JP2020083989A - 基材フィルム、絶縁フィルムおよびフラットケーブルないしアンテナ - Google Patents

基材フィルム、絶縁フィルムおよびフラットケーブルないしアンテナ Download PDF

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Abstract

【課題】高周波信号に対しても優れた電気的特性を有する基材フィルムおよび絶縁フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルム10は、フラットケーブルまたはフィルムアンテナに用いるためのものであり、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であり、ポリアリールエーテルケトン系樹脂を含有し、二軸配向されている。絶縁フィルム1は、基材フィルム10と、その基材フィルム設けられた接着層12とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、フラットケーブル用またはアンテナ用の基材フィルム、それを用いた絶縁フィルム、および、それを用いたフラットケーブルないしアンテナに関する。
絶縁フィルムの表面に導体を設け、それを他の絶縁フィルム(カバーレイ)で挟んで閉じるフラットケーブルまたはアンテナが知られている。フラットケーブルは、コンパクトで密な配線が可能なことから、種々の電子機器に使用されている。アンテナは、携帯電話や携帯電話の基地局などの無線通信機器に搭載されたり、車両の窓に貼り付けられたり、車室内空間に設置されたりしている。このフラットケーブルまたはアンテナに用いられる基材フィルムに求められる特性として、絶縁性以外に、耐熱性と、耐加水分解性がある。
近年、電子機器の発達に伴い、大容量の電気信号を処理するべく、高周波化した電気信号を伝達することが求められている。
しかし、電気信号を高周波化することにより、フラットケーブル等を流れる電気信号の減衰(伝送損失)が問題となる。この伝送損失は、導体損失と、誘電損失との和で表すことができ、電気信号の高周波化に伴いこの導体損失と誘電損失は大きくなる。そして誘電損失は、周波数と共に、絶縁フィルムの比誘電率の平方根と、誘電正接とに比例する。
このように電気信号の高周波化に応じた絶縁性の基材フィルムとして、特許文献1に示すように、耐熱性を有し、かつ、低誘電率、低誘電損失の電気的特性を有する熱可塑性液晶ポリマーフィルムが知られている。
一方、耐熱性を有する絶縁性の基材フィルムとして、特許文献2、3に示すように、同時二軸延伸によって成形され、ポリアリールケトン系樹脂を含有する二軸配向フィルムが知られている。
特開2001−274586号公報 特開2013−82087号公報 特開2015−67683号公報
しかし、液晶ポリマーフィルムの製造には特別な装置を必要とするため、その供給が不安定である。そのため、需要者からは同じレベルの電気的特性を備えた基材フィルムが求められている。
本発明は、そのような市場の要求に応えたものであり、高周波信号に対して優れた電気的特性を有する基材フィルム、その基材フィルムを用いた絶縁フィルム、および、その絶縁フィルムを用いたフラットケーブルないしアンテナを提供することを目的としている。
本発明の基材フィルムは、フラットケーブル用またはアンテナ用の基材フィルムであって、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であり、ポリアリールエーテルケトン系樹脂を主成分とし、二軸配向されていることを特徴としている。
本発明の基材フィルムであって、前記ポリアリールエーテルケトン系樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂であるものが好ましい。
本発明の基材フィルムであって、同時二軸延伸によって二軸配向されたものが好ましい。
本発明の基材フィルムであって、温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるものが好ましい。
本発明の基材フィルムであって、温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるものが好ましい。
本発明の基材フィルムであって、温度22℃、相対湿度60%、周波数20GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるものが好ましい。
本発明の基材フィルムであって、引張破壊ひずみが、室温において、100%以上であり、かつ、温度120℃、相対湿度100%において、100%以上であるものが好ましい。この場合、複雑な経路に配線可能なフラットケーブルに適している。
本発明の絶縁フィルムは、本発明の基材フィルムを備えていることを特徴としている。
本発明のフラットケーブルまたはアンテナは、本発明の絶縁フィルムと、その上に設けられる導体と、前記導体を覆うように設けられるカバーレイとを備えたことを特徴としている。
本発明のフラットケーブルまたはアンテナの第2の態様は、相対する2枚の本発明の絶縁フィルムと、その間に設けられる第1導体と、それぞれ絶縁フィルムの外面に設けられる第2導体および第3導体と、前記第2導体および第3導体を覆うように設けられるカバーレイとを備えたことを特徴としている。
本発明の基材フィルムは、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるため、誘電損失が小さく、ポリアリールエーテルケトン系樹脂を主成分とし、二軸配向されているため、耐熱変形性および耐熱寸法安定性の耐熱性を有し、かつ、優れた電気特性を有しており、フラットケーブルおよびアンテナの基材フィルムに好適である。特に、周波数が10GHz以上において、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下である場合、高周波化した電気信号に対しても良好な電気特性を備えて好ましい。
図1a−図1cはそれぞれ本発明の絶縁フィルムの一実施形態を示す断面図である。 図2a−図2dはそれぞれ本発明の絶縁フィルムを用いたフラットケーブルを示す断面図である。 図3a、bは、耐久試験の結果を示すグラフである。
図1a、図1b、図1cに、それぞれフラットケーブル用またはアンテナ用の絶縁フィルム10a、10b、10cの実施形態を示す。絶縁フィルム10aは、基材フィルム11からなる。絶縁フィルム10bは、基材フィルム11と、その一方の面に設けられた接着層12とからなる。絶縁フィルム10cは、基材フィルム11と、その両面に設けられた接着層12とからなる。なお、絶縁フィルム10b、10cにおいて、基材フィルム11と接着層12との間に両層の剥離を抑制するプライマ層(図示せず)を設けてもよい。
接着層12としては、ヒートシール性を有する樹脂層である。接着層12の比誘電率および誘電正接は、後述する基材フィルム11と実質的に同じ位にするのが好ましい。
基材フィルム11は、ポリアリールエーテルケトン(以下、PAEKとする。)系樹脂を主成分とし、二軸配向されている。
二軸配向とは、面方向において、高分子が互いに異なる2方向で配向していることを意味する。異なる2方向としては、略直角をなす2方向(フィルムの押出方向(MD)および押出方向に対して垂直な方向(TD))で配向しているのが好ましい。二軸配向することによりフィルムに、靭性(伸びおよび引張強さ)を付与することができる。
二軸配向は、未延伸の前躯体フィルムを二軸延伸することにより達成される。例えば、同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式等が挙げられる。同時二軸延伸方式による二軸配向フィルムは、逐次二軸延伸方式による二軸配向フィルムより物性の均一性が高いため、耐熱寸法安定性、耐熱変形性を備えている。
未延伸の前駆体フィルムは、樹脂材料を溶融してフィルム状に成形することにより得られる。例えば、押出成形法、カレンダー成形法、キャスティング法等が挙げられ、押出成形法が好ましい。
基材フィルム11の厚みは、5−100μm、好ましくは5−75μmである。なお、基材フィルム11に難燃性を付与するべく、30μm以上、35μm以上、特に40μm以上とするのが好ましい。
[比誘電率]
基材フィルム11は、常温常湿および高温高湿の環境下であって、周波数1GHzから20GHzにおいて、比誘電率が3.5以下、好ましくは3.4以下である。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、3.5以下であり、好ましくは3.4以下である。
温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおいて、3.5以下であり、好ましくは3.4以下である。
温度22℃、相対湿度60%、周波数20GHzにおいて、3.5以下であり、好ましくは3.4以下である。
温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおいて、3.5以下であり、好ましくは3.4以下である。
なお、PAEK系樹脂を主成分とした基材フィルムの場合、比誘電率が1.5を下回ることはない。
いずれの環境下においても、比誘電率が3.5以下であるため、この基材フィルム11をフラットケーブルまたはアンテナに用いたときの誘電損失を抑えることができる。
また基材フィルム11を温度60℃、相対湿度90%の環境下に放置することにより基材フィルムは微小ながら水分を吸収し、温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおける基材フィルムの比誘電率が、温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおける基材フィルムの比誘電率より若干高くなることがある。しかし、その変化率は10%以下である。好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下である。
「誘電正接」
基材フィルム11は、常温常湿および高温高湿の環境下であって、周波数1GHzから20GHzにおいて、誘電正接が0.005以下、好ましくは0.004以下である。
詳しくは、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、0.005以下であり、好ましくは0.004以下である。
温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおいて、0.005以下であり、好ましくは0.004以下である。
温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおいて、0.005以下であり、好ましくは0.004以下である。
温度22℃、相対湿度60%、周波数20GHzにおいて、0.005以下であり、好ましくは0.004以下である。
なお、PAEK系樹脂を主成分とした基材フィルムの場合、誘電正接が0.00005を下回ることはない。
いずれの環境下においても、誘電正接を0.005以下であるため、この基材フィルム11をフラットケーブルまたはアンテナに用いたときの誘電損失を抑えることができる。
また基材フィルム11を温度60℃、相対湿度90%の環境下に放置することにより基材フィルムは微小ながら水分を吸収し、温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおける基材フィルムの誘電正接が、温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおける基材フィルムの誘電正接より若干高くなることがある。しかし、その変化率は20%以下である。好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
「引張破壊呼びひずみ」
基材フィルム11の引張破壊呼びひずみは、室温において、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、好ましくは100%以上であり、より好ましくは120%以上であり、特に好ましくは130%以上である。
また高温高湿の環境下(温度120℃、相対湿度100%)に300時間放置後、MD方向およびTD方向のいずれの方向についての引張破壊呼びひずみは、好ましくは100%以上であり、より好ましくは110%以上であり、特に好ましくは120%以上である。
引張破壊呼びひずみは、JISK7127(1999)に基づいて試験片タイプ2(10mm×100mmの短冊)を200mm/分の速度で引っ張ったときにおける降伏後の破断時の伸び率をいう。
引張破壊呼びひずみは、フィルムの可撓性に関係する。引張破壊呼びひずみが100%より小さいと、この基材フィルムを用いたケーブルまたはアンテナを配線するときに、基材フィルムが破損することがある。特に、フラットケーブルのように複雑な経路に配線する場合、フィルムが破損することがある。そして、基材フィルム11は、高温高湿の環境下においても破損しにくい。引張破壊呼びひずみが大きくても特に問題はないが、PAEK系樹脂を主成分とした基材フィルム11の場合、通常300%を超えることはない。
基材フィルムを温度120℃、相対湿度100%の環境下に放置することにより基材フィルムは微小ながら水分を吸収し、基材フィルムの引張破壊呼びひずみは低下することがある。しかし、その変化率は20%以下である。好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
「ガラス転移温度」
基材フィルム11のガラス転移温度は200℃以上、好ましくは250℃以上、特に好ましくは300℃以上である。ガラス転移温度が200℃より低いと、絶縁フィルムの製造工程および/またはフラットケーブルの製造工程において、品質が低下するおそれがある。また異常時において導体が発熱したり、ケーブル周辺で発熱しても燃えたりすることがない。なお、ガラス転移温度は高くても特に問題はないが、PAEK系樹脂を主成分とした基材フィルム11の場合、通常400℃を超えることはない。
本明細書中でガラス転移温度は、JISK7197(1991)に基づいて得られる熱機械分析(TMA)測定結果から求める。
基材フィルム11は、PAEK系樹脂を主成分としている。
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)系樹脂としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等が挙げられる。特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が好ましい。
ここでPAEK系樹脂を主成分とは、PAEK系樹脂以外の合成樹脂を、上記基材フィルム11の比誘電率、誘電正接、引張破壊呼びひずみ、ガラス転移温度に影響を与えない範囲で含有していることを言う。例えば、基材フィルム中のポリマー成分に対するPAEK系樹脂の含有割合は、60重量%以上、80重量%以上、特に90重量%以上であるのが好ましく、100重量%であってもよい。
PAEK系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜1,500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
PAEK系樹脂の熱膨張率は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、80ppm/℃以下、好ましくは50ppm/℃以下、特に好ましくは40ppm/℃以下である。なお、熱膨張率は小さいほど好ましいが、PAEK系樹脂を主成分とした基材フィルム11の場合、10ppm/℃を下回ることはない。
また熱膨張率のMD方向とTD方向との差の絶対値は、40ppm/℃以下、好ましくは30ppm/℃以下、特に好ましくは25ppm/℃以下である。
PAEK系樹脂の150℃での熱収縮率の絶対値は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、3.5%以下、好ましくは3.0%以下、特に好ましくは2.5%以下である。
150℃での熱収縮率は、200mm×200mmの試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下に2時間放置した後のMD方向とTD方向の長さと、雰囲気温度150℃で30分間放置した後、温度23℃、相対湿度50%の環境下に2時間放置した後のMD方向とTD方向の長さとの変化量を求め、試験前の長さに対する変化量の割合である。
なお、基材フィルム11は、本発明の効果が発揮できる範囲内で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
基材フィルム11は、温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるため、この基材フィルム11を用いたフラットケーブルおよびアンテナの誘電損失が小さい。特に、10GHz以上の周波数において、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であるため、高周波化した電気信号を流してもその基材フィルム11を用いたフラットケーブルおよびアンテナの誘電損失を小さくできて好ましい。さらに、高温高湿の環境下においても、良好な比誘電率および誘電正接が維持されるため、様々な電子機器への応用が可能である。また基材フィルム11は、ポリアリールエーテルケトン系樹脂を主成分とし、二軸配向されているため、耐熱変形性および耐熱寸法安定性を有しており、かつ、優れた可撓性を有している。
次に基材フィルムの製造方法を示す。
初めに、PAEK樹脂ペレットを、溶融・混練し、押出成形して未延伸の前躯体フィルムを成形する。前躯体フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、20〜2000μm、好ましくは30〜1000μmである。
そして、この前躯体フィルムを同時二軸延伸して基材フィルムを製造する。つまり、押出成形で成形される前躯体フィルムの引き取り方向(MD方向)およびその垂直方向(前躯体フィルムの幅方向、TD方向)について延伸を行う。同時二軸延伸の変わりに、MD方向もしくはTD方向のうち一方の方向に延伸を行った後、他方の方向に延伸を行う逐次二軸延伸を行ってもよい。しかし、逐次二軸延伸の場合、最初に延伸を行った方向の熱膨張率の減少幅が小さくなり、耐熱寸法安定性が低下するため、同時二軸延伸とするのが好ましい。
延伸倍率は、MD方向およびTD方向ともに2.0倍以上の破断が起こらない範囲であり、特に、2.0〜5.0であり、より好ましくは2.2〜3.5倍である。MD方向の延伸倍率をPMD、TD方向の延伸倍率をPTDとしたとき、「PTD−PMD」は−0.6〜+0.6、特に−0.3〜+0.3が好ましい。なお、MD方向およびTD方向の延伸倍率とは、それぞれ延伸直前のMD方向の長さおよびTD方向の幅に基づいた倍率である。これらの範囲内で二軸延伸を行うことにより、熱膨張率の減少幅を制御できる。
延伸温度は、当該フィルムを構成するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg以上、Tg+30℃以下であり、好ましくはTg以上、Tg+25℃以下である。複数のポリマーからなる場合、各ポリマーのガラス転移温度に当該ポリマーの含有比率を乗じた値の和である。
延伸速度は、MD方向およびTD方向ともに50〜10000%/分であり、好ましくは100〜5000%/分、特に100〜3000%/分である。
また二軸延伸後、二軸延伸処理時の張力を弛緩させて熱処理を行う弛緩式熱処理を行うのが好ましい。その熱処理温度は、当該フィルムを構成するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)、融点をMp(℃)としたとき、Tg+40℃以上、Mp℃以下、好ましくは、Tg+50℃以上、Mp−20℃以下である。
次に、絶縁フィルム10a、10b、10cを用いたフラットケーブルについて説明する。
図2aのフラットケーブル1は、絶縁フィルム10aと、その上に設けられた導体15と、導体15を覆うように設けられるカバーレイ100とを備えている。
図2bのフラットケーブル2は、絶縁フィルム10bと、その上に設けられた導体15と、導体を覆うように設けられるカバーレイ100とを備えている。
これらは単層の電線回路を備えたフラットケーブルである。
一方、図2cのフラットケーブル3は、相対する2枚の絶縁フィルム10aと、2枚の絶縁フィルム10aの間に設けられた第1導体15aと、それぞれ絶縁フィルム10aの外側の面に設けられた第2導体15bおよび第3導体15cと、それぞれ第2導体15bおよび第3導体15cを覆うように設けられるカバーレイ100とを備えている。
また図2dのフラットケーブル4は、相対する2枚の絶縁フィルム10cと、2枚の絶縁フィルム10cの間に設けられた第1導体15aと、それぞれ絶縁フィルム10cの外側の面に設けられた第2導体15bおよび第3導体15cと、それぞれ第2導体15bおよび第3導体15cを覆うように設けられるカバーレイ100とを備えている。
これらのフラットケーブルにおいて、カバーレイ100は、絶縁フィルム101と、接着層102とを備えている。カバーレイ100の絶縁フィルム101としては、例えば、絶縁フィルム10a、10b、10cのような基材フィルム11を用いたものであってもよく、他の材質からなるものでもよい。カバーレイ100の接着層102は、ヒートシール性を有する樹脂層である。
図2a、図2bのフラットケーブル1、2は、導体が一つの層に設けられたフラットケーブルであり、図2c、図2dのフラットケーブル3、4は、導体が33層に設けられたフラットケーブルである。しかし、導体は、2層に設けられても、4層以上に設けられていてもよい。このように本発明の絶縁フィルムは、複雑な構造を有するフラットケーブルに適している。
なお、ここではフラットケーブルの構造について説明したが、アンテナの構造としても同様に用いることができる。
[実施例1]
PEEK(ビクトレックス社製、VICTREX PEEK,381G、ガラス転移温度143℃、融点343℃)を、T−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて、380℃にて溶融押出し、冷却して前駆体フィルム(150μm)を得た。この前躯体フィルムを150℃で延伸速度500%/分、延伸倍率2.5×2.6(MD×TD)にてMD方向およびTD方向に同時二軸延伸し、その後、300℃および弛緩倍率92%×92%(MD×TD)にて弛緩式熱処理を行い、厚さ25μmの基材フィルム(実施例1)を得た。
[実施例2]
PEEK(ビクトレックス社製、VICTREX PEEK,381G、ガラス転移温度143℃、融点343℃)を、T−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて、380℃にて溶融押出し、冷却して前駆体フィルム(225.6μm)を得た。この前躯体フィルムを150℃で延伸速度500%/分、延伸倍率2.5×2.6(MD×TD)にてMD方向およびTD方向に同時二軸延伸し、その後、300℃および弛緩倍率92%×92%(MD×TD)にて弛緩式熱処理を行い、厚さ41μmの基材フィルム(実施例2)を得た。
[比較例1]
PEEK(ビクトレックス社製、VICTREX PEEK,381G、ガラス転移温度143℃、融点343℃)を、T−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて、380℃にて溶融押出し、冷却して、厚さ25μmの基材フィルム(比較例1)を得た。
[比較例2]
厚さ25μmのLCPフィルム(株式会社クラレ製、べクスター)を比較例2とした。
[一般環境下における誘電率・誘電正接の測定]
実施例1の基材フィルムを幅1.5mm×長さ80mmに切り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で48時間放置した。その後、温度23(±1)℃、相対湿度50(±5)%の試験環境下で、周波数をそれぞれ1GHz、10GHzとして、それぞれの比誘電率および誘電正接を2回ずつ測定し、その平均値を求めた。測定装置としては、アジレント・テクノロジー株式会社製のPNA−LネットワークアナライザN5230Aと、株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器1GHz用CP431、10GHz用531とを用いた。
一方、実施例1の基材フィルムを幅65mm×長さ70mmに切り出し、温度22(±1)℃、相対湿度60(±5)%の環境下で90時間放置した。その後、内径21mm、高さ15mmの円筒状の共振器を用いた円筒空洞共振器法によって、周波数が20GHzにおける比誘電率および誘電正接を2回ずつ測定し、その平均値を求めた。なお、測定装置は、アジレント・テクノロジー株式会社製のVECTOR NETWORK ANALYZER HP8501C、SYNTHESIZED SWEEPER HP83651A、TEST SET HP8517Bを用いた。
それらの結果を表1に示す。
Figure 2020083989
本発明のフラットケーブル用基材フィルムは、温度23℃、相対湿度50%の環境下、周波数1GHz、10GHz、20GHzにおいて、比誘電率および誘電正接の両方において優れた値を示した。
「高温高湿度下における誘電率・誘電正接の測定」
同様に、実施例1の基材フィルムを幅1.5mm×長さ80mmに切り出し、温度60℃、相対湿度90%の環境下で48時間放置した。その基材フィルムを上記環境下から取出した後、10分〜15分の間に、温度23(±2)℃、相対湿度50(±5)%の試験環境下で、周波数を10GHzとして、それぞれの比誘電率および誘電正接を2回ずつ測定し、その平均値を求めた。比誘電率および誘電正接の結果を表2に示す。
Figure 2020083989
表2に示すように、高温高湿度の環境下でも、実施例1は、周波数10GHzという高周波数において比誘電率およびの誘電正接の両方において優れた値を示し、非常に優れた電気特性を有していることがわかった。
「耐久試験」(プレッシャークッカーテスト)
実施例1および比較例1、2の基材フィルムについて、JISK7127に基づいた試験片短冊を準備した。それらの試験片を、HASTチャンバー(EHS−211、エスベック社製)を用いて、温度120℃、相対湿度100%の環境下で、宙吊り状態でそれぞれ100時間、150時間、200時間、250時間、300時間放置した。各条件におけるそれぞれの基材フィルムのMD方向およびTD方向の引張破壊応力および引張破壊呼びひずみを測定した。
引張破壊呼びひずみは、JISK7127(1999)に基づいて試験片タイプ2(10mm×100mmの短冊)を200mm/分の速度で引っ張ったときにおける降伏後の破断時の伸び率をいい、引張破壊応力は、その破断時の応力をいう。
その結果を図3a、bに示す。
実施例1、比較例2の基材フィルムは、300時間の耐久テストでは、性能の低下は見られなかった。特に、実施例1の基材フィルムは、引張破壊呼びひずみが115%以上で維持され、優れた可撓性を有し、複雑な配線経路にも対応できるフラットケーブルに適していることがわかった。一方、比較例1の基材フィルムは、100時間経過後で、引張破壊ひずみは100%、つまり、伸びることなく切断された。
「難燃性試験」
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の薄手材料垂直燃焼試験(VTM試験)に準拠して難燃性試験を行った。詳しくは、厚さ41μm、長さ200mm、幅50mmの実施例2の試験片を準備した。23±2℃、50±5%RH、48hの環境下に置いた受理状態の試験片を、70±1℃、168h後の環境下に置いてエージングした。その試験片を円筒状に巻き、クランプに垂直に取り付けた。そして、20mm炎によって3秒接炎(第1次接炎)し、その後の残炎時間を測定し、消炎したら再度3秒接炎(第2次接炎)し、その後の残炎時間を測定した。全ての試験片の残炎時間の合計(計10回)を測定した。その結果を次の表3に示す。
Figure 2020083989
この難燃性試験から実施例2はVTM−0のクラスに該当し、最上級の難燃性を有することがわかった。
1、2、3、4 フラットケーブル
10a、10b、10c 絶縁フィルム
11 基材フィルム
12 接着層
15 導体
15a 第1導体
15b 第2導体
15c 第3導体
100 カバーレイ
101 絶縁フィルム
102 接着層

Claims (10)

  1. フラットケーブル用またはアンテナ用の基材フィルムであって、
    温度23℃、相対湿度50%、周波数1GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下であり、
    ポリアリールエーテルケトン系樹脂を主成分とし、二軸配向された、
    基材フィルム。
  2. 前記ポリアリールエーテルケトン系樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂である、
    請求項1記載の基材フィルム。
  3. 同時二軸延伸によって二軸配向された、
    請求項1または2に記載の基材フィルム。
  4. 温度23℃、相対湿度50%、周波数10GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下である、
    請求項1から3いずれかに記載の基材フィルム。
  5. 温度60℃、相対湿度90%、周波数10GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下である、
    請求項1から4いずれかに記載の基材フィルム。
  6. 温度22℃、相対湿度60%、周波数20GHzにおいて、比誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.005以下である、
    請求項1から5いずれかに記載の基材フィルム。
  7. 引張破壊ひずみが、室温において、100%以上であり、かつ、温度120℃、相対湿度100%において、100%以上である、
    請求項1から6いずれかに記載の基材フィルム。
  8. 請求項1から7いずれかに記載の基材フィルムを備えた絶縁フィルム。
  9. 請求項8記載の絶縁フィルムと、その上に設けられる導体と、前記導体を覆うように設けられるカバーレイとを備えた、フラットケーブルまたはアンテナ。
  10. 相対する2枚の請求項8記載の絶縁フィルムと、その間に設けられる第1導体と、それぞれ絶縁フィルムの外面に設けられる第2導体および第3導体と、前記第2導体および第3導体を覆うように設けられるカバーレイとを備えた、
    フラットケーブルまたはアンテナ。
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