JP2020083857A - 半発酵茶を含有するトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】トランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象のために、トランス脂肪酸が体内に吸収されることを選択的に阻害する効果を奏するトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤の提供。【解決手段】ウーロン茶等の半発酵茶、水、アルコール、若しくはこれらの混合溶媒等によるその抽出物、又はその茶殻を有効成分とする、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤。【選択図】なし
Description
本発明は、半発酵茶抽出物を含有するトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤、及びその用途に関するものである。
不飽和脂肪酸には、シス脂肪酸とトランス脂肪酸の2種類が存在する。両脂肪酸の違いは、脂肪酸分子内の二重結合におけるH原子の結合の仕方である。すなわち、脂肪酸鎖のC=C結合を垂直面として、C原子に結合しているH原子が2個とも手前側にあるものをシス脂肪酸といい、2個のうち1個が向こう側にあるものをトランス脂肪酸という。
トランス脂肪酸は、主に、(1)植物油等を部分水素添加して固体脂に変える操作、(2)反芻動物の胃内に棲息する微生物の働きによる不飽和脂肪酸中のシス型二重結合からトランス型二重結合への変換、(3)シス脂肪酸を結合した脂質の高温加熱(例えば、油脂精製の最終工程である高温下での脱臭工程)の過程で生成することが知られている。そして、一般に前記(1)によって生成するトランス脂肪酸を工業型トランス脂肪酸、前記(2)によって生成するトランス脂肪酸を天然型トランス脂肪酸という。
トランス脂肪酸を結合した脂質(油脂、脂肪)は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物など多くの食品に含有されている。総摂取エネルギーに占めるトランス脂肪酸のエネルギー割合が高まるほど、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)/HDLコレステロール(善玉コレステロール)比(LDL/HDL)が上昇し、冠動脈疾患のリスクが高まることが知られている。さらに、トランス脂肪酸の摂取が、肥満、アレルギー性疾患、胆石、脳卒中、うつ病など様々な疾患リスクと関わっていることが報告され、トランス脂肪酸による健康リスク懸念は世界的な拡がりをみせている。
そのような状況下、近年トランス脂肪酸の含有量が低いマーガリン類やショートニングが開発されているものの、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中にもトランス脂肪酸は含まれており、このように摂取するのが日常的となっている食品に含まれるトランス脂肪酸のみを選択的に排除する方法については、今まで知られておらず、実質的に困難であった。
一方、これまでに脂肪吸収を阻害する物質については、数多く報告されている。例えば、ポリフェノールを多く含んだ濃縮赤ワインエキスに中性脂肪吸収阻害作用のあることが知られている(特許文献1)。また、紅茶由来のポリフェノールを高含有量に含有した紅茶エキスに中性脂肪吸収阻害作用のあることが知られている(特許文献2)。しかしながら、これらは血漿中の中性脂肪の濃度が低減しており、脂質そのものの取り込みを阻害している点で、シス脂肪酸及びトランス脂肪酸の両方の吸収を阻害しており、トランス脂肪酸の吸収を選択的に阻害しているとはいえない。
また、トランス脂肪酸の吸収を阻害する物質としては、水不溶性セルロース誘導体を用いる方法(特許文献3)、水溶性セルロース誘導体を用いる方法(特許文献4)、α−サイクロデキストリン(非特許文献1)が知られている。しかし、水不溶性セルロース誘導体、水溶性セルロース誘導体及びα−サイクロデキストリンは通常、化学合成や酵素を用いて人工的に製造されるものであり、食歴があり、普段の食生活に組み込んで安心・安全に長期間摂取しても問題のないトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤については知られていない。
城文子ら,食品と開発 46(1):81−83(2011)
本発明の目的は、トランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象のために、トランス脂肪酸が体内に吸収されることを選択的に阻害する効果を奏するトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記選択的吸収阻害剤を用いた用途、具体的には、前記選択的吸収阻害剤を含有するトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害用飲食品組成物、前記選択的吸収阻害剤を含有する反芻家畜用飼料添加物、前記選択的吸収阻害剤を用いた反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する方法並びにトランス脂肪酸含量が低下した乳及び/又は肉を生産する方法を提供することにある。
本発明者らの鋭意研究の結果、意外にも食品として長年飲用されてきた半発酵茶抽出物、(例えば、ウーロン茶抽出物)に、シス脂肪酸に比べてトランス脂肪酸の吸収を顕著に抑えるという、選択的吸収阻害作用があることを新規に見出した。そして、半発酵茶抽出物がトランス脂肪酸選択的吸収阻害用飲食品組成物等に利用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
[1]半発酵茶、その抽出物又はその茶殻を有効成分とする、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[2]前記半発酵茶がウーロン茶である前記[1]のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[3]前記抽出物が水、アルコール、若しくはこれらの混合溶媒による抽出物、又は超臨界流体抽出による抽出物である、前記[1]又は[1]2に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害用飲食品組成物、
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物、
[6]反芻家畜に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する方法、
[7]反芻家畜に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、トランス脂肪酸含量が低下した乳及び/又は肉を生産する方法、
[8]反芻家畜が、乳用牛、肉用牛、乳用羊、肉用羊、乳用山羊、又は肉用山羊であることを特徴とする前記[6]又は[7]に記載の方法、
に関する。
[1]半発酵茶、その抽出物又はその茶殻を有効成分とする、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[2]前記半発酵茶がウーロン茶である前記[1]のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[3]前記抽出物が水、アルコール、若しくはこれらの混合溶媒による抽出物、又は超臨界流体抽出による抽出物である、前記[1]又は[1]2に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤、
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害用飲食品組成物、
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物、
[6]反芻家畜に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する方法、
[7]反芻家畜に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、トランス脂肪酸含量が低下した乳及び/又は肉を生産する方法、
[8]反芻家畜が、乳用牛、肉用牛、乳用羊、肉用羊、乳用山羊、又は肉用山羊であることを特徴とする前記[6]又は[7]に記載の方法、
に関する。
本発明のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤は、健康上有用なシス脂肪酸の吸収はあまり阻害することなく、健康上問題のあるとされるトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質を選択的に吸収阻害する作用を有する。従って、トランス脂肪酸を含む食品と共に、本発明のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤も摂取することで、トランス脂肪酸の体内への吸収を抑えて、冠動脈疾患や、肥満、アレルギー性疾患、胆石、脳卒中、うつ病など様々な健康上のリスクを回避するのに有用である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、本発明を限定するものではない。
本発明の選択的トランス脂肪酸吸収阻害剤は、日常生活において食事、間食等を通して体内に取り込まれるトランス脂肪酸の吸収を阻害する機能を有するものであり、半発酵茶、その抽出物又はその茶殻を有効成分として含有してなることを特徴とする。茶は製法によって以下に示すように6つに大別できる(表1)。このうち、半発酵茶は、緑茶や白茶などに比べて酵素による酸化を更に進めることで、緑茶や白茶とは異なる茶成分の分解物が含まれていると考えられる。
本発明において「トランス脂肪酸」とは、少なくとも一つ以上のメチレン基で隔てられたトランス型の非共役炭素−炭素二重結合を持つ一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸のすべての幾何異性体を意味する。代表的なトランス脂肪酸としては、二重結合の数が一つのエライジン酸(t9−C18:1)、バクセン酸(t11−C18:1)、二重結合の数が二つのリノエライジン酸(t9,t12−C18:2)、片方の二重結合のみトランス型のリノール酸(c9,t12−C18:2、t9,c12−C18:2)などが挙げられる。食品中に含まれるトランス脂肪酸の主たる起源は、工業由来と反芻動物由来であるが、それぞれの構成脂肪酸組成には特徴がある。
工業由来(硬化油、食用植物油)ではトランスC18:1異性体以外に、C14:1やC16:1のトランス異性体、C18:2、C18:3等の多価不飽和脂肪酸のトランス異性体も存在する。硬化油の主要なトランス脂肪酸はエライジン酸(t9−C18:1)であり、総トランスC18:1異性体の20〜30%に相当する。また、その他のC18:1異性体成分の比率も反芻動物由来の場合に比べて多いのが特徴である。
反芻動物由来の乳脂肪や牛肉は、一般に総脂肪当たり約3〜6%のトランス脂肪酸を含有し、ヒツジ肉ではやや含量が高い。乳及び肉製品の主要トランス脂肪酸は炭素数18のバクセン酸(t11−C18:1)であり、乳脂肪中で総トランスC18:1異性体の約30〜50%を占めている。
また、本発明において「トランス脂肪酸の結合脂質」とは、前記トランス脂肪酸を構成脂肪酸として含有する脂質をいい、例えば、トランス脂肪酸とアルコールとのエステル、トランス脂肪酸を含むリン脂質、糖脂質、リポタンパク質等が挙げられる。
1.トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤
本発明において、「トランス脂肪酸の選択的吸収阻害作用」とは、(1)トランス脂肪酸を含むトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、又はモノアシルグリセロールから生じた遊離のトランス脂肪酸の体内への吸収を阻害する作用、及び/又は(2)トランス脂肪酸を含むトリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールから生じたトランス脂肪酸を結合したモノアシルグリセロールの体内への吸収を選択的に阻害する作用を意味する。
本発明におけるトランス脂肪酸の選択的吸収阻害作用は、例えば後述する実施例のように、ラットやマウスなどの実験動物にトランス脂肪酸を含有する油を混ぜた試料を給餌し、同時に本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤又はトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を含有する飲食品組成物を摂取した実験動物と、摂取しなかった実験動物との糞便中に排泄されるトランス脂肪酸量を測定することや、血中に移行したトランス脂肪酸の量を比較することにより評価することができる。
本発明において、「トランス脂肪酸の選択的吸収阻害作用」とは、(1)トランス脂肪酸を含むトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、又はモノアシルグリセロールから生じた遊離のトランス脂肪酸の体内への吸収を阻害する作用、及び/又は(2)トランス脂肪酸を含むトリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールから生じたトランス脂肪酸を結合したモノアシルグリセロールの体内への吸収を選択的に阻害する作用を意味する。
本発明におけるトランス脂肪酸の選択的吸収阻害作用は、例えば後述する実施例のように、ラットやマウスなどの実験動物にトランス脂肪酸を含有する油を混ぜた試料を給餌し、同時に本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤又はトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を含有する飲食品組成物を摂取した実験動物と、摂取しなかった実験動物との糞便中に排泄されるトランス脂肪酸量を測定することや、血中に移行したトランス脂肪酸の量を比較することにより評価することができる。
本発明において、使用できる半発酵茶としては、表1に示すようにウーロン茶、鉄観音茶、水仙茶(黒ウーロン茶ともいう)などが挙げられ、茶葉そのものは、Camellia sinensis等のCamellia属植物の茶葉が挙げられる。
また、本発明において、トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤の有効成分は、半発酵茶の茶葉そのものでもよいし、半発酵茶の茶葉の抽出物でもよいし、抽出後に生じる茶殻でもよい。ここで、茶殻とは、より具体的には、食物残渣の一種であって、本発明においては、ウーロン茶等の半発酵茶の茶葉を抽出後に残る抽出残渣である。本発明においては、これを、脱水及び乾燥した後、微細化したものを原料茶殻として後述の飼料に配合することができる。
また、本発明において、トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤の有効成分は、半発酵茶の茶葉そのものでもよいし、半発酵茶の茶葉の抽出物でもよいし、抽出後に生じる茶殻でもよい。ここで、茶殻とは、より具体的には、食物残渣の一種であって、本発明においては、ウーロン茶等の半発酵茶の茶葉を抽出後に残る抽出残渣である。本発明においては、これを、脱水及び乾燥した後、微細化したものを原料茶殻として後述の飼料に配合することができる。
半発酵茶の茶葉からの抽出物の抽出方法は、特に制限はなく、浸漬抽出、連続抽出、超臨界流体抽出など公知の方法によって抽出したものを使用することができるが、市販の半発酵茶葉抽出物を使用することもできる。茶葉は抽出前に粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理には、破砕機、石臼、セラミックミル、ボールミル、ハンマーミルなどを用いることができる。好ましい半発酵茶葉の抽出物は、浸漬抽出や連続抽出の場合、親水性の溶媒、例えば水や、エタノール、メタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の低級脂肪族アルコールなどの親水性有機溶媒、又はこれらの混合液を用いて抽出されたものが好ましい。中でも、取扱い易い点から、エタノールが好ましい。また、アルコールと水との混合溶液におけるアルコールの濃度は、本発明の効果を害さない範囲で定めることができ、通常はアルコール−水混合溶液全体に対し70重量%以下である。超臨界流体抽出の場合、抽出溶媒としては、二酸化炭素、アルコール、水を用いることができるが、より好ましくは二酸化炭素である。
前記抽出溶媒で抽出する場合、抽出温度は、抽出作業が行い易い観点から、70〜95℃が好ましく、70〜80℃がより好ましい。抽出時間は5〜60分が好ましく、5〜10分がより好ましい。前記抽出溶媒と茶葉との重量比は、抽出作業が行い易い観点から、茶葉1に対し、茶葉乾燥重量の10倍以上の前記抽出溶媒を用いることが好ましく、茶葉乾燥重量の10倍〜100倍量の前記抽出溶媒を用いることがより好ましい。例えば、茶葉を茶葉乾燥重量の10倍量以上の水に、抽出温度70〜95℃、時間5〜60分の条件で抽出して得ることができる。抽出処理後、ろ過、遠心分離等の処理により固形分を除去してもよい。さらに、濃縮(減圧濃縮、逆浸透膜処理など)、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥など)等の処理を行ってもよい。
前記のようにして得られる半発酵茶の抽出物の形態の例としては、固体(例えば、粉末、顆粒など)、半固体(例えば、ペースト状など)、液体(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョンなど)が挙げられ、特に限定はないが、取扱い易い点から、固体であることが好ましく、粉末等の固体であることがより好ましい。
本発明において使用する半発酵茶、その抽出物、又は茶殻には各種の添加剤を添加して、組成物としてもよい。添加剤の例としては、調味料;酸味料(クエン酸、コハク酸など);保存剤(アスコルビン酸、酢酸塩、ε−ポリリジンなど);pH調整剤;乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチンなど);香料;色素;増粘剤(カラギーナン、キサンタンガムなど);膨張剤;タンパク質(大豆タンパク質、乳タンパク質など);糖類(デンプン、ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトールなど);甘味料(スクラロース、ソーマチンなど);ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなど);ミネラル類(鉄、カルシウムなど)などが挙げられる。
本発明の選択的トランス脂肪酸吸収阻害剤は、半発酵茶、その抽出物、又は茶殻を用いてそれを製剤化してもよい。この製剤形態としては特に限定されず、例えば、錠剤、被覆錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、トローチ剤、チュアブル錠、シロップ剤等の経口剤等が挙げられる。製剤化の際には、担体、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、安定化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤等が用いられる。
担体や賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イノシトール、デキストラン、ソルビトール、アルブミン、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖及びこれらの混合物等が挙げられる。
希釈剤としては、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸、ブドウ糖、グリセリン及びこれらの混合物等が挙げられる。
pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
2.トランス脂肪酸の選択的吸収阻害用飲食品組成物
本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害用飲食品組成物(以下、本発明の飲食品組成物ともいう)は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を有効成分として含有するものであり、摂食した場合でもトランス脂肪酸の吸収を選択的に阻害するための飲食品組成物である。
本発明の飲食品組成物を摂取することで、共に食べた食品中の含まれるトランス脂肪酸の吸収を選択的に阻害することが可能になる。
ここで、「有効成分」とは、トランス脂肪酸の選択的な吸収阻害効果を奏する上で必要とされる成分のことを意味する。
一つの好ましい態様として、「有効成分」とは、食生活においてトランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象のために、食品中のトランス脂肪酸が体内に吸収されることを選択的に阻害する効果を奏する上で必要とされる成分のことを意味し、最も好ましい態様として、当該有効成分は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤である。
本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害用飲食品組成物(以下、本発明の飲食品組成物ともいう)は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を有効成分として含有するものであり、摂食した場合でもトランス脂肪酸の吸収を選択的に阻害するための飲食品組成物である。
本発明の飲食品組成物を摂取することで、共に食べた食品中の含まれるトランス脂肪酸の吸収を選択的に阻害することが可能になる。
ここで、「有効成分」とは、トランス脂肪酸の選択的な吸収阻害効果を奏する上で必要とされる成分のことを意味する。
一つの好ましい態様として、「有効成分」とは、食生活においてトランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象のために、食品中のトランス脂肪酸が体内に吸収されることを選択的に阻害する効果を奏する上で必要とされる成分のことを意味し、最も好ましい態様として、当該有効成分は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤である。
また、本発明において、「食生活においてトランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象」とは、部分水素添加された植物油を使って製造された食品、揚げ物、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品などトランス脂肪酸を含有することが報告されている食品を摂取する対象を意味する。部分水素添加された植物油を使って製造された食品としては、マーガリン類やショートニングを使って製造されたクッキー、クラッカー、ケーキ、パイ、マフィン、ドーナツなどが挙げられる。
本発明の飲食品組成物は、前記選択的トランス脂肪酸吸収阻害剤に加えて、選択的トランス脂肪酸吸収阻害効果を奏する限りにおいて、その他の食品原料及び/又は食品添加物原料を添加することができる。例えば、嗜好性の付与を目的に、甘味料(砂糖類、液糖類、果糖、麦芽糖、三温糖など)、糖アルコール(エリスリトールなど)、高甘味度甘味料(ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム)、酸味料、増粘多糖類、香料、果汁、野菜汁などを添加することができる。また、機能付与を目的に、ミネラル類(カルシウム、鉄、マンガン、マグネシウム、亜鉛など)、ビタミン類、機能性素材、プロバイオティクス乳酸菌などを添加して、本発明の飲食品組成物とすることができる。
本発明の飲食品組成物の形態としては、医薬組成物以外のものであって、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末、固体成形物など、経口摂取可能な形態であればよく特に限定されない。具体的には、例えば、錠菓、グミ、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;茶飲料、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、粉末飲料、濃縮飲料、アルコール飲料などの飲料類;即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、パン粉などの小麦粉製品ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品などが挙げられる。好ましくは、飲食品は、菓子類であり、より好ましくは飲料類である。
また、飲食品には、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品、乳幼児用調整粉乳、妊産婦もしくは授乳婦用粉乳、又はトランス脂肪酸の選択的吸収阻害のために用いられる物である旨の表示を付した食品のような分類のものも包含される。
また、本発明の飲食品組成物は、市場での提供を目的とした一つの態様として、容器入りの粉末の形態とすることができる。前記容器は、紙、袋、箱、缶、ビンなど、公知のものを使用することができる。前記容器の容量は、特に制限はなく、例えば、1〜5000g、好ましくは2〜4000g、より好ましくは3〜3000gである。なかでも、ファミリーサイズの場合には、例えば、300〜5000g、好ましくは300〜4000g、より好ましくは300〜3000gであり、パーソナルサイズの場合、例えば、1〜500g、好ましくは2〜250g、より好ましくは3〜200gである。
さらに、本発明の飲食品組成物は、市場での提供を目的とした一つの態様として、容器入り飲料(粉末を分散溶解した飲料)の形態にすることができる。前記容器は、紙容器、ソフトバック、ペットボトル、缶、ビンなどの公知の容器を使用することができる。前記容器の容量は、特に制限はなく、例えば、1〜5000g、好ましくは2〜4000g、より好ましくは3〜3000gである。なかでも、ファミリーサイズの場合には、例えば、300〜5000g、好ましくは300〜4000g、より好ましくは300〜3000gであり、パーソナルサイズの場合、例えば、10〜500g、好ましくは20〜500g、より好ましくは30〜500gである。
また、本発明の飲食品組成物は、一食あたりの単位包装形態からなり、当該単位中には、プーアル茶エキス量を、一食摂取量として0.1g以上に調整したものが望ましく、具体的には、0.1〜20g、好ましくは0.1〜10g、より好ましくは0.1〜5g、さらに好ましくは0.1〜3g、特に好ましくは0.1〜2gとなるように調製してなる。ここで、「一食あたりの単位包装形態」からなるとは、一食あたりの摂取量があらかじめ定められた形態のものであり、例えば、特定量を経口摂取し得る食品として、一般食品のみならず、飲料(ドリンク剤など)、健康補助食品、保健機能食品、サプリメントなどの形態を意味する。「一食あたりの単位包装形態」では、例えば、液状の飲料、ゲル状・糊状・ペースト状のゼリー、粉末状・顆粒状・カプセル状・ブロック状の固体状の食品などの場合には、金属缶、ガラスビン(ボトルなど)、プラスチック容器(ペットボトルなど)、パック、パウチ、フィルム容器、紙箱などの包装容器で特定量(用量)を規定できる形態、あるいは、一食あたりの摂取量(用法、用量)を包装容器やホームページなどに表示することで特定量を規定できる形態が挙げられる。本発明の飲食品組成物は、一口サイズのブロック状や、一飲みで摂取できるミニ缶飲料など、どのような形態であっても、摂取・嚥下が容易であり、子供や高齢者にとっての利便性を向上させることができる。
本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤又は本発明の飲食品組成物を、日常の食生活においてトランス脂肪酸を含有する食品を摂取する可能性のある対象に摂取させる(投与する)方法としては、経口摂取、経腸投与、胃ろうなどから、その対象及び用途により、適宜選択することができるが、好ましくは経口摂取である。
本発明のトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤又は本発明の飲食品組成物の摂取量としては、対象の性別、年齢、生理的状態、製剤形態、投与経路、投与回数、有効成分濃度等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、例えば、成人1日当たり、本発明の飲食品組成物中に加えたトランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤の含有量が固形分として1〜200mg/kg程度、好ましくは1〜100mg/kg程度であればよい。投与は、例えば、トランス脂肪酸を含有した食品を摂食する前又は後、あるいはトランス脂肪酸を含有した食品を摂食中に行うことができる。
3.乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物
本発明の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物(以下、本発明の反芻家畜用飼料添加物ともいう)は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を有効成分として含有するものであり、当該反芻家畜用飼料添加物を添加した飼料を反芻動物に与えた場合、胃等に棲息する微生物(例えば、細菌やプロトゾア等)によって生産されたトランス脂肪酸が体内に吸収されることを抑えることで、最終的にトランス脂肪酸含有量の少ない肉な乳を生産することが可能となる。
本発明の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物(以下、本発明の反芻家畜用飼料添加物ともいう)は、前記トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を有効成分として含有するものであり、当該反芻家畜用飼料添加物を添加した飼料を反芻動物に与えた場合、胃等に棲息する微生物(例えば、細菌やプロトゾア等)によって生産されたトランス脂肪酸が体内に吸収されることを抑えることで、最終的にトランス脂肪酸含有量の少ない肉な乳を生産することが可能となる。
本発明において、トランス脂肪酸の選択的吸収阻害剤を有効成分として、半発酵茶の茶葉そのもの、半発酵茶の茶葉の抽出物、又は抽出後に生じる茶殻を用いることができる。産業廃棄物の有効利用及び経済性の観点から、好適には茶殻を用いることができる。より詳細には、茶殻を、脱水及び乾燥した後、微細化したものを反芻家畜用飼料添加物として反芻家畜用飼料に配合することで給餌することができる。例えば、半発酵茶の茶葉の水抽出後に残った茶殻は、通常、含水率80質量%〜90質量%である。そこで、茶殻をフィルタープレス、スクリュープレスなどで圧力をかけて含水率65〜75重量%以下に脱水する。68質量%未満への脱水は、茶殻の高い保水力により機械脱水が困難であるため、加熱脱水などが好ましい。
脱水後の茶殻は、一般的な真空乾燥機、熱風乾燥機や気流乾燥機などで乾燥させることができ、味、品質安定性の観点から含水率を最終的に25質量%以下まで乾燥させることが好ましく、1.5質量%以上25質量%以下になるまで乾燥させることがより好ましい。また、乾燥温度が150℃以上になると茶殻に焦げが生じ、飼料に配合した際の苦味の原因となりやすく、80℃以下であると乾燥ムラが生じやすく、乾燥時間も長くなるため、乾燥温度は80℃〜150℃が好ましい。乾燥茶殻の粒径は、飼料への成形のしやすさから10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。
本発明の反芻家畜用飼料添加物は、例えば、反芻動物(例えば、乳用牛、肉用牛、乳用羊、肉用羊、乳用山羊、又は肉用山羊)の肥育仕上期に、給与飼料に加えるか、濃厚飼料の一部を置き換えることにより与えることができる。その場合、反芻動物の種類にもよるが、反芻家畜用飼料添加物の給餌量としては1日当たり0.1〜100g/kg体重、好ましくは0.1g〜50g/kg体重、最も好ましくは0.1〜30g/kg体重の配合で対象となる動物に与えることが好ましい。これにより、反芻動物の肉又は乳に含まれる脂肪中のトランス脂肪酸含量を低くするなどの肉又は乳中の脂肪酸組成の改善が図ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕選択的トランス脂肪酸吸収阻害作用の評価(血液分析法)
トランス脂肪酸(TFA)を高含有する水添大豆油を投与し、血中に移行した脂肪酸種を分析することで、ウーロン茶によるトランス脂肪酸に対する選択的吸収阻害効果を検証した。
トランス脂肪酸(TFA)を高含有する水添大豆油を投与し、血中に移行した脂肪酸種を分析することで、ウーロン茶によるトランス脂肪酸に対する選択的吸収阻害効果を検証した。
<動物>
被検動物として、日本エスエルシー株式会社からから購入した12週齢の雄性SDラット(Slc:SD)を用い、「CRF−1」(オリエンタル酵母工業株式会社)を飼料として1週間馴化飼育後に使用した。すなわち、ラットは2群にわけ、プラスチックゲージ内で自由飲食(「CRF−1」、オリエンタル酵母工業株式会社)にて飼育した。被験物質投与の12時間前から以降、試験終了まで絶食とした。
被検動物として、日本エスエルシー株式会社からから購入した12週齢の雄性SDラット(Slc:SD)を用い、「CRF−1」(オリエンタル酵母工業株式会社)を飼料として1週間馴化飼育後に使用した。すなわち、ラットは2群にわけ、プラスチックゲージ内で自由飲食(「CRF−1」、オリエンタル酵母工業株式会社)にて飼育した。被験物質投与の12時間前から以降、試験終了まで絶食とした。
<トランス脂肪酸含有大豆油の調製>
大豆油(富士フィルム和光純薬)250gをオートクレーブを用いて、触媒「SO−650」(堺化学社製)、水素圧0.3MPa、170〜189℃の条件下で、2時間反応させた。 反応後触媒をろ過(「ADVANTEDC #2」)することにより除去し、トランス脂肪酸を含む油脂を回収し、トランス脂肪酸含有大豆油(TFA含有大豆油)とした。
大豆油(富士フィルム和光純薬)250gをオートクレーブを用いて、触媒「SO−650」(堺化学社製)、水素圧0.3MPa、170〜189℃の条件下で、2時間反応させた。 反応後触媒をろ過(「ADVANTEDC #2」)することにより除去し、トランス脂肪酸を含む油脂を回収し、トランス脂肪酸含有大豆油(TFA含有大豆油)とした。
<投与方法>
10gのTFA含有大豆油に、100mgのウーロン茶抽出エキス粉末を懸濁し、被験物質1とした。ウーロン茶抽出エキス粉末を添加しないものをコントロールとし、被験物質2とした。12時間絶食した12週齢の雄性SDラットに、被験物質1、2を、投与量10ml/kgとして胃ゾンデで強制経口投与した。投与後4時間後にイソフルラン吸入麻酔後ヘパリンコーティングした採血管を用いて全血採血し、遠心分離(3,000rpm、5℃、15min)し、回収した上清を血漿画分とした。
10gのTFA含有大豆油に、100mgのウーロン茶抽出エキス粉末を懸濁し、被験物質1とした。ウーロン茶抽出エキス粉末を添加しないものをコントロールとし、被験物質2とした。12時間絶食した12週齢の雄性SDラットに、被験物質1、2を、投与量10ml/kgとして胃ゾンデで強制経口投与した。投与後4時間後にイソフルラン吸入麻酔後ヘパリンコーティングした採血管を用いて全血採血し、遠心分離(3,000rpm、5℃、15min)し、回収した上清を血漿画分とした。
<血漿中の脂肪酸定量>
血漿1mlを凍結乾燥した後、血漿中の脂質を脂肪酸メチル化キット(ナカライテスク社製)を用いて、メチル化し、GCMSでシス−9,トランス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(c,t−リノール酸メチルエステル)、トランス−9,シス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(t,c−リノール酸メチルエステル)、シス−9,シス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(c,c−リノール酸メチルエステル)量を定量した。なお、スタンダードは「Linoleic acid methyl ester Isomer mix」(SUPELCO社製)を用いた。得られた結果を図1に示す。
血漿1mlを凍結乾燥した後、血漿中の脂質を脂肪酸メチル化キット(ナカライテスク社製)を用いて、メチル化し、GCMSでシス−9,トランス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(c,t−リノール酸メチルエステル)、トランス−9,シス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(t,c−リノール酸メチルエステル)、シス−9,シス−12−オクタデカジエン酸メチルエステル(c,c−リノール酸メチルエステル)量を定量した。なお、スタンダードは「Linoleic acid methyl ester Isomer mix」(SUPELCO社製)を用いた。得られた結果を図1に示す。
<結果>
図1に示す結果より、被験物質2を投与したコントロール群では、53.2μg/mlのc,c−リノール酸メチルエステルが検出されたのに対し、被験物質1を投与したウーロン茶投与群では、29.7μg/mlとなり、コントロール群を100%としたときのウーロン茶摂取群のc,c−リノール酸の吸収率は55.8%となった。さらに、c,t−リノール酸メチルエステル及びt,c−リノール酸メチルエステルの検出量は、コントロール群でそれぞれ11.8μg/ml及び12.3μg/ml、ウーロン茶投与群ではそれぞれ0.90μg/ml及び1.10μg/mlとなり、コントロール群を100%としたときのウーロン茶摂取群のc,t−リノール酸の吸収率は7.6%、t,c−リノール酸の吸収率は8.9%まで低下した。このことから、ウーロン茶抽出物摂取群では、シス脂肪酸に比べて、生体にとって有害とされるトランス脂肪酸の吸収を、より選択的に阻害していることが確認された。
図1に示す結果より、被験物質2を投与したコントロール群では、53.2μg/mlのc,c−リノール酸メチルエステルが検出されたのに対し、被験物質1を投与したウーロン茶投与群では、29.7μg/mlとなり、コントロール群を100%としたときのウーロン茶摂取群のc,c−リノール酸の吸収率は55.8%となった。さらに、c,t−リノール酸メチルエステル及びt,c−リノール酸メチルエステルの検出量は、コントロール群でそれぞれ11.8μg/ml及び12.3μg/ml、ウーロン茶投与群ではそれぞれ0.90μg/ml及び1.10μg/mlとなり、コントロール群を100%としたときのウーロン茶摂取群のc,t−リノール酸の吸収率は7.6%、t,c−リノール酸の吸収率は8.9%まで低下した。このことから、ウーロン茶抽出物摂取群では、シス脂肪酸に比べて、生体にとって有害とされるトランス脂肪酸の吸収を、より選択的に阻害していることが確認された。
Claims (8)
- 半発酵茶、その抽出物又はその茶殻を有効成分とする、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤。
- 前記半発酵茶がウーロン茶である請求項1に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤。
- 前記抽出物が水、アルコール、若しくはこれらの混合溶媒による抽出物、又は超臨界流体抽出による抽出物である、請求項1又は2に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、トランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害用飲食品組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を有効成分として含む、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する反芻家畜用飼料添加物。
- 反芻家畜に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、反芻家畜の乳及び/又は肉中のトランス脂肪酸含量を低減する方法。
- 反芻家畜に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランス脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸結合脂質の選択的吸収阻害剤を給餌することにより、トランス脂肪酸含量が低下した乳及び/又は肉を生産する方法。
- 反芻家畜が、乳用牛、肉用牛、乳用羊、肉用羊、乳用山羊、又は肉用山羊であることを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
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Citations (3)
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-
2018
- 2018-11-30 JP JP2018225259A patent/JP2020083857A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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栄養学雑誌, vol. 46(6), JPN6022021868, 1988, pages 289 - 298, ISSN: 0004792218 * |
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