JP2020084390A - エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む繊維及び複合繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を含み、共重合体(B)がエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対する共重合体(B)の含有率が10〜80質量%である、繊維。
[2]単糸繊度が0.5〜300dtexである、前記[1]の繊維。
[3]さらに合成ゴム(C)を0.1質量%以下含む、前記[1]又は[2]の繊維。
[4]共重合体(B)における、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域の合計質量に対するジエン系重合体(B−2)領域の含有率が30〜80質量%である、前記[1]〜[3]のいずれかの繊維。
[5]共重合体(B)に含まれるビニルアルコール構造単位の含有率が、共重合体(B)を構成する全構造単位に対して15〜60質量%である、前記[1]〜[4]のいずれかの繊維。
[6]ジエン系重合体(B−2)が、ポリイソプレンである、前記[1]〜[5]のいずれかの繊維。
[7]共重合体(B)が、グラフト共重合体(B1)である、前記[1]〜[6]のいずれかの繊維。
[8]エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を含み、共重合体(B)がエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対する共重合体(B)の含有率が10〜80質量%である樹脂と、他の熱可塑性樹脂(D)とを含む、複合繊維。
[9]熱可塑性樹脂(D)がポリオレフィン又はポリエステルである、前記[8]の複合繊維。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかの繊維又は複合繊維を含む繊維製品。
本発明の繊維は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を含み、共重合体(B)がエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対する共重合体(B)の含有率が10〜80質量%であることを特徴とする。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有率、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及び(B−1)の種類は特に限定されないが、例えば以下に示すエチレン−ビニルアルコール共重合体が好適に用いられる。エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及び(B−1)は、各重合体を構成する構造単位、各重合体の溶融粘度、けん化度等が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及び(B−1)の各々において、単独のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いてもよいし、複数のエチレン−ビニルアルコール共重合体を組み合せて用いてもよい。なお、本発明において重合体中の構造単位とは、重合体を構成する繰り返し単位のことを意味する。例えば、エチレン単位又はビニルアルコール単位も構造単位である。エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)はジエン系重合体(B−2)領域を有しない点で、共重合体(B)と異なる。
共重合体(B)は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成される。共重合体(B)は、少なくとも一つのエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域と少なくとも一つのジエン系重合体(B−2)領域を有する共重合体であれば特に制限はない。共重合体(B)は、例えばグラフト共重合体(B1)やブロック共重合体(B2)である。本発明の繊維においてジエン系重合体(B−2)を導入することで、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)が改質され、繊維自体が高エネルギー耐性に優れる。
共重合体(B)は、好ましくはグラフト共重合体(B1)である。グラフト共重合体(B1)の構造は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域からなる主鎖及びジエン系重合体(B−2)領域からなる側鎖から構成されることが好ましい。すなわち、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域からなる主鎖に対して、ジエン系重合体(B−2)領域からなる側鎖が導入されたものであることが好ましい。特に、1つのエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域に複数のジエン系重合体(B−2)領域が結合したものが特に好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)の種類は特に限定されないが、例えば、上記したエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)は、ビニルアルコール単位の含有率が40mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であっても、55mol%以上であってもよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を1種単独で用いてもよく、複数のエチレン−ビニルアルコール共重合体を組み合せて用いてもよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域からなる主鎖にジエン系重合体(B−2)領域からなる側鎖をグラフトさせることで、得られるグラフト共重合体(B1)を改質し、繊維自体がより優れた高エネルギー耐性を示す。また、グラフト共重合体(B1)は、ジエン系重合体(B−2)領域からなる側鎖が適度な分子量分布を有し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む実施形態において、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とグラフト共重合体(B1)の相溶性が向上しやすく、成形後の透明性が高くなりやすい。
共重合体(B)が、ブロック共重合体(B2)である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域を重合体ブロック(b1)として有し、ジエン系重合体(B−2)領域を重合体ブロック(b2)として有する。ブロック共重合体(B2)は、重合体ブロック(b1)及び重合体ブロック(b2)をそれぞれ1つずつ有するものであってもよいし、重合体ブロック(b1)及び/又は重合体ブロック(b2)を2つ以上有するものであってもよい。該ブロック共重合体の結合様式としては、b1−b2型ジブロック共重合体、b1−b2−b1型トリブロック共重合体、b2−b1−b2型トリブロック共重合体、b1−b2−b1−b2型テトラブロック共重合体やb2−b1−b2−b1型テトラブロック共重合体に代表される線状マルチブロック共重合体、(b2−b1−)n、(b1−b2−)n等で表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体などが挙げられる。nは2より大きい値である。
共重合体(B)は、ジエン系重合体(B−2)を含む。ジエン系重合体(B−2)の構造は特に限定されないが、ジエン系重合体(B−2)がオレフィン構造を有することが好ましい。ジエン系重合体(B−2)がオレフィン構造を有することで、本発明の繊維は高エネルギー線による架橋又は加硫が可能となる。ジエン系重合体(B−2)としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリファルネセン等が挙げられる。また、ジエン系重合体(B−2)は、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、クロロプレン及びファルネセンからなる群より選択される2種以上の共重合体であってもよい。中でも、反応性及び柔軟性の観点から、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレンが好ましく、高エネルギー耐性により優れる点から、ポリイソプレンがより好ましい。なお、共重合体(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)とジエン系重合体(B−2)以外の構造単位を含んでいてもよい。また、グラフト共重合体(B1)の側鎖は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)とジエン系重合体(B−2)以外の構造単位を含んでいてもよい。
本発明の繊維は、従来公知の紡糸装置、延伸装置を使用し、通常の溶融紡糸法により紡糸を行うことができ、例えば、低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸法、紡糸後に延伸と仮撚を同時に又は続いて行う方法の任意の方法で、長繊維、短繊維を製造できる。
本発明の他の実施形態としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を構成成分とする樹脂と、これら以外の熱可塑性樹脂(D)を補強層として構成されてなる複合繊維が挙げられる。熱可塑性樹脂(D)としては、耐熱性、寸法安定性の点から、融点が150℃以上の結晶性の熱可塑性重合体を用いるのが好ましく、その代表例として繊維形成性のポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。なかでも、汎用性の点から、ポリオレフィン又はポリエステルが好ましい。
後述するグラフト重合反応で得られた樹脂組成物を抽出溶媒(水/イソプロパノール=4/6(質量比)混合)に添加し、80℃で3時間抽出処理を行った。抽出液を濃縮し、得られた抽出物、及び抽出されなかった残渣の質量をそれぞれ測定した。係る抽出物の質量が上記樹脂組成物に含まれるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の質量(Waとする)であり、抽出されなかった残渣の質量が上記樹脂組成物に含まれるグラフト共重合体(B1)の質量(Wbとする)である。これらの質量から(A)/(B1)の質量比、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とグラフト共重合体(B1)の合計100質量部に対するグラフト共重合体(B1)の含有率(質量%)を算出した。なお、当該処理における抽出物がグラフト共重合体(B1)を含まず、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のみであることは、抽出物の1H−NMR分析から確認した。また、実施例12及び実施例13で得られた樹脂組成物は、実施例1と同様の操作で合成ゴム(C)を除去した後、上述の方法によりWa及びWbを算出した。
各合成例で得られた樹脂組成物(樹脂組成物から、合成ゴム(C)を除去した後の樹脂組成物)の質量を「Wab」とし、Wabと、反応に使用したエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)の質量の差を「Wq」とする。上述の方法で算出された樹脂組成物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の質量を「Wa」とし、Wab−Waをグラフト共重合体(B1)の質量「Wb」とした。そして、Wb−Wqをエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)からなる主鎖の質量とし、Wqをジエン系重合体(B−2)からなる側鎖の質量として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)からなる主鎖とジエン系重合体(B−2)からなる側鎖の合計質量に対するジエン系重合体(B−2)からなる側鎖の質量比を算出した。
原料のエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン単位をa2質量%、ビニルアルコール単位をb2質量%とする。以下の計算式に従い、総変性量(樹脂組成物の全単量体単位に対する、グラフト重合された単量体の含有率)を算出した。なお、実施例で得られた樹脂組成物中に合成ゴム(C)を含む場合は、後述する洗浄操作により合成ゴム(C)を除去した樹脂組成物について、上記総変性量を算出した。
総変性量[mol%]=Z2/(X2+Y2+Z2)×100
上記式中、X2、Y2、Z2は以下の数式で算出される値である。
X2={(原料のエチレン−ビニルアルコール共重合体(質量部))×(a2/100)}/28
Y2={(原料のエチレン−ビニルアルコール共重合体(質量部))×(b2/100)}/44
Z2={(反応後の樹脂組成物(質量部))−(原料のエチレン−ビニルアルコール共重合体(質量部))}/(グラフト重合する単量体の分子量)
前述のWb(グラフト共重合体(B1)の質量)、Wb−Wq(グラフト共重合体(B1)におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)からなる主鎖の質量)、b1(エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるビニルアルコール単位の質量%)を用いて、以下の式に従い算出した。
ビニルアルコール単位の含有率[%]={(Wb−Wq)×b1/100}/Wb×100
各合成例で得られた樹脂組成物100質量部に、酸化防止剤としてN−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業製ノクラック6C)1.0質量部をブレンドし、ラボプラストミルにて、200℃の温度で10分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させコンパウンドを得た。得られたコンパウンドを、ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製粗粉砕機SM300を用いて粉砕し、紡糸原料となる粗粒を得た。
株式会社島津製作所製 高化式フローテスター301型を用い、上記方法で得られた紡糸原料を190℃で5分余熱した後、荷重30kgfで、0.5mmのノズル径からストランドを吐出し、巻き取り機でストランドを巻き取って繊維を取得した。
単糸繊度(dtex)はJIS L 1013:2010A法に準じて測定した。
各実施例及び比較例の繊維の引張強度(引張強さ)、伸度(伸び率)及び弾性率(初期引張抵抗度)を電子線の照射前後で測定した。JIS L 1013:2010に準じ、試長(つかみ間隔)20cm、初荷重0.09cN/dtex、引張速度10cm/minの条件で破断させた際の荷重、伸び率から求めた。表2に記載の数値は5回測定の平均値を採用した。強度保持率及び弾性率保持率は下記式のように示される。
強度保持率(%)=電子線照射後の引張強度/照射前の引張強度×100
弾性率保持率(%)=電子線照射後の弾性率/照射前の弾性率×100
<電子線の照射条件>
上記方法で得られた繊維に150kGyの電子線を照射した後の引張強度、伸度及び弾性率を評価した。
<測定条件>
機台:インストロン
試長:20cm
引張速度:10cm/min
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン単位含有率44mol%、エチレン単位質量分率33.3質量%、ビニルアルコール単位質量分率66.7質量%)を粉砕した後、目開き75μmの篩と目開き212μmの篩を用いて分級された粒子(粒度分布が75〜212μmの粒子)を得た。得られた粒子100質量部に電子線(30kGy)を照射した。次に、撹拌機、窒素導入管及び粒子の添加口を備えたオートクレーブに、イソプレン485質量部を仕込み、氷冷した状態で窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。ここに電子線を照射したエチレン−ビニルアルコール共重合体を100質量部添加し、オートクレーブを密閉して内温が65℃になるまで加温、粒子が液中に分散した状態で4時間加熱撹拌を継続しグラフト重合を行った。その後、ろ別して粒子を回収し、粒子をテトラヒドロフランで洗浄し、残留するイソプレンを除去した後、40℃で終夜真空乾燥することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びグラフト共重合体を含む樹脂組成物を得た。詳細を表1に示す。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン単位含有率44mol%、エチレン単位質量分率33.3質量%、ビニルアルコール単位質量分率66.7質量%)を粉砕した後、目開き75μmの篩と目開き212μmの篩を用いて分級された粒子(粒度分布が75〜212μmの粒子)を得た。得られた粒子100質量部に電子線(30kGy)を照射した。次に、撹拌機、窒素導入管及び粒子の添加口を備えたオートクレーブに、電子線を照射したエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部を添加し、系内に窒素を封入、脱圧する操作を5回繰り返して系内を窒素置換した。ここに液化ブタジエン250質量部を仕込み、オートクレーブを密閉して内温が65℃になるまで加温、そのまま4時間加熱撹拌を継続しグラフト重合を行った。その後、常温まで冷却した後、解圧して残留するブタジエンを揮発させ除去した。得られた反応後の粒子をテトラヒドロフランで洗浄した後、40℃で終夜真空乾燥することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びグラフト共重合体を含む樹脂組成物を得た。詳細を表1に示す。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン単位含有率44mol%、エチレン単位質量分率33.3質量%、ビニルアルコール単位質量分率66.7質量%)を粉砕した後、目開き75μmの篩と目開き212μmの篩を用いて分級された粒子(粒度分布が75〜212μmの粒子)を得た。得られた粒子100質量部に電子線(30kGy)を照射した。次に、撹拌機、窒素導入管及び粒子の添加口を備えたオートクレーブに、電子線を照射したエチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部、酢酸メチル183質量部を添加し、系内に窒素を封入、脱圧する操作を5回繰り返して系内を窒素置換した。ここに液化ブタジエン100質量部を仕込み、オートクレーブを密閉して内温が65℃になるまで加温、そのまま4時間加熱撹拌を継続しグラフト重合を行った。その後、常温まで冷却した後、解圧して残留するブタジエンを揮発させ除去した。得られた反応後の粒子をテトラヒドロフランで洗浄した後、40℃で終夜真空乾燥することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びグラフト共重合体を含む樹脂組成物を得た。詳細を表1に示す。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン単位含有率32mol%、エチレン単位質量分率23.0質量%、ビニルアルコール単位質量分率77.0質量%)を粉砕した後、目開き425μmの篩と目開き710μmの篩を用いて分級された粒子(粒度分布が425〜710μmの粒子)を得た。得られた粒子100質量部に電子線(30kGy)を照射した。次に、撹拌機、窒素導入管及び粒子の添加口を備えたオートクレーブに、イソプレン20質量部、メタノール980質量部を仕込み、氷冷した状態で窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。ここに電子線を照射したエチレン−ビニルアルコール共重合体を100質量部添加し、オートクレーブを密閉して内温が40℃になるまで加温した。共重合体粒子が液中に分散した状態で4時間加熱撹拌を継続しグラフト重合を行った。その後、ろ別して粒子を回収し、粒子をテトラヒドロフランで洗浄し、残留するイソプレンを除去した後、40℃で終夜真空乾燥することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びグラフト共重合体を含む樹脂組成物を得た。詳細を表1に示す。
合成例1で得た樹脂組成物を、水/イソプロパノール=4/6(質量比)混合液に添加し、80℃で3時間抽出処理を行った。その後ろ別して残渣を回収し、残渣を水/イソプロパノール=4/6(質量比)混合液で洗浄した後、40℃で終夜真空乾燥することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体が除去された、グラフト共重合体を含む樹脂組成物を得た。詳細を表1に示す。
合成例1で得られた樹脂組成物を190℃で5分余熱した後、荷重30kgfで、0.5mmのノズル径からストランドを吐出し、巻き取り機でストランドを巻き取って119dtexの繊維を得た。また、得られた繊維に対して150kGyの電子線を照射し、力学物性を評価した。
合成例2で得られた樹脂組成物を紡糸原料に用いたこと以外は実施例1と同様に繊維化を実施し、評価を行った。
合成例3で得られた樹脂組成物を紡糸原料に用いたこと以外は実施例1と同様に繊維化を実施し、評価を行った。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン単位含有率44mol%、エチレン単位質量分率33.3質量%、ビニルアルコール単位質量分率66.7質量%)を粉砕した樹脂組成物を紡糸原料に用いたこと以外は実施例1と同様に繊維化を実施し、評価を行った。
[比較例2]
合成例4で得られた樹脂組成物を紡糸原料に用いたこと以外は実施例1と同様に繊維化を実施し、評価を行った。
[比較例3]
合成例5で得られた樹脂組成物を紡糸原料に用いたこと以外は実施例1と同様に繊維化を実施し、評価を行った。
また、実施例2、3では、ブタジエンをグラフト重合させたEVOHを原料として使用しているが、実施例1と同じように電子線照射後の強度保持率、柔軟性を有しており、実施例2はグラフト共重合体比率が高いことから、未処理の繊維は強度が低く低強度であったが、電子線照射後は強度、伸度ともに増大した。実施例3はグラフト共重合体比率が、実施例1と同様であるため、同じような未処理、処理後共に同じような物性を得た。
一方で、比較例2はグラフト共重合体比率が低いため比較例1と同じような力学物性の挙動となった。
また、比較例3はグラフト共重合体比率が高く、ストランドを採取する際、断糸を繰り返したため、連続紡糸できなかった。
Claims (10)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を含み、共重合体(B)がエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対する共重合体(B)の含有率が10〜80質量%である、繊維。
- 単糸繊度が0.5〜300dtexである、請求項1に記載の繊維。
- さらに合成ゴム(C)を0.1質量%以下含む、請求項1又は2に記載の繊維。
- 共重合体(B)における、エチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域の合計質量に対するジエン系重合体(B−2)領域の含有率が30〜80質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維。
- 共重合体(B)に含まれるビニルアルコール構造単位の含有率が、共重合体(B)を構成する全構造単位に対して15〜60質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維。
- ジエン系重合体(B−2)が、ポリイソプレンである、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維。
- 共重合体(B)が、グラフト共重合体(B1)である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)を含み、共重合体(B)がエチレン−ビニルアルコール共重合体(B−1)領域とジエン系重合体(B−2)領域から構成され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対する共重合体(B)の含有率が10〜80質量%である樹脂と、他の熱可塑性樹脂(D)とを含む、複合繊維。
- 熱可塑性樹脂(D)がポリオレフィン又はポリエステルである、請求項8に記載の複合繊維。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の繊維又は複合繊維を含む繊維製品。
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WO2020262634A1 (ja) * | 2019-06-28 | 2020-12-30 | 株式会社クラレ | 樹脂組成物 |
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