以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。図3は、一実施形態に係るテーブルの回転角が0°の時であって型締時の金型装置の状態を示す断面図である。図4は、一実施形態に係るテーブルの回転角が0°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す断面図である。図5は、一実施形態に係るテーブルの回転角が180°の時であって型締時の金型装置の状態を示す図である。図6は、一実施形態に係るテーブルの回転角が180°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す断面図である。図7は、図6の一部を拡大して示す図である。尚、図1および図2は、図3のI−I線に沿った断面図である。
本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、第1射出装置301と、第2射出装置302と、第1移動装置401と、第2移動装置(不図示)と、制御装置700と、フレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置フレーム910と、射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、テーブル520、回転機構530、および移動機構102を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。固定金型810は、図3に示すように、可動金型820との対向面に、第1固定成形面811と、第2固定成形面812とを有する。
第1固定成形面811は、第1成形品21が成形される第1成形部801を形成する。より詳細には、第1固定成形面811は、第1成形部801の壁面の一部を形成する。第1成形部801は、第1キャビティ空間802と、第1キャビティ空間802に連通する第1連通空間803とを有する。第1連通空間803は、本実施形態では所謂ランナーである。第1連通空間803がランナーである場合、溶融した成形材料は第1連通空間803を通って第1キャビティ空間802に流れ込む。その後、第1キャビティ空間802と第1連通空間803との両方において、成形材料が冷却され、固化される。第1キャビティ空間802で成形される物品を、第1キャビティ空間成形品22と呼ぶ。第1連通空間803で成形される物品を、第1連通空間成形品23と呼ぶ。第1成形品21は、第1キャビティ空間成形品22と、第1連通空間成形品23とを含む。本実施形態では第1連通空間803がランナーであるので、第1連通空間成形品23を第1ランナー成形品23とも呼ぶ。第1ランナー成形品23は、不要品であり、廃棄されるか、再生材として再利用される。
第2固定成形面812は、第2成形品25が成形される第2成形部805を形成する。より詳細には、第2固定成形面812は、第2成形部805の壁面の一部を形成する。第2成形部805は、第2キャビティ空間806と、第2キャビティ空間806に連通する第2連通空間807とを有する。第2連通空間807は、本実施形態では所謂ランナーである。第2連通空間807がランナーである場合、溶融した成形材料は第2連通空間807を通って第2キャビティ空間806に流れ込む。その後、第2キャビティ空間806と第2連通空間807との両方において、成形材料が冷却され、固化される。第2キャビティ空間806で成形される物品を、第2キャビティ空間成形品26と呼ぶ。第2連通空間807で成形される物品を、第2連通空間成形品27と呼ぶ。第2成形品25は、第1キャビティ空間成形品22と、第2連通空間成形品27とを含む。本実施形態では第2連通空間807がランナーであるので、第2連通空間成形品27を第2ランナー成形品27とも呼ぶ。第2ランナー成形品27は、不要品であり、廃棄されるか、再生材として再利用される。
第2成形品25は、第1成形品21を一部として含むものである。つまり、第2成形品25の一部は、第1成形品21である。例えば、第2キャビティ空間成形品26の一部は、第1キャビティ空間成形品22である。第1キャビティ空間成形品22が1次成形品であり、第2キャビティ空間成形品26が2次成形品である。尚、後述するように、第1キャビティ空間成形品22が2次成形品であり、第2キャビティ空間成形品26が3次成形品であってもよい。第1キャビティ空間成形品22がn(nは1以上の自然数)次成形品であり、第2キャビティ空間成形品26がn+1次成形品であればよい。n+1次成形品は、その一部に、n次成形品を含む。
第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、異なる形状に形成され、それぞれ、例えば凹状に形成される。固定金型810は、型開閉方向に積層される複数の板(不図示)を有する。固定金型810を構成する複数の板のうち、可動金型820と接触する板を型板と呼ぶ。第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面には、テーブル520を介して可動金型820が取付けられる。
可動金型820は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。図3に示すように、第1可動成形面821が第1成形部801形成すると共に、第2可動成形面822が第2成形部805を形成する。また、図5に示すように、第1可動成形面821が第2成形部805を形成すると共に、第2可動成形面822が第1成形部801を形成する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1成形部801と、第2成形部805とを順番に形成する。より詳細には、第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1成形部801の壁面の一部と、第2成形部805の壁面の一部とを順番に形成する。
第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の形状に形成され、それぞれ、例えば凸状に形成される。可動金型820は、型開閉方向に積層される複数の板を有する。可動金型820を構成する複数の板のうち、固定金型810と接触する板を型板と呼ぶ。第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
尚、本実施形態では、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凹状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凸状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。つまり、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凸状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凹状に形成されてもよい。
尚、本実施形態の可動金型820は第1成形部801と第2成形部805とを順番に形成する可動成形面を複数(例えば2つ)有するが、可動成形面の数は1つでもよい。本実施形態において可動形成面の数が複数であるのは、第1成形部801と第2成形部805とを同時に形成し、成形品の生産効率を向上するためである。
テーブル520は、可動プラテン120に回転自在に取り付けられる。テーブル520の回転中心線520Xは、型開閉方向に平行である。テーブル520は、回転時に4本のタイバー140と干渉しないように形成される。具体的には、テーブル520は、型開閉方向視で4本のタイバー140の内接円の内側に配置される。
回転機構530は、テーブル520を回転させる。回転機構530は、回転モータ531と、回転モータ531の回転駆動力をテーブル520に伝達する伝達機構532とを有する。伝達機構532は、例えば、駆動歯車533、中間歯車534および受動歯車535などで構成される。
尚、回転モータ531は、可動プラテン120の側方に配置されるが、可動プラテン120の下方または上方に配置されてもよい。また、伝達機構532の構成は一般的なものであってよく、例えば伝達機構532は歯車の代わりにタイミングベルトを有してもよい。
テーブル520が180°回転される度に、テーブル520の回転方向が逆転してよい。例えば、回転機構530は、テーブル520を時計回りに180°回転した後、テーブル520を反時計回りに180°回転する。テーブル520に固定される配線および配管の配置が元に戻るので、配線および配管の取り回しが容易である。
図3に示すように型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1成形部801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2成形部805を形成する。第1成形部801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。続いて、型開が行われる。
次いで、図4に示すように、エジェクタ装置200が、第1ランナー成形品23を、可動金型820の金型本体部830から突き出す。エジェクタ装置200は、詳しくは後述するが、第1ランナー成形品23を突き出すとき、第1ランナー成形品23と共に第1キャビティ空間成形品22を突き出さない。第1キャビティ空間成形品22は、可動金型820の金型本体部830に付着した状態で、可動金型820と共に180°回転される。その後、図5に示すように型締が行われる。
図5に示すように型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1成形部801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2成形部805を形成する。第2成形部805の一部には、第1キャビティ空間成形品22が配置される。第2成形部805の残部には第2射出装置302から成形材料が供給され、第2キャビティ空間成形品26が成形される。第2キャビティ空間成形品26は、その一部に、第1キャビティ空間成形品22を含むものである。
第1ランナー成形品23は除去済みであるので、第1ランナー成形品23の除去された空間を、第2成形部805に第2射出装置302から成形材料を導く空間として利用できる。また、第1ランナー成形品23は除去済みであるので、第1ランナー成形品23の除去された空間を、第2射出装置302から射出された成形材料で埋めることができ、成形材料の色を変更できる。
図5に示すように型締時に、第2キャビティ空間成形品26の成形と並行して、第1キャビティ空間成形品22が成形される。第1キャビティ空間成形品22は、第1成形部801で成形される。続いて、型開が行われる。
次いで、図6に示すように、エジェクタ装置200が、第2キャビティ空間成形品26を、可動金型820の金型本体部830から突き出す。エジェクタ装置200は、詳しくは後述するが、第2キャビティ空間成形品26と共に第2ランナー成形品27を突き出す。
第2キャビティ空間成形品26の突き出しと並行して、第1ランナー成形品23の突き出しが行われる。このとき、第1キャビティ空間成形品22は、第1ランナー成形品23と共に突き出されない。その後、型開が行われ、再び、テーブル520が180°回転される。可動金型820と共に第1キャビティ空間成形品22が180°回転される。その後、型締が行われ、再び、第1キャビティ空間成形品22が第2成形部805の一部に配置される。
可動プラテン120は、主に図3および図5に示すように、前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128(図1および図2参照)とを有する。前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とは、別々に形成され連結されてもよいし、鋳造などで一体に形成されてもよい。
前面板121は、テーブル520を回転自在に支持する。前面板121には、前面板121を型開閉方向に貫通する第1ロッド穴122が形成される。第1ロッド穴122には、第1エジェクタロッド210が進退自在に配置される。また、前面板121には、前面板121を型開閉方向に貫通する第2ロッド穴123が形成される。第2ロッド穴123には、第2エジェクタロッド220が進退自在に配置される。
中間ブロック124は、テーブル520の円筒部523の径方向内側に配置される。中間ブロック124の内部には、エジェクタ装置200の第1駆動機構211が配置される空間と、エジェクタ装置200の第2駆動機構221が配置される空間とが形成される。
後方ブロック126は、受動歯車535を回転自在に支持する。後方ブロック126の内部には、エジェクタ装置200の第1駆動機構211が配置される空間と、エジェクタ装置200の第2駆動機構221が配置される空間とが形成される。
トグルリンク取付部128(図1および図2参照)は、後方ブロック126の後端面のY軸方向中央部に、Z軸方向に間隔をおいて一対設けられる。一対のトグルリンク取付部128は、それぞれ、Y軸方向に対し垂直なトグルリンク取付板をY方向に間隔をおいて複数有する。複数のトグルリンク取付板は、それぞれ、後方ブロック126の後端面から後方に突出し、その先端部にピン穴を有する。ピン穴にはピンが挿し通され、ピンを介して第1リンク152(図1および図2参照)がトグルリンク取付部128に揺動自在に取り付けられる。
移動機構102は、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。型開時に、回転機構530がテーブル520を180°回転させる。移動機構102は、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、型開工程、および型回転工程などを行う。型回転工程は、型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に行われる。型回転工程は、本実施形態では突き出し工程の完了後に行われるが、突き出し工程の完了前に行われてもよい。例えば、第2キャビティ空間成形品26の成形される位置と、第2キャビティ空間成形品26の突き出される位置とが異なる場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突き出し工程が行われる。具体的には、例えば、第2キャビティ空間成形品26の成形される位置が操作側であって、第2キャビティ空間成形品26の突き出される位置が反操作側である場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突き出し工程が行われる。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間に、第1成形部801と第2成形部805とが形成される。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。
型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、突き出し工程が行われる。突き出し工程では、エジェクタ装置200が、第1ランナー成形品23を、可動金型820の金型本体部830から突き出す。第1キャビティ空間成形品22は、第1ランナー成形品23と共に突き出されない。また、突き出し工程では、エジェクタ装置200が、第2キャビティ空間成形品26を、可動金型820の金型本体部830から突き出す。突き出し工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、型回転工程が行われる。
型回転工程では、テーブル520を回転し、可動金型820と共に第1キャビティ空間成形品22を回転する。その後、型閉工程および昇圧工程が行われることで、第1キャビティ空間成形品22が第2成形部805の一部に配置される。
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。尚、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。エジェクタ装置200は、可動プラテン120と共に進退する。
エジェクタ装置200は、図4および図6に示すように、第1エジェクタロッド210を有する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。テーブル520の回転後、第1エジェクタロッド210は、前進し、テーブル520の内部に進入する。その結果、詳しくは後述するが、第1ランナー成形品23が突き出される。その後、第1エジェクタロッド210は、後退し、テーブル520から退出する。
エジェクタ装置200は、第1エジェクタロッド210を進退させる第1駆動機構211を有する。第1駆動機構211は、例えば、第1エジェクタモータ212と、第1クロスヘッド214と、第1エジェクタモータ212の回転運動を第1クロスヘッド214の直線運動に変換する第1運動変換機構216とを有する。
第1運動変換機構216は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第1クロスヘッド214は、第1ガイドバー215に沿って型開閉方向に移動する。第1クロスヘッド214には第1エジェクタロッド210の後端部が取り付けられ、第1エジェクタロッド210は第1クロスヘッド214と共に進退する。
制御装置700は、第1エジェクタロッド210を進退させるときに、第1エジェクタロッド210の位置を制御する。第1エジェクタロッド210の位置は、例えば第1エジェクタモータエンコーダ213を用いて検出する。第1エジェクタモータエンコーダ213は、第1エジェクタモータ212の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、第1エジェクタロッド210の位置を検出する第1エジェクタロッド位置検出器は、第1エジェクタモータエンコーダ213に限定されず、一般的なものを使用できる。
エジェクタ装置200は第2エジェクタロッド220を有する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。テーブル520の回転後、第2エジェクタロッド220は、前進し、テーブル520の内部に進入する。その結果、詳しくは後述するが、第2キャビティ空間成形品26が突き出される。その後、第2エジェクタロッド220は、後退し、テーブル520から退出する。
エジェクタ装置200は、第2エジェクタロッド220を進退させる第2駆動機構221を有する。第2駆動機構221は、例えば、第2エジェクタモータ222と、第2クロスヘッド224と、第2エジェクタモータ222の回転運動を第2クロスヘッド224の直線運動に変換する第2運動変換機構226とを有する。
第2運動変換機構226は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第2クロスヘッド224は、第2ガイドバー225に沿って型開閉方向に移動する。第2クロスヘッド224には第2エジェクタロッド220の後端部が取り付けられ、第2エジェクタロッド220は第2クロスヘッド224と共に進退する。
制御装置700は、第2エジェクタロッド220を進退させるときに、第2エジェクタロッド220の位置を制御する。第2エジェクタロッド220の位置は、例えば第2エジェクタモータエンコーダ223を用いて検出する。第2エジェクタモータエンコーダ223は、第2エジェクタモータ222の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、第2エジェクタロッド220の位置を検出する第2エジェクタロッド位置検出器は、第2エジェクタモータエンコーダ223に限定されず、一般的なものを使用できる。
エジェクタ装置200は、第1駆動機構211と第2駆動機構221とを有する。従って、制御装置700は、第1エジェクタロッド210の進退と第2エジェクタロッド220の進退とを別々に制御できる。第2キャビティ空間成形品26の突き出しと、第1ランナー成形品23の突き出しとを別々に制御できる。
例えば、制御装置700は、第2エジェクタロッド220の前進速度を、第1エジェクタロッド210の前進速度よりも小さく設定する。第2キャビティ空間成形品26を緩やかに突き出すので、突き出し時に第2キャビティ空間成形品26に作用する応力を低減でき、第2キャビティ空間成形品26の品質低下を抑制できる。
制御装置700は、第2エジェクタロッド220の前進時に、第2エジェクタモータ222のトルクを監視する。制御装置700は、第2エジェクタモータ222のトルクが上限値を超える場合、そのトルクが上限値以下となるように、第2エジェクタロッド220の前進速度を設定速度よりも遅くする。
第2エジェクタモータ222のトルクの上限値は、例えば、突き出し時に第2キャビティ空間成形品26にかかる応力と、第2キャビティ空間成形品26の不良率との関係に基づき設定される。また、2エジェクタモータ231のトルクの上限値は、第1エジェクタモータ212のトルクの上限値よりも小さく設定される。
尚、第1駆動機構211は、第1エジェクタモータ212と第1運動変換機構216との組み合わせの代わりに、第1油圧シリンダを有してもよい。同様に、第2駆動機構221は、第2エジェクタモータ222と第2運動変換機構226との組み合わせの代わりに、第2油圧シリンダを有してもよい。
第1エジェクタロッド210と第2エジェクタロッド220に共通の駆動機構が用いられてもよい。駆動機構は、例えば1つのエジェクタモータまたは1つの油圧シリンダで、第1エジェクタロッド210と第2エジェクタロッド220との両方を進退する。駆動機構のコストを低減できる。
第1エジェクタロッド210と、第2エジェクタロッド220とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1成形部801と第2成形部805とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されるからである。
例えば、操作側に、第1成形部801および第1エジェクタロッド210が配置される。反操作側に、第2成形部805および第2エジェクタロッド220が配置される。第2キャビティ空間成形品26を反操作側に取り出すことができる。
(第1射出装置および第2射出装置)
第1射出装置301および第2射出装置302の説明では、型締装置100等の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
第1射出装置301は第1スライドベース303に設置され、第1スライドベース303は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第1成形部801に成形材料を充填する。
第2射出装置302は第2スライドベースに設置され、第2スライドベースは射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第2成形部805に成形材料を充填する。
第1射出装置301と第2射出装置302とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1成形部801と第2成形部805とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されるからである。第1射出装置301が第1成形部801に充填する成形材料と、第2射出装置302が第2成形部805に充填する成形材料とは、異なる材料でもよいし、同じ材料でもよい。
第1射出装置301と第2射出装置302とは、同様に構成される。そこで、以下、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。第1射出装置301は、図1および図2に示すように、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、第1射出装置301は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の圧力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
第1射出装置301は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程とも呼ぶ。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内の第1成形部801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内の第1キャビティ空間802の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時には第1キャビティ空間802の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、第1キャビティ空間802からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、第1キャビティ空間802内の成形材料の固化が行われる。冷却工程では、第1連通空間803内の成形材料の固化も行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の第1射出装置301は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の第1射出装置301は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(第1移動装置および第2移動装置)
第1移動装置401および第2移動装置(不図示)の説明では、第1射出装置301および第2射出装置302の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる。また、第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301のノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる。また、第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302のノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
第1移動装置401と第2移動装置とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1移動装置401と第2移動装置とは、第1射出装置301と第2射出装置302とを独立に進退させる。
第1移動装置401と第2移動装置とは、同様に構成される。そこで、以下、第1移動装置401の構成について説明し、第2移動装置の構成について説明を省略する。第1移動装置401は、図1および図2に示すように、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、第1射出装置301に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路413を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路413を介して前室435に供給されることで、第1射出装置301が前方に押される。第1射出装置301が前進され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路414を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路414を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、第1射出装置301が後方に押される。第1射出装置301が後退され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では第1移動装置401は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第1射出装置301の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1〜図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程などを繰り返し行うことにより、第1成形品21および第2成形品25を繰り返し製造する。第1成形品21および第2成形品25を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を表示する。
表示画面は、射出成形機10の設定などに用いられる。表示画面は、複数用意され、切換えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される表示画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)のY軸方向負側に配置される。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
(テーブルピン)
先ず、テーブル520の構成について、図3〜図7を参照して説明する。テーブル520は、例えば、金型取付部521と、円盤部522と、円筒部523とを有する。
金型取付部521は、可動金型820が取り付けられるものである。金型取付部521は、型開閉方向に垂直な板状に形成される。型開閉方向視で、可動金型820が矩形状に形成されることが多いので、金型取付部521も矩形状に形成される。
尚、型開閉方向視で、可動金型820が矩形状に形成されるのは、可動金型820の長辺と平行に第1可動成形面821と第2可動成形面822とが間隔をおいて形成されるからである。
円盤部522は、型開閉方向に垂直な板状に形成される。円盤部522は、型開閉方向視で、円形状に形成される。円盤部522は、金型取付部521と円筒部523との間に配置される。
円筒部523は、円盤部522の外周部からX軸方向負側に延びる。円筒部523は、周方向全体に亘って受動歯車535が固定される。受動歯車535は、回転モータ531の回転駆動力をテーブル520に伝達する伝達機構532の一部である。
テーブル520には、テーブル520を型開閉方向に貫通するテーブル貫通穴524が形成される。テーブル貫通穴524は、例えば金型取付部521と円盤部522とを貫通する。
テーブル貫通穴524は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。複数のテーブル貫通穴524のそれぞれには、第1エジェクタロッド210と第2エジェクタロッド220とが順番に挿抜される。
射出成形機10は、テーブル520の内部に配置されるテーブルピン560を有する。テーブルピン560は、例えば、第1テーブルピン540と、第2テーブルピン550とを有する。
第1テーブルピン540は、テーブル520の内部に、型開閉方向に進退自在に配置される。具体的には、第1テーブルピン540は、テーブル貫通穴524に、型開閉方向に進退自在に配置される。第1テーブルピン540は、テーブル520と共に回転する。第1テーブルピン540は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。
第2テーブルピン550は、テーブル520の内部に、型開閉方向に進退自在に配置される。具体的には、第2テーブルピン550は、テーブル貫通穴524に、型開閉方向に進退自在に配置される。第2テーブルピン550は、テーブル520と共に回転する。第2テーブルピン550は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。
第2テーブルピン550には、第2テーブルピン550を型開閉方向に貫通する貫通穴が形成される。その貫通穴の内部に、第1テーブルピン540が進退自在に配置される。第1テーブルピン540と第2テーブルピン550とは、同一のテーブル貫通穴524の内部に配置される。テーブル貫通穴524の数を低減でき、テーブル520の構造を単純化でき、テーブル520の製造コストを低減できる。
第1テーブルピン540は、図7に示すように、第1大径軸部541と、第1大径軸部541よりも小さい直径の第1小径軸部542とを同軸的に有する。第1小径軸部542は、第1大径軸部541の後方(X軸方向負側)に配置される。第1小径軸部542には、第1大径軸部541よりも大きな外径の第1ブッシュ543が固定される。第1ブッシュ543の外周面は、筒状の第2テーブルピン550(より詳細には、後述の第2大径軸部551)の内周面と滑り接触する。
第2テーブルピン550は、第2大径軸部551と、第2大径軸部551よりも小さい外径の第2小径軸部552とを同軸的に有する。第2小径軸部552は、第2大径軸部551の後方(X軸方向負側)に配置される。第2小径軸部552には、第2大径軸部551よりも大きな外径の第2ブッシュ553が固定される。第2ブッシュ553の外周面は、テーブル貫通穴524(より詳細には、後述の大径穴部525)の穴壁面と滑り接触する。
第2大径軸部551は、円筒状に形成され、その内部に第1大径軸部541が進退自在に配置される。第2大径軸部551の内周面には第3ブッシュ554が固定される。第3ブッシュ554の内周面は、第1テーブルピン540(より詳細には、第1大径軸部541)の外周面と滑り接触する。第3ブッシュ554は、ストッパの役割を有する。第3ブッシュ554は、第1ブッシュ543の前端面に当接することで、第1テーブルピン540が第2テーブルピン550から前方に抜け出るのを止める。
第2小径軸部552は、円筒状に形成され、その内部に第1小径軸部542が進退自在に配置される。第2小径軸部552の内径は、第2大径軸部551の内径よりも小さい。第2小径軸部552の内周面と、第2大径軸部551の内周面との間には、段差面555が形成される。この段差面555は、ストッパの役割を有する。段差面555は、第1ブッシュ543の後端面に当接することで、第1テーブルピン540が第2テーブルピン550から後方に抜け出るのを止める。
テーブル貫通穴524は、大径穴部525と、大径穴部525よりも小さい穴径の小径穴部526とを同軸的に有する。小径穴部526は、大径穴部525の後方(X軸方向負側)に配置される。大径穴部525の穴壁面には、ブッシュ固定具528などで、ブッシュ529が固定される。ブッシュ529の内周面は、第2テーブルピン550(より詳細には、第2大径軸部551)の外周面と滑り接触する。ブッシュ529は、ストッパの役割を有する。ブッシュ529は、第2ブッシュ553の前端面に当接することで、第2テーブルピン550がテーブル520から前方に抜け出るのを止める。
小径穴部526には、第2小径軸部552が進退自在に配置される。小径穴部526の穴径は、大径穴部525の穴径よりも小さい。小径穴部526の穴壁面と、大径穴部525の穴壁面との間には、段差面527が形成される。この段差面527は、ストッパの役割を有する。段差面527は、第2ブッシュ553の後端面に当接することで、第2テーブルピン550がテーブル520から後方に抜け出るのを止める。
次に、可動金型820の構成について主に図4、図6および図7を参照して説明する。可動金型820は、テーブル520に取り付けられる金型本体部830と、金型本体部830の内部に配置されて成形品を突き出す可動部860とを有する。可動部860は、金型本体部830の内部に進退自在に配置される。可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。
金型本体部830は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に形成される。金型本体部830は、テーブル520に取り付けられる可動取付板831と、可動取付板831の前方に空間834を形成するスペーサブロック835と、スペーサブロック835を介して可動取付板831に固定される可動型板836と、ガイドピン839とを含む。
可動取付板831には、可動取付板831を型開閉方向に貫通する貫通穴832が形成される。貫通穴832の穴径は、第1テーブルピン540の直径および第2テーブルピン550の直径よりも大きい。貫通穴832は、テーブル520の回転中心線520Xを中心として、回転対称(例えば180°回転対称)に配置される。
スペーサブロック835は、可動取付板831と可動型板836との間に空間834を形成する。この空間834には、後述の第1エジェクタプレート841と、後述の第2エジェクタプレート851とが進退自在に配置される。
可動型板836は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1成形部801の壁面の一部と、第2成形部805の壁面の一部とを順番に形成する。
第1可動部840は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数(例えば一対)配置される。第1可動部840によって第1ランナー成形品23と第2ランナー成形品27の両方を突き出すことができる。第1可動部840は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第1エジェクタプレート841と、第1エジェクタプレート841から前方に延びる棒状の第1エジェクタピン844とを含む。
第1エジェクタプレート841は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。第1エジェクタプレート841は、型開閉方向に平行なガイドピン839に沿って進退する。第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845によって、可動型板836から遠ざかる方向に付勢される。
第1エジェクタピン844は、可動型板836を型開閉方向に貫通する第1ピン穴に進退自在に配置される。第1エジェクタピン844の前端面は、第1ランナー成形品23または第2ランナー成形品27と当接する。
第2可動部850は、第1可動部840と同様に、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数(例えば一対)配置される。第2可動部850は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第2エジェクタプレート851と、第2エジェクタプレート851から前方に延びる棒状の第2エジェクタピン854とを含む。
第2エジェクタプレート851は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。第2エジェクタプレート851は、型開閉方向に平行なガイドピン839に沿って進退する。第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855によって、可動型板836から遠ざかる方向に付勢される。
第2エジェクタプレート851は、第1エジェクタプレート841の後方に配置される。第2エジェクタプレート851が前進する時、第1エジェクタプレート841が第2エジェクタプレート851に押されて前進する。
第2エジェクタプレート851には、第2エジェクタプレート851を型開閉方向に貫通する貫通穴856が形成される。貫通穴856の穴径は、第2テーブルピン550の直径よりも小さい。第2テーブルピン550は、第2エジェクタプレート851の貫通穴856を通過することなく、第2エジェクタプレート851を前方に押す。
第2エジェクタプレート851の貫通穴856の穴径は、第1テーブルピン540の直径よりも大きい。第1テーブルピン540は、第2エジェクタプレート851の貫通穴856を通過し、第1エジェクタプレート841を前方に押す。
第2エジェクタピン854は、可動型板836を型開閉方向に貫通する第2ピン穴に進退自在に配置される。第2エジェクタピン854の前端面は、第1キャビティ空間成形品22または第2キャビティ空間成形品26と当接する。
次に、第1エジェクタロッド210の動作について、主に図6および図7を参照して説明する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入し、第1テーブルピン540を前進させる。
第1エジェクタロッド210は、第1テーブルピン540を前進させる時、第2テーブルピン550を前進させない。第2テーブルピン550の貫通穴の穴径は、第1エジェクタロッド210の直径よりも大きい。第1エジェクタロッド210は、第2テーブルピン550の内部に進入し、第1テーブルピン540を前進させる。
第1テーブルピン540は、可動取付板831の貫通穴832と第2エジェクタプレート851の貫通穴856とを通過し、第1エジェクタプレート841を前方に押す。その結果、第1エジェクタプレート841が、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。従って、第1エジェクタピン844が、前進し、第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。
第1エジェクタプレート841が前進する間、第2エジェクタプレート851は第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置に押し止められ、前進しない。従って、第1ランナー成形品23が金型本体部830から突き出される時、第1キャビティ空間成形品22は金型本体部830から突き出されない。
その後、第1エジェクタロッド210が後退すると、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン844の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
第1エジェクタプレート841が後退する間、第1テーブルピン540は第1エジェクタプレート841に押されて後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1テーブルピン540の後退が止まる。この場合、第1テーブルピン540の前端部は、可動金型820の内部に残る。
尚、第1テーブルピン540は、テーブル520の内部に設置される不図示のバネで後方に付勢されてもよい。バネの付勢力によって、第1テーブルピン540の前端部を可動金型820から後方に退出させることができる。金型交換時に、可動金型820と第1テーブルピン540との干渉を防止でき、可動金型820または第1テーブルピン540の損傷を防止できる。
以上説明したように、第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入する。第1エジェクタロッド210は、第1テーブルピン540を介して第1可動部840を前進させ、第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。第1エジェクタロッド210の空走距離を、第1テーブルピン540の長さ分短縮できる。従って、成形サイクルを短縮できる。
第1テーブルピン540は、第2可動部850を停止した状態で、第1可動部840を前進させる。第1ランナー成形品23を突き出すとき、第1ランナー成形品23と共に第1キャビティ空間成形品22が突き出されるのを防止できる。第1ランナー成形品23が第1キャビティ空間成形品22に対しずれるので、第1ランナー成形品23と第1キャビティ空間成形品22とがこれらの境界部で分断される。第1キャビティ空間成形品22と第1ランナー成形品23とが分断されやすいように、これらの境界部は細く成形される。
尚、第1ランナー成形品23の突き出し前に、第1ランナー成形品23と第1キャビティ空間成形品22とが分断されてもよい。例えば、第1キャビティ空間802の入口であるゲートがサブマリンゲートである場合、型開によって第1ランナー成形品23と第1キャビティ空間成形品22とが分断される。第1ランナー成形品23の突き出し時に第1ランナー成形品23が第1キャビティ空間成形品22を引っ張らないので、第1キャビティ空間成形品22が変形しない。従って、第1キャビティ空間成形品22の品質低下を抑制できる。
次に、第2エジェクタロッド220の動作について、主に図6および図7を参照して説明する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入し、第2テーブルピン550を前進させる。
第2エジェクタロッド220は、第2テーブルピン550の貫通穴に入り込むことなく、その貫通穴の縁部を前方に押し、第2テーブルピン550を前進させる。第2テーブルピン550の貫通穴の穴径は、第2エジェクタロッド220の直径よりも小さい。
第2テーブルピン550は、可動取付板831の貫通穴832を通過し、第2エジェクタプレート851の貫通穴856の縁部を前方に押す。その結果、第2エジェクタプレート851が、第2リターンバネ855の付勢力に抗して前進する。従って、第2エジェクタピン854が、前進し、第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。
第2エジェクタプレート851が前進する間、第1エジェクタプレート841が第2エジェクタプレート851に押されて前進する。第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。その結果、第1エジェクタピン844が、前進し、第2ランナー成形品27を金型本体部830から突き出す。
その後、第2エジェクタロッド220が後退すると、第2エジェクタプレート851が第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置まで後退する。第2エジェクタプレート851が後退限位置に達すると、第2エジェクタピン854の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
第2エジェクタプレート851が後退する間、第2テーブルピン550は第2エジェクタプレート851に押されて後退する。第2エジェクタプレート851が後退限位置に達すると、第2テーブルピン550の後退が止まる。この場合、第2テーブルピン550の前端部は、可動金型820の内部に残る。
尚、第2テーブルピン550は、テーブル520の内部に設置される不図示のバネで後方に付勢されてもよい。バネの付勢力によって、第2テーブルピン550の前端部を可動金型820から後方に退出させることができる。金型交換時に、可動金型820と第2テーブルピン550との干渉を防止でき、可動金型820または第2テーブルピン550の損傷を防止できる。
第2エジェクタプレート851が後退する間、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン844の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
以上説明したように、第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入する。第2エジェクタロッド220は、第2テーブルピン550を介して第2可動部850を前進させ、第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。第2エジェクタロッド220の空走距離を、第2テーブルピン550の長さ分短縮できる。従って、成形サイクルを短縮できる。
第2テーブルピン550は、第2可動部850と共に第1可動部840を前進させるものである。第2キャビティ空間成形品26を突き出すとき、第2キャビティ空間成形品26と共に第2ランナー成形品27が突き出される。第2キャビティ空間成形品26が第2ランナー成形品27に対しずれるのを防止できる。第2ランナー成形品27が第2キャビティ空間成形品26を引っ張らないので、第2キャビティ空間成形品26が変形しない。第2キャビティ空間成形品26の品質低下を抑制できる。第2ランナー成形品27は、第2キャビティ空間成形品26と共に突き出された後、第2キャビティ空間成形品26から分離される。
第2ランナー成形品27と第1ランナー成形品23とは、金型本体部830の内部に進退自在に配置される同一の可動部(詳細には、第1可動部840)で突き出される。可動金型820を構成する部品の数を低減でき、可動金型820の構造を簡単化できる。
尚、第2テーブルピン550は、第2可動部850を前進させるものであればよく、第1可動部840を停止した状態で第2可動部850を前進させてもよい。つまり、第2ランナー成形品27を、第2キャビティ空間成形品26と共に突き出さなくてもよい。この場合、第2キャビティ空間成形品26の突き出し前に、第2キャビティ空間成形品26と第2ランナー成形品27とが分断されてもよい。
例えば、第2キャビティ空間806の入口であるゲートがサブマリンゲートである場合、型開によって第2キャビティ空間成形品26と第2ランナー成形品27とが分断される。第2キャビティ空間成形品26の突き出し時に第2キャビティ空間成形品26が第2ランナー成形品27に引っ張られないので、第2キャビティ空間成形品26が変形しない。従って、第2キャビティ空間成形品26の品質低下を抑制できる。
以上説明したように、エジェクタ装置200は、金型本体部830の内部に配置されて成形品を突き出す可動部860を、テーブルピン560で進退させる。従って、エジェクタロッドの空走距離をテーブルピン560の長さ分、短縮でき、成形サイクルを短縮できる。また、第1成形部801において可動部860の突き出す位置と、第2成形部805において可動部860の突き出す位置とが異なる。可動部860の突き出す位置とは、可動部860の金型本体部830から成形品を突き出す位置である。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。エジェクタ装置200は、第1成形部801において第1可動部840を押し、第2成形部805において第2可動部850を押す。第1可動部840の金型本体部830から成形品を突き出す位置と、第2可動部850の金型本体部830から成形品を突き出す位置とは異なる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
テーブルピン560は、第1可動部840を押す第1テーブルピン540と、第2可動部850を押す第2テーブルピン550とを有する。第1テーブルピン540は、第1可動部840を前進させることにより、第1成形部801において第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。第2テーブルピン550は、第2可動部850を前進させることにより、第2成形部805において第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。
第1テーブルピン540は、第2可動部850を停止した状態で第1可動部840を前進させる。第2テーブルピン550は、第1テーブルピン540によって進退させない第2可動部850を前進させる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23であり、第1キャビティ空間成形品22ではない。一方、第2成形部805において突き出される成形品は、第1キャビティ空間成形品22を一部として含む第2キャビティ空間成形品26である。
尚、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23には限定されない。例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品であってもよい。その完成品は、第2キャビティ空間成形品26と組み合わせて用いられるものでもよいし、第2キャビティ空間成形品26と何ら関係ないものでもよい。
従って、第1成形部801の第1連通空間803は、ランナーには限定されない。第1連通空間803はキャビティ空間を含んでもよい。そのキャビティ空間では、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品が成形される。その完成品用のキャビティ空間と第1キャビティ空間802とは、それぞれ、ランナーの枝分かれした末端部に形成される。
尚、テーブルピン560は、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550に加えて、第3テーブルピンを有してもよい。第3テーブルピンは、第1可動部840および第2可動部850とは異なる第3可動部を押すことにより、第1成形部801および第2成形部805とは異なる第3成形部において成形品を金型本体部830から突き出す。第3テーブルピンは、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば120°回転対称)に配置される。
第3テーブルピンは、例えば、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550と同軸的に配置される。例えば、第3テーブルピンは、第1テーブルピン540の内部に、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550と同軸的に配置される。この場合、第1テーブルピン540は、第2テーブルピン550と同様に筒状に形成される。
第3テーブルピンは、第2テーブルピン550の外部に、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550と同軸的に配置されてもよい。この場合、第3テーブルピンは第2テーブルピン550と同様に筒状に形成され、第2テーブルピン550は筒状の第3テーブルピンの内部に配置される。
第3テーブルピンは、例えば、第3成形部の第3キャビティ空間で成形される1次成形品を突き出すことなく、その1次成形品と共に固化した成形品を突き出す。第1テーブルピン540は、第1キャビティ空間成形品22である2次成形品を突き出すことなく、その2次成形品と共に固化した成形品を突き出す。第2テーブルピン550は、第2キャビティ空間成形品26である3次成形品を突き出す。
尚、第3テーブルピンは、第3成形部の第3キャビティ空間で成形される3次成形品を突き出してもよい。この場合、第1テーブルピン540は、第1キャビティ空間成形品22である1次成形品を突き出すことなく、その1次成形品と共に固化した成形品を突き出す。第2テーブルピン550は、第2キャビティ空間成形品26である2次成形品を突き出すことなく、その2次成形品と共に固化した成形品を突き出す。その後、第3テーブルピンが、3次成形品を突き出す。
第3テーブルピンが第3可動部を介して3次成形品を突き出す場合、第2テーブルピン550は第3可動部を停止した状態で第2可動部850を進退させる。第2可動部850は、2次成形品を突き出すことなく、その2次成形品と共に固化した成形品を突き出す。2次成形品は、金型本体部830から突き出されることなく、金型本体部830と共に120°回転する。その後、型締が行われ、2次成形品が第3キャビティ空間の一部に配置される。
尚、テーブル520の内部には、第1テーブルピン540、第2テーブルピン550および第3テーブルピンに加えて、第4テーブルピンが配置されてもよい。テーブルピンの数は、特に限定されない。
(第1変形例)
図8は、第1変形例に係るテーブルの回転角が180°の時であって型締時の金型装置の状態を示す図である。図9は、第1変形例に係るテーブルの回転角が180°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す断面図である。図10は、図9の一部を拡大して示す図である。以下、本変形例と上記実施形態との相違点について主に説明する。
射出成形機10は、第1テーブルピン540を有する。第1テーブルピン540は、テーブル520の内部に、型開閉方向に進退自在に配置される。具体的には、第1テーブルピン540は、第1テーブル貫通穴524Aに、型開閉方向に進退自在に配置される。
第1テーブル貫通穴524Aは、テーブル520(詳細には、例えば金型取付部521と円盤部522)を型開閉方向に貫通する。第1テーブル貫通穴524Aは、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。複数の第1テーブル貫通穴524Aのそれぞれに、第1テーブルピン540が配置される。
第1テーブルピン540は、テーブル520と共に回転する。第1テーブルピン540は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。
また、射出成形機10は、第2テーブルピン550を有する。第2テーブルピン550は、テーブル520の内部に、型開閉方向に進退自在に配置される。具体的には、第2テーブルピン550は、第2テーブル貫通穴524Bに、型開閉方向に進退自在に配置される。
第2テーブル貫通穴524Bは、テーブル520(詳細には、例えば金型取付部521と円盤部522)を型開閉方向に貫通する。第2テーブル貫通穴524Bは、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。複数の第2テーブル貫通穴524Bのそれぞれに、第2テーブルピン550が配置される。
第2テーブルピン550は、テーブル520と共に回転する。第2テーブルピン550は、テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数配置される。
第1テーブルピン540と、第2テーブルピン550とは、型開閉方向に対し垂直な方向に間隔をおいて配置され、相対的に進退自在である。第2テーブルピン550の外部に第1テーブルピン540を配置するので、第2テーブルピン550の構造を単純化でき、第2テーブルピン550の製造コストを低減できる。また、第2テーブルピン550の外部に第1テーブルピン540を位置するので、第2テーブルピン550の構造として第1テーブルピン540の構造と同じものを採用できる。従って、部品の共通化を図ることができ、コストを削減できる。
第1テーブルピン540は、図10に示すように、第1大径軸部541と、第1大径軸部541よりも小さい直径の第1小径軸部542とを同軸的に有する。第1小径軸部542は、第1大径軸部541の後方(X軸方向負側)に配置される。第1小径軸部542には、第1大径軸部541よりも大きな外径の第1ブッシュ543が固定される。第1ブッシュ543の外周面は、第1テーブル貫通穴524A(より詳細には、後述の第1大径穴部525A)の穴壁面と滑り接触する。
第1テーブル貫通穴524Aは、第1大径穴部525Aと、第1大径穴部525Aよりも小さい穴径の第1小径穴部526Aとを同軸的に有する。第1小径穴部526Aは、第1大径穴部525Aの後方(X軸方向負側)に配置される。第1大径穴部525Aの穴壁面には、ブッシュ固定具528Aなどで、ブッシュ529Aが固定される。ブッシュ529Aの内周面は、第1テーブルピン540(より詳細には、第1大径軸部541)の外周面と滑り接触する。ブッシュ529Aは、ストッパの役割を有する。ブッシュ529Aは、第1ブッシュ543の前端面に当接することで、第1テーブルピン540がテーブル520から前方に抜け出るのを止める。
第1小径穴部526Aには、第1小径軸部542が進退自在に配置される。第1小径穴部526Aの穴径は、第1大径穴部525Aの穴径よりも小さい。第1小径穴部526Aの穴壁面と、第1大径穴部525Aの穴壁面との間には、段差面527Aが形成される。この段差面527Aは、ストッパの役割を有する。段差面527Aは、第1ブッシュ543の後端面に当接することで、第1テーブルピン540がテーブル520から後方に抜け出るのを止める。
第2テーブルピン550は、第2大径軸部551と、第2大径軸部551よりも小さい直径の第2小径軸部552とを同軸的に有する。第2小径軸部552は、第2大径軸部551の後方(X軸方向負側)に配置される。第2小径軸部552には、第2大径軸部551よりも大きな外径の第2ブッシュ553が固定される。第2ブッシュ553の外周面は、第2テーブル貫通穴524B(より詳細には、後述の第2大径穴部525B)の穴壁面と滑り接触する。
第2テーブル貫通穴524Bは、第2大径穴部525Bと、第2大径穴部525Bよりも小さい穴径の第2小径穴部526Bとを同軸的に有する。第2小径穴部526Bは、第2大径穴部525Bの後方(X軸方向負側)に配置される。第2大径穴部525Bの穴壁面には、ブッシュ固定具528Bなどで、ブッシュ529Bが固定される。ブッシュ529Bの内周面は、第2テーブルピン550(より詳細には、第2大径軸部551)の外周面と滑り接触する。ブッシュ529Bは、ストッパの役割を有する。ブッシュ529Bは、第2ブッシュ553の前端面に当接することで、第2テーブルピン550がテーブル520から前方に抜け出るのを止める。
第2小径穴部526Bには、第2小径軸部552が進退自在に配置される。第2小径穴部526Bの穴径は、第2大径穴部525Bの穴径よりも小さい。第2小径穴部526Bの穴壁面と、第2大径穴部525Bの穴壁面との間には、段差面527Bが形成される。この段差面527Bは、ストッパの役割を有する。段差面527Bは、第2ブッシュ553の後端面に当接することで、第2テーブルピン550がテーブル520から後方に抜け出るのを止める。
次に、可動金型820の構成について説明する。可動金型820は、テーブル520に取り付けられる金型本体部830と、金型本体部830の内部に配置されて成形品を突き出す可動部860とを有する。可動部860は、金型本体部830の内部に進退自在に配置される。可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。
第1可動部840は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第1エジェクタプレート841と、第1エジェクタプレート841から前方に延びる棒状の第1エジェクタピン844とを含む。第1エジェクタプレート841は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。
第2可動部850は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第2エジェクタプレート851と、第2エジェクタプレート851から前方に延びる棒状の第2エジェクタピン854とを含む。第2エジェクタプレート851は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。第2エジェクタプレート851と、第1エジェクタプレート841とは、型開閉方向に対し垂直な方向に並んで配置される。
本変形例の第1可動部840は、第1エジェクタプレート841から第2エジェクタプレート851の前方に回り込む部材842を有する。第2エジェクタプレート851を前進させる時、第2エジェクタプレート851で部材842を押して第1エジェクタプレート841を前進させることができる。
次に、第1エジェクタロッド210の動作について説明する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入し、第1テーブルピン540を前進させる。
第1エジェクタロッド210は、第1テーブルピン540を前進させる時、第2テーブルピン550を前進させない。第1テーブルピン540と第2テーブルピン550とは型開閉方向に垂直な方向に間隔をおいて配置されるので、第2テーブルピン550は第1エジェクタロッド210によって押されない。
第1テーブルピン540は、可動取付板831の第1貫通穴832Aを通過し、第1エジェクタプレート841を前方に押す。その結果、第1エジェクタプレート841が、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。従って、第1エジェクタピン844が、前進し、第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。
第1エジェクタプレート841が前進する間、第2エジェクタプレート851は第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置に押し止められ、前進しない。従って、第1ランナー成形品23が金型本体部830から突き出される時、第1キャビティ空間成形品22は金型本体部830から突き出されない。
その後、第1エジェクタロッド210が後退すると、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン844の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
第1エジェクタプレート841が後退する間、第1テーブルピン540は第1エジェクタプレート841に押されて後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1テーブルピン540の後退が止まる。この場合、第1テーブルピン540の前端部は、可動金型820の内部に残る。
尚、第1テーブルピン540は、テーブル520の内部に設置される不図示のバネで後方に付勢されてもよい。バネの付勢力によって、第1テーブルピン540の前端部を可動金型820から後方に退出させることができる。金型交換時に、可動金型820と第1テーブルピン540との干渉を防止でき、可動金型820または第1テーブルピン540の損傷を防止できる。
次に、第2エジェクタロッド220の動作について説明する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転時に、テーブル520と干渉しないように、テーブル520の後方で待機する。第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入し、第2テーブルピン550を前進させる。
第2エジェクタロッド220は、第2テーブルピン550を前進させる時、第1テーブルピン540を前進させない。第1テーブルピン540と第2テーブルピン550とは型開閉方向に垂直な方向に間隔をおいて配置されるので、第1テーブルピン540は第2エジェクタロッド220によって押されない。
第2テーブルピン550は、可動取付板831の第2貫通穴832Bを通過し、第2エジェクタプレート851を前方に押す。その結果、第2エジェクタプレート851が、第2リターンバネ855の付勢力に抗して前進する。従って、第2エジェクタピン854が、前進し、第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。
第2エジェクタプレート851が前進する間、第1エジェクタプレート841が第2エジェクタプレート851に押されて前進する。第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。その結果、第1エジェクタピン844が、前進し、第2ランナー成形品27を金型本体部830から突き出す。
その後、第2エジェクタロッド220が後退すると、第2エジェクタプレート851が第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置まで後退する。第2エジェクタプレート851が後退限位置に達すると、第2エジェクタピン854の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
第2エジェクタプレート851が後退する間、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退する。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン844の前端面が金型本体部830の前端面と面一になる。
第2エジェクタプレート851が後退する間、第2テーブルピン550は第2エジェクタプレート851に押されて後退する。第2エジェクタプレート851が後退限位置に達すると、第2テーブルピン550の後退が止まる。この場合、第2テーブルピン550の前端部は、可動金型820の内部に残る。
尚、第2テーブルピン550は、テーブル520の内部に設置される不図示のバネで後方に付勢されてもよい。バネの付勢力によって、第2テーブルピン550の前端部を可動金型820から後方に退出させることができる。金型交換時に、可動金型820と第2テーブルピン550との干渉を防止でき、可動金型820または第2テーブルピン550の損傷を防止できる。
尚、本変形例では、第2エジェクタプレート851を前進させる時、第2エジェクタプレート851で上記部材842を押して第1エジェクタプレート841を前進させるが、本発明はこれに限定されない。上記部材842が無ければ、第2エジェクタプレート851が前進する間、第1エジェクタプレート841は第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置に押し止められ、前進しない。第2キャビティ空間成形品26が金型本体部830から突き出される時に、第2ランナー成形品27が金型本体部830から突き出されない。
以上説明したように、本変形例においても、上記実施形態と同様に、エジェクタ装置200は、金型本体部830の内部に配置されて成形品を突き出す可動部860を、テーブルピン560で進退させる。従って、エジェクタロッドの空走距離をテーブルピン560の長さ分、短縮でき、成形サイクルを短縮できる。また、第1成形部801において可動部860の突き出す位置と、第2成形部805において可動部860の突き出す位置とが異なる。可動部860の突き出す位置とは、可動部860の金型本体部830から成形品を突き出す位置である。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
本変形例においても、上記実施形態と同様に、可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。エジェクタ装置200は、第1成形部801において第1可動部840を押し、第2成形部805において第2可動部850を押す。第1可動部840の金型本体部830から成形品を突き出す位置と、第2可動部850の金型本体部830から成形品を突き出す位置とは異なる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
本変形例においても、上記実施形態と同様に、テーブルピン560は、第1可動部840を押す第1テーブルピン540と、第2可動部850を押す第2テーブルピン550とを有する。第1テーブルピン540は、第1可動部840を前進させることにより、第1成形部801において第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。第2テーブルピン550は、第2可動部850を前進させることにより、第2成形部805において第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。
本変形例においても、上記実施形態と同様に、第1テーブルピン540は、第2可動部850を停止した状態で第1可動部840を前進させる。第2テーブルピン550は、第1テーブルピン540によって進退させない第2可動部850を前進させる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23であり、第1キャビティ空間成形品22ではない。一方、第2成形部805において突き出される成形品は、第1キャビティ空間成形品22を一部として含む第2キャビティ空間成形品26である。
尚、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23には限定されない。例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品であってもよい。その完成品は、第2キャビティ空間成形品26と組み合わせて用いられるものでもよいし、第2キャビティ空間成形品26と何ら関係ないものでもよい。
従って、第1成形部801の第1連通空間803は、ランナーには限定されない。第1連通空間803はキャビティ空間を含んでもよい。そのキャビティ空間では、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品が成形される。その完成品用のキャビティ空間と第1キャビティ空間802とは、それぞれ、ランナーの枝分かれした末端部に形成される。
尚、本変形例においても、テーブルピン560は、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550に加えて、第3テーブルピンを有してもよい。第3テーブルピンは、例えば、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550と型開閉方向に対し垂直な方向に間隔をおいて配置される。
(第2変形例)
図11は、第2変形例に係るテーブルの回転角が180°の時であって型締時の金型装置の状態を示す図である。図12は、第2変形例に係るテーブルの回転角が180°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す断面図である。図13は、図12の一部を拡大して示す図である。以下、本変形例と上記第1変形例との相違点について主に説明する。
射出成形機10は、テーブルピン560を有する。本変形例のテーブルピン560は、上記第1変形例の第1テーブルピン540と第2テーブルピン550との両方の機能を有する。テーブルピン560は、可動部860に対する位置を変更自在にテーブル520の内部に配置される。テーブルピン560は、可動部860に対する位置を、型開閉方向に直交する方向に変更する。
射出成形機10は、テーブルピン560の可動部860に対する位置を変える変位機構570を有する。複数のテーブルピン560に対応する、複数の変位機構570が設置される。テーブルピン560の可動部860に対する位置を、テーブルピン560毎に変えることができる。
変位機構570は、テーブルピン560の可動部860に対する位置を、第2可動部850を停止した状態で第1可動部840を進退させる位置と、第2可動部850を進退させる位置との間で変える。変位機構570は、例えば、ホルダ580と、ホルダ移動機構590とを有する。
ホルダ580は、テーブルピン560を型開閉方向に進退自在に保持する。ホルダ580には、ホルダ580を型開閉方向に貫通するホルダ貫通穴581が形成される。ホルダ貫通穴581に、テーブルピン560が進退自在に配置される。
テーブルピン560は、図13に示すように、大径軸部561と、大径軸部561よりも小さい直径の小径軸部562とを同軸的に有する。小径軸部562は、大径軸部561の後方(X軸方向負側)に配置される。小径軸部562には、大径軸部561よりも大きな外径の第1ブッシュ563が固定される。第1ブッシュ563の外周面は、ホルダ貫通穴581(より詳細には、後述の大径穴部582)の穴壁面と滑り接触する。
ホルダ貫通穴581は、大径穴部582と、大径穴部582よりも小さい穴径の小径穴部583とを同軸的に有する。小径穴部583は、大径穴部582の後方(X軸方向負側)に配置される。大径穴部582の穴壁面には、ブッシュ固定具585などで、第2ブッシュ586が固定される。第2ブッシュ586の内周面は、テーブルピン560(より詳細には、大径軸部561)の外周面と滑り接触する。第2ブッシュ586は、ストッパの役割を有する。第2ブッシュ586は、第1ブッシュ563の前端面に当接することで、テーブルピン560がホルダ580から前方に抜け出るのを止め、ひいてはテーブルピン560がテーブル520から前方に抜け出るのを止める。
小径穴部583には、小径軸部562が進退自在に配置される。小径穴部583の穴径は、大径穴部582の穴径よりも小さい。小径穴部583の穴壁面と、大径穴部582の穴壁面との間には、段差面584が形成される。この段差面584は、ストッパの役割を有する。段差面584は、第1ブッシュ563の後端面に当接することで、テーブルピン560がホルダ580から後方に抜け出るのを止め、ひいてはテーブルピン560がテーブル520から後方に抜け出るのを止める。
ホルダ移動機構590は、テーブル520に対しホルダ580を移動させる。その移動方向は、例えば型開閉方向に直交する方向である。ホルダ移動機構590は、例えば油圧シリンダまたは空気圧シリンダなどの流体圧シリンダで構成される。流体圧シリンダの代わりに、回転モータと、回転モータの回転運動をホルダ580の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
なお、本実施形態の変位機構570はホルダ580とホルダ移動機構590とを有するが、変位機構570の構成は特に限定されない。例えば、変位機構570は、ホルダ移動機構590の代わりに、後述のホルダ旋回機構を有してもよい。
ホルダ旋回機構は、テーブル520に対しホルダ580を旋回させる。ホルダ580の旋回中心線は、テーブル520の回転中心線520Xに対しずれており、テーブル520の回転中心線520Xに対し平行である。
ホルダ回転機構は、例えば、1つの旋回中心線を中心に、1つのホルダ580を旋回させる。尚、ホルダ回転機構は、1つの旋回中心線を中心に、複数のホルダ580を旋回させてもよい。
可動金型820の構成、およびエジェクタ装置200の構成は、上記変形例1と同様であるので、説明を省略する。
第1エジェクタロッド210は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入する。第1エジェクタロッド210は、テーブルピン560を介して第1可動部840を前進させることにより、第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。第1エジェクタロッド210の空走距離を、テーブルピン560の長さ分短縮できる。従って、成形サイクルを短縮できる。第1エジェクタロッド210は、第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出した後、後退し、テーブル520の後方に退出する。
第2エジェクタロッド220は、テーブル520の回転後に前進し、テーブル520の内部に進入する。第2エジェクタロッド220は、テーブルピン560を介して第2可動部850を前進させることにより、第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。第2エジェクタロッド220の空走距離を、テーブルピン560の長さ分短縮できる。従って、成形サイクルを短縮できる。第2エジェクタロッド220は、第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出した後、後退し、テーブル520の後方に退出する。
以上説明したように、本変形例においても、上記実施形態と同様に、エジェクタ装置200は、金型本体部830の内部に配置されて成形品を突き出す可動部860を、テーブルピン560で進退させる。従って、エジェクタロッドの空走距離をテーブルピン560の長さ分、短縮でき、成形サイクルを短縮できる。また、第1成形部801において可動部860の突き出す位置と、第2成形部805において可動部860の突き出す位置とが異なる。可動部860の突き出す位置とは、可動部860の金型本体部830から成形品を突き出す位置である。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
本変形例においても、上記実施形態と同様に、可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。エジェクタ装置200は、第1成形部801において第1可動部840を押し、第2成形部805において第2可動部850を押す。第1可動部840の突き出す位置と、第2可動部850の突き出す位置とは異なる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
テーブルピン560は、可動部860に対する位置を変更自在にテーブル520の内部に配置される。テーブルピン560は、第1可動部840を押す第1位置と、第2可動部850を押す第2位置との間で移動自在にテーブル520の内部に配置される。テーブルピン560は、第1可動部840を前進させることにより、第1成形部801において第1ランナー成形品23を金型本体部830から突き出す。また、テーブルピン560は、第2可動部850を前進させることにより、第2成形部805において第2キャビティ空間成形品26を金型本体部830から突き出す。
テーブルピン560は、第2可動部850を停止した状態で第1可動部840を前進させる。また、テーブルピン560は、第2可動部850を前進させる。第1成形部801と第2成形部805とで、可動部860の突き出す位置を変更できる。従って、第1成形部801と第2成形部805とで、異なる対象物を金型本体部830から突き出すことができる。
例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23であり、第1キャビティ空間成形品22ではない。一方、第2成形部805において突き出される成形品は、第1キャビティ空間成形品22を一部として含む第2キャビティ空間成形品26である。
尚、第1成形部801において突き出される成形品は、第1ランナー成形品23には限定されない。例えば、第1成形部801において突き出される成形品は、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品であってもよい。その完成品は、第2キャビティ空間成形品26と組み合わせて用いられるものでもよいし、第2キャビティ空間成形品26と何ら関係ないものでもよい。
従って、第1成形部801の第1連通空間803は、ランナーには限定されない。第1連通空間803はキャビティ空間を含んでもよい。そのキャビティ空間では、第1成形部801において完成する完成品、例えば1次成形で完成する完成品が成形される。その完成品用のキャビティ空間と第1キャビティ空間802とは、それぞれ、ランナーの枝分かれした末端部に形成される。
尚、本変形例のテーブルピン560は、上記第1変形例の第1テーブルピン540と第2テーブルピン550との両方の機能を有するが、さらに第3テーブルピンの機能を有してもよい。この場合、変位機構570は、型開閉方向視でテーブル520に対するテーブルピンの相対位置を、下記3つの位置の間で変える。1つの位置は、第2可動部850および第3可動部を停止した状態で第1可動部840を進退させる位置である。他の1つの位置は、第3可動部を停止した状態で第2可動部850を進退させる位置である。残りの1つの位置は、第3可動部を進退させる位置である。
尚、本変形例ではテーブルピン560と可動部860との相対位置を変更すべく、テーブルピン560を変位させるが、可動部860を変位させてもよいし、テーブルピン560と可動部860の両方を変位させてもよい。つまり、可動部860は、テーブルピン560に対する位置を変更自在に、金型本体部830の内部に配置されてもよい。例えば、可動部860は、第1エジェクタピン844を押す位置と、第2エジェクタピン854を押す位置との間で変位自在なエジェクタプレートを有してもよい。
(その他の変形例等)
以上、射出成形機の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
例えば、上記実施形態、上記第1変形例および上記第2変形例の型締装置100は型開閉方向が水平方向である横型であるが、本発明はこれに限定されない。型締装置100は、型開閉方向が鉛直方向である竪型でもよい。型締装置100が竪型である場合、下金型がテーブル520に取り付けられ、テーブル520が下プラテンに回転自在に取り付けられる。テーブル520の回転中心線520Xは、鉛直方向に平行である。下プラテンの上方には上プラテンが配置され、上プラテンには上金型が取り付けられる。上プラテンが可動プラテンであり、上金型が可動金型である。また、下プラテンが固定プラテンであり、下金型が固定金型である。
また、上記実施形態のテーブル520は可動プラテン120に回転自在に取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。テーブル520は、可動プラテン120にスライド自在に取り付けられてもよい。スライド方向は、型開閉方向に対し垂直な方向である。尚、型締装置100が竪型である場合、テーブル520は、下プラテンにスライド自在に取り付けられる。
型締装置100が横型であって且つテーブル520が可動プラテン120にスライド自在に取り付けられる場合、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550はテーブル520と共にスライドする。また、型締装置100が横型であって且つテーブル520が可動プラテン120にスライド自在に取り付けられる場合、テーブルピン560はテーブル520と共にスライドする。
同様に、型締装置100が竪型であって且つテーブル520が下プラテンにスライド自在に取り付けられる場合、第1テーブルピン540および第2テーブルピン550はテーブル520と共にスライドする。また、型締装置100が竪型であって且つテーブル520が下プラテンにスライド自在に取り付けられる場合、テーブルピン560はテーブル520と共にスライドする。