塗膜を容易に除去できるので、路面標示用の複層塗膜を、従来の塗膜と比べ、短時間で除去でき、その上、路面を傷めることを抑制できる。
このように、本開示の塗料組成物セットにより形成される複層塗膜であれば、形成される塗膜の劣化及び減耗を長期間に亘り、十分に抑制でき、その上、形成された塗膜を容易に除去できるといった、相反する特性を満たすことができる。
本開示に係る塗料組成物セット及び複層塗膜形成方法によると、塗料組成物セットは、第1塗膜を形成する所定の第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する所定の第2塗料組成物とを含む。
ある態様において、本開示に係る塗料組成物セットにおいて、第1塗膜は、被塗物に隣接して配置され、第2塗膜は、第1塗膜における被塗物とは反対側の面上、すなわち第1塗膜の上方に配置される。この態様によると、例えば、本開示に係る塗料組成物セットを路面標示に用いる場合、第2塗膜は、運転者、歩行者等から視認される側の塗膜である。
また、複層塗膜形成用の塗料組成物セットにおいて、第1塗膜を形成する第1塗料組成物の量と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物の量は、必要とする第1塗膜及び第2塗膜の膜厚に応じて、適宜選択できる。
以下、本開示において、第2塗膜を形成する第2塗料組成物について説明し、次いで、第1塗膜を形成する、第1塗料組成物について説明する。
[第2塗料組成物]
本開示に係る第2塗料組成物は、第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、
炭化剤(C)とを含む。
第2塗膜形成成分(A2)
本開示に係る第2塗膜形成成分(A2)は、アクリル樹脂(A2−1)、ポリウレタン樹脂(A2−2)、エポキシ樹脂(A2−3)、石油樹脂(A2−4)、セルロース樹脂(A2−5)、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマー(A2−6)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。
また、第2塗膜形成成分(A2)は、必要に応じて、架橋剤(例えば、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物、アミン架橋剤、ポリアミド架橋剤、多価カルボン酸架橋剤等)を併用してもよい。
アクリル樹脂(A2−1)
ある態様において、第2塗膜形成成分(A2)は、アクリル樹脂(A2−1)を含む。アクリル樹脂(A2−1)を含むことで、本開示に係る第2塗膜形成成分(A2)は、劣化及び減耗を抑制できる塗膜を形成できる。第2塗膜形成成分(A2)に含まれるアクリル樹脂は、既知のアクリル樹脂を使用できる。
更に、第2塗料組成物がアクリル樹脂(A2−1)を含む態様において、第2塗料組成物は、発泡剤(B)と、炭化剤(C)とを含み、その上、第2塗膜は、所定の第1塗膜上に形成されるので、第2塗膜の除去、複層塗膜の除去を更に容易に行うことができる。
その上、アクリル樹脂(A2−1)を含むことで、得られる塗膜の耐候性が向上し、塗膜の劣化を更に抑制できる。
ある態様において、第2塗膜形成成分(A2)は、アクリル樹脂(A2−1)である。
ある態様において、アクリル樹脂(A2−1)の水酸基価は、0mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であり、例えば、0mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、別の態様では0mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。アクリル樹脂(A2−1)の水酸基価がこのような範囲内であることにより、得られる塗膜の強度、耐久性等を向上させることができる。例えば、塗膜強度及び耐久性に優れ、更に視認性に優れた塗膜を形成できる。なお、本開示において、水酸基価は、固形分水酸基価を表し、JIS K 0070に記載される測定方法に準じて、測定することができる。
ここで、本開示において、「耐久性に優れる」とは、少なくとも1週間以上2年程度の間、白線等の路面標示として使用できることを意味する。すなわち、従来の仮設用路面標示の使用期間(例えば、数時間〜1か月)とは異なり、剥離目的のため、例えば270℃以上の加熱が行われない限り、長期間の使用にも耐え得る塗膜形成が可能である。
更に、上記範囲内に水酸基価を有するアクリル樹脂(A2−1)と、本開示に係る発泡剤(B)と、炭化剤(C)とを組合せることにより、より効果的に、塗膜を脆化させることができる。このような特性により、白線等の路面標示を、容易に除去できる。例えば、路面標示としての塗膜を、グラインダー等で研磨又は削り落とすことなく除去できるので、路面の傷付及び塗膜と共に除去される路面材料の飛散を抑制でき、作業者に対する健康被害を抑制でき、環境負荷も抑制できる。また、塗膜の除去作業を大きく抑制できる。更に、得られる塗膜に高い耐水性を付与でき、路面標示材として長期間の使用に耐え得る。
ある態様において、第2塗膜中における、下記式によって表される前記第2塗膜形成成分(A2)及び、炭化剤(C)の水酸基価の総合計は、40mgKOH/g以上1,600mgKOH/g以下である:
水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[(A2)の水酸基価×(A2)の質量+(C)の水酸基価×(C)の質量]/第2塗膜の総質量
ある態様において、第2塗膜中における、上記式によって表される第2塗膜形成成分(A2)及び、炭化剤(C)の水酸基価の総合計は、100mgKOH/g以上1200mgKOH/g以下であり、例えば、200mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下である。ある態様において、第2塗膜中における、上記式によって表される第2塗膜形成成分(A2)及び、炭化剤(C)の水酸基価の総合計は、200mgKOH/g以上750mgKOH/g以下であり、例えば、200mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。
このような関係を有することにより、得られる塗膜の強度、耐久性及び耐水性等を向上させることができる。例えば、塗膜強度、耐久性及び耐水性に優れ、更に視認性に優れた塗膜を形成できる。その上、上述した種々の塗膜物性を損なうことなく、安全、かつ容易に、塗膜の剥離を行える。
ここで、上記式に基づく水酸基価の算出において、炭化剤(C)の水酸基価は、第2塗膜中に含まれる炭化剤(C)の水酸基価を意味する。例えば、第1塗料組成物が炭化剤(C)を含み得る場合、第1塗料組成物(第1塗膜)に含まれる炭化剤(C)の水酸基価は、算出を容易にするため、考慮しなくてもよい。
また、第2塗膜中における、水酸基価の算出は、第2塗膜形成成分を加熱(乾燥)させた後の固形分の状態において、既知の方法により算出される。
アクリル樹脂(A2−1)の重量平均分子量は、例えば、20,000以上200,000以下であり、ある態様では、30,000以上80,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲であることにより、塗膜強度及び耐久性に優れる塗膜を形成できる。更に、本開示に係る発泡剤(B)により発泡したガスを塗膜全体において、効率的に補足できる。その結果、塗膜の発泡時に塗膜をより効果的に脆化させることができる。
その上、塗装作業性、特に、スプレー塗装作業性に優れた第2塗料組成物を得ることができる。なお、本開示において、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果から算出できる。
アクリル樹脂(A2−1)のガラス転移温度は、ある態様において5〜120℃であり、例えば、20〜100℃である。アクリル樹脂(A2−1)のガラス転移温度がこのような範囲内であることにより、塗膜に適度な柔軟性と硬度をバランスよく付与でき、耐久性に優れた塗膜、例えば、路面標示を形成できる。更に、加熱して塗膜を脆化させた際に、塗膜が軟化しやすく、優れた除去性を得ることができる。なお、本開示において、ガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。
本開示に係るアクリル樹脂(A2−1)は、例えば、水酸基含有モノマー及び必要に応じて、水酸基含有モノマーと共重合できる重合性モノマーを、常法によって重合して得ることができる。
水酸基含有モノマーは、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレートをε−カプロラクトンによって開環させたもの(ダイセル化学工業社製プラクセルFA及びFMシリーズ)等を挙げることができる。これらのモノマーを単独で用いても良く、組合せて用いてもよい。
本開示に係るアクリル樹脂(A2−1)において、水酸基含有モノマーの量は、アクリル樹脂(A2−1)を構成するモノマー成分100質量部に基づいて、ある態様では0質量部以上40質量部以下、例えば0質量部以上30質量部以下である。アクリル樹脂(A2−1)がこのような関係を有することで、塗膜の硬度、仕上がり性を良好にできる。また、上記範囲内に水酸基価を有するアクリル樹脂(A2−1)を得ることができ、塗膜の強度、耐久性等を向上させることができる。
ある態様において、本開示に係るアクリル樹脂(A2−1)は、例えば、水酸基を含有しないモノマー及び必要に応じて、水酸基を含有しないモノマーと共重合できる重合性モノマーを、常法によって重合して得ることができる。このようなモノマーを含むことにより、塗膜の硬度、仕上がり性を良好にできる。更に塗膜の耐水性をより向上できる。
例えば、複数種の水酸基を含有しないモノマーを組合せて、水酸基を有さないアクリル樹脂(A2−1)を調製してもよい。
水酸基含有モノマー及び/又は水酸基を含有しないモノマーと共重合できる重合性モノマーは、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマーの他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン、デシルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチルビニルトルエン、メチルビニルキシレン、エチルスチレン、エチルビニルトルエン、エチルビニルキシレン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ある態様において、水酸基含有モノマー及び/又は水酸基を含有しないモノマーと共重合できる重合性モノマーは、スチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン、デシルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチルビニルトルエン、メチルビニルキシレン、エチルスチレン、エチルビニルトルエン及びエチルビニルキシレン等から選択される芳香族モノマーである。これらは、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有モノマー及び/又は水酸基を含有しないモノマーと共重合できる重合性モノマーとして、これらの芳香族モノマーを含むことにより、得られる塗膜の硬度が増加し、減耗を更に抑制できる塗膜を形成でき、また、より容易に塗膜の除去を行うことができる。
アクリル樹脂(A2−1)における、スチレンの量は、アクリル樹脂(A2−1)を構成するモノマー成分100質量部に対して、ある態様では5〜60質量部、例えば10〜50質量部の範囲内である。このような量であることにより、劣化及び減耗を抑制できる塗膜を形成でき、更に容易に塗膜の除去を行うことができる。
ある態様において、水酸基含有モノマー及び/又は水酸基を含有しないモノマーと共重合できる重合性モノマーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、酸とビニルアルコールとのエステルである。これらは、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのモノマーを含むことにより、劣化及び減耗を抑制できる塗膜を形成でき、更に容易に塗膜の除去を行うことができる。
これらのモノマーを含むアクリル樹脂(A2−1)は、劣化及び減耗をより効果的に抑制できる塗膜を形成でき、更に容易に塗膜の除去を行うことができ、路面標示を形成する塗料組成物として好適に使用できる。また、塗膜の耐水性を向上できる。
第2塗膜形成成分(A2)がアクリル樹脂(A2−1)を含む場合、必要に応じて硬化剤を含んでもよい。硬化剤としては、既知の硬化剤を含むことができ、例えば、ブロックポリイソシアネート化合物等を含み得る。
ポリウレタン樹脂(A2−2)
第2塗膜形成成分(A2)に含まれるポリウレタン樹脂(A2−2)として、例えば、水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂、水酸基を有するポリエーテル樹脂、水酸基を有するポリカーボネート樹脂等の各種ポリオール成分(a2−1)と、ポリイソシアネート化合物(a2−2)との反応によって得られる、ウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、及びその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、及びその混合物(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等を挙げることができる。
第2塗膜形成成分(A2)に含まれ得るポリウレタン樹脂は、主剤及び硬化剤から構成される2液型ポリウレタン樹脂であってもよい。第2塗膜形成成分(A2)としてのポリウレタン樹脂はまた、上記ポリオール成分(a2−1)とポリイソシアネート化合物(a2−2)とを予め反応させて得られたプレポリマーであってもよい。
エポキシ樹脂(A2−3)
第2塗膜形成成分(A2)に含まれるエポキシ樹脂(A2−3)として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が400〜2,200g/eqの範囲であるものが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、市販されているものを用いてもよい。市販されるビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体的として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYD−014、エポトートYD−017、エポトートYD−904H、エポトートYD−907等)、三菱化学社製のjERシリーズ(例えば、jER1003F、jER1004F、jER1005F等)、DIC社製のEPICLONシリーズ(例えば、EPICLON840、EPICLON850等)等を挙げることができる。
なお、本開示においてエポキシ当量は、JIS K 7236に準拠した方法により測定できる
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が800〜2,500g/eqの範囲であるものが好ましい。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、市販されているものを用いてもよい。市販されるビスフェノールF型エポキシ樹脂の具体的として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYDF−2004H、エポトートYDF−2005RL等)、三菱化学社製のjERシリーズ(例えば、jER4005P、jER4007P等)等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が195〜220g/eqの範囲であるものが好ましい。o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、市販されているものを用いてもよい。市販されるo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の具体例として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYDCN−701、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN−704等)等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂(A2−3)として、上記エポキシ樹脂に加えて、末端に複数のアクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂を用いることもできる。末端に複数のアクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂としては、例えば、上記エポキシ樹脂が有する末端のエポキシ基に、アクリレート基を導入した樹脂が挙げられる。上記エポキシアクリレート樹脂が有するアクリレート基の数は、2個であるのが好ましい。また、上記エポキシアクリレート樹脂の二重結合当量は、300〜700であるのが好ましく、400〜600であるのがより好ましい。
ある態様において、エポキシ樹脂(A2−3)の軟化点が60〜120℃の範囲内である。軟化点がこのような範囲内であることにより、塗膜に適度な柔軟性と硬度をバランスよく付与でき、耐久性に優れた路面標示を形成できる。更に、加熱して塗膜を脆化させた際に、塗膜が軟化しやすく、優れた除去性を得ることができる。
塗膜形成成分(A)がエポキシ樹脂(A2−3)を含む場合、必要に応じて硬化剤を含んでもよい。エポキシ樹脂(A2−3)と併用できる硬化剤としては、フェノール性硬化剤、アミン硬化剤、チオール硬化剤、酸無水物硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤のうち1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
フェノール性硬化剤としては、市販されているものを用いてもよい。具体的には、例えば、jERキュア171N(フェノール性水酸基当量200〜286g/eq、軟化点約80℃、三菱化学社製)、jERキュア170(フェノール性水酸基当量286〜400g/eq、軟化点約90℃、三菱化学社製)等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
アミン硬化剤として、例えば、脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等);脂環族ポリアミン(例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);芳香環を有する脂肪族ポリアミン(例えば、キシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミン等);芳香族ポリアミン(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、ベンジジン、フェニレンジアミン等);及び、上記ポリアミンと重合脂肪酸との反応によって得られるポリアミドアミン;等が挙げられる。アミン硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販されるアミン硬化剤として、例えば、三菱化学社製のjERキュアシリーズ、エアープロダクツ社製のサンマイドシリーズ(各種アミンアダクト、ポリアミドアミン樹脂等)、T&K TOKA社製のトーマイドシリーズ(各種ポリアミドアミン)等が挙げられる。
チオール硬化剤として、例えば、ポリチオール化合物等が挙げられる。チオール硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販されるチオール硬化剤として、例えば、昭和電工社製カレンズMTシリーズ、三菱化学社製のjERキュアシリーズ等が挙げられる。
酸無水物硬化剤として、例えば、脂環式酸無水物化合物、芳香族酸無水物化合物等が挙げられる。酸無水物硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販される酸無水物硬化剤として、例えば、新日本理化社製のリカシッド等が挙げられる。
上記硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。硬化剤の量は、用いるエポキシ樹脂(A2−3)及び硬化剤の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、エポキシ樹脂(A2−3)のエポキシ基1当量に対して硬化剤の反応基(活性水素当量)が0.5〜2.0当量となる量で用いることが好ましく、0.8〜1.5当量となる量で用いるのがより好ましい。
上記硬化剤に加えて、硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾリン系硬化促進剤等が挙げられる。イミダゾリン系硬化促進剤としては、特に限定されず、市販されているものを用いてもよい。市販されるイミダゾリン系硬化剤の具体例としては、例えば、2PZL(2−フェニルイミダゾリン、四国化成工業社製)、2E・4MZL(2−エチル−4−メチルイミダゾリン、四国化成工業社製)等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。硬化促進剤を用いる場合は、上記硬化剤の量100質量部に対して0.1〜10.0質量%の範囲内で用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂(A2−3)と併用できる硬化剤として、アミン硬化剤、チオール硬化剤及び酸無水物硬化剤のうち1種又はそれ以上を用いるのが好ましい。これらの硬化剤を含むことにより、塗膜、特に第2塗膜に適度な柔軟性と硬度をバランスよく付与でき、耐久性に優れた路面標示を形成できる。
石油樹脂(A2−4)
第2塗膜形成成分(A2)に含まれ得る石油樹脂(A2−4)としては、石油ナフサ分解で副生する重質油中のスチレン誘導体、インデン、ビニルトルエン等のC9留分を重合させた芳香族系石油樹脂;1,3−ペンタジエン、イソプレン等のC5留分を重合させた脂肪族系石油樹脂;上記C9留分とC5留分とを共重合させた共重合系石油樹脂;シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のC5留分の共役ジエンが一部環化重合した脂肪族系石油樹脂;上記芳香族系石油樹脂を水素添加した樹脂;ジシクロペンタジエンを重合させた脂環族系石油樹脂;上記石油樹脂を酸変性した酸変性石油樹脂;等が挙げられる。
セルロース樹脂(A2−5)
第2塗膜形成成分(A2)に含まれ得るセルロース樹脂(A2−5)としては、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートからなる群から選ばれた一つ以上のセルロース樹脂を挙げることができる。
重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)
第2塗膜形成成分(A2)に含まれ得る重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)は、1分子中に重合性官能基を有する化合物である。重合性官能基として、例えば、エチレン性不飽和二重結合基含有基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基であるのがより好ましい。なお本開示において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を表す。
重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)として、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることができる。重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、モノマーであってもオリゴマーであってもよい。
重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)を含むことにより、得られる塗膜、特に第2塗膜の機械的強度をより高めることができる。
例えば、上記化合物において、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基は、10個以下である。
重合性オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのホモポリマー及び/又はコポリマ−を好適に使用できる。ある態様において、(メタ)アクリル酸を適宜共重合させたものでもよい。
重合性モノマーとしては、上記の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸の他に、アクリロニトリル等も使用可能である。
第2塗膜形成成分(A2)は、必要に応じて、反応開始剤(D)を含んでもよい。例えば、第2塗膜形成成分(A2)が、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)を含む場合、必要に応じて反応開始剤(D)を含んでもよい。
反応開始剤(D)を含むことにより、例えば、第2塗膜形成成分(A2)が、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)を含む態様において、第2塗膜の硬化時間をより短縮できる。また、得られる塗膜、特に第2塗膜の機械的強度をより高めることができる。
反応開始剤(D)としては、有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルハイドロパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられ、更に硬化を促進させる目的で、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト塩や、ジメチルアニリン等のアミン化合物を上記有機過酸化物と組み合わせて用いてもよい。
第2塗膜形成成分(A2)は、溶媒で希釈して使用できる。溶媒は、特に制限はなく、本開示の塗料組成物セットの有する特性を損なわない範囲で適宜選択できる。例えば水、有機溶剤、又はその混合物等を挙げることができる。
ある態様において、第2塗膜形成成分(A2)は、有機溶剤希釈性を有してもよい。有機溶剤は、例えば、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等の炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤等の溶剤が含まれる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本開示において、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分とは、第2塗膜形成成分(A2)に含まれる樹脂及び硬化剤の合計固形分量を示す。
発泡剤(B)
第2塗料組成物は、発泡剤(B)を含む。発泡剤(B)を含むことにより、塗膜の剥離を容易に行うことに寄与する。
ある態様において、発泡剤(B)は、リン酸化合物(B1)、含窒素化合物(B2)及びハロゲン化合物(B3)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
これらの化合物を含むことにより、塗膜の剥離を更に容易に行うことができる。
なお、本開示に係る塗料組成物セットにおいては、少なくとも、後述する炭化剤(C)との相乗効果により、塗膜の剥離(除去)を更に容易に行うことができる。
特定の理論に限定して解釈すべきではないが、発泡剤(B)は、例えば、リン酸化合物(B1)、含窒素化合物(B2)及びハロゲン化合物(B3)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことにより、路面等からの剥離時に、塗膜に対して発泡性能をもたらし、その上、ガスを発生させ、炭化層を一層発泡させることができるので、塗膜の剥離をより容易に行える。
本開示において「発泡剤」とは、発泡剤として含む剤又は発泡剤として含む化合物の発泡作用によって、塗膜に発泡性能をもたらす成分を意味する。例えば、本開示に係る発泡剤は、塗膜の剥離時に特に効果を奏する。
特定の理論に限定して解釈すべきではないが、例えば、塗膜形成成分が、所定の範囲の水酸基価を有する態様において、塗膜を加熱し、剥離する際、発泡剤と、塗膜形成成分との相互作用により、より細かいフォームの形成、例えば、マイクロフォームを、塗膜内に形成できる。このようなフォームにより、塗膜を従来よりも容易に脆化できるので、塗膜の剥離作業における路面の傷の生成を大きく低減できる。
リン酸化合物(B1)
ある態様において、発泡剤(B)は、リン酸化合物(B1)を含む。リン酸化合物(B1)を含むことで、塗膜剥離時に塗膜をバーナー等で加熱(例えば、270℃程度で加熱)した場合、リン酸ガラス質層が形成され、塗膜が脆化し、塗膜の容易な破砕を可能にする。また、塗膜成分中の有機物を脱水する脱水触媒としての機能を奏するので、塗膜成分中の有機物が炭化して形成される炭化層の生成を促進できる。
発泡剤(B)に含まれるリン酸化合物(B1)は、例えば、リン酸、例えば、正リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウム(APP)及びポリリン酸メラミンからなる群から選択される1種又はそれ以上のリン酸化合物である。
これらのリン化合物を用いることにより、剥離時における塗膜の加熱を、200℃〜300℃程度で行え、従来の加熱による塗膜剥離と比べて、より安全に塗膜を剥離できる。
上記リン酸化合物は、塩の形態であってもよく、水和物の形態であってもよい。リン酸化合物(B1)は、例えば、ポリリン酸アンモニウムを含む。ポリリン酸アンモニウムは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、架橋構造を有していてもよく、これらの混合物であってもよい。ポリリン酸アンモニウムを含むことにより、より安全に、上記炭化層の生成を促進でき、容易に塗膜除去を行える。
リン酸化合物(B1)は、加熱(例えば、270℃程度の加熱)を受けた際に、塗膜中の有機成分を脱水する脱水触媒として作用し、これにより炭化層の生成を促進して、塗膜の燃焼を抑制できる。
リン酸化合物(B1)として、その表面の少なくとも一部が被覆された化合物であってもよい。例えば、リン酸化合物(B1)は、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸化合物を含む態様が好ましく、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたポリリン酸アンモニウムを含む態様がより好ましい。例えば、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたポリリン酸アンモニウムは、アルキルシラン化合物を含む処理剤を用いて処理を行うことによって、調製することができる。
アルキルシラン化合物の具体例として、例えば、アルキルシラン、例えば、ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ブチルクロロジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロヘキルトリクロロシラン、クロロヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルエチルクロロシラン、デシルトリクロロシラン、トリエトキシメチルシラン、イソブチルトリクロロシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン等;アリールシラン及びアリールアルキルシラン、例えば、ベンジルクロロジメチルシラン、ベンジルトリエトキシシラン、クロロジメチル−3−フェニルプロピルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン等;オレフィニルシラン、例えば、アリルトリエトキシシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン;グリシジルオキシアルキルシラン、例えば、ジエトキシ−3−グリシジロキシプロピルメチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、トリエトキシ−3−グリシジルオキシプロピルシラン等;アクロイルオキシアルキルシラン及びメタクロイルオキシアルキルシラン、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(メトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート等;アミノアルキルシラン、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、ビス3−トリメトキシシリルプロピルアミン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−N,N−ジメトルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ3−フェニルアミノプロピルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等;フルオロアルキルシラン及びフルオロアリールシラン等;が挙げられる。
ある態様において、アルキルシラン化合物として、グリシジルオキシアルキルシラン、アクロイルオキシアルキルシラン及びメタクロイルオキシアルキルシランから選択される1種又はそれ以上を用いる。
リン酸化合物(例えば、ポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆するのに用いる処理剤は、アルキルシラン化合物に加えて、他の被覆処理剤を含んでもよい。この場合は、リン酸化合物(例えば、ポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆する化合物は、アルキルシラン化合物及び他の被覆処理剤に由来する成分の2種又はそれ以上であってよい。他の被覆処理剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール及びそれらのエステル化物、メラミンモノマー等のモノマー、界面活性剤、シリコーン化合物、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂の樹脂成分等から選択される1種又はそれ以上等が挙げられる。
リン酸化合物(例えば、ポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆する処理方法として、例えば、液中硬化法、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、界面重合法、in−situ重合法等の、公知の処理方法を用いることができる。
リン酸化合物に対する処理剤の被覆量は、リン酸化合物100質量部に対して例えば0.05〜20質量部であるのが好ましく、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.2〜5質量部であるのがより好ましい。
表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸化合物として、市販品を用いてもよい。ポリリン酸アンモニウムの表面の少なくとも一部が被覆された市販品として、例えば、FR CROS 486、FR CROS 487、TERRJU−C30、TERRJU−C60、TERRJU−C70、TERRJU−C80(ブーデンハイム社製)、Exolit AP−462(クラリアント社製)等が挙げられる。
本開示の第2塗料組成物に含まれるリン酸化合物(B1)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であってよい。ある態様において、第2塗料組成物に含まれるリン酸化合物(B1)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して5質量部以上300質量部以下であり、例えば、5質量部以上200質量部以下である。
別の態様において、第2塗料組成物に含まれるリン酸化合物(B1)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であり、例えば、5質量部以上80質量部以下である。
このような範囲でリン酸化合物(B1)を含むことで、複層塗膜を容易に脆化でき、塗膜の剥離作業における路面の傷の生成を大きく低減できる。
なお、本開示において、第2塗膜形成成分(A2)が、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー(A2−6)を含む態様において、用語「第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部」には、特に言及のない限り、成分(A2−6)由来の固形分も含まれる。
含窒素化合物(B2)
発泡剤(B)は、含窒素化合物(B2)を含んでもよい。含窒素化合物(B2)を含むことで、例えば、塗膜剥離時のバーナーによる加熱によって、窒素ガスを発生させ、炭化層を一層発泡させることができるので、塗膜の剥離をより容易に行える。さらに、塗膜が勢いよく燃焼することを、より効果的に抑制できる。
発泡剤(B)に含まれる含窒素化合物(B2)は、メラミン、ジシアンジアミド、アゾビステトラゾール、アゾジカルボンアミド、尿素、チオ尿素及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である。
本開示の塗料組成物中に含まれる含窒素化合物(B2)の含有量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であってよい。ある態様において、第2塗料組成物に含まれる含窒素化合物(B2)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して5質量部以上300質量部以下であり、例えば、5質量部以上200質量部以下である。
このような範囲で含窒素化合物(B2)を含むことで、塗膜の剥離をより容易に行える。さらに、塗膜が勢いよく燃焼することを、より効果的に抑制できる。
ハロゲン化合物(B3)
発泡剤(B)は、ハロゲン化合物(B3)を含んでもよい。発泡剤(B)に含まれるハロゲン化合物(B3)は、ハロゲン化合物として、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリフェニル、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等臭素化合物等が挙げられる。上記塩素化パラフィンの具体例としては、炭素数10〜13である炭鎖塩素化パラフィン、炭素数14〜17である中鎖塩素化パラフィン、及び炭素数18〜30である長鎖塩素化パラフィンが挙げられる。これらのうち、炭素数14〜17である中鎖塩素化パラフィン、及び炭素数18〜30である長鎖塩素化パラフィンが好ましく、炭素数18〜30である長鎖塩素化パラフィンがより好ましい。
本開示の塗料組成物中に含まれるハロゲン化合物(B3)の含有量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であり、例えば、1質量部以上20質量部以下である。
必要に応じて、上記ハロゲン化合物(B3)に加えて、三酸化アンチモンを用いることもできる。三酸化アンチモンを併用することによって、得られる塗膜が勢いよく燃焼することを更に抑制でき、安全な作業をすることができるという効果を得ることができる。
炭化剤(C)
本開示に係る組成物において、炭化剤(C)を含むことにより、塗膜剥離時におけるバーナー等による加熱(例えば270℃程度の加熱)において、炭化層を形成できる。これにより、塗膜をより脆化させることができる。例えば、発泡剤(B)がリン酸化合物(B1)を含む場合、塗膜成分中のリン酸化合物(B1)により、炭化剤(C)が脱水され、炭化層を形成でき、塗膜の脆化を生じ得る。
なお、本開示に係る塗料組成物セットにおいては、少なくとも、前述した発泡剤(B)との相乗効果により、塗膜の剥離(除去)を更に容易に行うことができる。
ある態様において、炭化剤(C)の水酸基価は、500mgKOH/g以上1,900mgKOH/g以下であり、例えば、700mgKOH/g以上1850mgKOH/g以下である。別の態様において、炭化剤(C)の水酸基価は、700mgKOH/g以上1,700mgKOH/g以下、例えば、700mgKOH/g以上1,500mgKOH/g以下である。
炭化剤(C)の水酸基価がこのような範囲内にあることにより、塗膜を効率的に発泡、炭化でき、塗膜の剥離を容易に行うことができる。

なお、複数の炭化剤(C)を含む場合、各炭化剤(C)の水酸基価が上記範囲に含まれることが好ましい。別の態様において、各炭化剤(C)の水酸基価の平均値が上記範囲に含まれ得る。例えば、炭化剤(C)として、炭化剤(C1)と炭化剤(C2)とを含む態様において、炭化剤(C)の水酸基価は、以下の式に基づき算出できる。
炭化剤(C)の水酸基価(mgKOH/g)=[(C1)の水酸基価×(C1)の質量+(C2)の水酸基価×(C2)の質量]/[(C1)の質量+(C2)の質量]
ある態様において、上述のように、第2塗膜中における、第2塗膜形成成分(A2)及び、炭化剤(C)の水酸基価の総合計(下記式参照)は、40mgKOH/g以上1,600mgKOH/g以下である。
水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[(A2)の水酸基価×(A2)の質量+(C)の水酸基価×(C)の質量]/第2塗膜の総質量
このような関係を有することにより、得られる塗膜の強度、耐久性等を向上させることができる。例えば、塗膜強度及び耐久性に優れ、更に視認性に優れた塗膜を形成できる。その上、このような塗膜物性を損なうことなく安全かつ容易に塗膜の剥離を行える。
第2塗膜形成成分(A2)及び、炭化剤(C)の水酸基価の総合計について、例えば、第2塗膜形成成分(A2)及び炭化剤(C)として炭化剤(C1)と炭化剤(C2)とを含む態様においては、下記のように水酸基価を算出できる。
水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[(A2)の水酸基価×(A2)の質量+(C1)の水酸基価×(C1)の質量+(C2)の水酸基価×(C2)の質量]/第2塗膜の総質量。
炭化剤(C)は、例えば、多価アルコールである。炭化剤(C)としての多価アルコールは、本開示の効果を損なわない範囲で適宜選択できる。例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジオキサングリコール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、セルロース、リグニン、キチン及びこれらの誘導体からなる群から選択される1種又はそれ以上を含む。
ある態様において、炭化剤(C)としての多価アルコールは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジオキサングリコール、セルロース、リグニン、キチン、キシリトール及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1種を含む。
例えば、炭化剤(C)としての多価アルコールは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、セルロース及び誘導体から選択される少なくとも1種を含む。
このような炭化剤を選択することにより、塗膜の剥離時に、塗膜中に炭化層を形成でき、塗膜の脆化をより促進できる。
本開示の第2塗料組成物中に含まれる炭化剤(C)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して、3質量部以上500質量部以下であってよい。ある態様において、第2塗料組成物中における、炭化剤(C)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して、5質量部以上500質量部以下であり、例えば、10質量部以上480質量部以下である。別の態様において、第2塗料組成物中における、炭化剤(C)の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して、15質量部以上300質量部以下であり、例えば、50質量部以上200質量部以下である。
なお、第2塗膜形成成分(A2)がポリウレタン樹脂(A2−2)を含む態様においては、塗膜形成成分の硬化時に残存し得るポリオール成分(a2−1)が、炭化剤(C)の役割を果たし得る。また、例えば、第2塗膜形成成分(A2)がポリウレタン樹脂(A2−2)を含む態様においては、単に過剰量の多価アルコールを用いるのではなく、本開示に係る発泡剤(B)と共に塗料組成物に含まれることにより、安全、かつ容易に、塗膜の剥離を行える。このような本開示に係る組成物であることにより、例えば、仮設用路面標示を好適に施すことが可能となる。
添加剤
本開示の第2塗料組成物は、上記成分以外に、顔料、骨材(砂、ガラスビーズ等)、シリカ、反射材、アルミナ等の艶消し剤、表面調整剤、粘性調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ワックス、脱水剤、レベリング剤及び酸化防止剤等、塗料組成物に配合される添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、第2塗膜形成成分(A2)に含んでもよい。例えば、主剤となる樹脂組成物及び硬化剤組成物の少なくとも一方に含んでもよい。また、本開示の効果を損なわない範囲で、これらの量を適宜調整できる。
例えば、顔料は、炭酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛、沈降バリウム、タルク、シリカ、カオリンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。また、貝殻胡粉、卵殻カルシウム、中空粒子等であってもよい。例えば、炭酸塩、酸化チタン及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよく、複数種の炭酸塩を含んでもよい。
このような顔料を含むことにより、本開示の塗料組成物から形成される塗膜は、白色を呈することができる。ある態様において、路面標示用塗料組成物は、白色系の塗膜、例えば、白線等の塗膜形成に使用できる。
炭酸塩は、例えば、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種である。
ある態様において、顔料は、ベントナイト、スメクタイト、ガラスフレーク(シリカフィラー)、酸化鉄、針状酸化チタンキノフタロン、アンスラキノン、ベンズイミダゾロン及びバナジン酸ビスマスから選択される少なくとも1種を含んでもよい。
ある態様において、顔料の量は、第2塗膜形成成分(A2)の全樹脂固形分100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下である。
ある態様において、本開示の塗料組成物セットは、路面標示用の塗料組成物セットであり、例えば、易除去性路面標示用の塗料組成物セットである。
易除去性路面標示用の塗料組成物セットに含まれる塗料組成物及び各成分の詳細は、上述の通りである。また、これらの塗料セット組成物における、塗料組成物の組成は、上述のとおりである。
このように、第2塗料組成物は、本開示に係る第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、炭化剤(C)とを含むことにより、更に易除去性に優れた路面標示用塗料組成物を得ることができる。
本開示において、「易除去性」とは、加熱する(例えば、270℃以上で熱処理する)ことで、容易に除去できる性質を意味する。
別の態様において、本開示に係る塗料組成物セットを含む、路面標示、例えば、仮設用路面標示が提供される。
ある態様において、第2塗膜の色相は、目的の色相を有する。例えば、本開示の塗料組成物セットを路面標示に用いる態様において、第2塗膜は、白線、黄色線、緑線、青線等の色相を有し得る。このように、所望の色相を有し、本開示に係る第2塗料組成物の特性を損なわない範囲で、既知の顔料、反射材等を含み得る。
ある態様において、第2塗膜は、被塗物と異なる色相、例えば、同系色ではない色相を有し得る。このような色相を有することにより、少なくとも第2塗膜は、被塗物と異なる色相を有するので、例えば、運転者、歩行者等は、本開示の塗料組成物セットから形成した路面標示を容易に認識できる。
[第1塗料組成物]
第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含み、第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下である。
第1塗料組成物を乾燥及び硬化して得られる乾燥塗膜の熱伝導率は、0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下である。ある態様において、第1塗膜の乾燥塗膜における熱伝導率は0.05W/m・K以上0.45W/m・K以下であり、例えば、0.10W/m・K以上0.45W/m・K以下である。別の態様において、第1塗料組成物を乾燥及び硬化して得られる乾燥塗膜の熱伝導率は、0.10W/m・K以上0.40W/m・K以下、例えば、0.10W/m・K以上0.38W/m・K以下である。
塗膜の熱伝導率が上記の範囲内であることで、第1塗膜は、本発明に係る所定の塗料組成物から形成される第2塗膜を効率的に発泡、炭化することができる。
ここで、第1塗料組成物がこのような熱伝導率を有し、更に、本開示に係る所定の第1塗料組成物を含む、本開示の塗料組成物セットは、重交通に対応した耐久性に優れた塗膜を形成できる。更に、本開示の塗料組成物セットから形成した複層塗膜は、容易に除去できる。
第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含む。第1塗膜形成成分(A1)は、乾燥塗膜について測定した熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であることを損なわない限り、塗料組成物分野で用いられる樹脂を含むことができる。
なお、本開示においては、第1塗料組成物を塗布し、乾燥することで乾燥膜厚300μmの試験片を作成し、熱伝導率を算出できる。
例えば、第1塗膜形成成分(A1)として、上記第2塗膜形成成分(A2)に関して記載した塗膜形成成分を含んでもよい。また、分子量、水酸基価等の諸物性も、第2塗膜形成成分(A2)に関する記載を援用できる。
第1塗膜形成成分(A1)は、例えば、上記第2塗膜形成成分(A2)と同様に、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、セルロース樹脂等を挙げることができる。また、(メタ)アクリルロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーを含んでよい。第1塗膜形成成分(A1)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
また、第1塗膜形成成分(A1)は、上記樹脂に加えて、必要に応じて、架橋剤(例えば、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン架橋剤、ポリアミド架橋剤、多価カルボン酸架橋剤等)を併用してもよい。更に、第1塗膜形成成分(A1)は、主剤及び硬化剤から構成される2液型ポリウレタン樹脂を含んでよい。
ある態様において、第1塗膜形成成分(A1)は、第2塗膜形成成分(A2)と同一種類の樹脂を含んでよく、例えば、第2塗膜形成成分(A2)と同一であってもよい。ただし、乾燥塗膜について測定した熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下となるよう、第1塗膜形成成分(A1)の配合を適宜調整できる。
第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)に加えて、所定の熱伝導率を示す範囲で、必要に応じて、第2塗料組成物に関して記載した、発泡剤(B)及び炭化剤(C)のうち少なくとも1種を含んでもよい。これらを含むことにより、複層塗膜、特に第1塗膜の剥離をより容易に行える。
第1塗料組成物が含み得る発泡剤(B)及び/又は炭化剤(C)は、上記第2塗料組成物が含む発泡剤(B)及び/又は炭化剤(C)と異なるものであってよく、同一であってよい。発泡剤(B)及び/又は炭化剤(C)の量は、上記第2塗料組成物について記載した範囲内で適宜選択できる。
ある態様において、第1塗料組成物は、発泡剤(B)として、リン酸化合物(B1)を含む。リン酸化合物(B1)として、リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸メラミンからなる群から選択される少なくとも1種を含み得る。
ある態様において、第1塗料組成物は、炭化剤(C)として、多価アルコールを含み、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、セルロース及び誘導体から選択される少なくとも1種を含む。
このような炭化剤を選択することにより、塗膜の剥離時に、塗膜中に炭化層を形成でき、塗膜の脆化をより促進できる。
これらのリン化合物を用いることにより、剥離時における塗膜の加熱を、200℃〜300℃程度で行え、従来の加熱による塗膜剥離と比べて、より安全に塗膜を剥離できる。
ある態様において、第1塗料組成物は、上記成分に加えて、必要に応じて、顔料、中空粒子、樹脂ビーズ、骨材(砂、ガラスビーズ等)、シリカ、反射材、アルミナ等の艶消し剤、表面調整剤、粘性調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ワックス、脱水剤、レベリング剤及び酸化防止剤等、塗料組成物に配合される添加剤を含んでいてもよい。
例えば、第1塗料組成物は、上記成分の他に、更なる成分を含んでよい。顔料としては、炭酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛、沈降バリウム、タルク、シリカ、カオリンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。また、貝殻胡粉、卵殻カルシウム、中空粒子等を含んでよい。
例えば、顔料として、炭酸塩、酸化チタン及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよく、複数種の炭酸塩を含んでもよい。
このような顔料を含むことにより、第1塗料組成物から形成される乾燥塗膜が、所定の熱伝導率を有することに寄与できる。
例えば、顔料として、中空粒子を含むことができる。中空粒子を含むことにより、熱伝導率の制御をより効率的に行える。中空粒子として、例えば、アクリル樹脂等から構成される有機系中空粒子及びシラスバルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン等の無機系中空粒子を含み得る。中空粒子の平均粒子径は、10〜300μmであるのが好ましい。なお、本開示において、平均粒子径は、粒子の体積平均粒子径を意味し、例えば、レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2200(島津製作所社製)等を用いて測定することができる。
例えば、第1塗料組成物において、第1塗膜形成成分(A1)の樹脂固形分100質量部に対して、顔料を0.05質量部以上60質量部以下の量で含んでよい。ある態様において、第1塗膜形成成分(A1)の樹脂固形分100質量部に対して、顔料を5質量部以上45質量部以下の量で含んでよい。第1塗料組成物中に含まれる顔料の量が上記範囲内にあることで、得られる塗膜は高い耐久性を得ることができる。
ある態様において、このような量で、中空粒子を含む。
なお、複数の顔料、中空粒子を含む場合、各成分の合計量が上記範囲となるよう、適宜調整できる。
ある態様において、第1塗膜の色相は、透明又は被塗物と同系色である。第1塗膜がこのような色相を有することにより、例えば、複層塗膜における第2塗膜を除去し、その一方で、第1塗膜の少なくとも一部が被塗物に残存したとしても、運転者、歩行者等は、第1塗膜を路面標示として誤認しにくい。色相は着色顔料等によって、所望の範囲に着色できる。
[塗料組成物の調製方法]
本開示に係る塗料組成物(第1塗料組成物及び第2塗料組成物)を調製する方法は、特に限定されず、上記構成成分を混合及び撹拌し、所望により、含まれる添加剤等を分散させる方法を例示できる。撹拌方法は、特に限定されず、ディスパー等を使用できる。また、分散方法は、特に限定されず、ロールミル、ペイントシェーカー、ポットミル、ディスパー、サンドグラインドミル等の一般に顔料分散に使用されている機器を使用できる。
[被塗物]
本開示に係る塗料組成物(第1塗料組成物及び第2塗料組成物)は、道路面、建造物内の駐車場等の舗装体の表面に塗布できる。上記舗装体は、特に限定されず、例えば、アスファルト舗装、コンクリート舗装、レンガ舗装等を挙げることができる。
[複層塗膜形成方法]
更に、本発明は、
被塗物上に、上記第1塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、及び
工程(1)によって得られた第1塗膜上に、上記第2塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、を含む複層塗膜形成方法を提供する。
このような複層塗膜形成方法において、第1塗膜は、乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、かつ、第2塗料組成物は、第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、炭化剤(C)を含む。
本開示に係る所定の第1塗料組成物及び所定の第2塗料組成物、すなわち、本開示に係る塗料組成物セットを用いて、複層塗膜を形成することで、運転者、歩行者等から良好に視認でき、十分な耐久性、塗膜強度を有することができ、更に、劣化及び減耗を抑制できる複層塗膜を形成できる。その上、形成された複層塗膜を容易に除去できる。
ある態様において、本開示は、本開示に係る第1塗料組成物を舗装体に塗装すること、第1塗膜を硬化(乾燥)させ第1塗膜を得ること、前記第1塗膜の上に本開示に係る第2塗料組成物を塗装すること、及び前記第2塗料組成物を硬化(乾燥)させ第2塗膜を得ることを含む、複層塗膜形成方法を提供する。
第1塗料組成物及び第2塗料組成物を塗装する方法は、スプレー塗装、スリットコーター塗装及び流し塗りからなる群から選択される少なくとも1つの方法により行われる、塗膜形成方法を提供する。
ある態様において、第1塗料組成物及び第2塗料組成物の少なくとも一方がアクリル樹脂を含む場合、塗料組成物の塗装方法はエアスプレー、エアレススプレー、スリットコーター、刷毛及びローラーからなる群から選択される少なくとも1つを用いて塗装できる。
例えば、第1塗料組成物の乾燥性を早めるために、第1塗料組成物の塗装方法にスプレー塗装を用いることが好ましい。同様に、第2塗料組成物の乾燥性を早めるために、第2塗料組成物の塗装方法にスプレー塗装を用いることが好ましい。
第1塗料組成物の乾燥条件は、塗料組成物が脆化しない条件であれば、特に限定されず、例えば、常温乾燥であってもよい。また、気温、舗装体温度等の条件に応じて、公知の技術により強制乾燥させてもよい。
第1塗料組成物は、乾燥及び硬化後の膜厚が50〜2,000μmの範囲となる量で塗装するのが好ましく、膜厚が100〜800μmとなる量で塗装することがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内にあることで、第2塗膜を効率的に発泡、炭化することができる)という効果を得ることができる。
こうして第1塗膜を形成した後、第2塗料組成物をその上に塗装することができる。第2塗料組成物の塗装は、第1塗料組成物が指触乾燥した後に行うことが好ましい。このようにすることで第2塗膜を容易に発泡、炭化させることができ、優れた易除去性を示すことができるのに加えて、塗膜が完全に硬化する前に塗装することができるため、短時間での塗装作業が可能になるという効果が得られる。
なお、本開示における指触乾燥とは、得られた塗膜を指で押しても指紋のつかない程度の乾燥状態をいう。
第2塗料組成物乾燥及び硬化後の膜厚が30〜1,000μmの範囲となる量で塗装するのが好ましく、膜厚が50〜500μmとなる量で塗装することがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内にあることで、良好な耐久性を有する第2塗膜、更には、複層塗膜を得ることができる。その上、塗膜を容易に発泡、炭化させることができ、優れた易除去性を示すことができる。
上記第1塗料組成物、第2塗料組成物に含まれる各成分は、上述した内容を適宜援用できる。
ある態様において、本開示は、上記複層塗膜の形成方法により得られる、路面標示を提供する。また、本開示は、路面標示用の複層塗膜を形成するための形成方法である、複層塗膜の形成方法を提供する。路面標示用の複層塗膜形成方法は、上述の工程、組成物等を援用できる。
[塗膜除去方法]
本開示は、更に、塗膜除去方法、例えば、路面標示除去方法を提供する。
ある態様において、本開示は、上記した複層塗膜形成方法で形成された路面標示を、更に、加熱して除去することを含む、路面標示除去方法を提供する。
第1塗料組成物及び第2塗料組成物からなる複層塗膜、例えば、路面標示は、直火、赤外線ヒーター等を用い、複層塗膜の硬化温度より高い温度で加熱することで、まず、第2塗料組成物から形成された第2塗膜が発泡し、更に炭化が生じて、塗膜が脆化する。例えば270℃程度で加熱を行ってもよく、用いる樹脂、塗膜の厚さ等に応じて、加熱温度を設定できる。
任意の方法により脆化した塗膜を、ブラシ等で擦ったり、吸引除去したりすることで塗膜を容易に除去できる。例えば、第2塗膜を、ブラシ等で擦ったり、吸引除去したりすることで容易に除去できる。このように、本開示に係る塗料組成物セットから形成される複層塗膜であれば、短時間で塗膜の除去が可能である。
ある態様においては、路面標示の抹消が可能となる、路面標示除去方法が提供される。
例えば、本開示の塗料組成物セットを用いて形成した複層塗膜、例えば路面標示であれば、路面に第1塗膜が形成され、第1塗膜上に第2塗膜が形成される。このような路面標示において、第2塗膜面を加熱し、第2塗膜を優先的に除去してもよい。ある態様においては、第2塗膜を除去後、第1塗膜を除去してもよく、第2塗膜と共に第1塗膜を除去してもよい。
ある態様において、第1塗膜の色相は、透明又は被塗物と同系色であるので、第2塗膜を除去し、その一方で、第1塗膜の少なくとも一部が被塗物に残存したとしても、運転者、歩行者等は、第1塗膜を路面標示として誤認しにくい(路面標示であることが認識されない)。
また、説明のために、第2塗膜に関する発泡、炭化について記載したが、第1塗料組成物についても、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、上記発泡剤(B)及び/又は炭化剤(C)を含むことができる。このため、第1塗料組成物から形成される第1塗膜も、第2塗膜と同様に容易に脆化させることができる。
本開示における第2塗料組成物は、本発明の奏する効果を逸脱しない範囲で、任意の顔料を有し得るので、路面標示の再塗装も容易に行える。
例えば、白色含量を含む、本開示に係る第2塗膜(白色塗膜)を除去し、路面に残存し得る第1塗膜上に、別の色相(例えば、黄色)を呈する、本開示に係る第2塗料組成物を塗装できる。よって、例えば、白色の第2塗膜から黄色の第2塗膜への変更も、容易に行うことができる。また、要求される路面標示の位置変更等も容易に行える。
以下の実施例により本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されない。実施例中「部」及び「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
塗料組成物の調製に用いた各成分は、以下のとおりである。
(製造例1)
アクリル樹脂(A1−1)の調製
撹拌機、温度調整器、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応容器に、トルエン35質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら110℃まで昇温し保った。これに、アクリル酸0.49質量部、メタクリル酸メチル33質量部、アクリル酸ブチル35.44質量部及びスチレン29.07質量部からなるモノマー溶液と、トルエン15質量部と開始剤であるアゾビスイソブチルニトリル2質量部からなる開始剤溶液を、別々の滴下ロートを通じて同時に3時間で等速滴下した。滴下終了後、さらに3時間撹拌を継続した。その後、80℃まで冷却し、酢酸エチル50質量部を加え、1時間攪拌保ち、アクリル樹脂(A1−1)(水酸基価:0mgKOH/g、重量平均分子量:45,000、固形分濃度:50質量%)を得た。
アクリル樹脂(A2−11)
アクリル樹脂(A1−1)(水酸基価:0mgKOH/g、重量平均分子量:45,000、固形分濃度:50質量%)と同じものを用いた。
アクリル樹脂(A2−12)
アクリディックWDU−573;DIC社製、水酸基価:70mgKOH/g、固形分濃度:50質量%
ポリウレタン樹脂(A2−21)
ポリウレタン樹脂(A2−21)は、以下に示すポリオール成分(a2−1)及びポリイソシアネート化合物(a2−2)から構成される2液型ポリウレタン樹脂として用いた。配合は、(a2−1)が有する水酸基と(a2−2)が有するイソシアネート基との当量比(OH/NCO)が1.0になる質量比で混合して用いた。
ポリオール成分(a2−1):アクリディックWDU−573(水酸基を有するアクリル樹脂(A2−12));DIC社製、水酸基価:70mgKOH/g、固形分濃度:50質量%
ポリイソシアネート化合物(a2−2):コロネートHXLV(脂肪族イソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体);日本ポリウレタン社製、固形分濃度:100質量%
リン酸化合物(B1−1)
ポリリン酸アンモニウム:Exolit AP462;クラリアントケミカルズ社製
リン酸化合物(B1−2)
トリス(クロロプロピル)ホスフェート:TMCPP;大八化学社製
含窒素化合物(B2−1)
アゾジカルボンアミド:ユニフォームAZ;大塚化学社製
含窒素化合物(B2−2)
p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド:セルマイクS;三協化成社製
ハロゲン化合物(B3−1)
塩素化パラフィン:エンパラ70;味の素ファインテクノ社製
炭化剤(C−1)
ジペンタエリスリトール:ジペンタリット300M;広栄化学社製、水酸基価:1,324mgKOH/g
炭化剤(C−2)
結晶セルロース:セオラスTG−101;旭化成社製、水酸基価:1,039mgKOH/g
炭化剤(C−3)
ジトリメチロールプロパン:三菱ガス化学社製、水酸基価:896mgKOH/g
炭化剤(C−4)
ジオキサングリコール:三菱ガス化学社製、水酸基価:514mgKOH/g
炭化剤(C−5)
キシリトール:東京化成工業社製、水酸基価:1,844mgKOH/g
その他成分
反応開始剤(D):ナイパーNS(ベンゾイルパーオキサイド);日油社製
樹脂ビーズ:ガンツパールGM−5003;アイカ工業社製
熱膨張性粒子:マツモトマイクロスフェアーFN−100MD;松本油脂製薬社製
炭酸カルシウム:スーパー2000;丸尾カルシウム社製
カーボンブラック:MA−100;三菱化学社製
中空粒子:無機系中空粒子、3MグラスバブルズK15;3M社製、粒子径:60μm
酸化チタン:タイペークCR−95;石原産業社製
硬化触媒:ジブチルスズラウレート
有機溶剤:キシレン
(実施例1)
第1塗料組成物の調製
表1に示すように、アクリル樹脂(A1−1)100質量部を含む、第1塗料組成物を調製した。
第2塗料組成物の調製
アクリル樹脂(A2−11)100質量部、炭化剤(C)としてジペンタエリスリトール(C−1)50.0質量部、リン酸化合物(B1)としてポリリン酸アンモニウム(B1−1)を50.0質量部、顔料として酸化チタン10.0質量部、顔料として炭酸カルシウム50.0質量部を混合し、発泡性及び炭化性を有する第2塗料組成物を調製した。
複層塗膜の形成
アスファルト舗装道路に、第1塗料組成物を、乾燥膜厚が300μmとなるよう、エアスプレーを用いて塗装した。20℃にて、15分間、第1塗料組成物を乾燥及び硬化させ第1塗膜を形成した。
次いで、第1塗膜上に、第2塗料組成物を、乾燥膜厚が300μmとなるよう、エアスプレーを用いて塗装した。20℃にて、15分間、第2塗料組成物を乾燥及び硬化させ第2塗膜を形成した。
得られた各塗膜及び複層塗膜の評価を、以下のように行った。結果を表1に示す。
第1塗膜の熱伝導率測定
被塗物としてポリプロピレン板を用い、実施例1と同様の塗装方法で第1塗料組成物を乾燥膜厚300μmとなるように均一に塗装し、23℃・相対湿度50%RH雰囲気下で7日間養生し第1塗膜を形成した。
その後、ポリプロピレン板より第1塗膜をはがしてフリーフィルムとして、非定常法細線加熱法にて熱伝導率を測定した。測定機器としては、迅速熱伝導率計QTM−500(京都電子工業社製)を用いた。
第2塗膜形成成分(A2)及び炭化剤(C)の水酸基価の総合計
第2塗膜中における水酸基価の合計を、以下の式に基づき算出した。
水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[樹脂(A2)の水酸基価×(A2)の第2塗膜中質量+炭化剤(C)の水酸基価×(C)の第2塗膜中質量]/第2塗膜の総質量。
塗膜の炭化性及び発泡性
得られた複層塗膜を、ガスバーナーで20cmの高さから1分間加熱し、第2塗膜の炭化性、発泡性を確認した。ガスバーナーは、ロードマーキング用プロパンガスバーナーRM−41000(新富士バーナー社製)を用いた。
・発泡性、炭化性評価
◎:加熱後30秒以内で塗膜全体が発泡、炭化している
○:加熱後1分以内で塗膜全体が発泡、炭化している
×:加熱後1分経過しても発泡、炭化していない部分が残っている
塗膜の除去性
得られた塗膜を、ガスバーナーで20cmの高さから1分間加熱し、塗膜の炭化性、発泡性を確認した。次いで、ブラシで擦り、吸引除去できるか確認した。1回の加熱で除去できない場合は、バーナー加熱、ブラシ除去を繰り返し行って、何回で塗膜を除去できるか確認した。なお、この除去性評価においては、少なくとも、第2塗膜を除去できた場合、塗膜を除去できたと判断した。
表中、例えば、実施例1は、1回の除去可能であり、加熱時間30秒以内であることを示し、実施例3は、1回の除去可能であり、加熱時間(30秒〜1分)であったことを示す。
・除去性評価
◎:1回(加熱時間:30秒以内)
○:1回(加熱時間:30秒〜1分)
×:2〜5回
××:6回以上、除去できず
塗膜耐久性(耐摩耗性)
JIS K 5600−5−9 耐摩耗性(摩耗輪法)に規定された方法に従って、複層塗膜の塗膜耐久性を評価した。試験機としてロータリーアブレーションテスター(東洋精機製作所社製)、摩耗輪としてCS−17(TABER社製)を使用し、荷重1kg、60rpmで200回回転させた時の摩耗減量を測定し、下記基準により評価した。
摩耗減量(mg)=試験前の試験板質量−試験後の試験板質量
◎:30mg以下
○:40mgを超え、55mg以下
△:55mgを超え、65mg以下
×:65mgを超える
白黒隠ぺい性(視認性)
JIS K 5600−4−1 塗膜の視覚特性 隠ぺい力(淡彩色塗料用)に規定される方法B(隠ぺい率試験紙)に従って、視認性を評価した。
20ミルアプリケーターを用いて、第1塗料組成物及び第2塗料組成物を常温にて白黒隠ぺい率試験紙(日本テストパネル社製)に塗装した。
色相の測定には色彩色差計CR−400(コニカミノルタ社製)を使用し、以下の基準で評価した。
○:隠ぺい率 97%以上
×:隠ぺい率 97%未満
(実施例2〜23、25〜27、比較例1〜4)
各成分の種類及び量を、表1、表2及び表3に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして第1塗料組成物及び第2塗料組成物を調製し、第1塗膜及び第2塗膜を有する複層塗膜を形成した。また、各種評価についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。なお、下記表中に記載の配合量は、荷姿を示し、例えば、アクリル樹脂(A1−1)であれば、樹脂固形分質量及び溶剤分質量を合計した配合量(質量部)を示す。
(実施例24)
第1塗料組成物の各成分の種類及び量を、表1に記載のように変更した以外は、実施例と同様にして第1塗料組成物を調製した。
また、ポリオール成分(a2−1)としてアクリル樹脂(A2−11)100質量部、炭化剤(C)として結晶セルロース(C−2)50.0質量部、リン酸化合物(B1)としてポリリン酸アンモニウム(B1−1)50.0質量部、酸化チタン5.0質量部及び硬化触媒としてジブチルスズラウレート0.01質量部を混合し、主剤を調整した。この主剤と、硬化剤としてポリイソシアネート化合物(a2−2)のコロネートHXLV 11.0質量部を塗装直前に混合して、第2塗料組成物として使用した。
上記第1塗料組成物及び第2塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、複層塗膜を形成した。また、各種評価についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5においては、日本ライナー株式会社製、ロードライン7000、アクリル樹脂系路面標示塗料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に塗膜(単層)を形成した。結果を表3に示す。
Figure 2020105368
Figure 2020105368
Figure 2020105368
実施例は、第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含む塗料組成物セットであり、第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、第2塗料組成物は、第2塗膜形成成分(A2)と、発泡剤(B)と、炭化剤(C)とを含む。このような、本開示に係る塗料組成物セットは、重交通に対応でき、耐久性に優れた複層塗膜を形成できる。更に、本開示に係る塗料組成物セットから形成した複層塗膜は、容易に除去でき、その上、白黒隠ぺい性(視認性)にも優れる。
一方、比較例1は、炭化剤(C)を含まないので、炭化性及び発泡性が悪く、塗膜除去を容易に行えず、路面を、グラインダー等を用いて物理的に削らなければ、塗膜の除去を行えない。
比較例2は、第1塗膜を形成する第1塗料組成物を含まないので、炭化性及び発泡性が劣り、塗膜除去を容易に行えなかった。
比較例3は、第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が、本発明の範囲外であるため、炭化性及び発泡性が劣り、塗膜除去を容易に行えなかった。
比較例4は、発泡剤(B)を含まないので、炭化性及び発泡性が劣り、塗膜除去を容易に行えなかった。
比較例5は、汎用の路面標示用塗料組成物であり、塗膜除去を容易に行えず、路面を、グラインダー等を用いて物理的に削らなければ、塗膜の除去を行えない。
本開示の塗料組成物セットは、重交通に対応でき、耐久性に優れた複層塗膜を形成できる。更に、本開示の塗料組成物セットから形成した複層塗膜は、容易に除去できる。

Claims (14)

  1. 第1塗膜と第2塗膜とを有する複層塗膜形成用の塗料組成物セットであって、
    前記塗料組成物セットは、前記第1塗膜を形成する第1塗料組成物と、前記第2塗膜を形成する第2塗料組成物とを含み、
    前記第1塗料組成物は、第1塗膜形成成分(A1)を含み、
    前記第1塗料組成物の乾燥塗膜の熱伝導率が0.01W/m・K以上0.5W/m・K以下であり、
    前記第2塗料組成物は、
    第2塗膜形成成分(A2)と、
    発泡剤(B)と、
    炭化剤(C)とを含む、
    塗料組成物セット。
  2. 前記炭化剤(C)の水酸基価が、500mgKOH/g以上1,900mgKOH/g以下である、請求項1に記載の塗料組成物セット。
  3. 前記第2塗膜中における、下記式によって表される、前記第2塗膜形成成分(A2)及び前記炭化剤(C)の水酸基価の総合計が、40mgKOH/g以上1,600mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載の塗料組成物セット:
    水酸基価の総合計(mgKOH/g)=[(A2)の水酸基価×(A2)の質量+(C)の水酸基価×(C)の質量]/第2塗膜の総質量。
  4. 前記発泡剤(B)は、リン酸化合物(B1)、含窒素化合物(B2)及びハロゲン化合物(B3)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  5. 前記第2塗膜形成成分(A2)は、アクリル樹脂(A2−1)、ポリウレタン樹脂(A2−2)、エポキシ樹脂(A2−3)、石油樹脂(A2−4)、セルロース樹脂(A2−5)、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマー(A2−6)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  6. 前記第2塗料組成物は、更に、反応開始剤(D)を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  7. 前記炭化剤(C)は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジオキサングリコール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、セルロース、リグニン、キチン及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  8. 前記リン酸化合物(B1)は、リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸メラミンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4から7のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  9. 前記含窒素化合物(B2)は、メラミン、ジシアンジアミド、アゾビステトラゾール、アゾジカルボンアミド、尿素、チオ尿素及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4から8のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  10. 前記第2塗料組成物中における、前記炭化剤(C)の量は、前記第2塗料組成物に含まれる前記第2塗膜形成成分(A2)100質量部に対して、3質量部以上500質量部以下である、請求項1から9のいずれかに記載の塗料組成物セット。
  11. 路面標示用の塗料組成物セットである、請求項1から10のいずれか1項に記載の塗料組成物セット。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の塗料組成物セットを用いる、複層塗膜形成方法であって、
    被塗物上に、前記塗料組成物セットにおける、前記第1塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する工程(1)、及び
    前記工程(1)によって得られた前記第1塗膜上に、前記塗料組成物セットにおける、前記第2塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する工程(2)、
    を含む複層塗膜形成方法。
  13. 路面標示用の複層塗膜を形成するための形成方法である、請求項12に記載の複層塗膜形成方法。
  14. 請求項13に記載の複層塗膜形成方法で形成された路面標示を、更に、加熱して除去することを含む、路面標示除去方法。
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