JP2006253477A - 圧電素子およびその製造方法、合金膜、インクジェット式記録ヘッド、インクジェットプリンタ、並びに、圧電ポンプ - Google Patents

圧電素子およびその製造方法、合金膜、インクジェット式記録ヘッド、インクジェットプリンタ、並びに、圧電ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な信頼性を有する圧電素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る圧電素子10は,
基板1と、
基板1の上方に形成された第1電極4と、
第1電極4の上方に形成された圧電体層5と、
圧電体層5の上方に形成された第2電極6と、を含み、
第1電極4は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜40を有し、
合金膜40は、さらに,IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電素子およびその製造方法、合金膜、インクジェット式記録ヘッド、インクジェットプリンタ、並びに、圧電ポンプに関する。
高画質、高速印刷を可能にするプリンタとして、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタ用のインクジェット式記録ヘッドにおける圧電素子の特性向上には、圧電体層の構成も重要だが、例えば、電極の構成も重要となってくる。電極の構成としては、従来、例えばPt膜、Ir膜などが用いられている。
特開2001−223404号公報
本発明の目的は、良好な信頼性を有する圧電素子およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、良好な信頼性を有する合金膜を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、上記圧電素子を用いたインクジェット式記録ヘッド、インクジェットプリンタ、および圧電ポンプを提供することにある。
本発明に係る圧電素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された第1電極と、
前記第1電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第2電極と、を含み、
前記第1電極は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜を有し、
前記合金膜は、さらに、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む。
この圧電素子によれば、良好な信頼性を有することができる。この理由については、後述する。
なお、本発明において、特定のもの(以下、「A」という)の上方に形成された他の特定のもの(以下、「B」という)とは、A上に直接形成されたBと、A上に、A上の他のものを介して形成されたBと、を含む。また、本発明において、Aの上方にBを形成するとは、A上に直接Bを形成する場合と、A上に、A上の他のものを介してBを形成する場合と、を含む。
本発明に係る圧電素子において、
前記添加金属は、AlおよびNiのうちの少なくとも一方であることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記添加金属の格子定数は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりも大きいことができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記第1電極は、前記合金膜の上方に形成されたバッファ層を有し、
前記バッファ層は、層状ペロブスカイト化合物からなり、
前記層状ペロブスカイト化合物は、LaNiO、LaNi、LaNi10、LaCuO、およびYBaCu、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含み、
前記層状ペロブスカイト化合物は、(100)に優先配向していることができる。
なお、本発明において、「優先配向」とは、100%の結晶が所望の配向(例えば(100)配向)になっている場合と、所望の配向にほとんどの結晶(例えば90%以上)が配向し、残りの結晶が他の配向(例えば(111)配向)となっている場合と、を含む。
本発明に係る圧電素子において、
前記第1電極は、前記バッファ層の上方に形成された導電性酸化層を有し、
前記導電性酸化層は、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物からなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記第1電極は、前記合金層の上方に形成された導電性酸化層を有し、
前記導電性酸化層は、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物からなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記導電性酸化物は、CaRuO、SrRuO、BaRuO、SrVO、(La,Sr)MnO、(La,Sr)CrO、(La,Sr)CoO、およびLaNiO(2≦y≦3)、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含み、
前記導電性酸化物は、(100)に優先配向していることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記添加金属は、前記合金膜上に形成される層に含まれる金属と同じであることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電体層を構成する圧電体は、菱面体晶であり、(100)に優先配向していることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記合金膜は、(111)に優先配向しており、
前記圧電体層を構成する圧電体は、正方晶であり、(111)に優先配向していることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電体層を構成する圧電体は、Pb(Zr,Ti)O、Pb(Zrx-zNbTi)O(x+y=1、0<z≦0.3)、(Pb,La)ZrTiO、(Pb(Mg,Nb)TiO、Pb(Mg,Nb)(Zr,Ti)O、Pb(Zn,Nb)TiO、Pb(Sc,Nb)TiO、Pb(Ni,Nb)TiO、Pb(In,Mg,Nb)TiO、および、BaTiOのうちの少なくとも1種を含むことができる。
本発明に係るインクジェット式記録ヘッドは、上述の圧電素子を有する。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述のインクジェット式記録ヘッドを有する。
本発明に係る圧電ポンプは、上述の圧電素子を有する。
本発明に係る合金膜は、
IrおよびPtのうちの少なくとも一方と、
IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属と、を含む。
本発明に係る圧電素子の製造方法は、
基板の上方に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極の上方に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上方に第2電極を形成する工程と、を含み、
前記第1電極を形成する工程は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜を形成する工程を有し、
前記合金膜は、さらに、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記合金膜は、該合金膜の各構成元素からなる各ターゲットをスパッタすることにより形成されることができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記合金膜は、該合金膜の各構成元素からなる単一ターゲットをスパッタすることにより形成されることができる。
以下、本発明に好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.第1の実施形態
1−1. まず、第1の実施形態に係る圧電素子10について説明する。
図1は、圧電素子10を示す断面図である。圧電素子10は、基板1と、基板1の上に形成されたストッパ層2と、ストッパ層2の上に形成された硬質層3と、硬質層3の上に形成された第1電極4と、第1電極4の上に形成された圧電体層5と、圧電体層5の上に形成された第2電極6と、を含む。
基板1としては、例えば(110)配向のシリコン基板などを用いることができる。ストッパ層2としては、例えば酸化シリコン層などを用いることができる。ストッパ層2は、例えば、インクジェット式記録ヘッド50(図6参照)のキャビティ521を形成するために基板1を裏面側からエッチングする工程において、エッチングストッパとして機能することができる。また、ストッパ層2および硬質層3は、インクジェット式記録ヘッド50において弾性層55として機能する。硬質層3は、例えばイットリア安定化ジルコニア、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどを用いることができる。
第1電極4は、合金膜40と、合金膜40の上に形成されたバッファ層41と、バッファ層41の上に形成された導電性酸化層42と、を含む。第1電極4は、圧電体層5に電圧を印加するための一方の電極である。第1電極4は、例えば、圧電体層5と同じ平面形状に形成されることができる。
合金膜40は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含み、さらに、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む。即ち、少なくとも、IrおよびPtのうちの少なくとも一方と、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属とは、合金化されている。添加金属としては、Al、Ni、AuおよびAgのうちの少なくとも一つを用いることができる。各元素のバルクのヤング率は、Ir;529GPa、Pt;152GPa、Al;68GPa、Ni;207GPa、Au;78GPa、Ag;83GPaである。
ターゲットを構成する合金の具体例としては、例えば、添加金属としてAlおよびNiのうちの少なくとも一方を用いた場合、Ir−Al、Ir−Ni、Pt−Al、Pt−Ni、Ir−Al−Ni、Pt−Al−Ni、Ir−Pt−Al、Ir−Pt−Ni、Ir−Pt−Al−Niが挙げられる。ターゲットを構成する合金として、例えば、Ir−Pt−Al−Niを用いる場合には、その組成を適宜選択することにより、所望のヤング率、応力を有する合金膜40を得ることができる。例えば、組成は、
x+y+z+w=1.0
x<1.0
0≦y≦0.5
0≦z≦0.5
0≦w≦0.5
となることが好ましい。
添加金属としては、合金膜40上に形成される層(本実施形態では、バッファ層41)に含まれる金属と同じものを用いることが好ましい。例えば、バッファ層41がLaNiO、LaNi、LaNi10などからなる場合、添加金属としてはNiを用いることが好ましい。これにより、合金膜40とバッファ層41との間でNiの相互拡散が起こっても問題が無くなり、結晶性の良好な合金膜40およびバッファ層41を得ることができる。
本実施形態において、この導電材の結晶配向は特に限定されず、例えば、(111)配向していることができる。合金膜40の膜厚は、例えば50nm〜150nm程度とすることができる。
なお、図示はしないが、合金膜40の下、即ち、硬質層3と合金膜40との間に、例えば、Ir層、Pt層などを積層させることもできる。また、図示はしないが、合金膜40の上、即ち、合金膜40とバッファ層41との間に、例えば、Ir層、Pt層などを積層させることもできる。
バッファ層41は、(100)に優先配向している層状ペロブスカイト化合物からなることができる。層状ペロブスカイト化合物は、例えば、LaNiO、LaNi、LaNi10、LaCuO、およびYBaCu、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含むことができる。バッファ層41の膜厚は、例えば10nm〜50nm程度とすることができる。
導電性酸化層42は、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物からなる。導電性酸化物は、(100)に優先配向している。なお、導電性酸化物の面内方向の結晶配向は、ランダムである。導電性酸化物は、例えば、CaRuO、SrRuO、BaRuO、SrVO、(La,Sr)MnO、(La,Sr)CrO、(La,Sr)CoO、およびLaNiO(2≦y≦3)、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含むことができる。特に、LaNiOは、(100)に自己配向しやすいため好ましい。導電性酸化層42の膜厚は、例えば0nm〜140nm程度とすることができる。
圧電体層5は、ペロブスカイト構造を有する圧電体からなる。圧電体層5を構成する圧電体は、菱面体晶であり、かつ(100)に優先配向していることが望ましい。このような圧電体からなる圧電体層5は、高い圧電定数を有する。この圧電体は、例えば、ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸ジルコニウム酸チタン酸鉛Pb(Zrx-zNbTi)O(x+y=1、0<z≦0.3)、ジルコニウム酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)ZrTiO)、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(Pb(Mg,Nb)TiO)、マグネシウムニオブ酸ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Mg,Nb)(Zr,Ti)O)、亜鉛ニオブ酸チタン酸鉛(Pb(Zn,Nb)TiO)、スカンジウムニオブ酸チタン酸鉛(Pb(Sc,Nb)TiO)、ニッケルニオブ酸チタン酸鉛(Pb(Ni,Nb)TiO)、インジウムマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(Pb(In,Mg,Nb)TiO)、および、チタン酸バリウム(BaTiO)のうちの少なくとも一種を含むことができる。圧電体層5の膜厚は、例えば400nm〜5μm程度とすることができる。
第2電極6は、他の導電性酸化層(以下、「第2導電性酸化層」と言う。)46と、第2導電性酸化層46の上に形成された他の合金膜(以下、「第2合金膜」と言う。)47と、を含む。第2電極6は、圧電体層5に電圧を印加するための他方の電極である。第2電極6が、第2導電性酸化層46と、第2合金膜47と、を含むことにより、第2電極6と第1電極4とを、圧電体層5に関してほぼ対称にすることができる。即ち、圧電素子10の対称性を良くすることができる。第2電極6は、例えば、圧電体層5と同じ平面形状に形成されることができる。なお、第2電極6は、第2導電性酸化層46または第2合金膜47のいずれか一方からなることもできる。また、図示はしないが、第2導電性酸化層46および第2合金膜47を形成せずに、第2電極6として、例えば、Pt、Ir、Ru、Ag、Cu、Al、Ni、および、これらの金属の酸化物のうちの少なくとも1種を含む導電層を用いることもできる。
第2導電性酸化層46は、例えば、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物(以下、「第2導電性酸化物」と言う。)からなることができる。第2導電性酸化物としては、例えば、上述した導電性酸化層42を構成する導電性酸化物を用いることができる。第2導電性酸化層46の膜厚は、例えば0nm〜200nm程度とすることができる。
第2合金膜47としては、例えば、上述した合金膜40を構成する合金を用いることができる。第2合金膜47の膜厚は、例えば0nm〜200nm程度とすることができる。
1−2. 次に、本実施形態に係る圧電素子10の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
まず、基板1として、(110)配向のシリコン基板を用意する。
次に、基板1の上にストッパ層2を形成する。ストッパ層2は、例えば、熱酸化法、CVD法などにより形成することができる。
次に、ストッパ層2の上に硬質層3を形成する。硬質層3は、例えばCVD法、スパッタ法、蒸着法などにより形成することができる。
次に、硬質層3の上に合金膜40を形成する。合金膜40は、例えば、合金膜40の各構成元素からなる各ターゲットを同時にスパッタ(多元同時スパッタ)することにより形成されることができる。合金膜40の構成元素には、上述したように、IrおよびPtのうちの少なくとも一方と、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属と、が含まれる。これらの構成元素に対して、それぞれターゲットを用意し、多元同時スパッタを行う。これにより、合金膜40を良好に作製することができる。具体的には、合金膜40の構成元素に添加金属が含まれない場合(即ち、IrのターゲットとPrのターゲットのみを用いる場合)、圧電体層5を結晶化させるために、例えば600℃以上の熱処理を行うと、Ptが下方に、Irが上方に拡散し剥離が生じる。しかしながら、合金膜40に添加金属を入れると、このような剥離が起こらない。なお、各ターゲットのスパッタ条件を制御することにより、所望の組成、ヤング率、および応力を有する合金膜40を得ることができる。
また、合金膜40は、例えば、合金膜40の各構成元素からなる単一ターゲットを予め用意し、スパッタすることにより形成してもよい。このとき単一ターゲットの作製は、アーク溶解を用いることができる。添加金属としては、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりも融点が低いもの(例えば、Al、Ni、Au、Ag等)をさらに加えることができる。これにより、単一ターゲットは、不活性ガス雰囲気中または真空中で1500℃以下の温度で作製できる。なお、例えば、Ir−Pt(二元系の合金)の合金化の温度は1700℃以上である。また、合金膜40の形成に単一ターゲットを用いることで、合金膜40を形成しやすくなり、再現性が向上する。なお、単一ターゲットの作製は、アーク溶解に限らず、例えば高周波プラズマ溶融などの他の方法を用いてもよい。また、単一ターゲットは、溶融ターゲットではなく、焼結ターゲットであってもよい。なお、単一ターゲットの作製条件を制御することにより、所望の組成、ヤング率、および応力を有する合金膜40を得ることができる。
次に、合金膜40の上にバッファ層41を形成する。バッファ層41は、例えばスパッタ法、ゾルゲル法、CVD法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法などにより形成することができる。バッファ層41の形成を行う際の温度は、例えば、250℃〜500℃程度とすることができる。
次に、バッファ層41の上に導電性酸化層42を形成する。導電性酸化層42は、例えばスパッタ法、ゾルゲル法などにより形成することができる。以上の工程により、第1電極4が形成される。
次に、導電性酸化層42の上に圧電体層5を形成する。圧電体層5は、例えばスパッタ法、ゾルゲル法などにより形成することができる。
次に、圧電体層5の上に第2導電性酸化層46を形成する。第2導電性酸化層46は、例えばスパッタ法、ゾルゲル法などにより形成することができる。
次に、第2導電性酸化層46の上に第2合金膜47を形成する。第2合金膜47は、上述した合金膜40の形成方法などを用いて形成することができる。以上の工程により、第2電極6が形成される。
以上の工程によって、本実施形態に係る圧電素子10を製造することができる。
1−3. 本実施形態に係る圧電素子10および合金膜40は、良好な信頼性を有することができる。この理由は、以下の通りである。
本実施形態に係る圧電素子10の第1電極4は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜40を有する。例えば、第1電極4がPt膜のみからなる場合、Ptは酸素を透過させ易いため、圧電体層5からの酸素抜けが起こり、圧電特性が低下する場合がある。また、例えば、第1電極4がIr膜のみからなる場合、IrはPtなどに比べ、ヤング率が高く、延性が低いため、圧電体層5を振動させると第1電極4にクラックが入り、信頼性が低下する場合がある。また、例えば、第1電極4がPt膜とIr膜との積層膜からなる場合、Pt膜とIr膜との密着性が悪いため、Pt膜とIr膜との間で剥離が起こる場合がある。
これらに対し、本実施形態では、合金膜40の構成元素は合金化されているため、上述したような問題が起こることはない。これにより、本実施形態に係る圧電素子10および合金膜40は、良好な信頼性を有することができる。
また、本実施形態に係る圧電素子10は、設計の自由度を向上させることができる。この理由は、以下の通りである。
図5は、圧電素子10の第1電極4のヤング率に対する膜厚の関係をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。図5中、A線は、圧電素子10の変位量(disp)を400nmとした場合を示しており、B線は、圧電素子10の固有周期(tc)を6.0μsecとした場合を示している。デバイスを設計するうえで、固有周期を短くするためには膜厚を厚くし、変位量を増やすためには膜厚を薄くする。従って、変位量を例えば400nm以上、固有周期を例えば6.0μsec以下としてデバイスを設計する場合には、第1電極4の膜厚は、図5中、A線とB線との間(例えば、図5に示すMの範囲)に設定される。図5に示すように、第1電極4のヤング率が低くなるにつれて、A線とB線との間隔は広くなっている。即ち、第1電極4のヤング率は低い方が、第1電極4の膜厚の設計マージンを広くすることができる。本実施形態に係る圧電素子10の第1電極4は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む合金膜40を有する。これにより、例えば、合金膜40がIrとPrのみからなる場合に比べ、合金膜40、延いては第1電極4のヤング率を低くすることができる。従って、本実施形態では、第1電極4の膜厚の設計マージンを広くすることができる。即ち、本実施形態に係る圧電素子10の設計の自由度は向上する。
また、本実施形態に係る圧電素子10によれば、良好な圧電特性を得ることができる。この理由は、以下の通りである。
本実施形態に係る圧電素子10は、層状ペロブスカイト化合物からなるバッファ層41を有する。層状ペロブスカイト化合物は、層状構造であるため、下地の合金膜40を構成する合金の結晶方位に依存することなく、容易に(100)に優先配向することができる。即ち、バッファ層41には、例えば、(111)、(110)などに配向した層状ペロブスカイト化合物の結晶の混入がほとんどない。このように、層状ペロブスカイト化合物の結晶のほとんどが(100)に配向していることにより、バッファ層41の上に導電性酸化層42を形成する際に、導電性酸化層42は、バッファ層41の結晶配向を引き継いで、(100)に優先配向することができる。そして、導電性酸化層42の上に圧電体層5を形成する際に、圧電体層5は、導電性酸化層42の結晶配向を引き継いで、(100)に優先配向することができる。これにより、圧電素子10は、圧電定数が高く、印加された電圧に対して大きな変形をなす圧電体層5を有することができる。即ち、本実施形態に係る圧電素子10によれば、良好な圧電特性を得ることができる。
また、上述したように、導電性酸化層42は、(100)に自己配向しやすいLaNiOからなるのが好ましい。しかし、例えば、導電性酸化層42の下地としてバッファ層41を形成しない場合、LaNiOの作製条件や作製方法によっては、導電性酸化層42に、(110)などに配向したLaNiOの結晶が混入する場合がある。これに対し、本実施形態に係る圧電素子10の製造方法によれば、上述したように層状ペロブスカイト化合物からなるバッファ層41を下地として導電性酸化層42を形成するので、LaNiOは、より確実に、(100)に自己配向することができる。これにより、LaNiOからなる導電性酸化層42の上に圧電体層5を形成する際に、圧電体層5を構成する結晶のより多くが、導電性酸化層42の結晶配向を引き継いで、(100)に配向することができる。
また、本実施形態に係る圧電素子10では、導電性酸化層42の上に、圧電体層5が形成されている。即ち、圧電体層5の材質の種類に応じて、導電性酸化層42の材質を適宜選択することができる。これにより、例えば、圧電体層5を構成する圧電体の格子定数と、導電性酸化層42を構成する導電性酸化物の格子定数とを、略同じにすることができる。即ち、圧電体層5と導電性酸化層42との格子不整合を低減することができる。その結果、圧電体層5に加わる応力を低減することができる。
1−4. 次に、本実施形態に係る圧電素子10の変形例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した図1に示す圧電素子10と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。図2〜図4は、それぞれ圧電素子10の変形例の一例を模式的に示す断面図である。
例えば、図2に示すように、第1電極4は、導電性酸化層42を有しないことができる。即ち、第1電極4は、合金膜40と、バッファ層41と、からなることができる。この場合、バッファ層41の上に圧電体層5を形成する際に、圧電体層5は、バッファ層41の結晶配向を引き継いで、(100)に優先配向することができる。
また、例えば、図2に示すように、第2電極6は、第2合金膜47のみからなることができる。また、例えば、図示はしないが、第2電極6は、第2導電性酸化層46のみからなることもできる。これらの場合、第2電極6と第1電極4とを、圧電体層5に関してほぼ対称にすることができる。
また、例えば、図3に示すように、第1電極4は、バッファ層41を有しないことができる。即ち、第1電極4は、合金膜40と、導電性酸化層42と、からなることができる。この場合、合金膜40に含まれる添加金属としては、合金膜40上に形成される導電性酸化層42に含まれる金属と同じものを用いることが好ましい。例えば、導電性酸化層42がLaNiOからなる場合、添加金属としてはNiを用いることが好ましい。これにより、合金膜40と導電性酸化層42との間でNiの相互拡散が起こっても問題が無くなり、結晶性の良好な合金膜40および導電性酸化層42を得ることができる。
また、例えば、図4に示すように、第1電極4は、バッファ層41および導電性酸化層42を有しないことができる。即ち、第1電極4は、合金膜40のみからなることができる。この場合、合金膜40に含まれる添加金属として、その格子定数がIrおよびPtのうちの少なくとも一方よりも大きいもの(例えばAl等)を用いることにより、合金膜40を構成する合金の格子定数を、圧電体層5を構成する圧電体の格子定数に近づけることができる。即ち、合金膜40と圧電体層5との格子不整合を低減することができる。なお、各元素の格子定数は、Ir:0.3839nm、Pt:0.3923nm、Al:0.40496nmである。また、圧電体の格子定数は、例えば、Pb(Zr,Ti)O、Pb(Zrx-zNbTi)O、BaTiOなどでは、約0.4nmなどである。また、この場合、合金膜40を構成する合金は、(111)に優先配向することができる。これにより、合金膜40の上に圧電体層5を形成する際に、圧電体層5を構成する圧電体は、合金膜40の結晶配向を引き継いで、(111)に優先配向することができる。このような圧電体層5を構成する圧電体は、正方晶であることができる。圧電体層5が正方晶である場合、(111)配向は、エンジニアード・ドメイン配向となり、圧電体層5の圧電定数が向上する。
なお、上述した変形例は一例であって、これらに限定されるわけではなく、例えば、各層の積層順、層数などは適宜変更可能である。
2.第2の実施形態
2−1. 次に、第1の実施形態に係る圧電素子10を有するインクジェット式記録ヘッドの一実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す側断面図であり、図7は、このインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。なお、図7は、通常使用される状態とは上下逆に示したものである。
インクジェット式記録ヘッド(以下、「ヘッド」ともいう)50は、図6に示すように、ヘッド本体57と、ヘッド本体57の上に設けられた圧電部54と、を含む。なお、図6に示す圧電部54は、第1の実施形態に係る圧電素子10における第1電極4、圧電体層5、および第2電極6に相当する。
また、第1の実施形態に係る圧電素子10におけるストッパ層2および硬質層3は、図6において弾性層55に相当し、基板1は、図6においてヘッド本体57の要部を構成するものとなっている。
ヘッド50は、図7に示すようにノズル板51と、インク室基板52と、弾性層55と、弾性層55に接合された圧電部(振動源)54と、を含み、これらが基体56に収納されて構成されている。ヘッド50は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成している。
ノズル板51は、例えばステンレス製の圧延プレート等で構成されたもので、インク滴を吐出するための多数のノズル511を一列に形成したものである。これらノズル511間のピッチは、印刷精度に応じて適宜に設定されている。
ノズル板51には、インク室基板52が固着(固定)されている。インク室基板52は、基板1(例えば図1参照)によって形成されたものである。インク室基板52は、ノズル板51、側壁(隔壁)522、および弾性層55によって、複数のキャビティ521と、リザーバ523と、供給口524と、を区画形成したものである。リザーバ523は、インクカートリッジ631(図10参照)から供給されるインクを一時的に貯留する。供給口524によって、リザーバ523から各キャビティ521にインクが供給される。
キャビティ521は、図6および図7に示すように、各ノズル511に対応して配設されている。キャビティ521は、弾性層55の振動によってそれぞれ容積可変になっている。キャビティ521は、この容積変化によってインクを吐出するよう構成されている。
インク室基板52を得るための母材、即ち基板1(例えば図1参照)としては、(110)配向のシリコン単結晶基板が用いられている。この(110)配向のシリコン単結晶基板は、異方性エッチングに適しているのでインク室基板52を、容易にかつ確実に形成することができる。
インク室基板52のノズル板51と反対の側には弾性層55が配設されている。さらに弾性層55のインク室基板52と反対の側には複数の圧電部54が設けられている。弾性層55の所定位置には、図7に示すように、弾性層55の厚さ方向に貫通して連通孔531が形成されている。連通孔531により、インクカートリッジ631からリザーバ523へのインクの供給がなされる。
各圧電部54は、後述する圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。すなわち、各圧電部54はそれぞれ振動源(圧電素子)として機能する。弾性層55は、圧電部54の振動(たわみ)によって振動し(たわみ)、キャビティ521の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体56は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で形成されている。図7に示すように、この基体56にインク室基板52が固定、支持されている。
2−2. 次に、本実施形態におけるインクジェット式記録ヘッド50の動作について説明する。本実施形態におけるヘッド50は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電部54の第1電極4と第2電極6との間に電圧が印加されていない状態では、図8に示すように圧電体層5に変形が生じない。このため、弾性層55にも変形が生じず、キャビティ521には容積変化が生じない。従って、ノズル511からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電部54の第1電極4と第2電極6との間に電圧が印加された状態では、図9に示すように、圧電体層5においてその短軸方向(図9に示す矢印sの方向)にたわみ変形が生じる。これにより、弾性層55がたわみ、キャビティ521の容積変化が生じる。このとき、キャビティ521内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル511からインク滴58が吐出される。
すなわち、電圧を印加すると、圧電体層5の結晶格子は面方向に対して垂直な方向(図9に示す矢印dの方向)に引き伸ばされるが、同時に面方向には圧縮される。この状態では、圧電体層5にとっては面内に引っ張り応力fが働いていることになる。従って、この引っ張り応力fによって弾性層55をそらせ、たわませることになる。キャビティ521の短軸方向での圧電体層5の変位量(絶対値)が大きければ大きいほど、弾性層55のたわみ量が大きくなり、より効率的にインク滴を吐出することが可能になる。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、第1電極4と第2電極6との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電部54は図8に示す元の形状に戻り、キャビティ521の容積が増大する。なお、このとき、インクには、インクカートリッジ631からノズル511へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル511からキャビティ521へと入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ631からリザーバ523を経てキャビティ521へ供給される。
このように、インク滴の吐出を行わせたい位置の圧電部54に対して、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
2−3. 次に、本実施形態におけるインクジェット式記録ヘッド50の製造方法の一例について説明する。
まず、インク室基板52となる母材、すなわち(110)配向のシリコン単結晶基板からなる基板1を用意する。次に、例えば図1に示すように、基板1上にストッパ層2、硬質層3、第1電極4、圧電体層5、および第2電極6を順次形成する。
次に、第2電極6、圧電体層5、および第1電極4を、図8に示すように、個々のキャビティ521に対応させてパターニングし、図6に示すように、キャビティ521の数に対応した数の圧電部54を形成する。
次に、インク室基板52となる母材(基板1)をパターニングし、圧電部54に対応する位置にそれぞれキャビティ521となる凹部を、また、所定位置にリザーバ523および供給口524となる凹部を形成する。
本実施形態では、母材(基板1)として(110)配向のシリコン基板を用いているので、高濃度アルカリ水溶液を用いたウェットエッチング(異方性エッチング)が好適に採用される。高濃度アルカリ水溶液によるウェットエッチングの際には、前述したようにストッパ層2をエッチングストッパとして機能させることができる。従って、インク室基板52の形成をより容易に行うことができる。
このようにして母材(基板1)を、その厚さ方向に弾性層55が露出するまでエッチング除去することにより、インク室基板52を形成する。このときエッチングされずに残った部分が側壁522となる。
次に、複数のノズル511が形成されたノズル板51を、各ノズル511が各キャビティ521となる凹部に対応するように位置合わせし、その状態で接合する。これにより、複数のキャビティ521、リザーバ523および複数の供給口524が形成される。ノズル板51の接合については、例えば接着剤による接着法や、融着法などを用いることができる。次に、インク室基板52を基体56に取り付ける。
以上の工程によって、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド50を製造することができる。
2−4. 本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド50によれば、第1の実施形態に係る圧電素子10を有するので、良好な信頼性を有することができる。
また、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド50によれば、前述したように、圧電部54の圧電体層5の圧電定数(d31)が高く、印加された電圧に対してより大きな変形をなすものとなっている。すなわち、圧電部54が良好な圧電特性を有する。これにより、弾性層55のたわみ量が大きくなり、インク滴をより効率的に吐出できる。ここで、効率的とは、より少ない電圧で同じ量のインク滴を飛ばすことができることを意味する。すなわち、駆動回路を簡略化することができ、同時に消費電力を低減することができるため、ノズル511のピッチをより高密度に形成することなどができる。従って、高密度印刷や高速印刷が可能となる。さらには、キャビティ521の長軸の長さを短くすることができるため、ヘッド全体を小型化することができる。
3.第3の実施形態
3−1. 次に、第2の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド50を有するインクジェットプリンタの一実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ600を示す概略構成図である。インクジェットプリンタ600は、紙などに印刷可能なプリンタとして機能することができる。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上部」、下側を「下部」と言う。
インクジェットプリンタ600は、装置本体620を有し、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ621を有し、下部前方に記録用紙Pを排出する排出口622を有し、上部面に操作パネル670を有する。
装置本体620の内部には、主に、往復動するヘッドユニット630を有する印刷装置640と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置640に送り込む給紙装置650と、印刷装置640および給紙装置650を制御する制御部660とが設けられている。
印刷装置640は、ヘッドユニット630と、ヘッドユニット630の駆動源となるキャリッジモータ641と、キャリッジモータ641の回転を受けて、ヘッドユニット630を往復動させる往復動機構642と、を含む。
ヘッドユニット630は、その下部に、上述の多数のノズル511を有するインクジェット式記録ヘッド50と、このインクジェット式記録ヘッド50にインクを供給するインクカートリッジ631と、インクジェット式記録ヘッド50およびインクカートリッジ631を搭載したキャリッジ632とを有する。
往復動機構642は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸643と、キャリッジガイド軸643と平行に延在するタイミングベルト644とを有する。キャリッジ632は、キャリッジガイド軸643に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト644の一部に固定されている。キャリッジモータ641の作動により、プーリを介してタイミングベルト644を正逆走行させると、キャリッジガイド軸643に案内されて、ヘッドユニット630が往復動する。この往復動の際に、インクジェット式記録ヘッド50から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置650は、その駆動源となる給紙モータ651と、給紙モータ651の作動により回転する給紙ローラ652とを有する。給紙ローラ652は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ652aと、駆動ローラ652bとで構成されており、駆動ローラ652bは、給紙モータ651に連結されている。
3−2. 本実施形態に係るインクジェットプリンタ600によれば、第2の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド50を有するので、良好な信頼性を有することができる。
また、本実施形態に係るインクジェットプリンタ600によれば、前述したように、高性能でノズルの高密度化が可能なインクジェット式記録ヘッド50を有するので、高密度印刷や高速印刷が可能となる。
なお、本発明のインクジェットプリンタ600は、工業的に用いられる液滴吐出装置として用いることもできる。その場合に、吐出するインク(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整して使用することができる。
4.第4の実施形態
4−1. 次に、第1の実施形態に係る圧電素子10を有する圧電ポンプの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図11および図12は、本実施形態に係る圧電ポンプ20の概略断面図である。図11および図12に示す圧電部22は、第1の実施形態に係る圧電素子10における第1電極4と、圧電体層5と、第2電極6とからなるものである。第1の実施形態に係る圧電素子10におけるストッパ層2および硬質層3は、図11および図12において振動板24となっており、基板1は、圧電ポンプ20の要部を構成する基体21となっている。圧電ポンプ20は、基体21と、圧電部22と、ポンプ室23と、振動板24と、吸入側逆止弁26aと、吐出側逆止弁26bと、吸入口28aと、吐出口28bとを含む。
4−2. 次に、上述の圧電ポンプの動作について説明する。
まず、圧電部22に電圧が供給されると、圧電体層5(例えば図1参照)の膜厚方向に電圧が印加される。そして、図11に示すように、圧電部22は、ポンプ室23が広がる方向(図11に示す矢印aの方向)にたわむ。また、圧電部22と共に振動板24もポンプ室23が広がる方向にたわむ。このため、ポンプ室23内の圧力が変化し、逆止弁26a、26bの働きによって流体が吸入口28aからポンプ室23内に流れる(図11に示す矢印bの方向)。
次に、圧電部22への電圧の供給を停止すると、圧電体層5(例えば図1参照)の膜厚方向への電圧の印加が停止される。そして、図12に示すように、圧電部22は、ポンプ室23が狭まる方向(図12に示す矢印aの方向)にたわむ。また、圧電部22と共に振動板24もポンプ室23が狭まる方向にたわむ。このため、ポンプ室23内の圧力が変化し、逆止弁26a、26bの働きによって流体が吐出口28bから外部に吐出される(図12に示す矢印bの方向)。
圧電ポンプ20は、電子機器、例えばパソコン用、好ましくはノートパソコン用の水冷モジュールとして用いることができる。水冷モジュールは、冷却液の駆動に上述の圧電ポンプ20を用い、圧電ポンプ20と循環水路等とを含む構造を有する。
4−3. 本実施形態に係る圧電ポンプ20によれば、第1の実施形態に係る圧電素子10を有するので、良好な信頼性を有することができる。
また、本実施形態に係る圧電ポンプ20によれば、前述したように、圧電部22の圧電体層5が良好な圧電特性を有することによって、流体の吸入・吐出を効率的に行うことができる。従って、本実施形態に係る圧電ポンプ20によれば、大きな吐出圧および吐出量を有することができる。また、圧電ポンプ20の高速動作が可能となる。さらには、圧電ポンプ20の全体の小型化を図ることができる。
上記のように、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、本発明に係る圧電素子は、前述したデバイスに適用されるだけでなく、種々のデバイスに適用可能である。
第1の実施形態に係る圧電素子を模式的に示す断面図。 第1の実施形態に係る圧電素子の変形例の一例を模式的に示す断面図。 第1の実施形態に係る圧電素子の変形例の一例を模式的に示す断面図。 第1の実施形態に係る圧電素子の変形例の一例を模式的に示す断面図。 圧電素子の第1電極のヤング率に対する膜厚の関係を示すグラフ。 第2の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成図。 第2の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図。 インクジェット式記録ヘッドの動作を説明するための図。 インクジェット式記録ヘッドの動作を説明するための図。 第3の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図。 第4の実施形態に係る圧電ポンプの概略断面図。 第4の実施形態に係る圧電ポンプの概略断面図。
符号の説明
1 基板、2 ストッパ層、3 硬質層、4 第1電極、5 圧電体層、6 第2電極、10 圧電素子、20 圧電ポンプ、21 基体、22 圧電部、23 ポンプ室、24 振動板、40 合金膜、41 バッファ層、42 導電性酸化層、46 第2導電性酸化層、47 第2合金膜、50 インクジェット式記録ヘッド、51 ノズル板、52 インク室基板、54 圧電部、55 弾性層、56 基体、57 ヘッド本体、58 インク滴、511 ノズル、521 キャビティ、522 側壁、523 リザーバ、524 供給口、531 連通孔、600 インクジェットプリンタ、620 装置本体、621 トレイ、622 排出口、630 ヘッドユニット、631 インクカートリッジ、632 キャリッジ、640 印刷装置、641 キャリッジモータ、642 往復動機構、643 キャリッジガイド軸、644 タイミングベルト、650 給紙装置、651 給紙モータ、652 給紙ローラ、660 制御部,670 操作パネル

Claims (18)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に形成された第1電極と、
    前記第1電極の上方に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上方に形成された第2電極と、を含み、
    前記第1電極は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜を有し、
    前記合金膜は、さらに、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む、圧電素子。
  2. 請求項1において、
    前記添加金属は、AlおよびNiのうちの少なくとも一方である、圧電素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記添加金属の格子定数は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりも大きい、圧電素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記第1電極は、前記合金膜の上方に形成されたバッファ層を有し、
    前記バッファ層は、層状ペロブスカイト化合物からなり、
    前記層状ペロブスカイト化合物は、LaNiO、LaNi、LaNi10、LaCuO、およびYBaCu、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含み、
    前記層状ペロブスカイト化合物は、(100)に優先配向している、圧電素子。
  5. 請求項4において、
    前記第1電極は、前記バッファ層の上方に形成された導電性酸化層を有し、
    前記導電性酸化層は、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物からなる、圧電素子。
  6. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記第1電極は、前記合金層の上方に形成された導電性酸化層を有し、
    前記導電性酸化層は、ペロブスカイト構造を有する導電性酸化物からなる、圧電素子。
  7. 請求項5または6において、
    前記導電性酸化物は、CaRuO、SrRuO、BaRuO、SrVO、(La,Sr)MnO、(La,Sr)CrO、(La,Sr)CoO、およびLaNiO(2≦y≦3)、並びに、これらのうちの少なくとも2種からなる固溶体のうちの少なくとも1種を含み、
    前記導電性酸化物は、(100)に優先配向している、圧電素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、
    前記添加金属は、前記合金膜上に形成される層に含まれる金属と同じである、圧電素子。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記圧電体層を構成する圧電体は、菱面体晶であり、(100)に優先配向している、圧電素子。
  10. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記合金膜は、(111)に優先配向しており、
    前記圧電体層を構成する圧電体は、正方晶であり、(111)に優先配向している、圧電素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかにおいて、
    前記圧電体層を構成する圧電体は、Pb(Zr,Ti)O、Pb(Zrx-zNbTi)O(x+y=1、0<z≦0.3)、(Pb,La)ZrTiO、(Pb(Mg,Nb)TiO、Pb(Mg,Nb)(Zr,Ti)O、Pb(Zn,Nb)TiO、Pb(Sc,Nb)TiO、Pb(Ni,Nb)TiO、Pb(In,Mg,Nb)TiO、および、BaTiOのうちの少なくとも1種を含む、圧電素子。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の圧電素子を有する、インクジェット式記録ヘッド。
  13. 請求項12に記載のインクジェット式記録ヘッドを有する、インクジェットプリンタ。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の圧電素子を有する、圧電ポンプ。
  15. IrおよびPtのうちの少なくとも一方と、
    IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属と、を含む、合金膜。
  16. 基板の上方に第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極の上方に圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の上方に第2電極を形成する工程と、を含み、
    前記第1電極を形成する工程は、IrおよびPtのうちの少なくとも一方を含む合金膜を形成する工程を有し、
    前記合金膜は、さらに、IrおよびPtのうちの少なくとも一方よりもヤング率が低い添加金属を含む、圧電素子の製造方法。
  17. 請求項16において、
    前記合金膜は、該合金膜の各構成元素からなる各ターゲットをスパッタすることにより形成される、圧電素子の製造方法。
  18. 請求項16において、
    前記合金膜は、該合金膜の各構成元素からなる単一ターゲットをスパッタすることにより形成される、圧電素子の製造方法。
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