JP2020085064A - 電磁弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁弁において、取付孔に阻害されることなく弁室を拡張可能とする。【解決手段】概ね直方体をなし、且つ、内部に水平方向に延設された断面円形の弁室13及び弁室から下方に延出して底面にて開口する複数のポート5を備えた弁ハウジング7と、弁室に設けられた弁座10、20と協働するべく弁室内にて摺動可能に配置された弁体6と、弁ハウジングの弁室の軸線方向の一方の側に設けられ、弁体を第1位置と、第1位置よりも軸線方向の他方側に位置する第2位置との間で変位させるソレノイド装置1Bとを有し、弁ハウジングには第2位置よりも軸線方向の他方側において、弁室の軸線の両側を上下に貫通する締結用の取付孔8が一対設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、流路を電磁的に切り替える電磁弁に関する。
三方弁を構成する弁部と、弁部を駆動させるためのソレノイドとを備えた電磁弁が公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1の電磁弁の弁部は入力ポート、出力ポート及び供給ポートの3つのポートと、3つのポートを連通させる弁室と、弁室に収容された弁体とを備えている。ソレノイドに電流を流すと、ソレノイドが発生する磁力によって弁体が駆動し、ポートの接続状態が変更されて流路が切り替えられる。
弁部には取付孔が弁室の両側に一対設けられ、電磁弁は取付孔に差し込まれた螺子を用いて取付対象に取付けられる。
特許第4026112号公報
特許文献1の電磁弁では弁室が一対の取付孔の間に配置されている。よって、取付孔によって阻害されて弁室を拡張することができず、ポート間を接続する流路を大きくすることが難しい。
本発明が解決しようとする課題は、電磁弁において、取付孔に阻害されることなく弁室を拡張可能とすることである。
本発明の一つの実施形態による電磁弁(1)は、概ね直方体をなし、且つ、内部に水平方向に延設された断面円形の弁室(13)及び前記弁室から下方に延出して底面にて開口する複数のポート(5)を備えた弁ハウジング(7)と、前記弁室に設けられた弁座(12、20)と協働するべく前記弁室内にて摺動可能に配置された弁体(6)と、前記弁ハウジングの前記弁室の軸線方向の一方の側に設けられ、前記弁体を第1位置と、前記第1位置よりも前記軸線方向の他方側に位置する第2位置との間で変位させるソレノイド装置(1B)とを有し、前記弁ハウジングには前記第2位置よりも前記軸線方向の前記他方側において、前記弁室の前記軸線の両側を上下に貫通する締結用の取付孔(8)が一対設けられている。
この構成によれば、弁室の軸線方向について、弁体の可動域外に取付孔が配置される。これにより、取付孔に阻害されることなく、弁室を弁体の可動域に対応する部分において拡径することができる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記弁室の端部には前記軸線方向の前記他方側に凹む縮径された断面円形のリテーナ凹部(26)が付設され、前記リテーナ凹部に前記弁体を前記ソレノイド装置の側に向かって付勢する圧縮コイルばね(27)が受容され、前記取付孔は前記リテーナ凹部の両側を上下に貫通している。
この構成によれば、取付孔の間を通過するように縮径させてリテーナ凹部を形成したため、凹部を設けるために電磁弁を軸線の両側に大きくすることを要しない。
上記電磁弁において、前記弁体が前記弁室に同軸に形成された環状の弁座に前記軸線方向に近接離反可能な弁本体(14)を有するとよい。
この構成によれば、弁本体が環状の弁座を含む面に直交する方向に移動する弁であるいわゆるポペット弁として機能する。弁本体の弁座に対する近接離反によってポートの切り替えが行われるため、弁体及び弁室の構成が簡素になる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記ソレノイド装置の上部に取付けられ、前記弁ハウジングの側に水平方向に延出する回路基板(60)と、前記弁ハウジングと前記回路基板との間に位置するように、前記回路基板の下面に取付けられたコネクタ(65)とを更に有する。
この構成によれば、コネクタが弁ハウジングに上面視で重なる位置に設けられるため、電磁弁の上面視での大きさを小さくすることができる。更に、コネクタを回路基板の下面に設けることによって、回路基板の上面に設けられた場合に比べて、電磁弁の上下方向の大きさを小さくすることができる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記ソレノイド装置の上面と前記回路基板の下面との間に位置するように、前記回路基板の下面に電子部品(61)が配置されている。
この構成によれば、回路基板の上面に電子部品が配置された場合に比べて、電子部品が露出せず、回路基板によって電子部品を保護することができる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記ソレノイド装置に於けるコイルボビン(42)から上方に延出する延長部(50)に前記回路基板が取付けられ、前記コイルボビンに巻かれたコイルワイヤ(53)に接続され、前記コイルボビンに固定されたピン(52)を介して、前記回路基板が電気的に前記コイルワイヤに接続され、且つ前記コイルボビンに取付けられている。
この構成によれば、回路基板をピンに接続させることで、コイルワイヤに電気的に接続させるとともに、回路基板をソレノイド装置に取付けることができる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記コネクタは前記コネクタに嵌め合うプラグ(66)が前記軸線方向に平行に抜き差しするように構成されている。
この構成によれば、コネクタの前側上方に障害物がある場合においても、プラグが抜き差し可能となる。
上記電磁弁において、好ましくは、前記コネクタの前記軸線方向の前記他方側の端面と、前記弁ハウジングの上面とによって、前記コネクタに嵌め合う前記プラグが配置されるプラグ配置空間(95)が画定され、前記プラグ配置空間の下方に前記取付孔が設けられている。
この構成によれば、コネクタに接続されるケーブルのコネクタの概ね下方に取付孔が配置される。これにより、使用者が誤って締結具を緩めることが防止できる。
本発明による電磁弁によれば、取付孔に阻害されることなく弁室が拡張可能となる。
本発明による電磁弁の斜視図 マニホールドブロックに締結された状態における電磁弁及びマニホールドブロックの縦断面図 電磁弁の横断面図 (A)弁体が後位置にあるときの図2のIVA部分の拡大図、及び(B)弁体が前位置にあるときの図2のIVB部分の拡大図
以下に、本発明による電磁弁の実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。以下では、図1に示した矢印に従って上下、前後、及び左右方向を便宜的に定めて説明を行う。
電磁弁1は流路をそれぞれ画定する複数のポートの接続状態を電磁的に切り替えるために使用され、本実施形態では3つのポートの接続状態を切り替えるいわゆる三方弁である。例えば、電磁弁1は圧縮空気等の流体が供給された供給ポートPに出力ポートAが接続された状態と、出力ポートA内の圧力を逃がすべく、大気開放された排気ポートRに出力ポートAが接続された状態とを切り替えるために使用される。
図1に示すように、電磁弁1は金属製のマニホールドブロック2に取付けられる。マニホールドブロック2には内部を貫通する複数のブロック貫通孔3が設けられている。ブロック貫通孔3はそれぞれマニホールドブロック2の内部の流路を画定している。マニホールドブロック2の上面には水平な取付面4が設けられている。
電磁弁1は図2に示すように、三方弁を構成する弁部1Aと、弁部1Aの前側面に結合し、弁部1Aの内部のポート5の接続状態を切り替えるソレノイド装置1Bとを含んでいる。
弁部1Aは、複数のポート5を画定するとともに、弁体6を収容する直方体状の弁ハウジング7を備えている。弁ハウジング7は金属製であり、例えば、アルミニウムを削り出すことによって形成されているとよい。弁ハウジング7には上下に貫通する締結用の取付孔8が一対設けられ、取付面4には取付孔8に整合する位置に螺子孔4Aが一対設けられている。弁ハウジング7は取付面4の上側に配置されて、螺子9を取付孔8に差し込んで螺子孔4Aに締め付けることによって、弁ハウジング7は取付面4に締結される。これにより、電磁弁1はマニホールドブロック2に固定される。
図2に示すように、弁ハウジング7は凹部である弁ハウジング凹部10を備えた有底な筒状をなしている。弁ハウジング凹部10は水平方向に延設された軸線Xを中心とする断面円形の凹部であり、弁ハウジング7の前面において開口して後方に凹んでいる。
ポート5(図3参照)はそれぞれ弁ハウジング凹部10から下方に延び、底面において開口する孔である。弁ハウジング7には3つのポート5が設けられ、3つのポート5は弁ハウジング7において前後に並んで形成されている。以下では、図2に示すように、最も前側に位置するポート5を前ポート5F、中央に位置するポート5を中ポート5M、最も後側に位置するポート5を後ポート5Rと記載する。
弁ハウジング凹部10の前部には等径な大径部10Aが設けられ、後部には大径部10Aよりも内径の小さい小径部10Bが設けられている。大径部10Aと小径部10Bとの間には前方に向く円環状の段部10Cが形成されている。段部10Cは前後方向において前ポート5Fと中ポート5Mとの間に位置している。段部10Cの内周縁には軸線Xを中心とした環状をなし、前方に突出する後弁座12が設けられている。
弁体6は弁ハウジング凹部10の内部に軸線Xに沿って摺動可能に配置されている。すなわち、弁体6を収容する弁室13が弁ハウジング凹部10に形成されている。弁体6は軸線Xに同軸な円環状の弁本体14と、弁本体14の後面から軸線Xに沿って後方に延びる弁支持体15とを備えている。弁本体14は段部10Cの前方に配置されている。弁本体14は軸線Xを中心とする円環状の第1環状部材14Aと、第1環状部材14Aの外周に沿って設けられ、軸線Xを中心とする円環状の弾性部材14Bと、弾性部材14Bの外周に沿って設けられ、軸線Xを中心とする円環状の第2環状部材14Cとを備えている。
弁ハウジング凹部10の弁本体14の前側には軸線Xに同軸に円筒状の筒状部材16が収容されている。筒状部材16の外周と弁ハウジング凹部10の内周壁面との間には環状をなすゴム製のシール部材17が設けられている。筒状部材16の前縁にはその全周に渡って径外方向に延出するフランジ18が設けられている。筒状部材16の後端縁には軸線Xを中心とした環状をなし、後方に突出する環状の前弁座20が設けられている。前弁座20は全周に渡って弾性部材14Bの前側に位置している。前弁座20が設けられることで、弁体6の前方への脱落が防止され、弁ハウジング凹部10の前弁座20の後方の部分が弁室13となる。本実施形態では、弁ハウジング7の前縁にフランジ18に沿って上方に延出するハウジング延出部21が設けられている。
弁支持体15は軸線Xに同軸な円筒状(糸巻き状)をなしている。弁支持体15の前後方向略中央部にはその外周面において径内方向に凹む弁支持体凹部24が設けられている。弁支持体15の後部には、中ポート5Mと後ポート5Rとの間において弁ハウジング凹部10の内周壁面にシール部材25を介して当接している。これにより、弁体6の前後方向の位置によらず、中ポート5M及び後ポート5Rが互いに接続することが防止されている。
図2に示すように、弁ハウジング凹部10の後端部、すなわち弁室13の後端部には後方に凹むリテーナ凹部26が付設されている。リテーナ凹部26は円形の断面を有して軸線Xに沿って後方向に延びている。リテーナ凹部26の内径は前後方向に等しく、その内径は小径部10Bの内径よりも小さい。すなわち、リテーナ凹部26は小径部10Bに比べて縮径されて後方に凹んでいる。リテーナ凹部26には軸線Xに沿って延在する後圧縮コイルばね(以下、後ばね27)が受容されて保持されている。後ばね27は前端において弁支持体15の後端面に当接し、弁体6を前方に付勢する。
図2に示すように、取付孔8はそれぞれ弁ハウジング7を上下に貫通している。図3に示すように、取付孔8はリテーナ凹部26の左右両側に軸線Xを中心として左右対称に設けられている。図2(より詳細には図4(A))に示すように、取付孔8は側面視で少なくとも一部において後ポート5Rと重なっている。
弁体6の前方には軸線Xに沿って前後に延在する棒状の駆動部材30が配置されている。駆動部材30の後端面には軸線Xに沿って前方に凹む駆動部材凹部30Aが形成されている。駆動部材凹部30Aは軸線Xに直交する方向に一直線状に延びて駆動部材30の外周面に達し、駆動部材凹部30Aの両端はそれぞれ駆動部材30の外周面において開口している。
筒状部材16と駆動部材30との間には、駆動部材30を筒状部材16に対して後方に付勢する前圧縮コイルばね(以下、前ばね32)が設けられている。より詳細には、筒状部材16の前端に径内方向に延出する環状の前側ばね座34が設けられ、駆動部材30の後端に径方向外方に延出する後側ばね座35が設けられている。前ばね32は前端において前側ばね座34の後面に当接し、後端において後側ばね座35の前面に当接している。駆動部材30の外径は弁本体14の内径よりも大きく、駆動部材30に外力が加わっていないときには、前ばね32は駆動部材30を弁本体14の前端面に当接させて、弁体6を後方に付勢する。前ばね32からの後方への付勢力は後ばね27からの前方への付勢力に比べて大きくなるように設定されている。
ソレノイド装置1Bは筒状をなす樹脂製のボビン42(コイルボビン)と、ボビン42の外周に設けられたソレノイド43と、磁気回路の一部を形成する鉄製のヨーク44と、ボビン42の内孔に設けられた固定鉄心45と、ボビン42の内部において固定鉄心45の後方に離間して配置されたプランジャ46(可動鉄心)とを備えている。ボビン42は軸線Xを中心とした四角筒状をなしている。固定鉄心45はボビン42の内孔と略同形な角柱状をなしている。固定鉄心45はボビン42の内孔に挿入されて、その内孔の前部に固定されている。
ボビン42の前縁及び後縁にはそれぞれ径外方向に延出した四角環状の鍔部42Aが設けられている。図3に示すように、ソレノイド43はボビン42の外周面に沿って被覆された導線であるワイヤ53(コイルワイヤ、巻き線)が巻き回されることにより形成されている。図2に示すように、ヨーク44はボビン42の前面に沿う板状の前壁44Aと、ボビン42の後面に沿う板状の後壁44Bと、前壁下端及び後壁下端とを接続する横壁44Cとを有し、上方に向かって開口するコの字状をなしている。ヨーク44には前壁44A、後壁44B、及び横壁44Cによって下方に凹むヨーク凹部44Dが形成され、ヨーク凹部44Dにボビン42が受容されて固定されている。ヨーク44の後壁44B及びボビン42の後側の鍔部42Aの間と、ヨーク44の前壁44Aとボビン42の前側の鍔部42Aの間とにはそれぞれ軸線Xを中心とする四角環状をなすゴム製のシール部材47が設けられている。
プランジャ46は略角柱状をなし、ボビン42の内孔に軸線Xに沿って前後方向に摺動可能に受容されている。ヨーク44の後壁44Bには軸線Xに沿って貫通する貫通孔44Eが設けられている。駆動部材30は貫通孔44Eを通過して前方に延び、その前端においてプランジャ46に締結されている。フランジ18とヨーク44の後壁44Bとの間には軸線Xを中心とする四角環状をなすゴム製のシール部材48が設けられている。
図2に示すように、前側及び後側の鍔部42Aの上端にはそれぞれ上方に延出する延長部50が設けられている。延長部50の上端にはそれぞれ上方からピン52が挿入されて固定されている。これにより、ピン52はソレノイド装置1Bの上部に位置し、延長部50から上方に突出している。ピン52は金属製の角棒であり、ソレノイド43を構成するワイヤ53の両端がそれぞれ異なるピン52に接続されている。
ソレノイド装置1Bの上部には回路基板60が取付られている。回路基板60はエポキシ樹脂製の板材の表面に銅による配線が施されたいわゆるプリント基板であり、表面に電子部品61が実装されている。電子部品61は抵抗器、キャパシタ、ダイオード等であってよい。
回路基板60は表面が下方に向くように配置されて、ソレノイド装置1Bの上端、すなわち2つのピン52の上端にそれぞれ固定されている。より詳細には、回路基板60にはピン52のそれぞれに整合する位置に、厚さ方向に貫通し、内孔に銅メッキが施されたスルーホール62が設けられている。ピン52はそれぞれスルーホール62に挿入されて、回路基板60にはんだ付けされている。これにより、回路基板60の表面に設けられた配線とワイヤ53とが電気的に接続される。また、回路基板60はピン52を介してボビン42に結合されることにより、回路基板60はボビン42に対して位置決めされている。
回路基板60がボビン42に結合されているときには、電子部品61は前後方向にピン52の間に位置し、ソレノイド装置1Bの上面と回路基板60の下面との間に位置している。このように、ボビン42に上方に延出する延長部50を設けて、その延長部50に設けられたピン52に回路基板60を結合させることによって、ソレノイド装置1Bの上面と回路基板60の下面との間に電子部品61を収容する空間63が確保される。この空間63に電子部品61を収容することで、電子部品61が回路基板60から上方に突出せず、上方からの衝撃に対して電子部品61を保護することができる。
回路基板60はソレノイド装置1Bの延長部50の上側から水平をなして後方に延び、弁ハウジング7の上方に達している。回路基板60の後端は弁ハウジング7の前端より後方且つ弁ハウジング7の後端よりも前方に位置している。弁ハウジング7の上端と回路基板60の表面との間にはコネクタ65が設けられている。図2に示すように、コネクタ65は回路基板60の表面(すなわち図2の回路基板60の下面)にはんだ付けにより取付けられた、いわゆる表面実装型の電源ジャックである。すなわち、電源に接続された電源ケーブルにはコネクタ65に嵌め合うコネクタ(以下、プラグ66)が端部に設けられ、コネクタ65にプラグ66が差し込まれることによって、ソレノイド装置1Bに電力が供給される。本実施形態では、コネクタ65は後方に向けて開口する樹脂製のコネクタシェル65Aと、一端に於いて回路基板60にはんだ付けされ、他端においてコネクタシェル65Aを通過して後方に突出する電極65Bとを備えている。これにより、コネクタ65は軸線方向に平行に電源ケーブルのプラグ66が抜き差しするように構成されている。図2に示すように、コネクタ65に接続されたときには、プラグ66はその後端において概ね弁ハウジング7の後端に前後に揃う大きさに設定されている。本実施形態では、コネクタ65には2つの電極65Bが設けられ、電極65Bはそれぞれ回路基板60の表面に設けられた配線を介して対応するピン52に電気的に接続されている。
図2に示すように、電磁弁1は四角筒状をなす金属製の第1ケース71を備えている。第1ケース71の内部にはソレノイド装置1Bが挿入され、その前側の開口には前後方向に向く主面を有する板状のキャップ73が設けられている。キャップ73、及び筒状部材16のフランジ18には前後に貫通する貫通孔73A、18Aが一対ずつ設けられている。2つの貫通孔73Aはそれぞれ正面視で軸線Xについて対称に配置され、上下及び左右方向について対角な位置に形成されている。2つの貫通孔18Aはそれぞれ対応する貫通孔73Aの後方の整合する位置に形成されている。
弁ハウジング7には貫通孔18Aの後方にそれぞれ螺子孔7Aが設けられている。キャップ73の前方から2つの螺子74がそれぞれ、貫通孔73A、18Aに通されて螺子孔7Aに結合されることによって、ソレノイド装置1B及び弁ハウジング7は一体となっている。本実施形態では、弁ハウジング7のハウジング延出部21に上側の螺子孔7Aが設けられている。
図1に示すように、第1ケース71の後側にはコの字状の断面を有して前後に延在する樹脂製の第2ケース75を備えている。第2ケース75は前後に延在する上壁75A、及び上壁75Aの左右縁から下方に延びる側壁75Bを有し、側壁75Bの下端はそれぞれ弁ハウジング7に係止されている。回路基板60の第1ケース71の後端より後方の部分は、第2ケース75によって上方から覆われている。
マニホールドブロック2には3つのブロック貫通孔3が設けられている。ブロック貫通孔3はそれぞれ一端側において取付面4において開口している。ブロック貫通孔3の開口部分はそれぞれ電磁弁1の前ポート5F、中ポート5M及び後ポート5Rに対応する位置に設けられている。ブロック貫通孔3はそれぞれ他端側においてそれぞれマニホールドブロック2の左右側面の所定の位置で開口し、真空装置や流体供給装置等の所定の装置に接続している。但し、ブロック貫通孔3の他端側はマニホールドブロック2の前後側面、又は下面の所定の位置で開口し、所定の装置に接続していてもよい。取付面4には更に、2つの取付孔8に対応する位置に螺子孔4Aが設けられている。
電磁弁1はポート5の開口部分がそれぞれブロック貫通孔3の取付面4における開口部分に整合するように配置された後、取付孔8に締結具である螺子9を上方から挿入して螺子9を螺子孔4Aに締め付けることによってマニホールドブロック2に固定される。このとき、図2に示すように、ブロック貫通孔3はそれぞれ対応するポート5に接続している。弁ハウジング7の下面と取付面4との間において流体が漏洩することを防止するため、前ポート5F、中ポート5M及び後ポート5Rの弁ハウジング7の底面における開口部分にはそれぞれ環状をなすゴム製のシール部材86が設けられている。本実施形態では、中ポート5Mに接続するブロック貫通孔3Mには流体である圧縮空気が供給され、そのブロック貫通孔3Mに接続された中ポート5Mにもまた流体が供給されて供給ポートPとして機能する。後ポート5Rに対応するブロック貫通孔3Rは大気開放され、そのブロック貫通孔3Rに接続された後ポート5Rもまた大気開放され、大気圧以上の圧力を逃がすための排気ポートRとして機能する。
次に、電磁弁1の動作について説明する。ソレノイド43に流れる電流が零であるときには、後ばね27からの前方への付勢力に比べて前ばね32による後方への付勢力が大きいため、図4(A)に示すように、弁本体14が弾性部材14B及び後弁座12が当接する位置、すなわち弁本体14が後弁座12に着座した位置(以下、後位置(第2位置))にある。弁体6が後位置にあるときには、弾性部材14B及び後弁座12の協働によって前ポート5Fと中ポート5Mとの間の連通が遮断されている。また、弁体6が後位置にあるときには、弾性部材14B及び前弁座20が離間し、前ポート5Fが筒状部材16の内孔、駆動部材凹部30A、弁本体14の内孔、及び弁支持体15の内孔を順に介して後ポート5Rに連通している。これにより、前ポート5Fと後ポート5Rとが接続されて大気開放され、前ポート5Fの圧力は大気圧となっている。
次に、ソレノイド43が通電されると、ソレノイド43が励磁されて、固定鉄心45が磁化する。固定鉄心45の磁化によって、プランジャ46には固定鉄心45へ向かう方向、すなわち前方に向く磁力が加わる。その磁力と後ばね27からの前方に向く付勢力との合力が前ばね32からの後方に向く付勢力を上回ると、図4(B)に示すように、プランジャ46は前方に移動し、駆動部材30は弁体6から離れる。これにより、前ばね32から弁体6に付勢力が加わらなくなり、弁体6は後ばね27からの前方への付勢力に従って前方へ移動して、弁本体14が弾性部材14B及び前弁座20が当接する位置、すなわち弁本体14が前弁座20に着座した位置(以下、前位置(第1位置))となる。弁体6が前位置にあるときには弾性部材14B及び前弁座20の協働によって前ポート5Fと筒状部材16の内孔とを繋ぐ通路が閉じられて、前ポート5Fと後ポート5Rとの連通が遮断される。また、弁本体14が前位置にあるときには、弾性部材14B及び後弁座12が離間し、前ポート5Fと中ポート5Mとが弁支持体凹部24を介して連通する。これにより、前ポート5Fと中ポート5Mとが接続され、中ポート5Mから前ポート5Fに流体が供給されて、前ポート5Fの内部の圧力が高められる。
その後、ソレノイド43に流れる電流が零となると、ソレノイド43が発生する磁界が零となる。これにより、弁体6は前ばね32による後方への付勢力に従って後方へ移動して、前位置から後位置に変位する。これにより、前ポート5Fと中ポート5Mとの間の連通が遮断されて、前ポート5Fと後ポート5Rとが接続されて大気開放される。これにより、前ポート5Fの内部の圧力が低下して大気圧に戻る。
このように、電磁弁1によって、供給ポートPとして機能する中ポート5Mに前ポート5Fが接続された状態と、排気ポートRとして機能する後ポート5Rに前ポート5Fが接続された状態とに切り替えることが可能であり、前ポート5Fは出力ポートAとして機能する。最も前側に位置するブロック貫通孔3Fは前ポート5Fに接続され、ソレノイド43への通電によって大気開放された状態と、圧縮空気が供給された状態とに切り替えられる。
また、弁本体14が前後方向に移動して前弁座20及び後弁座12に対して近接離反することで、ポート5の間の遮断及び開放が行われる。弁本体14は前弁座20を含む面、より詳細には前弁座20の突端縁を含む面と、後弁座12を含む面、より詳細には後弁座12の突端縁を含む面に対して直角方向に移動する弁、すなわちポペット弁として機能している。このように、弁本体14の前後方向への移動によってポート5の間の接続状態を切り替えることができるため、弁体6及び弁室13の構成が簡素である。
次に、電磁弁1の組立方法について説明する。弁ハウジング7に弁ハウジング凹部10の開口から後ばね27を挿入して、リテーナ凹部26に受容させる。その後、弁体6を弁ハウジング凹部10の開口から挿入する。次に、駆動部材30とプランジャ46とを前ばね32及び筒状部材16を挟み込みつつ結合させ、その後、筒状部材16を弁ハウジング凹部10に挿入する。ワイヤ53を巻付けることによりソレノイド43を形成したボビン42をヨーク凹部44Dに収容してヨーク44に固定する。更に、固定鉄心45をボビン42の内孔に挿入し固定した後、プランジャ46をボビン42の内孔に挿入して、ボビン42の延長部50に設けられたピン52を回路基板60のスルーホール62に挿入してはんだ付けする。その後、第1ケース71の内孔に後側からボビン42及びヨーク44を挿入し、キャップ73の前方から螺子74を貫通孔73A、18Aに通して弁ハウジング7の螺子孔7Aに締結する。その後、第2ケース75を第1ケース71の前側に配置して、側壁75Bの下端を弁ハウジング7に係止することによって、電磁弁1の組立が完了する。
次に、このように構成した電磁弁1の効果について説明する。図4(A)に示すように、取付孔8は後位置にある弁体6の後方に位置している。すなわち、取付孔8は側面視で弁体6の前位置と後位置との間で定義される可動域の外側に位置している。よって、取付孔8に阻害されることなく、弁室13の径を弁体6の可動域において軸線Xから垂直な方向に広げて拡張することができる。より具体的には、弁本体14及び弁支持体15の内孔を大きくして、前ポート5Fと後ポート5Rとの間の流路を大きくすることができる。更に、弁支持体凹部24を大きくして、前ポート5Fと中ポート5Mとの間の流路を大きくすることができる。このように、各ポート5を繋ぐ流路を大きくすることで、前ポート5Fの大気圧となるまでに要する時間や圧縮空気が供給されて前ポート5Fの圧力が所望の圧力に達するまでの時間が短くなる。すなわち、電磁弁1によって出力ポートA(前ポート5F)の内部の圧力をより高速に変化させて切り替えることが可能となる。電磁弁1は、例えば、電子部品をプリント基板上に表面実装するための表面実装機において、電子部品を離脱させるべく、電子部品を真空吸着するポートに前ポート5Fを接続し、必要に応じて圧縮空気を供給して電子部品を離脱させるために使用される。各ポート5を繋ぐ流路を大きくすることのできる電磁弁1を用いることで、真空吸着するポートの圧力を高速に変化させることができ、表面実装機の動作が高速化される。
図3に示すように、取付孔8が後ばね27の左右両側に配置されている。すなわち、取付孔8の間を通過するようにリテーナ凹部26が設けられているため、リテーナ凹部26を設けるために電磁弁1を左右に大きくすることを要しない。更に、後ばね27の後方に取付孔8を設けた場合に比べて、電磁弁1の前後方向の長さを小さくすることができる。取付孔8が軸線Xの左右両側に配置されているため、螺子9を用いて弁ハウジング7とマニホールドブロック2とを左右に均等に締め付けることができる。また取付孔8は側面視で少なくとも一部において後ポート5Rと重なっているため、弁ハウジング7とマニホールドブロック2との間で良好なシールが可能となる。
図2に示すように、コネクタ65が弁ハウジング7に上面視で重なっている。これにより、電磁弁1の上面視での大きさが小さくなる。
ソレノイド装置1B及び弁ハウジング7を締結するための螺子孔7Aを設けるため、弁ハウジング7の前端部分には上方に延出するハウジング延出部21が設けられている。ハウジング延出部21は同時に弁ハウジング7の後端部分を前端部分よりも低くし、弁ハウジング7の後部上方にコネクタ65を配置する空間90が形成する役割を果たす。このように、ハウジング延出部21を設けることで、ソレノイド装置1B及び弁ハウジング7を締結し、且つコネクタ65を回路基板60の下面に設けることが可能となる。コネクタ65を回路基板60の下面に設けることによって、回路基板60の上面に設けられた場合に比べて、電磁弁1の上下方向の大きさ、すなわち高さを小さくすることができる。
回路基板60がソレノイド装置1Bの上側から後方に延出して弁ハウジング7の上方に達し、コネクタ65が回路基板60及び弁ハウジング7の間に設けられている。更に、コネクタ65は軸線方向に平行、すなわち水平方向に電源ケーブルのプラグ66が抜き差しするように構成されているため、プラグ66を上下方向に抜き差しするためのスペースを設ける必要がない。よって、コネクタ65の前側上方に障害物がある場合においても、プラグ66を抜き差しすることができる。これにより、より上下方向の幅の小さい空間内に電磁弁1を配置することが可能となる。
コネクタ65に接続されたときには、プラグ66はコネクタ65の後側、且つ弁ハウジング7の上方に配置される。すなわち、コネクタ65の後端面と、弁ハウジング7の上面とによってプラグ66が配置されるプラグ配置空間95が画定されている。図2に示すように、プラグ66はその後端において概ね弁ハウジング7の後端に前後に揃う大きさに設定されている。これにより、プラグ配置空間95の下方に取付孔8に挿入された螺子9の頭部が配置され、より好ましくは上面視でプラグ配置空間95と取付孔8とが重なっている。すなわち、電磁弁1には後端上端において下方に切欠かれて、プラグ66を配置するためのプラグ配置空間95が形成され、プラグ配置空間95の下方に上下に貫通する取付孔8が設けられるとよい。このように、プラグ配置空間95の下方に螺子9の頭部が位置し、より好ましくは上面視でプラグ配置空間95と取付孔8とが重なっているため、使用者が誤って、使用中の電磁弁1を締結する螺子9を緩めることが防止できる。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。本発明は電磁弁1が取り付けられる取付面4の向きには限定されない。例えば、取付面4は鉛直上向きであっても、鉛直下向きであってもよく、鉛直方向に対して傾斜した斜面であってもよい。
電磁弁1はポペット弁として機能する弁本体14を備えていたがこの態様には限定されず、水平方向に設けられた弁室13、及び弁室13に連通する複数のポート5を備え、ポート5の接続状態を切り替える電磁弁であればよく、例えばスプール弁や開閉弁等のいかなる電磁弁であってもよい。上記実施形態では、弁ハウジング7は金属によって形成されていたがこの態様には限定されず、例えば弁ハウジング7は樹脂によって形成されていてもよい。
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
1 :電磁弁
1A :弁部
1B :ソレノイド装置
2 :マニホールドブロック
3 :ブロック貫通孔
3F :ブロック貫通孔
3M :ブロック貫通孔
3R :ブロック貫通孔
4 :取付面
4A :螺子孔
5 :ポート
5F :前ポート
5M :中ポート
5R :後ポート
6 :弁体
7 :弁ハウジング
7A :螺子孔
8 :取付孔
9 :螺子
10 :弁ハウジング凹部
10A :大径部
10B :小径部
10C :段部
12 :後弁座
13 :弁室
14 :弁本体
14A :第1環状部材
14B :弾性部材
14C :第2環状部材
15 :弁支持体
16 :筒状部材
17 :シール部材
18 :フランジ
18A :貫通孔
20 :前弁座
21 :ハウジング延出部
24 :弁支持体凹部
25 :シール部材
26 :リテーナ凹部
27 :後ばね
30 :駆動部材
30A :駆動部材凹部
32 :前ばね
34 :前側ばね座
35 :後側ばね座
42 :ボビン
42A :鍔部
43 :ソレノイド
44 :ヨーク
44A :前壁
44B :後壁
44C :横壁
44D :ヨーク凹部
44E :貫通孔
45 :固定鉄心
46 :プランジャ
47 :シール部材
48 :シール部材
50 :延長部
52 :ピン
53 :ワイヤ
60 :回路基板
61 :電子部品
62 :スルーホール
63 :空間
65 :コネクタ
65A :コネクタシェル
65B :電極
66 :プラグ
71 :第1ケース
73 :キャップ
73A :貫通孔
74 :螺子
75 :第2ケース
75A :上壁
75B :側壁
86 :シール部材
90 :空間
95 :プラグ配置空間
A :出力ポート
P :供給ポート
R :排気ポート
X :軸線

Claims (8)

  1. 電磁弁であって、
    概ね直方体をなし、且つ、内部に水平方向に延設された断面円形の弁室及び前記弁室から下方に延出して底面にて開口する複数のポートを備えた弁ハウジングと、
    前記弁室に設けられた弁座と協働するべく前記弁室内にて摺動可能に配置された弁体と、
    前記弁ハウジングの前記弁室の軸線方向の一方の側に設けられ、前記弁体を第1位置と、前記第1位置よりも前記軸線方向の他方側に位置する第2位置との間で変位させるソレノイド装置とを有し、
    前記弁ハウジングには前記第2位置よりも前記軸線方向の前記他方側において、前記弁室の前記軸線の両側を上下に貫通する締結用の取付孔が一対設けられていることを特徴とする電磁弁。
  2. 前記弁室の端部には前記軸線方向の前記他方側に凹む縮径された断面円形のリテーナ凹部が付設され、
    前記リテーナ凹部に前記弁体を前記ソレノイド装置の側に向かって付勢する圧縮コイルばねが受容され、
    前記取付孔は前記リテーナ凹部の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記弁体が前記弁室に同軸に形成された環状の弁座に前記軸線方向に近接離反可能な弁本体を有することを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
  4. 前記ソレノイド装置の上部に取付けられ、前記弁ハウジングの側に水平方向に延出する回路基板と、
    前記弁ハウジングと前記回路基板との間に位置するように、前記回路基板の下面に取付けられたコネクタとを更に有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の電磁弁。
  5. 前記ソレノイド装置の上面と前記回路基板の下面との間に位置するように、前記回路基板の下面に電子部品が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電磁弁。
  6. 前記ソレノイド装置に於けるコイルボビンから上方に延出する延長部に前記回路基板が取付けられ、前記コイルボビンに巻かれたコイルワイヤに接続され、前記コイルボビンに固定されたピンを介して、前記回路基板が電気的に前記コイルワイヤに接続され、且つ前記コイルボビンに取付けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電磁弁。
  7. 前記コネクタは前記コネクタに嵌め合うプラグが前記軸線方向に平行に抜き差しするように構成されていることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1つの項に記載の電磁弁。
  8. 前記コネクタの前記軸線方向の前記他方側の端面と、前記弁ハウジングの上面とによって、前記コネクタに嵌め合う前記プラグが配置されるプラグ配置空間が画定され、
    前記プラグ配置空間の下方に前記取付孔が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電磁弁。
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