JP2020103125A - 冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤 - Google Patents

冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ブランチング処理後の生ウニの冷凍・解凍による、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制された生ウニを提供するために使用される、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤を提供すること。【解決手段】エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤。前記抽出物を0.1〜800ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%である、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液。【選択図】なし

Description

本発明は、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液、及び、該水溶液を用いた生ウニ又は冷凍生ウニの製造方法に関する。
ウニは特異な風味を持ち、魚介類の中でも人気が高い食材である。ウニには塩ウニ、焼きウニ、蒸しウニ等の加工品もあるが、すし種、刺身等で食される生ウニが最も好まれている。しかしながら、生ウニは、品質保持が難しい海産物の中でも特に品質の劣化が速く、水揚げ後、低温下で保存しても2、3日程度しか鮮度を保持できない。そのため、安全で鮮度の良い生ウニを輸送できる範囲は限定されている。国内流通では塩水ウニもあるが、流通している生ウニのほとんどはミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)水溶液に浸漬させており、これによると独特の苦味・エグ味が生じ、ウニ本来の風味が損なわれる。また、少しでも遠方に運ぶために、水槽に海水を入れて酸素を供給しながら魚介類を生きたまま定温輸送する方法があるが、この方法では温度管理や酸素管理に大型の装置を必要とし、経済効率の点で望ましいものではなかった。
そこで、水揚げ直後の生ウニを冷凍してから輸送または保存し、解凍した生ウニを食することが一般的に行われている。しかし、生ウニを冷凍・解凍すると、ウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が低下したり、ウニが身崩れして糊状に溶解(糊状化)する、いわゆる冷凍障害が発生することで商品価値が低くなる問題があった。
チリやロシアからの冷凍ウニの輸入に際しては、生ウニの表皮部を加熱処理し凝固させる処理(ブランチング処理)を行ってから冷凍することで、解凍時の表皮組織の崩壊を抑制する手法が実施されている。しかし、ブランチング処理された冷凍ウニであっても、解凍後の保形性は十分ではなく身崩れを十分に防止することはできない。身崩れをより防止しようとブランチング処理による加熱時間を長くしたり加熱温度を上げると、ブランチング処理前の生ウニと比較してウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が著しく劣化してしまう。
特許文献1では、生ウニにトレハロースを含有せしめた後、表皮部を加熱処理し、凍結することによって、旨味の減少と、エグ味の増加を起こすことなく長期間の保存を可能とし、解凍時の身崩れを抑制することが記載されている。しかし、この方法によっても、ブランチング処理後の冷凍・解凍による身崩れを抑制する効果は十分ではなく、また、加熱によって生ウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が損なわれていた。
特開2004−81136号公報
本発明の目的は、ブランチング処理後の生ウニの冷凍・解凍による、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制された生ウニを提供するために使用される、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液、及び、該水溶液を用いた生ウニ又は冷凍生ウニの製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の抽出物を特定量含有した特定の塩化ナトリウム濃度の水溶液に、活ウニを特定時間浸漬保持することで、生ウニにブランチング処理及び冷凍・解凍を行った際に生じ得る風味や食感の低下及び糊状化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤に関する。当該冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤は、前記抽出物を、前記冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤の乾燥重量全体中、乾燥重量で50〜100重量%含む。
本発明の第二は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%である、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液に関する。当該水溶液は、前記冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤を用いたものであってもよい。
本発明の第三は、温度が1〜25℃の範囲にある前記水溶液中に、酸素が供給された状態で10〜15000分間浸漬された活ウニの殻を剥き、ブランチング処理された生ウニに関し、また、前記生ウニが冷凍された冷凍生ウニにも関する。さらに、前記冷凍生ウニが解凍された生ウニにも関する。
本発明の第四は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%、温度が1〜25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活ウニを10〜15000分間浸漬した後、殻を剥き、ブランチング処理してから冷凍することを特徴とする、冷凍生ウニの製造方法に関する。
本発明に従えば、ブランチング処理後の生ウニの冷凍・解凍による、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制された生ウニを提供するために使用される、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液、及び、該水溶液を用いた生ウニ又は冷凍生ウニの製造方法を提供することができる。本発明によると、生ウニのブランチング処理及び冷凍・解凍を行っても、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制され、いわゆる冷凍障害を抑制することができる。また、本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤及び浸漬処理用水溶液は、有機酸など異味を呈する成分を含む必要がないので、これらに由来する異味が生ウニに付着することも回避できる。更には、本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤及び浸漬処理用水溶液は、食品添加物の表示が要請される材料を必須とするものではないので、食品添加物表示を避けることが可能である。本発明によると、生ウニのブランチング処理後に長時間の冷凍保存を行い解凍しても、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制されるので、ウニ本来の濃厚な風味、滑らかな食感と外観を維持した生ウニを輸送可能なエリアを拡大することができる。
ブランチング処理における好適な加熱時間と加熱温度の関係を示すグラフ
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤は、ブランチング処理後の生ウニの冷凍・解凍によって生じ得る、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制するためのもので、特定の抽出物を含有する。本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤は、塩水に配合して使用されるもので、生ウニをブランチング処理する前に、本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤を含む塩水に活ウニを浸漬することで本発明の目的を達成することができる。
本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤で使用する抽出物は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物である。
前記エノキタケ抽出物としては特に限定されないが、例えば、エノキタケの子実体を熱水及び/又はアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、酵素やアルカリ性の溶媒でエノキタケの子実体を分解してから熱水やアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、更にはこれら抽出物を濃縮した濃縮液、前記抽出物または前記濃縮液を乾燥して得られた粉末等が挙げられる。これら抽出物は、消費者の安心安全志向から、水や天然由来エタノール以外の溶媒を用いない抽出物が好ましい。但し、コスト面を考えると、水がより好ましい。
抽出時の抽出溶媒の温度は、抽出溶媒の種類によって好適な温度幅が変動し得るが、一般に、抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃〜抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)が好ましい。抽出時の抽出溶媒の温度が、該抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃より低いと、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果が弱くなる場合があり、大気圧下での沸点(℃)より高くなると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。
前記エノキタケは、タマバリタケ科のキノコの一種であるFlammulina属velutipes種のことをいう。特に限定されないが、人工的に栽培した白色かつもやし状の市販エノキタケを使用することができる。かかる市販エノキタケは、一般に食用とされており、容易に入手可能である。
前記酵母抽出物としては特に限定されないが、例えば、酵母を熱水やアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、酵素やアルカリ性の溶媒で酵母を分解してから熱水やアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、更にはこれら抽出物を濃縮した濃縮液、前記抽出物または前記濃縮液を乾燥して得られた粉末等が挙げられる。これら抽出物は、消費者の安心安全志向から、水や天然由来エタノール以外の溶媒を用いない抽出物が好ましい。但し、コスト面を考えると、水がより好ましい。
抽出時の抽出溶媒の温度は、抽出溶媒の種類によって好適な温度幅が変動し得るが、一般に、抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃〜抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)が好ましい。抽出時の抽出溶媒の温度が、該抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃より低いと、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果が弱くなる場合があり、大気圧下での沸点(℃)より高くなると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。
前記酵母は、嫌気環境下で発酵する際に、糖を資化してアルコールを生成する微生物のことをいう。具体例として、サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母や、キャンディダ(Candida)属に属する酵母等が挙げられるが、特に限定されない。食経験が豊富である観点から、前記酵母は、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)であってもよく、研究等で知見が多い観点から、前記酵母は、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)であってもよい。
前記大麦抽出物としては特に限定されないが、例えば、大麦を熱水やアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、酵素やアルカリ性の溶媒で大麦を分解してから熱水やアルコール等の抽出溶媒で抽出した抽出物、更にはこれら抽出物を濃縮した濃縮液、前記抽出物または前記濃縮液を乾燥して得られた粉末等が挙げられる。これら抽出物は、消費者の安心安全志向から、水や天然由来エタノール以外の溶媒を用いない抽出物が好ましい。但し、コスト面を考えると、水がより好ましい。
抽出時の抽出溶媒の温度は、抽出溶媒の種類によって好適な温度幅が変動し得るが、一般に、抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃〜抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)が好ましい。抽出時の抽出溶媒の温度が、該抽出溶媒の大気圧下での沸点(℃)−20℃より低いと、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果が弱くなる場合があり、大気圧下での沸点(℃)より高くなると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。
前記大麦は、中央アジア原産のイネ科の植物で、学名をHordeum vulgareといい、二条大麦と六条大麦、皮麦とはだか麦、うるち種ともち種に分類されるものをいう。
本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を、該ブランチング前処理剤の乾燥重量全体に対し乾燥重量で50〜100重量%含有することが好ましい。より好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%である。50重量%よりも少ないと、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果を発揮できない場合がある。当該ブランチング前処理剤に含まれ得る前記抽出物以外の固形分としては特に限定されず、天然由来の固形分であれば何を含有しても良い。
本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤の形状は特に限定されず、水溶液等の液体の形状であってもよいし、粉末状、顆粒状、ブロック状等の固形の形状であってもよい。
本発明の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤は、これを真水、海水、または塩水に添加することで、次に説明する本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液を調製するために使用することができる。また、収穫した活ウニを一時的に飼育している生け簀に、当該ブランチング前処理剤を投入することで、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果を得ることもできる。
本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液は、前記抽出物を含有するものである。該水溶液に活ウニを浸漬することで使用されるものであり、この使用後に、活ウニを前記水溶液から取り出し、殻を剥いて得た生ウニをブランチング処理に供し、次いで冷凍保存、さらに解凍した際に、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制された生ウニを得ることができる。
本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液は、前記抽出物を乾燥重量で0.1〜800ppm含有することが好ましい。当該含有量は、1〜700ppmがより好ましく、6〜600ppmが更に好ましく、30〜600ppmが特に好ましい。0.1ppmより少ないと、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果を発揮できない場合がある。800ppmを越えると前記抽出物に由来する色素成分がウニに付着したり、ウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が損なわれる場合がある。
本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液の塩化ナトリウム濃度は、2〜3.5重量%が好ましく、2.3〜3.5重量%がより好ましく、2.3〜3.2重量%がさらに好ましく、2.5〜3重量%が特に好ましい。塩化ナトリウム濃度が2重量%未満、又は3.5重量%を超えると、該水溶液中でウニが生育できず、却ってウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が損なわれる場合がある。
本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液は、上記塩化ナトリウム濃度を満足する限り、塩化ナトリウム以外の塩類を含有していてもよい。しかし、塩化ナトリウム以外の塩類の含有量は、塩化ナトリウム重量に対して1/3の重量までに制限することが好ましい。塩化ナトリウム以外の塩類の種類としては食品添加物として使用し得る塩類であれば特に限定されない。
前記浸漬処理用水溶液は、上記塩化ナトリウム濃度を満足する限り、真水に食塩を添加して製造されたものであってもよいし、海水を利用して、又は、海水の塩化ナトリウム濃度を調整したものを利用して製造されたものであってもよい。
生ウニをブランチング処理に供する前に、本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液に活ウニを浸漬し一定時間保持することで、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制されたウニを製造することができる。当該製造の具体的態様の一例は以下のとおりである。必要に応じ前記水溶液を殺菌した後、該水溶液の温度を、好適には1〜25℃の範囲とし、該水溶液に酸素を供給しつつ活ウニを浸漬して、好適には10〜15000分間保持する。その後、該水溶液から活ウニを取り出すことで、その後、殻を剥いて得た生ウニのブランチング処理及び冷凍・解凍を行っても、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化が抑制されたウニを得ることができる。水溶液の殺菌方法としては特に限定されず、例えば、紫外線照射による殺菌、オゾン殺菌、塩素殺菌などを行なえばよい。
前記水溶液の温度は1〜25℃の範囲でコントロールすることが好ましく、1〜20℃がより好ましく、3〜17℃が更に好ましく、5〜15℃が特に好ましい。該温度が1℃より低い又は25℃より高いと、前記水溶液中で活ウニの活動が低下して、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果を発揮できない場合がある。
前記水溶液への酸素の供給方法としては、ウニの生育に必要な溶存酸素濃度を確保できれば、どのような方法であってもよい。
活ウニを前記水溶液中で保持する浸漬時間は、10〜15000分間が好ましく、10〜9000分間がより好ましく、50〜7200分間が更に好ましく、100〜3000分間が特に好ましく、150〜2000分間が極めて好ましい。浸漬時間が10分間より短いと浸漬処理時間が不足し、ウニ本来の濃厚な風味及び滑らかな食感の低下、並びに身崩れによる糊状化を抑制する効果を発揮できない場合がある。また15000分間より長いとウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感が損なわれる場合がある。
以上で説明した本発明の活ウニの浸漬処理用水溶液への活ウニの浸漬処理は、静置した水槽で行なってもよいし、水槽ごと輸送しつつ行なってもよい。輸送しながら該浸漬処理を行う場合であっても、本発明の方法によると、水溶液の温度が前述した範囲内にあれば厳格な温度管理を行なう必要がないので、従来の魚介類を生きたまま輸送する方法と比較して輸送コストを抑制することができる。
本発明の生ウニの製造方法によると、前述のように活ウニを前記水溶液に特定時間浸漬した後、水揚げしてから殻を剥き、得た生ウニをブランチング処理に供する。ブランチング処理とは、生ウニを短時間加熱して、ウニの内部は生の状態を維持したまま、ウニの表皮部のみを凝固させる処理をいう。ブランチング処理は公知の処理であってよく、特に限定されないが、例えば、加温した水に生ウニを浸漬したり、蒸したり、あぶったりする方法が挙げられる。なお、ブランチング処理後の生ウニは速やかに冷却することが好ましい。
ブランチング処理時の加熱時間と加熱温度としては、ウニの内部は生の状態を維持したまま、ウニの表皮部のみを凝固させる目的を満足する条件であれば特に限定されないが、例えば、加熱時間は30秒間以下、加熱温度は60℃以上130℃以下の範囲内において適宜設定することができる。より具体的には、図1で示す領域の範囲内にある加熱時間と加熱温度を選択することが好ましい。図1は、ブランチング条件における好適な加熱時間と加熱温度の関係を示すグラフである。図1中の破線で囲まれた領域は、(1秒、130℃)、(1秒、80℃)、(5秒、60℃)、(30秒、60℃)、(7秒、130℃)の5点を結んだ領域である。この領域の範囲内にある加熱時間と加熱温度にてブランチング処理を行うことで、本発明の効果をより好適に達成することができる。一例として、加熱温度が100℃の場合、好ましい加熱時間は1〜約16秒間である。より好ましい加熱時間は1〜10秒間、さらに好ましくは1〜5秒間、より更に好ましくは1〜3秒間である。
本発明では活ウニを前記水溶液に特定時間浸漬することで、ブランチング処理の時間が短めであったり、又は温度が低めであっても、身崩れによる糊状化を抑制する効果を得ることができる。また、ブランチング処理の時間を短くしたり、又は温度を低くすることができるので、生ウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感を、ブランチング処理で大きく損なうことなく、維持することができる。
本発明の生ウニの製造方法に従って得られたウニは、前記ブランチング後に冷凍で1週間〜24カ月間程度保存後、解凍しても、身崩れによる糊状化が抑制されており、ウニ本来の濃厚な風味や滑らかな食感を保持している。
本発明を適用可能なウニの種類は、殻を剥いてウニの生殖巣を食することができるウニであれば、特に限定されない。具体例としては、バフンウニ、エゾバフンウニ、ムラサキウニ、キタムラサキウニ、ツガルウニ、シラヒゲウニ、アカウニ、サンショウウニ等が挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
(製造例1) エノキタケ抽出物の作製
市販のエノキタケ(子実体)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.6重量%のエノキタケ抽出物を得た。得られたエノキタケ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は17mPa・sであった。
(製造例2) 酵母抽出物の作製
パン酵母(株式会社カネカ製「カネカイーストGA」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が1.0重量%の酵母抽出物を得た。得られた酵母抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は8mPa・sであった。
(製造例3) 大麦抽出物の作製
大麦粉(石橋工業株式会社製「大麦粉」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.5重量%の大麦抽出物を得た。得られた大麦抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は5mPa・sであった。
(製造例4) 昆布抽出物の作製
真昆布(株式会社くらこん製「真昆布」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が2.0重量%のコンブ抽出物を得た。得られたコンブ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は120mPa・sであった。
<濃厚な風味の評価>
実施例および比較例において得たウニの濃厚な風味は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーに生ウニを食してもらい、以下の基準により評価した。10人の各評価点の平均値を評価値とした。
5点:実施例9のウニよりも非常に良く、濃厚な風味を非常に強く感じる。
4点:実施例9のウニよりも良く、濃厚な風味を強く感じる。
3点:実施例9のウニと同等で、濃厚な風味が感じられる。
2点:実施例9のウニよりも悪く、濃厚な風味が感じられ難い。
1点:実施例9のウニよりも非常に悪く、濃厚な風味がほとんど感じられない。
<滑らかな食感の評価>
実施例および比較例において得たウニの滑らかな食感は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーに生ウニを食してもらい、以下の基準により評価した。10人の各評価点の平均値を評価値とした。
5点:実施例9のウニよりも非常に良く、非常に滑らかな食感である。
4点:実施例9のウニよりも良く、滑らかな食感である。
3点:実施例9のウニと同等で、やや表面が固いが滑らかな食感である。
2点:実施例9のウニよりも悪く、ザラザラした食感である。
1点:実施例9のウニよりも非常に悪く、非常にザラザラした食感である。
<身崩れによる糊状化の評価>
実施例および比較例において得たウニの身崩れによる糊状化の程度は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより、以下の基準に基づき目視で評価し、その平均値を評価値とした。
5点:実施例9のウニよりも全く身崩れしておらず、冷凍前と変わらない形を維持している。
4点:実施例9のウニよりも身崩れが少なく、糊状化していない。
3点:実施例9のウニと同等で、やや身崩れしているが、糊状化していない。
2点:実施例9のウニよりも身崩れし、半数以上糊状化している。
1点:実施例9のウニよりも非常に身崩れし、完全に糊状化している。
<総合評価>
濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価が全て4.5点以上5.0点以下を満たしているもの。
B:濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価が全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.5未満が少なくとも一つあるもの。
C:濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価が全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあるもの。
D:濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価が全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあるもの。
E:濃厚な風味の評価、滑らかな食感の評価、及び、身崩れによる糊状化の評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの。
(実施例1)
表1の配合に従い、製造例1で得られたエノキタケ抽出物1重量%と、食塩3重量%を配合した水溶液200リットルを水槽に満たし、水温を10℃にコントロールした。該水槽に、活ウニ10体を浸漬し、酸素を供給しながら、720分間保持した後、水揚げした。水揚げ後、速やかにウニの殻を剥いて身を取り出し、3%の食塩水で洗浄した後、100℃の熱水に2秒間くぐらせて(ブランチング処理)、5℃まで冷却した。得られた生ウニを包装して−20℃で冷凍した。その温度で1ヶ月間冷凍保存した後、ウニを冷凍庫から取り出し、0℃で6時間放置して解凍した。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表1に示した。
Figure 2020103125
(実施例2)
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例2で得られた酵母抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表1に示した。
(実施例3)
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例3で得られた大麦抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表1に示した。
(比較例1)
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例4で得られた昆布抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表1に示した。
(比較例2)
この比較例は、特許文献1(特開2004−81136号公報)の実施例に記載されたサンプルAの配合に準拠したものである。表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物を配合せず、トレハロースを配合した以外は実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1から明らかなように、抽出物の0.5%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度が3〜50mPa・sの範囲にあるエノキタケ抽出物(製造例1)、酵母抽出物(製造例2)、又は、大麦抽出物(製造例3)を含む食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1〜3)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特にエノキタケ抽出物を含む食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。一方、抽出物の0.5%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度が120mPa・sの昆布抽出物(製造例4)を含む食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(比較例1)は、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ難く、身崩れして半数以上が糊状化していた。また、トレハロースを含む食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(比較例2)も、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ難く、身崩れして半数以上が糊状化していた。
(実施例4及び5、比較例3)
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物の配合量を1.0重量%から、0.1重量%(実施例4)、10.0重量%(実施例5)、又は、15.0重量%(比較例3)に変更した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表2に示した。
Figure 2020103125
(比較例4)
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表2に示した。
表2から明らかなように、水溶液中のエノキタケ抽出物の固形分量が0.1〜800ppmの範囲にある食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1、4、及び5)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が強く感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特に前記固形分量が60ppmの食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。一方、エノキタケ抽出物の固形分量が900ppmの食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(比較例3)は、ザラザラした食感であり、身崩れして半数以上が糊状化していた。また、エノキタケ抽出物を含有しない食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(比較例4)は、ウニ本来の濃厚な風味がほとんど感じられず、非常にザラザラした食感であり、身崩れして半数以上が糊状化していた。
(実施例6)
表3の条件に従い、塩を含む水溶液の種類を食塩水から海水へ変更した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表3に示した。
Figure 2020103125
(比較例5)
この比較例は、特開2010−154799号公報の実施例1−1に記載された貝類の品質改良剤に準拠したものである。表3の配合に従い、水溶液に添加する塩の種類を食塩から乳酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムへ変えた以外は、実施例1と同様にして活ウニを浸漬保持した後、水揚げした。
表3から明らかなように、エノキタケ抽出物を含み塩化ナトリウムの含有量が2〜3.5重量%の範囲にある水溶液に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1、及び6)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が非常に強く感じられ、非常に滑らかな食感であり、全く身崩れしておらず、冷凍前と変わらない形を維持していた。一方、エノキタケ抽出物を含有するが塩化ナトリウムの代わりに乳酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを合計で3.5重量%含有する水溶液に浸漬した活ウニ(比較例5)は、720分間の浸漬によって死滅してしまった。
(実施例7及び8)
表4の条件に従い、水溶液の水温を10℃から、5℃(実施例7)、又は、20℃(実施例8)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表4に示した。
Figure 2020103125
表4から明らかなように、エノキタケ抽出物を含み水温が1〜25℃の食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1、7、及び8)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特にエノキタケ抽出物を含み水温が10℃の食塩水に浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られたもの(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。
(実施例9−11、比較例6及び7)
表5の条件に従い、水溶液へのウニの浸漬時間を720分間から、15分間(実施例9)、3000分間(実施例10)、14400分間(実施例11)、5分間(比較例6)、又は、17280分間(比較例7)に変更した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表5に示した。
Figure 2020103125
表5から明らかなように、エノキタケ抽出物を含む食塩水に10〜15000分間浸漬し、ブランチング処理及び冷解凍して得られた生ウニ(実施例1、及び9−11)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特に浸漬時間を720分間とした生ウニ(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。一方、浸漬時間が5分間の生ウニ(比較例6)は、ザラザラした食感であり、身崩れして半数以上が糊状化していた。また、浸漬時間が17280分間の生ウニ(比較例7)は、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ難く、ザラザラした食感であり、身崩れして半数以上が糊状化していた。
(実施例12−14)
表6の条件に従い、ブランチング処理の時間を2秒間から、0秒間(実施例12)、5秒間(実施例13)、又は、10秒間(実施例14)に変更した以外は、実施例1と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表6に示した。
(比較例8−10)
表6の条件に従い、ブランチング処理の時間を2秒間から、0秒間(比較例8)、5秒間(比較例9)、又は、10秒間(比較例10)に変更した以外は、比較例4と同様にして生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表6に示した。
Figure 2020103125
表6から明らかなように、エノキタケ抽出物を含む食塩水に浸漬した後ブランチング処理を0〜10秒間行い、冷解凍して得られた生ウニ(実施例1、及び12−14)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味が感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特にブランチング処理を2秒間行い、冷解凍して得られた生ウニ(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。一方、エノキタケ抽出物を含有しない食塩水に浸漬した後ブランチング処理を0〜10秒間行い、冷解凍して得られた生ウニ(比較例4、及び8−10)は、いずれも、ウニ本来の濃厚な風味がほとんど感じられず、非常にザラザラした食感であった。またこれらの比較例では、ブランチング処理の時間が長くなるにつれて糊状化の程度は改善する傾向が見られたものの、2秒間のブランチング処理を行った比較例4では、身崩れして半数以上が糊状化しており、ブランチング処理を行っていない比較例8では完全に糊状化していた。
(実施例15及び16)
表7の条件に従い、冷凍保存期間を1カ月間から、6カ月間(実施例15)、又は、0時間(実施例16)に変更した以外は実施例1と同様にして、生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表7に示した。
Figure 2020103125
(比較例11)
表7の条件に従い、冷凍保存期間を1カ月間から、6カ月間に変更した以外は比較例4と同様にして、生ウニを得た。得られた生ウニについて、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、身崩れによる糊状化の各評価を行った。それらの結果を表7に示した。
表7から明らかなように、エノキタケ抽出物を含む食塩水に浸漬した後、ブランチング処理を行い、0時間〜6カ月間冷凍保存し、解凍して得られた生ウニ(実施例1、15及び16)はいずれも、ウニ本来の濃厚な風味が強く感じられ、滑らかな食感であり、糊状化していなかった。特に、食塩水から水揚げ後身を剥いてブランチング処理を行い冷凍保存せずに得られた生ウニ(実施例16)、及び、食塩水から水揚げ後身を剥いてブランチング処理を行い1カ月間冷凍保存し、解凍して得られた生ウニ(実施例1)の風味、食感及び糊状化の程度は極めて良好な評価であった。一方、エノキタケ抽出物を含有しない食塩水に浸漬した後、身を剥いてブランチング処理を行い1カ月間又は6カ月間冷凍保存し、解凍して得られた生ウニ(比較例4及び11)は、ウニ本来の濃厚な風味がほとんど感じられず、非常にザラザラした食感であり、身崩れして半数以上が糊状化していた。

Claims (8)

  1. エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む、冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤。
  2. 前記抽出物を、前記冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤の乾燥重量全体中、乾燥重量で50〜100重量%含む、請求項1に記載の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤。
  3. エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%である、ブランチング処理に供する活ウニの浸漬処理用水溶液。
  4. 請求項1又は2に記載の冷凍生ウニ用ブランチング前処理剤を用いた請求項3に記載の水溶液。
  5. 温度が1〜25℃の範囲にある請求項3又は4に記載の水溶液中に、酸素が供給された状態で10〜15000分間浸漬された活ウニの殻を剥き、ブランチング処理された生ウニ。
  6. 請求項5に記載の生ウニが冷凍された冷凍生ウニ。
  7. 請求項6に記載の冷凍生ウニが解凍された生ウニ。
  8. エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%、温度が1〜25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活ウニを10〜15000分間浸漬した後、殻を剥き、ブランチング処理してから冷凍することを特徴とする、冷凍生ウニの製造方法。
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