JP5482056B2 - 組電池の容量調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、組電池の容量調整装置に関するものである。
複数の単電池(セル)を接続してなる組電池において、各単電池に設けられた容量調整用放電回路を適宜に放電制御することにより、全ての単電池が所定の電圧又は所定の充電状態(SOC,State of Charge)となるように電池容量のばらつきを均一化する容量調整装置が知られている(特許文献1)。
特開2000−83327号公報
しかしながら、上記従来の容量調整装置では、電圧又はSOCを均一化する容量調整法であるため、調整直後においては電圧又はSOCが均一化されるものの、単電池の容量劣化度合いの個体差によりその後の電圧変化の傾向が異なることがある。
その結果、ばらつきが生じて過充電又は過放電となるおそれがあった。
そこで、本発明は、調整時又は調整後の電池容量のばらつきを抑制することができる容量調整装置を提供する。
本発明は、単電池の劣化に基づき残存電池容量を調整することにより上記課題を解決する。
本発明によれば、単電池の劣化に基づく残存電池容量に応じて、単電池の残存容量を調整するため、調整時又は調整後の各単電池の残存電池容量のばらつきを抑制することができる。その結果、組電池の過充電又は過放電を抑制することができる。
発明の一実施の形態を適用したハイブリッド自動車を示すブロック図である。 図1のバッテリ21廻りの詳細を示すブロック図である。 図1のバッテリ21の容量調整回路の一例を示す電気回路図である。 図1のバッテリコントローラ24の制御手順を示すフローチャートである。 図4のステップS2のバッテリの開放電圧の取得方法の一例を示すグラフである。 図4のステップS3のバッテリの開放電圧からSOCの演算する方法の一例を示すグラフである。 比較例の容量調整方法における、セル毎のSOCを示す特性図である。 比較例の容量調整方法により調整される前の単電池の電池容量とSOCを示すグラフである。 比較例の容量調整方法により調整された後の単電池の電池容量とSOCを示すグラフである。 変形例の容量調整方法における、バッテリコントローラ24の制御手順を示すフローチャートである。 発明の他の実施形態に係るバッテリコントローラ24の制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る容量調整装置を含む、ハイブリッド自動車の動力伝達系(パワートレイン)を示すブロック図であり、内燃機関1、モータ2,3、クラッチ4、無段変速機5、減速装置6、差動装置7および駆動輪8から構成されている。モータ3の出力軸と内燃機関1の出力軸とクラッチ4の入力軸は互いに連結されており、また、クラッチ4の出力軸とモータ2の出力軸と無段変速機5の入力軸は互いに連結されている。
本例のハイブリッド自動車は、クラッチ4が締結されると内燃機関1とモータ2が車両の推進源となる一方で、クラッチ4が解放されるとモータ2のみが車両の推進源となる。内燃機関1および/またはモータ2の駆動力は、無段変速機5、減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8へ伝達される。
モータ2,3は、三相同期電動機または三相誘導電動機などの交流電動機であり、モータ3は主として内燃機関の始動と発電に用いられ、モータ2は主として車両の推進と制動に用いられる。
なお、モータ2,3には交流電動機に限らず直流電動機を用いることもできる。また、クラッチ4の締結時に、モータ3を車両の推進と制動に用いることもでき、モータ2を内燃機関1の始動や発電に用いることもできる。
クラッチ4はパウダークラッチであり、伝達トルクがほぼ励磁電流に比例するので伝達トルクを調節することができる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。
モータ2,3は、それぞれインバータ22,23により駆動される。なお、モータ2,3に直流電動機を用いる場合には、インバータ22,23に代えてDC/DCコンバーターを用いる。インバータ22,23は共通のDCリンク25を介して二次電池であるバッテリ21に接続されており、バッテリ21の直流充電電力を交流電力に変換してモータ2,3へ供給するとともに、モータ2,3の交流発電電力を直流電力に変換してバッテリ21を充電する。
なお、インバータ22,23は互いにDCリンク25を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力は、バッテリ21を介さずに直接、力行運転中のモータ2,3へ供給することができる。
バッテリ21はリチウムイオン電池である。なお、バッテリ21には、ニッケル水素電池や鉛電池などの他の種類の電池を用いることができる。
コントローラ9は、マイクロコンピュータとその周辺部品や各種アクチュエータなどを備え、内燃機関1の回転速度や出力トルク、クラッチ4の伝達トルク、モータ2,3の回転速度や出力トルク、無段変速機5の変速比、バッテリ21のSOCなどを、エンジンコントローラ11、トランスミッションコントローラ51及びバッテリコントローラ24を介して統括的に制御する。
図2は、図1のバッテリ21りの詳細を示すブロック図である。図2に示すようにバッテリ21にはバッテリコントローラ24が接続されており、このバッテリコントローラ24には、バッテリ21を流れる電流を検出する電流センサ241と、バッテリ21の総電圧を検出する総電圧センサ242と、バッテリ21の温度を検出する温度センサ243と、バッテリ21を構成する組電池のセルコントローラ(不図示)との通信ライン244が接続されている。
図3は、図1及び図2のバッテリ21を構成する組電池の容量調整回路の一例を示す電気回路図である。組電池であるバッテリ21は、二次電池である複数の単電池211が直列及び/又は並列に接続されてなり、同図には複数の単電池211が直列に接続された例を示し、便宜的に単電池211a,211b…で表わす。なお、図1に示すハイブリッド自動車システムに関してはバッテリ21と総称するが、バッテリ21の全体を指す場合は組電池21と称し、当該組電池を構成する個々の電池を指す場合は単電池211と称し、両者を区別するものとする。
各単電池211の両端子には一対の電圧検出線245の一端が接続され、その他端は例えばバッテリコントローラ24(又はセルコントローラ)のAD変換ポートに接続され、これによりバッテリコントローラ24で直接、各単電池のセル電圧が検出される。
一対の電圧検出線245の間には、トランジスタなどのスイッチング素子246と、単電池211の電力を消費して容量を調整するための抵抗247とが接続されている。そして、バッテリコントローラ24によって各単電池211の容量のばらつき調整が必要と判断されたときは、バッテリコントローラ24からスイッチング素子246(トランジスタのベース)にスイッチングON/OFF信号を所定時間だけ入力することで、調整対象の単電池211の電力を抵抗247により放電させる。
次に本例の容量調整方法について説明する。
図4は、図1のバッテリコントローラ24で実行される制御手順を示すフローチャートである。
ステップS1では、電流センサ241により検出される放電電流Idから放電電流積算値ΔAhを演算する。放電電流値Idの検出時間間隔をΔtとすると、放電電流積算値ΔAh=ΣId・Δtの関係が成り立つ。
ステップS2では、単電池211ごとの開放電圧を取得する。ここでいう開放電圧とは、a)バッテリ21が無負荷状態である場合に実測して得られる開放電圧Ea、b)充放電時にサンプリングされた電流値及び電圧値から得られるI−V特性の外挿、すなわちパワー演算により推定される開放電圧Eb、またはc)充放電時に実測された電流値及び総電圧値に基づいて、Ec=(総電圧)+(電流値)×(温度及び劣化補正された内部抵抗)により推定される開放電圧Ecのいずれも採用することができる。
開放電圧Eaの計測は無負荷時に行うものであるため、自動車を起動する際の無負荷時(強電系統をONする前)やキーをOFFする際に計測することができる。これに対して、開放電圧EbやEcは無負荷時でなくても計測することができるので、これらを適宜選択して開放電圧を取得する。
一例として開放電圧Ebの取得手順について説明する。開放電圧Ebは、自動車の走行時などにおいて単電池211の電流変化を捉え、図5に示すように電流値I及び電圧値Vを複数サンプリングする。同図の丸×印が計測されたサンプリング点であり、このI−V特性のサンプリングデータをIV座標において一次回帰演算して特性直線L(=R・I+Eb)を求める。特性直線Lと縦軸(電圧軸)との交点が開放電圧Ebとなる。
ステップS3では、バッテリコントローラ24のメモリ領域に設定されている単電池の開放電圧−SOCマップを参照して、単電池211ごとのSOCを演算する。図6は単電池211の開放電圧とSOCとの相関関係を示すグラフであり、単電池211の温度や容量劣化度が変化しても不変の関係である。したがって、バッテリコントローラ24に設定された、図5に示す開放電圧−SOCマップを参照し、ステップS1で取得した開放電圧EからSOCを演算する。ここで、放電開始時の開放電圧E1に対するSOCをSOC1、放電終了時の開放電圧E2に対するSOCをSOC2とする。
ステップS1〜S3は、組電池を構成する各単電池211a,211b…について実行する。
ステップ4にて、バッテリコントローラ24は、ステップ1にて、演算された放電電流積算値Δtと放電電流の積算前後のSOCの変化であるΔSOC=SOC1−SOC2とに基づいて、単電池211毎の現在の満充電容量Cを演算する。ここで、電池容量C(Ah)とΔSOC(%)との積は、SOCがΔSOCだけ変化する間の放電電流積算値ΔAhに等しいので、満充電電池容量Cは、C=100×(ΔAh/ΔSOC)により演算される。
次に、ステップ5にて、バッテリコントローラ24は、各単電池211の電池容量劣化度β(%)を演算する。ここでいう容量劣化度とは電池の初期容量Cに対する現在の容量の劣化度合いを示す特性値であって、容量が劣化した割合を示す容量劣化率または残存容量の割合を示す容量維持率の両者を含む意味である。
まず、バッテリコントローラ24は、メモリ領域に保存されている温度補正係数αを用いて、ステップS4で演算される満充電電池容量Cの温度条件を、劣化する前の初期電池量容量Cの基準温度Tと同一温度条件になるよう補正する。単電池211の電池容量は、温度条件により異なるため、温度補正を行うことで、演算の誤差を少なくする。基準温度Tに合わせて補正される電池容量C(T)は、C(T)=α・Cにより演算される。ここで、αは、単電池211の設計時の条件により予め定められており、バッテリコントローラ24のメモリ領域に格納されている。
そして、バッテリコントローラ24は、初期電池容量Cと補正後の電池容量C(T)により、電池容量劣化度βを演算する。電池容量劣化度βは、β=100−{C(T)/C)}×100により演算される。また容量維持率γ(%)は、γ=100−β={C(T)/C)}×100により演算される。
ステップ6にて、バッテリコントローラ24は、ステップ2と同様に、調整時の開放電圧Etを取得し、バッテリコントローラ24のメモリ領域に設定されている単電池の開放電圧−SOCマップを参照して、単電池211ごとの調整時のSOCtを演算する。
ステップS7にて、バッテリコントローラ24は、電池容量劣化度β(または容量維持率γ)、初期電池容量C及びSOCtを用いて単電池毎の残存電池容量Aht(現在の残存電池容量)を演算する。
次に、バッテリコントローラ24は、ステップ7にて演算した現在の残存電池容量Ahtを用いて、単電池211間の残存電池容量の差を演算し、所定の残存容量の差と比較し、単電池の容量調整が必要か否かを判定する(ステップS8)。当該所定の残存容量の差は、例えば、予め電池容量のばらつきを抑制するための値として、バッテリコントローラ24に設計段階で設定する。また本例により容量調整の前に、単電池211の無負荷の状態における、各単電池の残存容量を演算して保存し、当該各単電池211の残存容量の差を、当該所定の残存容量の差としてもよい。
単電池211間の残存容量の差は、例えば、組電池を構成する単電池211の中で、最も残存容量の小さい単電池の容量に対する、それぞれの容量差であり、当該容量差が所定の残存容量の差より大きい場合、バッテリコントローラ24は、以下に掲げる容量調整を行う。一方、残存容量の差が、所定の残存容量の差より小さい場合、当該単電池に対して容量調整が行われず、バッテリコントローラ24は、処理を終了する。容量調整は、調整対象となる単電池211に電気的に接続される抵抗247を通電させることにより行う。容量調整の際の通電時間及び通電電流の大きさは、バッテリコントローラ24により設定される。
そして、ステップS9にて、単電池211間の残存容量の差が当該所定の残存容量の差より大きい場合、バッテリコントローラ24は、例えば最も残存容量の小さい単電池211の残存容量を、調整目標値(Ah)として設定する。次に、ステップS10にて、調査委対象となる各単電池211の調整に必要な調整電池容量(Ah)を設定する。各単電池211の調整電池容量は、単電池211の残存容量と当該調整目標値との差分をとることにより、演算される。ステップS11にて、バッテリコントローラ24は、容量調整の時間を設定する。当該時間は、調整電池容量を予め設定される通電電流で除することで、演算される。そして、ステップS9からステップS11により設定された電池容量の調整の条件で、容量調整が行われる(ステップS12)。最後に、容量調整が必要な単電池において、容量調整が終了すると、バッテリコントローラ24は処理を終了する。
ところで、従来、複数の単電池211を含む組電池の容量調整装置は、各単電池211の電圧又はSOCに応じて容量調整を行い、容量調整をする単電池211の電圧又はSOCを、目標となる単電池の電圧又はSOCと一致するよう容量調整が行われていた。従来の容量調整は、各単電池の電圧又はSOCを一致させることで、調整が行われていたため、調整が終了した時には、各単電池の電圧又はSOCが均一化される。しかし、各単電池において、容量劣化度が異なるため、調整終了後の電圧変化の傾向が異なり、結果として、調整後のばらつきが大きくなる可能性があった。
次に、従来の容量調整装置における、調整後のばらつきについて、図7及び図8を用いて説明する。図7(a)及び(b)は、単電池1番目からn番目における、SOCと容量維持率を、それぞれ示す図である。図8(a)及び(b)は、単電池a番目とb番目における、調整前のSOC及び残存容量を示し、図9(a)及び(b)は、単電池a番目とb番目における、調整後のSOC及び残存容量を示す図である。
図7(a)に示すように、単電池211(1〜n番目)の中で、1〜n−1番目の単電池AのSOCが30%で、n番目の電池BのSOCが50%とする。また、図7(b)に示すように、単電池Aの容量維持率は95%、電池Bの容量維持率は85%とする。
この時、単電池Aの残存容量は、各単電池211の初期容量を4(Ah)とすると、4(Ah)×30(%)×95(%)=1.14(Ah)となり、電池Bの残存容量は、4(Ah)×50(%)×85(%)=1.71(Ah)となる(図8(a)及び(b)を参照)。従来の容量調整装置は、電池BのSOC(50%)が単電池AのSOC(30%)になるように、容量調整を行う。容量調整する時間は、組電池において、単電池の平均的な容量維持率(約95%)に基づいて、設定される。かかる条件の下、容量調整が行われると、電池BのSOCは、図9(a)に示すように、30%となり、単電池AのSOCと同一になる。しかし、単電池Bは、単電池Aに対して10%分(95(%)−85(%))、相対的に劣化が進んでいるため、図9(b)に示すように、単電池Bの残存容量は、単電池Aの容量より小さくなる。そして、電池Bにおいて、内部抵抗は劣化により大きくなっているため、通電時の電圧が低くなり、過放電のおそれがある下限電圧に達する可能性があった。
上記のように、本例の容量調整装置は、単電池の容量劣化度を演算し、当該容量劣化度に基づき単電池の残存電池容量を演算し、当該残存電池容量に応じて単電池の残存容量を調整する。これにより、単電池間の容量劣化度にばらつきが生じる場合、本例は当該容量劣化度により演算する残存容量に応じて、容量調整を実施するため、調整後の、容量劣化度により生じるばらつきを抑制することができる。その結果として、組電池の過放電又は過充電をより一層低減し、電池としての利用可能範囲を拡大することができる。すなわち、本例は、調整の対象となる単電池の残存容量が、他の単電池の残存容量と等しくなるよう、調整する。これにより、調整後、残存容量のばらつきを抑制することができる。
また、他の単電池と比較して容量劣化度が大きい電池は、本例の容量調整により、他の電池のSOCに比べて高いSOCに調整される。そして、放電時の内部抵抗は、SOCが高いほど、小さくなるため、当該容量劣化度が大きい電池において、負荷電圧を高くすることができるため、放電のおそれがある下限電圧に達することを抑制することができる。
また本例の容量調整装置は、基準温度である初期電池容量及び当該基準温度に補正された電池容量を用いて容量劣化度を演算し、容量劣化度、初期電池容量及び単電池の電圧(又はSOC)を用いて単電池の残存容量を演算し、当該残存電池容量に応じて単電池の残存容量を調整する。これにより、単電池211間の容量劣化度にばらつきが生じる場合、本例は当該容量劣化度により演算する残存容量に応じて、容量調整を実施するため、調整後の、容量劣化度により生じるばらつきを抑制することができる。その結果として、組電池の過放電又は過充電をより一層低減し、電池としての利用可能範囲を拡大することができる。また単電池211毎の容量劣化度を演算する際、温度係数を用いて補正された電池容量を用いるため、温度による容量の変化によって生じる誤差を抑えて、各種パラメータを演算でき、結果として、調整の精度を高めることができる。
なお本例の制御内容における容量劣化度βは、上記の方法に限らず他の方法で演算してもよい。例えば、まず初期の電池特性と劣化後の電池特性として、放電電流の積算値−開放電圧特性を求める。初期の単電池のSOCが100%の状態から放電され、SOCが所定の値に下がるまでの電流積算値を演算することにより、初期の電池特性の放電電流の積算値−開放電圧特性は演算され、劣化後の単電池のSOCが100%の状態から放電され、SOCが所定の値に下がるまでの電流積算値を演算することにより、劣化後の電池特性の放電電流の積算値−開放電圧特性は演算される。そして、予め放電容量規定用の電圧Evを定め、電圧Evに達するまでに放電される電流の積算値を、初期の電池特性と劣化後の電池特性のそれぞれについて演算し、初期電池容量C及び劣化後の満充電電池容量Cを求める。そして、劣化後の満充電電池容量Cを初期電池容量Cにより除算することで、容量劣化度βが演算される。
また本例は、各単電池211の調整終了時の電池容量が等しくなるよう、容量調整が行われるが、必ずしも等しくする必要はない。図10を参照に、本例の変形例を説明する。ステップS1〜ステップS8は、図4に示すステップと同様であるため、省略する。単電池間の残存電池容量の差が所定値より大きい場合、ステップS101にて、バッテリコントローラ24は、単位時間当たりの放電容量を演算する。単位時間当たりの放電容量は、放電電流電流積算値Δtを積算時間で除することで演算される。次に、バッテリコントローラ24は、容量調整時から所定時間経過後の残存電池容量である目標電池容量を設定する(ステップS102)。目標電池容量は、調整時から所定時間(T)経過後に、各単電池の電池容量が当該目標電池容量に達する値として設定される。ステップS103にて、バッテリコントローラ24は、調整電池容量を設定し、ステップS104にて、容量調整時間を設定する。調整後の単電池211の電池容量は、目標電池容量に、調整される単電池211の単位時間当たりの放電容量に当該所定時間(T)を乗じた容量分を加えた、電池容量となる。そして、調整電池容量は、調整前の電池容量と調整後の電池容量との差に相当し、容量調整時間は、調整電池容量を予め設定される通電電流で除することで、演算される。
次に、ステップS105にて、設定された電池容量の調整の条件で、容量調整が行われる。これにより、容量劣化度の差による単位時間あたりの放電容量の差に応じて、容量調整を行うため、調整終了時から所定時間経過後の各単電池211の容量のばらつきを抑制することができる。
また、本例は、容量調整の判断の際、容量劣化度を用いて、ステップ7にて、単電池211毎の残存容量を演算するが、ステップS4にて、演算した単電池211毎の満充電容量を、劣化した単電池211毎の満充電電池容量とし、ステップS8以降の容量調整の必要性の判断及び容量調整を行ってもよい。ステップ5〜7の制御内容を省くことで、温度係数による補正が行われないが、その分、演算負荷を小さくすることができ、また調整後の容量のばらつきを抑制することができる。
また本例は、温度センサ243の検出温度に応じて、容量劣化度を補正するが、電池容量の調整条件を補正し、設定してもよい。単電池211の電池容量は、温度依存性を有しているため、容量調整の際、通電時間、通電電流又は調整目標となる調整目標値を温度補正し、調整条件とする。これにより、本例は、各単電池211の容量のバラツキを抑制することができる。
なお、本例の容量調整装置は、動力源をモータとする電気自動車であっても、で起用することができる。
なお、上記バッテリコントローラ24が本発明の「容量劣化度演算手段」、「残存電池容量」、「放電電流演算手段」、「満充電電池容量演算手段」及び「温度補正手段」に相当し、電圧検出線245及びバッテリコントローラ24が「電圧検出手段」に相当し、スイッチング素子246、抵抗247及びバッテリコントローラ24が本発明の「電池容量調整手段」に相当し、電流センサ241及びバッテリコントローラ24が本発明の「電流検出手段」に相当する。
また、上記バッテリコントローラ24が本発明の「放電容量演算手段」及び「目標電池容量設定手段」に相当する。
《第2実施形態》
図11は発明の他の実施形態に係る容量調整装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は上述した第1実施形態に対して、制御内容の一部が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。
ステップS1〜ステップS7については、第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。
ステップS21にて、バッテリコントローラ24は、ステップS5にて取得した容量劣化度を用いて、単電池間の容量劣化度の差を演算する。単電池211間の容量劣化度の差が、予め設定されている所定の値より大きい場合、バッテリコントローラ24は、残存電池容量に応じて電池容量を調整する制御に切り換えて、ステップ8からステップ12により、第1の実施形態と同様に、残存電池容量に応じて、容量調整を行う。
一方、単電池211間の容量劣化度の差が所定の値より小さい場合、バッテリコントローラ24は、SOCに応じて電池容量を調整する制御に切り換え、ステップS6にて取得した単電池毎のSOCから、単電池間のSOCの差を演算し、予め設定される所定の値と比較する(ステップS22)。そして、当該単電池間のSOCの差が、当該所定の値より大きい場合、バッテリコントローラ24は、例えば最もSOCの小さい単電池のSOCを、調整目標値となるSOCとして設定する。そして、容量調整される単電池のSOCが当該調整目標値SOCに到達するまで、バッテリコントローラ24は、抵抗247を通電させ、容量調整を行う。そして、制御処理を終了する。
一方、SOCの差が、所定の値より小さい場合、当該単電池に対して容量調整が行われず、バッテリコントローラ24は、処理を終了する。
上記のように、本例の容量調整装置は、電池容量の容量劣化度が小さい場合、単電池のSOCに応じて容量調整を行い、電池容量の容量劣化度が大きい場合、単電池の残存容量に応じて容量調整を行う。電池容量の容量劣化度が小さい場合、容量劣化度による電池容量のばらつきは小さいため、SOCで容量調整を行うことによる過放電または過充電の可能性は低い。そのため、本例は単電池のSOCに応じて容量調整を行うことにより、演算負荷を抑えることができる。一方、電池容量の容量劣化度が大きい場合、本例は単電池の残存容量に応じて容量調整を行うことにより、ばらつきを調整する精度を高めることができ、結果として、電池としての利用可能範囲を広げることができる。
なお、上記バッテリコントローラ24が本発明の「SOC演算手段」、「調整切替手段」に相当し、上記スイッチング素子246、抵抗247及びバッテリコントローラ24が本発明の「SOC調整手段」に相当する。
1…内燃機関
2,3…モータ
4…クラッチ
5…無段変速機
6…減速装置
7…差動装置
8…駆動輪
9…コントローラ
21…バッテリ(組電池)
211…単電池
22,23…インバータ
24…バッテリコントローラ
241…電流センサ
242…電圧センサ
243…温度センサ
244…通信ライン
245…電圧検出線
246…スイッチング素子
247…抵抗

Claims (6)

  1. 二次電池である複数の単電池が接続された組電池の、前記複数の単電池の開放電圧を前記単電池毎に検出する電圧検出手段と、
    前記単電池の容量劣化度を演算する容量劣化度演算手段と、
    前記開放電圧及び前記容量劣化度に基づき、前記複数の単電池の残存電池容量を演算する残存容量演算手段と、
    前記残存電池容量に応じて、前記単電池の残存電池容量を調整する電池容量調整手段と、
    前記単電池の放電電流を検出する電流検出手段と、
    前記放電電流に基づいて放電電流積算値を演算する放電電流演算手段と、
    前記放電電流積算値と前記単電池の開放電圧の変化に基づいて現在の満充電電池容量を演算する満充電電池容量演算手段とを有し、
    前記容量劣化度演算手段は、予め設定される初期電池容量及び前記現在の満充電電池容量に基づいて、前記容量劣化度を演算することを特徴とする
    容量調整装置。
  2. 前記電池容量調整手段は、いずれか一の前記単電池の残存電池容量を、他の前記単電池の残存電池容量と等しくすることを特徴とする
    請求項に記載の容量調整装置。
  3. 前記単電池の単位時間当たりの放電容量を演算する放電容量演算手段と、
    調整終了時から所定時間経過後の残存電池容量である目標電池容量を設定する目標電池容量設定手段とをさらに有し、
    前記電池容量調整手段は、前記単位時間当たりの放電容量及び前記目標電池容量に応じて、前記単電池の残存電池容量を前記調整終了時の電池容量に調整することを特徴とする
    請求項に記載の容量調整装置。
  4. 前記単電池の温度を検出する温度センサをさらに有し、
    前記電池容量調整手段は、前記温度センサの検出温度に応じて、電池容量の調整条件を設定することを特徴とする
    請求項1〜のいずれか一項に記載する容量調整装置。
  5. 前記単電池の温度を検出する温度センサと、
    前記現在の満充電電池容量を前記初期電池容量の温度と同一の温度の条件に補正する温度補正手段とをさらに有し、
    前記容量劣化度演算手段は、前記温度補正手段により補正された電池容量と前記初期電池容量に基づいて、補正された容量劣化度を演算し、
    前記残存容量演算手段は、前記補正された容量劣化度、前記初期電池容量及び前記単電池の開放電圧に基づいて、前記残存電池容量を演算することを特徴とする
    請求項記載の容量調整装置。
  6. 前記開放電圧に基づいて、前記単電池のSOCを演算するSOC演算手段と、
    前記SOCに応じて、前記単電池のSOCを調整するSOC調整手段と、
    前記単電池間の前記容量劣化度の差が所定の値より小さい場合、前記単電池のSOCを前記SOC調整手段により調整し、
    前記単電池間の前記容量劣化度の差が所定の値より大きい場合、前記単電池の残存電池容量を前記電池容量調整手段により調整する調整切替手段をさらに有することを特徴とする
    請求項1〜のいずれか一項に記載の容量調整装置。
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