JP2020087547A - 透光性導電膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属錯体化合物を使用しなくても銀ナノワイヤを用いた導電膜に光耐久性の顕著な改善効果を付与することができ、特に、直径の細い銀ナノワイヤに対して効果的な技術を提供する。【解決手段】銀ナノワイヤの導電構造体と、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンおよび樹脂を含む非導電材料と、からなる透光性導電膜。前記2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン/前記樹脂の含有量比が質量割合で例えば0.01〜1.0である。前記銀ナノワイヤは、平均直径が30nm未満、平均長さが6.0μm以上のものである。【選択図】図1

Description

本発明は、銀ナノワイヤを導電フィラーに使用した透光性導電膜に関する。
本明細書では、太さが200nm程度以下の微細な金属ワイヤを「ナノワイヤ(nanowire(s)」と呼ぶ。なかでも銀ナノワイヤは、透明導電回路を形成するための導電材料として有望視されている。
銀ナノワイヤを用いた透明導電回路は以下のような手順で作製することが一般的である。まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)などに代表される透明基材の上に銀ナノワイヤを含有する塗工液(以下「銀ナノワイヤインク」という。)を塗布したのち、銀ナノワイヤインクの液状媒体成分を揮発除去させ、銀ナノワイヤが集積して導電ネットワークを構成している「銀ナノワイヤ導電構造体」を形成させる。次に、前記の銀ナノワイヤ導電構造体の上から透明樹脂を含有する塗料を塗布したのち、その塗料の溶剤成分を揮発除去させ、銀ナノワイヤ導電構造体と、樹脂を主体とする非導電材料とが積層した「透光性導電膜」を形成させる。上記透明樹脂として紫外線硬化型樹脂が適用されることもある。その場合は溶剤成分の揮発除去に加えて、紫外線硬化処理が行われる。その後、フォトレジスト法などにより前記の透光性導電膜による回路パターンが形成され、透明導電回路が得られる。
銀ナノワイヤを導電フィラーに用いた透光性導電膜は、太陽光など、紫外線や可視光を含む波長域の光を照射すると経時劣化により導電性が低下しやすいという問題を有している。ワイヤを構成している銀原子が周囲の樹脂中へ移動する現象(マイグレーション)が紫外線や可視光域の光のエネルギーによって促進され、ワイヤが次第に痩せ細っていくことが、上記経時劣化の主要因であると考えられる。最終的にはワイヤが断裂して導通が得られなくなる場合もある。光の照射によって引き起こされる導電膜の経時劣化が起こりにくい性質を、本明細書では「光耐久性」と呼ぶ。銀ナノワイヤを用いた導電膜には、光耐久性の改善が強く求められている。
特許文献1には、銀ナノワイヤ等の金属繊維が接触する樹脂層に金属錯体化合物を含有させることによって、光耐久性を改善させる技術が開示されている。また、アミン添加剤や紫外線吸収剤の使用も光耐久性の向上に有効であるとされる。アミン添加物として種々のアミノ基含有シラン化合物が列挙されている(特許文献1の段落0095〜0098)。紫外線吸収剤としてベンゾフェノン化合物やベンゾトリアゾール化合物などが挙げられている(同段落0102)。導電性繊維の繊維径は1〜50nmが好ましいとの記載があるが(段落0039)、銀ナノワイヤに関して実際に光耐久性の改善効果が確認されているのは、直径40nmのものである(段落0149)。
特許第5858197号公報
特許文献1に開示の技術によれば、銀ナノワイヤを含む導電膜と、金属錯体化合物等を含有する樹脂層の積層によって、光耐久性が向上するという。しかし発明者らの調査によれば、この手法では直径が例えば30nm未満といった細い銀ナノワイヤに対して、光耐久性の安定した改善効果が十分に得られない。また、樹脂中に金属錯体化合物を含有させると透明性が低下しやすく、着色の問題も生じやすい。特に、銀ナノワイヤの直径が30nm未満と細い場合は、光耐久性を改善するために必要な金属錯体化合物の添加量が多くなり、透明性低下や着色の問題がより顕著となる。使用環境や樹脂の種類によっては、金属錯体の反応性や触媒作用によって樹脂層の経時劣化が進行することも懸念される。
最近では、平均直径が30nm未満の細い銀ナノワイヤを安定して製造する技術も確立されつつある。直径が細い銀ナノワイヤをフィラーに使用すると、導電膜の「導電性−ヘイズバランス」を調整するための自由度が拡大し、よりクリアで優れた導電性を呈する透明導電膜を得る上で有利となる。本発明は、金属錯体化合物を使用しなくても銀ナノワイヤを用いた導電膜に光耐久性の改善効果を付与することができ、特に、直径の細い銀ナノワイヤに対しても優れた光耐久性の改善効果が得られる技術を提供しようというものである。
上記課題は以下の発明によって達成される。
[1]銀ナノワイヤの導電構造体と、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンおよび樹脂を含む非導電材料と、からなる透光性導電膜。
[2]前記2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン/前記樹脂の含有量比が質量割合で0.01〜1.0である、上記[1]に記載の透光性導電膜。
[3]前記銀ナノワイヤは、平均直径が30nm未満、平均長さが6.0μm以上のものである、上記[1]または[2]に記載の透光性導電膜。
[4]前記銀ナノワイヤは、ビニルピロリドン構造単位を有する有機保護剤が表面に付着しているものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の透光性導電膜。
本明細書において、銀ナノワイヤの平均長さ、平均直径、平均アスペクト比は、以下の定義に従う。
〔平均長さ〕
電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)による観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤの一端から他端までのトレース長さを、そのワイヤの長さと定義する。顕微鏡画像上に存在する個々の銀ナノワイヤの長さを平均した値を、平均長さと定義する。平均長さを算出するためには、測定対象のワイヤの総数を100以上とする。
〔平均直径〕
透過型電子顕微鏡(TEM)による明視野観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤにおける太さ方向両側の輪郭間距離を、そのワイヤの直径と定義する。各ワイヤは全長にわたってほぼ均等な太さを有しているとみなすことができる。したがって、太さの計測は他のワイヤと重なっていない部分を選択して行うことができる。1つの視野を写したTEM画像において、その画像内に観察される銀ナノワイヤのうち、他のワイヤと完全に重なって直径の計測が困難であるワイヤを除く全てのワイヤの直径を測定する、という操作を無作為に選んだ複数の視野について行い、合計100本以上の異なる銀ナノワイヤの直径を求め、個々の銀ナノワイヤの直径の平均値を算出し、その値を平均直径と定義する。
〔平均アスペクト比〕
上記の平均直径をDM、平均長さをLMとして下記(1)式により平均アスペクト比AMを算出することができる。ただし、(1)式に代入するDM、LMはいずれもnmの単位で表された値とする。
M=LM/DM …(1)
本発明によれば、銀ナノワイヤを用いた透光性導電膜に可視光や紫外線に対する「光耐久性」を付与することができる。特に、平均直径が例えば30nm未満といった細い銀ナノワイヤにも有効であるので、「導電性−ヘイズバランス」に優れる導電膜の構築に有利である。また、金属錯体化合物を使用しなくても光耐久性の優れた改善効果が得られるので、導電膜の透明性低下や着色の問題も回避できる。
本発明の透光性導電膜を用いた透明導電パネルの積層構造の一例を模式的に示した図。 2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンの構造式。 ビニルピロリドン構造単位の構造式。 クロスフロー循環洗浄に用いる管路構成を模式的に示した図。
図1に、本発明の透光性導電膜を用いた透明導電パネルの積層構造の一例を模式的に示す。PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)などに代表される透明基材100の表面上に銀ナノワイヤを含む導電構造体201が存在する。導電構造体201が接する透明基材100は、PETなどの透明板上にコーティングされた透明の有機または無機材料層であっても構わない。導電構造体201は、銀ナノワイヤインクを透明基材100の表面に塗布したのち、インクの液状媒体成分を揮発させることによって形成することができる。導電構造体201の構成要素である銀ナノワイヤは、個々の銀ナノワイヤが接触することによる「導電ネットワーク」を構成している。
導電構造体201は、非導電材料202と一体化して、これらが透光性導電膜200を構築している。非導電材料202はアクリル系樹脂などの透明樹脂を主成分とするものである。従来、この透明樹脂には防錆剤、紫外線吸収剤、金属錯体化合物などの添加剤が必要に応じて適宜添加されている。しかし、従来の添加剤を使用しても上述の課題を達成することは困難である。そこで本発明では、非導電材料202として、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、および樹脂を構成要素とする材料を適用する。透光性導電膜200は、導電構造体201の上面側(透明基材100と反対側)から、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、および透明樹脂を含有する塗料を塗布したのち、その塗料中の溶媒成分を揮発除去させることによって形成することができる。透明樹脂が紫外線硬化樹脂の場合は、さらに硬化処理が施される。
図1では便宜上、導電構造体201と非導電材料202の境界を直線的に描いてあるが、実際には両層が分離して存在するのではなく、導電構造体201を構成する銀ナノワイヤの導電ネットワークの隙間に非導電材料202が入り込んで、銀ナノワイヤと前記非導電材料とがタイトに接合した状態となっている。導電ネットワークを構成している銀ナノワイヤの一部が、透光性導電膜200の上面(透明基材100と反対側の面)に露出するように非導電材料202の存在量(塗料によって供給する非導電材料の量)を調整すれば、導電ペーストなどを用いたリード線との導通を確保する上で合理的である。一般的に、透光性導電膜200の厚さは50〜500nmの範囲で設定することができる。
透光性導電膜200の上面(透明基材100と反対側の面)には、パネルの用途に応じて適切な保護材300が取り付けられる。例えば透明接着剤301を介してガラスなど保護性の高い材料からなる透明板状体302を接合することによって保護材300が構築される。なお、図1において、透光性導電膜200の厚さは、誇張して描いてある。
〔透明樹脂〕
本発明の透光性導電膜を構成する非導電材料は、透明樹脂を主成分として含有する。透明樹脂としては、例えば(メタ)アクリレート基を1つまたは複数含有するアクリルモノマーやアクリルオリゴマーを混合して構成されたアクリル系樹脂、あるいはポリオールとイソシアネート基を含有する化合物を反応させて作成されたウレタン系樹脂等が適用できる。
上記アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリレート基を1つまたは複数含有するアクリルモノマーの例として、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばグリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1,5−ペンタンジオールのジ(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−2−エチル−1,3−プロパンジオールのジ(メタ)アクリレート];多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と(メタ)アクリル酸のエステル化物[例えばトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びグリセリンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート];水酸基含有両末端エポキシアクリレート;多価アルコールと(メタ)アクリル酸とヒドロキシカルボン酸のエステル化物[例えばヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート]、グリセリンのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリレート基を1つまたは複数含有するアクリルオリゴマーの例としては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合させたオリゴマーに、エポキシ基を有するアクリルモノマーを反応させることで製造したオリゴマーや、分子中にエポキシ基を有するオリゴマーに(メタ)アクリル酸を反応させて製造したオリゴマー等が挙げられる。
上記ポリオールの例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコールや単量体グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。
上記イソシアネート基を含有する化合物の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。
〔2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン〕
銀ナノワイヤの導電構造体に接する樹脂に単に紫外線吸収剤を混合するだけでは、十分な光耐久性の向上効果は得られない。しかし、紫外線吸収剤の中でも、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを含有させると、平均直径が30nm未満といった非常に細い銀ナノワイヤを使用した導電構造体に対しても、良好な光耐久性を発揮することがわかった。図2に2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンの構造式を示す。
非導電材料中の2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンの含有量は、前記2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン/前記樹脂の含有量比において、質量割合で0.01〜1.0の範囲で設定すれば良く、0.02〜0.5の範囲とすることがより好ましい。
〔銀ナノワイヤ〕
銀ナノワイヤは、導電性と視認性に優れた透光性導電膜を形成する観点から、できるだけ細くて長い形状であるものが好ましい。例えば、平均直径が30nm未満、平均長さが6.0μm以上のものを使用することが特に好ましい。平均直径があまり細いと非常に長期間の使用を考慮した光耐久性の確保には不利となる。平均直径は通常は15nm以上の範囲で設定すればよく、20nm以上に管理してもよい。平均アスペクト比は200以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましい。
このような細くて長い銀ナノワイヤは、有機保護剤存在下のアルコール溶媒中において溶媒であるアルコールの還元力を利用して銀をワイヤ上に析出させる公知の手法(アルコール溶媒還元法)において、合成条件に改善を加えることによって得ることができる。工業製品として流通している銀ナノワイヤあるいはその分散液を入手して、使用してもよい。有機保護剤としてはビニルピロリドン構造単位を有するものが適用できる。図3にビニルピロリドン構造単位を示す。具体的には、PVPや、ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーが使用できる。銀ナノワイヤの表面には通常、合成時に使用した有機保護剤が付着しており、その有機保護剤が液中分散性を担っている。
上記のビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーでは、アルコールを添加した水系溶媒中における分散性を、PVPよりも向上させることができる。そのようなコポリマーとしては、親水性モノマーの構造単位を有するものであることが重要である。ここで、親水性モノマーとは、25℃の水1000gに1g以上溶解する性質を持つモノマーを意味する。具体的には、ジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマー、アクリレート系またはメタクリレート系のモノマー、マレイミド系のモノマーなどが挙げられる。例えば、アクリレート系またはメタクリレート系のモノマーは、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。また、マレイミド系モノマーとしては、4−ヒドロキシブチルアクリレート、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミドが挙げられる。
〔透光性導電膜中の銀含有量〕
透光性導電膜中における銀ナノワイヤの含有量は、透光性導電膜の総質量に占める金属銀の質量割合において1〜100質量%の範囲で調整することが好ましい。2〜50質量%の範囲に管理してもよい。
[実施例1]
(銀ナノワイヤ合成)
アルコール溶媒としてプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、銀化合物として硝酸銀、塩化物として塩化リチウム、臭化物として臭化カリウム、アルミニウム塩として硝酸アルミニウム九水和物、アルカリ金属水酸化物として水酸化リチウム、有機保護剤としてビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト(diallyldimethylammonium nitrate)のコポリマー(ビニルピロリドン99質量%、ジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト1質量%でコポリマー作成、重量平均分子量75,000)を用意した。
常温にて、プロピレングリコール(和光純薬工業社製、特級)8016g中に、塩化リチウム(アルドリッチ社製)含有量が10質量%であるプロピレングリコール溶液4.84g、臭化カリウム(和光純薬工業社製)0.10g、水酸化リチウム(アルドリッチ社製)0.52g、硝酸アルミニウム九水和物(キシダ化成社製)含有量が20質量%であるプロピレングリコール溶液5.40g、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマー83.87gを添加して溶解させ、溶液Aとした。
プロピレングリコール89.74gのアルコール溶媒中に、純水13.73g、硝酸銀67.96gを添加して、27℃で撹拌して溶解させ、銀含有液(溶液B)を得た。
上記の溶液Aを反応容器に入れ、常温から85℃まで撹拌しながら昇温したのち、溶液Aの中に、溶液Bの全量を1分かけて添加した。溶液Bの添加終了後、さらに撹拌状態を維持して85℃で24時間保持した。その後、反応液を常温まで冷却することで、銀ナノワイヤを合成した。
(洗浄)
常温まで冷却された上記反応液にアセトンを20倍量添加し15分撹拌した。その後24時間静置した。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。その濃縮物に1280gの純水を添加し、12時間撹拌後に、アセトンを、濃縮物および1280gの純水の合計質量に対し20倍量添加し、10分撹拌後に24時間静置を行った。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。上記純水分散、アセトン添加、静置、上澄み除去の操作を10回実施し、濃縮物を得た。この濃縮物を「洗浄後の濃縮物」と呼ぶ。
(前処理)
クロスフロー循環洗浄を行うための前処理として、重量平均分子量55,000のPVP(ポリビニルピロリドン)を純水中に溶解させた水溶媒を用いて、再分散処理を施した。すなわち、上記PVP濃度が0.5質量%である水溶媒を用意し、この水溶媒約8kgと上記洗浄後の濃縮物200gを混合し、金属銀濃度(銀ナノワイヤと不純物の銀ナノ粒子を含む液中銀濃度)が0.53質量%となる銀ナノワイヤ分散液を調製した。この溶液のPVP濃度は0.49質量%である。
得られた銀ナノワイヤ分散液を、銀濃度が0.08質量%となるように純水で希釈して、約52kgの銀ナノワイヤ分散液を得た。この分散液を「クロスフロー元液」と呼ぶ。なお、以上の各操作はフッ素樹脂でコーティングされたガラス容器で行った。
(クロスフロー循環洗浄)
上記の前処理を受けたクロスフロー元液を、図4に示す管路構成を有する装置のタンクに収容したのち、連続的に管路を循環させる方法でクロスフローろ過に供した。ただし、本例では図4の符号3で表示される箇所に9本の管状フィルタを並列に配置し、それぞれの管状フィルタに液を分岐させて処理した。クロスフローろ過フィルタとして使用した管状フィルタは、多孔質セラミックで管壁が形成されており、寸法は長さ500mm、外径12mm、内径9mmである。セラミックの材質はSiC(炭化ケイ素)であり、Micromeritics社製、水銀ポロシメーターを用いて測定した水銀圧入法による平均細孔直径は3.5μmであった。
水銀圧入法による細孔分布測定の詳細条件は以下の通りである。
・測定装置:オートポアIV9510型
・測定範囲:φ100〜0.01μm、
・水銀接触角:130°
・水銀表面張力:485dyne/cm、
・前処理:300℃×1h(大気中)
・測定試料質量:3.5g
測定精度を十分に確保するため、0.1〜40μmの測定範囲では105点の測定データを採取した。ここでいう平均細孔直径はメディアン径である。
循環させる液状媒体の初期PVP濃度(クロスフロー元液を構成する水溶媒中におけるPVPの質量割合)は770ppmである。タンクに新たな液状媒体を補給しながら循環を行った。上記の管状フィルタ9本を循環流路内に並列に設置した。この管状フィルタ1本あたりに導入される液の流量を13L/minとして循環させた。管状フィルタに導入される液の流速は3495mm/sであった。また、管状フィルタの入り側の管路における圧力(図4の上流側圧力計4で計測される圧力)は0.025MPaであった。補給する液状媒体は重量平均分子量55,000のPVP(ポリビニルピロリドン)を純水中に溶解させた水溶媒であり、補給する水溶媒中のPVP濃度(水溶媒中におけるPVPの質量割合)は50ppmとした。タンクは、ジャケット付タンクであり、ジャケットに冷却水を流すことにより、循環中の液温の上昇を抑制した。また、補給する純水は冷却して10〜15℃の温度の冷却純水を使用した。その結果、循環中の液温は20〜30℃の範囲であった。このようにして5時間のクロスフロー循環洗浄を行った。循環中に補給した液状媒体の総量は214Lであった。管状フィルタ1本当たりの平均ろ液量は79mL/minであった。
(クロスフロー濃縮)
5時間のクロスフロー循環洗浄に引き続き、液状媒体の補給を止めた状態でクロスフローろ過による循環を行い、ろ液の排出により液量が減少していくことを利用して銀ナノワイヤ分散液の濃縮を行い、銀ナノワイヤが水溶媒中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この分散液中の金属銀濃度をICP発光分光分析法(装置:アジレント・テクノロジー株式会社製 ICP発光分光分析装置720−ES)によって測定したところ、銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.387質量%であった。この溶液を「分散液A」と呼ぶ。
(銀ナノワイヤの寸法形状)
平均長さLMを以下のようにして測定した。ナノワイヤ分散液をイソプロピルアルコールで銀濃度が0.002%となるように希釈し、Si製の基板上に6μL乗せた後、160℃で1分間乾燥させることにより、SEM観察用サンプルを得た。得られたサンプルを走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製;JSM−IT100 InTouchScope)により、加速電圧5kV、倍率1,000倍で観察を行った。無作為に選んだ3以上の視野について、視野内で全長が確認できるすべてのワイヤを測定対象として、ソフトウェア(ドクターカンバス)を用いて、上述の定義に従って平均長さLMを求めた。
平均直径DMを以下のようにして測定した。ナノワイヤ分散液をTEM用の観察台にとり、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製;JEM-1011)により、加速電圧100kV、倍率40,000倍で明視野像の観察を行って観察画像を採取し、正確に直径を測定するために採取された元画像を2倍のサイズに拡大した上で、ソフトウェア(Motic Image Plus2.1S)を用いて、上述の定義に従って平均直径DMを求めた。
測定の結果、平均長さLMは16μm、DMは23.4nmであった。
(増粘剤熱水処理)
増粘剤として、メトキシ基21.5質量%、ヒドロキシプロポキシ基30.0質量%に調整されたHPMC(化学メーカーの製造によるもの、重量平均分子量:840,000)を使用した。容器は15LのSUS製槽を使用し、直径135mmのディスクタービン羽を用いた。増粘剤は目開き200μmの篩を使用して篩にかけた後、98℃に加熱した純水6000g中に篩後の増粘剤150g加え、30分間600rpmで撹拌を行った。PFAメッシュに沸騰した純水をかけて温めた後、撹拌後の増粘剤を前記の温めたメッシュにてろ過し回収した。その後、沸騰した純水8000gをメッシュ上の増粘剤にかけた後、70℃で乾燥させて熱水処理済みの増粘剤120gを得た。この増粘剤熱水処理工程を2回に分けて行い、合計240gの熱水処理済み増粘剤を合計240g得た。
(増粘剤溶解)
増粘剤の溶解には、20LのSUS製槽を使用し、直径150mmのディスクタービン羽を用いた。95℃に加熱した純水9850gに熱水処理済み増粘剤150gを加え、475rpmで撹拌しながら40℃まで放冷したのち、槽のジャケットにチラーにより冷却した冷却水を流すことにより冷却し、12時間撹拌した。撹拌終了時の温度は9℃であった。得られた水溶液をフィルタ(L1P030、濾過精度3.0μm、ロキテクノ社製)で加圧ろ過(設定圧力0.2MPa)し、不溶性成分の除去を行い、増粘剤含有液を得た。この液を「増粘剤元液A」と呼ぶ。増粘剤元液Aにおける増粘剤の濃度は1.24質量%であった。
(銀ナノワイヤ塗工液の調製)
上記クロスフローろ過によって得られた分散液A2000g、純水233g、増粘剤元液A347gを加え、直径170mmの6枚傾斜羽を使用して150rpmで2時間撹拌した。その後、2−プロパノールの50%水溶液を1720g加え、150rpmで12時間撹拌した。得られた溶液を「銀ナノワイヤ塗工液A」と呼ぶ。銀ナノワイヤ塗工液Aの金属銀濃度をICP発光分光分析法によって測定したところ、銀ナノワイヤ含有量は金属銀換算で0.179質量%であった
(非導電材料元液の調製)
透光性導電膜を構成する非導電材料の調合のために、以下の樹脂塗料と添加剤を用意した。
樹脂塗料:フォルシード307C(中国塗料株式会社製、樹脂成分比率50%)
添加剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12(ケミプロ化成株式会社製)
上記樹脂塗料の樹脂成分100質量部に対し、上記添加剤を10質量部混合して非導電材料の液を得た。すなわち、添加剤/樹脂の含有量比は質量割合で0.10となる。この液を「非導電材料元液A」と呼ぶ。
(非導電材料塗工液の作製)
酢酸ブチルとメチルイソブチルケトンを質量比7:3の割合で混合した希釈用溶媒を作製した。この希釈用溶媒を用いて上記非導電材料元液Aの含有量が0.8質量%となるように希釈した。この希釈後の溶液を「非導電材料塗工液A」と呼ぶ。
(銀ナノワイヤの導電構造体の形成)
厚さ100μm、寸法150mm×200mmのPETフィルム基材(東レ株式会社製、ルミラーU40)を用意した。上記の銀ナノワイヤ塗工液Aを、ダイコーター塗工機(ダイ門社製、New卓ダイS−100)によりPETフィルム基材上に塗布し、面積100mm×100mmの塗膜を形成した。塗工条件は、ウェット厚:12μm、ギャップ:40μm、速度:10mm/s、タイマー:1.5s、塗工長:100mmとした。塗布後、120℃で1分間乾燥させ、銀ナノワイヤの導電構造体を形成した。この導電構造体を「銀ナノワイヤ導電構造体A」と呼ぶ。
(透光性導電膜の形成)
PETフィルム基材上に形成された銀ナノワイヤ導電構造体Aの面上に、上記の非導電材料塗工液Aを、ダイコーター塗工機(ダイ門社製、New卓ダイS−100)により塗布し、面積100mm×130mmの塗膜を透明導電膜上に形成した。塗工条件は、ウェット厚:13μm、ギャップ:80μm、速度:50mm/s、タイマー:1.5s、塗工長:130mmとした。塗布後、120℃で1分間乾燥させて、銀ナノワイヤ導電構造体Aの上に非導電材料塗工液Aが塗布された乾燥塗膜を形成させた。PETフィルム基材(寸法150mm×200mm)の、何も塗工されていない部分を切り落とし、中央部に上記乾燥塗膜を有する寸法110mm×210mmのPETフィルム基材を得た。このPETフィルム基材上の乾燥塗膜にUV硬化処理を施し、樹脂を硬化させた。UV硬化処理は、ヘレウス社製のイナートボックス(ETC−QN−G)に上記PETフィルム基材を入れ、10kPa、2分の条件でN2置換を行い、ヘレウス社製のUV照射装置(LC6B)にて、照射強度500mW/cm2、積算強度400mJ/cm2の条件で行った。このようにして、銀ナノワイヤの導電構造体と、上記添加剤と樹脂を含む非導電材料とが一体化してなる透光性導電膜を形成した。
(光耐久性試験)
上記のPETフィルム基材上に形成した上記の透光性導電膜に対し、耐光性試験機(卓上キセノン耐光性試験機、アトラス・サンテストXLS+、株式会社東洋精機製作所)を用いてキセノンランプによる光の照射を行った。昼光フィルタを使用しており、放射照度の制御範囲は300〜800nmの範囲で250〜765W/m2である。試験条件は、ブラックパネル温度60℃、照射強度550W/m2(波長300〜800nmの分光放射照度の積算値)、照射時間は250時間、500時間、750時間、1000時間の4水準とした。光照射試験前、および照射時間時t(h)後のシート抵抗測定値から、下記(2)式により定まるシート抵抗変化率A(t)(%)を求めた。この銀ナノワイヤ導電膜のシート抵抗(表面抵抗)は、渦電流式抵抗率測定器(ナプソン社製、EC−80P)により、PETフィルム基材の銀ナノワイヤ導電膜および透明樹脂層形成面とは反対側の面から測定した。
A(t)=(R(t)−R(0))/R(0)×100 …(2)
ここで、
R(0):光照射試験前のシート抵抗(Ω/sq)、
R(t):t時間の光照射試験直後のシート抵抗(Ω/sq)、
である。
結果を表1に示す。照射時間1000時間でもシート抵抗変化率は100%以下を維持していることから、この透光性導電膜は非常に優れた光耐久性を有すると評価される。
[比較例1]
非導電材料元液の調製において、添加剤を何も加えなかったこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。すなわち、添加剤/樹脂の含有量比は質量割合で0となる。結果を表1に示す。照射時間750時間でシート抵抗変化率は100%を超えた。
[比較例2]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル:(東京化成工業株式会社)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間250時間でシート抵抗変化率は6000%以上となった。
[比較例3]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール:KEMISORB79(ケミプロ化成株式会社製)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間1000時間でシート抵抗変化率は6000%以上となった。
[比較例4]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン:KEMISORB102L(ケミプロ化成株式会社製)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間500時間でシート抵抗変化率は6000%以上となった。
[比較例5]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル+デカン二酸1−メチル10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル):KEMISORB29(ケミプロ化成株式会社製)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間1000時間でシート抵抗変化率は6000%以上となった。
[比較例6]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル:KEMISORB114(ケミプロ化成株式会社製)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間1000時間でシート抵抗変化率は6000%以上となった。
[比較例7]
非導電材料元液の調製において、添加剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン:KEMISORB12に代えて、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン:KEMISORB111(ケミプロ化成株式会社製)を使用したこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表1に示す。照射時間1000時間でシート抵抗変化率は400%を超えた。
Figure 2020087547
表1からわかるように、紫外線吸収剤の中でも、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを添加剤に用いることによって、平均直径30nm未満といった非常に細い銀ナノワイヤを使用した透光性導電膜において極めて高い光耐久性を付与することが可能になる。
[実施例2]
非導電材料元液の調製において、添加剤/樹脂の含有量比を質量割合で0.025としたこと、および光耐久性試験において照射時間を250時間、500時間、750時間の3水準としたこと以外、実施例1と同様の条件で試験を行った。結果を表2に示す。2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンは、少量の添加でも光耐久性の明らかな改善効果を発揮する(比較例1との対比)。
[実施例3]
非導電材料元液の調製において、添加剤/樹脂の含有量比を質量割合で0.05としたこと以外、実施例2と同様の条件で試験を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
非導電材料元液の調製において、添加剤/樹脂の含有量比を質量割合で0.12としたこと以外、実施例2と同様の条件で試験を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
非導電材料元液の調製において、添加剤/樹脂の含有量比を質量割合で0.47としたこと以外、実施例2と同様の条件で試験を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中には、表1に示した比較例1、実施例1のデータを再掲してある。
Figure 2020087547
表2からわかるように、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを添加剤に用いると、広い添加量範囲において平均直径30nm未満といった非常に細い銀ナノワイヤを使用した透光性導電膜に高い光耐久性を付与することができる。
1 タンク
2 ポンプ
3 クロスフロー濾過フィルタ
4 上流側圧力計
5 下流側圧力計
6 クロスフロー循環洗浄前の銀ナノワイヤ分散液
7 補給する液状媒体
10 循環流路
30 濾液
100 透明基材
200 透光性導電膜
201 導電構造体
202 非導電材料
300 保護材
301 透明接着剤
302 透明板状体

Claims (4)

  1. 銀ナノワイヤの導電構造体と、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンおよび樹脂を含む非導電材料と、からなる透光性導電膜。
  2. 前記2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン/前記樹脂の含有量比が質量割合で0.01〜1.0である、請求項1に記載の透光性導電膜。
  3. 前記銀ナノワイヤは、平均直径が30nm未満、平均長さが6.0μm以上のものである、請求項1または2に記載の透光性導電膜。
  4. 前記銀ナノワイヤは、ビニルピロリドン構造単位を有する有機保護剤が表面に付着しているものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性導電膜。
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