JP2020094306A - 蓄光性を有する布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】明所での意匠性と暗所での意匠性の両方に優れ、緞帳等として使用するのに適した蓄光布帛を提供する。【解決手段】本発明は、蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなる複合構造糸が少なくとも一部に使用されている布帛であって、前記複合構造糸の総繊度が2,000dtex以上であること、及び、前記複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(%)をRとし、前記繊維糸条の明度をLとした際、R×L≧400、及び、L/R≧0.90の関係を満たすことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄光性を有する布帛に関する。
蓄光性を有する繊維は、従来から、夜釣りに適した釣糸などとして用いられており、また、近年では、明所と暗所で意匠性が異なる布帛を製造するために用いられることもある。
このような蓄光繊維は、着色剤(蓄光顔料以外の着色剤)を添加して着色すると、蓄光顔料の蓄光・発光性能が抑制される傾向があるため、蓄光顔料以外の着色剤は含まないものが多い。それゆえ、蓄光繊維の多くは、蓄光顔料の色に由来する薄い黄色あるいは薄い黄緑がかった白色を呈しており、色彩のバリエーションが少ないため、明所での意匠性が制限されるという問題がある。さらに、蓄光繊維は、明るいところでも発光しているため、蓄光繊維のみで布帛を構成すると、生成りのような自然な色合いの布帛にはならない。そのため、着色を希望しない場合でも、不自然な白さの布帛しか得ることができないという問題がある。
このような問題に対処するものとして、特許文献1には、蓄光性顔料を含有する蓄光繊維と、着色糸とが、特定の条件で合撚されている多色性複合構造蓄光繊維が開示されている。
この多色性複合構造蓄光繊維によれば、複合繊維を構成する蓄光繊維は、蓄光顔料のみを含むため、着色剤により蓄光・発光性が阻害されることはなく、他方、色彩については、複合繊維を構成する着色糸として、所望の色の繊維を用いることができる。そのため、暗所では識別可能な十分な明るさの発光が見られ、明所では様々な色の選択が可能であるとされている。
しかしながら、特許文献1の多色性複合構造蓄光繊維は、繊度100dtex以上500dtex以下のものを想定して開発されたものであるため、繊度が2,000dtex以上の繊維を使用する布帛(例えば、緞帳など)への使用には適さない。
特開2004−100058号公報
それゆえ、本発明は、明所での色彩による意匠性と暗所での発光による意匠性の両方に優れ、緞帳等として使用するのに適した蓄光布帛を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために検討した結果、蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条を利用し、繊維糸条の明度(L)と、複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(R)との関係を適切な範囲に保つことにより、暗所での発光性と、明所での自然な色合いを両立することに成功し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなる複合構造糸が少なくとも一部に使用されている布帛であって、
前記複合構造糸の総繊度が2,000dtex以上であること、及び
前記複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(%)をRとし、前記繊維糸条の明度をLとした際、R×L≧400、及び、L/R≧0.90の関係を満たすこと、
を特徴とする。
本発明の複合構造糸は、蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなるため、蓄光糸条の不自然な白っぽさを緩和することができる。また、繊維糸条の色が濃すぎると、蓄光糸条の蓄光性が損なわれ、発光が弱くなるが、本発明では、複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(R)と、繊維糸条の明度(L)との関係を、R×L≧400とすることで、明所での色彩と、暗所での発光性の両方をバランス良く保つことができる。また、本発明の複合構造糸は、総繊度が2,000dtex以上と太いため、蓄光糸条と繊維糸条のコントラストがきつすぎると、明所ではブチ模様のように見えるが、L/R≧0.90とすることにより、自然な色合いを保つことができる。
特に、400≦R×L≦5000、及び、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たす布帛が好ましい。
また、前記布帛に、前記LとRのどちらか一方あるいは両方が異なる2種類以上の前記複合構造糸を用いることにより、明所では、色のグラデーションや色模様を有し、暗所では発光性の異なる部分を有する布帛を得ることが可能になる。
特に、400≦R×L≦5000、及び、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たす複合構造糸が、5種類以上使用されている布帛が好ましい。
本発明の布帛は、緞帳、ラグ、じゅうたん、カーペット、壁装又はタペストリーとして使用するのに好適である。
本発明の蓄光布帛は、蓄光糸条(非着色)と繊維糸条(非蓄光性)を含む複合構造糸から少なくとも一部が構成されており、前記複合構造糸における蓄光糸条の比率と、繊維糸条の明度が所定の範囲に保たれているため、明所における色彩による意匠性と、暗所における発光による意匠性の両方に優れている。
図1の上段は実施例で使用した繊維糸条の明度を示し、中段は蓄光糸条の比率(R)と繊維糸条の明度(L)を変えて製造した布帛の写真の一覧を示し、下段はその輝度の表を示す。中段の白枠で囲った布帛及び下段の表のグレーのマス目は、実施例2で使用した布帛とその輝度を示す。 図2に示す写真は、図1の中段の写真と同じ布帛の一覧であり、上段の布帛のうち白枠で囲った範囲が、R×L≧400、且つ、L/R≧0.90の関係を満たす布帛であり、下段の布帛のうち白枠で囲った範囲が、400≦R×L≦5000、且つ、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たす布帛である。
本発明の蓄光布帛に用いられる複合構造糸は、蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなり、総繊度が2,000dtex(デシテックス)以上であることを特徴とする。好ましくは、総繊度が3,000dtex以上であり、より好ましくは、5,000dtex以上であり、更に好ましくは10,000dtex以上である。総繊度が2,000dtex以上の繊維が、蓄光単糸のみからなるマルチフィラメントである場合や、蓄光性モノフィラメントである場合は、蓄光剤に由来する発光性の白さが際立つため、明所では不自然な白っぽさを呈する。
これに対して本発明の複合構造糸は、蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなるため、蓄光糸条が呈する発光性の白色が、繊維糸条の色により低減され、明るい場所で見た場合でも蓄光糸条による不自然な白っぽさを感じにくい。
前記蓄光糸条は、複数の蓄光糸からなるマルチフィラメントであっても、一本の蓄光糸からなるモノフィラメントであってもよい。蓄光性能の特に高い蓄光糸条を希望する場合は、細い複数本の繊維を撚り合せた構造を有するマルチフィラメントよりも、より粒子径の大きな蓄光剤を包含できるモノフィラメント構造を有する繊維を使用することが、より好ましい。
このようなモノフィラメント構造の蓄光糸条として、例えば、芯層と鞘層とを有する芯鞘複合モノフィラメント構造であって、前記鞘層が蓄光剤を含む軟質ポリ塩化ビニル樹脂からなる蓄光糸条を挙げることができる。前記軟質ポリ塩化ビニル樹脂としては、例えば、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)[略称:DEHP]及びフタル酸ジイソノニル[略称:DINP]等のフタル酸エステル系可塑剤や、ポリエステル系可塑剤等の可塑剤を5重量%以上含有しているもの、7重量%以上含有しているもの、10重量%以上含有しているもの等を使用することができる。前記モノフィラメントの芯層は、強度のある芯材からなることが好ましい。より具体的には、芯材として総繊度200〜1,200dtexのマルチフィラメント(特に、グラスファイバー、ポリアラミド繊維、炭素繊維などの補強用長繊維を含むマルチフィラメント)を使用することがより好ましい。モノフィラメント構造の蓄光糸条の繊度は、例えば1,500〜12,000dtex(デシテックス)、あるいは2,000〜10,000dtex、3,000〜6,000dtexとすることができる。
他方、蓄光糸条として、複数本の蓄光糸からなるマルチフィラメントを使用することも可能である。例えば、単糸5〜40本(あるいは、10〜25本)からなり、総繊度が500〜5,000dtex、あるいは800〜2,000dtexの蓄光マルチフィラメント(例えば、樹脂としてナイロン樹脂を使用する、芯鞘構造のマルチフィラメント)を使用することができる。
前記蓄光糸条は、蓄光剤以外の着色剤を含まないことが好ましい。蓄光剤以外の着色剤を含まない蓄光糸条の明度(L)は、通常90〜100の範囲であり、特に92〜98の範囲が一般的である。なお、前記蓄光糸条及び繊維糸条の明度(L)は、JIS-Z-8781-4:2013に規定されるL*a*b*表色系に基づくL*値である。このL*値は、蓄光糸条又は繊維糸条を白無地の厚紙に巻いた状態(厚紙地を完全に覆い隠す厚みで巻く)によって測定することができる。
また、前記蓄光糸条は、輝度が高いものが好ましい。具体的には、JIS Z 9107:2008「安全標識−性能の分類、性能基準及び試験方法」に準拠して、蓄光糸条を厚紙に巻いた状態で(厚紙地を完全に覆い隠す厚みで巻く)、暗所に48時間以上外光を遮断した状態で保管して、その後、常用光源蛍光ランプD65・200lxの照度で20分間照射し、照射を止めてから2分後に測定した輝度が、150mcd/m2以上、より好ましくは200mcd/m2以上、特に好ましくは250mcd/m2以上の高い輝度(残光輝度)を有する蓄光糸条が好ましい。輝度上限は特に限定されないが、例えば900mcd/m2以下あるいは700mcd/m2以下でよい。
本発明の蓄光糸条に含まれる蓄光剤(蓄光顔料)は特に限定されないが、その好ましい例として、アルカリ土類金属酸化物に希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料が挙げられる。特に、アルミン酸ストロンチウム化合物にランタノイド系希土類元素をドープさせてなる蓄光顔料が好ましく、例えば、ジスプロシウム、ユーロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウムが挙げられる。好ましい蓄光剤として、例えば、(SrAl24.nB23:Eu.Dy)の組成式で表されるグリーン系蓄光顔料や、(Sr4Al1425.nB23:Eu.Dy)の組成式で表されるブルー系蓄光顔料が挙げられる。
本発明の繊維糸条は、着色されていても、着色されていなくてもよく、あるいは、着色繊維と未着色繊維の両方を含んでもよい。一般に、着色されていない糸は、黄色あるいは褐色がかった白色であるため明度が高く(色が明るく)、蓄光糸条の蓄光・発光性能を阻害しにくいため、複合構造糸における蓄光糸条の比率が少なくても、高い輝度を示す。他方、着色された繊維糸条を用いる場合、繊維糸条の色が濃いほど(明度が低いほど)、蓄光糸条の性能を損ないやすくなるため、複合構造糸が所定の輝度を発揮するためには、複合構造糸における蓄光糸条の比率を高くする必要がある。よって、所望の輝度を達成するために必要な、複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(R)%は、繊維糸条の明度(L)によって異なる。通常、蓄光糸条の比率(R)は、5〜75%が好ましく、8〜65%がより好ましく、10〜60%が特に好ましい。他方、繊維糸条の明度(L)は、30〜100が好ましく、35〜98がより好ましく、40〜95が特に好ましい。
また、本発明の複合構造糸は、前記RとLの積(R×L)が400以上であることを特徴とする。R×Lが400以上の関係を満たす場合、その複合構造糸は、照明を落とした直後の暗闇においても視認できる輝度を有する。400未満の場合は、輝度が不十分であり、蓄光糸条による意匠性が十分に発揮されない。より好ましいR×Lの値は500以上である。なお、本発明に係る布帛は、緞帳、床材、壁装及びタペストリーのような装飾目的で使用されるものであるため、避難誘導標識のような高い輝度は必要がなく、消灯直後に視認できる輝度があればよい。
他方、R×Lの値が高すぎる場合、すなわち、繊維糸条の明度が高く(繊維糸条の色が薄く)、且つ、蓄光糸条の比率が高い場合、蓄光糸のみを使用する場合に近くなり、不自然な白っぽさを呈するため、R×Lの上限は5000以下が好ましい。
特に、繊維糸条の明度Lが60以上の場合は、R×Lが700〜5000の範囲、特に1000〜5000の範囲であることが好ましく、Lが60未満の場合はR×Lが400〜2000の範囲、特に450〜1200の範囲であることが好ましい。
また、本発明の複合構造糸は、前記LをRで除した値(L/R)が0.90以上であることを特徴とする。L/Rの値が0.90未満である場合、すなわち、繊維糸条の明度が低く(繊維糸条の色が濃く)、且つ、蓄光糸条の比率が高い複合構造糸は、繊維糸条と蓄光糸条のコントラストが目立ち、明るい場所ではブチ模様のように認識されるため、たとえ暗所において所望の輝度が達成できたとしても、美感的な観点からは使用しにくい。より好ましいL/Rの値は1.0以上であり、特に1.0≦L/R≦6.0の範囲が好ましい。
前記繊維糸条として、例えば、レーヨン、ポリエステル、アクリル系、アクリル、綿、麻、ウール、シルク等の各種材質からなるものや、それらの糸に箔を巻きつけたものや、また飾り糸を使用することができる。繊維糸条の繊度(一本当たり)は、例えば、1,000〜10,000dtexであり、より好ましくは2,000〜8,000dtexであり、特に好ましくは3,000〜6,000dtexである。
本発明の複合構造糸を構成する蓄光糸条と繊維糸条のうち、少なくともどちらか一方は複数本であることが好ましく、特に複数本の蓄光糸条と複数本の繊維糸条から構成される複合構造糸を使用することが好ましい。前記蓄光糸条と繊維糸条は、どちらも市販のものを使用することができる。複合構造糸は、蓄光糸条と繊維糸条とを引き揃えたものであっても、あるいは蓄光糸条と繊維糸条とを引き揃えて、撚りをかけたものであってもよい。撚りがなく、1本の糸として馴染みにくいことからばらけて織り難い場合は、例えば、0.5〜2.0回/m程度のよりをかけてもよい。撚りがきつすぎると、縮れが発生するので、節が出来て均一な表面になり難くい。
複合構造糸の総繊度は、2,000dtex以上が適切であり、10,000〜70,000dtexの範囲が好ましく、20,000〜50,000dtexの範囲がより好ましい。
本発明の布帛は、少なくとも一部に本発明の複合構造糸を使用するものであればよい。例えば、前記複合構造糸を織り又は編み込むことにより布帛を構成することができる。布帛全体が暗所で発光する必要はないため、布帛の一部分のみを本発明の複合構造糸で構成し、他の部分を非蓄光性の糸で構成してもよい。すなわち、本発明の布帛は、本発明に係る複合構造糸のみから構成されていてもよく、あるいは、本発明に係る複合構造糸と、その他の糸(例えば、蓄光剤を含有しない糸)から構成されていてもよい。好ましい例として、布帛表面に露出する糸の50%以上(布帛表面の面積の50%以上)、70%以上、あるいは90%以上が本発明の複合構造糸からなる布帛が挙げられる。具体例として、例えば、緯糸が全て本発明に係る複合構造糸からなり、経糸が全てその他の糸からなり、緯糸のみが表面に露出している布帛が挙げられる。
また、本発明の布帛は、本発明の複合構造糸を複数種類含むものであってもよい。上記LとRのどちらか、あるいは両方が異なる複合構造糸を用いることにより、暗所での発光性と、明所での色合いの両方にバリエーションを持たせることができる。例えば、一つの布帛に、3,4,5,6,7,8,9又は10種あるいはそれ以上の種類の本発明の複合構造糸を使用してもよい。
本発明の布帛の好ましい用途として、緞帳、ラグ、じゅうたん、カーペット、壁装、タペストリー、などが挙げられる。特に緞帳が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
蓄光糸条として、市販の蓄光性マルチフィラメント(フジボウ小坂井株式会社製)を使用した。このマルチフィラメントは、株式会社ネモト・ルミマテリアルから販売されている長残光性蓄光顔料(商品名:ルミノーバ)を約10重量%含むナイロン樹脂からなるマルチフィラメントである(単糸18本からなり、総繊度は1400dtex。芯鞘構造を有し、芯鞘を構成する樹脂はナイロン樹脂)。
この蓄光性マルチフィラメントの輝度(残光輝度)を以下の条件で測定したところ、照明をオフにして2分後の残光輝度は、287mcd/m2であった。
(1)方法 JIS Z 9107:2008「安全標識-性能の分類、性能基準及び試験方法」に準拠
(2)試料形状 糸を白無地の厚紙に、13本/cmの密度で、2重に重ねて巻き測定試料とした。
(3)励起光源 蛍光灯(TOSHIBA製FL40 S・D-EDL-D65 40W)
(4)照度 200 lx
(5)照射時間 20分
(6)測定環境 暗室(照明は全てOFFの状態で実施)
(7)照度計 ミノルタ デジタル照度計 T−1
(8)輝度計 コニカミノルタ 輝度計 LS-150
(9)測定時期 消灯後2分
また、この蓄光性マルチフィラメントの色は、ごく薄い黄色味を帯びた白色であり、その明度を以下の条件で測定したところ、95.13であった。
(1)方法 JIS-Z-8781-4:2013に規定されるL*a*b*表色系に基づくL*値
(2)試料形状 糸を白無地の厚紙に、13本/cmの密度で、2重に重ねて巻回し測定試料とした。
(3)測定機器 マクベス社製「マクベス分光光度計 COLOR-EYE3100(CE-3100)」
(4)測定条件 測定孔径は25.4mmφを用いた。
繊維糸条としては、シルバーグレーから黒色に渡る7種類の明度(A〜G)のレーヨン紡績糸を使用した。いずれも、レーヨン紡績糸綿番手3番双糸の糸であり、レーヨン紡績糸1本当たりの繊度は、3936dtex(1968dtex×2)である。それぞれの明度は、92.54(A)、81.01(B)、69.02(C)、55.19(D)、41.16(E)、29.22(F)、及び19.49(G)である。明度の測定方法は、上記(2)試料形状の密度を、6.3本/cmで1重に巻回し測定試料とした以外は上記と同じである。
前記蓄光糸条と前記繊維糸条の比率を変えて、複合構造糸を製造した。いずれの複合構造糸も、蓄光糸条と繊維糸条とを引き揃えて、約0.7回/mの撚りをかけて仕上げた。また、同様にして、前記繊維糸条6本のみからなる糸(蓄光糸率0)も製造した。
これらの糸を緯糸として用いて、密度12本/寸とし、経糸には、綿糸綿番手20番単糸を6本引き揃えた糸を更に3本撚り糸とし、密度15本/寸とし、緯糸のみが露出する綴織にて布帛を織り上げた。
上記のようにして、蓄光糸率(R%)(複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率)及び/又は繊維糸条の明度(L)が異なる49種類の布帛を製造し、その輝度を測定した。輝度の測定条件は、試料形状が織物形状であり、励起光源の蛍光灯として、OHM社製EFD−13EXN 13Wを使用し、測定時期が消灯直後であること以外は、前述の測定条件と同じである。
蓄光糸率Rと、繊維糸条の明度L、及び輝度の測定結果を表1にまとめる。また、図1の上段に前記各繊維糸条(A〜G)を白無地の厚紙に厚紙が見えないように密着させて1重に巻回した状態の写真を示し、中段に蓄光糸条と繊維糸条の割合、及び/又は繊維糸条の明度の異なる布帛の写真一覧を示し、下段に表1と同じ測定輝度の一覧を示す。
表1及び図1から明らかなように、明度(L)が同じ繊維糸条を使用した場合、蓄光糸率(R)が高いほど輝度は高くなった。蓄光糸率(R)が同じ場合、繊維糸条の明度が高くなるにつれて、常に輝度が高くなるわけではないものの、明度が40以上の場合は、繊維糸条の明度が上がるにつれて(色が淡くなるにつれて)、輝度が高くなる傾向が見られた
総合すると、明度が低い繊維糸条を使用する場合は、蓄光糸率を高くする必要がある一方、明度が高い繊維糸条を使用する場合は、蓄光糸率が低くても、所望の輝度を達成できることが確認できた。この結果を踏まえて、R×Lの値を求め、輝度との関係を考察した。表2に、R×Lの計算値を示す。
表1に示す輝度と表2の結果から、R×Lの値が400以上のものであれば、消灯直後にはっきり視認できる輝度を有することが確認できた。
他方、布帛の輝度が高くても、繊維糸条と蓄光糸条のコントラストがきつすぎる複合構造糸を使用すると、ブチ模様のような色模様が観察されるため、実際の使用には適さないことが分かった。このことから、繊維糸条の明度(L)と蓄光糸率(R)と、布帛の外観の関係について検討したところ、LをRで除した値(L/R)が、0.9以上であることが好ましく、1.0〜6.0であることがより好ましいことが分かった。以下の表3に、L÷Rの計算値を示す。
さらに参考のため、図2の上段に、R×L≧400、且つ、L/R≧0.90の関係を満たす布帛を白枠で囲って示し、図2の下段に、400≦R×L≦5000、且つ、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たす布帛を白枠で囲って示す。
[実施例2]
図1の中段に示す布帛一覧のうち、白枠で囲われた11種の布帛と同様の蓄光糸率・繊維糸条明度の複合構造糸を緯糸に用い、緯糸のみが露出する綴織にて、緞帳を作成した。作成した緞帳は、幅13.5m、丈9.25mで、目付けは3.2kg/m2である。図1の下段に示す輝度の表のうちグレーのマス目に示された輝度が、中段の写真において白枠で囲われている布帛の輝度である。
製造した緞帳は、照明が点灯している状況下では、自然な色合いの色模様を有する緞帳として視認された。他方、照明を消した直後は、薄い黄緑色に発光する模様が浮かび上がり、この模様は輝度の高い部分と低い部分から構成されているため、発光からなるグラデーションのような模様として視認された。
本発明の布帛は、点灯時でも消灯時でも優れた意匠性を有するため、特に劇場や舞台で使用される緞帳のように、観客がいる状態で点灯と消灯の両方が行われる環境で使用するのに適している。

Claims (5)

  1. 蓄光剤を含む蓄光糸条と、蓄光剤を含まない繊維糸条とからなる複合構造糸が少なくとも一部に使用されている布帛であって、
    前記複合構造糸の総繊度が2,000dtex以上であること、及び
    前記複合構造糸の総繊度に占める蓄光糸条の繊度の比率(%)をRとし、前記繊維糸条の明度をLとした際、R×L≧400、及び、L/R≧0.90の関係を満たすこと、
    を特徴とする布帛。
  2. 前記複合構造糸が、400≦R×L≦5000、及び、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記LとRのどちらか一方あるいは両方が異なる2種類以上の前記複合構造糸が使用されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の布帛。
  4. 400≦R×L≦5000、及び、1.0≦L/R≦6.0の関係を満たす複合構造糸が、5種類以上使用されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の布帛。
  5. 緞帳、ラグ、じゅうたん、カーペット、壁装又はタペストリーとして使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の布帛。
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