JP2020088284A - 圧電積層体 - Google Patents

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政仁 森脇
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Abstract

【課題】金属基板上に設けられた窒化アルミニウムのc軸配向性を向上させて、圧電性を向上させることを目的の一つとする。【解決手段】圧電積層体は、第1面及び第2面を有する金属基板と、金属基板の第1面に設けられた緩衝層と、緩衝層上に設けられ、圧電性を有する窒化アルミニウム層と、を有する。【選択図】図1

Description

本開示の一実施形態は、圧電積層体及びその製造方法に関する。
シリコン基板やガラス基板上に、c軸に一軸配向の窒化アルミニウムを設けることで、圧電素子を形成することが知られている。また、窒化アルミニウムのc軸配向性が高いほど、圧電性が高くなるため、窒化アルミニウムのc軸配向性を高める方法が研究されてきた。例えば、特許文献1及び2には、シリコン基板やガラス基板と、窒化アルミニウムとの間に、タングステン又は白金などの緩衝層を設けることで、c軸配向性を向上させることが開示されている。
特開2004−6535号公報 特開2004−265899号公報
基板上に窒化アルミニウム層を成膜する場合、窒化アルミニウム層のc軸配向性は、基板の表面又は緩衝層の表面の影響を大きく受ける。シリコン基板又はガラス基板に替えて金属基板上に窒化アルミニウムを成膜すると、c軸配向性が低下してしまい、圧電性が低下してしまうという問題があった。また、窒化アルミニウム層の残留応力を制御したい場合には、窒化アルミニウムの熱膨張率約4.7ppm/Kに対して、熱膨張率がその数倍となる金属基板を用いると熱応力が大きくなり、熱応力と真性応力の和である残留応力を零付近とすることが難しかった。
本開示は、金属基板上に設けられた窒化アルミニウムc軸配向性を向上させて、圧電性を向上させることを目的の一つとする。
本開示の一実施形態に係る圧電積層体は、第1面及び第2面を有する金属基板と、金属基板の第1面に設けられた緩衝層と、緩衝層上に設けられ、圧電性を有する窒化アルミニウム層と、を有する。
上記圧電積層体において、金属基板は、30℃以上300℃以下の温度範囲で熱膨張率が4ppm/K以上18ppm/K以下である。
上記圧電積層体において、緩衝層は、Niを有する。
上記圧電積層体において、緩衝層は、Al、Mo、もしくはRu、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である。
上記圧電積層体において、緩衝層は、Ti、W、もしくはPt、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である。
上記圧電積層体において、緩衝層は、Ni、Ti、Al、W、Mo、Ru、もしくはPt、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である。
上記圧電積層体において、金属基板の厚さは、10μm以上1000μm以下である。
上記圧電積層体において、緩衝層の膜厚は、10nm以上200nm以下である。
上記圧電積層体において、金属基板は、Fe、Ni、Ti、Al、Mo、又はWである。
上記圧電積層体において、金属基板は、Fe基合金、Ni基合金、Al基合金、Mo基合金、又はW基合金である。
上記圧電積層体において、Fe基合金は、SUS304、SUS316、又はSUS430である。
上記圧電積層体において、Ni基合金は、42Alloy、Invar、又はKovarである。
本開示の一実施形態に係る圧電積層体は、柔軟性を有する。
本開示の一実施形態に係る圧電素子は、本開示の一実施形態に係る圧電積層体と、窒化アルミニウム層上に設けられた第1電極と、を有し、金属基板は第2電極として機能する。
本開示によれば、金属基板上に設けられた窒化アルミニウムのc軸配向性を向上させて、圧電性を向上させることができる。
本開示の一実施形態に係る圧電積層体の断面図である。 (A)本開示の一実施形態に係る圧電積層体の製造方法を示す断面図である。(B)本開示の一実施形態に係る圧電積層体の製造方法を示す断面図である。(C)本開示の一実施形態に係る圧電積層体の製造方法を示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る圧電積層体を用いた圧電素子の断面図である。 本開示の一実施形態に係る圧電積層体を用いた圧電素子の断面図である。 図5(A)は、50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNi/50μm厚を介して、3μm厚の窒化アルミニウム層が設けられた評価試料の形状である。図5(B)は、図5(A)に示す圧電梁を、梁の有効長が6.5mmとなるように配線付きのガラス治具へ固定した図である。 図6(A)は、50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNiを介して設けられた3μm厚の窒化アルミニウム層の全体写真である。図6(B)は、電界放出型電子顕微鏡により撮影した窒化アルミニウム層の表面性状である。 50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNiを介して設けられた3μm厚の窒化アルミニウム層のX線結晶解析における2θ−θ図である。 図7に示す窒化アルミニウム層のX線ロッキングカーブ測定の結果を示す図である。 圧電梁による印加電圧周波数−圧電梁先端変位特性を示す図である。 圧電梁による印加電圧ピークピーク値−圧電梁先端変位特性を示す図である。
以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にA、B等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
(第1実施形態)
本実施形態では、本開示の一実施形態に係る圧電積層体100の構造及び作製方法について、図1乃至図3を参照して説明する。
[圧電積層体の構造]
図1は、本開示の一実施形態に係る圧電積層体100の構造を説明する断面図である。図1に示すように、圧電積層体100は、第1面101A及び第2面101Bを有する金属基板101と、金属基板101の第1面101Aに設けられた緩衝層102と、緩衝層102上に設けられ、厚さ方向に圧電性を有する窒化アルミニウム層103と、を有する。
基板上に窒化アルミニウム層を成膜する場合、窒化アルミニウム層のc軸配向性は、基板の表面又は緩衝層の表面の影響を大きく受ける。
一般に、成膜にあたって基板は400℃程度に加熱される。そのため高温でも基板の反りや変形が生じにくい、シリコン基板又はガラス基板が用いられてきた。シリコン基板又はガラス基板の熱膨張率と窒化アルミニウムの熱膨張率との差は小さいため、これらの基板に高温が加わっても、基板が変形するなどの問題は起こりにくい。そのため、圧電積層体を形成するために金属基板は従来使われてこなかった。
また、窒化アルミニウム層のc軸配向性を向上させるため、シリコン基板又はガラス基板と、窒化アルミニウム層との間に緩衝層として、様々な材料を用いることが検討されてきた。しかしながら、シリコン基板又はガラス基板上にニッケル層を成膜して、窒化アルミニウム層を成膜しても、窒化アルミニウム層のc軸配向性は低下してしまうという問題が生じていた。
近年、圧電積層体として、圧電式の燃焼圧センサや振動発電素子が置かれるような、数百度以上の高温や定常的な衝撃が加わる過酷環境で機能する圧電材料が望まれている。このような過酷環境は、バルク焼結体のチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスや、チタン酸ジルコン酸鉛薄膜とシリコン基板による圧電MEMSは耐えることができない。このような過酷環境に耐える圧電部材として、実用上キュリー点が存在しない窒化アルミニウムによる圧電薄膜と、脆性破壊しない金属基板を組み合わせた圧電積層体が考えられる。このとき、金属基板を100μm程度以下に薄化すれば、湾曲した対象である人体や構造物への設置が必要なフレキシブル・エレクトロニクスの分野で望まれている圧電積層体の柔軟化も実現できる。しかしながら、シリコン基板又はガラス基板に替えて金属基板を用いる場合、金属基板上に窒化アルミニウム層を成膜すると、c軸配向性が低下し、圧電性が低下してしまうという問題が起こる。
以上の理由から、金属基板を用いた場合であっても、窒化アルミニウム層の圧電性を向上させることが望まれていた。
本発明者らは、鋭意検討の結果、金属基板上に緩衝層を形成することで、窒化アルミニウム層のc軸配向性が向上するという知見を得た。その結果、圧電積層体の圧電性が向上するという知見を得た。
そこで、本開示の一実施形態に係る圧電積層体100では、金属基板101と窒化アルミニウム層103との間に緩衝機能を有する緩衝層102を設ける。本開示の一実施形態では緩衝層102としてニッケルを選定した。また、金属基板101の熱膨張率と、窒化アルミニウム層の熱膨張率との差が小さくなるような、金属基板101を用いる。以下、本開示の一実施形態に係る圧電積層体100の構成について具体的に説明する。
金属基板101として、例えば、Fe、Ni、Ti、Al、Mo、Wを用いる。または、金属基板101として、Fe基合金、Ni基合金、Al基合金、Mo基合金、又はW基合金を用いる。また、Fe基合金は、SUS304、SUS316、又はSUS430などを用いる。また、Ni基合金として、42Alloy、Invar、又はKovarを用いる。
下記に主要な合金基板として、SUS304、SUS430、42Alloy、Kovarの組成と熱膨張率を例示する。
SUS304は、オーステナイト系のステンレスであり、クロムとニッケルの合金である。SUS304の主な成分は、Fe bal、Ni 10%、Cr 18%、Mn 2%、Si 1%以下、C 0.08%以下である。また、SUS304の30℃〜300℃における熱膨張率は、約18ppm/Kである。
SUS430は、フェライト系のステンレスであり、クロムの合金である。SUS430の主な成分は、Fe bal、Al 0.2%、Cr 12.5%、Mn 1%以下、Si 1%以下、C 0.08%以下である。また、SUS430の30℃〜300℃における熱膨張率は、約13ppm/Kである。
42Alloyは、鉄とニッケルの合金である。42Alloyの主な成分は、例えば、Fe bal、Ni 42%、Mn 0.53%、Co 0.37%、Si 0.06%である。また、42Alloyの30℃〜300℃における熱膨張率は、約4ppm/Kである。42Alloyのような鉄−ニッケル系の合金は、熱によって格子が広がる効果と、合金中の磁性の影響によって格子を狭める効果が相殺する効果によって熱膨張率が低くなるために好ましい。
Kovarは、鉄、ニッケル、及びコバルトの合金である。Kovarの主な成分は、例えば、Fe bal、Ni 29%、Mn 0.3%、Co 17%、Si 0.02%である。また、Kovarの30℃〜300℃における熱膨張率は、5ppm/Kである。
なお、上記で説明した金属基板101の組成比は一例であり、上記の数値に限定されるものではない。
また、金属基板101として、30℃以上300℃以下における熱膨張率が4ppm/K以上18ppm/K以下であることが好ましい。換言すると、金属基板101の熱膨張率と、窒化アルミニウム層103の熱膨張率との差の絶対値が、30℃以上300℃以下において14ppm/K以下であることが好ましい。金属基板101の熱膨張率と、窒化アルミニウム層103の熱膨張率との差の絶対値が、30℃以上300℃以下において14ppm/Kを超える場合には、窒化アルミニウムの成膜条件の調整による残留応力制御のみで無応力状態にすることができず、圧電積層体100が変形する可能性がある。なお、金属基板101として用いることができる材料は、上記に挙げた材料に限定されず、金属基板101の熱膨張率と、窒化アルミニウム層103の熱膨張率との差の絶対値が、30℃以上300℃以下において14ppm/K以下であることを満たすものであれば、他の材料であってもよい。
金属基板101の厚さは、10μm以上1000μm以下であるとよい。金属基板101の形成方法については後に詳述する。金属基板101の厚さを100μm程度以下にすることで、金属基板101に柔軟性をもたせることができるため、折り曲げ可能な柔軟性を有する圧電積層体100を形成できる。圧電積層体100が、柔軟性を有することで、圧電積層体100を、曲面を有する構造体に貼付することができる。
緩衝層102は、金属基板101と窒化アルミニウム層103との間に設けられる。緩衝層としては、組成や表面性状が均一であれば合金や金属窒化物であってもよいが、制御のしやすさから純金属が望ましい。緩衝層102の選定方法としては格子整合を考慮するのが望ましい。たとえば、窒化アルミニウムのhcp(001)面と、ニッケルのfcc(111)面とが、格子整合するため、緩衝層材料としてニッケルが好ましい。緩衝層102は、スパッタリング法により、10nm以上200nm以下の膜厚で設けられる。なお、本実施形態では、緩衝層102として、ニッケルを用いる場合について説明するが、ニッケルに限定されず、Ti、Al、W、Mo、Ru、もしくはPt、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物を用いてもよい。
窒化アルミニウム層103は、反応性スパッタリング法により、緩衝層102上に設けられる。膜厚は応用素子に必要なだけ厚くできるが、一般に数μm以上になると亀裂が生じやすくなる。本開示の一実施形態においては、窒化アルミニウム層103は、膜厚を1μmから10μmの範囲としており、高いc軸配向を有している。
本開示の一実施形態では、金属基板101と、窒化アルミニウム層103との間に、たとえばニッケルを用いた緩衝層102を設けることで、金属基板101と窒化アルミニウム層103との格子の不整合を緩和することができる。また、金属基板101の熱膨張率を、30℃以上300℃以下において4ppm/K以上18ppm/K以下とすることにより、窒化アルミニウム層103の熱膨張率との差を小さくできる。これにより、窒化アルミニウム層103の成膜時に、金属基板101に変形が生じることを抑制できる。
[圧電積層体の製造方法]
本開示の一実施形態に係る圧電積層体100の製造方法について、図2(A)乃至図2(C)を参照して説明する。
図2(A)は、金属基板101の断面図である。金属基板101として、SUS304、SUS430、42Alloy、及びKovar等を用いる。
金属基板101は、厚さが10μm以上500μm以下で、清浄かつ平坦化された表面を有する。
図2(B)は、金属基板101上に緩衝層102を成膜する工程を説明する図である。緩衝層102は、蒸着、めっき、又はスパッタリング法などを用いて成膜でき、成膜方法は特に限定されない。本実施形態では、緩衝層102として、例えば、RFマグネトロンスパッタ装置によりニッケル層を成膜する。緩衝層102の膜厚は、10nm以上200nm以下で成膜する。また、後に形成される窒化アルミニウム層103のc軸配向性を向上させるためには、緩衝層102の表面の平坦性が高いことが好ましい。
図2(C)は、緩衝層102上に、窒化アルミニウム層103を成膜する工程を説明する図である。窒化アルミニウム層103は、ハイドライド気相成長法(HVPE)、有機金属気相成長法(MOCVD)、パルスドレーザデポジション(PLD)、DCスパッタ、パルスドDCスパッタ、RFスパッタなどを用いて、膜厚1μmから10μmにて成膜される。本実施形態では、窒化アルミニウム層103を、反応性マグネトロンスパッタを用いて成膜する場合について説明する。反応性スパッタは、成膜温度を低温化することができ、大面積に高品質な窒化アルミニウム層103を成膜できるため好ましい。
窒化アルミニウム層103に加わる残留応力は、熱応力及び真性応力よりなる。窒化アルミニウム層103に加わる残留応力は、成膜条件を制御することで、熱応力を真性応力により相殺できる。くわえて、本実施形態では、金属基板101の熱膨張率と、窒化アルミニウム層103の熱膨張率との差が小さくなる金属基板101を用いている。そのため、金属基板101が熱により変形することを抑制できるため、窒化アルミニウム層103の応力制御が容易になる。
以上の工程により、金属基板101と、窒化アルミニウム層103との間に緩衝層102が設けられた圧電積層体100を形成することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、本開示の一実施形態に係る圧電積層体100を用いた圧電素子110の構成について、図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、圧電素子110は、圧電積層体100と、金属基板101の第2面101Bに設けられた電極104と、窒化アルミニウム層103の第1面101Aに設けられた電極105とを有する。本実施形態に示す圧電素子は、金属基板101も電極として機能する。よって、圧電素子110は、圧電積層体100と、窒化アルミニウム層103の第1面101Aの設けられた電極105を一方の電極とし、金属基板101を他方の電極として機能させてもよい。
電極104及び電極105は、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、チタン白金、クロム金等を用いて形成される。
図4に示すように、圧電素子110Aは、圧電積層体100Aと、電極104と、電極105と、を有する。圧電素子110Aは、金属基板101の第1面101Aに設けられた緩衝層102と、窒化アルミニウム層103と、電極105と、金属基板101の第2面101Bに設けられた緩衝層102Aと、窒化アルミニウム層103Aと、電極104と、を有する。
圧電積層体100Aに加わる応力を考慮すると、緩衝層102及び緩衝層102Aの膜厚は概ね同じであることが好ましく、窒化アルミニウム層103及び窒化アルミニウム層103Aの膜厚は概ね同じであることが好ましい。
本開示に係る圧電素子110は、金属基板を薄化することで柔軟性を付与できる。そのため、圧電素子110を、曲面を有する構造体に貼付することができ、ウェアラブルデバイスのセンサ部材とすることができる。また、本開示の一実施形態に係る圧電素子110は振動発電素子のための圧電部材になり、電力マネジメント回路と組み合わせることで電源素子として使用することができる。このような電源素子は環境発電素子とも呼ばれ、配線給電や電池駆動が困難な場所に設置される、タイヤ空気圧モニタリングシステムや、鉄道や高速道路などのインフラの寿命診断システム用のセンサネットワークの端末素子の電源として利用することができる。また、圧電素子110は、圧電式のセンサ・アクチュエータにも応用できる。具体的には、マイクロフォン、スピーカー、歪センサ、指紋センサ、アコースティック・エミッションセンサー、光音響センサ、振動センサなどである。
本実施例では、金属基板上に窒化アルミニウム層を形成した場合と、金属基板上にニッケル層を介して窒化アルミニウム層を形成した場合とで、ロッキングカーブの半値幅を比較した結果と、膜の圧電性の確認のために行った圧電梁による評価について説明する。
[実施例1]
実施例1では、金属基板101として厚さ500μmで、表面が清浄かつ平坦である42Alloy基板を用いた。
次に、RFマグネトロンスパッタ装置により、金属基板101上にニッケルを用いて緩衝層102を成膜した。緩衝層102の成膜条件は、ターゲットとしてニッケルを用い、室温にて、膜厚100nm成膜した。
次に、反応性マグネトロンスパッタ装置により、緩衝層102上に窒化アルミニウム層103を成膜した。厚みは、1μm成膜とした。
以上の工程により、金属基板101上に緩衝層102を介して窒化アルミニウム層103が設けられた実施例1を作製した。
[比較例1]
比較例1は、実施例1において、金属基板101上に緩衝層102を成膜しないこと以外の条件は同じ条件で、金属基板101上に、窒化アルミニウム層103を成膜した。
[実施例2]
実施例2は、実施例1において、金属基板101として42Alloyに代えて、SUS304を用いたこと以外の条件は同じ条件で、金属基板101上に、ニッケルを用いて緩衝層102を形成し、緩衝層102上に窒化アルミニウム層103を形成した。
[比較例2]
比較例2は、実施例2において、金属基板101上に緩衝層102を成膜しないこと以外の条件は同じ条件で、金属基板101上に、窒化アルミニウム層103を成膜した。
次に、実施例1、2及び比較例1、2に対して、窒化アルミニウム層103をXRD装置(BRUKER D8 ADVANCE)により測定を行った。表1に、XRDの測定結果を示す。
表1に示すように、金属基板101上に窒化アルミニウム層103を形成した比較例1、2と比較して、金属基板101上にニッケルを用いた緩衝層102を介して窒化アルミニウム層103を形成した実施例1、2の方が、ロッキングカーブの半値幅が小さくなるという結果が得られた。
[実施例3]
本開示に係る実施例を、薄い金属箔にも適用できるか検証するために、金属基板101を厚さ50μmの42Alloy箔として、窒化アルミニウム層を形成し、結晶配向性及び圧電梁による圧電特性評価を行った。実施例3においては、実施例1を基に、金属基板101上が厚さ50μmの42Alloy箔であること以外の条件は同じ条件で、金属基板101上に、緩衝層102として100nm厚のNiを介して窒化アルミニウム層103を3μm厚形成した。
図5(A)に、50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNiを介して、3μm厚の窒化アルミニウム層が設けられた評価試料の形状を示す。図5(A)に、金属基板211として42Alloy箔、緩衝層212としてNi層、窒化アルミニウム層213、層214を示す。層214は、15nm厚のチタン上に、100nm厚のニッケルを介して、200nm厚の金が設けられている。評価試料は、長さL10mm、幅W1mmの圧電梁状にダイシングにて加工されたものである。また、図5(A)において、D1は、Lingitudinal directionであり、D2は、Width directionである。また、Width directionは42Alloy箔作製時の圧延方向(RD: Rolling direction)に対応し、Longitudinal directionは、42Alloy箔の幅方向(TD: Transverse direction)に対応する。図5(B)に、図5(A)に示す圧電梁を、梁の有効長が6.5mmとなるように配線付きのガラス治具へ固定した図を示す。図5(B)において、L1は、梁の有効長を示している。また、ガラス冶具221には、フレキシブル・フラット・ワイヤ222が設けられている。ここで、梁の有効長とは、ガラス冶具221の端部から、レーザが照射される位置までをいう。
図6(A)に、50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNiを介して設けられた3μm厚の窒化アルミニウム層213の全体写真を示す。図6(B)に、電界放出型電子顕微鏡により撮影した窒化アルミニウム層の表面性状を示す。図6(B)に示すように、粒径が50nm〜200nm径程度の結晶が密に並んでいる様が観察された。
図7に、50μm厚の42Alloy箔上に、100nm厚のNiを介して設けられた3μm厚の窒化アルミニウム層のX線結晶解析における2θ−θ図を示す。図7に示すように、本実施例に係る窒化アルミニウムは、c軸(AlN(002))の高配向を示す。また、図7において、Electrode metalは圧電特性測定用に形成した上部電極のピークである。図8に、図7に示す窒化アルミニウム層のX線ロッキングカーブ測定の結果を示す。圧電梁の機能に関わる、梁の長手方向の測定による半値幅は5.00deg.であった。
図5(B)に示す圧電梁固定治具を用いて、上部電極と下部電極との間に正弦波電圧を印加することによって圧電振動させた。圧電梁の先端変位を、レーザードップラー振動計およびデジタルロックイン増幅器を用いて測定した。
図9に、圧電梁による印加電圧周波数−圧電梁先端変位特性を示す。このとき印加電圧のピークピーク値は、5、10Vppとした。図10に圧電梁による印加電圧ピークピーク値−圧電梁先端変位特性を示す。このとき印加電圧は400Hzとした。この圧電梁評価から、実施例2に係る窒化アルミニウム層が圧電性を有することが確認できた。また、本結果から厚さ500μmの基板においても、実施例1、2での窒化アルミニウム層が圧電性を有することは容易に類推できる。
以上の結果により、金属基板101上に窒化アルミニウム層103を形成する場合、これらの間にニッケルを用いた緩衝層102を設けることで、窒化アルミニウム層103のc軸配向性が向上することが示された。また、本実施例に係る窒化アルミニウム層は、圧電性を有すると確認された。
101:金属基板、101A:第1面、101B:第2面、102:緩衝層、102A:緩衝層、103:窒化アルミニウム層、103A:窒化アルミニウム層、104:電極、105:電極、110:圧電素子、110A:圧電素子、211:金属基板、212:緩衝層、213:窒化アルミニウム層、214:層、221:ガラス冶具、222:フレキシブル・フラット・ワイヤ

Claims (14)

  1. 第1面及び第2面を有する金属基板と、
    前記金属基板の前記第1面に設けられた緩衝層と、
    前記緩衝層上に設けられ、圧電性を有する窒化アルミニウム層と、を有する、圧電積層体。
  2. 前記金属基板は、30℃以上300℃以下の温度範囲で熱膨張率が4ppm/K以上18ppm/K以下である、請求項1に記載の圧電積層体。
  3. 前記緩衝層は、Niを有する、請求項1又は2に記載の圧電積層体。
  4. 前記緩衝層は、Al、Mo、もしくはRu、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である、請求項1又は2に記載の圧電積層体。
  5. 前記緩衝層は、Ti、W、もしくはPt、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である、請求項1又は2に記載の圧電積層体。
  6. 前記緩衝層は、Ni、Ti、Al、W、Mo、Ru、もしくはPt、又はこれらの合金もしくはこれらの窒化物である、請求項1又は2に記載の圧電積層体。
  7. 前記金属基板の厚さは、10μm以上1000μm以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の圧電積層体。
  8. 前記緩衝層の膜厚は、10nm以上200nm以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の圧電積層体。
  9. 前記金属基板は、Fe、Ni、Ti、Al、Mo、又はWである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の圧電積層体。
  10. 前記金属基板は、Fe基合金、Ni基合金、Al基合金、Mo基合金、又はW基合金である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の圧電積層体。
  11. 前記Fe基合金は、SUS304、SUS316、又はSUS430である、請求項10に記載の圧電積層体。
  12. 前記Ni基合金は、42Alloy、Invar、又はKovarである、請求項11に記載の圧電積層体。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の圧電積層体は柔軟性を有する。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の圧電積層体と、
    前記窒化アルミニウム層上に設けられた第1電極と、を有し、
    前記金属基板は第2電極として機能する、圧電素子。
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