A.第1実施例
A−1.システム1000の構成
図1は、システム1000の構成を示すブロック図である。システム1000は、プリンタ100と、端末装置300と、事業者サーバ400と、を備える。プリンタ100と端末装置300とは、ローカルエリアネットワークNTに接続されており、ローカルエリアネットワークNTを介して、互いに通信可能である。事業者サーバ400は、インターネットITと接続されており、ローカルエリアネットワークNTは、インターネットITと接続されている。プリンタ100と事業者サーバ400とは、インターネットITとローカルエリアネットワークNTとを介して、互いに通信可能である。
プリンタ100は、プリンタ100のコントローラとしてのCPU110と、DRAMなどの揮発性記憶装置120と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置130と、画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示部140と、ボタンやタッチパネルなどの操作部150と、印刷実行部170と、通信インタフェース(IF)180と、を備えている。操作部150は、ユーザからの入力を取得するためのユーザインタフェースを構成する。
通信IF180は、ローカルエリアネットワークNTに接続するためのインタフェースである。具体的には、通信IF180は、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースや、Wi−Fi規格(IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格又はそれに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従った規格)に準拠した無線のインタフェースである。
CPU110は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置120は、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置130には、プリンタを制御するためのコンピュータプログラムPGと、後述する情報データベースIBと、が格納されている。
コンピュータプログラムPGは、本実施例では、プリンタ100の製造時に不揮発性記憶装置130に予め格納されて提供され得る。これに代えて、コンピュータプログラムPGは、例えば、インターネットITを介して接続されたサーバからダウンロードされる形態、あるいは、CD−ROMなどに記録された形態で提供され得る。
CPU110は、コンピュータプログラムPGを実行することによって、印刷実行部170を制御して、印刷実行部170に画像を印刷させる後述する印刷制御処理を実行する。
印刷実行部170は、CPU110の制御に従って、印刷を実行する。図2は、印刷実行部170の構成を示す概略図である。図2(A)〜(C)に示すように、印刷実行部170は、印刷機構171と、装着部172と、インク供給口174と、中間容器175と、インク流路部177と、を備えている。
印刷機構171は、インクカートリッジ200から供給されるインクを印刷材として用いて、印刷媒体としての用紙上に画像を印刷するインクジェット方式の印刷機構である。具体的には、印刷機構171は、図示しない印刷ヘッドのノズルからインクを吐出して用紙上にドットを形成することによって、用紙上に画像を形成する。本実施例では、印刷機構171は、複数色のインクIkを用いる印刷機構、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色のインクIkを用いてカラー画像を印刷する印刷機構である。図2では、図の煩雑を避けるために、1色のインクIkについて、装着部172と、インク供給口174と、中間容器175と、インク流路部177と、が図示されている。実際には、印刷実行部170は、4色のインクIkのそれぞれについて、装着部172と、インク供給口174と、中間容器175と、インク流路部177と、を備えている。そして、印刷実行部170の4個の装着部172には、4色のインクIkに対応する4個のインクカートリッジ200が装着される。
インクカートリッジ200には、インクIkを収容する主収容室210と、連通口220と、インク出口230と、が形成されている。連通口220は、主収容室210と外気とを連通する開口である。インク出口230は、主収容室210内のインクIkを印刷実行部170に供給するための開口である。インク出口230は、主収容室210内の全てのインクIkを印刷実行部170に供給できるように、主収容室210の鉛直方向の下端近傍に設けられている。
インクカートリッジ200の外面には、ICチップ250が取り付けられている。ICチップ250のメモリには、インクカートリッジ200に関する各種の情報が格納されている。本実施例では、ICチップ250のメモリに格納される情報には、新品のインクカートリッジ200に収容されているインクIkの量である初期インク量IVを示す情報と、インクカートリッジ200を識別する識別情報(例えば、シリアルナンバー)が含まれる。
装着部172は、例えば、インクカートリッジ200を着脱可能に装着することができるホルダである。インク供給口174は、装着部172に装着されたインクカートリッジ200のインク出口230と連通される。インク供給口174から主収容室210内のインクIkが印刷実行部170に供給される。装着部172には、装着部172に装着されるインクカートリッジ200のICチップ250の電極に接触する接点CPを有している。接点CPを介して、プリンタ100(CPU110)は、ICチップ250のメモリに格納される情報の読み出しや、該メモリへの情報の書き込みを実行できる。
装着部172には、インクカートリッジ200が装着部172に装着されているか否かを検出する装着センサASが装着されている。例えば、装着センサASは、光を射出する発光部と、該光を受光する受光部と、を備える。インクカートリッジ200が装着部172に装着されると、インクカートリッジ200の筐体に形成されたリブ(図示省略)が、発光部から受光部に至る光を遮るように配置される。装着センサASの受光部は、受光の有無を示す電気信号をCPU110に出力する。受光していることを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていないことを示す信号(非装着信号とも呼ぶ)である。受光していないことを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていることを示す信号(装着信号とも呼ぶ)である。装着センサASには、他の様々な構成、例えば、接点CPとICチップ250の電極との接触を検出する構成が採用され得る。
中間容器175には、インクIkを収容する副収容室179と、連通口178と、が形成されている。連通口178は、副収容室179と外気とを連通する開口である。副収容室179は、インク供給口174と連通しており、インク供給口174を介してインクカートリッジ200から供給されるインクを貯留する。
インク流路部177の上流端は、中間容器175の副収容室179の底面の近傍に接続され、副収容室179と連通している。インク流路部177の下流端は、印刷機構171の図示しない印刷ヘッドに接続されている。これによって、インク流路部177を介して副収容室179内のインクIkが印刷機構171に供給される。
以上の説明から解るように、中間容器175は、装着部172に装着されるインクカートリッジ200から印刷機構171に至るインクIkの流動経路に配置されている。
ここで、プリンタ100の印刷実行部170のように、インクカートリッジから印刷機構に至るインクIkの経路に中間容器を備えるタイプのインクIkの供給方式を二室供給方式とも呼ぶ。二室供給方式の印刷実行部170(印刷装置)は、インクIkの残存状態として、3種類の残存状態SA〜SCを取り得る。図2(A)〜(C)には、それぞれ、3種類の残存状態SA〜SCにある印刷実行部170が図示されている。
図2(A)のインク多状態SAは、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存し、かつ、中間容器175内(副収容室179内)にインクIkが残存する状態である。図2(B)のインク少状態SBは、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存せず、かつ、中間容器175内(副収容室179内)に残存するインクIkの量が基準量Vth以上である状態である。図2(C)のインク無状態SCは、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存せず、かつ、中間容器175内(副収容室179内)に残存するインクIkの量が基準量Vth未満である状態である。ここで、図2(A)〜(C)に示す基準液面高LHaは、インク多状態SAと、インク少状態SBと、の境界に対応する液面高さである。基準液面高LHbは、インク少状態SBと、インク無状態SCと、の境界に対応する液面高さである。
インクカートリッジ200の主収容室210は、連通口220によって外部と連通し、中間容器175の副収容室179は、連通口178によって外部と連通している。そして、中間容器175の副収容室179は、インクカートリッジ200の主収容室210の鉛直方向の下端(以下、単に、下端とも呼ぶ)よりも鉛直下方(図2の下側)に位置する部分と、主収容室210の鉛直方向の下端よりも鉛直上方に位置する部分と、を含んでいる。このために、新品のインクカートリッジ200が装着されると、インクカートリッジ200内のインクIkの一部は、インク供給口174から副収容室179内に移動する。そして、主収容室210内のインクIkの液面ISmと、副収容室179内のインクIkの液面ISsと、の高さが一致した状態となる(図2(A))。
印刷機構171によって印刷が行われてインクIkが消費されると、2つの液面ISm、ISsが一致した状態を維持したまま、液面ISm、ISsが低下していく。そして、液面ISm、ISsが、インクカートリッジ200の主収容室210の下端の基準液面高LHaに到達すると、インクカートリッジ200の主収容室210内にインクIkは、残存しなくなり、インクIkの残存状態は、インク多状態SA(図2(A))からインク少状態SB(図2(B))に遷移する。ここで、インクカートリッジ200の主収容室210内にインクIkが、残存しない状態とは、主収容室210から副収容室179へのインクIkの移動が無くなる状態を意味し、主収容室210の内壁に多少のインクIkが付着している状態を含む。
インク少状態SBに遷移した後であっても、副収容室179にインクIkが残存しているので、印刷機構171は、印刷を継続できる。インク少状態SBに遷移した後に、インクカートリッジ200が交換されれば、インクカートリッジ200にインクIkが残存しない状態で、インクカートリッジ200を交換できるので、インクIkの無駄が発生しない。印刷を継続できる状態で、インクIkの無駄を発生することなく、インクカートリッジ200を交換できる点が、二室供給方式の利点である。
ここで、インク多状態SAとインク少状態SBとの境界に対応するインク量を境界インク量BVとも呼ぶ。本実施例の境界インク量BVは、副収容室179において、液面ISが基準液面高LHaに位置しているときの副収容室179におけるインク量とも言うことができる。また、境界インク量BVは、インク少状態SBにおける最大のインク量とも言うことができる。また、境界インク量BVは、副収容室179のうち、主収容室210の鉛直下方の端よりも鉛直下方に位置する部分の容量と等しい。
インク少状態SBに遷移した後に、さらに、印刷機構171によって印刷が行われてインクIkが消費されると、液面ISsは、さらに低下する。そして、液面ISsが、基準液面高LHbに到達すると、中間容器175内のインクIkの量は、上述した基準量Vth以下になり、インクIkの残存状態は、インク少状態SBからインク無状態SCに遷移する。
インクIkの残存状態がインク無状態SCに遷移した後も印刷を継続すると、中間容器175内のインクIkの量がさらに減少して、印刷機構171に供給されるインクIkに空気が混入する不具合が発生し得る。このために、インクIkの残存状態がインク無状態SCに遷移した場合には、印刷機構171による印刷は停止されざるを得ない。したがって、インク無状態SCは、中間容器175内のインクIkが実質的に無くなった状態であり、インクカートリッジ200が交換されて、中間容器175にインクIkが供給されない限り、印刷が実行できない状態である。
プリンタ100の情報データベースIBは、プリンタ100に関するプリンタ情報が格納されたデータベースである。プリンタ100のプリンタ情報は、例えば、インクIkに関するインク情報や、印刷履歴に関する履歴情報を含む。プリンタ100のインク情報は、例えば、インクカートリッジ200の初期インク量IVと、境界インク量BVと、CMYKのそれぞれのインクIkのインク残量RVと、CMYKのそれぞれのインクカートリッジ200のシリアルナンバーを含む。
プリンタ100(CPU110)は、印刷が実行される度に、例えば、後述する印刷制御処理が実行される度に、情報データベースIBに格納される履歴情報やインク情報を更新することで、情報データベースIBに格納されるプリンタ情報を最新の情報に維持する。例えば、初期インク量IVとシリアルナンバーは、例えば、インクカートリッジ200のICチップ250のメモリから取得される。プリンタ100は、例えば、カートリッジが交換される度に、その時点での中間容器175のインクIkの残量と、初期インク量IVと、の合計を、インク残量RVとして情報データベースIBに記録する。プリンタ100は、印刷が実行される度に、インクIkの使用量を計算し、印刷が実行される前のインク残量RVから該使用量を減算することによって、印刷が実行された後のインク残量RVを算出する。プリンタ100は、印刷が実行される度に、情報データベースIBに記録されるインク残量RVを、印刷が実行された後のインク残量RVに更新する。
端末装置300は、プリンタ100のユーザが利用する計算機であり、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンである。端末装置300には、図示しないプリンタドライバプログラムがインストールされており、端末装置300は、プリンタ100に対応するプリンタドライバとして機能する。具体的には、端末装置300は、プリンタ100に印刷ジョブを送信することによって、プリンタ100に画像を印刷させることができる。例えば、印刷ジョブは、印刷すべき画像を示す画像データと、印刷に関する設定を示す印刷設定情報と、を含んでいる。印刷設定情報は、カラー/モノクロの別、印刷用紙のサイズ、印刷部数、印刷解像度等を示す情報に加えて、本実施例では、印刷ジョブに基づく印刷が通常印刷であるか機密印刷であるかを示す情報を含む。
機密印刷は、プリンタ100が通信IF180を介して印刷ジョブを取得した後に、プリンタ100が操作部150を介して特定の入力(本実施例ではパスワード)を取得した場合に開始され、特定の入力が取得されない場合に開始されない印刷である。通常印刷は、プリンタ100が通信IF180を介して印刷ジョブを取得した後に、上述した特定の入力が要求されることなく、特定の入力とは無関係に開始される印刷である。ユーザは、機密印刷を指定することによって、印刷物を他人に見られることや、印刷物が他人に盗難されることを防止できる。
事業者サーバ400は、例えば、システム1000を運用する事業者のサーバである。事業者サーバ400は、第3実施例において、プリンタ100からインク発注情報を受信する。第1実施例および第2実施例では、事業者サーバ400は、無くても良い。
A−2.システム1000の動作
プリンタ100は、端末装置300から送信される印刷ジョブを、通信IF180を介して受信した場合に、印刷制御処理を開始する。図3は、印刷制御処理のフローチャートである。
S100では、CPU110は、印刷ジョブに含まれる画像データを取得する。なお、印刷ジョブには、複数ページに対応する複数個の画像データが含まれ得る。この場合には、複数個の画像データが取得される。本実施例では、画像データは、例えば、RGB値で画素ごとの色を表すRGB画像データである。RGB値は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3個の成分値を含む色値である。画像データがRGB画像データではない場合には、CPU110は、画像データに対して、ラスタライズ処理を実行して、RGB画像データに変換する。
S105では、CPU110は、印刷ジョブに含まれる印刷設定情報を取得する。
S110では、CPU110は、取得したRGB画像データを用いて印刷データを生成する。具体的には、CPU110は、RGB画像データに対して色変換処理を実行し、CMYK値で画素ごとの色を表すCMYK画像データを生成する。CMYK値は、印刷に用いられる複数種のインクに対応する複数個の成分値、本実施例では、C、M、Y、Kの成分値を含む色値である。色変換処理は、RGB値とCMYK値との対応関係を規定する公知の色変換プロファイルを用いて実行される。CPU110は、CMYK画像データに対してハーフトーン処理を実行して、CMYKの成分ごと、かつ、画素ごとにドットの形成状態を示すドットデータを生成する。ドットの形成状態は、例えば、「ドット有り」と「ドット無し」とのうちのいずれかである。ハーフトーン処理は、例えば、公知の誤差収集法を用いて実行される。CPU110は、ドットデータを印刷に用いる順に並べ替え、ドットデータに印刷コマンド等の制御データを付加することで、印刷データを生成する。
S115では、CPU110は、印刷データを用いてCMYKのそれぞれのインク使用量UVを算出する。例えば、CPU110は、印刷データを用いて、該印刷データに基づく印刷で形成されるCMYKのドット数をそれぞれカウントし、これらのドット数にドット1個辺りのインク使用量をそれぞれ乗じた値をインク使用量UVとして算出する。
S120では、CPU110は、情報データベースIBを参照して、現在のCMYKのインク残量RVをそれぞれ取得する。
S125では、CPU110は、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200があるか否かを判断する。ここで、印刷後に残量が0であるとは、印刷にてインクIkが消費されることによって、残量が0より多い状態から0になる場合と、印刷の開始前から残量が0である場合と、を含む。具体的には、CPU110は、S120にて取得されたインク残量RVからS115にて算出されたインク使用量UVを減じて、CMYKのそれぞれの印刷後のインク残量RVaを算出する。そして、CMYKのインクカートリッジ200のうち、印刷後のインク残量RVaが上述した境界インク量BV未満であるカートリッジがある場合には、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200があると判断する。換言すれば、本ステップでは、印刷後のプリンタ100においてCMYKのいずれかのインクIkの残存状態がインク少状態SB(図2(B))であるか否かが判断される。
印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がある場合には(S125:YES)、S130にて、CPU110は、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200に対応する交換通知フラグを「ON」に設定して、S135に処理を進める。交換通知フラグは、CMYKのそれぞれについて、インクカートリッジ200の交換をユーザに通知するか否かを示すフラグであり、CMYKのそれぞれについて「ON」と「OFF」とのいずれかの値を取り、初期値は「OFF」である。
印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がない場合には(S125:NO)、CPU110は、S130をスキップして、S135に処理を進める。したがって、この場合には、CMYKの交換通知フラグは、「OFF」に維持される。
S135では、CPU110は、印刷設定情報を参照して、実行すべき印刷が機密印刷であるか否かを判断する。実行すべき印刷が機密印刷である場合には(S135:YES)、S140にて、CPU110は、図示しないパスワード入力画面を表示部140に表示する。パスワード入力画面は、機密印刷を開始するために要求されるパスワードをユーザが入力するための画面である。
S145では、CPU110は、パスワード入力画面を介して正しいパスワードが入力されたか否かを判断する。正しいパスワードは、例えば、端末装置300のユーザに予め割り当てられ、プリンタ100に予め登録されたパスワードである。正しいパスワードが入力されない場合には(S145:NO)、例えば、誤ったパスワードが入力された場合やパスワードが入力されない場合には、CPU110は、正しいパスワードが入力されるまで待機する。正しいパスワードが入力された場合には(S145:YES)、CPU110は、S160に処理を進める。
実行すべき印刷が機密印刷でない場合には(S135:NO)、すなわち、実行すべき印刷が通常印刷である場合には、S150にて、CPU110は、CMYKのうちの少なくとも1つの交換通知フラグが「ON」であるか否かを判断する。少なくとも1つの交換通知フラグが「ON」である場合には(S150:YES)、S155にて、CPU110は、通常印刷時に表示すべき交換通知画面WD1を、表示部140に表示する。全ての交換通知フラグが「OFF」である場合には(S150:NO)、CPU110は、交換通知画面WD1を表示することなく、S160に処理を進める。
図4は、通知画面の一例を示す第1の図である。図4(A)には、交換通知画面WD1の一例が示されている。図4(A)の交換通知画面WD1は、印刷を開始する旨と、印刷の完了後に少なくとも1つのインクカートリッジ200を交換可能であることと、を示すメッセージMS1と、ボタンBTと、を含んでいる。ボタンBTが押下されると、交換通知画面WD1の表示は終了される。ボタンBTが押下されるか否かに拘わらずに、CPU110は、交換通知画面WD1を表示すると、印刷を開始すべく、処理をS160に進める。
S160では、CPU110は、印刷ジョブに基づく印刷を開始する。例えば、CPU110は、印刷データを印刷実行部170に供給して、印刷実行部170に印刷を開始させる。
S165では、CPU110は、開始された印刷によってインクIkが消費された結果、CMYKの少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になったか否かを判断する。換言すれば、本ステップでは、プリンタ100においてCMYKの少なくとも1つのインクIkの残存状態がインク無状態SC(図2(C))に遷移したか否かが判断される。例えば、CPU110は、実行すべき印刷において1ページ分の印刷が完了する度に、その時点でのインク残量RVを算出して、中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になったか否かを判断する。
CMYKの少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になった場合には(S165:YES)、上述したように、プリンタ100は印刷を継続できないので、S170にて、CPU110は、印刷を中断する。
S175では、CPU110は、インク切れを通知するためのエラー通知画面WD2を、表示部140に表示する。図4(B)には、エラー通知画面WD2の一例が示されている。図4(B)のエラー通知画面WD2は、CMYKのいずれかについて、プリンタ100内のインクが無くなったために印刷を継続できないことを示すとともに、無くなったインクIkのインクカートリッジ200の交換を促すメッセージMS2を含んでいる。エラー通知画面WD2の表示は、インクカートリッジ200の交換が検出された時点で終了される。
S180では、CPU110は、無くなったインクIkのインクカートリッジ200が交換されたか否かを判断する。具体的には、CPU110は、対象となるインクカートリッジ200の装着センサASが出力する電気信号が、装着信号から非装着信号に遷移したことを検出した場合に、該インクカートリッジ200が取り外されたと判断する。CPU110は、該インクカートリッジ200が取り外された後に、該装着センサASが出力する電気信号が、非装着信号から装着信号に遷移したことを検出した場合に、インクカートリッジ200が装着されたと判断する。CPU110は、インクカートリッジ200が装着されたと判断した場合に、情報データベースIBに記録された対象カートリッジのシリアルナンバーと、新たに装着されたインクカートリッジ200のICチップ250に記録されたシリアルナンバーと、を比較する。CPU110は、2つのシリアルナンバーが異なる場合に、その時点で、インクカートリッジ200が交換されたと判断する。
無くなったインクIkのインクカートリッジ200が交換されない場合には(S180:NO)、CPU110は、該インクカートリッジ200が交換されるまで待機する。無くなったインクIkのインクカートリッジ200が交換された場合には(S180:YES)、S185にて、CPU110は、交換されたインクカートリッジ200に対応する交換通知フラグを「OFF」に設定する。S187では、CPU110は、印刷ジョブに基づく印刷を再開して、S165に処理を戻す。
CMYKの全ての中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth以上である場合には(S165:NO)、S190にて、CPU110は、印刷ジョブに基づく印刷が完了したか否かを判断する。印刷ジョブに基づく印刷が完了していない場合には(S190:NO)、CPU110は、S165に処理を戻す。ここで、印刷ジョブに基づく印刷の完了は、印刷ジョブの受信された場合に、該受信に対応してプリンタ100が実行すべき全ての印刷の完了を意味する。例えば、印刷ジョブに複数ページに対応する複数個の画像データが含まれている場合には、印刷ジョブに基づく印刷の完了は、複数個の画像データを用いて実行される複数ページ分の印刷の完了を意味する。また、印刷ジョブに複数部数の印刷を指示する印刷設定情報が含まれる場合には、印刷ジョブに基づく印刷の完了は、複数部数分の印刷の完了を意味する。
印刷ジョブに基づく印刷が完了した場合には(S190:YES)、S195にて、CPU110は、CMYKの少なくとも1つの交換通知フラグが「ON」であるか否かを判断する。CMYKの全ての交換通知フラグが「OFF」である場合には(S195:NO)、CPU110は、印刷制御処理を終了する。
CMYKの少なくとも1つの交換通知フラグが「ON」である場合には(S195:YES)、S198にて、CPU110は、交換通知画面WD3を、表示部140に表示して、印刷制御処理を終了する。
図4(C)には、交換通知画面WD3の一例が示されている。図4(C)の交換通知画面WD3は、印刷が完了した旨と、少なくとも1つのインクカートリッジ200を交換可能であることと、を示すメッセージMS3と、ボタンBTと、を含んでいる。ボタンBTが押下されると、交換通知画面WD3の表示は終了される。
以上説明した本実施例によれば、CPU110は、機密印刷が完了した後にインクカートリッジ200の残量が0である場合には(S125:YES)、すなわち、機密印刷が完了した後にインクIkの残存状態がインク少状態SB(図2(B))である場合には、機密印刷前に交換通知画面を表示することなく、機密印刷を完了させる(S135にてYES、S160〜S190)。二室供給方式では、上述したように、インクカートリッジ200の残量が0になった後でも(インク少状態SBになった後でも)中間容器175のインクIkを用いて印刷が継続できるため、印刷を完了させることができる。なお、機密印刷が完了した後にインクIkの残存状態がインク少状態SBである場合とは、印刷の最中にインクIkの残存状態がインク多状態SA(図2(A))からインク少状態SB(図2(B))に遷移する場合と、印刷の開始前からインクIkの残存状態がインク少状態SBである場合と、を含む。そして、CPU110は、機密印刷の完了後に交換通知画面WD3を表示する(S195にてYES、S198)。換言すれば、CPU110は、機密印刷が完了した後のインクIkの残存状態がインク少状態SBである場合に、機密印刷の少なくとも一部がインク少状態SBで実行されることによって機密印刷を完了した後に、インクカートリッジ200の交換を促す通知を実行する。この結果、プリンタ100は、カートリッジの交換を促す通知を適切なタイミングで行うことができる。例えば、印刷中にインクカートリッジ200の交換のためにユーザがプリンタ100から離れることを抑制できる。この結果、例えば、印刷物の盗難や印刷物を他人に見られることを抑制できる。仮に、印刷の開始前に、インクカートリッジ200の交換を促す通知を行えば、ユーザは、印刷中に、インクカートリッジ200を準備するために、プリンタ100から離れる可能性がある。本実施例によれば、このような不都合を抑制できる。
さらに、本実施例によれば、CPU110は、機密印刷の印刷ジョブが取得された後に、パスワードが取得された場合に(S145にてYES)開始され(S160)、パスワードが取得されない場合に(S145にてNO)開始されない。このような機密印刷は、機密性が高い印刷物を印刷するために用いられる可能性が高いので、印刷物の盗難や印刷物を他人に見られることを抑制することが要求される。本実施例によれば、このような機密印刷の再中に、カートリッジの交換のためにユーザがプリンタ100から離れることを抑制できる。
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、通常印刷が完了した後にインクカートリッジ200の残量が0である場合には(S125:NO)、通常印刷が開始される前に、交換通知画面WD1を表示部140に表示する(S155)。すなわち、この場合には、通常印刷が完了する前に、インクカートリッジ200の交換を促す通知が実行される。通常印刷は、機密印刷と比較して機密性が低い印刷物を印刷するために用いられる可能性が高いので、印刷物の盗難や印刷物を他人に見られることを抑制することよりも、カートリッジの交換の利便性を優先するべき場合もある。本実施例によれば、通常印刷の場合には、印刷が開始される前にカートリッジの交換を促す通知が行われるので、例えば、ユーザは、印刷中に新しいインクカートリッジ200の準備を行うことができるので便利である。
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、機密印刷の開始後に、インクIkの残存状態がインク少状態SBからインク無状態SCに遷移したか否かを判断する(S165)。プリンタ100は、機密印刷の開始後に、インクIkの残存状態がインク少状態SBからインク無状態SCに遷移したと判断された場合に(S165にてYES)、インクカートリッジ200の交換を促す通知(本実施例では、エラー通知画面WD2の表示)を実行する(S175)。この結果、例えば、プリンタ100は、インクIkが無いために印刷が継続できなくなった場合には、適切な通知を行うことによって、ユーザにインクカートリッジ200を交換させることができる。
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、印刷が完了した後の残存状態が、インク多状態SAであるかインク少状態SBであるかを、印刷が開始されるよりも前に判断する(S125)。この結果、交換通知画面を適切に表示することができる。例えば、通常印刷の場合に、印刷の開始前に交換通知画面WD1を表示することができる。
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、通常印刷の場合には、通常印刷が完了した後にインクカートリッジ200の残量が0である場合には、通常印刷が開始される前に交換通知画面WD1を表示するだけでなく、通常印刷が完了した後にも、交換通知画面WD3を表示する(S195にてYES、S198)。通常印刷では、パスワードの入力がなくても、印刷が開始されるので、印刷の開始時にユーザがプリンタ100の前にいるとは限らないので、印刷の完了後にもインクカートリッジ200が交換可能である旨を通知することが適切である。本実施例によれば、通常印刷の完了後にも適切にインクカートリッジ200が交換可能である旨を通知することができる。
以上の説明から解るように、第1実施例の機密印刷は、第1の印刷の例であり、通常印刷は、第2の印刷の例である。また、通信IF180は、第1のインタフェースの例であり、操作部150とパスワード入力画面とで構成されるユーザインタフェースは、第2のインタフェースの例である。また、インク少状態SBは、第1の状態の例である。
B.第2実施例
第2実施例では、印刷制御処理が、第1実施例の印刷制御処理(図3)とは異なる。図5は、第2実施例の印刷制御処理のフローチャートである。
図5のS200では、プリンタ100のCPU110は、図3のS100〜S120の処理を実行する。S205では、CPU110は、印刷設定情報を参照して、実行すべき印刷が機密印刷であるか否かを判断する。実行すべき印刷が機密印刷である場合には(S205:YES)、CPU110は、S210〜S245の処理を実行する。実行すべき印刷が機密印刷でない場合には(S205:NO)、すなわち、実行すべき印刷が通常印刷である場合には、CPU110は、S250〜S275の処理を実行する。
S210では、CPU110は、図3のS125と同様に、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200があるか否かを判断する。印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がない場合には(S210:NO)、CPU110は、S235に処理を進める。印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がある場合には(S210:YES)、S212にて、CPU110は、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200に対応する交換通知フラグを「ON」に設定する。
S215では、CPU110は、実行すべき印刷の印刷中に、CMYKの少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になるか否かを判断する。具体的には、S120にて取得されたインク残量RVからS115にて算出されたインク使用量UVを減じて算出されるCMYKの少なくとも1つの印刷後のインク残量RVaが基準量Vth未満であるか否かが判断される。少なくとも1つの印刷後のインク残量RVaが基準量Vth未満である場合には、印刷中に少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になると判断される。
印刷中に少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になる場合には(S215:YES)、S220にて、CPU110は、カートリッジ交換の警告を含むパスワード入力画面WD4を表示部140に表示する。
図6は、通知画面の一例を示す第2の図である。図6(A)には、パスワード入力画面WD4の一例が示されている。図6(A)のパスワード入力画面WD4は、ユーザがパスワードを入力するための入力欄TBと、カートリッジ交換の警告を示すメッセージMS4と、ボタンBTと、を含む。メッセージMS4は、機密印刷を完了するためには、印刷の途中でCMYKの少なくとも1つのインクカートリッジ200の交換が必要である旨を示すとともに、交換が必要なインクカートリッジ200の予備の準備を促すメッセージである。情報データベースIBにパスワードが入力された状態で、ボタンBTが押下されると、CPU110は、情報データベースIBに入力されたパスワードが入力されたと判断する。
S225では、図3のS145と同様に、CPU110は、パスワード入力画面を介して正しいパスワードが入力されたか否かを判断する。正しいパスワードが入力されない場合には(S225:NO)、CPU110は、正しいパスワードが入力されるまで待機する。正しいパスワードが入力された場合には(S225:YES)、CPU110は、S245に処理を進める。
印刷後もCMYKの全ての中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth以上である場合には(S215:NO)、S235に処理を進める。
S235では、図3のS140と同様に、CPU110は、図示しないパスワード入力画面を表示部140に表示する。S240では、図3のS145と同様に、CPU110は、パスワード入力画面を介して正しいパスワードが入力されたか否かを判断する。正しいパスワードが入力されない場合には(S240:NO)、CPU110は、正しいパスワードが入力されるまで待機する。正しいパスワードが入力された場合には(S240:YES)、CPU110は、S245に処理を進める。
S245では、CPU110は、図3のS160〜S198の処理を実行して、印刷制御処理を終了する。これによって、印刷中に少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になった場合には、印刷が中断されてエラー通知画面WD2(図4(B))が表示され、対応するインクカートリッジ200が交換された後に印刷が再開される。そして、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がある場合には、機密印刷の完了後に、交換通知画面WD3が表示される。
実行すべき印刷が機密印刷でない場合には(S205:NO)、S250にて、CPU110は、印刷ジョブに基づく印刷を開始する。S255では、CPU110は、開始された印刷によってインクIkが消費された結果、CMYKのインクカートリッジ200のうち、残量が0になったインクカートリッジ200があるか否かを判断する。換言すれば、本ステップでは、プリンタ100においてCMYKの少なくとも1つのインクIkの残存状態がインク多状態SA(図2(A))からインク少状態SB(図2(B))に遷移したか否かが判断される。例えば、CPU110は、実行すべき印刷において1ページ分の印刷が完了する度に、その時点でのインク残量RVを算出して、インク残量RVが境界インク量BV未満になったか否かを判断する。CMYKの少なくとも1つのインク残量RVが境界インク量BV未満になった場合には、残量が0になったインクカートリッジ200があると判断される。
残量が0になったインクカートリッジ200がある場合には(S255:YES)、S260にて、CPU110は、交換通知画面WD5を表示部140に表示する。図6(B)には、交換通知画面WD5の一例が示されている。図6(B)の交換通知画面WD5は、少なくとも1つのインクカートリッジ200が交換可能になったことを示すメッセージMS5と、ボタンBTと、を含んでいる。ボタンBTが押下されると、交換通知画面WD5の表示は終了される。交換通知画面WD5が表示されても、CPU110は、通常印刷を中断することなく、継続する。上述したように、二室供給方式のプリンタ100は、インクカートリッジ200の残量が0になった後も中間容器175のインクIkを用いて印刷を継続できるためである。
残量が0になったインクカートリッジ200がない場合には(S255:NO)、S260をスキップして、S265に処理を進める。
S265では、図3のS165と同様に、CPU110は、開始された印刷によってインクIkが消費された結果、CMYKの少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になったか否かを判断する。
CMYKの少なくとも1つの中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth未満になった場合には(S265:YES)、S270にて、図3のS170〜S187の処理を実行して、S255に処理を戻す。すなわち、この場合には、印刷が中断されてエラー通知画面WD2(図4(B))が表示され、対応するインクカートリッジ200が交換された後に印刷が再開される。
CMYKの全ての中間容器175内のインクIkの残量が基準量Vth以上である場合には(S265:NO)、S275にて、CPU110は、印刷ジョブに基づく印刷が完了したか否かを判断する。印刷ジョブに基づく印刷が完了していない場合には(S275:NO)、CPU110は、S255に処理を戻す。印刷ジョブに基づく印刷が完了した場合には(S275:YES)、CPU110は、印刷制御処理を終了する。
以上説明した第2実施例によれば、プリンタ100は、機密印刷が完了した後のインクIkの残存状態が、インク少状態SBよりもインクIkの残量が少ないインク無状態SCであるか否かを、機密印刷が開始されるよりも前に判断する(図5のS215)。プリンタ100は、機密印刷が完了した後のインクIkの残存状態がインク無状態SCであると判断される場合には(図5のS215にてYES)、機密印刷が開始されるより前にインク無状態SCとなるインクIkのインクカートリッジ200の準備を促す通知(本実施例では、パスワード入力画面WD4の表示)を実行する(図5のS220)。この結果、例えば、機密印刷中に印刷を中断して、インクカートリッジ200を交換せざるを得なくなり得る場合には、適切にカートリッジの準備を促す通知を実行できる。例えば、ユーザは、このような場合に、機密印刷が開始される前に(例えば、ユーザがパスワードを入力する前に)、インクカートリッジ200を準備することで、機密印刷中に、プリンタ100の前を離れることなく、円滑に機密印刷を行うことができる。
さらに、本実施例によれば、インクカートリッジ200の準備を促す通知が、機密印刷が開始されるための条件であるパスワードの入力のためのパスワード入力画面WD4にて行われる(図6(A))ので、機密印刷が開始される前に確実にインクカートリッジ200の準備を促すことができる。
さらに、本実施例によれば、プリンタ100は、通常印刷の場合には、印刷の途中で、残量が0になるインクカートリッジ200がある場合に(図5のS255にてYES)、印刷の途中でインクカートリッジ200が交換可能であることの通知(本実施例では、交換通知画面WD5の表示)を実行する(図5のS260)。この結果、通常印刷の場合には、印刷の途中でカートリッジの交換を促す通知が行われるので、例えば、ユーザは、印刷中に新しいインクカートリッジ200の準備を行うことができるので便利である。
以上の説明から解るように、第2実施例のインク無状態SCは、第2の状態の例である。
C.第3実施例
第3実施例では、印刷制御処理が、第1実施例の印刷制御処理(図3)および第2実施例の印刷制御処理(図5)とは異なる。図7は、第3実施例の印刷制御処理のフローチャートである。
図7の印刷制御処理では、図5のS200とS205との間に、S202CとS204Cとの処理が追加されている。また、図7の印刷制御処理では、図7の210とS212の間にS211Cの処理が追加されている。図7のその他の処理は、図5の同符号の処理と同じである。なお、図7において、図5のS250〜S275の処理は、図の煩雑を避けるために、S250Cとしてまとめて記載されている。
S120にてCMYKのインク残量RVをそれぞれ取得した後のS202Cでは、CPU110は、図5のS210と同様に、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200があるか否かを判断する。印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がある場合には(S202C:YES)、S204Cにて、CPU110は、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200と交換するための交換用のインクカートリッジ200(交換用カートリッジとも呼ぶ)を発注する。具体的には、CPU110は、交換用カートリッジを発注するためのインク発注情報(例えば、発注すべきインクカートリッジ200の種類を示すコードと、発注するインクカートリッジ200の納品先(例えば、住所と宛名)を示す情報)を、事業者サーバ400に送信する。
インク発注情報を受信した事業者サーバ400は、交換用カートリッジの配送処理を実行する(図示省略)。例えば、事業者サーバ400は、配送担当者に交換用カートリッジの配送指示を通知し、配送が完了した旨の入力を受け付ける。配送担当者は、交換用カートリッジをプリンタ100のユーザ宛に配送し、配送が完了するとその旨を事業者サーバ400に入力する。事業者サーバ400に配送が完了した旨が入力されると、事業者サーバ400は、配送通知を、プリンタ100に送信する。
S210にて、CMYKのインクカートリッジ200のうち、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200がある場合には(S210:YES)、S211Cにて、CPU110は、印刷後に残量が0であるインクカートリッジ200のうちの少なくとも1つについて、交換用カートリッジの配送通知を受信済みであるか否かを判断する。
交換用カートリッジの配送通知が受信済みである場合には(S211C:YES)、S212にて、CPU110は、CMYKのうち、交換用カートリッジの配送通知を受信済みであるインクカートリッジ200に対応する交換通知フラグを「ON」に設定する。例えば、CとMのインクカートリッジ200の残量が印刷後に0である場合に、Cの交換用カートリッジの配送通知が受信済みであり、Mの交換用カートリッジの配送通知が未受信である場合には、Cに対応する交換通知フラグは「ON」に設定され、Mに対応する交換通知フラグは「OFF」に維持される。
交換用カートリッジの配送通知が受信されていない場合には(S211C:NO)、CPU110は、S212をスキップする。
以上説明した第3実施例によれば、プリンタ100は、インクカートリッジ200の印刷後の残量が0であり(図7のS210にてYES)、かつ、該インクカートリッジ200の交換用カートリッジの配送通知が受信済みである場合に(図7のS212CにてYES)、該インクカートリッジ200に対応する交換通知フラグを「ON」に設定する(図7のS212)。換言すれば、プリンタ100は、機密印刷が完了した後の残存状態が、インク少状態SBであり、かつ、交換用のカートリッジが配送済みである場合に、機密印刷が完了した後に、該インクカートリッジ200の交換を促す通知を実行する。そして、インクカートリッジ200は、機密印刷が完了した後の残存状態が、インク少状態SBであり、かつ、交換用のカートリッジが配送済みでない場合に、該インクカートリッジ200の交換を促す通知を実行しない。この結果、交換用のカートリッジが配送済みであるか否かに応じて、適切なタイミングでインクカートリッジ200の交換を促すことができる。例えば、機密印刷の完了後に、交換用のカートリッジが配送されていないにも拘わらずに、ユーザが交換用のカートリッジを探すなどの不都合を抑制することができる。
D.変形例
(1)上記各実施例では、機密印刷を開始するための特定の入力としてのパスワードは、操作部150とパスワード入力画面とで構成されるユーザインタフェースを介してプリンタ100によって取得される。これに代えて、特定の入力は、ユーザを識別するための他の情報、例えば、ユーザIDであっても良い。また、ユーザIDやパスワードは、他のインタフェース(例えば、ユーザインタフェースや通信インタフェース)を介してプリンタ100によって取得されても良い。例えば、プリンタ100が、NFC(Near Field Communicationの略)などの通信可能な距離が比較的短い無線通信のインタフェースを備えても良い。この場合には、これらの無線通信による情報送信機能を備えるICカードや携帯端末に、ユーザIDやパスワードなどが記憶される。そして、ユーザがこれらの無線インタフェースにICカードや携帯端末を近づける操作に基づいて、ユーザIDやパスワードなどが該無線インタフェースを介してプリンタ100に入力されても良い。
(2)上記各実施例では、プリンタ100の印刷実行部170は、インクジェット式の印刷実行部である。これに代えて、印刷実行部170は、トナーを印刷材として用いて画像を印刷する電子写真式(例えば、レーザ式)の印刷実行部であっても良い。この場合には、印刷実行部170は、トナーカートリッジを装着可能な装着部と、装着部に装着されるトナーカートリッジに収容されるトナーを用いて印刷を実行する印刷機構と、装着部に装着されるトナーカートリッジから印刷機構に至るトナーの経路に配置される容器(例えば、トナーが一時的に貯留されるサブタンク)と、を備えても良い。このような二室供給方式のトナー供給方式を備えるプリンタが採用されても良い。
(3)上記第3実施例のS217C(図5)では、プリンタ100は、交換用カートリッジの準備が配送済みの段階まで進んだか否かを判断している。これに代えて、交換用カートリッジの準備が別の特定段階まで進んだか否かが判断されても良い。例えば、交換用カートリッジの準備が、当該カートリッジが店舗からユーザ宛に郵送中の段階まで進んだか否かが判断されても良いし、交換用カートリッジの準備が、当該カートリッジが工場から出荷された段階まで進んだか否かが判断されても良い。
(4)上記各実施例では、プリンタ100は、機密印刷と通常印刷との2種類の印刷を実行することができる。これに代えて、プリンタ100は、機密印刷の機能を備えず、通常印刷だけを実行できても良い。この場合には、機密性の高い印刷物も通常印刷で印刷されることになるので、通常印刷においてインクカートリッジ200の交換のためにユーザがプリンタ100から離れることを抑制すべく、通常印刷において上記各実施例の機密印刷と同じタイミングでインクカートリッジ200の交換や準備を促す通知が実行されても良い。
(5)上記各実施例では、機密印刷と通常印刷との間でインクカートリッジ200の交換を促す通知のタイミングを変えている。これに代えて、機密印刷と通常印刷との両方において上記各実施例の機密印刷と同じタイミングでインクカートリッジ200の交換や準備を促す通知が実行されても良い。例えば、機密印刷であっても通常印刷であっても印刷中に残量が0になるインクカートリッジ200がある場合には、印刷の完了後に、カートリッジの交換を促す通知が実行されても良い。この場合には、例えば、プリンタ100は、残量が0になったインクカートリッジ200があるか否かを、印刷の完了後に判断しても良い。
(6)上記各実施例では、プリンタ100のCPU110が、印刷ジョブに含まれる画像データ(例えば、RGB画像データ)を用いて、ハーフトーン処理などの生成処理を実行して印刷データを生成している(図3のS110)。これに代えて、印刷ジョブの送信元の端末装置300のCPU110が、画像データを用いて印刷データを生成し、該印刷データを含む印刷ジョブをプリンタ100に送信しても良い。この場合には、プリンタ100において、図3のS110は実行されない。
(7)上記各実施例では、プリンタ100は、CMYKのインクIkを用いてカラー画像を印刷する印刷機構171を備える。これに代えて、プリンタ100は、1色のインク(例えば、ブラック(K))を用いてモノクロ画像を印刷する印刷機構171を備えても良い。
(8)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
(9)本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。