JP2020083748A - 減水剤組成物、水硬性組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカルボン酸系減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類及び消泡剤を含む減水剤組成物であって、その保存安定性が改善された減水剤組成物。【解決手段】(A)ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤、(B)水溶性セルロースエーテル、(C)ガム類、(D)消泡剤を含む減水剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、減水剤組成物、水硬性組成物及びその製造方法に関する。
水硬性組成物は、セメント等の水硬性物質、細骨材及び/又は粗骨材等の骨材、水を少なくとも含む組成物であり、比重、粒形、粒径の異なる無機物の集合体であるため、材料分離が起こりやすい組成物である。そこで、増粘剤として水溶性高分子を添加して水硬性組成物の粘性を高めることにより、その改善が試みられている。
例えば、水溶性セルロースエーテルは、セメントのpHが12以上と強アルカリであり、セメントの成分起因のカルシウムイオンが多く存在して水溶性高分子にとって過酷な条件下にあるところ、このような条件の水硬性組成物においても増粘できる数少ない非イオン性の水溶性高分子である。
しかし、水溶性セルロースエーテルは、一般に粉末で使用されているため、液体である他の混和剤と比較して、ハンドリングに劣り、添加時にママコを形成したり、微量を添加する場合においては飛散して、所望量の添加が困難となる問題があった。
これらの問題を解決するため、予め水溶性セルロースエーテル、消泡剤、ガム類及び減水剤を混合した減水剤組成物(一液型減水剤)が提案されている(例えば、特開2016−056081号公報(特許文献1))。
特開2016−056081号公報
しかしながら、特許文献1においては、ガム類を使用することにより減水剤組成物の保存安定性の改善を試みているが、ポリカルボン酸系減水剤の固形分濃度やNa+イオン濃度によっては保存安定性に劣る場合があり、改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ポリカルボン酸系減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類及び消泡剤を含む減水剤組成物であって、その保存安定性が改善された減水剤組成物、並びにこれを用いた水硬性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリカルボン酸系減水剤と、水溶性セルロースエーテルと、ガム類と、消泡剤を少なくとも含む減水剤組成物に、更にリグニン系減水剤を併用することにより、高いNa+イオン濃度を維持したままであっても減水剤組成物の保存安定性が改善され、加えて水硬性組成物の流動性も高いレベルで維持できることを見出し、本発明を為すに至った。
即ち、本発明は、下記の減水剤組成物、水硬性組成物及びその製造方法を提供する。
1.
(A)ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤、(B)水溶性セルロースエーテル、(C)ガム類、(D)消泡剤を含む減水剤組成物。
2.
ポリカルボン酸系減水剤の固形分質量(SCpc)とリグニン系減水剤の固形分質量(SCL)の比SCpc:SCLが25:75〜99:1である1に記載の減水剤組成物。
3.
(A)成分のNa+イオン濃度が8,500ppm以上である1又は2に記載の減水剤組成物。
4.
上記水溶性セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上である1〜3のいずれかに記載の減水剤組成物。
5.
上記ガム類が、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である1〜4のいずれかに記載の減水剤組成物。
6.
1〜5のいずれかに記載の減水剤組成物と、水硬性物質と、水とを含む水硬性組成物。
7.
1〜5のいずれかに記載の減水剤組成物と、水硬性物質と、水を混合する工程を含む水硬性組成物の製造方法。
本発明によれば、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤を併用することにより、減水剤組成物の保存安定性が改善され、水硬性組成物に使用した際のブリーディング抑制効果が期待される。更には、流動性のある水硬性組成物を製造することができる。
[減水剤組成物]
以下に、本発明に係る減水剤組成物の構成について説明する。
本発明に係る減水剤組成物は、
(A)ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤、
(B)水溶性セルロースエーテル、
(C)ガム類、
(D)消泡剤
を含むものである。
なお、減水剤組成物とは、減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類及び消泡剤を少なくとも含む水硬性組成物のための組成物(一液型減水剤)である。
((A)成分)
(A)成分は、ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤であり、ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤からなることが好ましい。なお、ここでいう減水剤とは、所定のスランプフローを得るのに必要な単位水量を減少させる化学混和剤であって、いわゆる高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤と称されるもの全てを含むものであり、これらのいずれかであることが好ましい。
ポリカルボン酸系減水剤の具体例としては、ポリカルボン酸エーテル系化合物、ポリカルボン酸エーテル系化合物と架橋ポリマーの複合体、ポリカルボン酸エーテル系化合物と配向ポリマーの複合体、ポリカルボン酸エーテル系化合物と高変性ポリマーの複合体、ポリエーテルカルボン酸系高分子化合物、マレイン酸共重合物、マレイン酸エステル共重合物、マレイン酸誘導体共重合物、カルボキシル基含有ポリエーテル系化合物、末端スルホン基を有するポリカルボン酸基含有多元ポリマー、ポリカルボン酸系グラフトコポリマー、ポリカルボン酸エーテル系ポリマー等が挙げられる。
また、ポリカルボン酸系減水剤は市販のものを用いることができる。例えば、チューポール HP−11(竹本油脂(株)製)、マスターグレニウム SP8SV X2(BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。その性状は液体状であることが好ましい。また、必要に応じて市販品のポリカルボン酸系減水剤を水で適宜希釈してもよい。
ポリカルボン酸系減水剤は、2種類以上を併用して用いてもよい。
リグニン系減水剤の具体例としては、リグニンスルホン酸又はその塩、あるいはその誘導体を主成分とするもの等が挙げられる。リグニン系減水剤は、市販のものを用いることができ、例えばダーレックス WRDA(GCPケミカルズ(株)製)、マスターポゾリス No.70BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。その性状は液体状であることが好ましい。また、必要に応じて市販品のリグニン系減水剤を水で適宜希釈してもよい。
リグニン系減水剤は、2種類以上を併用してもよい。
ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の混合物(即ち、(A)減水剤)における固形分濃度は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12.5〜50質量%、更に好ましくは13〜40質量%、特に好ましくは13〜20質量%である。(A)成分における固形分濃度が10質量%未満、あるいは50質量%超となると一液化(均一な分散)後の保存安定性が低下するおそれがある。
なお、減水剤の固形分濃度は、次のように測定することができる。
まず、所定量(例えば約5g)の減水剤を秤量瓶(例えば、瓶容量16ml)にとり、その質量、即ち乾燥前の減水剤の質量(g)を測定する。そして、105℃の乾燥機で恒量となるまで乾燥し、乾燥後の減水剤の質量(g)を測定する。測定した乾燥前及び乾燥後の減水剤の質量を用いて下記算出式により、固形分濃度を算出する(以下、同じ)。
固形分濃度(質量%)={乾燥後の減水剤の質量(g)/乾燥前の減水剤の質量(g)}×100
(A)成分におけるポリカルボン酸系減水剤の固形分質量(SCpc)とリグニン系減水剤の固形分質量(SCL)の比(質量比;SCpc:SCL)は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは25:75〜99:1、より好ましくは45:55〜95:5である。上記範囲を外れると一液化(均一な分散)後の保存安定性が低下するおそれがある。
ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の混合物(即ち、(A)減水剤)におけるNa+イオン濃度は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは8,500ppm以上、より好ましくは9,000〜50,000ppm、更に好ましくは9,500〜20,000ppmである。(A)成分におけるNa+イオン濃度が8,500ppm未満では、一液化(均一な分散)後の保存安定性が低下するおそれがある。
なお、減水剤のNa+イオン濃度は、イオンクロマトグラフ法により測定することができる(以下、同じ)。詳細については実施例に述べる。
本発明の減水剤組成物の製造に当たっては、以下の条件のポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を用いるとよい。
即ち、ポリカルボン酸系減水剤の固形分濃度は、経済性又は水硬性組成物の製造時における添加量の観点から、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは12〜24.5質量%、更に好ましくは13〜20質量%である。
また、ポリカルボン酸系減水剤のNa+イオン濃度は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは8,500ppm以上、より好ましくは9,000〜18,000ppm、更に好ましくは9,000〜16,000ppm、特に好ましくは9,000〜12,000ppmである。
ポリカルボン酸系減水剤の減水率は、経済性又は水硬性組成物の製造時における添加量の観点から、好ましくは18%以上、より好ましくは19〜30%である。
なお、減水剤の減水率は、JIS A6204に規定されている基準コンクリートと試験コンクリートの単位水量から計算により求めることができる(以下、同じ)。
リグニン系減水剤の固形分濃度は、経済性又は水硬性組成物の製造時における添加量の観点から、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜48質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
また、リグニン系減水剤のNa+イオン濃度は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは8,500ppm以上、より好ましくは9,000〜55,000ppm、更に好ましくは10,000〜20,000ppmである。
リグニン系減水剤の減水率は、水硬性組成物の流動性の観点から、好ましくは4%以上、より好ましくは5〜17%である。
更に、ポリカルボン酸系減水剤のNa+イオン濃度とリグニン系減水剤のNa+イオン濃度の差の絶対値は、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、好ましくは1,000ppm以上、より好ましくは1,500〜50,000ppm、更に好ましくは1,750〜40,000ppm、特に好ましくは2,000〜10,000ppmである。
また、一液化(均一な分散)後の保存安定性の観点から、リグニン系減水剤のNa+イオン濃度が、ポリカルボン酸系減水剤のNa+イオン濃度よりも大きいことが好ましい。
本発明の減水剤組成物においては、(A)減水剤(ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の合計質量)が基準量(例えば100質量部)となり、この減水剤に対して所定比率で水溶性セルロースエーテル、ガム類及び消泡剤を添加する。
((B)成分)
水溶性セルロースエーテルは、非イオン性のものが好ましく、メチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースが挙げられる。
上記アルキルセルロースのうち、メチルセルロースにおいて、メトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0である。なお、アルキルセルロースにおけるアルコキシ基の置換度(DS)は、第17改正日本薬局方のメチルセルロースの置換度分析方法により測定できる値を換算することで求めることができる。
上記ヒドロキシアルキルセルロースのうち、ヒドロキシエチルセルロースにおいて、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.3〜3.0、より好ましくは0.5〜2.8であり、ヒドロキシプロピルセルロースにおいて、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.1〜3.3、より好ましくは0.3〜3.0である。なお、ヒドロキシアルキルセルロースにおけるヒドロキシアルコキシ基の置換モル数は、第17改正日本薬局方のヒドロキシプロピルセルロースの置換度分析方法により測定できる値を換算することで求めることができる。
上記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースのうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおいて、メトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.3〜1.9、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5である。また、ヒドロキシエチルメチルセルロースにおいて、メトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.3〜1.9、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.15〜0.4である。また、ヒドロキシエチルエチルセルロースにおいて、エトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5である。なお、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおけるアルコキシ基の置換度及びヒドロキシアルコキシ基の置換モル数は、第17改正日本薬局方記載のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の置換度分析方法により測定できる値を換算することで求めることができる。
なお、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおけるアルコキシ基のDSは、置換度(degree of substitution)を表し、無水グルコース1単位当たりのメトキシ基の平均個数をいう。
また、なお、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおけるヒドロキシアルコキシ基のMSは、置換モル数(molar substitution)を表し、無水グルコース1モル当たりのヒドロキシアルコキシ基の平均モル数をいう。
水溶性セルロースエーテルとしては、水硬性組成物における材料分離抵抗性付与の観点から、上記例示したもののうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましい。
水溶性セルロースエーテルの1質量%水溶液の20℃における粘度は、水硬性組成物に所定の粘性を与える観点から、好ましくは30〜30,000mPa・s、より好ましくは300〜25,000mPa・s、更に好ましくは500〜20,000mPa・s、特に好ましくは500〜3,000mPa・sである。
なお、水溶性セルロースエーテルの1質量%水溶液の20℃における粘度は、B型粘度計を用いて12rpmの測定条件にて測定することができる。
水溶性セルロースエーテルの添加量は、水硬性組成物に所定の粘性を与える観点から、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の合計質量(即ち、(A)成分)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.4〜3質量部である。
水溶性セルロースエーテルは、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。また、水溶性セルロースエーテルは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で製造したものを用いてもよい。
((C)成分)
ガム類としては、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム、ジェランガム等が挙げられる。
ダイユータンガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、D−グルコースとL−ラムノース及び2つのL−ラムノースより構成されている。
ウェランガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、L−ラムノースが2:2:1の割合で結合した主鎖に、L−ラムノース又はL−マンノース側鎖が結合した構造である。
キサンタンガムは、セルロースと同様、主鎖がD−グルコースのβ−1,4結合であり、側鎖がマンノース2個とグルクロン酸1個より構成されている。
ジェランガムは、D−グルコース、D−グルクロン酸、L−ラムノースが2:1:1の割合で結合した4つの糖を反復単位とするヘテロ多糖類である。
ガム類を使用することにより、減水剤の見掛け粘度を向上させ、水溶性セルロースエーテルの減水剤組成物における分散状態を向上させ、一液化(均一な分散)後の保存安定性を改善することができる。
ガム類の添加量は、水溶性セルロースエーテルの減水剤組成物における分散状態を向上させ、一液化(分散)後の保存安定性を改善させる観点から、ダイユータンガムの場合、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の合計質量(即ち、(A)成分)100質量部に対して、好ましくは0.005〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、更に好ましくは0.1〜0.8質量部である。また、ウェランガム、キサンタンガム、ジェランガムの場合、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の合計質量(即ち、(A)成分)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部、更に好ましくは0.1〜8質量部である。
ガム類は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。また、ガム類は市販のものを用いることができる。
((D)成分)
消泡剤としては、オキシアルキレン系消泡剤、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、鉱油系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等が挙げられる。
オキシアルキレン系消泡剤の具体例としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル、ポリオキシアルキレンオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等が挙げられる。
シリコーン系消泡剤の具体例としては、ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
アルコール系消泡剤の具体例としては、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等が挙げられる。
鉱油系消泡剤の具体例としては、灯油、流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪酸系消泡剤の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
脂肪酸エステル系消泡剤の具体例としては、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等が挙げられる。
これらの中でも、水溶性セルロースエーテル、ガム類の連行空気を効率良く消泡させ、一液化(均一な分散)後の保存安定性を改善させる観点から、オキシアルキレン系の消泡剤が好ましい。
消泡剤の添加量は、水溶性セルロースエーテル、ガム類の連行空気を効率良く消泡させ、一液化(均一な分散)後の保存安定性を改善させる観点から、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の合計質量(即ち、(A)成分)100質量部に対して、好ましくは0.001〜16質量部、より好ましくは0.002〜10質量部である。
消泡剤は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。なお、消泡剤は、市販のものを用いることができる。
本発明の減水剤組成物によれば、保存安定性が改善されたものとなる。例えば、一液化(均一な分散)直後から72時間静置後の沈降体積が40体積%以上のものとなる。また、本発明によれば、減水剤組成物の一液化(均一な分散)直後から168時間後の沈降体積を30体積%以上とすることも可能である。
ここで、沈降体積とは、一液化(均一な分散)直後(混合直後)の減水剤組成物の所定量(例えば100ml)を所定外径(例えば32mm)の有栓メスシリンダーに注ぎ込み、室温(20±3℃)で一定時間静置した時に観察される液体全体に対する懸濁層(減水剤組成物層)の体積比率(懸濁維持率)を意味する。なお、一液化(均一な分散)直後(混合直後)の減水剤組成物の量及び使用するメスシリンダーの大きさ(外径及び高さ)は上記観察の際に液体全体における懸濁層(減水剤組成物層)の高さ(即ち、液体全体における上澄み液と懸濁層の境界位置)が目視で明確に確認できる限り、特に制約されない。
本発明の減水剤組成物は、ポリカルボン酸系減水剤と、リグニン系減水剤と、水溶性セルロースエーテルと、ガム類と、消泡剤とを混合して減水剤組成物を得る工程により製造することができる。
このとき、ポリカルボン酸系減水剤と、リグニン系減水剤と、水溶性セルロースエーテルと、ガム類と、消泡剤の添加順序(つまり材料を添加して混合する順番)は、特に制限されない。
また、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤は、別々に添加してもよいし、予め混合してから添加してもよい。また、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤の添加順序は、同時であっても、どちらかを先に添加してもよい。例えば、後述する撹拌機の撹拌子が回転している状態のところに、ポリカルボン酸系減水剤、リグニン系減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤を順不同で添加して混合してもよいし、あるいはポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤を予め混合した減水剤混合物、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤を順不同で添加して混合してもよい。更には、ポリカルボン酸系減水剤、リグニン系減水剤のいずれか一方の減水剤を添加し、次いで水溶性セルロースエーテル、ガム類及び消泡剤を予め混合した混合物を添加して一定時間(1分間程度)混合した後、最後に残りの減水剤を添加して混合するようにしてもよい。
更に、ガム類は粉体又は水溶液のいずれの形態で添加してもよい。
混合方法は、特に制限されず、例えば、撹拌機を用いて行うことができる。
撹拌機は、高速で回転する撹拌子(回転羽根)と、撹拌子の回転により上記材料が混合可能な容器とを備える装置であり、例えば、ホモミキサー(HM−310、AS ONE社製)、高速ホモミキサー(LZB14−HM−1、中央理化社製)等のローター・ステーター型ミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス、プライミクス社製)等の円筒壁旋回ミキサー、ホモジナイザー(PH91、エスエムテー社製)等、又はそれらの原理を適用した高速撹拌機が挙げられる。これらのうち、ローター・ステーター型ミキサー又は円筒壁旋回ミキサーが好ましい。
撹拌機における撹拌子(回転羽根)の種類としては、タービン・ステータ型、薄膜旋回型(PCホイール)、ディスパー型及び穴あき籠型等が挙げられるが、撹拌効率及び減水剤組成物の保存安定性の観点から、好ましくはタービン・ステータ型及び薄膜旋回型(PCホイール)である。
撹拌機における撹拌子の周速は、減水剤組成物の効率的な生産性の観点から、好ましくは7〜30m/s、より好ましくは7〜15m/sである。
なお、撹拌子の周速とは、撹拌機において回転する撹拌子(回転羽根)の最も早い部分(即ち、撹拌子の最外周)の速度である。
撹拌子の周速v(m/s)は、撹拌子の直径d(mm)、撹拌子の回転速度n(rpm(1分間当たりの回転数))から次式で求められる。
v=π×d×n/60,000
混合時間(撹拌時間)は、減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤の全ての材料を投入後であって撹拌子の目標周速に達してからの時間又は撹拌子の目標周速に達してからであって減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤の全ての材料を投入後からの時間であり、特に制限されないが、減水剤組成物の効率的な生産性の観点から、好ましくは30秒間以上、より好ましくは1分間以上である。また、混合時間の上限に特に制限はないが、減水剤組成物の効率的な生産性の観点から、好ましくは60分間以下、より好ましくは10分間以下である。
[水硬性組成物及びその製造方法]
本発明に係る水硬性組成物は、上述した本発明の減水剤組成物と、水硬性物質と、水とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る水硬性組成物の製造方法は、上述した本発明の減水剤組成物と、水硬性物質と、水を混合する工程を少なくとも含むことを特徴とするものである。
水硬性組成物の具体的用途としては、コンクリート、モルタル及びセメントペースト等が挙げられる。
コンクリート用水硬性組成物は、本発明の減水剤組成物と、水硬性物質(セメント)、水、細骨材(砂)及び粗骨材(砂利)を含むものであることが好ましく、その種類としては普通コンクリート、中流動コンクリート、高流動コンクリート、水中不分離性コンクリート及び吹き付けコンクリート等が挙げられる。
モルタル用水硬性組成物は、本発明の減水剤組成物と、水硬性物質(セメント)、水及び細骨材(砂)を含むものであることが好ましく、その種類としてはタイル張付けモルタル、補修用モルタル及びセルフレベリング材等が挙げられる。
セメントペースト用水硬性組成物は、本発明の減水剤組成物と、水硬性物質(セメント)及び水を含むものであることが好ましく、タイル系無機系建築資材の接着剤や部材と部材の空壁を埋めるグラウト材等が挙げられる。
水硬性物質としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント及び超早強ポルトランドセメント等の水硬性のセメント等が挙げられる。
水硬性物質は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。なお、水硬性物質は、市販のものを用いることができる。
水硬性物質(セメント)の含有量としては、強度確保の観点から、水硬性組成物がコンクリート用の場合はコンクリート1m3あたり、好ましくは270〜800kgである。
水硬性組成物がモルタル用の場合はモルタル1m3あたり、好ましくは300〜1,000kgである。
水硬性組成物がセメントペースト用の場合は、セメントペースト1m3あたり、好ましくは500〜1,600kgである。
本発明の減水剤組成物の添加量は、水硬性組成物における流動性、材料分離抵抗性及び凝結遅延等の観点から、単位セメント量(kg/m3)に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。
水としては、水道水、海水等が挙げられるが、塩害防止の観点から、水道水が好ましい。
水硬性組成物における水/セメント比(W/C)は、水硬性組成物における材料分離の観点から、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは45〜65質量%である。
水硬性組成物は、その用途に応じて、骨材を更に含む。骨材としては、細骨材及び粗骨材が挙げられる。
細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、砕砂等が好ましい。
水硬性組成物における砂セメント比は、水硬性組成物の流動性、ひび割れ及びコストの観点から、好ましくは0.5〜3.0である。
細骨材の粒径(最大粒径)は、好ましくは5mm以下である。
細骨材の粒度分布は、モルタル用組成物の鏝塗作業性の観点から、好ましくは0.075〜5mm、より好ましくは0.075〜2mm、更に好ましくは0.075〜1mmである。細骨材の粒度分布は、目開き5mm、2.5mm、1.2mm、850μm、600μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmの篩を用いて測定することができる。
細骨材の含有量は、水硬性組成物がコンクリート用の場合は、コンクリート1m3あたり、好ましくは400〜1,100kg、より好ましくは500〜1,000kgであり、水硬性組成物がモルタル用の場合は、モルタル1m3あたり、好ましくは500〜2,000kg、より好ましくは600〜1,600kgである。
粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石等が好ましい。
粗骨材の粒径(最大粒径)は細骨材の粒径より大きく、好ましくは40mm以下、より好ましくは25mm以下である。
粗骨材の含有量は、水硬性組成物がコンクリート用の場合は、コンクリート1m3あたり、好ましくは600〜1,200kg、より好ましくは650〜1,150kgである。
骨材中における細骨材率(容積百分率)は、水硬性組成物がコンクリート用の場合、流動性又は十分な強度を保持する観点から、好ましくは30〜55容積%、より好ましくは35〜55容積%、更に好ましくは35〜50容積%である。なお、細骨材率(容積%)=細骨材の容積/(細骨材の容積+粗骨材の容積)×100である。
骨材は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。なお、骨材は、市販のものを用いることができる。
水硬性組成物には、硬化時の発熱抑制及び硬化後の耐久性を上げるために、混和材を必要に応じて添加することができる。混和材としては、高炉スラグ、フライアッシュ等が挙げられる。
混和材の含有量は、水硬性組成物の初期強度発現及び耐久性の観点から、添加する場合、0質量%超70質量%以下が好ましい。混和材は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。なお、混和材は、市販のものを用いることができる。
水硬性組成物には、所定の空気量を確保し、水硬性組成物の耐久性を得るために、AE剤(Air Entraining Agent)を必要に応じて併用してもよい。
AE剤としては、陰イオン界面活性剤系、陽イオン界面活性剤系、非イオン界面活性剤系、両性界面活性剤系、ロジン系界面活性剤系等のAE剤が挙げられる。
陰イオン界面活性剤系としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤系としては、アミン塩型、第1級アミン塩型、第2級アミン塩型、第3級アミン塩型、第4級アミン塩型等が挙げられる。
非イオン界面活性剤系としては、エステル型、エステル・エーテル型、エーテル型、アルカノールアミド型等が挙げられる。
両性界面活性剤系としては、アミノ酸型、スルホベタイン型等が挙げられる。
ロジン系界面活性剤系としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
AE剤の添加量は、水硬性組成物の空気量の観点から、単位セメント量(kg/m3)に対して、0.0001〜0.01質量%が好ましい。
AE剤は、単独で、又は2種類以上を併用して用いてもよい。なお、AE剤は、市販のものを用いることができる。
水硬性組成物には、水硬性組成物の強度を得るために、消泡剤を必要に応じて添加してもよい。消泡剤としては、上記減水剤組成物で使用するものと同様のものが挙げられる。
消泡剤の添加量は、分散性の観点から水溶性セルロースエーテル100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。
なお、本発明の水硬性組成物には、練混ぜ直後の水硬性組成物(フレッシュコンクリート、フレッシュモルタル又はフレッシュセメントペースト)の物性を管理するため、塩化カルシウム、塩化リチウム、蟻酸カルシウム等の凝結促進剤や、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等の凝結遅延剤を必要に応じて使用することができる。更に、本発明の水硬性組成物には、硬化・乾燥による収縮ひび割れ、セメントの水和反応熱による温度応力に伴うひび割れ防止のために、乾燥収縮低減剤、アウイン系や石灰系の膨張材を必要に応じて添加することができる。
以上説明した水硬性組成物は、常法によって製造することができる。例えば、まず、ミキサーに、本発明の減水剤組成物、水硬性物質及び必要に応じて骨材(細骨材及び/又は粗骨材)、消泡剤を入れ、空練りを行う。その後、水を加えて混練して水硬性組成物を得る。
また、予め、減水剤組成物と水を混合して、添加してもよい。
以上のようにして本発明の水硬性組成物の製造方法によれば、ブリーディングが抑制され、流動性のある水硬性組成物が得られる。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜10、比較例1、2]
<減水剤組成物の製造>
以下に示す減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤を表1に示す添加量となるように計量し、これらの材料について撹拌機を用いて以下のように撹拌、混合して減水剤組成物を製造した。
(実施例1〜8、比較例1、2)
撹拌時間は実施例1〜8、比較例1、2のいずれにおいても、撹拌子が目標周速に達してから、減水剤、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤の全ての材料を投入後、2分間とした。
なお、減水剤は、ポリカルボン酸系減水剤とリグニン系減水剤を予め混合して減水剤の混合物として添加した。また、ガム類は粉体の状態で添加した。
(実施例9)
実施例9においては、撹拌子が目標周速に達してから、ポリカルボン酸減水剤に水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤の混合物を投入し、1分間撹拌した後、リグニン系減水剤を加え、さらに1分間撹拌した。
なお、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤は粉末の状態で添加した。
(実施例10)
実施例10においては、撹拌子が目標周速に達してから、リグニン系減水剤に水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤の混合物を投入し、1分間撹拌した後、ポリカルボン酸系減水剤を加え、さらに1分間撹拌した。
なお、水溶性セルロースエーテル、ガム類、消泡剤は粉末の状態で添加した。
<使用材料>
(A)減水剤
(A−1)カルボン酸系減水剤
・チューポール HP−11(竹本油脂(株)製)
固形分濃度;24.3質量%
Na+イオン濃度;16,000ppm
減水率:19%
(A−2)カルボン酸系減水剤
・チューポール HP−11(竹本油脂(株)製)を水で希釈したもの
固形分濃度;15.0質量%
Na+イオン濃度;9,880ppm
減水率:19%
(A−3)リグニン系減水剤
・ダーレックス WRDA(GCPケミカルズ(株)製)
固形分濃度;14.2質量%
Na+イオン濃度;12,000ppm
減水率:12%
(Na+イオン濃度の測定方法)
減水剤(上記カルボン酸系減水剤、リグニン系減水剤及びそれらの混合物)のNa+イオン濃度を下記の方法で測定した。
減水剤組成物の製造に使用した減水剤の試料を純水にて1/10000濃度に希釈し、0.2μmフィルター(商品名、液クロディスク(PTFE製)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて濾過し、下記の測定条件下にて、イオンクロマトグラフ DIONEX ICS−1600(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)により測定した。
(測定条件)
・ガードカラム;CG14(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
・メインカラム;CS14(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
・サプレッサ;CERS−500−4mm(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
・カラム温度;30℃
・液量;1ml/min
・注入量;25μm
・溶離液;10mM−MSA(メタスルホン酸)
溶離液は、メタスルホン酸2molを純水で10mmolに希釈することにより調製した。
(B)水溶性セルロースエーテル
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
(DS;1.40、MS;0.20、1質量%水溶液の20℃における粘度;2,200mPa・s)
・ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)
(DS;1.50、MS;0.20、1質量%水溶液の20℃における粘度;2,070mPa・s)
・ヒドロキシエチルセルロース(HEC)
(MS;2.50、1質量%水溶液の20℃における粘度;2,070mPa・s)
(C)ガム類
・キサンタンガム(XG)
(KELTROL、CP Kelco社製)
・ウェランガム(WG)
(KELCO−CRETE WG、CP Kelco社製)
(D)消泡剤
・オキシアルキレン系(OA系)消泡剤
(SNデフォーマー 14HP、サンノプコ(株)製)
<撹拌条件>
・撹拌機:ホモミキサー(HM−310、AS ONE社製)
羽根の種類:タービン・ステータ型
羽根の大きさ(直径):29mm
回転数:5,000rpm
周速:7.6m/s
得られた減水剤組成物について以下の方法により、沈降体積を測定した。
(沈降体積の測定)
上記製造直後、即ち一液化(均一な分散)直後の減水剤組成物を有栓メスシリンダー(外径32mm、容量100ml、IWAKI製)に100ml採取して、室温(20±3℃)に放置(静置)し、採取直後(0時間後)、24時間後、72時間後、168時間後毎に、上澄み液との境界を目視で観察した。境界に相当する目盛に基づいて液体全体に対する懸濁層(減水剤組成物層)の体積比率(懸濁維持率)を沈降体積として求めた。例えば、上澄み液との境界が0mLの場合は、沈降体積は、100体積%であり、上澄み液との境界が90mLの場合は、沈降体積は90体積%であり、上澄み液との境界が50mLの場合は、沈降体積は50体積%である。
<水硬性組成物(モルタル)の製造>
次に、上記のように製造した減水剤組成物を用いて、以下のように水硬性組成物としてモルタルを製造した。
即ち、JIS R 5201既定の5リットルのモルタルミキサー(C138A−48、(株)丸東製作所製)に所定量のセメント及び細骨材を入れ、ドライブレンドを1分間行うことによりドライモルタルを調製した。次いで、上記減水剤組成物及び水の所定量全量を予め混合したものを投入し、JIS R 5201において規定される低速(自転速度毎分:140回転、公転速度:毎分62回転)で3分間混合することによりモルタルを製造した。このときの条件は下記の通りである。
<使用材料>
(1)減水剤組成物:各実施例並びに比較例で製造した減水剤組成物
(2)セメント:普通ポルトランドセメント 太平洋セメント社製
(3)細骨材:三河珪砂5・6号、(三河珪石社製、砕砂、最大粒径2mm、粒度分布0.075〜0.425mm)
(4)水;水道水
<モルタルの配合>
・水セメント比(W/C);45質量%
・砂セメント比;1.0
・減水剤組成物の添加量;C×0.50質量%
なお、Wは単位水量(kg/m3)を、Cは単位セメント量(kg/m3)を表す。
<モルタル温度>
モルタルの練り上がり温度は、20±3℃になるように材料温度を調整した。
得られた水硬性組成物(モルタル)について以下のテーブルフロー試験を行い、そのテーブルフロー値を測定した。
(テーブルフロー試験)
JIS R 5201に準じて試験を行った。但し、モルタルをテーブルに載せた後に規定されたテーブルへの15回の衝撃(落下運動)を与える操作は行わず、衝撃なしの状態でのテーブルフロー値(0打フロー)を測定した。即ち、モルタルをテーブルに載せてから流動が停止した時点での広がりをテーブルフロー値(モルタルフロー値)とした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2020083748
以上の結果、減水剤組成物の保存安定性についてみると、実施例1〜10のポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤組成物は、比較例1のポリカルボン酸系減水剤のみを含む減水剤組成物と比較して、168時間後までの保存安定性が改善される結果となった。また、実施例2〜5、9、10では、ポリカルボン酸系減水剤の割合が多くなっているにも拘わらず、10,000ppm以上のNa+イオン濃度を維持したまま、保存安定性が改善されていた。更に、実施例6〜8では、実施例5とは水溶性セルロースエーテルとガム類との組み合わせにおいていずれか一方が異なる種類のものを使用しているが、いずれの場合においても減水剤組成物の保存安定性が改善されることが知見された。
次に、減水剤組成物を利用した水硬性組成物(モルタル)の流動性についてみると、実施例1〜10のポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤組成物を使用したモルタルでは、いずれも良好な流動性を示した。一方、比較例2では、リグニン系減水剤のみを含む減水剤組成物を使用したモルタルであるため、流動性に劣る結果となった。
なお、これまで本発明を上述した実施形態をもって説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。

Claims (7)

  1. (A)ポリカルボン酸系減水剤及びリグニン系減水剤を含む減水剤、(B)水溶性セルロースエーテル、(C)ガム類、(D)消泡剤を含む減水剤組成物。
  2. ポリカルボン酸系減水剤の固形分質量(SCpc)とリグニン系減水剤の固形分質量(SCL)の比SCpc:SCLが25:75〜99:1である請求項1に記載の減水剤組成物。
  3. (A)成分のNa+イオン濃度が8,500ppm以上である請求項1又は2に記載の減水剤組成物。
  4. 上記水溶性セルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の減水剤組成物。
  5. 上記ガム類が、ダイユータンガム、ウェランガム、キサンタンガム及びジェランガムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の減水剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の減水剤組成物と、水硬性物質と、水とを含む水硬性組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の減水剤組成物と、水硬性物質と、水を混合する工程を含む水硬性組成物の製造方法。
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