JP2020105282A - 化学修飾セルロース繊維の製造方法 - Google Patents

化学修飾セルロース繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースI型結晶構造を有する硫酸エステル化セルロース繊維の製造方法の提供。【解決手段】下記工程(a)、(b)を含む、化学修飾セルロース繊維の製造方法。工程(a):セルロース繊維の水分含有量を2質量%以上200質量%以下に調整する工程、工程(b):セルロース繊維をスルファミン酸で処理することにより、スルファミン酸と当該セルロース繊維の構成要素であるセルロース微細繊維を反応させ、セルロースの水酸基の一部を下記構造式(1)で表される置換基によって置換する工程。(但し、式(1)中、Mは1〜3価の陽イオンを表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、化学修飾セルロース繊維の製造方法に関する。
セルロース繊維は、食品、化粧品、機能紙、樹脂補強材等の工業原料として用いられる
。また、セルロース繊維の表面を化学修飾した化学修飾セルロース繊維は水中への分散が
容易となるため、工業原料としての適用範囲が広がり有望視されている。
セルロースを化学修飾したものとして硫酸化セルロースがあり、例えば無水硫酸を硫酸
化試薬として用いてセルロースを硫酸エステル化した粒子状の硫酸化セルロースがある(
たとえば、特許文献1)。また、硫酸水溶液を硫酸化剤として用いて重合度が60以下
のセルロースII型結晶構造を有する硫酸化セルロースを製造する技術がある(たとえば
、特許文献2)。
しかしながら、従来、セルロースを硫酸エステル化するための硫酸化剤としては、酸
性度の高い無水硫酸や高濃度の硫酸水溶液が用いられており、スルファミン酸を用いて硫
酸エステル化することは知られておらず、また、硫酸エステル化反応とともにセルロース
繊維を解繊することも知られていない。
特開2007−92034号公報 特表2012−526156号公報
本発明の実施形態は、硫酸エステル化セルロース繊維の新規な製造方法を提供すること
を目的とする。
本発明の実施形態は、下記工程(a)、及び(b)を含む、化学修飾セルロース繊維の製造方法に関する。
工程(a):セルロース繊維の水分含有量を2質量%以上200質量%以下に調整する工程
工程(b):セルロース繊維をスルファミン酸で処理することにより、スルファミン酸と
当該セルロース繊維の構成要素であるセルロース微細繊維を反応させ、セルロースの水酸
基の一部を下記構造式(1)で表される置換基によって置換する工程
(但し、式(1)中、Mは1〜3価の陽イオンを表す。)
本実施形態によれば、セルロースI型結晶構造を有する硫酸エステル化セルロース繊維
を提供することができる。
実施例1〜4、比較例1、2において反応開始後より1時間毎の硫酸基導入量をプロットしたグラフ
本実施形態に係る化学修飾セルロース繊維の製造方法は、
工程(a):セルロース繊維の水分含有量を2質量%以上200質量%以下に調整する工程(水分調整工程)
工程(b):セルロース繊維をスルファミン酸で処理することにより硫酸エステル化する工程(化学修飾工程)を経て、硫酸化セルロース繊維を得る製造方法に関する。
[セルロース繊維]
化学修飾工程で用いるセルロース繊維(即ち、セルロース原料)の具体例としては、植
物(例えば木材、綿、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ、再生パルプ
、古紙)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌)、微生物産生物等を起
源とするものが挙げられる。これらの中で、植物由来パルプが好ましい原材料として挙げ
られる。
前記パルプとしては、植物原料を化学的、若しくは機械的に、又は両者を併用してパル
プ化することで得られる、ケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(S
P))、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカ
ルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、
サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)が好まし
いものとして挙げられる。
また、セルロース繊維としては、本実施形態の目的を阻害しない範囲内で化学修飾され
ていてもよく、即ち、化学変性パルプを用いてもよい。例えば、セルロース繊維表面、あ
るいはセルロース微細繊維表面に存在する一部あるいは大部分の水酸基が酢酸エステル、
硝酸エステルを含むエステル化されたもの、またメチルエーテル、ヒドロキシエチルエー
テル、ヒドロキシプロピルエーテル、ヒドロキシブチルエーテル、カルボキシメチルエー
テル、シアノエチルエーテルを含むエーテル化されたもの、また一級水酸基を酸化させた
TEMPO酸化処理パルプを含むことができる。
セルロース繊維としては、セルロースI型結晶を有しその結晶化度が50%以上である
ものを用いることが好ましい。セルロース繊維のセルロースI型結晶化度の値は、より好
ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。セルロース繊維のセルロ
ースI型結晶化度の上限は、特に限定されないが、例えば98%以下でもよく、95%以
下でもよく、90%以下でもよい。
本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSeg
al法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記式により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の
回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。な
お、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度
とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。
本実施形態に使用されるセルロース繊維の形状は、特に制限はないが、取り扱いの観点
から繊維状、シート状、綿状、粉末状、チップ状、フレーク状が望ましい。
[水分調整工程]
水分調整工程において、セルロース繊維に所定量の水を添加する、或いは調湿することにより、セルロース繊維の水分含有量を2質量%以上200質量%以下に調整する。含水率は2質量%以上200質量%以下であるが、2質量%以上100質量%以下が好ましく、2質量%以上50質量%以下がより好ましい。含水率が上記範囲内である場合、水による硫酸化剤の失活による反応遅延と、それに伴う酸生成による適度なセルロース繊維の切断のバランスを維持できる点で好ましく、また、商業生産上において、硫酸化剤の使用量低減、硫酸化反応後の反応粗製物の洗浄、副生物除去等の操作に係る労力の低減という点で好ましい。尚、上記水分含有量は以下の方法により測定されるものである。すなわち、試験片としてセルロース繊維を蓋つきのガラス製容器に1〜2g秤量し、温度を105℃±2℃に保つことができ、適切に空気を置換できる機能を備えた乾燥器内において、ガラス製容器の蓋を開放した状態で乾燥し、所定時間経過時に乾燥器内でガラス製容器の蓋をしてデシケータ内に入れて放冷した後、容器内外の圧力差を除くため容器の蓋を半開きにして素早く再び閉じ、乾燥後の試験片の質量を測定する。この操作を繰り返し、試験片が恒量に達した時の乾燥前後の試験片質量差から水分量を算出する。なお、試験片の恒量とは、2回の連続する秤量値の差が乾燥前試験片の質量の0.1%以下になったときに恒量に達したとする。
[化学修飾工程]
化学修飾工程において、セルロース繊維とスルファミン酸との反応(即ち、硫酸エステル化反応)は、スルファミン酸を含む薬液にセルロース繊維を浸漬することにより行うことができる。また、公知の方法により、攪拌、混合、振とう等の操作により前記薬液とセルロース繊維の接触効率を上げることは有効な手段であり、本発明に適用できる。
化学修飾工程の方法は、特に限定されないが、商業生産の視点から、本発明の硫酸化反応における反応効率を高める目的から、本発明で特に限定したセルロース繊維原料に対して、硫酸化剤であるスルファミン酸を多段添加する方法、スルファミン酸と溶媒の比率を変化させて多段で反応させる方法、スルファミン酸と溶媒の比率を連続的に変化させて反応させる方法なども好ましい実施形態である。
セルロース繊維の化学修飾反応において、反応初期においてはセルロース原料特有の繊維間の水素結合の切断やセルロース繊維の膨潤を促す操作、更に並行して機械力による繊維の微細化、解繊を施す操作は化学修飾反応において合理的である。また、反応中期以降は可能な限りスルファミン酸の相対濃度を高めて反応の加速を促す操作が合理的である。また、本発明特に限定した範囲の含水セルロース原料は、元来、水が有する潤滑性により反応初期における機械力による所望の程度を越えたセルロース繊維の切断、分子鎖の切断を抑制する点においても有効である。
本実施形態では、硫酸化剤としてスルファミン酸を用いる。スルファミン酸は、無水
硫酸や硫酸水溶液等に比べてセルロース溶解性が小さいだけでなく、酸性度が低いために
重合度の保持が可能であり、セルロース繊維の結晶度を保持することができる。また、強酸性かつ高腐食性のある無水硫酸や硫酸水溶液に対して、取り扱いに制限がなく、生産設備の腐食影響が小さく、また、大気汚染防止法の特定物質にも指定されていないため、環境に対する負荷が小さい。
スルファミン酸の使用量は、セルロース繊維への置換基の導入量を考慮して適宜調整す
ることができる。スルファミン酸は、例えば、セルロース分子中のアンヒドログルコース
単位1モル当たり、好ましくは0.01〜50モル、より好ましくは0.1〜30モルで
使用することができる。
硫酸エステル化反応を行う硫酸化剤は、スルファミン酸と溶媒を混合してなるものであり、更に触媒を添加してもよく、添加しなくてもよい。触媒としては、尿素,アミド類,三級アミン類等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されないが、たとえば、セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1モル当たり0.001〜5モルが好ましく、0.005〜2.5モルがより好ましく、0.01〜2.0モルが更に好ましい。触媒は、高濃度のものをそのまま用いてもよく、或いは、事前に溶媒で希釈して用いてもよい。また、特に限定するものではないが、一括添加、分割添加、連続的添加、又はこれらの組合せで行うことができる。しかし、環境負荷の観点および工業的見地から、触媒は反応時に使用しないのが好ましい。
硫酸化剤に使用する溶媒は、特に限定されないが、公知の溶媒を使用してもよい。公知の溶媒としては、水のほか、直鎖又は分岐の炭素数1〜6の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素又はアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、炭素数2〜5の低級アルキルエーテル類、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の溶媒等が例示される。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上記の有機溶媒の中では、セルロース原料の膨潤を促進する観点から、たとえば、水または極性有機溶媒がより好ましい。なお、上記溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒の使用量は、特に限定されないが、たとえば、セルロース繊維の溶媒含有量(即ち、セルロース繊維の乾燥質量に対する溶媒の質量の比率)が10質量%以上、好ましくは10〜10000質量%、より好ましくは20〜1000質量%、更に好ましくは20〜500質量%で使用される。溶媒量が少ないほど、反応促進、洗浄工程の利便性等、生産効率の点で合理的である。
硫酸エステル化反応の温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃、さらに好ましく
は20〜70℃である。この反応温度は低すぎると反応完結に長時間を要し、反応温度が
高すぎるとセルロース分子内のグリコシド結合が切断するため好ましくない。硫酸エステ
ル化反応時間は通常30分〜5時間で完結する。
更に着色の少ない製品を得るために、硫酸エステル化反応の際に、窒素ガス,ネオンガ
ス,アルゴンガス,ヘリウムガス等の不活性ガスや炭酸ガスを導入してもよい。これらの
不活性ガスの導入方法としては不活性ガスを反応槽に吹き込みながら反応を行う方法、反
応前に反応槽内を不活性ガスで置換した後、反応槽を密閉して反応を行う方法またはその
他の方法のいずれでもよい。
本実施形態に係る硫酸化セルロース繊維の製造方法は、上記工程(a)および(b)に加え、上記(b)工程と同時に解繊する工程(c)を有することが好ましい。セルロース繊維は、セルロース微細繊維を構成要素として、これが束になったものである。本実施形態では、かかるセルロース微細繊維の繊維束であるセルロース繊維の形状を保持することなく、解繊、即ち、繊維束を解きながら、セルロース微細繊維の表面をスルファミン酸で化学修飾することが好ましい。このようにセルロース微細繊維を解繊しながらエステル化処理するため、後工程の解繊処理を行う必要が無くなり、効率性及び生産性を向上することができる。
また、本発明で限定された条件範囲内において、硫酸化セルロース繊維を繊維状態のまま取り出すこともできる。本発明で得られる硫酸化セルロース繊維は固形状で取り扱うことができるため製品流通上、或いは後工程での加工に際して有益である。更に該硫酸化セルロース繊維は汎用の攪拌装置でも水中でセルロース繊維の解繊が進む点で有益である。
[中和・洗浄工程]
本実施形態では、スルファミン酸による硫酸化反応の後、硫酸アンモニウム塩として硫酸化セルロース繊維を取り出すこともできる。また、必要に応じて、硫酸化セルロース繊維を中和する工程を設けてもよい。硫酸化セルロース繊維は、洗浄や精製工程等で粗製物のpHが低下し酸性条件下では粗製物の保存安定性に懸念があり、塩基性化合物を添加して中和させることにより、pH値を中性もしくはアルカリ性に調整することが好ましい。中和に用いる塩基性化合物としては、特に限定するものではないが、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、その他の無機塩、アミン類などが挙げられる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、アンモニア,メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジンが挙げられる。なお、本実施形態において、一種以上の塩基性化合物を使用して中和することができる。
また、反応停止の目的、及び/又は、硫酸化剤残渣、残留触媒、溶媒などの除去を目的として、湿潤状態の硫酸化セルロース繊維を洗浄する工程を設けてもよい。この時、洗浄
条件は特に限定されないが、有機溶媒、或いは含水有機溶媒を用いて、反応終了後の硫酸化セルロース繊維を洗浄するのが好ましい。
脱溶媒方法は、特に限定されないが、遠心沈降法、濾過、プレス処理などが使用できる
。ここで、有機溶媒を完全に除去せず、化学修飾セルロース繊維からなるシートを有機溶
媒で湿潤状態にしておいてもよい。硫酸化セルロース繊維の有機溶媒含有量(即ち、硫酸化セルロース繊維集合体の乾燥質量に対する有機溶媒の質量の比率)は1〜500質
量%であることが好ましく、より好ましくは10〜100質量%であり、更に好ましくは
10〜50質量%である。
[化学修飾セルロース繊維]
上記の製造方法により得られる本実施形態に係る化学修飾セルロース繊維は、セルロー
スI型結晶を有し、セルロースを構成するグルコースユニット中の水酸基の一部が下記式
(1)で表される置換基によって置換されたものである。
式中、Mは1〜3価の陽イオンを表す。
(セルロースI型結晶)
化学修飾セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有するものであり、その結晶化
度が50%以上であることが好ましい。結晶化度が50%以上であることにより、セルロ
ース結晶構造に由来する特性を発現することができ、増粘性や機械的強度を向上させるこ
とができる。結晶化度は、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上であ
り、70%以上でもよい。結晶化度の上限は特に限定されないが、硫酸エステル化反応の
反応効率を向上させる観点から、98%以下が好ましく、より好ましくは95%以下であ
り、更に好ましくは90%以下であり、85%以下でもよい。
(置換基)
上記の式(1)で表される置換基は硫酸基であり、下記式で表されるように、波線部分
をセルロース分子として、セルロース中の水酸基の酸素原子に対して水素原子の代わりに
−SOMが結合した構造を持ち、セルロース繊維に硫酸基が導入されている。
式(1)中のMで表される1〜3価の陽イオンとしては、水素イオン、金属イオン、ア
ンモニウムイオンが挙げられる。なお、2価又は3価の陽イオンの場合、当該陽イオンは
、2つ又は3つの−OSO3−との間でイオン結合を形成する。
金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン
、その他の金属イオンが挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属としては、
カルシウム、ストロンチウムが挙げられる。遷移金属としては、鉄、ニッケル、パラジウ
ム、銅、銀が挙げられる。その他の金属としては、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、ア
ルミニウムなどが挙げられる。
アンモニウムイオンとしては、NH4+だけでなく、NH4+の1つ以上の水素原子が
有機基に置き換わってできる各種アミン由来のアンモニウムイオンが挙げられ、例えば、
NH4+、第四級アンモニウムカチオン、アルカノールアミンイオン、ピリジニウムイオ
ン等が挙げられる。
Mで表される陽イオンとしては、保存安定性の観点から、ナトリウムイオン、カリウム
イオン、カルシウムイオン、又は第四級アンモニウムカチオンが好ましい。以上列挙した
陽イオンは、いずれか1種でもよいが、2種以上を組み合わせてもよい。
(置換基の導入量)
本発明の硫酸化セルロース繊維において、得られたセルロース繊維1gあたりにおける前記式(1)で表される置換基の導入量は、0.1〜3.0mmolであることが好ましい。導入量が3.0mmol/g以下であることにより、セルロース結晶構造の保持効果を高めることができる。導入量はより好ましくは2.0mmol/g以下である。また、セルロース繊維の構成要素であるセルロース微細繊維の表面全体を置換基で覆うという観点から、0.1mmol以上/gであることが好ましく、より好ましくは0.2mmol/g以上、さらに好ましくは0.4mmol/g以上である。
本明細書において、置換基の導入量は、電位差測定により算出される値であり、例えば
、洗浄により原料として用いた変性化剤や、それらの加水分解物等の副生成物を除去した
後、電位差測定の分析を行って算出することができる。具体的には後述の実施例に記載の
方法により測定することができる。
[作用効果・用途]
本実施形態に係る硫酸化セルロース繊維は、セルロース表面が硫酸エステル化されていることから、増粘剤や吸水性材料として利用することができ、例えば、食品、化粧品、機能紙、樹脂補強材等の工業原料の他、様々な用途に用いることができる。
本実施形態によれば、また、硫酸化セルロース繊維を、環境適合性を有し効率的かつ高い生産性で製造することができるので、工業的に有利である。詳細には、セルロース繊維とスルファミン酸と反応させることにより、環境負荷を抑えながら安価、且つ、簡便に化学修飾セルロース繊維を得ることができる。
以下、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
。各実施例及び各比較例における測定・評価方法は以下の通りである。
(1)セルロースI型結晶化度
セルロース繊維および化学修飾セルロース繊維のX線回折強度をX線回折法にて測定し
、その測定結果からSegal法を用いて下記式により算出した。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の
回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。ま
た、サンプルのX線回折強度の測定を、株式会社リガク製の「RINT2200」を用い
て以下の条件にて実施した:
X線源:Cu/Kα−radiation
管電圧:40Kv
管電流:30mA
測定範囲:回折角2θ=5〜35°
X線のスキャンスピード:10°/min
(2)硫酸化セルロース繊維の置換基導入量の測定
硫酸基導入量は電位差測定により算出した。詳細には、乾燥重量を精秤した硫酸化修飾セルロース繊維試料から固形分率0.5質量%に調製した該セルロース繊維の水分散体を60mL調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、ろ過、水洗浄し、繊維を再び60mLの水に再分散させ、0.1Mの水酸化カリウム水溶液を滴下してpHを約11にした。このスラリーに対して0.1Mの塩酸水溶液を滴下して電位差滴定を行った。終点までに滴下した0.1Mの塩酸水溶液の滴下量から硫酸化セルロース繊維の硫酸基導入量を算出した。
(3)本発明の各実施例における硫酸化反応曲線
本発明の実施例および比較例において反応開始後より1時間毎にサンプリングし、前記(2)に記載の方法で硫酸基量を測定して反応時間と硫酸基導入量の関係をプロットして実施例と比較例の比較を行った。
(4)硫酸化セルロース繊維の繊維形状評価
硫酸化セルロース繊維の形状評価は、光学顕微鏡観察で行い下記の基準で評価した。
○:解繊されている。
△:未解繊部が一部残留している。
×:繊維形状が保持されず、繊維が溶解または短繊維化している。
=:視野に粗大繊維が数多く見られる。
(5)解繊処理
上記で得られた本発明の硫酸化セルロース繊維を固形分濃度0.5質量%になるよう水分を調整し、該セルロース繊維水分散液をホモミキサーを用いて10,000rpmで20分間処理してゲル状の硫酸化セルロース繊維水分散体を得て、以下の評価を行った。
(6)解繊処理後の水分散性評価
解繊処理後の硫酸化セルロース繊維水分散体について、固形分濃度が0.2質量%になるよう攪拌しながら水を加えて希釈、調製した各水分散体サンプルを25℃で1週間静置した後、セルロース繊維の分散状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:離水やセルロース繊維の不均一が認められず、水中で良好な分散性を示す。
△:離水は認められないが未解繊の繊維、膨潤状態の繊維が見られる。
×:離水やセルロース繊維の凝集が見られる。
(7)粘度測定
固形分率0.5質量%に調製した硫酸化セルロース繊維の水分散体の粘度を、B型粘度計を用いて回転数6.0rpm、25℃の条件で測定した。
(8)曳糸性
前記(6)の解繊操作で調製した固形分濃度0.5質量%の硫酸化セルロース繊維水分散体を蓋付きの100mlサンプル瓶に移し、25℃で24時間静置した後、直径7mmのガラス棒の先2cmをセルロース繊維水分散体に差し込み、その後、ガラス棒の先端を水面5cmまで一定速度で引き上げた際の液の曳糸性の程度を測定し、下記の基準で評価した。
○:ガラス棒の引き上げた時、曳糸性は見られない。
△:ガラス棒の引き上げた時、曳糸性が5mm未満である。
×:ガラス棒の引き上げた時、曳糸性が5mm以上である。
[実施例1]
2軸の撹拌翼と溶剤の揮散を抑えるためのコンデンサーを備えた容量1.5Lのニーダー型反応器に、セルロース繊維原料として事前に含水率8.1重量%に調整した綿状の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、セルロースI型結晶化度:85%)3.8gを投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合、調製したスルファミン酸3.5g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、反応を開始した。この時、スルファミン酸の使用量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
その後、50℃で4時間反応させた後、室温まで冷却した。次に、得られた硫酸化セルロース繊維粗製物を袋上の金網に取り出し、遠心分離して薬液を除去した。以下の中和、水洗操作は硫酸化セルロース繊維粗製物を金網内に置いたまま薬液内に浸漬、振とうして処理を行った。中和は中和剤として1N水酸化ナトリウム水溶液を用い、次いで、水洗は蒸留水を用いて2回水洗を行い、その後、遠心分離脱水を行い、反応時間3時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[A4]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[A4]の回収量は6.2g、含水率は19質量%、硫酸基量は1.1mmol/gであった。
なお、実施例1において反応開始後、1時間、2時間、3時間、4時間でサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルをA1、A2、A3、A4とサンプル名を付与した。
[実施例2]
実施例1と同じ反応器に実施例1と同じセルロース繊維原料3.8gを投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合、調液したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液の半量を投入して10分間攪拌を行い、次いで50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、1時間反応を行った。更に前記反応薬液の残量を投入し、継続して50℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。この時、スルファミン酸の使用総量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
以降、実施例1と同様の操作を行い、反応時間計3時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[B4]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[B4]の回収量は6.3g、含水率は21質量%、硫酸基量は1.2mmol/gであった。
なお、実施例2において反応開始後、1時間、2時間、3時間、4時間でサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルをB1、B2、B3、B4とサンプル名を付与した。
[実施例3]
実施例1と同じ反応器に、実施例1と同じセルロース繊維原料3.8gを投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合、調液したスルファミン酸1.7g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、1時間反応を行った後、室温まで冷却した。
この時得られた硫酸化セルロース繊維粗製物を一旦袋状の金網に取り出し、遠心分離して薬液を除去した後、再び前記反応器に硫酸化セルロース繊維粗製物を戻し、更に新たに混合、調製したスルファミン酸1.8g、DMF10gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、3時間反応を行った後、室温まで冷却した。この時、スルファミン酸の使用総量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
以降、実施例1と同様の操作を経て、反応時間計4時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[C4]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[C4]の回収量は6.2g、含水率は23%、硫酸基量は1.4mmol/gであった。
なお、実施例3において反応開始後、1時間、2時間、3時間、4時間でサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルをC1、C2、C3、C4とサンプル名を付与した。
[実施例4]
実施例1と同じ反応器に、実施例1と同じセルロース繊維原料3.8gを投入し、次いで、撹拌しながらDMF20gを投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、1時間攪拌を継続した後、室温まで冷却した。
前記操作を経たセルロース繊維を一旦袋状の金網に取り出し、遠心分離してDMFを除去した後、再び前記反応器にセルロース繊維を戻し、事前に混合、調製したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、4時間反応を行った後、室温まで冷却した。この時、スルファミン酸の使用総量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
以降、実施例1と同様の操作を経て、反応時間計4時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[D4]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[D4]の回収量は6.5g、含水率は26%、硫酸基量は1.6mmol/gであった。
なお、実施例3において反応開始後、1時間、2時間、3時間、4時間でサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルをD1、D2、D3、D4とサンプル名を付与した。
[実施例5]
実施例1と同じ反応器に、セルロース繊維原料として、事前の水浸漬後、脱水操作の調整により得た含水の綿状針葉樹クラフトパルプ(NBKP、セルロースI型結晶化度:85%、含水率99.3重量%)7.0gを投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合、調製したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、4時間反応を開始した。この時、スルファミン酸の使用量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
上記操作による反応時間4時間の硫酸化セルロース繊維粗製物[E4]の一部を採取して硫酸基量を測定したところ、硫酸基量は0.4mmol/gであり、この得られた硫酸化セルロース繊維粗製物「E4」を一旦袋状の金網に取り出し、遠心分離して薬液を除去した後、再び前記反応器に硫酸化セルロース繊維粗製物を戻し、更に新たに混合、調製したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、4時間反応を行った後、室温まで冷却した。この時、スルファミン酸の使用総量はアンヒドログルコース単位1モル当たり3.2モルであった。
以降、実施例1と同様の操作を経て、反応時間計8時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[E8]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[E8]の回収量は5.9g、含水率は29%、硫酸基量は1.4mmol/gであった。
なお、実施例4において反応開始後、1〜8時間で順にサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルを順にE1〜E8とサンプル名を付与した。
[比較例1]
実施例1と同じ針葉樹クラフトパルプ(NBKP、セルロースI型結晶化度:85%)を綿状化した後、大過剰の乾燥メタノールで2回溶剤置換した後、50℃で1時間減圧乾燥し、更に70℃で1時間減圧乾燥して得た乾燥セルロース繊維原料(含水率1.3重量%)を調製し、その3.5gを実施例1と同じ反応器に投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入し、10分間攪拌を行い、更に50℃まで昇温を行い、反応器内が50℃に到達後、4時間反応を行った後、室温まで冷却した。なお、硫酸化剤であるスルファミン酸の使用量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルである。
以降、実施例1と同様の操作を経て、反応時間4時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[F4]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[F4]の回収量は5.0g、含水率は15質量%、硫酸基量は0.9mmol/gであった。
なお、実施例3において反応開始後、1〜4時間でサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルをF1〜F4とサンプル名を付与した。
[比較例2]
実施例1と同じ反応器に、セルロース繊維原料として、事前の水浸漬後、脱水操作の調整により得た含水の綿状針葉樹クラフトパルプ(NBKP、セルロースI型結晶化度:85%、含水率250.4重量%)12.3gを投入し、次いで、撹拌しながら事前に混合、調製したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、反応を開始した。この時、スルファミン酸の使用量はアンヒドログルコース単位1モル当たり1.6モルであった。
上記操作による反応時間4時間の硫酸化セルロース繊維粗製物[G4]の一部を採取して硫酸基量を測定したところ、硫酸基量は0.2mmol/gであり、この得られた硫酸化セルロース繊維粗製物「G4」を一旦袋状の金網に取り出し、遠心分離して薬液を除去した後、再び前記反応器に硫酸化セルロース繊維粗製物を戻し、更に新たに混合、調製したスルファミン酸3.5g、DMF20gの反応薬液を投入して10分間攪拌を行い、次いで、50℃まで昇温を行い、50℃に到達後、4時間反応を行った後、室温まで冷却した。この時、スルファミン酸の使用総量はアンヒドログルコース単位1モル当たり3.2モルであった。
以降、実施例1と同様の操作を経て、反応時間計8時間にて本発明の硫酸化セルロース繊維[G8]を得た。この時、硫酸化セルロース繊維[G8]の回収量は5.4g、含水率は34%、硫酸基量は0.5mmol/gであった。
なお、実施例4において反応開始後、1〜8時間で順にサンプリングを行い、前記の方法に従って脱溶媒、中和、水洗、脱水を行い、各サンプルを順にG1〜G8とサンプル名を付与した。
上記実施例及び比較例について、化学修飾前のセルロース繊維につき、結晶化度および含水率、並びに、化学修飾工程後の化学修飾セルロース繊維につき、導入基の導入量、結晶化度の算出、および繊維形状の評価を行った。結果を表1に示す。
※1:反応終了までの合計反応時間を示す
※2:反応終了までに仕込んだ合計数量を示す
※3:アンヒドログルコース単位1モル当たりのスルファミン酸仕込み量
表中の成分の詳細は以下の通りである。
・DMF:ジメチルホルムアミド
・NaOH:水酸化ナトリウム
結果は表1および図1に示す通りである。実施例1ないし5の化学修飾セルロース繊維は、繊維形状評価、水分散性、曳糸性において良好な結果が得られているのに対し、セルロース繊維原料の水分含有量が2質量%未満である1.3質量%のセルロース繊維を用いた比較例1では、セルロース繊維の膨潤が不均一で硫酸化反応と繊維の解繊が均一に進行せず、反応後、繊維形状においては粗大な繊維が残留し、水に分散させた場合に繊維状の物質がみられ、粘度においても、低くなることがわかる。
一方、セルロース繊維原料の水分含有量が200質量%を超える250.4質量である比較例2においては、セルロース繊維が水に分散しない状態で短繊維化しており、繊維の凝集、或いは沈降が生じた。また、硫酸化反応が部分的に過度に進行し、硫酸化セルロースの一部が水に溶解し、曳糸性が発現していることがわかる。
図1より、実施例1と比較例1を比較すると、セルロース繊維原料の水分率が低い比較例1では反応時間当たりの硫酸基導入量が少なく、最終的な硫酸基導入量も低くなることがわかる。
また、実施例1ないし4を比較すると、スルファミン酸添加方法を変更することにより反応時間に対する硫酸基量の導入量が多くなり、最終的な硫酸基導入量が向上することがわかる。
スルファミン酸の追加添加を行った、実施例5と比較例2を比較すると、セルロース繊維原料の水分率が多い比較例2では、硫酸化剤の失活が支配的となり反応が遅延し、反応時間当たりの硫酸基導入量が少なく、最終的な硫酸基導入量も低くなることがわかる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。




Claims (3)

  1. 下記工程(a)、(b)を含む、化学修飾セルロース繊維の製造方法。
    工程(a):セルロース繊維の水分含有量を2質量%以上200質量%以下に調整する工程
    工程(b):セルロース繊維をスルファミン酸で処理することにより、スルファミン酸と当該セルロース繊維の構成要素であるセルロース微細繊維を反応させ、セルロースの水酸基の一部を下記構造式(1)で表される置換基によって置換する工程
    (但し、式(1)中、Mは1〜3価の陽イオンを表す。)
  2. 下記工程(c)を含む、請求項1に記載の化学修飾セルロース繊維の製造方法。
    工程(c):前記工程(b)と同時に解繊する工程
  3. 前記化学修飾セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有し、セルロースの水酸基
    の一部が前記構造式(1)で表される置換基によって置換され、置換基の導入量が化学修
    飾セルロース繊維1gあたり0.1〜3.0mmolである、請求項1または2に記載の化学修飾セルロース繊維の製造方法。

















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