JP2020094893A - データ処理方法、データ処理装置、およびデータ処理プログラム - Google Patents

データ処理方法、データ処理装置、およびデータ処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】正確で高品質な再構成画像を提供する。【解決手段】データ処理方法は、所定のX線吸収率を含む領域を有する被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、X線が被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、投影データに対応する再構成画像を、再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、第2閾値に基づいて投影データを補正して、再構成画像において前記領域に対応する画像領域を修正することと、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、データ処理方法、データ処理装置、およびデータ処理プログラムに関する。
X線CT装置において、スペクトル幅を有する多色X線を被検物に照射した場合、被検物を透過したX線のスペクトルが変化するビームハードニング現象が発生する。ビームハードニング現象は、透過する物質のX線吸収係数が大きいほどスペクトルの変化は大きい。
このため、投影データが単色のX線照射により得られたものとして生成される再構成画像にはアーチファクトが生じる。従来から、このアーチファクトを抑制する試みが行われている(例えば特許文献1)。しかしながら、特許文献1では予めX線のエネルギースペクトルを取得しておくことが必要であり、また、再構成画像を生成するための処理が煩雑であった。
特開2001-203160号公報
第1の態様によれば、データ処理方法は、所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、前記第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、前記第2閾値に基づいて前記投影データを補正して、前記再構成画像において前記領域に対応する画像領域を修正することと、を有する。
第2の態様によれば、データ処理方法は、所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、前記第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定することと、を有する。
第3の態様によれば、所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置は、前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、前記第2閾値に基づいて前記投影データを補正して、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域を修正する補正データ生成部と、を有する。
第4の態様によれば、所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置は、前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定する補正データ生成部と、を有する。
実施の形態に係るデータ処理装置の構成を模式的に示すブロック図である。 再構成画像の輝度(画像輝度)を横軸に、再構成画像の各画素の度数を縦軸に表すグラフである。 再構成画像における金属材料領域と高分子材料領域との境界を模式的に示す図である。 再構成画像を構成するピクセルのうち、表示輝度の異なる2つのピクセルについて、位置と表示輝度との関係を模式的に示す図である。 実施の形態における再構成画像を模式的に示す図である。 各物質領域における透過長の組み合わせと投影値との関係を示すグラフである。 ある投影値を示す線をX平面に投影した線と、第1領域透過長と第2領域透過長との関係をX平面に示すグラフである。 ある投影値を示す点を結ぶ線をX平面に投影した線と、第1領域透過長と第2領域透過長との関係をX平面に示すグラフである。 各物質領域における透過長の組み合わせと補正投影値との関係を示すグラフである。 X線の照射方向(角度)θごとに算出した補正投影データの和を示すグラフである。 実施の形態における各処理を示すフローチャートである。 実施の形態による構造物製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 実施の形態による構造物製造システムが実行する処理を説明するフローチャートである。
図面を参照しながら、実施の形態によるデータ処理方法について説明する。図1は本実施の形態に用いるX線CT装置100の構成の一例を示す図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸、Z軸からなる座標系を図示の通りに設定する。
X線CT装置100は、データ処理装置10、入力操作部1、X線源2、載置部3、検出器4、制御装置5、表示モニタ6を備えている。なお、データ処理装置10はX線CT装置100の一部として構成されてもよいし、あるいは、X線CT装置100とは別体に構成されていてもよい。X線源2、載置部3および検出器4は、X線CT装置100が接地される床面上にXZ平面が実質的に水平となるように配置された筐体(不図示)の内部に収容される。筐体はX線が外部に漏洩しないようにするために、材料として鉛を含む。
X線源2は多色X線を放射する。例えば、エネルギーが数10eVの超軟X線領域、約0.1〜2keVの軟X線領域、約2〜20keVのX線領域、および約20〜100keVの硬X線領域のうちの少なくとも1つの多色X線を放射する。X線源2は、制御装置5による制御により、図1に示す出射点Qを頂点としてZ軸に平行な光軸Zrに沿って、Z軸+方向へ向けて扇状のX線(いわゆるファンビーム)を放射する。出射点QはX線源2のフォーカルスポットに相当する。すなわち、光軸Zrは、X線源2のフォーカススポットである出射点Qと、後述する検出器4の撮像領域の中心とを結ぶ。なお、X線源2はファンビームを放射するものに代えて、円錐状のX線(いわゆるコーンビーム)を放射するものについても本発明の一態様に含まれる。
載置部3は、被検物Sが載置される載置台30と、回転駆動部32、Y軸移動部33、X軸移動部34およびZ軸移動部35からなるマニピュレータ部36とを備え、X線源2と検出器4の間に設けられている。載置台30は、回転駆動部32により回転可能に設けられ、回転駆動部32による回転軸YrがX軸、Y軸、Z軸方向に移動する際に、ともに移動する。
回転駆動部32は、例えば電動モータ等によって構成され、後述する制御装置5により制御されて駆動される電動モータが発生する回転力によって回転軸Yrとして載置台30を回転させる。回転軸YrはY軸に平行である。また、制御装置5は、Y軸移動部33、X軸移動部34およびZ軸移動部35を制御して、被検物SをX線源2から射出されたX線照射範囲内に位置させるように、載置台30をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させる。さらに、制御装置5はZ軸移動部35を制御して、被検物Sの投影画像が所望の拡大率となるように、載置台30をZ軸方向に移動させる。
検出器4は、載置台30よりもZ方向+側に設けられている。検出器4は、XY平面に平行な面上にX軸方向に複数の検出素子が配列された入射面41を有する、いわゆるラインセンサであり、X線源2から放射され、載置台30上に載置された被検物Sを透過したX線を含むX線が入射面41に入射する。検出器4は、公知のシンチレーション物質を含むシンチレータ部と、光電子増倍管と、受光部等とによって構成され、シンチレータ部の入射面41に入射したX線のエネルギーを可視光や紫外光等の光エネルギーに変換して光電子増倍管で増幅し、当該増幅された光エネルギーを上記の受光部で電気エネルギーに変換し、電気信号として制御装置5へ出力する。
なお、検出器4は、入射するX線のエネルギーを光エネルギーに変換することなく電気エネルギーに変換し、電気信号として出力してもよい。検出器4は、シンチレータ部と光電子増倍管と受光部とがそれぞれ複数の検出素子として分割された構造を有している。これにより、X線源2から放射され、被検物Sを通過したX線の強度分布を取得できる。なお、検出器4として、光電子増倍管を設けずに、シンチレータ部が受光部(光電変換部)の上に直接形成された構造であってもよい。
以下、検出器4はラインセンサであることを前提として説明する。ラインセンサは、XY平面に平行な面上にX軸方向に複数の検出素子が配列され、Y軸方向には検出素子が1つのみ配置された入射面41を有する。ただし、本実施の形態において、検出器4はラインセンサに限られず、検出素子が2次元配列された入射面を有する検出器を採用してもよい。X線源として、コーンビームを放射するタイプを採用する場合には、検出素子が2次元配列された入射面を有する検出器を採用することが好ましい。このような検出器は、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ複数の検出素子が2次元配列された入射面を有する。
また、検出素子が2次元配列された検出器を用いる場合には、Y軸方向に複数配列される検出素子のうち、Y方向の所定位置においてX軸方向に延在する複数の検出素子列(ライン)のみを使用して、ラインセンサとして使用しても構わない。また、この場合に、Y軸方向の互いに離れた複数の位置におけるラインを用いて、複数のラインセンサとして使用してもよい。
X線源2と載置部3と検出器4とはフレーム(不図示)によって支持される。フレームは、十分な剛性を有しており、被検物Sの投影データ(検出器4の各検出素子からの出力に基づいて得られた各投影値)を取得中に、X線源2、載置部3および検出器4を安定に支持することができる。また、フレームは除振機構(不図示)を介して筐体に支持されており、外部で発生した振動がフレームにそのまま伝達することを防いでいる。入力操作部1は、キーボードや各種ボタン、マウス等によって構成され、オペレータによって、被検物Sを検査する際に被検査領域の位置の入力や、被検査領域の更新の入力のために操作される。入力操作部1は、オペレータによる操作に基づいて被操作信号を制御装置5に出力する。
制御装置5は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(例えばフラッシュメモリ等)に予め記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより、X線CT装置100の各部を制御する。制御装置5は、X線制御部51と、移動制御部52とを備える。X線制御部51はX線源2の動作を制御し、移動制御部52はマニピュレータ部36の移動動作を制御する。
データ処理装置10は、閾値演算部11、データ取得部12、透過長決定部13、補正データ生成部14、データ評価部15と、を備える。閾値演算部11は、後述のデータ取得部12により取得される再構成画像を再構成画像の輝度(画像輝度やグレー値)に基づいて複数のグループに分割する閾値の算出を行う。また、閾値演算部11は、算出された閾値の修正も行う。データ取得部12は、検出器4から出力された電気信号に基づいて生成された投影データに対応する再構成画像を取得する。透過長決定部13は、再構成画像に想定されたX線の透過経路ごとに透過長の決定を行う。補正データ生成部14は、投影データを補正し補正投影データの取得を行う。データ評価部15は、投影データの補正のための繰り返し演算を行うかどうかの決定を行う。閾値演算部11、データ取得部12、透過長決定部13、補正データ生成部14、データ評価部15が行う処理については、詳細を後述する。
検出器4を構成する複数の検出素子のそれぞれから出力された電気信号は、データ取得部12により、被検物Sの投影データ(サイノグラム)として取得される。投影データに公知の画像再構成処理を施すことにより、被検物Sの再構成画像(被検物画像)を生成することができる。再構成画像は、被検物Sの構造を表す画像であり、2次元の画像データである。なお、X線源2からのX線としてコーンビームを用いる場合に取得される3次元の断層画像についても、以下に説明する2次元の画像データに対して補正を施す際に用いる手順と同様の手順が適用される。画像再構成処理としては、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法等が挙げられる。
以下、本実施の形態のデータ処理装置10が行う処理について説明する。
(投影データおよび再構成画像の取得)
被検物Sが異なる2物質からなる領域をそれぞれ有する場合を例に挙げて、本実施の形態の処理手順について説明する。2物質はX線吸収係数が互いに異なる。例えば、2物質のうち、一方は金属材料(例えばチタン)であり、他方は高分子材料(例えばメタクリル樹脂)である。本明細書では、高分子材料からなる領域を第1領域、被検物Sのうち金属材料からなる領域を第2領域と呼ぶ。また、以下の説明においては、被検物Sは、金属材料からなる第2領域が、高分子材料からなる第1領域の内部に含まれている構造を有するものとして説明を行う。
上記の2物質からなる被検物SをX線CT装置100の載置台30に載置する。X線CT装置100の制御装置5が備えるX線制御部51はX線源2を制御し、X線源2からファンビームのX線を被検物Sに向けて照射する。被検物Sにおいて、ファンビームのX線が照射されて透過する領域を断層面と呼ぶ。断層面を透過したX線は検出器4の入射面41に入射する。検出器4の入射面41には、X軸方向に複数の検出素子が一列に並んで配置されている、すなわち、検出器4はラインセンサである。検出器4の複数の検出素子ごとに被検物Sを透過したX線の強度である透過X線強度が検出される。複数の検出素子は透過X線強度に応じた電気信号をデータ処理装置10に出力する。データ処理装置10のデータ取得部12は、入力した電気信号に基づいて、投影データを生成(取得)し、データ処理装置10に備えられたメモリ(不図示)に記憶する。
次に、制御装置5が備える回転駆動部32は電動モータを制御して、被検物Sを所定角度だけ回転させる。その状態で、上記の一連の手順に従って、検出器4は、複数の検出素子ごとに検出した透過X線強度に応じた電気信号を出力し、データ取得部12は、電気信号に基づいて投影データを生成(取得)し、データ処理装置10に備えられたメモリに記憶する。このようにして、1つの断層面について、被検物Sの1回転(360°)分の投影データがメモリに記憶される。すなわち、メモリには、1つの断層面について、(検出素子数)×360°/(所定角度)に対応した数の透過X線強度データのセットが記憶される。
次に、制御装置5が備える移動制御部52はY軸移動部33を制御して、断層面をY軸方向に所定の距離だけ移動するように被検物SをY軸方向に移動させて新たな断層面を設定する。新たな断層面についても同様の手順によりX線源2からX線が照射され、検出器4から電気信号が出力される。データ処理装置10のデータ取得部12は、入力した電気信号に基づいて、新たな断層面に対応する投影データを取得する。このようにして、被検物Sの検査対象領域を網羅するように断層面を順次設定しながら投影データが取得される。最終的に、設定した断層面の数に対応する数の複数の投影データが取得される。取得された複数の投影データは、メモリに記憶される。このようにして取得された投影データから、上述した画像再構成処理により再構成画像が生成される。
なお、データ取得部12は、検出器4からの電気信号に基づいて投影データを生成するものに限定されず、他のX線CT装置にて生成された投影データを、例えば、ネットワークや記憶媒体等を介して取得してもよい。また、データ取得部12は、投影データから再構成画像を生成するものに限定されず、他のX線CT装置にて生成された再構成画像を、例えば、ネットワークや記憶媒体等を介して取得されてもよい。この場合、データ取得部12は、再構成画像の生成に使用された投影データとともに再構成画像を取得するとよい。
(閾値の算出)
次に、再構成画像における2物質の境界、すなわち、第2領域に相当する金属材料領域(第2画像領域)と第1領域に相当する高分子材料領域(第1画像領域)との境界と、第1領域と被検物Sの外部の空気領域(再構成画像における背景画像領域)との境界とを設定するための閾値を算出する手順について説明する。金属材料のX線吸収係数(第2のX線吸収係数)は高分子材料のX線吸収係数(第1のX線吸収係数)よりはるかに大きい。そのため、X線が被検物Sの金属材料の領域(第2領域)を透過して検出素子に入射した透過X線強度は、X線が被検物Sの高分子材料の領域(第1領域)のみ透過し、金属材料の領域(第2領域)を透過することなく検出素子に入射した透過X線強度よりはるかに小さい。なお、X線が被検物S内を透過せず、空気領域を通過して検出素子に入射したX線の透過X線強度は、被検物Sの第1領域や第2領域を透過して検出素子に入射したX線の透過X線強度よりも大きい。
図2に、再構成画像の輝度と各画素に再構成された各輝度の度数との関係を模式的に示す。なお、以下の説明では、再構成画像の輝度を画像輝度と呼ぶ。図2においては、画像輝度を横軸に取り、それぞれの画像輝度が各画素に再構成された度数(または頻度、すなわち再構成画像の画素数)を縦軸に取り、画像輝度と度数との関係を関係線L1により表す。
なお、検出器4のうちi番目の検出素子にて検出されるX線の透過強度Iは以下の式で表される。
Figure 2020094893
上記の式で、μ、μはそれぞれ第1領域および第2領域のX線吸収係数、x1,i、x2,iはそれぞれ第1領域および第2領域を透過したX線の透過長[cm]である。すなわち、X線吸収係数が大きな領域を透過したX線が入射した検出素子からの出力値は、X線吸収係数が小さな領域を透過したX線が入射した検出素子からの出力値よりも小さくなる。金属材料の領域(第2領域)は、高分子材料の領域(第1領域)と比べてX線吸収係数が大きいので、第2領域に対する出力値は第1領域に対する出力値よりも小さな値となる。
投影データpは、上述したX線の透過強度Iに基づいて、以下の式で表される。
Figure 2020094893
再構成画像は、上記の投影データに前処理が施された後、逆投影されて取得される。上記の式に示す通り、投影データpは、X線の透過強度Iが小さいほど、すなわちX線が透過した領域のX線吸収係数が大きいほど値が大きくなる。そのため、再構成画像では、X線吸収領域が大きい領域に対応する画像領域ほど輝度が高くなる。すなわち、再構成画像上で、金属材料の領域(第2領域)に対応する画像領域ほど、輝度が高くなる。
上述したように物質間においてX線吸収係数が異なることにより、関係線L1は、画像輝度が比較的大きい値と比較的小さい値とそれらの中間の中程度の値とのそれぞれにピークを有することが推定される。そこで、閾値演算部11は、画像輝度が比較的大きいグループ(第1グループG1)と画像輝度が中程度のグループ(第2グループG2)の2つのグループの境界と、画像輝度が中程度の第2グループG2と画像輝度が比較的小さいグループ(第3グループG3)の2つのグループの境界とを設定するための閾値A12、A23(第1閾値)を求める。すなわち、閾値演算部11は、再構成画像の画像輝度に基づいて少なくとも3つのグループに分割するための第1閾値である閾値A12、A23を算出する。第1領域、第2領域および空気領域におけるX線吸収係数が上記したように異なる。このため、第1グループG1は、金属材料の領域(第2領域)を表す画像輝度に相当し、第2グループG2は、高分子材料の領域(第1領域)を表す画像輝度に相当し、第3グループG3は、空気領域を表す画像輝度に相当する。
閾値A12は、再構成画像において、高分子材料領域(第1初期画像領域)と金属材料領域(第2初期画像領域)との暫定的な境界を示す画像輝度である。閾値A23は、再構成画像において、高分子材料領域(第1初期画像領域)と空気領域(初期背景画像領域)との暫定的な境界を示す画像輝度である。第1閾値である閾値A12、A23を求める方法としては、例えば、判別分析法(大津のマルチ閾値法)を用いることが好ましい。判別分析法によるクラス分けの手順について次に説明する。
全再構成画像について、データ数をN、画像輝度の平均値(規格値)をμ、再構成画像の画素の分散をσ とする。この場合、画像輝度の平均値μ、再構成画像の画素の分散をσはそれぞれ以下の式(1)、(2)により表される。
Figure 2020094893


なお、pは、グレースケールの再構成画像の第k階層における画素数をnとしたときの確率(n/N)である。
このような再構成画像において、閾値演算部11が、大津のマルチ閾値法を用いることにより、第{t1、t2、t3、…、tM−1}階層でM個のクラスに分ける場合、以下の式(3)によりクラス間分散σ を得る。
Figure 2020094893

なお、ωは第mクラスにおける累積確率であり、μは第mクラスにおける平均値であり、それぞれ以下の式(4)、(5)で表される。
Figure 2020094893


閾値演算部11が、上記の式(3)で示されたクラス間分散σ を最大にするtの組を第1閾値として算出する。この場合、tの組は、以下の式(6)のように表される。
Figure 2020094893
これにより、再構成画像のM個のクラスに分けるM−1個の第1閾値が得られる。
図2に示すように、再構成画像を3つのグループに分ける場合には、閾値演算部11は、仮の閾値(すなわち第1閾値である閾値A12、A23)を設定して再構成画像の画素を3つのグループ(クラス)に分ける。仮の閾値は、第1グループと第2グループとの境界と暫定的に考えられる画像輝度(規格値)と、第2グループと第3グループとの境界と暫定的に考えられる画像輝度(規格値)とを選択する。例えば、図2において、第1グループG1と第2グループG2との間で度数が最も小さい画像輝度を仮の閾値A12とすることができる。同様に、第2グループG2と第3グループG3との間で度数が最も小さい画像輝度を仮の閾値A23とすることができる。第1グループG1について、再構成画像の画素数をn、規格化された画像輝度の平均値をμ、標準偏差をσとする。第2グループG2について、再構成画像の画素数をn、規格化された画像輝度の平均値をμ、標準偏差をσとする。第3グループG3について、再構成画像の画素数をn、規格化された画像輝度の平均値をμ、標準偏差をσとする。
仮の閾値を設定するため、閾値演算部11は、上述した式(3)を用いてクラス間分散(Inter-class Variance)σ を算出する。この場合、クラス間分散σ は次のように表される。
クラス間分散σ =(n・σ +n・σ +n・σ )/(n+n+n
閾値演算部11は、クラス間分散σ が最大となる閾値A12、A23を上記の式(6)から求める。閾値A12、A23によりクラス分けされた後は、n、μ、σは、それぞれ閾値A12によりクラス分けされた第1グループG1の再構成画像の画素数、平均値、標準偏差となり、n、μ、σは、それぞれ閾値A12、23によりクラス分けされた第2グループG2の再構成画像の画素数、平均値、標準偏差となり、n、μ、σは、それぞれ閾値A23によりクラス分けされた第3グループG3の再構成画像の画素数、平均値、標準偏差となる。
(閾値の修正)
本実施の形態においては、再構成画像における物質の境界(本実施の形態においては金属材料領域に対応する画像上の領域と高分子材料領域に対応する画像上の領域との境界と、高分子材料領域に対応する画像上の領域と空気領域に対応する画像上の領域との境界)を設定する。物質の境界を設定するために、閾値演算部11は、上記の第1閾値である閾値A12、A23に基づいて修正した修正閾値である第2閾値を算出する。閾値A12、A23に基づいて修正した修正閾値(第2閾値)を閾値B12、B23と呼ぶ。閾値B12、B23を用いて再構成画像における2物質の境界(金属材料領域と高分子材料領域との境界と、高分子材料領域と空気領域との境界)を設定した場合、閾値A12、A23を用いて再構成画像における2物質の境界を設定した場合に比べて、より正確で高品質な再構成画像が得られる。また、以下の説明では、再構成画像において、第1閾値である閾値A12、A23に基づいた金属材料領域および高分子材料領域のそれぞれに対応する画像上の領域を、第1初期画像領域および第2初期画像領域と呼ぶ。再構成画像において、第2閾値である閾値B12、B23に基づいた金属材料領域および高分子材料領域のそれぞれに対応する画像上の領域を、第1画像領域および第2画像領域と呼ぶ。
第1閾値と第2閾値との関係について説明する。なお、以下の説明においては、第1閾値である閾値A12と、第2閾値である閾値B12との関係を主として説明する。
図3は、再構成画像における金属材料領域(第2初期画像領域)と高分子材料領域(第1初期画像領域)との境界を模式的に例示する図である。縦軸は、画像輝度を示し、横軸は、再構成画像における位置(座標)を示す。図3において、左側の画像輝度が小さい領域R2は高分子材料領域(第1初期画像領域)に相当する。一方、右側の画像輝度が大きい領域R1は金属材料領域(第2初期画像領域)に相当する。中央部分は両者の境界領域R3に相当し、画像輝度が急激に変化する。図3には、金属材料領域(第2初期画像領域)R1と高分子材料領域(第1初期画像領域)R2との境界領域R3の右側には、画像輝度が顕著に高い部分の画像輝度値(ピーク)が示されており、これはアーチファクトに相当する。アーチファクトは画像輝度が顕著に高いものばかりでなく、金属材料領域(第2初期画像領域)と高分子材料領域(第1初期画像領域)との境界領域R3の左側に画像輝度が顕著に低い部分の画像輝度値(ボトム)に相当するアーチファクトも発生する場合がある。なお、上記で算出した閾値A12における画像輝度をtで表す。
本発明者は、物質の境界を設定する際、画像輝度にピークが発生した場合には再構成画像は画像輝度が大きい側の領域R1を実際より大きく表現してしまい、画像輝度にボトムが発生した場合には再構成画像は画像輝度が小さい側の領域R2を実際より大きく表現してしまう、という知見を得た。すなわち、閾値A12を用いて金属材料領域(第2初期画像領域)と高分子材料領域(第1初期画像領域)との境界を設定する場合、ピークの発生は金属材料領域(第2初期画像領域)を実際より大きく表現してしまい、また、ボトムの発生は高分子材料領域(第1初期画像領域)を実際より大きく表現してしまう、という知見を得た。
そこで、上記知見に基づいて、アーチファクトによる影響を低減するために、閾値演算部11は、閾値A12に基づいて修正閾値である閾値B12を算出する。具体的には、閾値演算部11は、2物質の境界領域R3を含む適当な長さ(幅)の算出対象領域R4を設定し、算出対象領域R4における画像輝度の最大値tmax、画像輝度の最小値tminを求める。閾値B12における画像輝度をtで表す。閾値演算部11は、閾値B12を次の式(7)を満足するように設定する。
(t−μ)/(μ−t)=(t−tmin)/(tmax−t) (7)
式(7)は、閾値A12によるμとμとの差の分割割合と、閾値B12によるtmaxとtminとの差の分割割合が等しいことを示している。すなわち、第1グループG1および第2グループG2のそれぞれの平均値と分散に基づいて算出した閾値A12による2グループの平均値の差の分割割合と同じ分割割合で最大値と最小値との差を分割するように設定したのが閾値B12である。
図3に示すように、閾値B12による境界は閾値A12による境界に比べて、金属材料領域(第2画像領域)R1側に位置することがわかる。このことは、閾値A12により設定される境界による設定される金属材料領域(第2初期画像領域)R1よりも閾値B12による境界により設定される金属材料領域(第2画像領域)R1の方が小さいことを意味する。すなわち、ピークが発生した場合に、再構成画像において画像輝度が大きい領域(金属材料領域(第2画像領域))R1が実際より大きく表現されてしまうという問題を、閾値B12を採用することで低減することがわかる。
なお、図3を用いて、金属材料領域(第2初期画像領域)R1側にピークが発生した状態を例示して説明を行った。逆に、高分子材料領域(第1初期画像領域)R2側に画像輝度が極端に小さい部分(ボトム)が発生した場合には、閾値B12を採用することで、画像輝度が小さい領域(高分子材料領域(第1画像領域))R2が再構成画像において実際より大きく表現されてしまうという問題も抑制することができる。
なお、閾値演算部11は、閾値A23に対しても同様の処理を行って閾値B23を算出する。閾値B23による境界が設定されることにより、再構成画像において、高分子材料領域(第1画像領域)が実際よりも大きく再現されたり、高分子材料領域(第1画像領域)が実際よりも小さく再現される(すなわち、背景画像領域が実際よりも大きく再現される)ことが抑制できる。
なお、以上の説明では、金属材料の領域(第2領域)が高分子材料の領域(第1領域)の内部に含まれた被検物Sの再構成画像に対して第1閾値や第2閾値を設定する場合を例に挙げた。この例に限らず、金属材料の領域が外部の空気領域と境界を有する被検物Sの再構成画像に対して第1閾値や第2閾値を設定することもできる。この場合、閾値演算部11は、再構成画像において、金属材料領域と背景画像領域とが接する境界に現れる偽の高分子材料領域を特定する。この場合、閾値演算部11は、例えば公知の特表2006−509292号公報に記載のパターン認識等を用いることにより、偽の高分子材料領域を特定する。閾値演算部11は、特定した偽の高分子材料領域を再構成画像から削除した後、上述の方法と同様にして、第1閾値を設定し、この第1閾値を修正して第2閾値を算出する。
(物質境界の設定)
次に、図4を参照して、上述したようにして算出された閾値B12に基づいて、再構成画像上の物質領域(第1画像領域と第2画像領域)の境界を設定するための具体的手順について説明する。なお、閾値B23に基づいて、再構成画像上の第1画像領域と背景画像領域との境界を設定するための手順は、第1画像領域と第2画像領域との境界を設定する手順と同様である。このため、第1画像領域と第2画像領域との境界を設定する手順を主に説明する。
図4は、投影データに基づいて生成された再構成画像S1を構成するピクセルのうち、画像輝度(明るさ)の異なる2つのピクセルについて、位置と画像輝度(明るさ)との関係を模式的に示す図である。すなわち、再構成画像S1は、画像輝度に基づいてピクセル単位でセグメントされたセグメンテーション画像である。
図4(a)は、再構成画像S1において想定されるX線透過経路(矢印で表示)に沿って、再構成画像S1を構成する画素のうち異なる物質に相当する2つの画素(ピクセル(ピクセルP1およびピクセルP2))が並んで存在している状態を模式的に示している。なお、X線透過経路は被検物Sを通過するX線の経路であり、X線透過経路は、再構成画像S1の生成に用いられた複数の投影データのそれぞれに対応して想定することができる。図4(b)は、再構成画像S1における上記の2つのピクセルP1、P2についての位置関係を横軸に、また、それぞれのピクセルP1、P2の明るさ(輝度値)を縦軸に示すグラフである。なお、透過長決定部13は、再構成画像S1が生成された段階では、ピクセルP1とピクセルP2との境界を2物質領域の境界として設定する。すなわち、ピクセルP1とピクセルP2との境界が閾値A12に基づく境界である。
図4(b)においては、ピクセルP1およびピクセルP2の明るさtP1およびtP2は、それぞれのピクセルP1,P2におけるX線透過経路に沿った線分の中点における明るさを示すように黒丸で表現されている。縦軸において閾値B12に相当する明るさをtPBで示す。tPBに相当する縦軸上の位置を通り横軸に平行な直線と、2つの黒丸の間を結ぶ直線との交点を交点Tとし、交点Tから横軸に降ろした垂線の足に相当する横軸上の位置を境界Bとする。透過長決定部13は、上記の境界Bを算出するとともに、境界Bを2物質領域(第1画像領域と第2画像領域)の境界として設定する。
具体的には、透過長決定部13は、再構成画像S1において、想定したX線透過経路に沿って隣接する2つのピクセルの明るさ(画像輝度)が異なる場合に、この2つのピクセルの間に2物質領域の境界が存在するものと見做し、閾値B12に基づく境界Bの設定を行う。閾値B12は、上述した図3に示す関係に基づく式(7)を用いて算出される。すなわち、閾値演算部11により、第1画像領域または第2画像領域におけるピクセルの画像輝度の最大値と最小値とが検出され、この最大値と最小値とに基づいて式(7)から閾値B12における画像輝度tPBが算出される。透過長決定部13は、ピクセルP1の中点の位置l1およびその明るさと、ピクセルP2の中点の位置l2およびその明るさとを線形近似することにより、図4(b)に示す線分Qを算出する。透過長決定部13は、この線分Qに基づいて、閾値B12に対応する画像輝度tpBの場合の再構成画像S1での位置が得られる。画像輝度tp1のときの再構成画像S1での位置l1と、画像輝度tpBのときの再構成画像S1での位置l3との差Δlbを算出する。
透過長決定部13は、上記手順により、再構成画像S1について、被検物Sに対して照射されたX線透過経路に沿って境界Bを設定して、再構成画像S2を生成する。この場合、透過長決定部13は、各X線透過経路において、算出した上記の差Δを再構成画像S1の第1画像領域または第2画像領域のX線透過経路に沿った長さに加算することにより、再構成画像S2を生成する。後述する補正データ生成部14は、境界Bに基づいて投影データを補正して補正投影データを生成する。
上記の通り、再構成画像S1が生成された時点においてピクセル単位で設定されていた物質領域の境界は、本実施の形態における処理により閾値B12に基づいて設定された境界Bに修正された。その結果、再構成画像S2では、修正前はピクセル単位で設定されていた境界が、修正後はピクセルの大きさを下回る長さの単位(サブピクセル単位)に基づいて設定されるため、物質間の境界をより高精度に設定できる。すなわち、境界Bが物質領域間の境界を示すように修正され、修正された境界が反映された再構成画像S2は、再構成画像S1に比べて、被検物Sの構成や形状をより正確に表現できている。
なお、透過長決定部13は、設定されたX線透過経路に沿う全てのピクセルの境界を対象として境界Bを算出する必要はない。例えば、再構成画像S1において、想定されたX線透過経路に沿って隣接する2つのピクセルの明るさ(画像輝度)の差が所定の値より大きい場合に、2つのピクセルの範囲に2物質領域(第1画像領域と第2画像領域)の境界があると見做してもよい。透過長決定部13は、このような条件を満たすピクセルのみを対象として閾値B12に基づいて境界Bを設定してよい。想定されたX線透過経路に沿って隣接する2つのピクセルの明るさの際が所定の値以下の場合は、これらの2つのピクセルの範囲には2物質領域の境界はないと見做して、透過長決定部13は境界Bを求める処理は行わなくてもよい。すなわち、境界Bを求めるかどうかを効率よく判断するためには、隣接する2つのピクセルの明るさの差に基づいて対象範囲を設定することが好ましい。
なお、本実施の形態においては、閾値演算部11は、まず、判別分析法(大津のマルチ閾値法)により閾値A12、A23を算出し、その後、閾値A12、A23を閾値B12、B23に修正した。しかし、閾値A12、A23を算出する方法は判別分析法に限られない。例えば、Pタイル法やモード法により閾値A12、A23を算出してもよい。
(透過長の算出)
本実施の形態では、設定された境界Bに基づいて、想定された様々なX線透過経路における透過長をより正確になるように補正して補正透過長を求め、補正透過長に基づいて投影データを修正して修正投影データを算出する。その手順について次に説明する。
まず、透過長決定部13は、投影データに基づく再構成画像S2に対して、被検物Sに対して想定したX線透過経路に沿って光線追跡(上述した境界の検出)を行い、被検物Sの2つの物質領域(第1領域、第2領域)における透過長に相当する、再構成画像S2上での第1画像領域と第2画像領域の領域透過長を求める。このために、透過長決定部13は、画像処理により領域透過長を推定する。被検物Sに対して想定されたX線透過経路に対応する、再構成画像S2における透過経路の全長Lの推定値(推定全長)をLとする。X線透過経路に沿って、被検物Sの高分子材料の領域(第1領域)を透過したX線の透過長に対応する、再構成画像S2上での高分子材料領域(第1画像領域)の領域透過長(第1領域透過長)Xの推定値(第1推定透過長)をX1rとする。X線透過経路に沿って、被検物Sの金属材料の領域(第2領域)を透過したX線の透過長に対応する金属材料領域(第2画像領域)の領域透過長(第2領域透過長)Xの推定値(第2推定透過長)をX2rとする。すなわち、推定全長LはX1r+X2rである。なお、再構成画像S2によっては、X1rまたはX2rがゼロとなることがある。すなわち、例えば、被検物Sにおいて、金属材料の領域(第2領域)の全周が高分子材料の領域(第1領域)に囲まれている場合、高分子材料の領域(第1領域)を透過しないX線透過経路は存在しないが、高分子材料の領域(第1領域)のみ透過するX線透過経路は存在する。この場合には、再構成画像S2において第2推定透過長X2r=0となる。逆に、被検物Sにおいて、高分子材の領域(第1領域)の全周が金属材料の領域(第2領域)に囲まれている場合には、金属材料の領域(第2領域)を透過しないX線透過経路は存在しないが、金属材料の領域(第2領域)のみ透過するようなX線透過経路は存在する。この場合には、再構成画像S2において第1推定透過長X1r=0となる。
図5に、本実施の形態の再構成画像S2を模式的に示す。再構成画像S2において、5ヵ所の金属材料領域(第2画像領域)は全て高分子材領域(第1画像領域)の内部に配置されている。このため、金属材料領域(第2画像領域)のみを透過する透過経路は存在せず、金属材料領域(第2画像領域)を透過する透過経路は必ず高分子材料領域(第1画像領域)も透過する。すなわち、第2推定透過長X2rがゼロよりも大きい場合、第1推定透過長X1rはゼロにならない。図5に、このような透過経路の一例を透過経路Aとして示す。一方、高分子材料領域(第1画像領域)のみを透過する透過経路は存在する。図5に、このような透過経路の一例を透過経路Bとして示す。すなわち、第2推定透過長X2r=0である。
単一の物質(本実施の形態においては、高分子材料の領域(第1領域))のみをX線が透過する場合、X線の投影値pは、第1領域透過長Xを変数とし、bを係数とするべき級数を用いて次に示す式(8)で近似することができる。
p=f(X)=Σb (8)
透過長決定部13は、再構成画像S2において高分子材料領域(第1画像領域)のみを透過した透過経路を複数選択し、再構成画像S2におけるこれらの透過経路における第1推定透過長X1rについて、これらの透過経路における投影データ、すなわち強度データ(投影値p)を選択する。透過長決定部13は、選択された複数の第1推定透過長X1rと投影値pとの組を、それぞれ式(8)に用いることで、式(8)を解く。これにより式(8)は確定し、検出された強度データに基づいて算出された投影値を用いて、高分子材料の領域(第1領域)における第1推定透過長X1rの算出値である第1推定透過長算出値X1eが得られる。
再構成画像S2において金属材料領域(第2画像領域)のみを透過した複数の透過経路を選択できる場合にも、同様の処理を行う。これにより、透過長決定部13は、再構成画像S2に基づいて、金属材料の領域(第2領域)における第2推定透過長X2rの算出値である第2推定透過長算出値X2eが得られる。
X線が2種類の物質領域(本実施の形態においては、金属材料の領域(第2領域)および高分子材料の領域(第1領域))を透過する場合は、再構成画像S2においては、被検物SのX線透過経路は、図5に示す透過経路Aに相当する。透過経路Aにおける高分子材料領域(第1画像領域)の第1領域透過長X、金属材料領域(第2画像領域)の第2領域透過長Xの場合、X線の投影値pは、べき級数を用いて次に示す式(9)で表すことができる。
Figure 2020094893
高分子材料領域(第1画像領域)および金属材料領域(第1画像領域)の様々な推定透過長X1rおよびX2rの様々な組み合わせを式(9)に代入することにより、第1推定透過長X1rおよび第2推定透過長X2rの組み合わせと投影値pとの関係が得られる。
図6は、高分子材料領域(第1画像領域)を透過する第1透過長Xと、金属材料領域(第2画像領域)を透過する第2透過長Xと、投影値pとの関係を模式的に示す図である。図6に示すように、X線が高分子材料の領域(第1領域)を透過することに伴う投影値は単調増加するが、X線が金属材料の領域(第2領域)を透過することに伴う投影値の単調増加は直線的な増加から大きく外れる。これは、金属材料の領域(第2領域)を透過するX線が、高分子材料の領域(第1領域)を透過するX線よりも大きく硬化することを示している。
透過長決定部13は、既知の投影値と、第1推定透過長X1rおよび第2推定透過長X2rの組み合わせとの関係を求める。ただし、第1推定透過長X1rおよび第2推定透過長X2rの組み合わせは無限に存在する。透過長決定部13は、第1推定透過長X1rおよび第2推定透過長X2rの組み合わせを決定するために、既知の投影値pに基づいて、この投影値が検出された透過経路における第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを求める。第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを求める手順について次に説明する。
投影データのうち、第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを求める対象とするX線透過経路において、画像輝度を検出した検出素子の出力に基づく投影値pоは次の式(10)で表される。
о= f(X,X) (10)
式(10)で表される投影値pоを図6に破線で示す。また、式(10)により表される線をX平面に投影した線を、図7に破線で示す。また、上記の透過経路における推定全長Lは再構成画像S2から求められる。推定全長Lは次の式(11)で表される。
1r+X2r=L (11)
式(11)で表される直線を図7に示す。図7において、式(10)をX平面へ投影した直線と式(11)との交点の座標を第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eとして設定する。
なお、再構成画像S2における高分子材料領域(第1画像領域)の第1推定透過長および金属材料領域(第2画像領域)の第2推定透過長のそれぞれを、第1および第2推定透過長算出値として設定することも可能であるが、これらの推定透過長は誤差を含んでいることが考えられる。一方、透過経路の推定全長Lは、再構成画像S2から比較的正確に求められるので、透過長決定部13は、上記の手順により第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを設定することが好ましい。
再構成画像S2から、複数のX線透過経路に対応する透過経路を進むX線が被検物Sを透過したと想定した場合における、検出器4によるX線透過量を選択する。透過長決定部13は、選択したX線透過量に基づいて算出した複数の投影値と、上記の複数の透過経路における第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを用い、重回帰にて式(9)のべき級数の係数cj、n−1を得る。これにより、式(9)が確定するので、透過長決定部13は、既知の強度データから算出された投影値に対応する、高分子材料領域(第1画像領域)および金属材料領域(第2画像領域)の第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eを算出する。
上述した式(10)で表される投影値pを次のように表すことにより第1推定透過長算出値X1e、第2推定透過長算出値X2eの精度を向上させることができる。
Figure 2020094893
移項して整理すると、次のように表すことができる。
Figure 2020094893
誤差が最小になる(ΔX1 ,ΔX)は、{(ΔX+(ΔX1/2を最小にするように求められるので、次の式(12)のように表すことができる。
Figure 2020094893
ただし、k=1、2、…である。
ΔXおよびΔXとの関係について、図8に示す。図8において、p=f(X1 ,)のX平面への投影と式(12)で表されるX+X=Lとの交点が、X平面における座標(X1e ,2e)であり、これは第1および第2推定透過長算出値を表す。式(12)に示すΔXおよびΔXは、p=f(X1 ,)の上を微小量移動した位置に相当する。これにより、修正推定透過長算出値X1e+ΔXおよびX2e+ΔXが求まる。
補正データ生成部14は、修正推定透過長算出値X1e+ΔXおよびX2e+ΔXを用いて後述する補正投影値を算出する。補正データ生成部14は、このように算出された補正投影値に基づいて投影データを補正して、第1画像領域と第2画像領域とが修正された補正投影データを生成する。補正データ生成部14は、この補正投影データを用いて、画像再構成を実行し、再構成画像S3を得る。したがって、生成された再構成画像S3では、第1画像領域の第1領域透過長XはX1e+ΔXとなり、第2画像領域の第2領域透過長XはX2e+ΔXとなる。
(投影値の線形化補正)
既に説明したように、再構成画像は、投影データが単色のX線照射により得られたものとして生成される。すなわち、被検物Sのそれぞれの物質領域において、透過するX線の投影値と透過長とは線形の関係が成り立つものとして画像再構成が行われる。しかし、実際には、被検物SをX線が透過する際、特に金属材料の領域(第2領域)をX線が透過する際、ビームハードニング現象が発生する。従って、検出された投影データを用いて画像再構成を行った場合、再構成画像にはアーチファクトが含まれる。また、再構成画像は、被検物Sの検査や測長に影響を及ぼすほど被検物Sの構成や形状を正確に表現できなくなる可能性がある。
そこで、透過長決定部13は、投影値と領域透過長とが直線的な関係、すなわち、投影値と領域透過長とが線形の関係に近づくように、検出された投影データに基づく投影値pを補正した補正投影値pを算出する。この補正投影値pを用いて画像再構成を行えば、アーチファクトの発生が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
補正投影値pを、次の式(13)により定義する。
=a1e+a2e (13)
なお、式(13)において、a1eおよびa2eはそれぞれ、高分子材料の領域(第1領域)および金属材料の領域(第2領域)におけるX線の有効線減弱係数であり、第1有効線減弱係数および第2有効線減弱係数と呼ぶ。
上記の手順により算出した第1および第2修正推定透過長算出値X1e+ΔX、X2e+ΔX、と第1および第2有効線減弱係数a1e、a2eとを式(13)に代入することにより補正投影値pが算出される。なお、第1有効線減弱係数a1eおよび第2有効線減弱係数a2eは、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xを[cm]単位で推定した場合、再構成画像S2における高分子材料領域(第1画像領域)および金属材料領域(第2画像領域)のそれぞれの領域における[/cm]単位に換算した再構成画像の輝度の平均値を用いることができる。また、有効線減弱係数として、図6に示す透過長と投影値とにより形成される曲面の平均傾斜係数や、スペクトル情報に基づいて予め用意しておいた有効係数を用いることができる。
高分子材料領域(第1画像領域)および金属材料領域(第2画像領域)の様々な第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xの組み合わせを式(13)に代入することにより、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xの組み合わせと補正投影値pとの関係が得られる。図9は、この関係を示すグラフである。図6では、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xと投影値pとの関係は曲面によって表されているのに対して、図9では、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xと補正投影値pとの関係は平面で表される。すなわち、投影値と透過長とは線形の関係であることが示されている。
(透過長の修正)
補正データ生成部14は、式(13)を用いて算出した補正投影値pに基づいて投影データを補正することにより、補正投影データを算出する。その際、補正データ生成部14は、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xとしては、第1修正推定透過長算出値X1e+ΔXおよび第2修正推定透過長算出値X2e+ΔXを用いる。データ評価部15は、算出された補正投影データを用いて最終的な再構成画像S3を生成するのか、または、補正投影データをさらに修正する必要があるかどうかを判定する。なお、補正投影データを用いて画像再構成を行って生成した再構成画像S3に顕著なアーチファクトが認められない場合には、この再構成画像S3を被検物Sの検査結果としてもよい。ただし、再構成画像S3に顕著なアーチファクトが認められない場合であっても、被検物Sの構成や形状をより正確に表現できているとは限らない。
そこで、補正投影データをさらに修正する必要があるかどうかを判定する具体的な判定手順および補正投影データの修正手順について次に説明する。なお、判定は行わずに、補正投影データをさらに修正して画像再構成を行う繰り返し回数を予め設定してもよい。例えば、3回の繰り返しを行って得られた補正投影データを画像再構成に用いることにしてもよい。
(ラドン変換による判定手順)
補正投影データをさらに修正して画像再構成を繰り返し行う必要があるかどうかについての具体的な判定手順として、ラドン変換により導かれる面積保存則に基づく判定手順について説明する。ラドン変換により導かれる保存則とは、物体を透過するX線の透過長と投影値との間に線形関係が成り立つ場合、透過量または投影値の合計はX線照射方向に係わらず一定であるというものである。従って、逆に、透過量または投影値の合計はX線照射方向に係わらず一定である場合には、物体を透過するX線の透過長と透過量(または投影値)との間に線形関係が成り立つことになり、そのような透過量または投影値に基づく再構成画像ではアーチファクトの発生が抑制されていることが推定できる。本実施の形態においては、データ評価部15は、再構成画像S3の評価を行うために、式(13)を用いて算出した補正投影値pを用いてラドン変換の面積保存則による判定を行う。
データ評価部15は、再構成画像S3を生成するために用いる補正投影データのうち、1つのX線照射断面を想定し、あるX線照射方向に対応する補正投影データ(複数の値)を選択し、これらを合計する。次に、データ評価部15は、同じ照射断面における異なるX線照射方向に対応する補正投影データを選択し、これらを合計する。このようにして、データ評価部15は、想定したX線照射角度ごとに補正投影データを選択し、それらの和を算出する。
図10は、被検物Sについて、上記説明の手順によりX線の照射方向(角度)θごとに算出した補正投影データの和を示すグラフである。図10に示すグラフにおいて、横軸は想定したX線の照射方向(照射角度)θ、縦軸は算出した補正投影データの和を示す。本実施の形態においては、再構成画像S3の評価を行うための指標として、CRRTを求める。
CRRTは、次に示す式(14)により定義する指標である。
Figure 2020094893
式(14)において、Pθは、X線の照射角度θごとに算出した補正投影データの和を意味し、そのうち、max(Pθ)は最大の値、min(Pθ)は最小の値を示す。ビームハードニング現象が強く発生しているほどCRRTの値は大きい。式(14)からわかるように、照射角度θによりPθの値に変動がある場合、CRRTは大きい値となる。すなわち、CRRTが大きい場合にはビームハードニング現象が強く発生していることが推定される。
図10に示す4つの線のうち、符号C0が付された最も上部の線は、再構成画像S1を生成するために用いた投影データ(すなわち、補正前の投影データ)に基づいて算出したものである。投影データの和Pθは、X線の照射角度θの変化により大きく変動している。C0に示すように、ビームハードニング現象による影響が強いことが推定さる。符号C1が付された最も下部の線は、再構成画像S3を生成するために用いた補正投影データに基づいて算出したものである。補正投影データの和Pθは、X線の照射角度θの変化により、C0よりも変動が抑制されている。このときのCRRTは0.4%程度であった。C1に示すように、補正投影データによりビームハードニング現象による影響が抑制されているものの、まだビームハードニング現象の影響を受けていることが推定され、補正投影データの修正を再度実行する必要があると判断される。
(補正投影データ取得の再実行)
アーチファクトの発生をさらに抑制した再構成画像S4を得るために、補正データ生成部14は、再構成画像S3を生成するために用いた補正投影データの修正を再度実行する。そのために、補正データ生成部14は、第1および第2推定透過長を修正して修正推定透過長を算出し、算出された修正補正透過長を用いて補正投影値を再度算出する。透過長決定部13は、再構成画像S3を用いて、上述した透過長の算出の処理と同様にして、第1推定透過長と第2推定透過長を求め、式(9)を用いて得られる投影値と第1および第2推定透過長との関係に基づいて、式(10)、(11)を用いて第1修正推定透過長と第2修正推定透過長とを設定(推定)する。
データ評価部15は、再構成画像S4を生成するために用いた修正された補正投影データにより、上記と同様の手順により、CRRTを求める。このとき、再構成画像S4を表示モニタ6に表示することにより、再構成画像S4のアーチファクトの発生の状態をユーザに目視で評価可能とするとよい。その結果を、図10を参照して説明する。符号C2が付された上から2番目の線は、再構成画像S4に関するものである。すなわち、補正投影データを1回修正した場合に相当する。
補正投影データの和Pθは、X線の照射角度θの変化により依然として変動しているものの、符号C1が付された線に比べて変動幅は抑えられていることがわかる。また、CRRTは0.25%程度であり、ビームハードニング現象による影響は減少していることを示している。ただし、これらの値からは、ビームハードニング現象による影響はまだ十分に抑制されていないことが推定され、補正投影データに対する2回目の修正を行う必要があると判断される。
上記の手順に従って、補正投影データの修正を繰り返し実行した結果を図10に示す。符号C3、C4、C5を付した線は、それぞれ2回目、3回目、4回目の補正投影データ修正を行った場合を示す。図10より、2回目、3回目、4回目の補正投影データの修正を行うことで、X線の照射角度θの変化による変動は十分に小さい状態となり、この場合、CRRTは0.16%程度である。これらの値から、ビームハードニング現象による影響は十分に抑制されていると考えられ、2回目以降に修正した補正投影データに基づいて画像再構成を行うことで、アーチファクトの発生が十分低いレベルに抑制された再構成画像が得られることが推定できる。
(その他の判定手順)
上記説明のラドン変換による判定手順とは異なる手順も採用可能である。例えば、補正投影データの修正を繰り返すために算出した、想定したX線透過経路に対応する透過経路おける推定透過長Xを比較して、繰り返しによる推定透過長の変化が所定の値より小さくなったことを以って、繰り返しを終了してもよい。具体的には、データ評価部15は、補正投影データの修正をk回目に繰り返した場合とk−1回目に繰り返した場合において、N通りの透過経路における推定透過長Xについて、次の式を用いてεの値を求め、例えば、εの値が10−3より小さくなったら、繰り返しを終了する。これにより、適切な繰り返し回数を実行することができる。
Figure 2020094893
ここで、Xei は、k回目の繰り返しにおける推定透過長を表す。
また、推定透過長に代えて、補正投影値pの変化が所定の値より小さくなったことを以って、繰り返しを終了してもよい。具体的には、データ評価部15は、補正投影データの修正をk回目に繰り返した場合とk−1回目に繰り返した場合において、N通りのX線透過経路における補正投影値pについて、次の式を用いてζの値を求め、例えば、ζの値が10−3より小さくなったら、繰り返しを終了する。これにより、適切な繰り返し回数を実行することができる。
Figure 2020094893
ここで、pci は、k回目の繰り返しにおける補正投影値を表す。
上記説明では、被検物SにX線を照射し、検出器4からの出力に基づいて得られた投影データを用いて再構成画像を生成し、透過長決定部13は、この再構成画像における金属材料領域(第2画像領域)と高分子材料領域(第1画像領域)との境界を設定した。しかし、再構成画像に著しいアーチファクト(強いアーチファクトや大きなアーチファクト)が含まれている場合には、この再構成画像における金属材料領域(第2画像領域)と高分子材料領域(第2画像領域)との境界の設定が困難となる。このような場合には、予め、金属材料領域(第2画像領域)が判別できればアーチファクト軽減が可能な別の処理を行うことで、アーチファクトを除去した再構成画像を生成し、透過長決定部13は、この再構成画像における金属材料領域(第2画像領域)と高分子材料領域(第1画像領域)との境界を設定してもよい。この場合、アーチファクト軽減が可能な別の処理として、例えば、MAR(Metal Artifact Reduction)と呼ばれる公知の処理を用いればよい。
MARは次の手順により行うことができる。
透過長決定部13は、再構成画像から金属材料領域(第2画像領域)に相当する部分を取得する(取得処理)。透過長決定部13は、被検物Sを順次投影した投影データから金属材料領域(第2画像領域)の投影データを判別し、その部分を被検物Sを順次投影した投影データから削除する(削除処理)。透過長決定部13は、投影データから削除した金属材料領域(第2画像領域)に相当する投影データを、例えば、周囲のデータにより補間する(補間処理)。これにより、削除処理にて削除された第2画像領域が第1画像領域で満たされていると仮定した場合の投影データが生成される。透過長決定部13は、補間処理により生成された投影データを再構成して再構成画像を生成する(再構成処理)。透過長決定部13は、再構成処理で得られた再構成画像のうち金属材料領域に相当するデータを、取得処理にて得られた第2画像領域に置換することにより合成画像を生成する。透過長決定部13は、この合成画像における金属材料領域(第2画像領域)と高分子材料領域(第1画像領域)との境界を設定する。
上記説明では、2種類の異なる物質領域、例えば、金属材料領域と高分子材料領域とからなる被検物Sに対するX線検査について説明した。しかし、同様の手順により、3物質からなる被検物に対するX線検査も可能である。第1物質領域、第2物質領域および第3物質領域の3物質からなる被検物をX線検査する場合、想定したX線の透過経路における、第1物質領域の透過長をX、第2物質領域の透過長をX、第3物質領域の透過長をXとする場合、X線の投影値pは次のように表すことができる。
Figure 2020094893
これにより、修正推定透過長X=Xkr+ΔX、すなわち、X1e+ΔX、X2e+ΔX、X3e+ΔXを求めることができる。
なお、本実施の形態においては、ラドン変換による判定を行う際、再構成画像S3における1つのX線照射断面を想定し、そのX線照射断面における補正投影データの和がX線照射方向の変化によりどの程度変動するかについて評価した。しかし、1つのX線照射断面に代えて、例えば、被検物Sの検査対象領域を網羅する複数のX線照射断面における補正投影データの和がX線照射方向の変化によりどの程度変動するかについて評価することにより判定を行ってもよい。
なお、上記の実施の形態においては、X線源2はファンビームを放射するものとして説明した。しかし、X線源2は、ファンビームを放射するものに限られず、コーンビームを放射するものであってもよい。この場合には、検出器として、X線入射面に検出素子が2次元配列されたタイプのものを用いることが一般的である。再構成画像S3に対して想定されたある照射方向について、補正投影データの和がX線照射方向の変化によりどの程度変動するかについて評価することにより判定を行う。
また、X線源2は、ペンシルビームを放射するものであってもよい。この場合には、被検物Sの検査対象領域を網羅してX線照射がなされるように、X線ビームは走査される。ラドン変換による判定は、被検物Sに1つの断面を想定し、補正投影データの和がX線照射方向の変化によりどの程度変動するかについて評価することにより判定を行ってもよいし、あるいは、複数の断面における補正投影データの和がX線照射方向の変化によりどの程度変動するかについて評価することにより判定を行ってもよい。
また、上述した説明においては、被検物SがX線吸収係数の異なる2物質(金属材料と高分子材料)を有する場合を例示したが、被検物Sが1物質(金属材料)からなる場合でもよい。この場合、閾値演算部11は、上述した高分子材料領域と空気領域との境界を設定するときの処理を適用して、金属材料の領域と金属材料の領域とは異なる領域(例えば空気領域)との境界(すなわち金属材料の領域の境界)を設定する。透過長決定部13、補正データ生成部14およびデータ評価部15は、設定された金属材料の領域の境界に基づいて、上述した処理と同様の処理を行う。これにより、被検物Sが金属材料のみからなる場合であっても、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
図11に示すフローチャートを参照して、本実施の形態のデータ処理方法の手順にについて説明する。図11に示すフローチャートに示した各処理は、データ処理装置10においてプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、データ処理装置10において起動され、実行される。
ステップS11では、データ取得部12は、X線CT装置100により取得された投影データに基づく再構成画像を取得し、ステップS12に進む。ステップS12では、閾値演算部11は、再構成画像に基づいて、異なる物質領域の境界を設定するために用いる第1閾値の算出を行い、ステップS13に進む。ステップS13では、ピクセル単位でセグメントされたセグメンテーション画像を生成してステップS14に進む。ステップS14では、閾値演算部11は、光線追跡するための光線(すなわち想定したX線透過経路)の数nを設定してステップS15に進む。ステップS15では、閾値演算部11は、想定したX線透過経路に沿って境界を検出するためのステップ数k(=1、2、…、K)を設定してステップS16に進む。
ステップS16では、閾値演算部11は、再構成画像S1において、想定したX線透過経路に沿って境界が存在するか否かを判定する。境界が存在する場合、すなわちX線透過経路に沿って隣接するピクセルの画像輝度が異なる場合には、ステップS16が肯定判定されてステップS17へ進む。境界が存在しない場合には、ステップS16が否定判定されて、後述するステップS20に進む。ステップS17では、閾値演算部11は、透過X線強度が顕著に高い部分の透過X線強度値(ピークまたは最大値)および/または、透過X線強度が顕著に低い部分の透過X線強度値(ボトムまたは)を用いて第1閾値を修正して第2閾値を算出し、ステップS18に進む。ステップS18では、透過長決定部13は、第2閾値に基づいて2つの物質の境界Bを設定してステップS19へ進む。
ステップS19では、透過長決定部13は、算出した上記の差Δを再構成画像S1の第1画像領域または第2画像領域のX線透過経路に沿った長さに加算することにより、再構成画像S2を生成してステップS20に進む。ステップS20では、データ処理装置は、設定した全てのX線透過経路に対して、境界を検出するために設定した全てのステップが終了したか否かを判定する。全てのX線透過経路に対して、境界を検出するための全てのステップが終了した場合には、ステップS20が肯定判定されてステップS21へ進む。処理が終了していないX線透過経路や境界を検出するためのステップが存在する場合には、ステップS20が否定判定されてステップS16に戻る。
ステップS21において、透過長決定部13は、ステップS18において算出した第2閾値に基づいて設定された境界Bを用いて、各物質領域における推定透過長を算出し、ステップS22に進む。ステップS22では、透過長決定部13は、ステップS21で算出した推定透過長と被検物Sを透過することに伴うX線の投影値との関係を取得し、ステップS23に進む。ステップS23では、透過長決定部13は、ステップS22で取得した推定透過長と投影値との関係に基づいて、推定透過長を修正し推定透過長算出値を取得してステップS24に進む。ステップS24では、透過長決定部13は、ステップS23で取得した推定透過長算出値と投影値との関係を線形化補正し、ステップS25に進む。ステップS25では、線形化補正した補正投影値に基づいて、例えばラドン変換により導かれる保存則に基づく判定手順に従って、投影値を再度補正する必要があるかどうか、すなわち、ステップS24で取得した補正投影値に基づいて画像再構成しても問題ないかどうか判定する。ステップS25において肯定判定された場合、すなわち、投影値を再度補正する必要があると判定された場合は、ステップS11に戻る。ステップS25において否定判定された場合、すなわち、投影値を再度補正する必要がないと判定された場合は処理を終了する。この場合には、ステップS24において取得した補正投影値に基づいて画像再構成を行った場合、画像再構成により生成された再構成画像S3は、アーチファクトの生成が十分に抑制され、被検物Sの構成や形状が正確に表現できることが推定される。この画像は、たとえば表示モニタ6や、データ処理装置10の外部や別体の装置の表示モニタに表示される。
次に、図面を参照して、上述した実施の形態によるX線CT装置100を構造物製造システムに適用した場合について説明する。本実施の形態の構造物製造システムは、例えば、金属部品がインサート成形された樹脂部品等の工業製品の検査工程や製造工程に適用することができる。
図12は本実施の形態による構造物製造システム200の構成の一例を示すブロック図である。構造物製造システム200は、実施の形態にて説明したX線CT装置100と、設計装置210と、成形装置220と、制御システム230と、リペア装置240とを備える。
設計装置210は、構造物の形状に関する設計情報を作成する際にユーザが用いる装置であって、設計情報を作成して記憶する設計処理を行う。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報である。設計情報は成形装置220および後述する制御システム230に出力される。成形装置220は設計装置210により作成された設計情報を用いて構造物を作成、成形する成形処理を行う。この場合、成形装置220は、射出成形、3D積層成形、鋳造加工、鍛造加工、および切削加工のうち少なくとも1つを行うものについても本発明の一態様に含まれる。
X線CT装置100は、成形装置220により成形された構造物の形状を測定する測定処理を行う。X線CT装置100は、構造物を測定した測定結果である構造物の座標を示す情報(以後、形状情報と呼ぶ)を制御システム230に出力する。制御システム230は、座標記憶部231と、検査部232とを備える。座標記憶部231は、上述した設計装置210により作成された設計情報を記憶する。
検査部232は、成形装置220により成形された構造物が設計装置210により作成された設計情報に従って成形されたか否かを判定する。換言すると、検査部232は、成形された構造物が良品か否かを判定する。この場合、検査部232は、座標記憶部231に記憶された設計情報を読み出して、設計情報とX線CT装置100から入力した形状情報とを比較する検査処理を行う。検査部232は、検査処理としてたとえば設計情報が示す座標と対応する形状情報が示す座標とを比較し、検査処理の結果、設計情報の座標と形状情報の座標とが一致している場合には設計情報に従って成形された良品であると判定する。設計情報の座標と対応する形状情報の座標とが一致していない場合には、検査部232は、座標の差分が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であれば修復可能な不良品と判定する。
修復可能な不良品と判定した場合には、検査部232は、不良部位と修復量とを示すリペア情報をリペア装置240へ出力する。不良部位は設計情報の座標と一致していない形状情報の座標を有する部位であり、修復量は不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分である。リペア装置240は、入力したリペア情報に基づいて、構造物の不良部位を再加工するリペア処理を行う。リペア装置240は、リペア処理にて成形装置220が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
図13に示すフローチャートを参照しながら、構造物製造システム200が行う処理について説明する。
ステップS31では、設計装置210はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS32へ進む。なお、設計装置210で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS32では、成形装置220は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS33へ進む。ステップS33においては、X線CT装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS34へ進む。
ステップS34では、検査部232は、設計装置210により作成された設計情報とX線CT装置100により測定され、出力された形状情報とを比較する検査処理を行って、ステップS35へ進む。ステップS35では、検査処理の結果に基づいて、検査部232は成形装置220により成形された構造物が良品か否かを判定する。構造物が良品である場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標との差が所定の範囲内の場合には、ステップS35が肯定判定されて処理を終了する。構造物が良品ではない場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致しない場合や設計情報には無い座標が検出された場合には、ステップS35が否定判定されてステップS36へ進む。
ステップS36では、検査部232は構造物の不良部位が修復可能か否かを判定する。不良部位が修復可能ではない場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲を超えている場合には、ステップS36が否定判定されて処理を終了する。不良部位が修復可能な場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲内の場合には、ステップS36が肯定判定されてステップS37へ進む。この場合、検査部232はリペア装置240にリペア情報を出力する。ステップS37においては、リペア装置240は、入力したリペア情報に基づいて、構造物に対してリペア処理を行ってステップS33へ戻る。なお、上述したように、リペア装置240は、リペア処理にて成形装置220が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)データ取得部12は、第1のX線吸収率を有する第1領域および第1のX線吸収率とは異なる第2のX線吸収率を有する第2領域を有する被検物Sに対してX線を照射して、X線が被検物Sを透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データに基づく再構成画像を取得する。閾値演算部11は、再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループ(第1グループG1、第2グループG2、第3グループのうちの何れか2つ)に分割する第1閾値を算出し、かつ、第1閾値を修正して第2閾値を算出する。透過長決定部13は、第2閾値に基づいて投影データを補正して、再構成画像における第1画像領域および第2画像領域を修正する。これにより、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(2)閾値演算部11は、再構成画像を判別分析法に基づいて2つのグループに分割する第1閾値を算出する。これにより、第1閾値を精度よく設定することが可能となり、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(3)閾値演算部11は、再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて第1閾値を修正して第2閾値を算出する。これにより、物質領域の境界がより高精度に求まり、その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(4)透過長決定部13は、再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、第1閾値に基づいて設定した第1初期画像領域と第2初期画像領域との境界を間に有するピクセルの組に対して、第2閾値に相当する位置を設定することにより第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xを決定する。これにより、物質領域の境界がより高精度に求まり、その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(5)補正データ生成部14は、X線の投影値と第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xの組み合わせとの関係を設定し、投影データのそれぞれに対応するX線の透過経路ごとに、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xが投影値と線形の関係となるように投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得する。これにより、被検物を透過するX線の投影値と被検物SにおけるX線の透過長との関係が線形化されるので、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がさらに正確に表現された再構成画像が得られる。
(6)データ評価部15は、補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定する。これにより、補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定を効率よく行うことができる。
(7)データ評価部15は、被検物SにX線を照射することを想定した場合の被検物Sに対するX線の照射方向の変化による補正投影データの合計値の変動量に基づいて再実行の必要を決定する。これにより、補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定を効率よく行うことができる。
(8)補正データ生成部14は、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xのそれぞれの修正値の2乗の和が最小となるように、第1領域透過長Xおよび第2領域透過長Xのそれぞれの修正値を設定して、複数の補正投影データの取得を実行する。これにより、補正投影データの取得を高効率に行うことができる。
(9)構造物製造システム200のX線CT装置100は、設計装置210の設計処理に基づいて成形装置220により作成された構造物の形状情報を取得する測定処理を行い、制御システム230の検査部232は、測定処理にて取得された形状情報と設計処理にて作成された設計情報とを比較する検査処理を行う。したがって、構造物の欠陥の検査や構造物の内部の情報を非破壊検査によって取得し、構造物が設計情報の通りに作成された良品であるか否かを判定できるので、構造物の品質管理に寄与する。
(10)リペア装置240は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。したがって、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
上述した実施の形態を次のように変形できる。
データ処理装置10は、閾値演算部11と、データ取得部12と、透過長決定部13とを備えてもよい。この場合、閾値演算部11は、実施の形態の場合と同様に、データ取得部12により取得された再構成画像を用いて、第1閾値を算出し、かつ第1閾値を修正して第2閾値を算出する。透過長決定部13は、算出された第2閾値を用いて、実施の形態の場合と同様にして、再構成画像S1に境界Bを設定する。すなわち、変形例におけるデータ処理装置10は、図11に示すフローチャートのステップS11からステップS19までの処理を行う。これにより、閾値演算部11は、画像輝度に基づいて少なくとも2つのグループ(第1グループG1、第2グループG2、第3グループG3のうちの何れか2つ)に分割する第1閾値を算出し、かつ、第1閾値を修正して第2閾値を算出し、透過長決定部13は第2閾値に基づいて被検物Sの物質領域の境界Bを高精度に求めることができる。その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得るために使用する情報を生成することができる。
上記の設定された境界Bに関する情報(境界情報)は、データ処理装置10の外部や別体の装置に出力される。この外部や別体の装置は、実施の形態における透過長決定部13が行う透過長の算出処理と、補正データ生成部14が行う処理と、データ評価部15が行う処理とを実行する。すなわち、外部や別体の装置が図11のステップS20〜S25の処理を行うことにより、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像が得られる。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
2…X線源
3…載置部
4…検出器
6…表示モニタ
10…データ処理装置
11…閾値演算部
12…データ取得部
13…透過長決定部
14…補正データ生成部
15…データ評価部
100…X線CT装置、
200…構造物製造システム、210…計測装置、
220…成形装置、230…制御システム、240…リペア装置

Claims (24)

  1. 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、
    前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、
    前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、
    前記第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、
    前記第2閾値に基づいて前記投影データを補正して、前記再構成画像において前記領域に対応する画像領域を修正することと、を有するデータ処理方法。
  2. 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、
    前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、
    前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、
    前記第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、
    前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定することと、を有するデータ処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のデータ処理方法において、
    前記第1閾値は、前記再構成画像を判別分析法に基づいて2つのグループに分割する閾値である、データ処理方法。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載のデータ処理方法において、
    前記第2閾値の取得は、前記再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて前記第1閾値を修正することにより取得する、データ処理方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理方法において、
    前記第2閾値に基づいて、前記X線が前記領域を透過する長さに相当する前記画像領域の長さである透過長を決定する、データ処理方法。
  6. 請求項5に記載のデータ処理方法において、
    前記透過長の決定は、前記再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、前記第1閾値に基づいて設定した前記領域に対応する初期画像領域の境界を間に有するピクセルの組に対して、前記第2閾値に相当する位置を設定することにより実行する、データ処理方法。
  7. 請求項5または6に記載のデータ処理方法において、
    前記X線の投影値と前記透過長との関係を設定し、
    前記投影データのそれぞれに対応する前記X線の透過経路ごとに、前記透過長が前記投影値と線形の関係となるように前記投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得する、データ処理方法。
  8. 請求項7に記載のデータ処理方法において、
    前記補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、前記投影値を補正した補正投影値を算出して前記補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定する、データ処理方法。
  9. 請求項8に記載のデータ処理方法において、
    前記評価は、前記被検物に前記X線を照射することを想定した場合の前記被検物に対する前記X線の照射方向の変化による前記補正投影データの合計値の変動値に基づいて前記再実行の必要を決定する、データ処理方法。
  10. 請求項8または9に記載のデータ処理方法において、
    前記再実行の必要を決定した場合、
    前記透過長を修正することにより複数の前記補正投影データの取得を再実行する、データ処理方法。
  11. 請求項10に記載のデータ処理方法において、
    前記透過長の修正値の2乗の和が最小となるように、前記透過長の前記修正値を設定する、データ処理方法。
  12. 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置であって、
    前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、
    前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、
    前記第2閾値に基づいて前記投影データを補正して、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域を修正する補正データ生成部と、を有するデータ処理装置。
  13. 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置であって、
    前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、
    前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、
    前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定する補正データ生成部と、を有するデータ処理装置。
  14. 請求項12または13に記載のデータ処理装置において、
    前記閾値算出部は、前記再構成画像を判別分析法に基づいて2つのグループに分割する第1閾値を算出する、データ処理装置。
  15. 請求項12から14までのいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
    前記閾値算出部は、前記再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて前記第1閾値を修正して前記第2閾値を算出する、データ処理装置。
  16. 請求項12から15までのいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
    前記第2閾値に基づいて、前記X線が前記領域を透過する長さに相当する前記画像領域の長さである透過長を決定する透過長決定部を更に有するデータ処理装置。
  17. 請求項16に記載のデータ処理装置において、
    前記透過長決定部は、前記再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、前記第1閾値に基づいて設定された前記領域に対応する初期画像領域との境界を間に有するピクセルの組に対して、前記第2閾値に相当する位置を設定することにより前記透過長を決定する、データ処理装置。
  18. 請求項16または17に記載のデータ処理装置において、
    前記補正データ生成部は、前記X線の投影値と前記透過長の関係を設定し、前記投影データのそれぞれに対応する前記X線の透過経路ごとに、前記透過長が前記投影値と線形の関係となるように前記投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得する、データ処理装置。
  19. 請求項18に記載のデータ処理装置において、
    前記補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、前記投影値を補正した補正投影値を算出して前記補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定するデータ評価部をさらに有する、データ処理装置。
  20. 請求項19に記載のデータ処理装置において、
    前記データ評価部は、前記被検物に前記X線を照射することを想定した場合の前記被検物に対する前記X線の照射方向の変化による前記補正投影データの合計値の変動量に基づいて前記再実行の必要を決定する、データ処理装置
  21. 請求項19または20に記載のデータ処理装置において、
    前記データ評価部が前記再実行の必要を決定した場合、
    補正データ生成部は、前記透過長を修正することにより複数の前記補正投影データの取得を再実行する、データ処理装置。
  22. 請求項21に記載のデータ処理装置において、
    補正データ生成部は、前記透過長の修正値の2乗の和が最小となるように、前記透過長の前記修正値を設定して、複数の前記補正投影データの取得を実行する、データ処理装置。
  23. 請求項12から22のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
    X線を被検物に向けて放射するX線源と、
    前記X線源と前記被検物との位置関係を変更する位置変更部と、
    前記被検物を通過した前記X線の強度分布を出力信号として出力する検出器と、
    画像を表示する表示部と、
    をさらに有するデータ処理装置。
  24. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のデータ処理方法における処理をコンピュータに実行させるデータ処理プログラム。
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