JP2020090585A - フェニルセレノ基含有ポリマー並びにこれを含む熱可塑性成形品及び光学部品 - Google Patents

フェニルセレノ基含有ポリマー並びにこれを含む熱可塑性成形品及び光学部品 Download PDF

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千浩 中林
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智幸 菊地
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Abstract

【課題】加工成形に適した溶融粘度を有し、かつ、高い屈折率を有する新規な樹脂材料を提供することを目的とする。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位(A)と、式(2)で表される繰り返し単位(B)と、を含み;繰り返し単位の総数に対する繰り返し単位(A)の数の割合が30%以上100%未満であり;多分散度(Mw/Mn)が、1以上3以下である、フェニルセレノ基含有ポリマー。【選択図】なし

Description

本発明は、フェニルセレノ基含有ポリマー並びにこれを含む熱可塑性成形品及び光学部品に関する。
光学材料の中でも透明プラスチックは、ガラスに比べて軽量で割れにくく、材料コストが安く、成形により様々な形状に加工できるという利点を持つ。光学材料として用いられる透明プラスチックは、製品の多様化、特に薄型化へのニーズにこたえるため、高い屈折率を有することが求められている。
従来、樹脂骨格中にフルオレンなどの芳香環やチオール元素を導入することによって、樹脂の高屈折率化が図られていた。しかしながら、吸収波長の長波長化や耐熱性の低下による樹脂の着色といったことが課題となっていた。
近年、樹脂の高屈折率化を図る新たな手法として、例えば特許文献1及び2に記載されているように、樹脂骨格中にセレン元素を導入することが提案されている。より詳細には、特許文献1及び2では、セレン元素を導入したモノマーを調製し、これを熱硬化又はUV硬化させることにより硬化性樹脂を合成している。これらの文献によると、セレン元素を導入することにより、高い屈折率を有し、かつ、透明性に優れた樹脂が得られる、としている。
特開2007−80804号公報 特開2010−242093号公報
上記のように、特許文献1及び2に記載された技術は、いずれも硬化性樹脂に関するものである。光学部品の分野では、射出成形等が可能な成形加工性に優れた光学材料が求められていることから、本発明者らは、熱可塑性樹脂に特許文献1及び2に記載された技術を適用しようと試みた。
しかしながら、本発明者らが、熱可塑性樹脂に特許文献1及び2に記載された技術を適用したところ、得られた熱可塑性樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎて、所望の成形加工性が得られないという新たな問題が判明した。
そこで、本発明は、加工成形に適した溶融粘度を有し、かつ、高い屈折率を有する新規な樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、熱可塑性樹脂の側鎖にフェニルセレノ基を所定の割合で導入し、かつ、ポリマーの多分散度を小さくすることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態に係るフェニルセレノ基含有ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(B)と、を含む。
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表し、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記1価の有機基及び/又は前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
式中、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよく、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
そして、繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(A)の数の割合が、30%以上100%未満であり、かつ、多分散度(Mw/Mn)が、1以上3以下である点に特徴を有する。
本発明によれば、加工成形に適した溶融粘度を有し、かつ、高い屈折率を有する新規な樹脂材料を提供することが可能となる。
本発明のフェニルセレノ基含有ポリマーの分光透過率を表すグラフである。 本発明のフェニルセレノ基含有ポリマーについて、フェニルセレノ基の導入率と屈折率との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。本明細書では、「フェニルセレノ基含有ポリマー」を単に「ポリマー」とも称し、「熱可塑性成形品」を単に「成形品」とも称する。
<フェニルセレノ基含有ポリマー>
本発明の一形態に係るフェニルセレノ基含有ポリマーは、側鎖にフェニルセレノ基を有する繰り返し単位(A)と、フェニルセレノ基を有しない繰り返し単位(B)とを含む、共重合体である。
繰り返し単位(A)は、下記式(1)で表される。
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表し、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記1価の有機基及び/又は前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
フェニルセレノ基中のフェニル基に結合するR〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表す。ここで、炭素数1以上の1価の有機基は、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基等といった、直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基が挙げられる。炭素数1以上の1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含む基であってもよく、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、R〜Rは、それぞれ独立して、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。R〜Rがこれらの基であると、高い屈折率が得られるという点で好ましい。
主鎖を構成するXは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表す。ここで、炭素数1以上の3価の有機基は、特に制限されないが、下記で示される基であることが好ましい。なお、本明細書において化学式中の「−*」は結合手を表す。
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
式中、Rは、それぞれ独立して、単結合、炭素数1〜10の2価のアルキレン基、又は、炭素数6〜30の2価の芳香環含有基を表す。ここで、炭素数1〜6の2価のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基等が挙げられる。炭素数6〜30の2価の芳香環含有基としては、例えば、下記に示される基が挙げられる。
繰り返し単位(A)の好ましい形態を下記に示す。
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基を表す。当該炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基が挙げられる。
繰り返し単位(B)は、下記式(2)で表される。
式中、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよく、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
主鎖を構成するXは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表す。繰り返し単位(B)の式(2)中のXの好ましい形態は、前述の繰り返し単位(A)の式(1)中のXの好ましい形態と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
側鎖の末端に位置するZは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。中でも、Zは、それぞれ独立して、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは、塩素原子である。Zがこれらの基であると、高い屈折率が得られるという点で好ましい。
Zが塩素原子である場合の、繰り返し単位(B)の好ましい形態を下記に示す。
繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)との組合せの好ましい一形態として、下記式(3)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(4)で表される繰り返し単位(B)との組合せが挙げられる。
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表し、Yは、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基を表し、ここで、前記2価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
式中、Yは、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基を表し、ここで、前記2価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよく、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
式(3)において、R〜Rの好ましい形態は、式(1)中のR〜Rの好ましい形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、式(3)及び式(4)において、Yの好ましい形態は、式(1)及び式(3)におけるXに含まれるRの好ましい形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、式(4)において、Zの好ましい形態は、式(3)におけるZの好ましい形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)との組合せは、より好ましくは、下記式(5)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(6)で表される繰り返し単位(B)との組合せである。
式中、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
式(6)において、Zの好ましい形態は、式(1)又は(3)におけるZの好ましい形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本発明に係るフェニルセレノ基含有ポリマーは、繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(A)の数の割合が、30%以上100%未満であることを特徴とする。すなわち、フェニルセレノ基含有ポリマーに含まれる繰り返し単位のうち、フェニルセレノ基を有する繰り返し単位の割合が30%以上100%未満であることを特徴とする。本明細書では、当該割合を「フェニルセレノ基導入率」とも称する。当該割合は、好ましくは30%以上99%以下であり、より好ましくは35%以上95%以下であり、さらに好ましくは40%以上90%以下であり、特に好ましくは45%以上80%以下であり、最も好ましくは50%以上70%以下である。フェニルセレノ基の導入率が30%以上であると、フェニルセレノ基含有ポリマーに含まれるセレン原子が多くなるため、ポリマーの屈折率を大きくすることができる。一方、フェニルセレノ基の導入率が100%未満であると、ポリマーを溶融した際の粘度が小さくなるため、射出成形などの成形加工性を向上させることができる。フェニルセレノ基導入率は、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成する際に、全モノマーに対する、繰り返し単位(A)の由来となるモノマーの配合割合を変化させることにより制御することができる。また、後述の実施例に記載の製造方法においては、フェニルセレノ基を導入する前のポリマーに含まれる繰り返し単位の総数(mol)に対する、フェニルセレニルジンククロライド(PhSeZnCl)の仕込み量(mol)の割合が、フェニルセレノ基の導入率に相当する。なお、フェニルセレノ基含有ポリマーにおけるフェニルセレノ基の導入率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により確認することが可能である。
本発明に係るフェニルセレノ基含有ポリマーは、多分散度(Mw/Mn)が、1以上3以下であることを特徴とする。多分散度は、小さいほど好ましく、下限値は1である。多分散度の上限値は、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.9以下であり、さらに好ましくは1.8以下であり、特に好ましくは1.7以下である。多分散度が3以下であると、ポリマーを溶融した際の粘度が小さくなるため、射出成形などの成形加工性を向上させることができる。ポリマーの多分散度は重合反応時間を24時間から48時間の間でコントロールすることにより制御することができる。なお、多分散度は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除することにより求めることができる。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は後述の実施例に記載された方法により測定された値を採用する。
本発明に係るフェニルセレノ基含有ポリマーの数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、好ましくは10000以上50000以下であり、より好ましくは15000以上40000以下であり、特に好ましくは20000以上35000以下である。数平均分子量が上記範囲内であると、ポリマーを溶融した際に適度な粘度となるため、射出成形等の成形加工性が向上する。また、数平均分子量が上記範囲内であると成形品の透過率(透明性)や耐熱性が特に優れたものとなるとともに、得られた成形品の機械的強度が優れるという利点がある。数平均分子量を上記数値範囲内に制御する方法は、特に制限されないが、重合反応時間を10分から40時間の間でコントロールすることにより値を調整することができる。
フェニルセレノ基含有ポリマーの屈折率nは、例えば1.6以上であり、好ましくは1.62以上であり、より好ましくは1.64以上であり、特に好ましくは1.66以上である。上記範囲であれば、光学部品に好適な高屈折率の成形品が得られうる。本明細書において、屈折率nは、後述の実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
フェニルセレノ基含有ポリマーの波長400nmでの透過率は、例えば85%超であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。
フェニルセレノ基含有ポリマーの溶融状態の粘度は、好ましくは100Pa・s以上100000Pa・s未満であり、より好ましくは1000Pa・s以上50000Pa・s以下であり、さらに好ましくは6000Pa・s以上30000Pa・s以下である。溶融状態での粘度が上記数値範囲内であると、射出成形等の成形加工性に優れる。なお、本明細書において、ポリマーの溶融状態の粘度は、後述の実施例に記載された方法により測定された値を採用する。
フェニルセレノ基含有ポリマーは、公知の方法を用いて合成することができる。製造方法は、特に制限されないが、フェニルセレノ基導入率及び多分散度の制御を容易にする観点から、予めフェニルセレノ基を含まないポリマーを調製した後、当該ポリマーの側鎖にフェニルセレノ基を導入する2段階の反応により製造することが好ましい。例えば、後述の実施例1では、予め4−ビニルベンジルクロライドを重合してポリ−4−ビニルベンジルクロライドを調製した後、フェニルセレニルジンククロライドを反応させることによってフェニルセレノ基含有ポリマーを製造している。
前述のポリマーにフェニルセレノ基を導入する反応の条件は、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン等を溶媒として用い、室温中で、ポリマーとフェニルセレノ基を有する化合物とを5時間以上24時間以下反応させることによって、所望のフェニルセレノ基含有ポリマーを得ることができる。
上記によって得られたフェニルセレノ基含有ポリマーは、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法等の一般的な精製法により精製してもよい。
<熱可塑性成形品、光学部品>
本発明の他の一形態は、上記のフェニルセレノ基含有ポリマーを含む、熱可塑性成形品に関する。本発明のさらに他の一形態は、上記のフェニルセレノ基含有ポリマーを含む、光学部品に関する。
成形品の形状は、特に制限されず、例えば、レンズ状(球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ等)、フィルム状、シート状、板状、棒状、繊維状、プリズム状等の任意の形態であってよい。成形品の製造に際しては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、塗布法(スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、キャスティング成形法等)等の公知の成形方法を利用できる。中でも、本発明に係るフェニルセレノ基含有ポリマーは、射出成形に特に適している。成形品がフェニルセレノ基含有ポリマー以外のポリマーや添加剤等を含む場合には、成形前に、ヘンシェルミキサー、ニーダ、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて原料を混合してもよい。射出成形により成形を行う場合は、例えば、シリンダー温度が150℃以上300℃以下、金型温度が50℃以上100℃以下である。
また、上記成形方法により成形された成形品は、光学部品として使用されうる。具体的には、成形品はディスプレイ(例えば、スマートフォン用ディスプレイ、液晶ディスプレイ及びプラズマディスプレイ等)、撮影装置(例えば、カメラ及びビデオ等)、光ピックアップ、プロジェクタ、光ファイバー通信装置(例えば、光増幅器等)、自動車用ヘッドランプ等における、光を透過する光学部品(パッシブ光学部品)として好適に利用することができる。かようなパッシブ光学部品としては、例えば、レンズ、フィルム、光導波路、プリズム、プリズムシート、パネル、光ディスク、LEDの封止材等を挙げることができる。かような光学部品は、必要に応じて、反射防止層、光線吸収層、ハードコート層、アンチグレア層等の各種の機能層を有していてもよい。
以下、実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
<多分散度の測定>
(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw))
ポリマーの濃度が0.1質量%となるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターでろ過したものを測定試料とした。数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、テトラヒドロフランを移動相とし、示差屈折計を検出器とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により行った。分子量の標準物質としては、単分散ポリスチレンを使用した。
<フェニルセレノ基含有ポリマーの合成>
[実施例1]
フェニルセレニルジンククロライド(phenylselenyl zinc chloride;PhSeZnCl)は、Claudio Santi et al., “Preparation of the First Bench-Stable Phenyl Selenolate: an Interesting “On Water” Nucleophilic Reagent”, European Journal of Organic Chemistry, Volume 2008, Issue 32, 5387-5390を参照して合成した(重合時間24時間)。得られたPhSeZnCl 0.8gをポリ−4−ビニルベンジルクロライド(poly-4-vinylbenzyl chloride、数平均分子量17000、多分散度1.7)1.35gに添加し、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成した。なお、得られたポリマーのフェニルセレノ基の導入率は60%であり、多分散度は1.7であった。数平均分子量は23000であった。
[実施例2]
実施例1において、PhSeZnClの添加量を0.8gから0.4gに変更したこと以外は同様の方法で、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成した。なお、得られたポリマーのフェニルセレノ基の導入率は30%であり、多分散度は1.8であった。数平均分子量は18000であった。
[実施例3]
実施例1において、PhSeZnClの添加量0.8gから1.1gに変更したこと以外は同様の方法で、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成した。なお、得られたポリマーのフェニルセレノ基の導入率は80%であり、多分散度は2.0であった。数平均分子量は25500であった。
[比較例1]
実施例1において、重合反応時間を24時間から48時間に変更したこと以外は同様の方法で、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成した。なお、得られたポリマーのフェニルセレノ基の導入率は60%であり、多分散度は6.4であった。数平均分子量は8300であった。
[比較例2]
実施例2において、PhSeZnClの添加量を0.8gから0.1gに変更したこと以外は同様の方法で、フェニルセレノ基含有ポリマーを合成した。なお、得られたポリマーのフェニルセレノ基の導入率は10%であり、多分散度は1.8であった。数平均分子量は17000であった。
<評価>
(1)透過率
実施例及び比較例で得られたフェニルセレノ基含有ポリマー0.6gをクロロホルム3mLに溶解した。この溶液をガラス基板上に塗布し、60℃で1時間乾燥することで厚さ0.05mmの膜を形成した。得られた膜について、ガラス基板をリファレンスとして、UV−vis(UV−1280、島津製作所製)を用いて分光透過率を測定した。なお、比較のために、フェニルセレノ基を導入する前のポリ−4−ビニルベンジルクロライドの分光透過率も併せて測定した。
実施例1のフェニルセレノ基含有ポリマー及びポリ−4−ビニルベンジルクロライドについて、波長を横軸、透過率を縦軸にプロットした結果を図1に示す。また、実施例1〜3及び比較例1〜2のフェニルセレノ基含有ポリマーについて、波長400nmにおける透過率の結果を表1に示す。
(2)屈折率
実施例1〜3、比較例2、及びフェニルセレノ基を導入する前のポリ−4−ビニルベンジルクロライドを、それぞれ150℃、3MPaの条件で圧縮成形し、縦3cm×横3cm、厚さ0.2mmの成形板を作製した。得られた成形板をプリズムカプラ(Model2010、メトリコン社製)で波長594nmでの屈折率を測定した。測定した値からd線(587.6nm)での屈折率を計算により算出した。
結果を図2に示す。
(3)粘度
ポリマーの溶融状態での粘度は、レオメーター(MCR302、アントンパール社製)を用いて、窒素雰囲気下、250℃、せん断速度0.1(1/s)で測定した。粘度が100000Pa・s未満であるものを○とし、100000Pa・s以上であるものを×として評価した。
結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例1〜3のフェニルセレノ基含有ポリマーは、溶融状態の粘度が低い、射出成形に好適な優れた成形加工性を有し、かつ、高い屈折率を有することが示された。
一方、多分散度が3超である比較例1のフェニルセレノ基含有ポリマーは、透過率が低いだけでなく、溶融状態の粘度も高く、射出成形に適さないものであることが分かった。
また、フェニルセレノ基の導入率が30%未満である比較例2のフェニルセレノ基含有ポリマーは、溶融状態の粘度は低く、かつ、透過率にも優れるものの、屈折率が低いものであることが分かった。これは、ポリマー中に導入されるセレン原子の数が少ないことによるものであると推測された。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(2)で表される繰り返し単位(B)と、を含み、
    繰り返し単位の総数に対する、前記繰り返し単位(A)の数の割合が、30%以上100%未満であり、
    多分散度(Mw/Mn)が、1以上3以下である、フェニルセレノ基含有ポリマー;
    式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表し、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記1価の有機基及び/又は前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよい;
    式中、Xは、それぞれ独立して、炭素数1以上の3価の有機基を表し、ここで、前記3価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよく、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
  2. 前記繰り返し単位(A)は、下記式(3)で表され、
    前記繰り返し単位(B)は、下記式(4)で表される、請求項1に記載のフェニルセレノ基含有ポリマー;
    式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上の1価の有機基を表し、Yは、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基を表し、ここで、前記2価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよい;
    式中、Yは、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基を表し、ここで、前記2価の有機基は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうちの少なくとも1つを含んでもよく、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
  3. 前記繰り返し単位(A)は、下記式(5)で表され、
    前記繰り返し単位(B)は、下記式(6)で表される、請求項1又は2に記載のフェニルセレノ基含有ポリマー;
    式中、Zは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基又は水酸基を表す。
  4. 数平均分子量Mnが、10000以上50000以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェニルセレノ基含有ポリマー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェニルセレノ基含有ポリマーを含む、熱可塑性成形品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェニルセレノ基含有ポリマーを含む、光学部品。
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