JP2020093686A - 車両用骨格構造 - Google Patents

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俊助 金谷
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Abstract

【課題】補強部に求められる要件を緩和しつつ、早期の弾性座屈を抑制して全体の曲げ耐力を向上させることができる車両用骨格構造を得る。【解決手段】センタピラー10は、車幅方向内側に開口された断面形状が車両上下方向に延在されて構成される長尺状のセンタピラーアウタパネル12と、センタピラーアウタパネル12の開口側に接合されてセンタピラーアウタパネル12とで閉断面構造を構成する長尺状のセンタピラーインナパネル14と、開口方向に作用する荷重により曲げ変形するときの曲げ中立面Pとセンタピラーアウタパネル12との交線Qに沿ってセンタピラーアウタパネル12に設けられた補強部材16と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用骨格構造に関する。
特許文献1には、高強度鋼板を用いた中空構造の車両用構造部材に関する発明が開示されている。具体的には、車両用構造部材は、断面形状がハット形状とされた第1の構造部材と、平板状の第2の構造部材とが接合されて閉断面構造とされている。また、この車両用構造部材には、第1の構造部材の底壁部又は第2の構造部材の天壁部の内面に補強部材が接着されている。これにより、車両衝突時に衝突荷重が入力された場合の底壁部又は天壁部の面外変形が抑制され、断面変形が抑制される。
特開2017−159896号公報
ところで、車体軽量化を目的として、高張力鋼板などの引張強度が高い鋼板を車両用骨格構造に使用して鋼板の板厚を薄くする(薄肉化する)ことが行われている。高強度鋼板を用いた場合、低強度の鋼板を用いた場合と同程度の耐荷重性能とするために、例えば板厚と降伏強度の積が同等となるように板厚を設定すると、板厚が薄くなり、軽量化という目的を達成することができる。一方で、薄肉化により剛性(曲げ剛性及び軸剛性)が低下してしまうため、車両用骨格構造に衝突荷重等が作用した場合に、圧縮応力により早期に弾性座屈が生じて断面崩壊(塑性座屈)に到るという問題が生じる。この場合、車両用骨格構造に作用する荷重が、鋼板を構成する材料が本来有する降伏強度に到達する前に断面崩壊が生じてしまい、高強度化された材料の強度を十分に活かすことができない。
上述の問題を解決するために、上記特許文献1に記載の車両用構造部材のように最も大きい圧縮応力が作用する底壁部又は天壁部に補強部材を設けた場合、補強部材にも大きい圧縮応力が作用することとなる。そのため、補強部材が大きい圧縮応力に耐え得る強度及び剛性を備えなければならず、補強部材に使用する材料の特性や板厚等に対する制約が大きくなってしまう。
本発明は上記事実を考慮し、補強部に求められる要件を緩和しつつ、早期の弾性座屈を抑制して全体の曲げ耐力を向上させることができる車両用骨格構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係る車両用骨格構造は、第1方向に開口された断面形状が、第1方向と交差する第2方向に延在されて構成される長尺状の第1部材と、前記第1部材の開口側に接合されて前記第1部材とで閉断面構造を構成する長尺状の第2部材と、前記第1方向に作用する荷重により曲げ変形するときの曲げ中立面と前記第1部材との交線に沿って当該第1部材に設けられた補強部と、を備える。
請求項1に記載の本発明に係る車両用骨格構造では、第1方向に開口された断面形状が第1方向と交差する第2方向に延在されて長尺状の第1部材が構成されている。また、第1部材の開口側には長尺状の第2部材が接合されて、第1部材と第2部材とで閉断面構造が構成されている。補強部は、仮に第1方向に作用する荷重により車両用骨格構造が曲げ変形するときの曲げ中立面と第1部材との交線に沿って第1部材に設けられている。補強部は曲げ中立面に沿って配置されるため、補強部には圧縮応力も引張応力も作用しない。これにより、補強部に求められる強度、剛性等の要件を緩和しつつ、第1部材の面外変形を抑制して早期の弾性座屈を抑制し、弾性座屈から塑性座屈に進展して断面崩壊に到ることを抑制することができる。結果として、薄肉化による軽量化を実現しつつ、車両用骨格構造全体の曲げ耐力を向上させて、高強度化された材料の強度を十分に活かすことができる。
以上、説明したように、本発明に係る車両用骨格構造によれば、補強部に求められる要件を緩和しつつ、早期の弾性座屈を抑制して全体の曲げ耐力を向上させることができる、という優れた効果を有する。
第1実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラーの要部を拡大して示す斜視図である。 図1の2−2線断面図と対応する応力分布図である。 第1実施形態の変形例を示す斜視図である。 第1実施形態における補強部材に異なる材料を使用した場合の曲げモーメントを示すグラフである。 (A)は、第2実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラーの要部を拡大して示す斜視図である。(B)は、第2実施形態の変形例を示す斜視図である。 第1実施形態及び第2実施形態に係る車両用骨格構造の曲げモーメントを比較例の曲げモーメントと共に示すグラフである。 (A)は、補強部材を備えない比較例に係る車両用骨格構造における曲げ変形時の断面崩壊直前の長手方向圧縮ひずみの分布を示す模式図である。(B)は、第1実施形態に係る車両用骨格構造における曲げ変形時の断面崩壊直前の長手方向圧縮ひずみの分布を示す模式図である。 図1及び図7(B)に示される第1実施形態に係る車両用骨格構造の曲げモーメントを、図7(A)に示される比較例に係る車両用骨格構造及び参考例に係る車両用骨格構造の曲げモーメントと比較して示すグラフである。 (A)は、圧縮側に補強部材を配置した比較例に係る車両用骨格構造の斜視図である。(B)は、引張側に補強部材を配置した比較例に係る車両用骨格構造の斜視図である。 図9(A)及び図9(B)に示される比較例に係る車両用骨格構造と、第1実施形態に係る車両用骨格構造とを比較した、曲げモーメントを示すグラフである。
[第1実施形態]
以下、図1〜図4及び図7(A)〜図10を参照して、第1実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラー10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。また、矢印INは車幅方向内側を示しており、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
図1には、第1実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラー10の要部が斜視図で示されている。この図に示されるように、センタピラー10は、閉断面構造とされた長尺状の車体骨格部材である。また、センタピラー10は、車両側部の上端部において車両前後方向に沿って配設された図示しないルーフサイドレールの長手方向中間部と車両側部の下端部において車両前後方向に沿って配設された図示しないロッカの長手方向中間部とを車両上下方向に連結している。
センタピラー10は、車室外側に配置された長尺状の「第1部材」としてのセンタピラーアウタパネル(以下、単に「ピラーアウタパネル」という)12と、ピラーアウタパネル12の車室内側に配置された長尺状の「第2部材」としてのセンタピラーインナパネル(以下、単に「ピラーインナパネル」という)14と、ピラーアウタパネル12に接合された「補強部」としての一対の補強部材16と、を含んで構成されている。ピラーアウタパネル12とピラーインナパネル14とは、車両前後方向の前端部同士及び後端部同士がそれぞれ接合されて閉断面構造を構成している。
本実施形態のセンタピラー10は、ピラーアウタパネル12、ピラーインナパネル14、及び一対の補強部材16がそれぞれ高張力鋼板(ハイテン材)によって構成されている。補足すると、本明細書において、「高張力鋼板」とは、普通鋼板よりも引張強度が高い鋼板の意味であり、引張強度が980MPa以上ある超高張力鋼板(超ハイテン材)を含むものである。一例として、ピラーアウタパネル12は1470MPaの引張強度を有する板厚1.2mmの鋼板、ピラーインナパネル14は440MPaの引張強度を有する板厚1.0mmの鋼板でそれぞれ構成され、一対の補強部材16は、1470MPaの引張強度を有する板厚2mmの鋼板で構成されている。
図2に示されるように、ピラーアウタパネル12は、「第2方向」としての長手方向(車両上下方向)に対して直交する方向に切断したときの断面形状が、「第1方向」としての車両内側方向に開口された略ハット形状とされている。具体的には、ピラーアウタパネル12は、車両上下方向及び車両前後方向に沿って配設されて略ハット形状の底壁を成す底壁部12Aと、底壁部12Aの車両前方側端部から車幅方向内側に延出された前壁部12Bと、底壁部12Aの車両後方側端部から車幅方向内側に延出されて前壁部12Bと共に開口を形成する後壁部12Cと、前壁部12Bの車幅方向内側端部から車両前方側に延出された前フランジ部12Dと、後壁部12Cの車幅方向内側端部から車両後方側に延出された後フランジ部12Eと、によって構成されている。
底壁部12Aの車両前後方向中間部には、車幅方向内側に膨出する凸部12A1が車両上下方向に沿って形成されている。すなわち、底壁部12Aと前壁部12Bと後壁部12Cとは、長手方向に対して直交する方向に切断したときの断面形状が略M字状とされている。
ピラーインナパネル14は、車幅方向を板厚方向として配設された平板状の部材であり、ピラーアウタパネル12の開口を閉塞する本体部14Aと、本体部14Aの車両前方側に位置する前接合部14Bと、車両後方側に位置する後接合部14Cと、によって構成されている。
ピラーアウタパネル12の前フランジ部12D及び後フランジ部12Eは、ピラーインナパネル14の前接合部14B及び後接合部14Cとそれぞれスポット溶接等により接合されている。これによりピラーアウタパネル12とピラーインナパネル14とで閉断面構造を構成している。
ピラーアウタパネル12の前壁部12Bの後面及び後壁部12Cの前面における車幅方向中央部には、一対の補強部材16が設けられている。この一対の補強部材16は、車両上下方向に延在される長尺状の部材であり、前壁部12Bの後面及び後壁部12Cの前面にそれぞれ溶接等により接合されている。
次に、一対の補強部材16の位置について、図1を参照してより詳細に説明する。仮にセンタピラー10に対して車幅方向外側から内側に向かう方向(ピラーアウタパネル12の開口方向)に荷重Fが作用した場合には、曲げモーメントMが発生し、センタピラー10の車幅方向外側の部位には圧縮応力(−σ)が、車幅方向内側の部位には引張応力(+σ)が作用する(図2の応力分布図参照)。このとき、圧縮ひずみも引張ひずみも生じない面が、曲げ中立面Pである。この曲げ中立面Pと、センタピラー10の長手方向に直交する断面(図2参照)との交線が曲げ中立軸Nである。本実施形態では、曲げ中立面Pは、ピラーアウタパネル12の車幅方向中央部において車両前後方向及び車両上下方向に延在された面であり、ピラーインナパネル14と略平行とされている。また、一対の補強部材16は、この曲げ中立面Pがピラーアウタパネル12と交わる位置に設けられている。言い換えると、一対の補強部材16は、曲げ中立面Pとピラーアウタパネル12との交線Qに沿って、前壁部12Bの後面及び後壁部12Cの前面にそれぞれ接合されている。すなわち、一対の補強部材16は、板厚方向に直交する短手方向が曲げ中立面Pと交差し、かつ長手方向が曲げ中立面Pに沿うように配置されている。なお、便宜上、曲げ中立面P及び曲げ中立軸Nをセンタピラー10の外まで延長して図示している。
<作用及び効果>
次に、第1実施形態に係るセンタピラー10の作用及び効果について、図7(A)〜図10を参照して説明する。
図7(A)には、比較例に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラー100に車幅方向外側から内側に向かって荷重Fが入力されて断面崩壊が生じる直前の状態における長手方向の圧縮ひずみ(部材表面におけるひずみ)の分布が模式的に示されている。この図に示されるように、比較例のセンタピラー100は、ピラーアウタパネル102及びピラーインナパネル104によって構成され、本発明の第1実施形態のような一対の補強部材16が設けられていない。このため、断面崩壊が生じる直前の圧縮ひずみの分布は、ピラーアウタパネル102の前壁部102B及び後壁部102Cの曲げ中立軸Nよりも車幅方向外側の部位において、車幅方向に振幅を有する波型の分布となっている。すなわち、ピラーアウタパネル102の前壁部102B及び後壁部102Cにおいて、断面崩壊直前に弾性座屈が生じている。この弾性座屈がさらに進展することで稜線(底壁部102Aと前壁部102B及び後壁部102Cとのそれぞれの境界部分)の座屈が生じ、断面崩壊(塑性変形)へと到る。なお、この図では図示が省略されているが、曲げ中立軸Nよりも車幅方向内側の部位には引張ひずみが生じている。
これに対し、本発明の第1実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラー10では、図7(B)に示されるように、センタピラー10の曲げ中立面P(図1参照)がピラーアウタパネル12と交わる交線に沿って一対の補強部材16が設けられている。このため、荷重Fが作用したときの長手方向の圧縮ひずみの分布には、図7(A)に示される補強部材を備えない比較例のような弾性座屈の波が生じていない。
本発明の第1実施形態に係る車両用骨格構造において弾性座屈が生じない理由について、図7(A)に示される補強部材を備えない比較例のセンタピラー100と、図7(B)に示される本発明の第1実施形態のセンタピラー10とを比較しながら説明する。両者は曲げ中立面がほぼ同じ位置にあるため圧縮ひずみが生じる領域はほぼ同じであるが、圧縮応力が作用したときに面外変形を生じ易い部位の面積が異なる。すなわち、比較例のセンタピラー100には補強部が設けられていないため、ピラーアウタパネル102の前壁部102B及び後壁部102Cの全体が面外変形を生じ易い部位である。一方で、本実施形態のセンタピラー10では、ピラーアウタパネル12の前壁部12B及び後壁部12Cにおける曲げ中立面P(図1参照)に沿った位置に補強部材16が設けられて断面積が大きくなっているため、他の部位よりも剛性が大きく(変形を生じにくく)なっている。このため、圧縮応力により面外変形を生じ易い部位が補強部材16よりも圧縮側(車幅方向外側)となり、比較例と比べて面外変形を生じ易い部位の面積が小さい。これにより、本実施形態に係る車両用骨格構造では、図7(A)に示される比較例のような振幅及び波長の大きな弾性座屈の波が生じることが抑制され、弾性座屈が生じたとしてもその波長は小さく、塑性座屈に進展することが抑制される。
したがって、本実施形態に係る車両用骨格構造では、早期の弾性座屈の発生が抑制され、車両用骨格構造に作用する荷重Fが鋼板の材料が本来有する降伏強度に到達する前に断面崩壊へと到ることが抑制される。また、補強部材16には圧縮ひずみも引張ひずみも生じないため、圧縮側の底壁部12Aに補強部材を設ける場合と比べて、補強部材16の強度や板厚が小さくても十分な曲げ耐力が得られる。これにより、補強部材16に求められる要件を緩和しつつ早期の弾性座屈を抑制して、弾性座屈からさらに塑性座屈に進展して断面崩壊に到ることを抑制することができる。結果として、薄肉化による軽量化を実現しつつ、車両用骨格構造全体の曲げ耐力を向上させて、高強度化された材料の強度を十分に活かすことができる。
図8には、上述の図7(A)に示される補強部材を備えない比較例に係る車両用骨格構造と、図1、図2及び図7(B)に示される本発明の第1実施形態に係る車両用骨格構造と、参考例に係る車両用骨格構造とに対して、それぞれ車幅方向外側から内側に向かって荷重を作用させて、曲げによる破壊(断面崩壊)が生じるときの最大荷重から求められた最大曲げモーメントが示されている。より詳細に説明すると、車両用骨格構造の曲げモーメントは長手方向の位置により異なり、荷重が作用する位置に生じる曲げモーメントが最大となる。図8に示される曲げモーメントは、断面崩壊が生じたときに荷重が作用する位置に生じる曲げモーメントである。
上述の通り、高強度鋼板を車両用骨格構造に使用する場合に、低強度の鋼板を用いた場合と同程度の耐荷重性能となるように板厚を設定すると、薄肉化により剛性が低下して早期に弾性座屈が生じ、断面崩壊を引き起こすため、曲げモーメントは低下してしまう。一例として、補強部材を備えない比較例に係る車両用骨格構造(図7(A)参照)では、1470MPaの引張強度を有する板厚1.2mmの鋼板でピラーアウタパネル102が構成されている。この比較例の曲げモーメント(図8中央参照)は、参考例として示される、1180MPaの引張強度を有する板厚1.4mmの鋼板でピラーアウタパネルを構成して補強部材を設けない場合の曲げモーメント(図8左側参照)と比べて、約10%低下する。
一方、本発明の第1実施形態では、上述の通り、一例としてピラーアウタパネル12は1470MPaの引張強度を有する板厚1.2mmの鋼板、補強部材16は、1140MPaの引張強度を有する板厚2mmの鋼板でそれぞれ構成されている。この場合、引張強度及び板厚が同一の鋼板で構成されて補強部材が設けられていない比較例(図8中央参照)と比べて、曲げモーメントは約10%向上し(図8右側参照)、1180MPa鋼板(板厚1.4mm)を使用した参考例と同等である。このように、本実施形態に係る車両用骨格構造では、薄肉化を実現しつつ、曲げ耐力を向上させることができる。
図9(A)及び図9(B)には、別の比較例に係る車両用骨格構造を適用したセンタピラー200及びセンタピラー300がそれぞれ示されている。センタピラー200、300は、各部が本発明の第1実施形態のセンタピラー10と同じ板厚の同一材料(引張強度同一)で構成されているが、補強部材206、306の位置が異なっている。すなわち、センタピラー200では、一対の補強部材206はピラーアウタパネル202の圧縮側(曲げ中立軸Nよりも車幅方向外側)に配置されている。この場合、曲げ中立軸N上に配置されるよりも大きい圧縮応力が補強部材206に作用するため、センタピラー200全体の曲げ耐力の向上が見られない(図10参照)。すなわち、圧縮側に補強部材206を配置する比較例に係る構成で本実施形態のセンタピラー10と同じ曲げ耐力を実現するには、補強部材206の強度及び剛性を増大させる必要があり、補強部材に求められる要件(強度、板厚等)の制約が大きい。
また、図9(B)に示されるセンタピラー300では、一対の補強部材306はピラーアウタパネル302の引張側(曲げ中立軸Nよりも車幅方向内側)に配置されている。この場合、面外変形を生じ易い部位の面積(補強部材306よりも車幅方向外側の面積)が本実施形態に比べて大きい上に、補強部材306が引張側に配置されていて、圧縮応力に対する曲げ耐力向上への寄与が少ないことから、センタピラー300全体の曲げ耐力の向上が見られない(図10参照)。このように、本実施形態に係る車両用骨格構造では、圧縮側又は引張側に補強部材206、306を配置した比較例に比べて曲げ耐力を向上させることができる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
第1実施形態においては、一対の補強部材16はピラーアウタパネル12の前壁部12Bの後面上及び後壁部12Cの前面上、すなわち閉断面内に設けられているものとしたが、本発明の実施形態はこれに限られない。一対の補強部材16は、ピラーアウタパネル12と曲げ中立面Pとの交線Qに沿ってピラーアウタパネル12に配置されていればよい。
例えば、図3に示されるように、一対の補強部材16を、ピラーアウタパネル12の前壁部12Bの前面上及び後壁部12Cの後面上、すなわち閉断面外に設けてもよい。このような構成とした場合でも、一対の補強部材16は、ピラーアウタパネル12と曲げ中立面Pとの交線Qに沿って配置されているので、早期の弾性座屈を抑制してセンタピラー10の曲げ耐力を向上させることができる。
また、第1実施形態においては補強部材16が鋼板製とされている例を示したが、本発明の実施形態はこれに限られない。補強部材16は、曲げ中立面Pに沿って配置されて圧縮応力が作用しないため、圧縮側(例えば底壁部12Aの車幅方向内側の面)に配置される場合と比べて、降伏強度が低い材料、軽量の材料(比重が小さい材料)を使用することができる。例えば、図1〜図3及び図7(B)に示される補強部材16をアルミニウム、ABS樹脂、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics、炭素繊維強化プラスチック)等により構成してもよい。アルミニウムを使用する場合には、溶接又は接着剤によりピラーアウタパネル12に接合又は接着する。また、ABS樹脂、CFRPを使用する場合には、接着剤によりピラーアウタパネル12に接着する。
アルミニウム、ABS樹脂、CFRP等は、鋼板に比べるとヤング率が小さい(下記表1参照)。センタピラー10の弾性座屈を抑制するためには補強部材16には所定の曲げ剛性が求められるが、ヤング率が鋼板よりも小さい材料を使用した場合でも、断面二次モーメントを大きくする(例えば、板厚を厚くする)ことにより必要な曲げ剛性を確保することができる。アルミニウム、ABS樹脂、CFRPの各材料を使用して、曲げ剛性を第1実施形態の鋼板製の補強部材16(引張強度1470MPa、板厚2.0mm)の曲げ剛性と略同一に設定し、かつ部材幅(車両上下方向の寸法)を略同一として補強部材16を構成した場合の補強部材16の板厚及び重量比(鋼板で構成された補強部材16の重量を1とした場合の重量比)をヤング率及び比重と共に下記表1に示す。
表1に示される板厚を有する各材料により構成された補強部材16は、上述の通り曲げ剛性が引張強度1470MPa、板厚2.0mmの鋼板製とされた補強部材16と略同一に設定されている。図4には、これらの異なる材料で構成された補強部材16を備えるセンタピラー10に対して車幅方向外側から内側に向かって荷重を作用させて、曲げによる破壊(断面崩壊)が生じるときの最大荷重から求められた最大曲げモーメントが示されている。この図に示されるように、補強部材16が異なる材料で構成されている場合でも、補強部材16の曲げ剛性が略同一とされている場合には、補強部材を備えない場合(図4左側参照)と比べて最大曲げモーメントが高くなっており、曲げ耐力向上の効果が鋼板と同等である。このように、本発明の第1実施形態によれば、補強部材16は曲げ中立面に沿って配置されていて圧縮応力が作用しないため、圧縮側に配置される場合に比べて強度が低い材料、ヤング率が低い材料、比重が低い(軽い)材料を補強部材16に使用することができると共に、高強度の材料(鋼板)を使用した場合と同等の曲げ耐力を実現することができる。すなわち、補強部材16に求められる材料特性の要件を緩和しつつ、曲げ耐力を向上させることができる。
[第2実施形態]
以下、図5(A)〜図6及び図7(A)を参照して、第2実施形態に係る車両用骨格構造が適用されたセンタピラー20、30について説明する。なお、これらの図では、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図5(A)に示されるように、第2実施形態のセンタピラー20においては、第1実施形態における補強部材16は設けられていない。代わりに、補強部材16と同じ位置に「補強部」としての前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fが設けられている。
詳しく説明すると、第2実施形態のセンタピラー20は、「第1部材」としてのピラーアウタパネル22と、ピラーインナパネル14と、を含んで構成されている。ピラーアウタパネル22は、凸部22A1を備える底壁部22Aと、底壁部22Aの車両前方側端部から車幅方向内側に延出された第1前壁部22Bと、第1前壁部22Bの車幅方向内側端部から車両前方側且つ車幅方向内側に延出された前傾斜壁部22Cと、前傾斜壁部22Cの車幅方向内側端部から車幅方向内側に向かって延出されて第1前壁部22Bの延長面に対して略平行に配置された第2前壁部22Dと、底壁部22Aの車両後方側端部から車幅方向内側に延出された第1後壁部22Eと、第1後壁部22Eの車幅方向内側端部から車両後方側且つ車幅方向内側に延出された後傾斜壁部22Fと、後傾斜壁部22Fの車幅方向内側端部から車幅方向内側に向かって延出されて第1後壁部22Eの延長面に略平行に配置された第2後壁部22Gと、前フランジ部22Hと、後フランジ部22Iと、によって構成されている。
前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fは、仮にセンタピラー20に対して車幅方向外側から内側に向かう方向(ピラーアウタパネル22の開口方向)に荷重Fが作用した場合の曲げ中立面Pと、ピラーアウタパネル22との交線Q(車両前方側の交線は図示が省略されている)に沿って配置されている。言い換えると、前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fは、板厚方向に直交する短手方向が曲げ中立面Pと交差し、かつ長手方向が曲げ中立面Pに沿うように構成されている。
<作用及び効果>
次に、第2実施形態に係るセンタピラー20の作用及び効果について、図5(A)、図6及び図7(A)を参照して説明する。
本発明の第2実施形態に係る車両用骨格構造では、図5(A)に示されるように、ピラーアウタパネル22と曲げ中立面Pとの交線Qに沿って前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fが延在されている。前傾斜壁部22Cが設けられている部位では、隣接する第1前壁部22B及び第2前壁部22Dとの境界部分に沿って稜線が形成され、前傾斜壁部22Cが設けられていない場合に比べて断面二次モーメントが大きくなっていることから、曲げ剛性が大きくなっている。同様に、後傾斜壁部22Fが設けられている部位では、設けられていない場合と比べて曲げ剛性が大きくなっている。このため、上記第1実施形態と同様に、面外変形を生じ易い部位が前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fよりも圧縮側(車幅方向外側)となり、図7(A)に示される比較例(補強部を有しない)と比べて面外変形を生じ易い部位の面積が小さい。これにより、早期の弾性座屈の発生が抑制され、車両用骨格構造に作用する荷重Fが鋼板の材料が本来有する降伏強度に到達する前に断面崩壊へと到ることが抑制される。図6に示されるように、第2実施形態に係る前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fを備えるセンタピラー20の最大曲げモーメントは、補強部を備えない比較例に比べて大きくなっている。
また、前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fには圧縮ひずみも引張ひずみも生じないため、圧縮側の底壁部22Aに傾斜壁を設ける場合と比べて、前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fの部位の断面二次モーメントが低い場合、すなわち断面積が小さい場合でも、十分な曲げ耐力が得られる。このように、第2実施形態に係る車両用骨格構造では、前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fに求められる剛性の要件(すなわち断面形状の要件)を緩和しつつ早期の弾性座屈を抑制して車両用骨格構造全体の曲げ耐力を向上させることができる。結果として、材料の高強度を十分に活かしつつ軽量化することができる。
また、第2実施形態に係る車両用骨格構造では、補強部材を別部材として追加することなく曲げ耐力を向上させることができる。
次に、第2実施形態の変形例について説明する。
図5(B)に示されるように、第2実施形態の変形例に係るセンタピラー30においては、第2実施形態の前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22Fに替えて、これらと同位置にそれぞれ「補強部」としての前ビード部32C及び後ビード部32Eが設けられている。
第2実施形態のセンタピラー30は、「第1部材」としてのピラーアウタパネル32と、ピラーインナパネル14と、を含んで構成されている。ピラーアウタパネル32は、凸部32A1を備える底壁部32Aと、底壁部32Aの車両前方側端部から車幅方向内側に延出された第1前壁部32Bと、前壁部32Bの車幅方向中間部に設けられて前壁部32Bと曲げ中立面Pとの交線Qに沿って延在された前ビード部32Cと、底壁部32Aの車両後方側端部から車幅方向内側に延出された後壁部32Dと、後壁部32Dの車幅方向中間部に設けられて後壁部32Dと曲げ中立面Pとの交線Qに沿って延在された後ビード部32Eと、前フランジ部32Fと、後フランジ部32Gと、によって構成されている。
本変形例のセンタピラー30では、ピラーアウタパネル32と曲げ中立面Pとの交線Qに沿って前ビード部32C及び後ビード部32Eが延在されている。前ビード部32C及び後ビード部32Eが設けられた位置では、曲げ剛性が大きくなっている。このため、図6に示されるように、ビード部を備える本変形例のセンタピラー30の最大曲げモーメントは、補強部を備えない比較例に比べて大きくなっている。このように、本変形例によれば、上述の第2実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、前ビード部32C及び後ビード部32Eに求められる剛性の要件(すなわち断面形状の要件)を緩和しつつ早期の弾性座屈を抑制して車両用骨格構造全体の曲げ耐力を向上させることができる。
[上記実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態を示す図1〜3、図5(A)及び図5(B)においては、曲げ中立面P(曲げ中立軸N)がピラーインナパネル14と略平行とされているが、本発明はこれに限定されない。曲げ中立面Pは、圧縮ひずみも引張ひずみも生じない面であり、センタピラー10、20、30の断面形状によってその位置が異なる。このため、曲げ中立面Pはピラーインナパネル14と平行とは限らないし、ピラーアウタパネル12、22、32の車幅方向中央に位置するとも限らない。したがって、補強部(一対の補強部材16、前傾斜壁部22C及び後傾斜壁部22F、並びに前ビード部32C及び後ビード部32E)の位置は、車両前方側に位置する補強部と後方側に位置する補強部とで、ピラーインナパネル14からの距離がそれぞれ異なっていてもよいし、ピラーアウタパネル12、22、32の車幅方向中央でなくともよい。
また、上記実施形態に係るセンタピラー10、20、30では、ピラーインナパネル14は平板状とされているが、本発明はこれに限定されない。例えば、車幅方向外側に向かって開口した、ピラーアウタパネル12、22、32よりも浅型の略ハット形状であってもよい。
また、上記実施形態においては、本発明の車両用骨格構造をセンタピラー10、20、30に適用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ルーフサイドレール、ロッカ、フロントピラー、リアピラー、バンパリインフォースメント、フロアクロスメンバなどに適用してもよい。フロアクロスメンバに適用する場合には、車両上下方向上側に配置されて下側に向かって開口した断面略ハット形状の部材が「第1部材」となり、車両上下方向下側に配置される部材が「第2部材」となる。フロアクロスメンバの場合には、側面衝突等によりフロアクロスメンバに入力される荷重は、フロアクロスメンバの長手方向の荷重であるが、この場合であっても、第1部材に車両上下方向下向き(開口方向)に作用する荷重による曲げを仮定したときの曲げ中立面に沿って補強部を設けることにより軸剛性が向上するため、長手方向の荷重による曲げ変形が抑制され、曲げ耐力を向上させることができる。
10、20、30 センタピラー(車両用骨格構造)
12、22、32 センタピラーアウタパネル(第1部材)
14 センタピラーインナパネル(第2部材)
16 補強部材(補強部)
22C 前傾斜壁部(補強部)
22F 後傾斜壁部(補強部)
32C 前ビード部(補強部)
32E 後ビード部(補強部)
P 曲げ中立面
Q 交線

Claims (1)

  1. 第1方向に開口された断面形状が、第1方向と交差する第2方向に延在されて構成される長尺状の第1部材と、
    前記第1部材の開口側に接合されて前記第1部材とで閉断面構造を構成する長尺状の第2部材と、
    前記第1方向に作用する荷重により曲げ変形するときの曲げ中立面と前記第1部材との交線に沿って当該第1部材に設けられた補強部と、
    を備える車両用骨格構造。
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