以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100を示す斜視図である。なお、原稿搬送装置100は、用紙等の原稿を搬送する装置であればどのような装置でもよい。例えば、原稿搬送装置100は、ファクシミリ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
原稿搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、原稿台103、排出台104及び操作ボタン105等を備える。
上側筐体102は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、ヒンジにより下側筐体101に係合している。原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された原稿を保持可能に、ヒンジにより下側筐体101に係合している。操作ボタン105は、上側筐体102の表面に配置され、押下されると、操作信号を生成して出力する。
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、原稿検出センサ110、複数の給紙ローラ111a、b、複数のリタードローラ112a、b、超音波送信器113a、超音波受信器113b、複数の光学センサ114a、b、複数の光量センサ117a、b、複数の第1搬送ローラ118a、b、複数の第1従動ローラ119a、b、第1撮像装置120a、第2撮像装置120b、複数の第2搬送ローラ121a、b及び複数の第2従動ローラ122a、b等を有している。
下側筐体101の上面は原稿の搬送路の下側ガイド106aを形成し、上側筐体102の下面は原稿の搬送路の上側ガイド106bを形成する。図2において矢印A1は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A1の下流のことをいう。
以下では、給紙ローラ111a、bをまとめて給紙ローラ111と称する場合がある。また、リタードローラ112a、bをまとめてリタードローラ112と称する場合がある。また、超音波送信器113a及び超音波受信器113bをまとめて超音波センサ113と称する場合がある。また、光学センサ114a、bをまとめて光学センサ114と称する場合がある。また、光量センサ117a、bをまとめて光量センサ117と称する場合がある。また、第1搬送ローラ118a、bをまとめて第1搬送ローラ118と称する場合がある。また、第1従動ローラ119a、bをまとめて第1従動ローラ119と称する場合がある。また、第1撮像装置120a及び第2撮像装置120bをまとめて撮像装置120と称する場合がある。また、第2搬送ローラ121a、bをまとめて第2搬送ローラ121と称する場合がある。また、第2従動ローラ122a、bをまとめて第2従動ローラ122と称する場合がある。
原稿検出センサ110は、接触検出センサを有し、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。原稿検出センサ110は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する原稿検出信号を生成して出力する。
給紙ローラ111及びリタードローラ112は、原稿搬送方向A1において原稿検出センサ110の下流側に、原稿搬送路を挟んで対向して設けられる。
超音波センサ113は、原稿搬送方向A1において給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流側に設けられる。
光学センサ114a、bは、それぞれ光源115a、b及び受光器116a、bを有する。光学センサ114は、原稿搬送方向A1において超音波センサ113の下流側且つ第1搬送ローラ118の上流側に設けられる。即ち、光学センサ114は、原稿搬送方向A1において給紙ローラ111と第1搬送ローラ118の間に設けられる。
光量センサ117は、原稿搬送方向A1において超音波センサ113の下流側に、原稿搬送路を挟んで光学センサ114と対向して設けられる。
第1搬送ローラ118及び第1従動ローラ119は、原稿搬送方向A1において光学センサ114及び光量センサ117の下流側に、原稿搬送路を挟んで対向して設けられる。
撮像装置120は、原稿搬送方向A1において第1搬送ローラ118及び第1従動ローラ119の下流側に設けられる。第1撮像装置120aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第1撮像装置120aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置120aは、原稿の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置120bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置120bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置120bは、原稿の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
なお、第1撮像装置120a及び第2撮像装置120bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
第2搬送ローラ121及び第2従動ローラ122は、原稿搬送方向A1において撮像装置120の下流側に、原稿搬送路を挟んで対向して設けられる。
原稿台103に載置された原稿は、給紙ローラ111が矢印A2の方向に回転することによって、下側ガイド106aと上側ガイド106bの間を原稿搬送方向A1に向かって搬送される。リタードローラ112は、原稿搬送時、矢印A3の方向に回転する。給紙ローラ111及びリタードローラ112の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給紙ローラ111と接触している原稿のみが分離される。これにより、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
原稿は、下側ガイド106aと上側ガイド106bによりガイドされながら、第1搬送ローラ118と第1従動ローラ119の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ118が矢印A4の方向に回転することによって、第1撮像装置120aと第2撮像装置120bの間に送り込まれる。撮像装置120により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ121が矢印A5の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3は、超音波センサ113について説明するための模式図である。
図3に示すように、超音波センサ113は、超音波送信器113a及び超音波受信器113bを有する。超音波送信器113a及び超音波受信器113bは、原稿搬送路の近傍に、原稿搬送路を挟んで対向して設けられる。超音波送信器113aは、原稿搬送路に向けて超音波を出力する。一方、超音波受信器113bは、超音波送信器113aにより送信され、原稿を通過した超音波を受信する。超音波受信器113bは、受信した超音波の大きさを検出し、検出した超音波の大きさに応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。
図4は、光学センサ114及び光量センサ117について説明するための模式図である。
図4に示すように、光学センサ114は、光源115及び受光器116を有する。光源115及び受光器116は、原稿搬送路に対して上側、即ち一方の側に設けられる。光源115は、LED(Light Emitting Diode)等であり、原稿搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器116は、一定期間毎に受光した光に応じた画像を撮像し、最新の画像と直前の画像とから共通部分を検出する。受光器116は、検出した共通部分の画像内の位置の変化に基づいて、搬送された原稿の移動方向及び移動距離を検出し、検出した移動方向及び移動距離を示す移動信号を生成して出力する。一定期間は、例えば、後述する駆動装置の100動作パルス分に相当する期間である。
例えば、移動信号は、原稿搬送方向の上流側から下流側に向かう方向を正方向とした移動成分と、原稿搬送方向と直交する方向の光学センサ114b側から光学センサ114a側に向かう方向を正方向とした移動成分とを示す。このように、光学センサ114は、受光器116が受光した光に基づいて、原稿搬送方向及び原稿搬送方向と直交する方向(原稿の搬送面と平行な方向)における原稿の移動を検出する。
光量センサ117は、原稿搬送路を挟んで光学センサ114の光源115と対向して設けられる。光量センサ117は、受光する光量を検出し、検出した光量に応じた電気信号である光量信号を生成して出力する。即ち、光量センサ117は、光学センサ114の光源115を利用して光量信号を生成する。そのため、原稿搬送装置100は、光量センサ117のために個別の光源を設ける必要がなく、装置内の部品数を削減でき、装置コスト及び装置サイズの低減を図ることができる。
図5及び図6は、原稿搬送路上における各部の配置位置について説明するための模式図である。図5は、上側筐体102を原稿搬送装置100から取り外した状態で下側から見た図であり、図6は、原稿搬送装置100を上側筐体102を取り外した状態で上側から見た図である。
図5及び図6に示すように、複数の給紙ローラ111a、b及び複数のリタードローラ112a、bは、それぞれ原稿搬送方向と直交する方向A6に間隔を空けて並べて配置される。複数の給紙ローラ111a、bは、後述する駆動装置からの駆動力に従って、それぞれ独立に回転して原稿を給紙するように設けられている。例えば、複数の給紙ローラ111a、bは、別個のモータにより駆動されることにより、独立に回転する。なお、複数の給紙ローラ111a、bは、同一のモータにより駆動され且つ各給紙ローラ111a、bとモータとの間に配置されたギアをそれぞれ独立に切り替えてギア比を変更することにより、独立に回転してもよい。
複数の光学センサ114a、b及び複数の光量センサ117a、bは、原稿搬送方向と直交する方向A6に間隔を空けて並べて配置される。なお、原稿の回転を精度良く検出するために、複数の光学センサ114a、bは、所定距離以上離れるように配置されることが好ましい。例えば、複数の光学センサ114a、bは、複数の光学センサ114a、bの間の距離(中心間距離)dsが複数の給紙ローラ111a、bの間の距離(中心間距離)dpより大きくなるように配置される。また、複数の光学センサ114a、bは、複数の光学センサ114a、bの間の距離(中心間距離)dsが複数のリタードローラ112a、bの間の距離(中心間距離)drより大きくなるように配置される。
図7は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140、CPU(Central Processing Unit)150及び処理回路160等をさらに有する。
駆動装置131は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ121を回転させて原稿の搬送動作を行う。
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。また、記憶装置140には、データとして入力画像等が格納される。
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU150は、操作ボタン105、原稿検出センサ110、超音波センサ113、光学センサ114、光量センサ117、撮像装置120、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置120の原稿読取制御等を行い、入力画像を取得する。また、CPU150は、搬送される原稿のスキュー及び厚さを検出し、検出した各情報に基づいて、原稿のスキューを補正する。
処理回路160は、入力画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された入力画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
図8は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図8に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、画像生成プログラム142、厚さ検出プログラム143、スキュー検出プログラム144及び重送検出プログラム145等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151、画像生成部152、厚さ検出部153、スキュー検出部154及び重送検出部155として機能する。
図9は、原稿搬送装置100の原稿読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図9に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の原稿読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。図9に示す動作のフローは、定期的に実行される。
最初に、制御部151は、利用者により、原稿の読み取りを指示するための操作ボタン105が押下されて、原稿の読み取りを指示する操作信号を操作ボタン105から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部151は、原稿検出センサ110から受信する原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作ボタン105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、制御部151は、駆動装置131を駆動して給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ121を回転させて、原稿を搬送させる(ステップS103)。このとき、制御部151は、複数の給紙ローラ111a、bのそれぞれの周速度が同一となるように、給紙ローラ111を回転させる。
次に、制御部151は、異常発生フラグがONであるか否かを判定する(ステップS104)。異常発生フラグは、原稿搬送装置100の起動時にOFFに設定され、後述する異常判定処理で異常が発生したと判定されるとONに設定される。
異常発生フラグがONである場合、制御部151は、異常処理として、駆動装置131を停止して、原稿の搬送を停止させる。また、制御部151は、不図示のスピーカ、LED等により、異常が発生したことを利用者に通知し、異常発生フラグをOFFに設定し(ステップS105)、一連のステップを終了する。
一方、異常発生フラグがONでない場合、画像生成部152は、搬送された原稿を撮像装置120に撮像させて、入力画像を取得する(ステップS106)。
次に、画像生成部152は、入力画像をインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS107)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像生成部152は、入力画像を記憶装置140に記憶しておく。
次に、制御部151は、原稿検出センサ110から受信する原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS108)。原稿台103に原稿が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104〜S108の処理を繰り返す。
一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS109)、一連のステップを終了する。
図10は、異常検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。図10に示すフローチャートは、原稿の搬送中に、所定の時間間隔ごとに実行される。
最初に、厚さ検出部153及びスキュー検出部154は、スキュー検出処理を実行する(ステップS201)。スキュー検出処理において、厚さ検出部153は、給紙される原稿の厚さを検出し、スキュー検出部154は、給紙される原稿のスキューを検出する。スキュー検出部154は、原稿の厚さに基づいて、原稿のスキューを補正可能であるか否かを判定し、補正可能である場合、スキューを補正する。スキュー検出処理の詳細については後述する。
次に、重送検出部155は、重送検出処理を実施する(ステップS202)。重送検出部155は、重送検出処理において、原稿の重送が発生したことを検出する。重送判定処理の詳細については後述する。
次に、制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生したか否かを判定する(ステップS203)。制御部151は、補正不可なスキュー又は原稿の重送の内の少なくとも一つが発生した場合、異常が発生したと判定し、補正不可なスキュー及び原稿の重送及びジャムの何れも発生していない場合、異常が発生していないと判定する。
制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生した場合、異常発生フラグをONに設定し(ステップS204)、一連のステップを終了する。一方、制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生していない場合、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。
図11は、スキュー検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11に示す動作のフローは、図10に示すフローチャートのステップS201において実行される。
最初に、厚さ検出部153は、光量センサ117から光量信号を取得する(ステップS301)。
次に、厚さ検出部153は、取得した光量信号の信号値が、原稿閾値以上であるか否かを判定することにより、光量センサ117の位置に原稿が搬送されているか否かを判定する(ステップS302)。原稿閾値は、光量センサ117の位置に任意の原稿が存在するか否かを識別可能な値に設定される。例えば、原稿閾値は、事前の実験により、光量センサ117の位置に原稿が存在しない場合の光量信号の信号値と、光量センサ117の位置に白色の極薄紙が存在する場合の光量信号の信号値との間の値に設定される。
光量信号の信号値が原稿閾値以上である場合、厚さ検出部153は、光量センサ117の位置に原稿が搬送されていないと判定し、ステップS301へ処理を戻し、光量センサ117から新たに光量信号を取得するまで待機する。
一方、光量信号の信号値が原稿閾値未満である場合、厚さ検出部153は、光量センサ117の位置に原稿が搬送されていると判定し、光量信号に基づいて、給紙される原稿の厚さを検出する(ステップS303)。
図12は、光量信号の特性について説明するための図である。
図12の横軸は原稿の厚さ(連量[kg])を示し、縦軸は光量信号の信号値を示す。グラフ1200は、光量センサ117の位置にそれぞれの厚さの原稿が存在する時の光量信号の信号値を示す。図12に示すように、光量センサ117の位置に存在する原稿の厚さが大きい程、光源115から放射された光はその原稿によって遮られ、光量センサ117の受光量が小さくなり、光量信号の信号値が小さくなる。一方、光量センサ117の位置に存在する原稿の厚さが小さい程、光源115から放射された光はその原稿を透過し、光量センサ117の受光量が大きくなり、光量信号の信号値が大きくなる。なお、光量センサ117の位置に原稿が存在しない場合、光源115から放射された光は全く遮られることなく光量センサ117に達するため、光量信号の信号値は、光量センサ117の位置に極薄の原稿が存在する場合よりさらに大きくなる。
原稿搬送装置100は、光量信号の信号値と、原稿の厚さとを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、厚さ検出部153は、そのテーブルを参照して、光量センサ117から取得した光量信号に対応する原稿の厚さを特定する。このように、厚さ検出部153は、光量センサ117による光量の検出結果に基づいて、給紙される原稿の厚さを検出する。
次に、スキュー検出部154は、光学センサ114から移動信号を取得する(ステップS304)。
次に、スキュー検出部154は、移動信号に基づいて、原稿の斜め移動を検出する(ステップS305)。
図13Aは、原稿の斜め移動について説明するための模式図である。
図13Aは、原稿Dが、原稿搬送方向A1に対して斜め方向A7に向かって(受光器116a側に向かって)、位置P1から位置P2に移動している様子を示す。この場合、各受光器116a、bの撮像範囲F1、F2において、原稿D内の各点S1、S2は、原稿搬送方向A1だけでなく、原稿搬送方向と直交する方向A6においても移動する。そのため、各撮像範囲F1、F2を撮像した画像において、原稿搬送方向と直交する方向A6の移動成分x1、x2は、大きくなる。
したがって、スキュー検出部154は、何れかの光学センサ114から出力される移動信号に示される原稿搬送方向と直交する方向A6の移動成分の大きさ(絶対値)が第1所定値以上である場合、原稿の斜め移動が発生していると判定する。一方、スキュー検出部154は、その移動成分の大きさが第1所定値未満である場合、原稿の斜め移動が発生していないと判定する。第1所定値は、原稿全体が撮像されないレベル又は原稿が搬送路の側壁に衝突するレベルの移動成分の大きさよりわずかに小さい値に設定される。スキュー検出部154は、その移動成分が正値である場合、原稿は光学センサ114a側に向かって傾いて移動し、その移動成分が負値である場合、原稿は光学センサ114b側に向かって傾いて移動していると判定する。
なお、スキュー検出部154は、複数の光学センサ114から出力される移動信号に示される原稿搬送方向と直交する方向A6の移動成分の平均値の大きさが第1所定値以上である場合、原稿の斜め移動が発生していると判定してもよい。これにより、スキュー検出部154は、斜め移動が発生しているか否かをより高精度に判定することができる。
次に、スキュー検出部154は、移動信号に基づいて、原稿の回転移動を検出する(ステップS306)。
図13Bは、原稿の回転移動について説明するための模式図である。
図13Bは、原稿Dが、位置P3から位置P4に、給紙ローラ111aの位置を中心に回転方向A8に(受光器116a側に向かって)回転している様子を示す。この場合、受光器116bの撮像範囲F2において原稿D内の点S4が原稿搬送方向A1に移動する距離は、受光器116aの撮像範囲F1において原稿D内の点S3が原稿搬送方向A1に移動する距離より大きくなる。そのため、撮像範囲F2を撮像した画像における点S4の原稿搬送方向A1の移動成分y4は、撮像範囲F1を撮像した画像における点S3の原稿搬送方向A1の移動成分y3より十分に大きくなる。
したがって、スキュー検出部154は、各光学センサ114から出力される移動信号に示される原稿搬送方向A1の移動成分の差の大きさ(絶対値)が第2所定値以上である場合、原稿の回転移動が発生していると判定する。一方、スキュー検出部154は、その移動成分の差の大きさが第2所定値未満である場合、原稿の回転移動が発生していないと判定する。第2所定値は、原稿全体が撮像されないレベル又は原稿が搬送路の側壁に衝突するレベルの移動成分の差の大きさよりわずかに小さい値に設定される。スキュー検出部154は、光学センサ114aにおける移動成分が光学センサ114bにおける移動成分より小さい場合、原稿は光学センサ114a側に向かって回転移動していると判定する。一方、スキュー検出部154は、光学センサ114aにおける移動成分が光学センサ114bにおける移動成分より大きい場合、原稿は光学センサ114b側に向かって回転移動していると判定する。
次に、スキュー検出部154は、原稿のスキューが発生しているか否かを判定する(ステップS307)。原稿のスキューとは、原稿が傾いて搬送される、原稿の斜行を意味し、原稿のスキューには、原稿の斜め移動及び回転移動が含まれる。スキュー検出部154は、原稿の斜め移動又は回転移動の何れかを検出した場合、原稿のスキューが発生していると判定し、原稿の斜め移動又は回転移動の何れも検出しなかった場合、原稿のスキューが発生していないと判定する。このように、スキュー検出部154は、複数の光学センサ114a、bによる原稿の移動の検出結果に基づいて、給紙される原稿のスキューを検出する。スキュー検出部154によって原稿のスキューが発生していないと判定された場合、即ち原稿のスキューが検出されなかった場合、制御部151は、処理をステップS312へ移行する。
一方、スキュー検出部154によって原稿のスキューが発生していると判定された場合、即ち原稿のスキューが検出された場合、制御部151は、厚さ検出部153によって検出された原稿の厚さが第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS308)。第1閾値は、極薄紙の厚さと薄紙の厚さとの間の値(例えば連量15kg)に設定される。
原稿の厚さが第1閾値未満である場合、制御部151は、補正不可なスキューが発生したと判定し(ステップS309)、一連のステップを終了する。この場合、制御部151は、図10のステップS204において異常発生フラグをONに設定し、図9のステップS105において原稿の搬送を停止させる。このように、制御部151は、厚さ検出部153によって検出された原稿の厚さに応じて、原稿の搬送を停止する。これにより、制御部151は、極薄紙のように損傷が発生しやすい原稿においてスキューが発生した場合に、原稿の搬送を停止させて、損傷の発生を防止することができる。
一方、原稿の厚さが第1閾値以上である場合、制御部151は、原稿のスキューの補正の度合いを決定する(ステップS310)。
制御部151は、複数の給紙ローラ111a及び給紙ローラ111bの各周速度を相互に異ならせることにより原稿のスキューを補正する。原稿のスキューが発生していない場合、制御部151は、各周速度の両方を基準速度に設定する。
一方、原稿の斜め移動が発生している場合、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度が、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度より大きくなるように、各周速度を設定する。即ち、図13Aに示す例では、光学センサ114a側の給紙ローラ111aの周速度が光学センサ114b側の給紙ローラ111bの周速度より大きくなるように、各周速度を設定する。例えば、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より大きい(速い)速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度に設定する。なお、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より小さい(遅い)速度に設定してもよい。また、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より大きい(速い)速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より小さい(遅い)速度に設定してもよい。
これにより、原稿は原稿が向かっていない側に位置する給紙ローラ111を中心に回転するため、原稿のスキューが解消する。
また、原稿の回転移動が発生している場合、制御部151は、原稿が向かっている側(回転方向側)に位置する給紙ローラ111の周速度が、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度より大きくなるように、各周速度を設定する。即ち、図13Bに示す例では、光学センサ114a側の給紙ローラ111aの周速度が光学センサ114b側の給紙ローラ111bの周速度より大きくなるように、各周速度を設定する。例えば、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より大きい(速い)速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度に設定する。なお、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より小さい(遅い)速度に設定してもよい。また、制御部151は、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より大きい(速い)速度に設定し、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度を基準速度より小さい(遅い)速度に設定してもよい。
これにより、原稿は原稿が向かっていない側に位置する給紙ローラ111を中心に回転するため、原稿のスキューが解消する。
そして、制御部151は、厚さ検出部153によって検出された原稿の厚さに応じて、複数の給紙ローラ111a、bの各周速度の差を変更することにより、原稿のスキューの補正の度合いを変更する。制御部151は、原稿の厚さが大きい程、各周速度の差が大きくなり、原稿の厚さが小さい程、各周速度の差が小さくなるように、各周速度の差を変更する。原稿搬送装置100は、原稿の厚さと、基準速度に対する各周速度の差の比率とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておく。制御部151は、そのテーブルを参照して、厚さ検出部153によって検出された原稿の厚さに対応する比率を特定し、基準速度に対する各周速度の差が、特定した比率となるように、各周速度を変更する。
図14は、原稿の厚さと、基準速度に対する各給紙ローラ111の周速度の差の比率との関係について説明するための模式図である。
図14において、横軸は原稿の厚さ(連量[kg])を示し、縦軸は基準速度に対する各周速度の差の比率を示す。グラフ1400は、各厚さの原稿のスキューが発生した場合に、基準速度に対する、各給紙ローラ111の変更されるべき周速度の差の比率を示す。図14に示すように、原稿の厚さが第2閾値以下である場合、基準速度に対する各周速度の差が0となるように、即ち各周速度が同一の値となるように、各周速度が設定される。第2閾値は、薄紙の厚さとPPC用紙の厚さとの間の値(例えば連量20kg)に設定される。この場合、各周速度は基準速度に設定され、原稿のスキューの補正は停止される。
このように、制御部151は、厚さ検出部153によって検出された原稿の厚さに応じて、原稿のスキューの補正を停止することにより、原稿のスキューの補正の度合いを変更する。これにより、制御部151は、薄紙のように損傷が発生しやすい原稿においてスキューが発生した場合に、スキューを補正することにより原稿に負荷をかけてしまい、原稿に損傷が発生することを防止することができる。
また、図14に示すように、原稿の厚さが第2閾値より大きく且つ第3閾値より小さい場合、原稿の厚さが大きい程、各周速度の差が大きくなるように、各周速度が設定される。第3閾値は、PPC用紙の厚さと厚紙の厚さとの間の値(例えば連量120kg)に設定される。これにより、制御部151は、損傷が発生しやすい薄い原稿については、緩やかにスキューを補正して損傷の発生を防止することができる。一方、制御部151は、損傷が発生する可能性が低い厚い原稿については、高速にスキューを補正して、原稿全体が撮像されない可能性又は原稿のジャムが発生する可能性をより低減させることができる。
また、図14に示すように、原稿の厚さが第3閾値以上である場合、原稿の厚さに関わらず各周速度の差が一定となるように、各周速度が設定される。図14に示す例では、原稿の厚さが第3閾値以上である場合、基準速度に対する各周速度の差は100%に設定される。その場合、例えば、原稿が向かっている側に位置する給紙ローラ111の周速度は、基準速度の150%に設定され、他方の側に位置する給紙ローラ111の周速度は、基準速度の50%に設定される。これにより、スキューの補正の度合いに上限が設定され、制御部151は、スキューを高速に補正しすぎて、原稿が現在の方向と逆方向にまで傾いてしまうことを防止することができる。
次に、制御部151は、決定した補正の度合いに従って、複数の給紙ローラ111a、bの周速度を相互に異ならせることにより原稿のスキューを補正する(ステップS311)。
次に、制御部151は、光量センサ117から光量信号を取得する(ステップS312)。
次に、制御部151は、取得した光量信号の信号値が、原稿閾値以上であるか否かを判定することにより、光量センサ117の位置に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS313)。光量センサ117の位置に原稿が残っている場合、制御部151は、処理をステップS304に戻して、ステップS304〜S313の処理を繰り返す。一方、光量センサ117の位置に原稿が残っていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
なお、制御部151は、ステップS308〜S309の処理を省略し、何れの厚さを有する原稿に対しても、原稿の搬送を停止せずに、原稿のスキューの補正の度合いを変更してもよい。逆に、制御部151は、ステップS310〜S311の処理を省略し、何れの厚さを有する原稿に対しても、原稿のスキューの補正の度合いを変更せずに、原稿の搬送を停止してもよい。
また、制御部151は、ステップS310において、何れの厚さを有する原稿に対しても、原稿のスキューの補正を停止せずに、各給紙ローラ111の周速度の差を変更してもよい。逆に、制御部151は、ステップS310において、何れの厚さを有する原稿に対しても、各給紙ローラ111の周速度の差を変更せずに、原稿のスキューの補正を停止してもよい。
また、制御部151は、搬送される原稿の先端が第1搬送ローラ118に到達するまで、原稿のスキューを補正し、原稿の先端が第1搬送ローラ118に到達した後は、原稿のスキューの補正を停止してもよい。その場合、原稿搬送装置100には、原稿搬送方向A1において、光学センサ114と第1搬送ローラ118の間(又は第1搬送ローラ118と撮像装置120の間)に、第2原稿検出センサが設けられる。第2原稿検出センサは、原稿検出センサ110と同様のセンサである。制御部151は、第2原稿検出センサから受信する原稿検出信号に基づいて、原稿の先端が第1搬送ローラ118の位置に到達したか否かを判定する。
これにより、原稿が第1搬送ローラ118の位置に到達したときには原稿のスキューの補正が停止しているため、原稿に対して給紙ローラ111と第1搬送ローラ118とで異なる方向に力が加えられ、原稿が損傷することが防止される。また、原稿が撮像装置120の位置に到達したときには原稿のスキューの補正が停止しているため、入力画像において原稿が曲がった状態で撮像されることも防止される。
また、スキュー検出部154は、原稿のスキューが発生したか否かを繰り返し判定してスキューが発生している場合にスキューを補正するのでなく、原稿のスキューを最初に検出したときにスキューを補正する期間を決定してもよい。その場合、原稿搬送装置100は、斜め移動時の原稿の傾き及び回転移動時の原稿の回転度合いと、そのスキューを補正するための給紙ローラ111a、bの駆動量差とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておく。
図15Aは、斜め移動時の原稿の傾きについて説明するための模式図である。
図15Aに示すように、斜め移動時の原稿の傾きθTは、以下の式(1)により算出される。
θT=tan-1(xa/ya) (1)
ここで、xaは光学センサ114aから出力される移動信号に示される原稿搬送方向と直交する方向A6の移動成分であり、yaは光学センサ114aから出力される移動信号に示される原稿搬送方向A1の移動成分である。なお、斜め移動時の原稿の傾きθTは、xa及びyaの代わりに、二つの光学センサ114a、bから出力される各移動成分の平均値を用いて算出されてもよい。
図15Bは、回転移動時の原稿の回転度合いについて説明するための模式図である。
図15Bに示すように、回転移動時の原稿の回転度合いとして、例えば光学センサ114aの位置における原稿の原稿搬送方向A1の移動成分と、光学センサ114bの位置における原稿の原稿搬送方向A1の移動成分との差が用いられる。その場合、回転移動時の原稿の回転度合いθRは、以下の式(2)により算出される。
θR=tan-1{(yb−ya)/ds} (2)
ここで、ybは光学センサ114bから出力される移動信号に示される原稿搬送方向A1の移動成分であり、yaは光学センサ114aから出力される移動信号に示される原稿搬送方向A1の移動成分である。dsは光学センサ114aと光学センサ114bの間の距離(中心間距離)である。
給紙ローラ111a、bの駆動量差は、給紙ローラ111a、bの外周面の移動距離の差である。給紙ローラ111a、bの駆動量差は、事前の実験により、その駆動量差が発生するように給紙ローラ111a、bを回転させたときにそのスキューが解消する値に設定される。
この場合、制御部151は、ステップS302で光量センサ117の位置に原稿が搬送されたと判定してから所定時間経過後にステップS304〜S311の処理を実行し、ステップS312〜S313の処理を省略する。制御部151は、原稿のスキューが発生している場合、移動信号から、斜め移動時の原稿の傾き及び回転移動時の原稿の回転度合いを算出する。制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、算出した原稿の傾き及び回転度合いに対応する駆動量差を特定する。ステップS311において、制御部151は、特定した駆動量差をステップS310で決定した給紙ローラ111a、bの周速度の差で除算した時間だけ、給紙ローラ111a、bの周速度を相互に異ならせることにより原稿のスキューを補正する。
なお、原稿の斜め移動が発生しておらず、原稿の回転移動のみが発生している場合、制御部151は、移動信号から給紙ローラ111a、bの駆動量差を算出してもよい。その場合、制御部151は、以下の式(3)に従って、駆動量差を算出する。
駆動量差=dp×tanθR (3)
ここで、dpは給紙ローラ111aと給紙ローラ111bの間の距離(中心間距離)である。
同様に、原稿の回転移動が発生しておらず、原稿の斜め移動のみが発生している場合、制御部151は、移動信号から給紙ローラ111a、bの駆動量差を算出してもよい。その場合、制御部151は、以下の式(4)に従って、駆動量差を算出する。
駆動量差=dp×tanθT (4)
これらの場合、原稿搬送装置100は、原稿のスキューを定期的に監視する必要がなくなり、スキュー検出処理の処理負荷を低減させることができる。
図16は、重送判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図16に示す動作のフローは、図10に示すフローチャートのステップS202において実行される。
最初に、重送検出部155は、超音波センサ113から超音波信号を取得する(ステップS401)。
次に、重送検出部155は、取得した超音波信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS402)。
図17は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図17のグラフ1700において、実線1701は一枚の原稿が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線1702は原稿の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ1700の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間1703において点線1702の超音波信号の信号値が低下している。そのため、重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値ThA未満であるか否かにより原稿の重送が発生したか否かを判定することができる。
重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満である場合、原稿の重送が発生したと判定し(ステップS403)、一連のステップを終了する。一方、重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値以上である場合、原稿の重送は発生していないと判定し(ステップS404)、一連のステップを終了する。このように、重送検出部155は、超音波センサ113による超音波の大きさの検出結果に基づいて原稿の重送を検出する。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、図9〜11に示したフローチャートに従って動作することによって、給紙される原稿の厚さに応じて、原稿のスキューの補正の度合いを変更し、又は、原稿の搬送を停止する。原稿搬送装置100は、給紙される原稿が薄くて損傷しやすい場合に、原稿のスキューの補正の度合いを小さくし、又は、原稿の搬送を停止することにより、原稿が損傷することを防止できる。したがって、原稿搬送装置100は、原稿のスキューが発生した場合に、より適切に処理することが可能となった。
また、原稿搬送装置100は、複数の給紙ローラ111a、bの周速度の差を変更することにより、原稿のスキューを補正する。これにより、原稿搬送装置100は、原稿全体が撮像されないこと、又は、原稿が搬送路の側壁に衝突して原稿のジャムが発生することを防止することが可能となった。
図18は、他の実施形態に係るスキュー検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
図18に示すスキュー検出処理は、図11に示すスキュー検出処理の代わりに実行される。図18に示すフローチャートのステップS501〜S502、S505〜S514の処理は、それぞれ図11に示すフローチャートのステップS301〜S302、S304〜S313の処理と同様であるため詳細な説明を省略する。
ステップS503において、厚さ検出部153は、超音波センサ113から超音波信号を取得する(ステップS503)。
次に、厚さ検出部153は、超音波信号に基づいて、給紙される原稿の厚さを検出する(ステップS504)。
図19は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図19の横軸は原稿の厚さ(連量[kg])を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。グラフ1900は、超音波センサ113の位置にそれぞれの厚さの原稿が存在する時の超音波信号の信号値を示す。図19に示すように、超音波センサ113の位置に存在する原稿の厚さが大きい程、超音波送信器113aから出力された超音波は原稿によって減衰し、超音波受信器113bにおける超音波の受信レベルが小さくなり、超音波信号の信号値が小さくなる。一方、超音波センサ113の位置に存在する原稿の厚さが小さい程、超音波送信器113aから出力された超音波は原稿を透過し、超音波受信器113bにおける超音波の受信レベルが大きくなり、超音波信号の信号値が大きくなる。
原稿搬送装置100は、超音波信号の信号値と、原稿の厚さとを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、厚さ検出部153は、そのテーブルを参照して、超音波センサ113から取得した超音波信号に対応する原稿の厚さを特定する。このように、厚さ検出部153は、超音波センサ113による超音波の大きさの検出結果に基づいて、給紙される原稿の厚さを検出する。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、超音波センサ113による超音波の大きさの検出結果に基づいて、給紙される原稿の厚さを検出する場合も、原稿のスキューが発生した場合に、より適切に処理することが可能となった。特に、原稿搬送装置100は、超音波センサ113を用いて原稿の厚さを検出する場合、原稿に記載されたコンテンツ(文字、図、背景)の色等の影響を受けることなく、原稿の厚さを良好に検出することができる。また、原稿搬送装置100は、原稿の重送を検出するために使用する超音波センサ113を用いて原稿の厚さを検出するため、装置内の部品数を削減することが可能となり、装置コスト及び装置サイズを低減させることが可能となる。
なお、厚さ検出部153は、さらに他の手段により、給紙される原稿の厚さを検出してもよい。例えば、原稿搬送装置100は、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサを有する。反射光センサは、原稿の表面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間を検出し、厚さ検出部153は、検出された時間によって原稿の厚さを検出する。圧力センサは、原稿の紙厚に応じて変化する圧力を検出し、厚さ検出部153は、検出された圧力によって原稿の厚さを検出する。機械式センサは、原稿に接するローラの移動量を検出し、厚さ検出部153は、検出された移動量によって原稿の厚さを検出する。
また、原稿搬送装置100は、光学センサ114を複数有するのではなく、一つだけ有してもよい。その場合、スキュー検出部154は、原稿のスキューとして、一つの光学センサ114による原稿の移動の検出結果に基づいて、原稿の斜め移動を検出する。
また、スキュー検出部154は、光学センサ114以外の他の手段により、給紙される原稿のスキューを検出してもよい。例えば、原稿搬送装置100は、原稿搬送方向において給紙ローラ111と搬送ローラ118の間に配置され且つ原稿搬送方向と直交する方向A6に間隔を空けて並べて配置された複数のエンコーダを有する。各エンコーダは、多数のスリット(光の透過穴)が形成され且つ搬送される原稿に従って回転するように設けられた円板と、その円板を挟んで対向するように設けられた発光器及び受光器とを有する。各受光器は、一定期間毎に、各発光器と各受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態との変化回数に基づいて原稿の移動距離を検出する。
スキュー検出部154は、各エンコーダにより検出された移動距離に基づいて原稿の回転移動を検出し、各エンコーダが原稿の移動を最初に検出したタイミングの差に基づいて原稿の斜め移動を検出する。
但し、エンコーダを用いて原稿のスキューを検出する場合、スキュー検出部154は、原稿が横滑りして、原稿搬送方向と直交する方向A6に移動したことを検出することができない。また、スキュー検出部154は、エンコーダが滑ってしまい原稿に連れ回らなかった場合に、スキューを正しく検出することができない。また、エンコーダと接触した原稿が、エンコーダにより損傷を受ける可能性もある。原稿搬送装置100は、光学センサ114を用いて原稿のスキューを検出することにより、原稿の横滑りを含めて原稿のスキューを良好に検出し、且つ、原稿の損傷を防止することができる。
また、原稿搬送装置100は、光学センサ114を原稿検出センサとして使用してもよい。その場合、制御部151は、光学センサ114による原稿の検出結果に基づいて、撮像装置120に原稿の撮像を開始させるタイミングを決定する。これにより、原稿搬送装置100は、原稿搬送方向において給紙ローラ111と撮像装置120の間に専用の原稿検出センサを設けることなく、原稿の撮像タイミングを適切に決定することができる。
図20は、他の実施形態に係る原稿搬送装置における処理回路160の概略構成を示す図である。処理回路160は、制御回路161、画像生成回路162、厚さ検出回路163、スキュー検出回路164及び重送検出回路165等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路161は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路161は、操作ボタン105から操作信号を、原稿検出センサ110から原稿検出信号を、厚さ検出回路163から原稿の厚さの検出結果を、スキュー検出回路164からスキューの検出結果を、重送検出回路165から重送の検出結果を受信する。制御回路161は、受信した各情報に基づいて駆動装置131を駆動する。また、制御回路161は、原稿のスキューが検出された場合、複数の給紙ローラの周速度を相互に異ならせることにより原稿のスキューを補正し、原稿の厚さに応じて、原稿のスキューの補正の度合いを変更し、又は、原稿の搬送を停止する。
画像生成回路162は、画像生成部の一例であり、画像生成部152と同様の機能を有する。画像生成回路162は、撮像装置120から入力画像を受信し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
厚さ検出回路163は、厚さ検出部の一例であり、厚さ検出部153と同様の機能を有する。厚さ検出回路163は、光量センサ117から光量信号を、又は、超音波センサ113から超音波信号を受信し、受信した信号に基づいて原稿の厚さを検出し、検出結果を制御回路161に出力する。
スキュー検出回路164は、スキュー検出部の一例であり、スキュー検出部154と同様の機能を有する。スキュー検出回路164は、光学センサ114から移動信号を受信し、受信した移動信号に基づいて原稿のスキューを検出し、検出結果を制御回路161に出力する。
重送検出回路165は、重送検出部の一例であり、重送検出部155と同様の機能を有する。重送検出回路165は、超音波センサ113から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて原稿の重送を検出し、検出結果を制御回路161に出力する。
以上詳述したように、原稿搬送装置は、処理回路160を用いる場合においても、原稿のスキューが発生した場合に、より適切に処理することが可能となった。