JP2013124294A - 塗膜構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シラスバルーンを利用した多空隙構造による吸水・保水機能又は断熱機能を効果的に発揮しつつ、不燃化を図った塗膜構造の提供。
【解決手段】 粒径のバラツキを50μm以内に抑えたシラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体と、該無機質粉体のバインダーたる無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを主成分として配合して塗膜を形成し、上記粒径を揃えたシラスバルーンにより膜厚を確保して吸水・保水機能又は断熱機能を効果的に発揮するよう構成しつつ、上記セメント又は石膏と上記無機・有機ハイブリッド樹脂の相乗により塗膜の不燃化を図ることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は建築外装として形成する塗膜構造、具体的には建造物の外壁、スレート屋根、トタン屋根、瓦、屋上、土間等の被塗物の表面に形成する塗膜構造に関する。
従来、シラスを高温加熱して発泡させ微細中空球状に成形した火山性無機質発泡体、所謂シラスバルーンを塗料中に配合し形成した塗膜構造が既知である。
上記シラスバルーンを配合した塗料で塗膜を形成すると、該塗膜は内部に微細空隙が多数画成される構造となり、該多空隙構造により吸水・保水機能又は断熱機能を有する。
他方上記多空隙構造の塗膜は、炎に晒されると多数の空隙内に存する空気に起因してバインダー中の有機質に着火し燃えやすい問題点を有している。特に火災時の延焼防止を重要視する建築外装として用いる場合にはこの問題点が顕著となる。
有機質を含まず、無機質材のみから成るバインダーを使用することも考えられるが、このような無機質のバインダーを使用して塗膜を形成すると、今度は塗膜強度が脆弱となってしまうおそれがある。
そこで、上記シラスバルーンにセメント等の無機質粉体を加え、多空隙構造でありながら難燃化を図った塗膜構造が開発されており、下記特許文献1はシラスバルーンに白セメント及び珪砂を加えた無機質粉体にバインダーとして有機質樹脂を主成分とする常温架橋型エマルジョン樹脂液を混合した塗料で形成した塗膜構造を開示している。
特開平6−100796号公報
しかし上記特許文献1の塗膜構造はセメント等の無機質粉体により難燃化を図ったと雖も、長時間炎に晒されると上記バインダー中の有機質に着火してしまい、塗膜が燃えてしまう問題点を依然として有している。
一瞬であっても塗膜が燃えてしまうと、結局は火災の延焼に繋がるため、多空隙構造でありながら燃えない塗膜構造が強く要望されている。
本発明はシラスバルーンを利用した多空隙構造による吸水・保水機能又は断熱機能を効果的に発揮しつつ、不燃化を図った比類なき塗膜構造を提供する。
要述すると、本発明の請求項1に係る塗膜構造は、粒径のバラツキを50μm以内に抑えたシラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体と、該無機質粉体のバインダーたる無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを主成分として配合し、膜厚が2〜20mmとなるように形成し、上記粒径を揃えたシラスバルーンにより膜厚を確保して吸水・保水機能を効果的に発揮するよう構成しつつ、上記セメント又は石膏と上記無機・有機ハイブリッド樹脂の相乗により塗膜の不燃化を図ることができる。
ここで無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とは、珪酸アルカリ、シリカ等の無機質材を、アクリル樹脂又はウレタン樹脂又はエポキシ樹脂又はアルキド樹脂又はこれらの複合樹脂等の有機質樹脂の水溶液又はエマルションに混合したものをいい、上記シラスバルーン等から成る無機質粉体を結合すると共に、該無機・有機ハイブリッド樹脂中の無機質材が有機質樹脂を包み込み塗膜の不燃化に貢献する。
好ましくは、上記請求項1に係る塗膜構造においては、上記シラスバルーン100重量部に対して上記セメント又は上記石膏の粉体を20〜40重量部の比率で配合し、上記無機・有機ハイブリッド樹脂を20〜40重量部の比率で配合し、塗膜の吸水・保水性と不燃性の両立を達成する。
又本発明の請求項3に係る塗膜構造は、粒径のバラツキを50μm以内に抑えたシラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体と、該無機質粉体のバインダーたる無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを主成分として配合し、膜厚が3〜6mmとなるように形成した第一塗膜と、該第一塗膜上に遮熱塗料により膜厚が0.25〜0.45mmとなるように形成した第二塗膜とから成り、上記粒径を揃えたシラスバルーンによる膜厚の確保と上記第二塗膜の遮熱機能とにより断熱機能を効果的に発揮するよう構成しつつ、上記セメント又は石膏と上記無機・有機ハイブリッド樹脂の相乗により塗膜の不燃化を図ることができる。
ここで断熱機能とは熱伝導を抑える機能をいい、遮熱機能とは太陽光の熱エネルギーのもととなる電磁波を反射する機能をいう。
好ましくは、上記請求項3に係る塗膜構造においては、上記シラスバルーン100重量部に対して上記セメント又は上記石膏の粉体を80〜120重量部の比率で配合し、上記無機・有機ハイブリッド樹脂を40〜60重量部の比率で配合し、塗膜の断熱性と不燃性の両立を達成する。
上記無機・有機ハイブリッド樹脂溶液の好ましい例示として、該無機・有機ハイブリッド樹脂溶液の溶媒が水であり、溶質の無機質分(無機質材)と有機質分(有機質樹脂)との重量比率を1:1とし、上記無機質材が確実に上記有機質樹脂を包み込み塗膜の不燃化に貢献できるようにする。
本発明に係る塗膜構造は粒径を揃えたシラスバルーンで形成する構造により膜厚を所望の厚さにして吸水・保水機能又は断熱機能を有効に発揮せしめると共に、上記シラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体を無機・有機ハイブリッド樹脂で結合する構造により塗膜の不燃化を図ることができる。
本発明の実施例1に係る塗膜構造を一部切欠して示す斜視図。 本発明の実施例2に係る塗膜構造を一部切欠して示す斜視図。 粒径を揃えたシラスバルーンを利用し形成した塗膜を模試的に示す拡大断面図。 実施例1に係る塗膜構造の吸水・保水機能確認試験を概示する説明図。 上記吸水・保水機能確認試験の結果を示すグラフ。 実施例1に係る塗膜構造の温度低下機能確認試験を概示する説明図。 上記温度低下確認試験を40分間実施した結果を示すグラフ。 上記温度低下確認試験を3時間実施した結果を示すグラフ。 実施例2に係る塗膜構造の断熱機能確認試験を概示する説明図。 上記断熱機能確認試験の結果を示すグラフ。
本発明に係る塗膜構造の実施例を図1乃至図10に基づき説明する。
図1は本発明に係る塗膜構造の実施例1における構造を示している。該実施例1に係る塗膜構造は図示するように被塗物Oの表面(被塗面)O´に形成される単層構造から成り、下記の比率により配合した無機質粉体と無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを使用直前に混合して上記被塗面O´に塗布し乾燥して塗膜1を形成する。該塗膜1の膜厚は2〜20mmとし、好ましくは10mmとし効果的に吸水・保水機能を発揮せしめる。
即ちシラスバルーン100重量部に対し、セメント又は石膏の粉体20〜40重量部を加えた無機質粉体に、20〜40重量部の無機・有機ハイブリッド樹脂を含む溶液を混合して被塗面O´に塗布し上記膜厚の塗膜1を形成する。
上記シラスバルーンの粒径は20〜500μmの範囲で適宜選択し、該粒径のバラツキを50μm以内、好ましくは30〜50μmの範囲に抑え、該シラスバルーンを均密に配合して一回の塗布工程で仕上がる膜厚を効果的に増大せしめる。即ちシラスバルーンの粒径を揃え均密に配合することにより乾燥収縮時のワレやハガレを抑止し、一回の塗布工程で10mm以上の膜厚の塗膜1を形成することができる。所望の膜厚を確保することにより効果的に吸水・保水機能を発揮するよう構成する。
又上記粒径を揃えたシラスバルーンにより、図3に示すように、塗膜1中に互いに同程度の大きさの空隙4を均密に画成し、効果的に吸水・保水機能を発揮せしめる。上記シラスバルーンを重量比で全体の20〜65%配合すれば、塗膜1の容積100cmに対し20〜50gの水を吸水・保水することができる。
尚シラスバルーンの粒径が小さすぎると上記2〜20mmの膜厚を確保するために数回の塗布工程が必要となり、粒径が大きすぎると塗膜表面に凹凸面が形成され平滑に仕上げることができないため、好ましくは120〜150μmの範囲で選択する。
又図3中の5は上記無機質粉体と上記無機・有機ハイブリッド樹脂溶液とを混合する際に発生する気泡による空隙であり、これも上記吸水・保水機能の発揮に寄与する。本実施例においては、界面活性剤を積極的には配合せず、敢えて気泡を発生させ塗膜中に上記空隙5を画成する。後記する実施例2においても気泡による空隙5を画成させる点は同様であり、該空隙5が遮熱機能、断熱機能の発揮に寄与する。
上記セメントとしてはポルトランドセメント又はアルミナセメントを使用する。好ましくは後記する無機・有機ハイブリッド樹脂溶液との親和性、品質安定性からアルミナセメントを使用する。又上記石膏としては半水石膏を使用し、好ましくは焼石膏を使用する。
上記無機・有機ハイブリッド樹脂溶液は、珪酸アルカリ又はシリカ等の無機質材を、アクリル樹脂又はウレタン樹脂又はエポキシ樹脂又はアルキド樹脂又はこれらの複合樹脂等の有機質樹脂の水溶液又はエマルションに混合したものである。即ち溶媒が水であり、溶質が上記無機質材及び上記有機質樹脂である。
上記無機・有機ハイブリッド樹脂溶液中の無機質材と有機質樹脂、即ち無機質分と有機質分の重量比は1:0.5〜2とし、塗膜中で無機質分が有機質分を包み込むよう配合する。好ましくは上記重量比を1:1とし、確実に無機質分が有機質分を包み込み不燃性の塗膜構造を形成する。又該無機・有機ハイブリッド樹脂は上記セメント又は石膏と協働して有効に塗膜の不燃化を図る。更に上記無機質分と有機質分との相乗により耐候性のある塗膜構造を形成する。
上記の比率で各塗膜形成材を配合し、被塗物Oの表面(被塗面)O´に塗布し乾燥させて塗膜1を形成する。塗布工程においては、既知のコテ又はローラー又はスプレー装置を用いて被塗面O´に塗布する。
尚上記比率で各塗膜形成材を配合して形成した塗膜1の密度は0.45〜0.55g/cmであり、膜厚を確保するためにできるだけ重量を軽くしている。
上記の塗膜密度の範囲を越えて塗膜重量を増大してよい場合には、上記各塗膜形成材の他に、充填材として粒径が100〜150μmのドロマイト、炭酸カルシウム等の粉体をシラスバルーン100重量部に対して80〜150重量部添加することができる。又塗膜に着色を施す場合には無機質から成る顔料をシラスバルーン100重量部に対して1〜30重量部添加する。
本実施例の塗膜構造は既述したように吸水・保水機能の効果的な発揮と、塗膜の不燃化を目的としており、本願発明者らは以下のように吸水・保水機能の確認試験を行った。
本実施例の配合に基づき、下記配合比のシラスバルーンを含む無機質粉体と無機・有機ハイブリッド樹脂溶液とを混合してペーストを作成し、該ペーストにて幅50mm、奥行50mm、高さ150mmの柱状の試供体を形成し、該試供体を乾燥炉により60℃で5時間乾燥させた後、図4に示すように水中に浸す状態にして試験を行った。
配合比は下記の通りである。
<無機質粉体> 重量比
シラスバルーン(粒径120〜150μm) 20
アルミナセメント 5
計 25
<無機・有機ハイブリッド樹脂溶液>
無機・有機ハイブリッド樹脂
(シリカ・ウレタン樹脂重量比1:1混合液、不揮発分40%) 17
顔料 2
防カビ剤 0.5
保護コロイド液(アクリルコポリマー20%液) 2.5
水 28
計 50
※無機質粉体と無機・有機ハイブリッド樹脂溶液の重量比 1:2
試験について詳述すると、図4に示すように、給水管7にて水槽6内に常に水が満杯となるよう給水する状態を得て、試供体8を上記水槽6内に配された設置台9の上面に敷いたスポンジマット10上に配置し、上記試供体8の下部が5mm程度浸水する状態を維持して試験を行った。
乾燥時の試供体8の重量と一定時間経過後の試供体8の重量を測定し、その差を計算して吸水・保水量を検出すると共に、吸水により試供体8の表面が濡れ色となった高さを測定し、これを吸水・保水高として検出した。結果は下記表1,図5の通りである。
Figure 2013124294
上記試験結果により本実施例に係る塗膜構造が十分な吸水・保水機能の発揮を行えることを確認した。即ち、上記表1及び図5の通り、時間の経過に伴い滞ることなく吸水・保水量と吸水・保水高が増加し続けることを確認し、吸水・保水機能を効果的に発揮できることを確認した。24時間経過時には、試供体の容積375cmに対し152.5gもの水を貯えることができた。
又本願発明者らは更に本実施例に係る塗膜構造の吸水・保水機能に基づき、塗膜内に保水した水の気化潜熱による温度低下確認試験を行い、本実施例に係る塗膜構造が夏季におけるヒートアイランド現象防止や省エネルギー対策に貢献することを確認した。
詳述すると、図6に示すように、JIS規格で定められた金属板製18リットル缶11の対向する側面の下部に入口11aと出口11bを設け、該18リットル缶11内に杉板から成る幅300mm、高さ225mm、厚さ12mmの仕切り板12を上下から互い違いに配置して上記入口11aから上記出口11bへ連通する屈曲通気路13を形成し、上記仕切り板12の両面に膜厚3mmの本実施例に係る塗膜を形成した。尚上記18リットル缶11の内面に断熱処理を施し上記屈曲通気路13内を通過する温風の温度低下を正確に測定した。
尚配合比は上記した吸水・保水機能の確認試験と同様であるため、ここでは上記吸水・保水機能の確認試験の配合比を援用する。
上記仕切り板12の両面に形成した塗膜に保水させた後、ドライヤーで上記入口11aから屈曲通気路13内へ温風を送り込み、該温風の温度を上記入口11aと上記出口11bでそれぞれ測定した。結果は図7,図8の通りである。
図7は40分間ドライヤーによる温風の送りこみを行った結果、図8は3時間ドライヤーによる温風の送りこみを行った結果である。両図に示すように、温風の送りこみの初期から継続して出口温度は入口温度に比して低くなることが確認できた。
従って、本実施例に係る塗膜構造を例えばエアコンの室外機の排気口付近に形成し、塗膜内に上記室外機から排出されるドレン水を吸水・保水させる構造とすれば、夏季におけるヒートアイランド現象を有効に防止でき、エアコンに使用する電気を節約する等、省エネルギーに貢献することができる。
又本願発明者らは上記各確認試験と同様の配合比で本実施例の塗膜構造から成る縦50mm、横50mm、厚さ5mmの板状の試供体を形成して乾燥し、該乾燥した試供体をガスバーナーの炎に5分間晒しても着火しないことを確認した。
図2は本発明に係る塗膜構造の実施例2における構造を示している。該実施例2に係る塗膜構造は図示するように被塗物Oの表面(被塗面)O´に形成される積層構造から成り、下記の比率により配合した無機質粉体と無機・有機ハイブリッド樹脂溶液とを使用直前に混合して上記被塗面O´に塗布し乾燥して第一塗膜2を形成し、該第一塗膜2の表面2´に遮熱塗料を塗布し乾燥して第二塗膜3を形成する。
即ちシラスバルーン100重量部に対し、セメント又は石膏の粉体80〜120重量部を加えた無機質粉体に、40〜60重量部の無機・有機ハイブリッド樹脂を含む溶液を混合して被塗面O´に塗布し上記第一塗膜2を形成する。
上記第一塗膜2の膜厚は3〜6mmとし、好ましくは5mmとする。更に上記第二塗膜3の膜厚は0.25〜0.45mmとし、好ましくは0.35mmとする。上記第一塗膜2と上記第二塗膜3との積層により効果的に遮熱機能及び断熱機能を発揮せしめる。上記配合比により形成した第一塗膜2の熱伝導率は0.05〜0.15W/m・kとなる。
本実施例において、上記シラスバルーンの粒径は実施例1と同様であるため、ここでは実施例1の記載内容を援用する。又上記セメント、石膏及び無機・有機ハイブリッド樹脂に関する記載も実施例1の記載内容を援用する。本実施例においても上記セメント又は石膏と無機・有機ハイブリッド樹脂とが協働して第一塗膜2の不燃化を図る。
上記の比率で各塗膜形成材を配合し、被塗物Oの表面(被塗面)O´に塗布し乾燥させて第一塗膜2を形成する。塗布工程においては、既知のコテ又はローラー又はスプレー装置を用いて被塗面O´に塗布する。
尚上記比率で各塗膜形成材を配合して形成した第一塗膜2の密度は0.6〜0.7g/cmとなり、実施例1の塗膜1よりも密度が高くなる。これは実施例2の第一塗膜2の方が実施例1の塗膜1よりもセメント又は石膏の配合比率を高くして形成することに起因する。
又本実施例においても、実施例1と同様に、上記の塗膜密度の範囲を越えて塗膜重量を増大してよい場合には、上記各形成材の他に、充填材として粒径が100〜150μmのドロマイト、炭酸カルシウム等の粉体をシラスバルーン100重量部に対して80〜150重量部添加することができる。又塗膜に着色を施す場合には無機質から成る顔料を1〜30重量部添加する。
本実施例の第二塗膜3を形成する遮熱塗料について詳述すると、該遮熱塗料はガラス質の中空球状発泡体たるセラミックバルーンと、既知の遮熱顔料と、アクリルシリコン樹脂の水溶液を主成分として配合するものであり、太陽光中の780〜2000μmの近赤外線波長を高度に反射する塗膜を形成する材である。本実施例に係る塗膜構造は上記粒径を揃えたシラスバルーンによる膜厚の確保と上記第二塗膜3の遮熱機能とにより断熱機能を効果的に発揮する
上記セラミックバルーンとして平均粒径40μm、真比重0.12、外殻の厚み1.7μmのセラミックバルーンを使用する。
上記の遮熱塗料を上記第一塗膜2の表面2´に塗布し乾燥させて第二塗膜3を形成する。塗布工程においては、既知のコテ又はローラー又はスプレー装置を用いて塗布を行う。
本実施例の塗膜構造は既述したように断熱機能の効果的な発揮と、塗膜の不燃化を目的としており、本願発明者らは以下のように断熱機能の確認試験を行った。
即ち図9に示すように、熱源ランプ14aを有する熱源装置14の上部開口を延長する4枚の遮蔽板15を立設し、該遮蔽板15により延長された上部開口を塞ぐように本実施例に係る塗膜構造を形成した試験板16を被せ、該試験板16裏面の温度を測定する試験を行った。
上記試験版16は被塗物Oとして縦50mm、横100mm、厚さ3mmのスレート板を用い、被塗面O´に膜厚5mmの第一塗膜2を形成し、該第一塗膜2の表面2´上に膜厚0.35mmの第二塗膜3を形成したものであり、上記スレート板(被塗物O)の温度上昇を測定することにより断熱機能の確認試験とした。
上記熱源ランプ14aと上記試験板16の試験対象面、即ち第二塗膜3の表面3´との距離Lは155mmに設定し、上記熱源ランプ14aとしてレフランプを用い、室温22℃の状況下で試験を行った。尚上記遮蔽板15の内面はアルミ箔等で熱源ランプ14aの光を反射するよう構成した。
第一塗膜2の形成材の配合比としては、下記の通りである。
<無機質粉体> 重量比
シラスバルーン(粒径120〜150μm) 20
アルミナセメント 20
計 40
<無機・有機ハイブリッド樹脂溶液>
無機・有機ハイブリッド樹脂
(シリカ・アクリル樹脂重量比1:2混合液、不揮発分40%) 25
防カビ剤 0.5
保護コロイド液(アクリルコポリマー20%液) 3
造膜剤 1
水 30.5
計 60
※無機質粉体と無機・有機ハイブリッド樹脂溶液の重量比 2:3
第二塗膜3の形成材としては、既知の遮熱塗料(太洋塗料株式会社製SLコート2000)を使用した。
比較対象1として上記スレート板のみ、比較対象2として上記スレート板に本実施例に係る塗膜構造の第一塗膜2(膜厚5mm)のみを形成した試験板、比較対象3として上記スレート板に本実施例に係る塗膜構造の第二塗膜3(膜厚0.35mm)のみを形成した試験板でも同様に裏面の温度測定を行う試験を行った。結果は図10の通りである。
上記結果により比較対象1に比して大幅に断熱機能を発揮できることを確認した。又比較対象2及び比較対象3と比較することにより、第一塗膜2と第二塗膜3との積層構造により、第一塗膜2のみ又は第二塗膜3のみの場合に比して有効に断熱機能が向上することを確認した。
従って、本実施例に係る塗膜構造を例えば建造物の屋根や外壁に形成すれば、夏季における建造物の室内空間の温度上昇を抑止し、エアコンに使用する電気を節約する等、省エネルギーに貢献することができる。
又本願発明者らは上記確認試験と同様の配合比で本実施例の塗膜構造から成る縦50mm、横50mm、厚さ5mmの板状の試供体を形成して乾燥し、該乾燥した試供体をガスバーナーの炎に5分間晒しても着火しないことを確認した。
以上のように、本発明に係る塗膜構造はシラスバルーン由来の吸水・保水機能又は断熱機能を効果的に発揮することを可能としながら不燃化を図ることができ、これを例えば建造物の外装として形成すれば、頗る好都合なものとなる。
又本願において、下限値と上限値間を「〜」で示した数値範囲は、該下限値と上限値間の全ての数値(整数値と小数値)を表したものである。請求項の記載においても同様である。
1…実施例1の塗膜、2…実施例2の第一塗膜、2´…表面、3…実施例2の第二塗膜、3´…表面、4…シラスバルーンによる空隙、5…気泡による空隙、6…水槽、7…給水管、8…試供体、9…設置台、10…スポンジマット、11…18リットル缶、11a…入口、11b…出口、12…仕切り板、13…屈曲通気路、14…熱源装置、14a…熱源ランプ、15…遮蔽板、16…試験板、O…被塗物、O´…被塗面、L…熱源ランプと試験板の試験対象面との距離。

Claims (5)

  1. 粒径のバラツキを50μm以内に抑えたシラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体と、該無機質粉体のバインダーたる無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを主成分として配合し、膜厚が2〜20mmとなるように形成したことを特徴とする塗膜構造。
  2. 上記シラスバルーン100重量部に対して上記セメント又は上記石膏の粉体を20〜40重量部の比率で配合し、上記無機・有機ハイブリッド樹脂を20〜40重量部の比率で配合したことを特徴とする請求項1記載の塗膜構造。
  3. 粒径のバラツキを50μm以内に抑えたシラスバルーンにセメント又は石膏の粉体を加えた無機質粉体と、該無機質粉体のバインダーたる無機・有機ハイブリッド樹脂の溶液とを主成分として配合し、膜厚が3〜6mmとなるように形成した第一塗膜と、該第一塗膜上に遮熱塗料により膜厚が0.25〜0.45mmとなるように形成した第二塗膜とから成ることを特徴とする塗膜構造。
  4. 上記シラスバルーン100重量部に対して上記セメント又は上記石膏の粉体を80〜120重量部の比率で配合し、上記無機・有機ハイブリッド樹脂を40〜60重量部の比率で配合したことを特徴とする請求項3記載の塗膜構造。
  5. 上記無機・有機ハイブリッド樹脂溶液の溶媒が水であり、溶質の無機質分と有機質分との重量比率が1:1であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の塗膜構造。
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