JP2020100873A - 蒸着マスク、それに用いる金属張積層体及び液晶ポリマーフィルム - Google Patents

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智典 安藤
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Abstract

【課題】低CTE化が可能であり、尚且つポリイミドよりも低吸湿率な樹脂素材を使用し、高精細化への対応が可能な蒸着マスクを提供する。
【解決手段】 蒸着マスク100は、開口部11を有する金属層10と、該金属層10に積層された、開口部21を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層20と、を備えている。樹脂層20の熱膨張係数(CTE)は、開口部21を有しない樹脂フィルムの状態で、10×10−6/K以下であり、−10×10−6/K以上10×10−6/K以下の範囲内が好ましく、−8×10−6/K以上8×10−6/K以下の範囲内がより好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、被蒸着体上に一定形状の薄膜パターンを蒸着形成するための蒸着マスクに係るものであって、例えば有機EL表示装置等で必要な高精細な薄膜パターンの形成を可能にする蒸着マスク、それに用いる金属張積層体及び液晶ポリマーフィルムに関する。
例えば、有機EL表示装置は、テレビのような大型ディスプレイをはじめ、携帯電話、パソコン、スマートフォンなどの小型ディスプレイや、照明等に使用されている。この有機EL表示装置では、ガラスや樹脂からなる被蒸着体(被蒸着基板)上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を形成し、更に電極、発光層、電極を順次形成して、最後に別途ガラス基板や多層薄膜等で気密封止して作られる。有機EL表示装置の発光層、カソード電極の形成には、被蒸着体に対して蒸着すべき領域に、例えば、多数の微細な開口部を配列してなる蒸着マスクを使用し、真空蒸着を行うことで微細な蒸着パターンを形成している。
今後、有機EL表示装置は、さらに高精細化していくことが予想される。そのため、パターンを形成するための蒸着マスクについても、高精細化に対応することが求められる。高精細化に対応可能な蒸着マスクとして、近年では樹脂層と金属層とが積層された構造のFHM(ファイン・ハイブリッド・マスク)が提案されている。例えば特許文献1では、金属層とポリイミド層との積層体からなり、液晶ポリマー層の熱膨張係数(CTE)が面内の全ての方向で10×10−6/K以下であることによって、高精細化への対応が可能な蒸着マスクが提案されている。
特開2018−24932号公報
ポリイミドは熱膨張係数を10×10−6/K以下に制御可能なため、蒸着工程での熱履歴による寸法変化が小さく、高精細化への対応が図りやすいという長所がある。その一方で、ポリイミドは、吸湿率が大きいため、蒸着工程で装置内を真空にした際に、樹脂層から水が脱出することで寸法変化が発生する懸念がある。そのため、低CTE化が可能であり、ポリイミドよりも低吸湿率の樹脂材料を使用する蒸着マスクの提供が望まれていた。
従って、本発明の目的は、低CTE化が可能であり、尚且つポリイミドよりも低吸湿率な樹脂素材を使用し、高精細化への対応が可能な蒸着マスクを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の液晶ポリマーを用いることにより、低CTE化が可能で高い寸法安定性を実現しつつ、樹脂層の吸湿率を抑制することが可能となり、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、開口部を有する金属層と、該金属層に積層された、開口部を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を備えた蒸着マスクであって、
前記樹脂層の熱膨張係数(CTE)が、前記開口部を有しない樹脂フィルムの状態で、10×10−6/K以下であることを特徴とする。
本発明の蒸着マスクは、前記樹脂層の総厚みが、2μm以上30μm以下の範囲内であってもよい。
本発明の蒸着マスクは、前記金属層が、インバー又はインバー合金により構成されていてもよい。
本発明の蒸着マスク形成用金属張積層体は、金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を有する蒸着マスク形成用金属張積層体であって、
前記樹脂層の熱膨張係数(CTE)が、前記開口部を有しない樹脂フィルムの状態で、10×10−6/K以下であることを特徴とする。
本発明の蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムは、開口部を有する金属層と、該金属層に積層された、開口部を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を備えた蒸着マスクにおいて前記液晶ポリマー層の少なくとも1層を形成するための蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムであって、
熱膨張係数(CTE)が、10×10−6/K以下であることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂層と金属層とが積層した積層体からなる蒸着マスクにおいて、樹脂層に液晶ポリマーを使用することによって、樹脂層の低CTE化と低吸湿率とを両立できる。そのため、高い寸法安定性から微細な加工にも好適である。
従って、本発明の蒸着マスクによれば、例えば有機EL表示装置といった表示装置の大画面化や、スマートフォン等で用いられる小型ディスプレイの生産効率の向上、更なる高精細化等にも対応することができるようになる。
本発明の一実施の形態に係る蒸着マスクの要部拡大断面図である。 蒸着マスクの製造工程例を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
[蒸着マスク]
図1は、本発明の一実施の形態に係る蒸着マスクの構造を説明するための要部拡大断面図である。蒸着マスク100は、金属層10と樹脂層20とを積層した構造のFHM(ファイン・ハイブリッド・マスク)である。この蒸着マスク100は、少なくとも1つ以上の貫通した開口部11を有する金属層10と、該金属層10に積層された、少なくとも1つ以上の貫通した開口部21を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層20と、を備えている。
<金属層>
蒸着マスク100において、金属層10の材料について特に制限はなく、公知の蒸着マスクで用いられるものと同様のものを使用することができる。具体的には、ステンレス、鉄ニッケル合金、アルムニウム合金等が例示されるが、なかでも鉄ニッケル合金であるインバー(又はインバー合金)は熱による変形が少ないため好適に使用される。また、被蒸着体に蒸着を行うにあたり、被蒸着体の後方に磁石等を設置し、蒸着マスク100を磁力によって引き付ける場合には、金属層10が磁性体で形成されるのが好ましい。このような磁性体の金属層10としては、上記のようなインバー又はインバー合金を含む鉄ニッケル合金のほか、炭素鋼、タングステン鋼、クロム鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼等が例として挙げられる。
金属層10の厚みについては特に制限はなく、破断や変形を抑制できるとともに、蒸着シャドウの抑制を考慮した厚みにするのがよく、好ましくは2〜100μmの範囲内であるのがよい。
<樹脂層>
本実施の形態の蒸着マスク100において、単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層20は、開口部21を有している。開口部21は、被蒸着体に形成される薄膜パターンに対応する開口パターンを形成している。
樹脂層20は、単層又は複数層の液晶ポリマー層からなることが好ましく、単層の液晶ポリマー層からなることがより好ましい。
本実施の形態の蒸着マスク100に含まれる樹脂層20の熱膨張係数(CTE)は、開口部21を有しない樹脂フィルムの状態において、10×10−6/K以下であり、−10×10−6/K以上10×10−6/K以下の範囲内が好ましく、−8×10−6/K以上8×10−6/K以下の範囲内がより好ましい。CTEをこのような範囲に制御することで、蒸着マスク100に適した低熱膨張性の金属層10との工程中の温度変化に伴う寸法のずれが小さくできることから、複数の開口部11を備えた金属層10と積層体を構成した際に、常温で平坦であるとともに、蒸着時に温度が上昇した際にも、その平坦性を維持することができる。ここで、CTEは、樹脂フィルムの長手(MD)方向及び幅(TD)方向の熱膨張係数の平均値である。また、工程中の温度変化による蒸着マスク100の反りや、蒸着マスク100内の温度ばらつきによる部分的なうねり、たるみを抑えるために、樹脂層20の面内全ての方向において10×10−6/K以下とすることが好ましい。ここで、CTEが「面内の全ての方向において10×10−6/K以下である」とは、樹脂層20の一辺と平行な方向と直角な方向を含め、面内のいずれの方向においても熱膨張係数が10×10−6/K以下である状態を言うものとする。
樹脂層20は、23℃、50%RHの環境下で24時間吸湿することによって測定される吸湿率が、0.3重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。樹脂層20の吸湿率が0.3重量%以下であることによって、蒸着工程で装置内を真空にした際に、樹脂層20から水が脱出することによる寸法変化を抑制できる。
本実施の形態の蒸着マスク100に含まれる樹脂層20の総厚みは、好ましくは2〜30μmの範囲内、より好ましくは10〜25μmの範囲とすることがよい。樹脂層20の総厚みが2μmを下回ると靱性を担保できないため、加工時に破れ等の不具合が発生しやすい。また、樹脂層20の総厚みが30μmを上回ると、蒸着シャドウにより、表示部形成に不具合が発生する。
<蒸着マスク形成用液晶ポリマー>
樹脂層20を構成する液晶ポリマー(蒸着マスク形成用液晶ポリマー)は、光学的異方性の溶融相を形成する液晶ポリマーからなるものである。光学的異方性の溶融相を形成する液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶高分子とも呼ばれている。光学的に異方性を形成する溶融相を形成する高分子は、加熱装置を備えた偏光顕微鏡直行ニコル下で溶融状態の試料を観察したときに偏光を透過する高分子である。
本発明において用いられる液晶ポリマーの原料は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の(1)〜(4)に分類される化合物及びその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステル及びポリエステルアミドを挙げることができる。
(1)芳香族又は脂肪族ジヒドロキシ化合物
(2)芳香族又は脂肪族ジカルボン酸
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族アミノカルボン酸
これらの原料化合物から得られる液晶ポリマーの代表例として、下記式(a)〜(j)に示す構造単位から選ばれる2つ以上の組み合わせを有する共重合体が好ましく、より好ましくは式(a)で示す構造単位又は式(e)で示す構造単位のいずれかを含み、且つ2つ以上の組み合わせを有する共重合体がよく、特に、式(a)で示す構造単位と式(e)で示す構造単位とを含む共重合体が更に好ましい。
Figure 2020100873
本実施の形態の蒸着マスク100は、必要に応じて、樹脂層20中に無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
[蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルム]
本発明で樹脂層20を形成するために使用する蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムは、単層又は複数層の液晶ポリマー層を有する。蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムは、開口部が形成されていない点を除き、蒸着マスク100における樹脂層20と同様の構成とすることができる。例えば、蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムに含まれる構造単位、該フィルムのCTE、吸湿率及び厚みは、蒸着マスク100における樹脂層20と同様であってもよい。また、蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムは、上記フィラーを含有してもよい。
蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムは、例えば、押出成型等の公知の方法で得られる。押出成型の場合、任意の押出成型法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特に、インフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(以下、「MD方向」と記すことがある)だけでなく、これと直行する方向(以下、「TD方向」と記すことがある)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質のバランスのとれたフィルムが得られる。
また、蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムとして、市販の液晶ポリマーフィルムを利用することも可能であり、例えばVecstar(登録商標;株式会社クラレ製)の品番OCなどの市販品を好ましく利用可能である。
[蒸着マスク形成用金属張積層体]
本実施の形態の蒸着マスク形成用金属張積層体は、金属層と、単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を有する。蒸着マスク形成用金属張積層体における金属層及び樹脂層は、樹脂層に開口部が形成されていない点を除き、蒸着マスク100における金属層10及び樹脂層20と同様の構成とすることができる。例えば、蒸着マスク形成用金属張積層体における樹脂層中の液晶ポリマーに含まれる構造単位、該樹脂層のCTE、吸湿率及び厚み、並びに、金属層の材質及び厚みは、蒸着マスク100と同様であってもよい。また、蒸着マスク形成用金属張積層体における樹脂層は、上記フィラーを含有してもよい。
なお、蒸着マスク形成用金属張積層体における金属層は、開口部を有していてもよいし、有していなくてもよい。
[蒸着マスク形成用金属張積層体の製造方法]
本実施の形態の蒸着マスク形成用金属張積層体を形成する方法については特に制限はなく、例えば以下の方法が好ましい。なお、ここでは、樹脂層の全体が液晶ポリマー層である場合を例に挙げる。
(1)蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムと金属層となる金属箔とを、接着剤を介すことなく、直接熱圧着する方法。
(2)蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムと金属層となる金属箔とを接着剤、粘着剤等で貼り合わせる方法。
(3)蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルム上に、例えばスパッタやメッキ等を含むセミアディティブ工法により金属層を形成する方法。
なお、上記(1)〜(3)のいずれの手法においても、蒸着マスク形成用金属張積層体を蒸着マスク100へと加工する事を踏まえて、金属層にはあらかじめ開口パターンが形成されていてもよいし、スパッタやメッキ等を含むセミアディティブ工法を行う際に、樹脂層表面に部分的に金属層を形成してもよい。また、上記(1)〜(3)の方法以外に、例えば液晶ポリマーの樹脂溶液を金属層となる金属箔上に塗布することによって、蒸着マスク形成用金属張積層体を形成してもよい。
上記(1)〜(3)の中でも、(1)の熱圧着によって蒸着マスク形成用金属張積層体を形成することが好ましい。蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムと加熱処理した金属箔との熱圧着は、接合状態の均一性という観点から、加圧ロール間で行うことがよく、一対の金属加圧ロール又はゴム被覆された金属加圧ロールを使用することが好ましい。熱圧着される蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムと金属箔の形態は、シート状でもよいが、生産性の観点からロール状のものが好ましい。これらをロール・トゥ・ロールで連続的に搬送し、その過程で圧着することで生産性が優れたプロセスとすることができる。
蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムと金属箔との熱圧着を、金属加圧ロールを用いて行う場合、その表面を加温しておくことが好ましい。金属加圧ロールを用いる場合は、金属加圧ロール内部に加熱機構を備え、これによりロール表面を加温することが簡便である。金属加圧ロールの表面温度(つまり、熱圧着温度)は、液晶ポリマーフィルムの融点を基準にして−30℃〜−5℃の範囲内の温度とすることが好ましい。なお、液晶ポリマーフィルムの融点とは、熱圧着に供するフィルムを10℃/分の昇温速度で加熱したときの示差走査熱量測定法(DSC)における融解ピーク温度である。金属加圧ロールの表面温度が該フィルムの融点を基準にして−5℃よりも高い温度であると、熱圧着時に液晶ポリマーフィルムの流動が大きくなり過ぎてCTEの制御が困難になる。一方、金属加圧ロールの表面温度が液晶ポリマーフィルムの融点を基準にして−30℃よりも低い温度である場合には、フィルムと金属箔が十分に接着しないことがある。
また、圧着時の圧力は、幅方向に均一に加圧できる範囲であれば特に限定されないが、例えば、5〜200kN/mであることが好ましく、70〜120kN/mであることがより好ましい。
なお、液晶ポリマーフィルムの融点を基準にして−5℃よりも低い温度で熱圧着を行った後、ラミネートされた積層体に対し、別途、熱処理を行うことにより、フィルムと金属箔との接着性を高めるとともに、液晶ポリマー層のCTEを制御することができる。この場合、熱処理は、液晶ポリマーフィルムの融点を基準にして、例えば−4℃〜+2℃の範囲内の温度で実施することが好ましい。熱処理時間は、特に制限はないが、例えば30秒〜5分の範囲内とすることが好ましい。
[蒸着マスクの製造方法]
本実施の形態の蒸着マスク100を製造する方法については特に制限はないが、例えば、開口部を有さない金属層を備えた蒸着マスク形成用金属張積層体の金属層に複数の開口部を形成するか、又は、複数の開口部を有する金属層を備えた蒸着マスク形成用金属張積層体を製造した後、金属層の開口部における開口範囲内の樹脂層を貫通させて貫通孔を設けて、薄膜パターンに対応する開口パターンを形成する方法が好ましい。
なお、樹脂層への開口パターンの形成は、任意の支持基材が積層された状態で行ってもよい。
本発明において、金属層に開口部を形成したり、開口部を有する金属層を形成したりする方法については特に制限されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
・金属層の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングにより開口部を形成する方法。
・金属層に対し、レーザー照射により開口部を形成する方法。
・樹脂層、または、他の基材上に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、スパッタ、蒸着、メッキ等を含むセミアディティブ工法で金属層を形成する方法。
これらの中でも、ロールでの加工が可能であり、生産性に優れることから、好ましくはエッチングにより開口部を形成するのがよい。
本発明において、樹脂層に貫通孔を設けて開口パターンを形成する方法については特に制限されず、例えば、以下の方法を挙げることができる。
・樹脂層の表面に感光性レジストを塗布し、所定の箇所を露光し、現像後、エッチングにより貫通孔を形成する方法。
・レーザーを照射して貫通孔を形成する方法。
・メカニカルドリルで貫通孔を形成する方法。
これらの中でも、精度や生産性等の観点から、好ましくはレーザー照射によるのがよい。ここで、樹脂層に開口パターンを形成するのに用いられるレーザーとしては、例えば、UV−YAGレーザー(波長355nm)、エキシマレーザー(波長308nm)等を用いることができ、なかでも好ましくは、UV−YAGレーザー(波長355nm)であるのがよい。
次に、蒸着マスク100の好ましい製造方法について、より具体的な態様を挙げて説明する。なお、本態様では、樹脂層20の全体が液晶ポリマー層である場合を例に挙げる。
本態様の蒸着マスクの製造方法は、下記の工程を含むことができる。図2に、本態様における主要な工程を例示した。
(工程1)
まず、例えば磁性金属からなる金属層10Aと、単層又は複数層の液晶ポリマー層からなる蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムを熱圧着して貼り合わせ、図2(a)に示すように、金属層10Aと樹脂層20Aとが積層された金属張積層体103Aを得る。熱圧着は、蒸着マスク形成用金属張積層体の製造方法において述べた条件で行うことが好ましい。
(工程2)
次に、金属張積層体103Aの金属層10Aを部分的に除去して開口部11を形成し、図2(b)に示すように、開口部11を有する金属層10と樹脂層20Aとが積層された金属張積層体103Bを得る。金属層10Aに開口部11を形成する方法は、特に制限はないが、例えばエッチングやレーザー照射等の方法を挙げることができる。
(工程3)
次に、金属張積層体103Bの開口部11に重なる範囲内の樹脂層20Aに複数の開口部21を形成し、図2(c)に示すように、開口部11を有する金属層10と、開口部21を有する樹脂層20とが積層された蒸着マスク100を得る。ここで、樹脂層20Aに開口部21を形成する方法に制限はないが、例えばレーザー照射が好ましい。
以上のようにして得られる蒸着マスク100は、樹脂層20に液晶ポリマーを使用することによって、樹脂層20の低CTE化と低吸湿性とを両立できる。そのため、高い寸法安定性から微細な加工にも好適である。従って、蒸着マスク100は、例えば有機EL表示装置といった表示装置の大画面化や、スマートフォン等で用いられる小型ディスプレイの生産効率の向上、更なる高精細化等にも対応することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から250℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。なお、測定は、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について実施した。
[融点の測定]
示差走査熱量計DSC6200)を用いて、フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/5分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点とした。
[吸湿率の測定]
吸湿率は、ポリイミドフィルムから、試験片(幅4cm×長さ20cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(質量%)=[(吸湿後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
本実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)
無水ピロメリット酸(PMDA)
シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物(CBDA)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
合成例1
窒素気流下で、9.0756gのTFMBを100mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら、NMP中に加え溶解させた。次いで、4.3gのPMDA及び1.65gのCBDAを加えた。その後、溶液を室温で4時間攪拌を続けて重合反応を行い、のポリアミド酸溶液1(固形分濃度15重量%)を調製した。
(実施例1)
p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の共重合物で、融点が280℃である熱可塑性液晶ポリマーを溶融押出し、2軸延伸にてインフレーション製膜して、液晶ポリマーフィルム1a(熱可塑性、平均膜厚;25μm、MD方向のCTE;−10−6/K、TD方向のCTE;−10×10−6/K)を調製した。
液晶ポリマーフィルム1aと、市販のインバー箔1(厚さ;30μm、幅;100mm、長さ;300mm)とを熱圧着(加熱温度;260℃ 、圧力;120kN/m)して、積層体1を調製した。積層体1におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、液晶ポリマーフィルム1b(MD方向のCTE;−10×10−6/K、TD方向のCTE;−10×10−6/K、吸湿率;0.1重量%以下)を調製した。
調製した積層体1のインバー箔の表面に、ドライフィルムレジストをラミネートし、ドライフィルムレジストをパターニングし、そのパターンに沿ってインバーを塩化第二鉄水溶液でエッチングして、幅10mm、長さ30mmの金属層の開口部を形成した。また、この開口部内の液晶ポリマーフィルム層にUV−YAGレーザー加工機により、径;50μm、径中心間距離;100μmとなるように開口パターンを形成し、パターン化積層体1を調製した。
調製したパターン化積層体1を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差はほとんどみられなかった。
(実施例2)
実施例1で調製した積層体1を280℃で2分間、加熱処理することで積層体2を調製した。積層体2におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、液晶ポリマーフィルム2b(MD方向のCTE;1.0×10−6/K、TD方向のCTE;0.8×10−6/K、吸湿率;0.1重量%以下)を調製した。
実施例1と同様に、調製した積層体2におけるインバー箔及び液晶ポリマーフィルム層にパターンを形成し、パターン化積層体2を調製した。
調製したパターン化積層体2を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差はほとんどみられなかった。
(実施例3)
実施例1で調製した積層体1を282℃で2分間、加熱処理することで積層体3を調製した。積層体3におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、液晶ポリマーフィルム3b(MD方向のCTE;9.9×10−6/K、TD方向のCTE;9.7×10−6/K、吸湿率;0.1重量%以下)を調製した。
実施例1と同様に、調製した積層体3におけるインバー箔及び液晶ポリマーフィルム層にパターンを形成し、パターン化積層体3を調製した。
調製したパターン化積層体3を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差はほとんどみられなかった。
(実施例4)
液晶ポリマーフィルム(株式会社クラレ社製、商品名:Vecstar、品番:OC、熱可塑性、厚み;25μm、融点;310℃)と、インバー箔1と熱圧着(加熱温度;290℃、圧力;120kN/m)して、積層体4を調製した。積層体4におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、液晶ポリマーフィルム4b(MD方向のCTE;5.0×10−6/K、TD方向のCTE;4.9×10−6/K、吸湿率;0.1重量%以下)を調製した。
実施例1と同様に、調製した積層体4におけるインバー箔及び液晶ポリマーフィルム層にパターンを形成し、パターン化積層体4を調製した。
調製したパターン化積層体4を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差はほとんどみられなかった。
参考例1
実施例1で調製した積層体1を284℃で2分間、加熱処理することで積層体5を調製した。積層体5におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、液晶ポリマーフィルム5b(MD方向のCTE;17.7×10−6/K、TD方向のCTE;18.3×10−6/K、吸湿率;0.1重量%以下)を調製した。
実施例1と同様に、調製した積層体5におけるインバー箔及び液晶ポリマーフィルム層にパターンを形成し、パターン化積層体5を調製した。
調製したパターン化積層体5を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差が1%以上確認された。
比較例1
インバー箔1上に、ポリアミド酸溶液1を、熱処理後のポリイミド層の厚みが10μmとなるように、アプリケーターを用いて塗布し、熱風オーブンを用いて、100℃で5分間の加熱後、360℃まで4℃/分で昇温して加熱処理を行い、積層体6を調製した。積層体6におけるインバー箔を塩化第二鉄溶液でエッチングし、ポリイミドフィルム1(MD方向のCTE;7.8×10−6/K、TD方向のCTE;7.7×10−6/K、吸湿率;0.4重量%)を調製した。
実施例1と同様に、調製した積層体6におけるインバー箔及びポリイミドフィルム層にパターンを形成し、パターン化積層体6を調製した。
調製したパターン化積層体6を用いてガラス基板上に有機EL層の蒸着を実施した。この際、積層体上の開口パターン中心間距離とガラス基板上に形成された蒸着パターン中心間距離との差が1%以上確認された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10、10A…金属層、11…開口部、20,20A…樹脂層、21…開口部、100…蒸着マスク、103A,103B…金属張積層体


Claims (5)

  1. 開口部を有する金属層と、該金属層に積層された、開口部を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を備えた蒸着マスクであって、
    前記樹脂層の熱膨張係数(CTE)が、前記開口部を有しない樹脂フィルムの状態で、10×10−6/K以下であることを特徴とする蒸着マスク。
  2. 前記樹脂層の総厚みが、2μm以上30μm以下の範囲内である請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. 前記金属層が、インバー又はインバー合金により構成されている請求項1又は2に記載の蒸着マスク。
  4. 金属層と、該金属層に積層された単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を有する蒸着マスク形成用金属張積層体であって、
    前記樹脂層の熱膨張係数(CTE)が、前記開口部を有しない樹脂フィルムの状態で、10×10−6/K以下であることを特徴とする蒸着マスク形成用金属張積層体。
  5. 開口部を有する金属層と、該金属層に積層された、開口部を有する単層又は複数層の液晶ポリマー層を含む樹脂層と、を備えた蒸着マスクにおいて前記液晶ポリマー層の少なくとも1層を形成するための蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルムであって、
    熱膨張係数(CTE)が、10×10−6/K以下であることを特徴とする蒸着マスク形成用液晶ポリマーフィルム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023145951A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 大日本印刷株式会社 蒸着マスク、フレーム付き蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、有機デバイスの製造方法及びフレーム付き蒸着マスクの製造方法

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