JP6515743B2 - 難燃性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の難燃性ポリエステル繊維を形成するポリエステルコポリマは特に限定されるものではないが、高強度、高タフネスの繊維を得るためには主たる構造としてポリエチレンテレフタレートが好適に用いられる。なお、上述のポリエチレンテレフタレートには、さらなる強度、寸法安定性、耐候性の向上を目的として、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニールカルボン酸等のジカルボン酸、およびプロピレングリコール、ブチレングルコール等のジオール成分やエチレンオキサイド等の成分が共重合成分として含まれていてもよい。
試料である2官能性リン化合物共重合ポリエステルのベースチップ7gを加熱してペレット状に成形し、蛍光X線分析装置(Rigaku社製、ZSX100E型)を用いて、含有量既知のサンプルで予め作成した検量線から、リン原子含有量を金属含有量に換算して求めた。
試料である2官能性リン化合物共重合ポリエステルからなる難燃性ポリエステル繊維7gを加熱してペレット状に成形し、蛍光X線元素分析装置(Rigaku社製、ZSX100E型)を用いて、含有量既知のサンプルで予め作成した検量線から、リン原子含有
量を金属含有量に換算して求めた。
難燃性ポリエステル繊維の動的粘弾性をレオバイブロンを用いて、糸長3.0cm、振幅歪み0.53%、110Hzの周波数下で20℃より3℃/分の速度で200℃まで昇温しながら損失正接(tanδ)を測定し、その最大値をtanδmaxとした。
難燃性ポリエステル繊維を製造するとき、第1段目の延伸時における延伸点の位置を測定し、延伸点が延伸工程のフィードロール出口から0〜10cmの範囲内にあるものを○、それ以外のものを×と評価した。なお、延伸点はレーザードップラー速度計(TSI社製LS−50M)を用いてフィードロールから第1延伸ロールまで糸条に沿って連続的に糸速度を測定し、糸速度が急激に第1延伸ロール表面速度近くまで上昇する点を延伸点とした。
難燃性ポリエステル繊維の原糸をJIS L1013(2010)8.3.1正量繊度 a)A法に従って、所定荷重としては5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
難燃性ポリエステル繊維の総繊度をフィラメント数で除して、単糸繊度を求めた。
難燃性ポリエステル繊維の製糸スタート時から6時間後までの1糸条あたりの糸切れ回数を求めた。
難燃性ポリエステル繊維の製糸スタート時から6時間後までに発生した毛羽の個数と得られた繊維パッケージ長さの比を1万mあたりの毛羽個数に換算した値である。弛緩熱処理ロールと巻取機間に糸条から5mm離れた位置にレーザー式毛羽検知器を設置して毛羽個数をカウントした。
難燃性ポリエステル繊維の原糸をネットに製織し、JIS L1091(1999)の8.4D法により、接炎回数を測定した。接炎回数が2以下は不合格であり、3以上が合格である。
難燃性ポリエステル繊維の原糸をネットに編網し、ネットから直径120mmの試験片を切り出し、ASTM D1175に規定されるテーバー摩耗試験機に取り付け、摩耗輪CS#10、荷重500gとして、1,000回転摩耗を行なった。その後、この試験片を水洗し、下記の式を用いて摩耗減量率を算出した。
摩耗減量率(%)=(W0−W1)×100/(W2×T)
W0:測定前の試験片の重量(g)
W1:測定後の試験片の重量(g)
W2:試験片の目付(g/m2)
T:摩耗輪が接触する部分の全面積(m2)
難燃性ポリエステル繊維の整経性の評価は編網前の整経機での単位時間あたりの停台回数をもとに、以下の通り判定した。
極めて良好: 停台回数が0.5回/時間未満
概ね良好: 停台回数が0.5回/時間以上、1.0回/時間未満
不良: 停台回数が1.0回/時間以上
テレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化して得たビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートおよびその低重合体100部に3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスホリル]プロパン酸4.15部及び、0.03部の三酸化アンチモンを加え、更に0.1部の二酸化チタンを加え、250℃より、30分で285℃に昇温し、同時に反応系を常圧から30分間で0.5mmHgに減じ、その後所定の固有粘度に達するまでこの温度及び減圧度を維持し、反応を行うことにより3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスホリル]プロパン酸をリン原子量換算して0.6重量%含有する固有粘度0.7の2官能性リン化合物共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。得られた2官能性リン化合物共重合ポリエチレンテレフタレートからなるベースポリエステルチップ(a)と固有粘度が0.7で顔料としてフタロシアニンブルーをポリエチレンテレフタレートに対して9重量%含有するマスターポリエステルチップ(b)を46:1の割合で混合し、エクストルーダー型紡糸機に供給し、計量ポンプにより紡糸口金に配し、紡糸温度295℃にて溶融紡糸した。口金は0.6mmφの丸孔で孔数144個の吐出孔から押し出した後、長さ3.5cm、温度320℃の加熱筒を通過し、風速30m/minの冷却風で冷却固化し、油剤を糸条に付与し、温度110℃のフィードロールに引き取られ、引き続き延伸ロール110℃、熱セット温度230℃の温度で、1段目延伸倍率4.2倍、トータル倍率が6.5倍となるように2段延伸熱処理した後、エアージェットノズルで張力を付与し、3.5%の弛緩率で処理し、巻き取ることにより1840dtex、144フィラメントからなる2官能性リン化合物共重合ポリエステルからなる難燃性ポリエステル繊維を得た。
2官能性リン化合物共重合ポリエチレンテレフタレートのリン原子量を0.8重量%、ポリエステル繊維の熱セット温度を220℃、弛緩率を4.5%とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
ポリエステル繊維を紡糸する口金の孔数を192個、ポリエステル繊維の総繊度を1460dtex、延伸ロール温度を102℃とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
ポリエステル繊維を紡糸する口金の孔数を96個、延伸ロール温度を125℃とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
2官能性リン化合物のリン原子量換算の含有量を0.4重量%、ポリエステル繊維の熱セット温度を240℃、弛緩率を3.0%とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
ポリエチレンテレフタレートに共重合する2官能性リン化合物を(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
ポリエステル繊維の単糸断面の形状を3葉(Y型)、延伸ロール温度を115℃、熱セット温度を235℃とした以外は実施例1と同様の方法で難燃性ポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。
2官能性リン化合物のリン原子量換算の含有量を0.2重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、難燃性について接炎回数が2回で不合格となった。
ポリエステル繊維の口金の孔数を288個、総繊度を1670dtex、熱セット温度を190℃とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、製糸中の糸揺れ増大による製糸性の著しい悪化が見られ、整経性も悪化した。また、乾熱収縮率アップによる寸法安定性の悪化や単糸繊度が7dtex未満で耐摩耗性の悪化が見られた。
2官能性リン化合物のリン原子量換算の含有量を2.0重量%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、原糸強伸度の低下や製糸性の著しい悪化が見られ、整経性及び耐摩耗性も悪化する結果となった。
ポリエステル繊維の1段目延伸倍率を2.5倍、トータル延伸倍率を4.0倍とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、tanδmaxが0.18を超え、繊維の破断強度が低下し、安全ネットやメッシュで必要とされる強力が劣る結果となった。
ポリエステル繊維の口金の孔数を72個、延伸ロール温度を80℃、熱固定温度を240℃、弛緩率を2.0%とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、単糸繊度が20dtexを超え、製糸性が著しく悪化し、整経性も悪化する結果となった。
2官能性リン化合物のリン原子量換算の含有量を0.3重量%、ポリエステル繊維の弛緩率を8.0%、第1段目延伸倍率を4.6倍、トータル延伸倍率を7.2倍とした以外は実施例1と同様の方法でポリエステル繊維、及びラッセル型ネットを得た。このポリエステル繊維は、tanδmaxが0.13未満であり、製糸性の著しい悪化が見られ、整経性も悪化する結果となった。
Claims (5)
- リン原子含有量が0.3〜1.0重量%である2官能性リン化合物共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維であって、動的粘弾性測定におけるtanδの最大値(tanδmax)が0.13以上、0.18以下、単糸繊度が7〜20dtexであることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。
- 前記2官能性リン化合物がフェニル基を含むことを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリエステル繊維。
- 前記2官能性リン化合物共重合ポリエステルのリン原子含有量が0.5〜0.8重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性ポリエステル繊維。
- 前記2官能性リン化合物共重合ポリエステルの主たる構造がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1,2または3に記載の難燃性ポリエステル繊維。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性ポリエステル繊維を製造する方法であって、フィードロールおよび延伸ロールにより難燃性ポリエステル繊維を多段延伸処理するとき、第1段目延伸における延伸点を前記フィードロール出口から10cm以内且つ前記延伸ロール温度を90〜130℃に設定して延伸を行い、その後200℃以上の温度で熱セットし、弛緩率3〜7%で弛緩処理を行うことを特徴とする難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
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