図1は、本発明の一実施例としての電池システムを搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、二次電池としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、クランクシャフト26がダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などを挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や角速度ωm1,ωm2、回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib(バッテリ50から放電するときが正の値)、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbなどを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとバッテリ50の内部抵抗Rbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合であり、入出力制限Win,Woutは、バッテリ50を充放電してよい許容最大電力である。バッテリ50の内部抵抗Rbは、後述の内部抵抗推定ルーチンにより推定される。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
なお、実施例の「電池システム」としては、バッテリ50と電流センサ51bと電圧センサ51aとバッテリECU52とが該当する。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)や、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
HV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて駆動軸36に要求される要求パワーPd*を計算する。続いて、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいてバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を設定し、要求パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じてエンジン22に要求される要求パワーPe*を設定する。そして、要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにモータMG1,MG2の駆動制御を行なう(具体的には、インバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう)。
EV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。そして、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40によるモータMG1,MG2の駆動制御については上述した。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、バッテリ50の内部抵抗Rbを推定する際の動作について説明する。図2は、バッテリECU52により実行される内部抵抗推定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間(例えば、数十〜数百msec程度)毎に繰り返し実行される。
内部抵抗推定ルーチンが実行されると、バッテリECU52の図示しないCPUは、最初に、バッテリ50の電流Ibや電圧Vb、蓄電割合SOCを入力する(ステップS100)。ここで、バッテリ50の電流Ibは、電流センサ51bにより検出された値(バッテリ50から放電するときが正の値)を入力するものとした。バッテリ50の電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出された値を入力するものとした。蓄電割合SOCは、バッテリECU52により、本ルーチンと並行して演算された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、図3の補正係数設定ルーチンにより、バッテリ50の電圧Vbを補正するのに用いると共にバッテリ50の充放電履歴を反映する補正係数kvを演算する(ステップS110)。以下、図2の説明を一旦中断し、図3の補正係数設定ルーチンについて説明する。なお、補正係数kvには、イグニッションスイッチ80がオンされた直後に初期値としての値0が設定される。
図3の補正係数設定ルーチンでは、バッテリECU52は、最初に、前回に設定した充放電指標(前回IDX)にバッテリ50の電流Ibを加えた値を充放電指標IDXの仮値としての仮充放電指標IDXtmpに設定する(ステップS300)。なお、充放電指標IDXには、イグニッションスイッチ80がオンされた直後に初期値としての値0が設定される。続いて、仮充放電指標IDXtmpを負の所定値IDX1および正の所定値IDX2と比較する(ステップS310)。ここで、所定値IDX1,IDX2については後述する。
ステップS310で仮充放電指標IDXtmpが所定値IDX1よりも大きく且つ所定値IDX2よりも小さいときには、仮充放電指標IDXtmpを充放電指標IDXに設定すると共に(ステップS320)、充放電指標IDXを所定値IDX2で除した値を補正係数kvに設定して(ステップS322)、本ルーチンを終了する。
ステップS310で仮充放電指標IDXtmpが所定値IDX1以下のときには、所定値IDX1を充放電指標IDXに設定すると共に(ステップS330)、充放電指標IDX(=IDX1)を所定値IDX2で除した値、即ち、値(−1)を補正係数kvに設定して(ステップS332)、本ルーチンを終了する。
ステップS310で仮充放電指標IDXtmpが所定値IDX2以上のときには、所定値IDX2を充放電指標IDXに設定すると共に(ステップS340)、充放電指標IDX(=IDX2)を所定値IDX2で除した値、即ち、値1を補正係数kvに設定して(ステップS342)、本ルーチンを終了する。
即ち、本ルーチンでは、仮充放電指標IDXtmpを所定値IDX1,IDX2で上下限ガードした値を充放電指標IDXに設定し、充放電指標IDXを値(−1)から値1の範囲内で規格化した値を補正係数kvに設定するのである。
図4は、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係の一例を示す説明図である。図中、実線は充電曲線であり、破線は放電曲線であり、一点鎖線は中間曲線である。本発明者らは、解析などにより、バッテリ50の充電が継続すると、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が充電曲線(図中、実線参照)に沿って蓄電割合SOCの大きい側に移動し、バッテリ50の放電が継続すると、この関係が放電曲線(図中、破線参照)に沿って蓄電割合SOCの小さい側に移動し、バッテリ50の充電と放電とが切り替わると、この関係が充電曲線と放電曲線との間で遷移することを確認した。即ち、バッテリ50の充放電履歴(充電継続時か放電継続時か充電と放電との切替時か)に応じて、同一の蓄電割合SOCに対する開放電圧OCVが異なる(ヒステリシスを有する)ことを確認した。そして、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が異なると、バッテリ50のの電流Ibと電圧Vbとの関係も異なる。なお、中間曲線は、イグニッションスイッチ80がオンされた直後のバッテリ50の開放電圧OCVを蓄電割合SOCに基づいて推定するために、充電曲線と放電曲線との間の曲線として定めたものである。実施例では、簡単のために、各蓄電割合SOCについて充電曲線の開放電圧OCVchと放電曲線の開放電圧OCVdiとの平均値が中間曲線の開放電圧OCVmiとなるように中間曲線を定めた。
充放電指標IDXが所定値IDX1のとき(補正係数kvが値(−1)のとき)には、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が充電曲線に位置し、充放電指標IDXが所定値IDX2のとき(補正係数kvが値1のとき)には、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が放電曲線に位置し、補正係数kvが値0のときには、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が中間曲線に位置する。
所定値IDX1,IDX2は、両者の差分が、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が充電曲線と放電曲線との間で遷移可能なバッテリ50の電流Ibの積算値として定められる。所定値IDX1は、例えば、−2Ahや−2.5Ah、−3Ahなどが用いられ、所定値IDX2は、例えば、2Ahや2.5Ah、3Ahなどが用いられる。
図5は、バッテリ50の電流Ibと充放電指標IDXとの様子の一例を示す説明図である。図示するように、時刻t0にイグニッションスイッチ80がオンされると、充放電指標IDXに値0が設定され、バッテリ50の放電が行なわれると、それに伴って充放電指標IDXが増加して時刻t1に所定値IDX2に至り、更にバッテリ50の放電が継続されても、充放電指標IDXは所定値IDX2で保持される。これは、蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が、放電曲線に到達して放電曲線に沿って移動することを意味する。そして、時刻t2からバッテリ50の充電が行なわれると、それに伴って充放電指標IDXが減少して時刻t3に所定値IDX1に至り、更にバッテリ50の充電が継続されても、充放電指標IDXは所定値IDX1で保持される。これは、蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が、充電曲線に到達して充電曲線に沿って移動することを意味する。そして、時刻t4からバッテリ50の放電が行なわれると、それに伴って充放電指標IDXが増加する。補正係数kvは、この充放電指標IDXと同様に変化する。
図2の説明に戻る。ステップS110で充放電指標IDXを設定すると、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて、充電曲線、放電曲線、中間曲線(図4参照)におけるバッテリ50の開放電圧OCVch,OCVdi,OCVmiを推定する(ステップS120)。そして、補正係数kvの値を調べる(ステップS130)。
補正係数kvが負のときには、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が中間曲線よりも充電曲線側であると判断し、充電曲線の開放電圧OCVchと中間曲線の開放電圧OCVdiとの差分を電圧幅ΔOCVとして演算し(ステップS140)、バッテリ50の電圧Vbに電圧幅ΔOCVと補正係数kvとの積を加えた値を補正後電圧Vbadとして演算する(ステップS160)。この処理は、バッテリ50の電圧Vb(検出値)を中心曲線の開放電圧OCVmiに対応する電圧に補正する処理である。
補正係数kvが正のときには、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が中間曲線よりも放電曲線側であると判断し、中間曲線の開放電圧OCVmiと放電曲線の開放電圧OCVdiとの差分を電圧幅ΔOCVとして演算し(ステップS150)、バッテリ50の電圧Vbに電圧幅ΔOCVと補正係数kvとの積を加えた値を補正後電圧Vbadとして演算する(ステップS160)。この処理は、バッテリ50の電圧Vb(検出値)を中心曲線の開放電圧OCVmiに対応する電圧に補正する処理である。
補正係数kvが値0のときには、バッテリ50の蓄電割合SOCと開放電圧OCVとの関係が中間曲線に一致していると判断し、バッテリ50の電圧Vbを補正後電圧Vbadとして設定する(ステップS170)。
このようにして補正後電圧Vbadを設定すると、バッテリ50の電流Ib、補正後電圧Vbad、蓄電割合SOCの組をサンプルデータとしてバッテリECU52の図示しないRAMに格納する(ステップS180)。
次に、RAMに格納したサンプルデータ数を所定数Njと比較する(ステップS190)。ここで、所定数Njは、バッテリ50の内部抵抗Rbを精度よく推定するのに必要なサンプルデータ数であり、例えば、250や300、350などが用いられる。サンプルデータ数が所定数Nj未満のときには、バッテリ50の内部抵抗Rbを精度よく推定するのに必要なサンプルデータ数が揃っていないと判断し、本ルーチンを終了する。
ステップS170でサンプルデータ数が所定数Nj以上のときには、バッテリ50の内部抵抗Rbを精度よく推定するのに必要なサンプルデータ数が揃ったと判断し、複数のサンプルデータを用いて、バッテリ50の電流Ibの分散Viおよび蓄電割合SOCのばらつき量ΔSを演算する(ステップS200)。蓄電割合SOCのばらつき量ΔSは、例えば、複数のサンプルデータを用いて、蓄電割合SOCの最大値と最小値との差分として演算することができる。
そして、バッテリ50の電流Ibの分散Viを閾値Virefと比較すると共に(ステップS210)、バッテリ50の蓄電割合SOCのばらつき量ΔSを閾値ΔSrefと比較する(ステップS220)。ここで、閾値Virefおよび閾値ΔSrefは、バッテリ50の内部抵抗Rbの推定を精度よく行なうための電流条件および蓄電割合条件が成立しているか否かを判定するのに用いられる閾値であり、閾値Virefとしては、例えば、90A2や100A2、110A2などが用いられ、閾値ΔSrefとしては、例えば、4%や5%、6%などが用いられる。
ステップS210でバッテリ50の電流Ibの分散Viが閾値Viref以上で且つステップS220でバッテリ50の蓄電割合SOCのばらつき量ΔSが閾値ΔSref以下のときには、上述の電流条件および蓄電割合条件が成立していると判断し、判定用グループに属する複数のサンプルデータを用いてバッテリ50の内部抵抗Rbを推定し(ステップS230)、全てのサンプルデータをリセット(廃棄)して(ステップS240)、本ルーチンを終了する。
図6は、バッテリ50の内部抵抗Rbの推定方法を説明するための説明図である。図示するように、各サンプルデータ(電流Ibと補正後電圧Vbadとの組)を、横軸を電流Ib、縦軸を補正後電圧Vbadとするマップにそれぞれプロットし、プロットした各プロット点を用いて最小二乗法により近似直線を設定し、その近似直線の傾きをバッテリ50の内部抵抗Rbとして推定する。
上述したように、バッテリ50の充放電履歴(充電継続時か放電継続時か充電と放電との切替時か)に応じて、同一の蓄電割合SOCに対する開放電圧OCVが異なり(ヒステリシスを有し)、バッテリ50のの電流Ibと電圧Vbとの関係が異なる。実施例では、電流Ibと補正後車速Vだdとの組を複数用いて内部抵抗Rbを推定するから、電流Ibと電圧Vbとの組を複数用いて内部抵抗Rbを推定するものに比して、内部抵抗Rbをより精度よく推定することができる。
ここで、バッテリ50の内部抵抗Rbの推定のために電流条件や蓄電割合条件を用いる理由について説明する。最初に、電流条件について説明する。電流センサ51bや電圧センサ51aの検出誤差の影響により、サンプルデータ(電流Ib、電圧Vb)がばらつき、これにより、近似直線の傾きがばらつく。そして、電流Ibの分散Viが小さいほど近似直線の傾きのばらつきが大きくなり、内部抵抗Rbの推定精度が低くなりやすい。これを踏まえて、電流条件を用いるものとした。次に、蓄電割合条件について説明する。バッテリ50の蓄電割合SOCが異なると、開放電圧OCVも異なる(図3参照)。そして、開放電圧OCVが異なると、電圧Vbも異なるから、近似直線の傾きの精度、即ち、内部抵抗Rbの推定精度が低くなりやすい。これを踏まえて、蓄電割合条件を用いるものとした。
バッテリECU52は、このようにしてバッテリ50の内部抵抗Rbを推定すると、内部抵抗Rbが大きいほど絶対値が小さくなるようにバッテリ50の入出力制限Win,Woutを設定する。バッテリ50の経年劣化により内部抵抗Rbが大きくなると、入出力制限Win,Woutの絶対値を小さくしてバッテリ50が大きい電力で充放電されるのを抑制することにより、バッテリ50の劣化が促進されるのを抑制し、バッテリ50の寿命が短くなるのを抑制することができる。
ステップS210でバッテリ50の電流Ibの分散Viが閾値Viref未満のときや、ステップS220でバッテリ50の蓄電割合SOCのばらつき量ΔSが閾値ΔSrefよりも大きいときには、上述の電流条件および蓄電割合条件のうちの少なくとも一方が成立していないと判断し、バッテリ50の内部抵抗Rbを推定することなく、全てのサンプルデータをリセット(廃棄)して(ステップS240)、本ルーチンを終了する。これにより、バッテリ50の内部抵抗Rbを低い精度で推定するのを回避することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20に搭載される電池システムでは、バッテリ50の充放電履歴(充電継続時か放電継続時か充電と放電との切替時か)を反映する補正係数kvを用いてバッテリ50の電圧Vb(検出値)を補正して補正後電圧Vbadを演算し、バッテリ50の電流Ib(検出値)および電圧Vbの組を複数用いてバッテリ50の内部抵抗Rbを推定する。これにより、内部抵抗Rbをより精度よく推定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載される電池システムでは、充放電指標IDXに基づく補正係数kvと、充電曲線の開放電圧OCVchまたは放電曲線の開放電圧OCVdiと中間曲線の開放電圧OCVdiとの差分である電圧幅ΔOCVと、を用いてバッテリ50の電圧Vbを中心曲線の開放電圧OCVmiに対応する電圧となるように補正して補正後電圧Vbadを演算するものとした。しかし、充放電指標IDXに基づく補正係数kv2と、開放電圧OCVchと開放電圧OCVdiとの差分である電圧幅ΔOCV2と、を用いてバッテリ50の電圧Vbを充電曲線の開放電圧OCVchに対応する電圧となるように補正して補正後電圧Vbadを演算するものとしてもよい。また、充放電指標IDXに基づく補正係数kv3と、電圧幅ΔOCV2と、を用いてバッテリ50の電圧Vbを放電曲線の開放電圧OCVchに対応する電圧となるように補正して補正後電圧Vbadを演算するものとしてもよい。この場合、補正係数kv2は、充放電指標IDXと所定値IDX1との差分に応じて設定され、補正係数kv3は、充放電指標IDXと所定値IDX2との差分に応じて設定される。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載される電池システムでは、バッテリ50の内部抵抗Rbを推定する条件として、電流条件(バッテリ50の電流Ibの分散Viが閾値Viref以上である条件)および蓄電割合条件(バッテリ50の蓄電割合SOCのばらつき量ΔSが閾値ΔSref以下である条件)を用いるものとした。しかし、これらのうちの何れか一方だけを用いるものとしてもよいし、何れも用いないものとしてもよい。
実施例では、ハイブリッド自動車20に搭載される電池システムの形態としたが、自動車以外の駆動システム、例えば、移動しない建設設備などに搭載される電池システムの形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、バッテリ50が「二次電池」に相当し、電流センサ51bが「電流センサ」に相当し、電圧センサ51aが「電圧センサ」に相当し、バッテリECU52が「抵抗推定部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。