JP2020087762A - レドックスフロー電池用粉体活物質の製造方法及びこの活物質を用いた電解液の製造方法 - Google Patents

レドックスフロー電池用粉体活物質の製造方法及びこの活物質を用いた電解液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の材料として好適な活物質の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】バナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩の析出物を得るゲル析出工程と、前記析出物を乾燥して固形物を得る乾燥工程と、を有するバナジウム電池用の粉体活物質の製造方法である。本発明によれば、バナジウム電池用の活物質として適した固体活物質を容易且つ低コストで製造することができる。製造された固体活物質は、液体と比べて搬送しやすいなど取扱い性に優れており、また搬送コストを低減できる。【選択図】図1

Description

本発明は、レドックスフロー電池用粉体活物質の製造方法及びその利用方法に関する。
近年、地球温暖化対策(例えばCO2削減)などを目的とした再生可能エネルギーによる発電システムの導入が急速に進んでいる。風力や太陽光(自然エネルギー)など、出力変動が大きい再生可能エネルギーで発電された電力を送電(給電)する場合は出力の平準化が必須である。つまり、気象条件に左右される発電量を平準化して電源を安定化させる必要がある。出力を平準化する方法としては、例えば、予定電力量より発電量が大きい時は電池に充電し、発電量が小さい時は電池から放電して平準化する方法や、低負荷時に充電し、需要ピーク時に放電する方法がある。
このような電力貯蔵用の大容量二次電池に適した電池としては、例えばレドックスフロー電池を挙げることができる(特許文献1参照)。
特許第4567254号公報 特許第3970083号公報
ところで、レドックスフロー電池システムでは、システム全体のコストに占める電解液のコストの割合が大きい。電解液は活物質が溶解された水溶液であるところより低コストで活物質原料を提供できれば、低コストの電解液を提供でき、延いては電池システムのコストを低下させることができる。
本願発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、レドックスフロー電池で用いられる電解液の取扱性の向上に寄与する粉体活物質、その製造方法及びこの活物質を用いた電解液の製造方法を提供することを課題とする。
レドックスフロー電池は、電力貯蔵用電池として注目されており、例えば、電池の活物質及び構成材料が不燃性並びに難燃性で燃えにくい点、大容量化が容易である点、長周期出力変動及び短周期出力変動の吸収能力が高い点で優れ、大型のレドックスフロー電池の開発や実証実験が世界各国で活発に行われている。
そこで、レドックスフロー電池の電解液に関する上記課題を解決するために、レドックスフロー電池システムの電解液について検討を行い種々の課題を抽出した。
抽出された課題の一つとして、例えば、電池システム設置の際の電解液の輸送がある。
近年、電池システムの規模は大型化しているところ、電解液が液体ゆえに、輸送に関する作業負担やコスト負担は、益々増大する傾向にあることが解った。つまり、レドックスフロー電池については、普及の促進のため、更なる低コスト化が望まれていることが解った。
そのような課題に鑑み、電解液の輸送及び保管が容易な低コスト電解液製造方法を提供するに至った。
本出願に係る発明は、バナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩の析出物を得るゲル析出工程と、前記析出物を乾燥して固形物を得る乾燥工程と、を有するバナジウム電池用の粉体活物質の製造方法である。
前記乾燥工程は、前記析出物にマイクロウェーブの照射する工程を含むことが好ましい。
前記ゲル析出工程は、前記バナジウム硫酸溶液を濃縮する濃縮処理を含むことが好ましい。
前記濃縮処理は、MWを照射する前の前記バナジウム硫酸溶液の硫酸濃度を調整する工程を含むことが好ましい。
4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液を生成する電解工程を含み、前記ゲル析出工程で用いられるバナジウム硫酸溶液は、前記電解工程で生成された3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液であることが好ましい。
4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を結晶化させる析出工程と、生成されたバナジウム硫酸塩を用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成するバナジウム液生成工程と、を有することが好ましい。
4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する電解工程を含み、前記ゲル析出工程は、高温析出工程であり、当該高温析出工程で用いられる前記バナジウム硫酸溶液は、前記電解工程で生成された5価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液であることが好ましい。
前記高温析出工程は、50℃以上105℃以下の温度に保持された前記バナジウム硫酸溶液について、濃縮処理と析出処理を同時に行うことが好ましい。
4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を結晶(再結晶)させる析出工程と、生成された硫酸バナジルを用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する高濃度バナジウム液生成工程と、を有することが好ましい。
前記バナジウム硫酸溶液は、4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液であることが好ましい場合がある。
この場合、4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を析出させる析出工程と、生成された硫酸バナジルを用いて、前記析出工程で用いられる前記バナジウム硫酸溶液を生成する高濃度バナジウム液生成工程と、を有することが好ましい。
4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する第1電解工程と、生成された5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液に入れ替えてから両バナジウム硫酸溶液を電解して、2価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する第2電解工程と、を含み、前記析出工程で用いられるバナジウム硫酸溶液は、前記2価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液であることが好ましい場合がある。
この場合、2価のバナジウムイオンを含む前記バナジウム硫酸溶液は、2価のバナジウムイオンを含むレドックスフロー電池用のバナジウム電解液であり、前記析出工程は、2価のバナジウムイオンを含む前記バナジウム電解液を-30℃以上10℃以下の温度に保持した状態で行われることが好ましい。
そして、前記乾燥工程は、次に説明する2つの雰囲気のいずれか一方の雰囲気で行われることが好ましい。つまり、雰囲気1は、窒素濃度が80%以上100%以下の雰囲気であり、雰囲気2は、真空度が-40kPa以下及び相対湿度が10%以下の真空雰囲気である。
さらに、4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を析出させる析出工程と、生成された硫酸バナジルを用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液を調製するバナジウム液生成工程と、を有することが好ましい。
また、前記乾燥工程における乾燥対象物は、有機物の含有濃度が1重量%以下であることが好ましい。
また、前記乾燥工程は、前記乾燥対象物に含まれるHOの一部または全部を沸点以上の温度に加熱する工程であり、前記乾燥対象物に含まれるHOと硫酸以外の物質は、いずれも分解温度が290℃以上であることが好ましい。
また、製造される前記活物質は、水又は希硫酸に溶解可能であり、水又は希硫酸に当該活物質を溶解させるとレドックスフロー電池用のバナジウム電解液が生成されることが好ましい。
また、本出願の別の発明は、上述した活物質の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解させる溶解工程を含む、レドックスフロー電池用のバナジウム電解液の製造方法である。
この場合、前記溶媒は、水又は希硫酸溶液であることが好ましい。
また、本出願のさらに別の発明は、レドックスフロー電池設備の電解液槽にバナジウム電解液を注入する電解液注入工程を含む、レドックスフロー電池設備の設置方法であり、前記電解液注入工程は、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解してバナジウム電解液を調製する液調製ステップと、調製されたバナジウム電解液を注入する液注入ステップとを含む、レドックスフロー電池設備の設置方法である。
前記液注入ステップで注入されるバナジウム電解液は、当該注入ステップ開始前の24時間以内に実施された前記液調製ステップで生成されたバナジウム電解液であることが好ましい。
そして、前記液調製ステップは、水又は希硫酸に前記活物質を溶解してバナジウム電解液を調製する工程であることが好ましい。
また、前記水又は希硫酸は、10℃以上70℃以下であることが好ましい。
ところで、バナジウム電解液に含まれるバナジウムイオンとしては、5価、4価、3価及び2価のバナジウムイオンを挙げることができる。
バナジウムレドックスフロー電池など、電解液を流すフロー電池では、電解液中に析出物を生じさせることなく運転することが重要である。従って、フロー電池の電解液としては、液中の活物質が析出しにくいものが好ましい。
このような前提があるため、フロー電池の分野において、析出現象は回避すべき対象であり、積極的に析出物を析出させる技術は不要であった。
ところが、電解液について鋭意研究を重ねていく中で、析出に着目する発想が生じる機会があり、さらに研究を重ねた末、上記のような本発明に想到するに至った。
本発明によれば、これまで回避の対象であった析出を利用し、省エネルギーの効率的乾燥法を利用することで、析出しにくいことが好ましいレドックスフロー電池用のバナジウム電解液についてもバナジウム電池用の活物質として適した粉体活物質を容易且つ低コストで製造することができる。
また、製造された粉体活物質は、液体の電解液と比べて、品質劣化しにくくしかも搬送しやすいなど、取扱い性に優れる。従って、例えば、本発明の粉体活物質をあらかじめ電池設置場所に搬送しておき、必要に応じてその場で電解液を製造することができる。この場合、粉体活物質よりも重量がかさみ、しかも酸性で取り扱いにくい電解液を搬送する必要がなく、搬送コストを低減できる。また、必要に応じてその場で電解液を製造するので、フレッシュな電解液を常に供給することができる。
本出願に係る発明である活物質の製造方法によれば、バナジウム電池用の活物質として適した粉体活物質を容易且つ低コストで製造することができる。
実施形態1を示すフローチャート図である。 実施形態2を示すフローチャート図である。 実施形態3を示すフローチャート図である。 実施形態4を示すフローチャート図である。 実施形態5を示すフローチャート図である。 実施形態6を示すフローチャート図である。 実施形態7を示すフローチャート図である。 実施形態8を示すフローチャート図である。 実施形態9を示すフローチャート図である。 実施形態10を示すフローチャート図である。 実施形態11を示すフローチャート図である。 実施形態12を示すフローチャート図である。 実施形態13を示すフローチャート図である。
次に、本発明に係るバナジウム電池用の粉体活物質(バナジウム含有固形物)の製造方法について説明する。
バナジウム電池とは、例えばバナジウムレドックスフロー電池(以下、単にレドックスフロー電池と称することがある)など、正極側活物質及び負極側活物質としてバナジウム化合物を用いた電池のことである。
バナジウム電池用の活物質としては、硫酸バナジウム(II)・n水和物(VSO4・nH2O)、硫酸バナジウム(III)・n水和物(V2(SO4)3・nH2O)、硫酸バナジル(IV)・n水和物(VOSO4・nH2O)、酸性硫酸バナジル(IV)(2VOSO4・H2SO4・nH2O)、硫酸バナジウム(V)・n水和物(V2(SO4)5・nH2O)の固形物(特に粉体固形物)を挙げることができる。バナジウムレドックスフロー電池では、これらの活物質を溶解して生成したバナジウム電解液が用いられる。なお、一般的にはバナジウムレドックスフロー電池では五酸化バナジウムと五酸化バナジウムをさらに水素等で還元した低級酸化物を硫酸で溶解した3価と4価の等濃度溶液をスタート物質とした電解液が用いられている。
[実施形態1]
4価のバナ6ジウムイオンを含む硫酸溶液(以下、単にバナジウム硫酸溶液と称することがある)を用いて、3価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
4価のバナジウム硫酸溶液としては、例えば、硫酸バナジルを水に溶解させて得られる溶液や、五酸化バナジウムを2価や3価のバナジウム硫酸溶液に溶解させて得られるバナジウム硫酸溶液を挙げることができる。
まず、4価硫酸バナジルの析出(再結晶)を行う(結晶化析出工程)。
本実施形態では、結晶化析出工程において、濃縮ステップと低温析出ステップを行う。
4価のバナジウム硫酸溶液は析出しにくいものであるところ、濃縮ステップにおいて用意した4価のバナジウム硫酸溶液を濃縮すると、次の低温析出における析出(再結晶)が容易になる。
なお、濃縮ステップでは、例えば、マイクロウェーブ(以下、簡略してMWと称することがある)を用いて省エネルギーで濃縮する工程(濃縮ステップ)を行うことが好ましい。
次に、得られた濃縮液から、低温析出によってバナジウム含有固形物を析出する(低温析出ステップ)。低温で析出することにより、より省エネルギーで高濃度化するとともに高純度化を達成することができる。低温析出では、バナジウム硫酸溶液の温度を、例えば冷却によって低下させてバナジウム硫酸塩(ここでは、4価硫酸バナジルの析出物)を析出させる。温度低下後の硫酸溶液の温度としては、−20℃から30℃が好ましく、−20℃ 〜20℃がより好ましく、−20℃から10℃がさらに好ましい。
そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。ろ過分離する方法としては周知の方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
次に、得られた析出物を用いて4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。
バナジウム硫酸溶液としては高濃度のもの(高濃度バナジウム硫酸溶液)が好ましい。具体的には、バナジウム濃度は、3モル/リットル(以下、mol/Lと表示することがある)以上が好ましく、また、次の電解還元・酸化工程中にバナジウムが析出しない点で、4mol/L以下であることが好ましい。
なお、本発明の各実施形態における濃縮工程や析出工程において液中に生成されるバナジウム硫酸塩などのバナジウム含有固形物を液体から分離するとき、ろ過工程を用いる場合がある。ろ過する方法としては、例えば、窒素封入を行うなどして空気酸化を抑えた状態で、遠心分離あるいは減圧濾過する方法を用いることができる。
次に、得られた4価の高濃度バナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程)。
このように4価の高濃度バナジウム硫酸溶液を電解すれば、3価の高濃度バナジウム硫酸溶液及び5価の高濃度バナジウム硫酸溶液が得られる。また、バナジウム硫酸溶液が高濃度であれば、この後に行われ濃縮工程や乾燥工程において、より省エネルギーを実現できる。
なお、本実施形態及び後述の実施形態の電解工程で用いられる電解装置は、周知のレドックスフロー電池と同様の構成であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、これらのうちの3価のバナジウム硫酸溶液を濃縮して、バナジウム含有物を析出させる(析出工程)。このとき、MWを用いる工程が好ましい。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
そして、析出されたバナジウム含有物を乾燥させると、粉体活物質が得られる(乾燥工程)。このとき、MWを用いて乾燥する工程が好ましい。
なお、本実施形態では、析出工程及び乾燥工程を行ったが、これらに代えて、濃縮・乾燥工程を行って活物質を生成してもよい。濃縮・乾燥工程とは、電解工程で得られたバナジウム硫酸溶液を、MWを用いて乾燥させる工程である。
ところで、バナジウム含有物質に対する従来の乾燥方法としては、バナジウム硫酸溶液を熱風乾燥する方法や減圧乾燥する方法を挙げることができる。
ところが、従来の乾燥方法では、乾燥に時間がかかる。外部から加熱や減圧などを行う方法であるので、外部表面が先に乾燥し内部の水分が蒸発しにくいため乾燥に時間を要する。また、従来の乾燥方法では、伝熱の効率が悪く容器の加熱にもエネルギーを必要とするため、乾燥に大量のエネルギーが必要である。
この点、本製造方法は、MWによる水の分子の振動による内部加熱であるため必要なエネルギー量が画期的に少なく、また手間がかからず作業性に優れており、短時間で乾燥された粉体活物質を得ることができる。このように、MWによる加熱は従来の過熱方法と比較し格段にエネルギー効率に優れている。
また、MWを用いる乾燥方法で得られた活物質は、容易に粉体にできるという点でも取扱性に優れているということができる。
本実施形態の乾燥工程によって得られる高純度バナジウム含有固形物(活物質)は、カラメル状発泡体で、また容易に粉砕可能なものであり、このまま粉体活物質として利用可能なものである。
得られた粉体活物質を観察したところ、内部に空洞を有するものであった。乾燥の際に、物質中の水分が抜けて細孔が形成され、ポーラス構造になったと考えられる。そして、このような構造の物質であることが極めて溶解性に優れている原因の一つと考えられる。
また、本発明の各実施形態及び実施例で得られた活物質については、必要に応じて、さらに粉体化処理(例えば、粉砕工程)を行ってもよい。粉砕工程などの粉体化処理工程方法では、周知の方法や装置を用いることができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
[実施例1]
本実施例は、3価のバナジウムイオンを含有するレドックスフロー電池用のバナジウム電解液 の製造に用いることができる活物質の製造方法である。
まず、4価のバナジウム硫酸溶液を1200mL準備した。このバナジウム硫酸溶液における4価のバナジウム(以下、バナジウム(IV)と称することがある)の濃度は、1.2mol/L、硫酸濃度は8.2mol/Lであった。なお、バナジウム硫酸溶液の濃度については、以降の説明では、「バナジウム(IV)濃度:1.2mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L」のように簡略的に表示することがある。
そして、このバナジウム硫酸溶液を800ミリリットル(以下、mLと表示することがある)まで濃縮した(濃縮ステップ)。
濃縮では、出力600W(電圧100V)のマイクロウェーブ加熱装置(以下、MW加熱装置と称することがある)を用いた。
そして、濃縮後のバナジウム硫酸溶液を冷却し5℃で2時間静置したところ青色の結晶が析出した(低温析出ステップ)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
得られた結晶は、分析の結果、高純度の硫酸バナジル・n水和物であった。この結晶化析出工程によって、より良好な結晶を生成させることで、高純度の硫酸バナジルを得ることができた。
この結晶(硫酸バナジル)を希硫酸に溶解し、4価の高濃度バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)を生成した(高濃度バナジウム液生成工程)。
なお、この工程で生成するバナジウム硫酸溶液としては、バナジウム濃度が1.6mol/L以上のものが好ましく、4.0mol/L以下のものが好ましい。
そして、生成されたバナジウム硫酸溶液のうちの1リットル(以下、1Lのように表示することがある)のバナジウム硫酸溶液を電解装置の正極槽と負極槽に入れて電解工程(予備充電)を行った。電解工程(予備充電)については、当初は定電流(60mA/cm2)で、そしてその後は定電圧(1ボルト/セル)で行った。そして、電解装置のセル電圧が1.00ボルト(以下、1.00Vのように表示することがある)になるまで電解(完全電解)を行い、3価のバナジウム硫酸溶液(3価のバナジウムイオンの負極電解液)及び5価のバナジウム硫酸溶液(5価のバナジウムイオンの正極電解液)を生成した。
これにより、SOC(充放電レベル)が95%以上に充電された3価のバナジウム硫酸溶液と、5価のバナジウム硫酸溶液を得た。
なお、後述の実施例で行われる電解工程は、特に説明がない限り、本実施例の電解工程と同様の操作によって行われる工程であり、SOC(充放電レベル)が95%以上に充電されたバナジウム硫酸溶液が得られる工程である。
また、本実施例及び後述の実施例の電解工程において電解するバナジウム硫酸溶液としては、バナジウム濃度が1.0mol/L以上が好ましく、2.5mol/L以上がより好ましい。正極側に生成されるバナジウム硫酸溶液に含まれる5価のバナジウムイオンの濃度(割合)をより確実に高濃度にすることができ、しかも、乾燥工程時の水の蒸発を最小限に抑制できるからである。
また、電解工程において電解するバナジウム硫酸溶液としては、バナジウム濃度が1.0mol/L以上が好ましく、4.0mol/L以下がより好ましい。バナジウム濃度が高濃度になりすぎるとバナジウム硫酸溶液の粘度が高くなり流動抵抗とセル抵抗が高くなるため、電池の充放電効率が悪くなり、また電解時、正極側に5価のバナジウム硫酸溶液からバナジウム酸化物が生成されて析出しやすくなるためである。
そして、得られた3価のバナジウム硫酸溶液のうちの20mLを、出力600WのMW加熱装置を用いて1分間加熱して、バナジウム硫酸溶液を濃縮した。濃縮による減量は3グラム(以下、3gのように表示することがある)であった。そして、減量濃縮された濃縮液を5℃に冷却し、2時間静置したところ緑色の結晶が析出した(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
なお、後述の実施例2で行われる析出工程は、本実施例の析出工程と同様の方法及び条件である。
得られた結晶を1g取り出し、出力600WのMW加熱装置を用いて1分間乾燥して、活物質であるバナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。
なお、後述の実施例で行われる乾燥工程は、特に説明がない限り、本実施例の乾燥工程と同様の方法及び条件である。
また、電解工程によって得られた3価のバナジウム硫酸溶液のうちから取り分けた10mLについては、出力600WのMW加熱装置を用いて5分間の乾燥工程を行うことで、乾燥された活物質(バナジウム含有固形物)を得ることができた。なお、後述の実施例で行われる乾燥工程は、特に説明がない限り、本実施例の乾燥工程と同様の方法及び条件である。
乾燥(又は濃縮・乾燥)により得られた物質は、いずれも、ポーラスなカルメラ状(別言すれば、カラメル状、多孔質)の固体の活物質であり、容易に粉砕可能であった。なお、乾燥後にカラメル状の活物質が得られることは、後述の実施例においても同様であるので、その説明を省略している。
また、本実施例では、乾燥後の活物質を粉砕して粉体活物質を得た(粉砕工程)。
得られたバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量は極く微量であり、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物)が得られた。なお、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量は、例えば、得られた粉体活物質を用いてバナジウム(III)濃度が1.7mol/Lのバナジウム電解液(バナジウム硫酸溶液)を調製したとき、そのバナジウム電解液中の不純物濃度は20ppm以下であった。また、4価のバナジウム含有固形物量は極く僅かであった。
[実施形態2]
4価のバナジウム含有固形物を用いて、3価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。4価のバナジウム含有固形物としては、例えば、硫酸バナジル・n水和物を挙げることができる。
まず、用意した4価のバナジウム固形物を用いて、4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。
次に、調製された4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程)。
次に、これらのうちの3価のバナジウム硫酸溶液を濃縮し、得られた3価の濃縮液からバナジウム含有固形物を析出させる(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
なお、析出工程における濃縮ステップではMWを用いることが好ましく、析出工程としては、いわゆる低温析出を用いることが好ましい。
そして、析出されたバナジウム含有固形物を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。このとき、MWを用いて乾燥する工程が好ましい。
[実施例2]
用意した市販の硫酸バナジル結晶(新興化学製)を希硫酸に溶解し、4価の高濃度バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)を生成した(高濃度バナジウム液生成工程)。
そして、得られたバナジウム硫酸溶液のうちの1Lに対して電解工程を行った。
これにより、SOC(充放電レベル)が95%以上に充電された3価のバナジウム硫酸溶液と、5価のバナジウム硫酸溶液を得た。
次に、得られた3価のバナジウム硫酸溶液(バナジウム(III)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)のうちの20mLについて、実施例1と同様の析出工程を行って、結晶の析出物を得た(析出工程)。また、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
そして、得られた結晶(析出物)を、実施例1と同様の方法で乾燥した(乾燥工程)。
乾燥によって得られたポーラスなカルメラ状のバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム含有量は、5.36mol/L、硫酸含有量は、8.33mol/Lであり、 バナジウムと硫酸のモル比率(SO4/V)は1.55であり、V2(SO4)の理論比率1.5とほぼ一致した。つまり、高純度の3価のバナジウムを含有する活物質(高純度バナジウム含有固形物)であった。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量(バナジウム電解液換算)は、20ppm以下であった。
[実施形態3]
上述の実施形態の電解工程で得られた5価のバナジウム硫酸溶液を用いて、5価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
本実施形態の方法は、析出工程における処理方法が加熱析出(高温析出)である点で、実施形態1、2の方法とは工程が異なる。本実施形態の析出工程によれば、析出操作を容易に行うことができ、しかも事前の濃縮工程が不要である。
そして、これ以外の工程は、実施形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
4価のバナジウム硫酸溶液を用意した後、実施形態1と同様の結晶化析出工程(濃縮ステップ、低温析出ステップ)、分離工程及び高濃度バナジウム液生成工程を行って、4価のバナジウム硫酸溶液を生成する。
次に、得られた4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作(完全電解)操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程)。
次に、得られた5価のバナジウム硫酸溶液から、いわゆる高温析出によってバナジウム含有物を析出させる(ゲル析出工程)。
高温析出による析出工程(ゲル析出工程)では、バナジウム硫酸溶液の温度を、例えば加熱によって昇温させてバナジウム硫酸塩を析出させる。加熱後の硫酸溶液の温度としては、50℃以上が好ましく、105℃以下が好ましい。また、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。
そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、析出されたバナジウム含有物を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。
なお、本実施形態の製造方法は、実施形態1や実施形態2の製造方法と同時並行に実施可能である。そして、2つの実施形態の製造方法を同時に行うことで、5価の活物質(正極用の活物質)と3価の活物質(負極用の活物質)を同時に製造することができる。この点は、次に説明する実施形態4についても同様である。
[実施例3]
ここでは、実施例1の電解工程で得られた5価のバナジウム硫酸溶液を用いて、5価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
まず、得られた5価のバナジウム硫酸溶液のうち10mLに、高温析出による析出工程を実施した(ゲル析出工程)。具体的には、5価のバナジウム硫酸溶液を、MW加熱装置を用いて加熱し、5価のバナジウム含有物質を高温下で高分子化して析出させる工程であった。つまり、ここでは、濃縮処理と析出処理を同時に行った。また、ここでは、600WのMW加熱装置を用いて20秒間加熱した。加熱温度は、105℃であった。
そして、ゲル析出工程後の液中に析出したバナジウム含有物質をろ過分離した(分離工程)。
分離したバナジウム含有物質は、ゲル状の物質であった。また、分離されたゲル状の物質のバナジウム含有量は6.24mol/Lであった。この生成物は5価のVO2 +が二量化したH2[V2O3(HSO4)6]の形態が推定される。
次に、分離したゲル状のバナジウム含有物質を、出力200W(100V)のMW加熱装置を用いて乾燥し、バナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。乾燥時間は10分間であった。
また、ゲル状のバナジウム含有物質が分離された後のバナジウム硫酸溶液についても、MW加熱装置を用いて乾燥し、バナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。出力600W(100V)のMW加熱装置を用いて20秒間乾燥した後、出力100W(100V)のMW加熱装置を用いて10分間乾燥するという条件であった。
つまり、MW加熱装置を用いれば、ゲル状の硫酸バナジウム(V)を短時間で効率的に乾燥させることができた。
そして、各乾燥工程後、ポーラスなカルメラ状のバナジウム含有固形物(粉体活物質)が得られた。得られた物質について成分測定したところ、バナジウム含有量は6.24mol/Lであり、バナジウムと硫酸のモル比率(SO4/V)は2.22であり、理論モル比2.5のV2(SO4)形態が推定される。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量(バナジウム電解液換算)は、20ppm以下であった。つまり、得られたものは、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物、硫酸バナジウム(V))であった。
上述したように、本実施例ではゲル析出工程において、同時にMW照射を行った。MW照射を前処理として行う方法やMW照射を行わない方法もあるが、MW照射を行うと、ゲル析出工程における析出を迅速化することができ、しかも析出工程全体で必要な電力などのエネルギーを抑制することができる。
[実施形態4]
次に、4価のバナジウム含有固形物を用いて、5価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する別の方法を説明する。
まず、用意した4価のバナジウム固形物を用いて、4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。生成するバナジウム硫酸溶液は、バナジウム濃度及び硫酸濃度が高濃度のバナジウム硫酸溶液がより好ましい。
次に、調製された4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程)。
その後、得られた5価のバナジウム硫酸溶液について行うゲル析出工程、分離工程及び分離されたバナジウム含有物を乾燥させて活物質を得る乾燥工程は、実施形態3と同様であるので、これらの工程についての詳細な説明を省略する。
[実施例4]
まず、市販の硫酸バナジル結晶(新興化学製)を希硫酸に溶解し、4価のバナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)を調製した(高濃度バナジウム液生成工程)。
次に、調製された4価のバナジウム硫酸溶液を、電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生した(電解工程)。
そして、実施例3と同様に、得られた5価のバナジウム硫酸溶液のうち10mLに対して析出工程を行い(ゲル析出工程)、析出工程後の液中に析出したバナジウム含有物質をろ過分離した(分離工程)。分離されたゲル状のバナジウム含有物質は、実施例3と同様、バナジウム含有量が6.24mol/Lであった。
そして、実施例3と同様、バナジウム含有物質が分離されたバナジウム硫酸溶液と、分離したバナジウム含有物質に対して、それぞれ乾燥工程を行った。
乾燥によって得られたポーラスなカルメラ状のバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム含有量は6.24mol/L であり、バナジウムと硫酸のモル比率(SO4/V)は2.22であり、理論モル比2.5のV2(SO4)形態が推定される。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量(バナジウム電解液換算)は、20ppm以下であった。つまり、得られたものは、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物)であった。
[実施形態5]
4価のバナジウム硫酸溶液を用いて、4価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
まず、用意したバナジウム硫酸溶液を濃縮する処理を行い(濃縮ステップ)、濃縮液から4価硫酸バナジル析出物を生成する(低温析出ステップ)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、生成された析出物を用いて4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。生成するバナジウム硫酸溶液としては、バナジウムイオン濃度が高濃度のものが好ましい。
そして、得られたバナジウム硫酸溶液を濃縮し、得られた4価の濃縮液から、いわゆる低温析出によってバナジウム含有固形物を析出させる(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、析出されたバナジウム含有固形物をMW乾燥させて4価の活物質を得る(乾燥工程)。
なお、次の実施例5の説明から解るように、本実施形態5では、実施形態1で説明した結晶化析出工程、高濃度バナジウム液生成工程、分離工程及び乾燥工程と同様の工程を用いることができる。
[実施例5]
本実施例は、4価のバナジウムイオンを含有する高濃度のバナジウム電解液の製造に用いることができる活物質の製造方法の実施例である。
まず、バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:1.2mol/L、硫酸濃度:8.2mol/L)を1200mL準備し、実施例1と同様の結晶化析出工程(濃縮ステップ、低温析出ステップ)、分離工程及び高濃度バナジウム液生成工程を行って、4価の高濃度バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)を生成した)。
次に、得られた4価のバナジウム硫酸溶液のうちの20mLを、出力600WのMW加熱装置で1分間加熱して、3g減量された濃縮液を得た。そして、得られた濃縮液を5℃に冷却して2時間静置し、青色の結晶が析出した。(析出工程)。
この結晶のうちの1g取り出して、出力600WのMW加熱装置で1分間乾燥し、バナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。
得られたバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウムと硫酸以外の不純物含有量はそれぞれ、バナジウム(IV)濃度が1.7mol/L、バナジウム電解液換算で不純物濃度は20ppm以下であり、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物)が得られた。なお、5価のバナジウム含有固形物の比率は極く微量であった。
[実施形態6]
4価のバナジウム硫酸溶液を用いて、4価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する別の方法を説明する。
本実施形態の活物質の製造方法は、実施形態5と比較すると、4価の青色の結晶(硫酸バナジル)を生成する結晶化析出工程及び分離工程までは同じであるが、得られた析出物をそのまま乾燥して活物質を製造する点で、製造工程が異なる。
なお、実施形態5と共通する工程については、ここでは詳細な説明を省略する。
まず、用意したバナジウム硫酸溶液を濃縮する処理を行い(濃縮ステップ)、得られた濃縮液から4価硫酸バナジル析出物を生成する(低温析出ステップ)。このとき、MWを用いて析出物を生成する工程が好ましい。
次に、生成された析出物(バナジウム含有固形物)を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。このとき、MWを用いて乾燥する工程が好ましい。
[実施例6]
まず、バナジウム硫酸溶液に硫酸を添加して硫酸濃度を高めたバナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:1.2mol/L、硫酸濃度8.2mol/L)を120mL準備し、80mLまで濃縮した(濃縮ステップ)。
この溶液を冷却し、5℃で2時間静置して青色の結晶の析出物を得た(低温析出ステップ)。
そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
この結晶を出力500WのMW加熱装置を用いて40秒間乾燥し、バナジウム固形物を得た(乾燥工程)。
得られたバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム濃度は、6.94mol/L、硫酸濃度は13.9mol/Lであり、その比率は1.52となった。VOSO4であれば比率は1であり、酸性硫酸バナジル2VOSO4・HSO4であることが推定される。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量はそれぞれバナジウム(IV)濃度が1.7mol/L、バナジウム電解液換算で不純物濃度が20ppm以下であり、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物)が得られた。また、なお、5価のバナジウム含有固形物の比率は極く微量であった。
この結果、実施例5と比較して少ない工程で、4価の活物質を得ることができることが解った。
[実施形態7]
4価のバナジウム含有固形物を用いて、4価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
用意した4価のバナジウム固形物を用いて、4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。バナジウム硫酸溶液としては、バナジウムイオン濃度が高濃度のものが好ましい。
次に、調製されたバナジウム硫酸溶液を濃縮し、得られた4価の濃縮液から、低温析出によってバナジウム含有固形物を析出させる(析出工程)。このとき、濃縮では、MWを用いることが好ましい。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、析出されたバナジウム含有固形物を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。このとき、MWを用いて乾燥する工程が好ましい。
[実施例7]
用意した市販の硫酸バナジル結晶(新興化学製)を希硫酸に溶解し、4価の高濃度バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:3.0mol/L、硫酸濃度:4.0mol/L)を生成した(高濃度バナジウム液生成工程)。
次に、得られた4価のバナジウム硫酸溶液のうちの20mLを、出力600WのMW加熱装置を用いて1分間加熱し、3g減量濃縮された濃縮液を得た。そして、得られた濃縮液を5℃に冷却し、2時間静置して青色の結晶の析出物を得た。(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
この結晶を1g取り出して、出力600WのMW加熱装置を用いて1分間乾燥し、バナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。
得られたバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム濃度は6.24mol/L、硫酸濃度は10.56mol/Lであり、その比率は1.52になった。VOSO4であれば比率は1であり、酸性硫酸バナジル2VOSO4・HSO4であることが推定される。また、バナジウムと硫酸以外の不純物含有量はそれぞれバナジウム(IV)濃度が1.7mol/L、バナジウム電解液換算で不純物濃度が20ppm以下であり、高純度のバナジウムを含有する粉体活物質(高純度バナジウム含有固形物)が得られた。
[実施形態8]
次に、4価のバナジウム硫酸溶液を用いて、2価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
本実施形態の方法は、最初から電解工程(第1電解工程)までの工程が実施形態1と同様である。そこで、これらの同様の工程については、詳細な説明を省略する。
まず、用意したバナジウム硫酸溶液を濃縮する処理を行い(結晶化析出工程の濃縮ステップ)、得られた濃縮液から4価硫酸バナジル析出物を生成する(結晶化析出工程の低温析出ステップ)。
そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、生成された析出物を用いて高濃度の4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。
そして、調製された4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程、第1電解工程)。
次に、得られた5価のバナジウム硫酸溶液をレドックスフロー電池から抜き取って、その代わりに4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して(入れ替えて)電解操作を行い、2価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(電解工程、第2電解工程)。このとき、2価のバナジウムイオン濃度をできるだけ高濃度にするために、この電解工程としては、いわゆる完全充電(完全電解)が好ましい。具体的には、完全充電とはセル電圧が1.65Vになるまで充電を行うVである。
次に、得られた2価のバナジウム硫酸溶液から、低温析出によってバナジウム含有固形物を析出させる(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、析出されたバナジウム含有物質を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。乾燥工程としては、MWを用いる方法が好ましく、さらに、減圧雰囲気(真空雰囲気)又は窒素雰囲気で行う乾燥工程が好ましい。具体的には、窒素濃度が80%以上100%以下の雰囲気が好ましく、また、-40kPa以下の真空雰囲気(真空度)が好ましく、さらに相対湿度は10%以下が好ましい。ここで、真空度の基準となる大気圧は101.3kPaとする。
なお、本実施形態の第1電解工程、そして第2電解工程(完全充電工程)は、5価のバナジウム硫酸溶液を生成する工程でもある。つまり、これらの工程を経て得られた5価のバナジウム硫酸溶液を用いて、実施形態3や実施形態4の活物質の製造方法を実施することで、5価の活物質を製造することができる。
また、本実施形態の活物質の製造方法は、実施形態3や実施形態4の活物質の製造方法と同時に並行して実施可能である。実施形態3又は4の製造方法と本実施形態の製造方法を同時に行うと、2価の活物質(負極用の活物質)と5価の活物質(正極用の活物質)を同時に製造することができる。この点は、次に説明する実施形態9についても同様である。
[実施例8]
バナジウム硫酸溶液(バナジウム(IV)濃度:1.2mol/L、硫酸濃度8.2mol/L)を1200mL準備し、実施例1と同様の結晶化析出工程(濃縮ステップ、低温析出ステップ)、分離工程、高濃度バナジウム液生成工程及び電解工程(第1電解工程)を行って、3価のバナジウム硫酸溶液(負極槽)及び5価のバナジウム硫酸溶液(正極槽)を生成した。
そして、電解装置の正極槽内の5価のバナジウム硫酸溶液を4価のバナジウム硫酸溶液に入れ替えた後、電解操作を再開し、電解装置のセル電圧が1.65Vになるまで充電して2価のバナジウム硫酸溶液(負極槽)および5価のバナジウム硫酸溶液(正極槽)を得た(第2電解工程)。
次に、得られた2価のバナジウム硫酸溶液のうちの20mLを取り分けて、真空度-67キロパスカル(以下、-67kPaのように表示することがある)の減圧状態(真空状態)で、出力500WのMW加熱装置を用いて1分間加熱し、3g減量濃縮された濃縮液を得た。そして、この濃縮液を5℃に冷却し2時間静置したところ(低温析出)、紫色の結晶の析出物が析出した。(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
この結晶を1g取り出して、再度、真空度-67kPaの減圧下(真空状態下)で、出力400WのMW加熱装置を用いて2分間乾燥し、バナジウム含有固形物を得た(乾燥工程)。
乾燥によって得られたカラメル状のバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム含有量は、2.21mol/Lであり、バナジウムと硫酸のモル比率(SO4/V)は、VSO4と一致した(比率は1であった)。つまり、得られたものは、高純度の2価のバナジウムを含有する活物質(高純度バナジウム含有固形物)であった。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量(バナジウム電解液換算)は、20ppm以下であった。
[実施形態9]
4価のバナジウム含有固形物を用いて、2価の硫酸バナジウム含有固形物を製造する方法を説明する。
本実施形態の方法は、最初から電解工程(第1電解工程)までの工程が実施形態2と同様である。また、電解工程以降の工程は、実施形態8と同様である。そこで、これらの工程については、詳細な説明を省略する。
まず、用意した4価のバナジウム固形物を用いて、4価のバナジウム硫酸溶液を生成する(高濃度バナジウム液生成工程)。
次に、生成された4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入して電解操作を行い、3価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(第1電解工程)。
そして、実施形態8と同様に、電解装置の正極槽内から得られた5価のバナジウム硫酸溶液を抜き取って、その代わりに4価のバナジウム硫酸溶液を電解装置に注入した(入れ替えた)後、電解操作を再開し、2価のバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウム硫酸溶液を生成する(第2電解工程)。
次に、得られた2価のバナジウム硫酸溶液から、低温析出によってバナジウム含有固形物を析出させる(析出工程)。そして、液中の析出物をろ過分離した(分離工程)。
次に、析出されたバナジウム含有固形物を乾燥させて活物質を得る(乾燥工程)。乾燥工程としては、MWを用いる乾燥する工程が好ましく、減圧雰囲気(真空雰囲気)又は窒素雰囲気で行う乾燥工程が好ましい。
[実施例9]
市販の硫酸バナジル結晶(新興化学製)を用意して、実施例2と同様の高濃度バナジウム液生成工程、電解工程(第1電解工程)を行った後、実施例8と同様の電解工程(第2電解工程)、析出工程、分離工程、乾燥工程を行って、バナジウム含有固形物を得た。
乾燥によって得られたカラメル状のバナジウム含有固形物について成分測定したところ、バナジウム含有量は2.24mol/Lであり、 バナジウムと硫酸のモル比率(SO4/V)はVSO4と一致した(比率は1であった)。つまり、得られたものは、高純度の2価のバナジウムを含有する活物質(高純度バナジウム含有固形物)であった。また、バナジウム及び硫酸以外の不純物含有量(バナジウム電解液換算)は、20ppm以下であった。
ところで、活物質の製造における出発原料としてバナジウム硫酸溶液を用いる場合、出発原料としては、硫酸バナジルの硫酸溶液の他に、例えば、五酸化バナジウムを2価あるいは3価のバナジウム硫酸溶液に溶解させて得られる4価のバナジウム硫酸溶液を挙げることができる。
[活物質を用いたバナジウム電解液の製造方法]
次に、上述した各実施例の製造方法で製造された粉体の活物質(高純度バナジウム含有固形物)を用いて、バナジウムレドックスフロー電池用のバナジウム電解液を製造することができる。
より具体的に説明すると、上述した各実施例の製造方法で製造された粉体の活物質(高純度バナジウム含有固形物)を純水または希硫酸溶液に添加して溶解させることで、バナジウムレドックスフロー電池用のバナジウム電解液を製造することができる(再溶解工程)。
例えば、2価の粉体活物質や3価の粉体活物質を溶解して生成されるバナジウム電解液は、レドックスフロー電池の負極側電解液として電池に注入して用いることができる。そして、5価の活物質や4価の活物質を溶解して生成されるバナジウム電解液は、レドックスフロー電池の正極側電解液として電池に注入して用いることができる。
[実施形態10]
3価の活物質を用いてバナジウム電解液を製造する方法を説明する。
上述の実施形態(実施形態1、2)で得られた3価の粉体活物質を希硫酸溶液に投入して撹拌溶解すると、3価のバナジウム電解液が生成される。
[実施形態11]
4価の粉体活物質を用いてバナジウム電解液を製造する方法を説明する。
上述の実施形態(実施形態5、6、7)で得られた4価の活物質を、希硫酸溶液と純水の混合溶液中に投入して撹拌溶解すると、4価のバナジウム電解液が生成される。
[実施例10]
実施例1で得られた3価の粉体活物質のうちの8.445gを希硫酸溶液16.5mL(硫酸濃度3.3mol/L)に投入して撹拌溶解し、3価のバナジウム電解液(バナジウム(III)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)を20mL製造した。
[実施例11]
実施例5で得られた4価の粉体活物質のうちの8.776gを、希硫酸溶液7.5mL(硫酸濃度3.3mol/L)と純水7.9mLの混合溶液中に投入して攪拌溶解し、4価のバナジウム電解液(バナジウム(IV)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)を20mL製造した。
[比較例1]
次のような方法で、従来のバナジウム電解液を生成した。
3価のバナジウム電解液(バナジウム(III)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)と4価のバナジウム電解液(バナジウム(IV)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)を等量混合したバナジウム電解液(通常の一液性電解液)を用意した。
[評価]
製造したバナジウム電解液(実施例10、実施例11、比較例1)の性能評価を行った。
性能評価では、電極面積が5平方センチメートル(以下、5cm2のように表示することがある)の性能評価用のミニセルを用いた。なお、評価時の条件は、共通であり、温度は25℃、充放電時の電流密度は80mA/cm2であった。
[比較例1の液の評価]
比較例1の従来のバナジウム電解液について性能評価を行った。
具体的には、従来のバナジウム電解液をミニセルの負極槽及び正極槽に注入し、従来通り予備充電を行って正極槽内の正極液と負極槽内の負極液をバナジウム4価とバナジウム3価とした後、改めて充電操作を行うことにより放電可能な5価と2価の状態まで充電を行った。
[実施例10、11の液の評価]
実施例10、11で製造したバナジウム電解液について性能評価を行った。
実施例10で製造した3価のバナジウム電解液をミニセルの負極槽に注入し、実施例11で製造した4価のバナジウム電解液をミニセルの正極槽に注入して充電操作を試みた。
本実施例の液を用いる場合は、比較例1の場合(従来の一液性電解液を用いた場合)とは異なり、すでに溶解した状態で4価と3価の状態であり予備充電なしに充電操作に入ることが可能であるので、作業時間の大幅な短縮を実現できる。
比較例1のバナジウム電解液を用いた充放電運転時と、実施例10,11で製造したバナジウム電解液を用いた充放電運転時について、電流効率、電圧効率、電力効率及びセル抵抗を評価した結果を次の表1に示す。
表1に示されるように、実施例10,11で製造されたバナジウム電解液の充放電性能は、従来のバナジウム電解液と同等であった。
Figure 2020087762
[実施形態12]
5価の粉体活物質を用いてバナジウム電解液を製造する方法を説明する。
上述の実施形態(実施形態3,4)で得られた5価の粉体活物質を希硫酸溶液に投入して撹拌溶解すると、5価のバナジウム電解液が生成される。
[実施形態13]
2価の粉体活物質を用いてバナジウム電解液を製造する方法を説明する。
上述の実施形態(実施形態8,9)で得られた2価の粉体活物質を希硫酸溶液に投入して撹拌溶解すると、2価のバナジウム電解液が生成される。
[実施例12]
実施例3で得られた5価の粉体活物質のうちの6.458gを、希硫酸溶液18.4mL(硫酸濃度3.3mol/L)に投入して撹拌溶解し、5価のバナジウム電解液(バナジウム(V)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)を20mL製造した。
[実施例13]
実施例8で得られた2価の粉体活物質のうちの8.329gを希硫酸溶液14.9mL(硫酸濃度3.3mol/L)に投入して攪拌溶解し、2価のバナジウム電解液(バナジウム(V)濃度1.7mol/L、硫酸濃度4.3mol/L)を20mL製造した。
[評価]
製造したバナジウム電解液(実施例12、実施例13、比較例1)の性能評価を行った。
評価方法は、実施例10,11の液の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
実施例13で製造した2価のバナジウム電解液をミニセルの負極槽に注入し、実施例12で製造した5価のバナジウム電解液をミニセルの正極槽に注入して放電操作を試みたところ、電池セル内へのバナジウム電解液の流入と同時に、直ぐに放電操作が可能であった。なお、その後、充電操作も行った。
このように、実施例12,13で製造されるバナジウム電解液を用いれば、予備充電操作のみならず充電操作も全く行うことなく、バナジウム電解液の注入直後から放電操作が可能であった。
また、本実施例12,13で製造したバナジウム電解液を用いた充放電運転時について、電流効率、電圧効率、電力効率及びセル抵抗を評価したところ、表2に示されるように、表1に示される結果と同等の結果が得られた。
Figure 2020087762
また、実施例12,13で製造したバナジウム電解液を性能評価するための電池運転の際に測定したところ、バナジウム電解液のエネルギー密度は0.951Wh(0.0238Wh/mL)であり、理論エネルギー密度の70%という通常の従来のバナジウム電解液と遜色ない値が得られた。評価時の条件は、温度25℃、充放電時の電流密度は80mA/cm2であった。
なお、上記の表2の結果では電力効率は84.9%であるが、本来ならば理論エネルギー密度の約80%が得られる。初回の充放電結果は、空気中の酸素の影響を受けて値が低くなると考えられ、効率等は充放電2回目以降の値を採る。
ところで、レドックスフロー電池で用いられるバナジウム電解液については、酸性で且つ取扱いが難しいということから、これまでは特別なタンクローリー車などでレドックスフロー電池の設置場所に搬送して、レドックスフロー電池に注入しており、搬送に手間やコストがかかる。
これに対して、本実施形態の製造方法で得られる固体(粉体)の活物質は、液体と比較して搬送が極めて容易であり、搬送性に優れているので、搬送の手間やコストを低減させることができる。
そして、レドックスロー電池の設置場所に搬送した固体の活物質を、その場で純水あるいは希硫酸に溶解させてバナジウム電解液を調製し、直ちに調製したバナジウム電解液をレドックスフロー電池の正極側電解液槽及び負極側電解液槽に注入できるので、バナジウム電解液の主要成分であるバナジウムの搬送効率が格段に向上する。つまり、搬送容易性に優れるだけでなく、搬送効率の点でも極めて優れている。
さらに、常に調製直後のフレッシュなバナジウム電解液をレドックスフロー電池に供給することができる。なお、硫酸や希硫酸が用意できる場合は、搬送してきた粉体の活物質を希硫酸に溶解させ、これにより得られた溶液と用意した純水とを混合することによって、フレッシュなバナジウム電解液を調製してもよい。
また、特に2価の活物質から調製されたバナジウム電解液と5価の活物質から調製されたバナジウム電解液が注入されたレドックスフロー電池は、電池の設置後、予備充電運転や充電運転を実施することなく、直ちに放電運転を開始可能である。
従来のレドックスフロー電池では、放電運転するためには、電池設備の設置完了後、まず予備充電運転や充電運転を行う必要があったが、本発明の活物質を用いれば、電池設備の設置後に直ちに放電運転が可能であるので、充電運転前の緊急を要する電力需要があるような場合であっても、電力需要に応じて放電運転を行うことができる。
[活物質の保存方法]
上述の各実施例の製造方法で得られた活物質は、液体のバナジウム電解液と比較して、物質の安定性に優れており、長期保存に適している。
したがって、本発明に係る方法で製造された粉体(固体)の活物質は、固体状態による電力の長期保存に適した物質である。
粉体の活物質を長期保存する場合、さらに、粉体の周囲にバリアーを形成してもよい(保存工程)。
保存工程としては、例えば、活物質の外周にバリアー膜(酸素バリアー膜や水分バリアー膜)を設ける工程を挙げることができる。これにより、活物質の酸化がより確実に防止され、長期間保存が可能になる。
より具体的には、粉体の活物質をエチレン―ビニルアルコール共重合体の膜(シートやフィルム)で構成された袋に封入する方法を挙げることができる。これにより、空気酸化及び吸湿が防止され、粉体の活物質をより確実に長期保存できる。
なお、本実施形態で説明した活物質の製造方法は、本発明に係る解決課題を逸脱しない範囲で種々改変可能であり、改変された製造方法は、本発明の権利範囲に属する。
例えば、上述の各実施例における乾燥工程における乾燥対象物は、有機物の含有濃度が1重量%以下であり、このようなものがより好ましい。
また、乾燥工程は、乾燥対象物に含まれるHOの一部または全部を沸点以上の温度に加熱する工程であり、このような工程がより好ましい。そして、乾燥対象物に含まれるHOと硫酸以外の物質(固形物)は、いずれも分解温度が290℃以上であり、このようなものがより好ましい。
また、製造される活物質は、水又は希硫酸に溶解可能であり、水又は希硫酸に当該活物質を溶解させるとレドックスフロー電池用のバナジウム電解液が生成される。
そして、上述のレドックスフロー電池用のバナジウム電解液の製造方法、上述の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解させる溶解工程を含む。
そして、前記溶媒は、水又は希硫酸溶液である。
また、レドックスフロー電池設備の設置方法は、レドックスフロー電池設備の電解液槽にバナジウム電解液を注入する電解液注入工程を含む。
前記電解液注入工程は、上述の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解してバナジウム電解液を調製する液調製ステップと、調製されたバナジウム電解液を注入する液注入ステップとを含む。
そして、前記液注入ステップで注入されるバナジウム電解液は、当該注入ステップ開始前の24時間以内に実施された前記液調製ステップで生成されたバナジウム電解液である。
また、前記液調製ステップは、水又は希硫酸に前記活物質を溶解してバナジウム電解液を調製する工程である。そして、前記水又は希硫酸は、10℃以上70℃以下が好ましく、10℃以上50℃以下がより好ましい。
再生可能エネルギーの出力平準化等の目的で、大型のバナジウムレドックスフロー電池を建設する場合、取り扱いについて慎重さを要するバナジウム電解液を大量に輸送することは作業負担及び輸送コストの面で大きな負担である。
この点、本実施形態に係る活物質の製造方法で製造される固体(粉体)の活物質は、輸送が容易であると共に輸送コストが低く、大型のバナジウムレドックスフロー電池を設置する際の設置作業負担や設置コストの低減に寄与するものである。

Claims (24)

  1. バナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩の析出物を得るゲル析出工程と、
    前記析出物を乾燥して固形物を得る乾燥工程と、を有するバナジウム電池用の粉体活物質の製造方法。
  2. 前記乾燥工程は、前記析出物にマイクロウェーブの照射する工程を含む、請求項1に記載の粉体活物質の製造方法。
  3. 前記ゲル析出工程は、前記バナジウム硫酸溶液を濃縮する濃縮処理を含む、請求項1又は請求項2に記載の粉体活物質の製造方法。
  4. 前記濃縮処理は、MWを照射する前の前記バナジウム硫酸溶液の硫酸濃度を調整する工程を含む、請求項3に記載の粉体活物質の製造方法。
  5. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液を生成する電解工程を含み、
    前記ゲル析出工程で用いられるバナジウム硫酸溶液は、前記電解工程で生成された3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液である、請求項3又は請求項4に記載の粉体活物質の製造方法。
  6. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を結晶化させる析出工程と、
    生成されたバナジウム硫酸塩を用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成するバナジウム液生成工程と、を有する、請求項5に記載の粉体活物質の製造方法。
  7. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する電解工程を含み、
    前記ゲル析出工程は、高温析出工程であり、
    当該高温析出工程で用いられる前記バナジウム硫酸溶液は、前記電解工程で生成された5価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液である、請求項3又は請求項4に記載の粉体活物質の製造方法。
  8. 前記高温析出工程は、50℃以上105℃以下の温度に保持された前記バナジウム硫酸溶液について、濃縮処理と析出処理を同時に行う、請求項7に記載の粉体活物質の製造方法。
  9. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を結晶させる析出工程と、
    生成された硫酸バナジルを用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する高濃度バナジウム液生成工程と、を有する、請求項8に記載の粉体活物質の製造方法。
  10. 前記バナジウム硫酸溶液は、4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の粉体活物質の製造方法。
  11. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を析出させる析出工程と、
    生成された硫酸バナジルを用いて、前記析出工程で用いられる前記バナジウム硫酸溶液を生成する高濃度バナジウム液生成工程と、を有する、請求項10に記載の粉体活物質の製造方法。
  12. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を電解して、3価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する第1電解工程と、
    生成された5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液に入れ替えてから両バナジウム硫酸溶液を電解して、2価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液及び5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液を生成する第2電解工程と、を含み、
    前記析出工程で用いられるバナジウム硫酸溶液は、前記2価のバナジウムイオンを含むバナジウム硫酸溶液である、請求項3又は請求項4に記載の粉体活物質の製造方法。
  13. 2価のバナジウムイオンを含む前記バナジウム硫酸溶液は、2価のバナジウムイオンを含むレドックスフロー電池用のバナジウム電解液であり、
    前記析出工程は、2価のバナジウムイオンを含む前記バナジウム電解液を-30℃以上10℃以下の温度に保持した状態で行われる、請求項12に記載の粉体活物質の製造方法。
  14. 前記乾燥工程は、次に説明する2つの雰囲気のいずれか一方の雰囲気で行われる、請求項12又は請求項13に記載の粉体活物質の製造方法。
    1 窒素濃度が80%以上100%以下の雰囲気
    2 真空度が-40kPa以下及び相対湿度が10%以下の真空雰囲気
  15. 4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム硫酸溶液からバナジウム硫酸塩を析出させる析出工程と、
    生成された硫酸バナジルを用いて、前記電解工程で電解される4価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液を調製するバナジウム液生成工程と、を有する、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の粉体活物質の製造方法。
  16. 前記乾燥工程における乾燥対象物は、有機物の含有濃度が1重量%以下である、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の粉体活物質の製造方法。
  17. 前記乾燥工程は、前記乾燥対象物に含まれるHOの一部または全部を沸点以上の温度に加熱する工程であり、
    前記乾燥対象物に含まれるHOと硫酸以外の物質は、いずれも分解温度が290℃以上である、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の粉体活物質の製造方法。
  18. 製造される前記活物質は、水又は希硫酸に溶解可能であり、水又は希硫酸に当該活物質を溶解させるとレドックスフロー電池用のバナジウム電解液が生成される、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の粉体活物質の製造方法。
  19. 請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解させる溶解工程を含む、レドックスフロー電池用のバナジウム電解液の製造方法。
  20. 前記溶媒は、水又は希硫酸溶液である、請求項19に記載のレドックスフロー電池用のバナジウム電解液の製造方法。
  21. レドックスフロー電池設備の電解液槽にバナジウム電解液を注入する電解液注入工程を含む、レドックスフロー電池設備の設置方法であり、
    前記電解液注入工程は、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の製造方法で製造された活物質を溶媒に溶解してバナジウム電解液を調製する液調製ステップと、調製されたバナジウム電解液を注入する液注入ステップとを含む、レドックスフロー電池設備の設置方法。
  22. 前記液注入ステップで注入されるバナジウム電解液は、当該注入ステップ開始前の24時間以内に実施された前記液調製ステップで生成されたバナジウム電解液である、レドックスフロー電池設備の設置方法。
  23. 前記液調製ステップは、水又は希硫酸に前記活物質を溶解してバナジウム電解液を調製する工程である、請求項21又は請求項22に記載のレドックスフロー電池設備の設置方法。
  24. 前記水又は希硫酸は、10℃以上70℃以下である、請求項23に記載のレドックスフロー電池設備の設置方法。
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