JP2020082607A - インクジェットヘッド及びインクジェット装置 - Google Patents

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謙太郎 熊澤
Kentaro Kumazawa
謙太郎 熊澤
敬行 阿部
Takayuki Abe
敬行 阿部
洋介 豊福
Yosuke Toyofuku
洋介 豊福
修平 中谷
Shuhei Nakatani
修平 中谷
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Abstract

【課題】インク詰まりを抑制できるインクジェットヘッド等を提供する。【解決手段】インク108を吐出する複数のノズル102を含む面であるノズル開口面を有するインクジェットヘッド101であって、ノズル開口面は、複数のノズル102それぞれの外側に位置した撥液領域104と、撥液領域104の外側に位置した親液領域105と、を含み、インクジェットヘッド101はさらに、親液領域105に対して、溶媒109を供給する溶媒供給口106を備える。【選択図】図1

Description

本開示はインクジェットヘッド及びインクジェット装置に関する。
従来、ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドを、様々な用途に応用することが期待されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、液体の吐出量を増やすため圧力室が多数個設けられ、各圧力室における逆流圧による液体の流入への影響を軽減することができる液滴噴霧装置が開示されている。
特開2001−121693号公報 特開2009−221419号公報
ところで、上記のようなインクジェットヘッドを用いた塗布を行う際にインク詰まりが生じる場合がある。インク詰まりが生じた場合、例えばインクの吐出が可能なノズルと吐出不可能なノズルとができてしまうため、ノズルの配置箇所ごとにインク吐出のむらが生じるといった吐出精度の低下問題等に直結する。
そこで本開示は、インク詰まりを抑制できるインクジェットヘッド等を提供する。
本開示におけるインクジェットヘッドの一態様は、第1液体を吐出する複数のノズル口を含む面であるノズル開口面を備えるインクジェットヘッドであって、前記ノズル開口面は、前記複数のノズル口それぞれの外側に位置した撥液領域と、前記撥液領域の外側に位置した親液領域と、を含み、前記インクジェットヘッドはさらに、前記親液領域に対して、第2液体を供給する供給口を備える。
また本開示におけるインクジェット装置の一態様は、前記インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置であって、前記供給口から前記第2液体を供給する制御を行う制御部を有する。
本開示の一態様によれば、インクジェットヘッド等において、インク詰まりを抑制することができる。
図1は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。 図2は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの断面図である。 図3は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの溶媒膜の表面形状を説明する図である。 図4は、第2の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの撥液膜について説明する図である。 図5は、第2の実施の形態の変形例に関わるインクジェットヘッドの撥液膜について説明する図である。 図6は、第3の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの断面図である。 図7は、第4の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。 図8は、第5の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。 図9は、実施の形態に関わるインクジェット装置の溶媒流路を説明する図である。
(開示の基礎となった知見)
ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドは、入力信号に応じて必要なときに必要な量のインクを塗布することができるインクジェットヘッドとして知られている。特に圧電(ピエゾ)方式のドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドは一般的に、インク供給流路と、供給流路に接続しノズルを有する複数の圧力室と、圧力室内に充填されたインクに圧力を加えるピエゾ素子(圧電素子)と、を有する。
ピエゾ方式のインクジェットヘッドでは、ピエゾ素子に駆動電圧を印加することによって生じるピエゾ素子の機械的歪みにより、圧力室内のインクに圧力を加えて、ノズルからインクを吐出する。ピエゾ方式のインクジェットヘッドは、ピエゾ素子の歪み方によって、シェアモード型、プッシュモード型、ベンドモード型の3つのタイプに大別できる。特に積層構造のピエゾ素子を用いるベンドモード型では、低い電圧で強い力を生み出せることから、有機ELディスプレイや液晶パネルなどの電子デバイスの製造用に開発されることが期待されている(例えば特許文献1参照)。
また、インクジェットヘッドではノズルから吐出されるインク滴の直進性を向上させるために、ノズルのインク吐出方向の長さ(以下ノズル長さ)を長くすることが知られている。しかし、ノズル長さを長くした場合、ノズル内にインクが滞留しやすくなる。インクがノズル内に滞留するとインクに気泡や異物が混入した場合にノズル詰まりが起こりやすい。
これに対しインクジェットヘッドの圧力室と連通し、かつ圧力室から排出されたインクが流れるインク排出流路に流す技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
インク循環型のインクジェットヘッドでは圧力室に連通したインク供給流路から圧力室にインクが供給され、圧力室において所望の体積をノズルより排出し、残りのインクをインク排出流路へ排出することによってインク溜りを防ぎ、ノズル詰まりの問題を解決することができる。
しかしながらインクの沸点が低い場合やインクの固形分量が多い場合はノズル部の乾燥によるノズル詰まりが発生しやすくなる。また周辺温度が高い場合や放置時間が長い場合などの要因からノズル部の乾燥が助長される。本開示はインクが蒸発しやすい場合であってもノズル乾燥によるノズル詰まりを抑止するための構造を有したインクジェットヘッドに関する。
そこで本開示におけるインクジェットヘッドの一態様は、インク(第1液体)を吐出する複数のノズル(ノズル口)を含む面であるノズル開口面を備えるインクジェットヘッドであって、ノズル開口面は、複数のノズルそれぞれの外側に位置した撥液領域と、撥液領域の外側に位置した親液領域と、を含み、インクジェットヘッドはさらに、親液領域に対して、溶媒(第2液体)を供給する溶媒供給口(供給口)を備える。
このようなインクジェットヘッドの実施の形態について以下詳細に説明する。
(インクジェットヘッド)
<第1の実施の形態>
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素の内、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また説明に用いられる各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては、同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
はじめに、図1を用いて本開示における第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。図1はつまり、インクジェットヘッド101をインク108の吐出方向(被塗布物側)から見た平面図である。
図1には、インクジェットヘッド101のうち、インク108(言い換えると第1液体)の吐出方向側の表面に配置されたノズルプレート103と、ノズル口(以下、単にノズル102とも呼ぶ)とが図示されている。
インク108はノズル102より吐出され、塗布対象である被塗布物に着弾することで、被塗布物の表面に塗布される。図1においては、インク108の吐出は紙面奥側から手前側に向かって行われる。
ここで、ノズル102は、ノズルプレート103に設けられた複数の細孔である。当該細孔は、ノズルプレート103の内部に配置されたインク供給室(図示せず)側の面と、ノズルプレート103の表面(つまりノズル開口面)とを貫通して形成される。したがって、ノズル開口面は、インク108を吐出する複数のノズル102を含む面である。なお、ノズル102の形態については特に限定はなく、例えば筒状の細管をノズルプレート103に貫通させて形成されてもよい。
また、ノズル開口面は撥液領域104と、親液領域105とを含む。
撥液領域104は、複数のノズル102それぞれの外側に位置して形成されている。撥液領域104は、インク108による濡れ性が低く(接触角が高く)インク108がノズルプレート103の表面に濡れ広がることを抑制する。これにより、濡れ広がったインク108と、吐出されるインク108との間に働く表面張力によってインク108の吐出方向が曲がることを防止している。
なお、撥液領域104はノズル102の外周に沿って(接して)形成されるが、ノズル102よりも外側であればノズル102と撥液領域104とは接していなくてもよい。ノズルプレート103の表面において、ノズル102が形成される箇所と、その他の箇所との境界を形成していればどのような構成であってもよく、形状、大きさについても特に限定されない。また親液領域105は、撥液領域104の外側に位置している。
なお、親液領域105は撥液領域104の外周に沿って(接して)形成され、ノズルプレート103の表面のうち、撥液領域104の外側を一体化する部分であるが、これに限られない。例えば、親液領域105は撥液領域104に接していなくてもよく、またノズルプレート103の表面のうち、撥液領域104の外側の一部を一体化する部分であってもよい。
ここで、ノズルプレート103の表面にはさらに、親液領域105に対して溶媒109(第2液体)を供給する溶媒供給口106(供給口)が備えられる。
溶媒供給口106は、ここではノズルプレート103の表面に配置された穴であり、適切な送液手段によって送液された溶媒109が親液領域105において濡れ広がるように設計されている。
なお溶媒供給口106の形態は、これに限られず、ノズルプレート103の表面に溶媒109を供給することができればよい。例えば溶媒供給口106は、ノズルとは別に親液領域105に形成された無数の孔であってもよく、また例えば親液領域105に対して、対向する位置から溶媒109を吐出する形態であってもよい。その他、溶媒供給口106の位置や形状についても特に限定されない。
溶媒供給口106から供給される溶媒109はインク108のうち、色素等の不揮発成分を除いた外液成分であることを基本とする。つまり溶媒109は、撥液領域104への濡れ性が低く、高い接触角であるため撥液領域104への浸潤が抑制される。一方で溶媒109は、親液領域105への濡れ性は高く、低い接触角で、例えば、図中に矢印で示す溶媒供給口106から溶媒回収口107へと、親液領域105内を濡れ広がることができる。
なお、平面視における撥液領域104の形状を、親液領域105を濡れ広がる溶媒109の進行方向に対して、流線形状とすることで、より効果的に撥液領域104に対する溶媒109の浸潤を抑制し、かつ親液領域105の面積を確保する構成としてもよい。
撥液領域104、及び親液領域105は、このようにインク108(同時に溶媒109)に対する濡れ性が異なり、撥液領域104における濡れ性<親液領域105における濡れ性の関係を有する。
以上のように、ノズルプレート103の表面において溶媒供給口106から供給された溶媒109は親液領域105を濡れ広がるが、撥液領域104の存在により、ノズル102、すなわちインク108と接触することがない。よってインク108と混ざり合うことなく溶媒109がインク108吐出の近傍に存在させることが可能となる。
ここで、インク108はインク108に含まれる外液成分(つまり溶媒109と同等成分)が揮発することでインク詰まりを引き起こす。溶媒109は、自身が揮発することで溶媒雰囲気を形成し、インク108の近傍は外液成分の飽和蒸気圧に達する。ある成分が飽和蒸気圧に達した空間においては、それ以上の同一成分の揮発が進行しないため、結果的にインク108の外液成分の揮発は抑制される。
以上により、第1の実施の形態におけるインクジェットヘッド101によれば、インク詰まりを抑制することができる。
なお、インク108に、複数種のインク(つまり複数種の外液成分を含むインク)を混合して用いる場合には、使用状況によって揮発しやすい低沸点溶媒の外液成分比率を高めて溶媒109を構成することも可能である。より具体的には、インクジェットヘッド101の使用環境温度から複数種のうち各外液成分の蒸気圧を割り出し、それらの逆数に比例した成分割合にすることで効果的にインク108中の外液成分の揮発を抑制することができる。
また、インクジェットヘッド101はさらに、親液領域105に供給された溶媒109を回収する溶媒回収口107(回収口)を備える。つまり、溶媒109は、親液領域105に形成された溶媒供給口106より供給され、同様に親液領域105に形成された溶媒回収口107より回収される。なお、溶媒109の供給量と蒸発量(揮発量)との関係から、供給量<蒸発量の関係など、溶媒109の回収が必要ない場合は、溶媒回収口107を配さないことも可能である。
溶媒回収口107は、ここではノズルプレート103の表面に配置された穴であり、適切な回収手段によって親液領域105から溶媒109を回収できるように設計されている。
溶媒109は主にノズルプレート103の表面張力と、溶媒109の表面張力と、溶媒供給量とによって決定される厚み(インク108の吐出方向における長さ)を持つ。溶媒109の供給量が多すぎると溶媒109は、重力により意図せず落下してしまう。落下先にはインク108の塗布対象である被塗布物が配置されているため、被塗布物に溶媒109が付着してしまう。このような、溶媒109が被塗布物に落下することを防ぐため、溶媒109の供給量(つまり前述した溶媒109の厚み)をカメラ等で確認し、制御することが好ましい。
なお溶媒回収口107の形態は、これに限られず、親液領域105から溶媒109を回収することができればよい。例えば溶媒回収口107は、重力方向の下側から、重力落下する溶媒109を受け取る受け口形状であってもよい。その他、溶媒回収口107の位置や形状についても特に限定されない。
このような構成により、低沸点溶媒を用いたインクや顔料密度の高いインクなど、インク詰まりを起こしやすい組成のインクにおいて、ノズル102から被塗布物までの距離を離すことなくノズル102近傍の溶媒濃度(つまり揮発した外液成分量)を上げることによりノズル102先端の乾燥を防ぎ、ノズル詰まりを防ぐことができる。
以上説明したように、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッド101は、インク108(第1液体)を吐出する複数のノズル102(ノズル口)を含む面であるノズル開口面を備えるインクジェットヘッド101であって、ノズル開口面は、複数のノズル102それぞれの外側に位置した撥液領域104と、撥液領域104の外側に位置した親液領域105と、を含み、インクジェットヘッド101はさらに、親液領域105に対して、溶媒109(第2液体)を供給する溶媒供給口106(供給口)を備える。
このようなインクジェットヘッド101は、溶媒109が揮発することで生じた溶媒109の揮発成分(インク108の外液成分と同等)が、インク108が吐出されるノズル102の近傍を包囲する。このため揮発による、インク108の外液成分の減少が抑制され、インク詰まりが抑制される。
また例えば、インクジェットヘッド101はさらに、親液領域105に供給された溶媒109を回収する溶媒回収口107(回収口)を備えてもよい。
これにより、溶媒109の送液量を増加させても、過剰部分を溶媒回収口107から回収できるため、溶媒109の被塗布物への落下を防ぐことができる。
次に、図2を用いて本実施の形態における副次的な機能について説明する。図2は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの断面図である。図2には、インクジェットヘッド101を図1のii−ii線において切断した断面図が示されている。
インクジェットヘッド101において、インク108はインク室201に充填され、当該インク室201に連通するノズル102から吐出される。
ピエゾ素子204は電気信号(パルス状電圧の印加)を機械的な圧力に変換する。ピエゾ素子204は振動板203を介してインク室201に対向しており、ピエゾ素子204から発生した圧力は振動板203を通してインク室201に到達する。ここでインク室201には液体状のインク108が充填されている。インク室201では、到達した圧力がインク108中を圧力波として伝搬し、共振により圧力波が損失なくノズル102に伝達される。そしてノズル102からインク108が液滴として吐出される。
インク108は、吐出時に尾を形成する。より具体的には、インク108は液滴を形成して吐出されるが、液滴と、ノズル102内に残留するインク108との間に尾が形成され、このような尾が断裂することで液滴となる。このインク108の尾が断裂する際に、ミスト202が発生する。
本実施の形態では、発生したミスト202を、親液領域105において供給された溶媒109によって形成される溶媒膜(つまり第2液体膜)に取りこまれる。このような構成により、親液領域105において溶媒109によって形成される溶媒膜の体積は、ノズル102からインク108を吐出している時(つまりインク吐出中)の体積をS1、ノズル102からインク108を吐出していない時(つまり待機中)の体積をS2とすると、S1>S2の関係を満たす。
これは、インク吐出中において形成され、ミスト202が取りこまれた溶媒膜と、待機中において形成される溶媒膜とでは、取りこまれたミスト202分の体積が増加することに起因する。
ミスト202を含んだ溶媒膜は、溶媒回収口107から回収され、タンク等の保管器に一時保管されてもよく、直接廃液処理装置に輸送されてもよい。このように、ノズルプレート103の表面に付着するミスト202を、スムーズに除去することが出来るため、インクジェットヘッド101のメンテナンスが容易となり、またメンテナンス回数も削減できるため長寿命なインクジェットヘッド101が実現できる。
なお、上記で回収されたミスト202を含む溶媒109は、蒸留等の手段によりリサイクルし、色素等の不揮発成分を再利用することも可能であるため、環境負荷の低減にも寄与可能である。
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド101の親液領域105には、供給された溶媒109によって溶媒膜が形成され、ノズル102からインク108を吐出している時の溶媒膜の体積S1と、ノズル102からインク108を吐出していない時の溶媒膜の体積S2とは、S1>S2の関係を満たす。
溶媒109の形成する溶媒膜は、発生するミスト202を取りこむことによって体積が増加するが、溶媒109を連続的に供給、及び回収しているのでノズルプレート103の表面は常に清浄に保たれる。これにより、インクジェットヘッド101のメンテナンス性が向上され、さらに回収したミスト202からインク108を再生することもできるため環境負荷を低減できる。
次に、図3を用いて本実施の形態における更なる効果について説明する。図3は、第1の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの溶媒膜の表面形状を説明する図である。図3の(a)には、図2と同一断面におけるインクジェットヘッド101の断面図を、図3の(b)には、図1と同一視点におけるインクジェットヘッド101の平面図をそれぞれ示す。
本実施の形態におけるインクジェットヘッド101は、通常のインク吐出動作を行う際に、親液領域105において溶媒109により形成された溶媒膜が波立つ。つまり、インク吐出中において、溶媒膜の表面は波状である。
図3の(a)に示すように、被塗布物302がステージ301上に置かれ、被塗布物の表面とインクジェットヘッド101のノズルプレート103の表面とが対向する。このような配置構成において、被塗布物302をインクジェットヘッド101に対して相対的に移動させることにより気流(つまり風304)が発生し、容易に溶媒膜の表面を波状化することが可能である。
以上のように、ステージ301はモーター等の駆動力により印刷方向303に沿って移動する。つまり、ステージ301は被塗布物302を載せた状態で印刷方向303に沿って移動し、被塗布物302の表面において、印刷方向303と逆向きにインク108の塗布が進行していく。
この時ステージ301の移動により生じる風304によって溶媒膜の表面が波立つ。図3の(b)では、疎密によってノズルプレート103の表面から溶媒109の表面が低い位置(疎の箇所)、及び高い位置(蜜の箇所)を表す疎密波が示されている。上記の動作により図3の(b)に示すようにノズルプレート103の表面の親液領域105に濡れ広がった溶媒109(つまり溶媒膜)の表面全体を波立たせることができる。この表面形状により溶媒膜の表面積が約3倍となり、溶媒109の揮発を促し、効率よく溶媒109の雰囲気を形成することができる。
またこの表面形状により、風304のうち溶媒109の雰囲気を含まない成分が、ノズル102に形成されたインク108の表面であるメニスカス305に対して直接接触することを低減できる。したがって、このような風304が存在する状況においてもインク108の外液成分の揮発を抑制でき、インク詰まりを抑制することができる。
なお、溶媒109をより波立たせるため印刷方向303の逆方向にステージ301を移動させることもでき、かつ、この逆方向の移動をさらに高速で行うことにより上記の効果をさらに上げることも可能である。
また、上記の効果は、インクジェットヘッド101が走査していることによって得られるため、待機中においてはインク108の外液成分が揮発してしまい、インク詰まりが発生する可能性がある。したがって待機中においても溶媒膜を波状化できる構成を有してもよい。例えば、送風部を備え、送風によって一方向に波立たせる構成であってもよく、加振部を備え、振動により波紋状に波立たせる構成を用いてもよい。
またこのステージ301上の被塗布物302の代わりに、シートをロール状に巻いた被塗布物を、供給側のロールから巻取り側のロールへと巻取らせながらインク吐出を行う方法がある。この場合、ロールの巻取り動作により風304を起こすことも可能である。
さらにステージ301を移動させずに、インクジェットヘッド101を移動させることによって同様の効果を得ることも可能である。また、ステージ301、及びインクジェットヘッド101を同時に移動させる構成であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッド101において、溶媒膜の表面は波状である。
これにより、溶媒膜の表面積が増大し、溶媒109の揮発が促進される。よって溶媒109の雰囲気がより迅速に形成されるのでインク108の外液成分の揮発が抑制され、インク詰まりが抑制される。
<第2の実施の形態>
次に、図4を用いて、本開示における第2の実施の形態について説明する。図4は、第2の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの撥液膜について説明する図である。図4には、図2と同一の断面における、インクジェットヘッド101bの断面図を示している。
なお、本実施の形態においては、前述の第1の実施の形態との差異について詳細に説明し、その他については省略、または簡略化する。
第1の実施の形態において説明したように、インク吐出中においては、風304により溶媒膜を波立たせるため、ステージ301を高速に移動させている。このとき、溶媒109が低粘度である場合には、慣性により溶媒109が撥液領域104を乗り越え、インク108に混入する可能性がある。
本実施の形態におけるインクジェットヘッド101bは上記の問題に対応可能である。インクジェットヘッド101bの撥液領域104には、インク108の吐出方向に向けて所定の厚さを有する撥液膜104bが配置されている。このような構成によって、被塗布物302側から見た平面視における撥液領域104と親液領域105との境界には、所定の厚みに対応する撥液膜の端面401が形成される。
これにより撥液領域104の表面積が増え、インク108、及び溶媒109に対する撥液機能を向上するとともに、防波堤としての働きにより物理的に溶媒109がノズル102に侵入することを防止することが可能である。撥液膜の厚みは、10μm以上50μm以下が好ましいが、使用用途によってはこの範囲以外でも本効果を発揮することが可能である。つまり撥液膜104bの厚みは、溶媒109、及び親液領域105の表面の構成から決定される溶媒膜の膜厚を基準として適宜設定されてもよい。
なお、このような撥液膜104bの形成は、溶媒109の移動方向が規定される条件においては、当該移動方向と逆方向の先端側のみに厚みを設ける構成として実施してもよい。
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド101bの撥液領域104には、インク108の吐出方向に向けて所定の厚さを有する撥液膜104bが配置される。
これにより、親液領域105において溶媒膜を波立たせるなど、溶媒109が「動く」構成においても溶媒109とノズル102内のインク108とは強固に分離され混ざり合うことがない。よってインク吐出を正常に保ちながらも溶媒109の揮発を促進することが可能となり、ノズル102内においてインク詰まりが発生することを抑制できる。
<第2の実施の形態の変形例>
ここで、図5を用いて第2の実施の形態の変形例について説明する。図5は、第2の実施の形態の変形例に関わるインクジェットヘッドの撥液膜について説明する図である。図5には、図2、及び図4と同一の断面における、インクジェットヘッド101cの断面図が示されている。
撥液領域104が厚みを持つ撥液膜104bによって構成されるインクジェットヘッド101cの形態においては、ノズル102のクリーニング作業が困難となる。インク吐出に使用するノズル102はインク108の成分の固化、及び環境中のその他の異物などにより汚染される。これらの汚染物質の除去方法には、布、及びゴム等による拭き取りや吸引による方法がある。しかし撥液領域104に厚みがある撥液膜104bが配置される場合、ノズル102に布等が届かなくなり汚染物質の除去が困難となる。
本変形例では、厚みを持つ撥液膜104cの端面をテーパ形状501とした。より具体的には、撥液膜104cは、ノズル102側に面する端面において吐出方向に向けて先細りとなるテーパ形状501である。
これによりクリーニング作業においてテーパ形状501に沿って布等が変形してノズル102に触れることが出来ようになり、ノズル102を汚染のない清浄な状態に復帰させることが出来る。
ここで、テーパ形状501は、親液領域105に面する側の端面にも形成されてもよい。これにより、親液領域105を布等によりクリーニングする際にも親液領域105と撥液領域104との境界近辺において布等が届きにくい状況が改善される。
また、インク吐出方向における、ノズルプレート103に接触しない側の撥液膜104cのテーパ形状501の先端(インク吐出方向先端側)はR形状をもつことが好ましい。これにより、クリーニング作業に用いる布等を係止し、当該布等の移動の妨げとなる箇所を減らすことができるので、クリーニング作業性をより向上することができる。
以上説明したように、第2の実施の形態の変形例におけるインクジェットヘッド101cの撥液膜104cは、インク吐出方向に向けて先細りとなるテーパ形状501である。
これにより、インクジェットヘッド101cのクリーニング作業において、ノズル102に布等が届くことが容易となり、容易にクリーニングが可能となる。よってインクジェットヘッド101cのメンテナンス性が向上される。
<第3の実施の形態>
さらに図6を用いて本開示における第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの断面図である。図6には、第3の実施の形態に関わるインクジェットヘッド101dの断面図を示す。なお、図6に示すインクジェットヘッド101dの断面図は、図2、図4、及び図5に示す断面図の断面と直交し、インク吐出方向に沿う面において切断した断面図である。また図6は、インクジェットヘッド101dのうちノズルプレート103dに着目して図示し、その他は省略されている。
例えば、溶媒109が高粘度であった場合、溶媒供給口106からノズルプレート103の親液領域105に供給された溶媒109は、親液領域105と溶媒109とによる濡れ性のみでは溶媒回収口107まで移動することが困難となる。
本実施の形態においてインクジェットヘッド101dは重力線に対し直角な面から傾きを持っている。より具体的には、インクジェットヘッド101dのノズルプレート103dの表面は、重力方向と直交する水平面に対して所定の角度に傾斜可能である。さらに詳しくは、ノズルプレート103dの表面は溶媒供給口106が設けられた箇所から、溶媒回収口107が設けられた箇所に向かって水平面に対して重力方向に傾斜可能な構成である。
これは例えば、インクジェットヘッド101dを傾斜させて構成してもよく、ノズルプレート103dのみを傾斜させてもよく、ノズルプレート103dの表面のみを傾斜させてもよい。また傾斜は直線的であってもよく、曲線的であってもよい。鉛直方向において、溶媒回収口107が溶媒供給口106よりも重力方向の先端側に配置される構成であればその他の制限はない。
したがって、ノズルプレート103dの表面は、溶媒供給口106側が溶媒回収口107側より高く(重力方向とは逆方向に)配置されている。このため溶媒109は重力の影響を受け、溶媒供給口106から溶媒回収口107に向かう溶媒の流れ601が形成され、当該溶媒の流れ601に沿って移動することが容易になる。
また、このような傾斜は、角度を自在に制御できる構成であってもよい。インクジェットヘッド101dと被塗布物302との距離の管理が困難な場合において、待機中にのみ傾きを持たせ、あらかじめ溶媒109を親液領域105の全面に展開しておき、インク吐出中は角度を水平面と平行に戻してインク吐出を実施することも可能である。
なお、インクジェットヘッド101dの中央部に溶媒供給口106を配置し、溶媒回収口107をインクジェットヘッド101dの端部に配置することもできる。この場合ノズルプレート103dの反りを利用して溶媒109の回収を容易にする方法も実現できる。
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド101dは、ノズルプレート103dの表面は、重力方向と直交する面(水平面)に対して所定の角度に傾斜可能である。
これにより、親液領域105に供給された溶媒109は濡れ性に加え、重力の影響により一定の方向に展開することができる。よって溶媒109の形成する溶媒膜の展開方向をコントロールでき、効率的に溶媒109の雰囲気を形成できるのでノズル102のインク詰まりを抑制することができる。
また、ノズルプレート103dの表面は、溶媒供給口106が設けられた箇所から、溶媒回収口107が設けられた箇所に向かって、重力方向と直交する面に(水平面)対して重力方向に傾斜可能である。
これにより、親液領域105に供給された溶媒109は濡れ性に加え、重力の影響により、溶媒供給口106から溶媒回収口107への方向に展開することができる。よって溶媒供給口106から溶媒回収口107へ向かう溶媒の流れ601を形成させ、高粘度な溶媒109を用いる場合などにおいて溶媒109の供給から回収までの循環を補助することができる。
<第4の実施の形態>
次に、図7を用いて本開示における第4の実施の形態について説明する。図7は、第4の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。図7には、図1と同一の視点におけるインクジェットヘッド101eの平面図を示す。
本実施の形態は、例えば溶媒供給口106から溶媒回収口107への溶媒109の移動を促進したい場合、または溶媒109を親液領域105の全面に早く濡れ広がらせたい場合などに用いられる。
本実施の形態では、親液領域105は、溶媒回収口107が設けられた箇所における溶媒109に対する親和性が、溶媒供給口106が設けられた箇所における溶媒109に対する親和性より高くなるように構成されている。つまり、溶媒109への親液の度合い(親液レベル)に勾配が形成されており、親液領域105の親液レベルは、溶媒供給口106から溶媒回収口107に向かって徐々に高くなるように形成されている。したがって溶媒回収口107付近の親液領域105の濡れ性が溶媒供給口106より高くなっている。この勾配における親液レベルの増加は、直線的であってもよく、曲線的な増加であってもよい。
このような親液領域105の親液レベルを変化させる方法は、例えばUV照射の時間を変更する方法がある。親液領域105を形成する際にUV照射による表面改質を用いる場合は、親液領域105の場所ごとにUV照射の時間を少しずつ変化させ、表面改質の度合いを変化させる。これによって容易に親液レベルの勾配を形成することが可能である。
また親液レベルに寄与する微細な凹凸構造の密度を、溶媒供給口106側で低く、溶媒回収口107側で高くして形成する方法が実施可能である。本方法では微細な毛細管現象を利用し、溶媒109を溶媒回収口107側に移動させることができる。
このように、親液レベルに勾配を形成することにより、例えば、図中の矢印に示すように、溶媒供給口106から溶媒回収口107へと溶媒109が流れるための駆動力を付加することができる。また、溶媒供給口106から供給される溶媒109は、より親液レベルの高い溶媒回収口107側へと濡れ広がるため、溶媒109は迅速に表面積を増大し、効率的に溶媒109の雰囲気が形成可能である。
なお、このような親液レベルの勾配は、溶媒供給口106から溶媒回収口107にかけての方向のみではなく、溶媒109が濡れ広がることが困難であると予想されるノズルプレートの端部(外周部)に向け溶媒供給口106から放射状の各方向に対して勾配を形成してもよい。
以上説明したように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド101eの親液領域105は、溶媒回収口107が設けられた箇所における溶媒109に対する濡れ性(親和性)が、溶媒供給口106が設けられた箇所における溶媒109に対する濡れ性より高い。
これにより、親液レベルに勾配を形成され、親液レベルの変化する方向に沿って溶媒109が流れるための駆動力を付加することができる。よって、溶媒供給口106から溶媒回収口107へのスムーズな溶媒の流れが形成可能である。
<第5の実施の形態>
さらに図8を用いて本開示における第5の実施の形態について説明する。図8は、第5の実施の形態に関わるインクジェットヘッドの平面図である。図8には図1、及び図7と同一の視点におけるインクジェットヘッド101fの平面図を示す。また図8には同様構成のインクジェットヘッド101fが2つ隣接配置され示されている。
図8に示すように、インクジェットヘッド101fが隣接して配置されている場合、親液領域105上に供給された溶媒109は、隣接するインクジェットヘッド101fどうしの隙間に到達し、当該隙間において毛細管現象によりインクジェットヘッド101fの上部(紙面奥側)まで侵入することがある。インクジェットヘッド101fの上部には通常、電気制御回路が配備されており、このような溶媒109の侵入により重大な不具合を引き起こす可能性がある。
インクジェットヘッド101fは上記の問題に対応可能である。インクジェットヘッド101fのノズルプレート103の外周部を囲うように外郭撥液領域104fが配されている。より詳しくは、ノズルプレート103の外周部(つまり、親液領域105の外周部)に親液領域105よりも溶媒109に対する濡れ性の低い外郭撥液領域104fが配置されている。なお、このような外郭撥液領域104fの配置は、親液領域105の外側であればよく、ノズルプレート103の最外周である必要はないものの、親液領域105の表面積を大きくするためにノズルプレート103の最外周であることが望ましい。
このような外郭撥液領域104fの存在により、例えば、図中の矢印に示すように、溶媒供給口106から溶媒回収口107へと溶媒109が濡れ広がる際に、外郭撥液領域104fよりも外側へ濡れ広がることはできない。つまり、インクジェットヘッド101fの端部まで到達できなくなるため、インクジェットヘッド101fの上部への侵入が防止される。
ノズルプレート103の外周に形成される外郭撥液領域104fは溶媒109の侵入をより強固に防止するため、ノズル102の外側に位置する撥液領域104に形成された撥液膜104bより厚い撥液膜によって形成する場合もある。また外郭撥液領域104fは、隣接するインクジェットヘッド101fどうしの当接面に形成されてもよい。この場合、溶媒109に対する薬品耐性を有するシーリング材を隣接するインクジェットヘッド101fどうしで挟持する形態であってもよい。
さらに、ノズルプレート103の外周から、隣接するインクジェットヘッド101fどうしの当接面まで継続して外郭撥液領域104fを形成することで、溶媒109の上部への侵入を強固に防止する形態であってもよい。
なお、このような外郭撥液領域104fは、ノズルプレート103の外周部の全周に形成してもよく、一部に形成してもよい。例えば、2つのインクジェットヘッド101fが隣接する箇所のみに形成してもよい。
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド101fには、さらに、親液領域105の外側に、外郭撥液領域104fが配置されている。
これにより、複数のインクジェットヘッド101fが隣接する場合において、隣接するインクジェットヘッド101fどうしの隙間に溶媒109が到達しても、上部の電気制御回路等まで溶媒109が到達することが防止される。これにより、親液領域105に溶媒109を供給するような形態であっても電気回路のショート等のトラブルを生じることなくインク吐出を実現することができる。
(インクジェット装置)
<実施の形態>
また、本開示における、インクジェット装置900について図9を用いて実施の形態を説明する。図9は、実施の形態に関わるインクジェット装置の溶媒流路を説明する図である。図9にはインクジェット装置900の溶媒流路の接続関係を概略図として示す。
本実施の形態におけるインクジェット装置900は、主にインクジェットヘッド101z(インクジェットヘッド101〜101fのいずれか)と、溶媒供給タンク901と、溶媒回収タンク904と、溶媒供給口106から溶媒109を供給する制御を行う正圧制御部905とによって構成される。インクジェットヘッド101zは既述のため説明を省略するが、模式的に図6に示したインクジェットヘッド101dと同一の断面における断面図を示している。
溶媒供給タンク901は、インクジェットヘッド101zに供給される溶媒109を貯留しておくための容器であり、溶媒109に対する薬品耐性を有する材料で構成さるのであればどのような形態であってもよい。また、溶媒供給タンク901は、溶媒供給経路902を介して溶媒供給口106と接続されている。溶媒供給経路902は空洞状の配管であり、溶媒109が溶媒供給タンク901から溶媒供給口106へと供給される際に通過する経路である。
溶媒回収タンク904は、インクジェットヘッド101zから回収された溶媒109を貯留しておくための容器であり、溶媒供給タンク901と同様、溶媒109に対する薬品耐性を有する材料で構成されるのであればどのような形態であってもよい。より好ましくは、溶媒回収タンク904に貯留される溶媒109には、インク108から発生した微量のミスト202が含まれる。すなわちこのようなミスト202を再利用するのであれば、溶媒回収タンク904はインク108に含まれる色素等の不揮発成分が吸着しないような材料で構成される必要がある。また、溶媒回収タンク904は、溶媒回収口107と溶媒回収経路903を介して接続されている。溶媒回収経路903は空洞状の配管であり、溶媒109が溶媒回収口107から溶媒回収タンク904へと回収される際に通過する経路である。
溶媒供給タンク901には、溶媒109の供給を制御するための正圧制御部905が備えられ、当該正圧制御部905を正圧に制御することにより、溶媒供給タンク901内部を正圧状態にし、溶媒109を送液する。
一方、溶媒回収タンク904には負圧制御部906が備えられ、溶媒回収タンク904内部を負圧状態にし、溶媒109を回収する。
上記のように溶媒109は溶媒供給タンク901から溶媒供給経路902を通過し、インクジェットヘッド101zのノズルプレート103のうち、溶媒供給口106を介して親液領域105に供給される。次に溶媒109は飛散したミスト202を取り込みつつ溶媒回収口107に向かって移動し、溶媒回収経路903を通過し、溶媒回収タンク904に回収される。
溶媒供給タンクに接続された正圧制御部905は、溶媒109を速やかにインクジェットヘッド101zの表面(つまりノズルプレート103の親液領域105)に供給できるように構成されている。また溶媒供給量の安定化のために溶媒供給を水頭差による供給とすることも可能である。
溶媒回収タンク904に接続された負圧制御部906は、溶媒109を速やかにインクジェットヘッド101zの表面か回収できるように構成されている。溶媒109の回収は、溶媒回収口107付近の空気を巻き込みながら溶媒109を吸い上げる動作となるため溶媒109の供給のための加圧よりも大きな負圧が必要となる。
したがって、負圧を発生させた際の逆方向の加圧力を、一部溶媒109の供給に再利用してもよい。つまり、正圧制御部905と負圧制御部906とは、一体化された構成であってもよい。
なお、本開示に示したインクジェットヘッドの実施の形態のいずれかのうち、全部または、少なくとも一つ組み合わせて、低沸点溶媒を用いたインクや顔料密度の高いインクなど、インク詰まりを起こしやすい組成のインクにおいて、ノズル102から被塗布物302までの距離を離すことなくノズル102近傍の溶媒濃度を上げることによりノズル102先端の乾燥を防ぎ、ノズル詰まりを防ぐことを実現してもよい。
以上説明したように、本実施の形態におけるインクジェット装置は、インクジェットヘッド101zを備えるインクジェット装置900であって、溶媒供給口106から溶媒109を供給する制御を行う正圧制御部、及び/または負圧制御部(つまり制御部)を有する。
これにより、インク108が吐出されるノズル102近傍の雰囲気を溶媒109雰囲気としてインク吐出ができるため、インク108の外液成分の揮発が抑制され、インク詰まりを抑制することができる。
なお、以上に説明した溶媒109は、色素等の不揮発成分も含むインク108と同一の成分組成によって実現されてもよい。溶媒109とインク108とを同一の成分組成とすることにより、インク108を貯留するタンクを溶媒供給タンク901として共用することができ、インクジェット装置の装置構成を簡単化できる。
ここで、ミスト202は実質的にインク108と同一の成分組成である。また、溶媒109から揮発する外液成分が十分に無視できる循環溶媒量が確保できる場合、ミスト202を含む回収された溶媒109も、実質的にインク108と同一の成分組成である。したがって、蒸留等の追加の工程を必要とすることなく、ミスト202を含む回収された溶媒109を、インク108として再利用可能である。溶媒109は、このようにインク108としても循環可能であるため、インク108を貯留するタンクを溶媒回収タンク904として共用することができる。したがってインク108を貯留するタンクが1つあれば実施の形態におけるインクジェット装置を実現することも可能であり、装置構成をさらに簡単化できる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
また、上記実施の形態においてインクジェットヘッド、及びインクジェット装置を構成する構成要素について例示したが、インクジェットヘッド、及びインクジェット装置が備える構成要素の各機能は、インクジェットヘッド、及びインクジェット装置を構成する複数の部分にどのように振り分けられてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
例えば、本開示において溶媒109は、インク吐出中においてはインク108から発生するミスト202を取りこむため、待機中に比べ溶媒体積が増加する(S1>S2として説明した)が、増加しない構成であってもよい。例えば待機中においてはインクジェットヘッドまたは被塗布物302は相対移動をしていないため、溶媒膜の膜厚を厚く設定しても溶媒109は被塗布物302に落下し難いが、インク吐出中においては相対移動が生じる。このためインク吐出中は、溶媒109の雰囲気を一定に保てる最低膜厚であることが望ましく、設定膜厚を変更する必要がある。すなわちこのような設定を実現する場合はS1<S2の関係も成り立ちうる。
また例えば、溶媒膜の表面の形状が波状であることを説明したが、波状でなくてもよい。例えば、高粘度の溶媒109を用いる場合など、波状の形成が困難となるときには波状の表面形状を形成しなくてもよい。また、波状化することで重力落下も促進されるため、低粘度の溶媒109を用いる場合など、波状化を行わないことが好ましい場合がある。
また撥液領域104において撥液膜を設ける構成を説明したが、撥液領域104は平面形状であってもよく、インク吐出の方向と逆方向に凹む凹形状を有する構成であってもよい。インクジェットヘッドと被塗布物302との相対移動の速度を調整する等によって、インク108と溶媒109(溶媒膜)とが混ざり合わない形態であれば、いずれの撥液領域104の形状であってもよい。
またノズルプレート103の表面は傾斜していなくてもよい。例えば、親液領域105において、溶媒供給口106から溶媒回収口107へと延びる溝を形成し、溝に沿って溶媒109の濡れ広がる方向を規定してもよい。また当該溝は複数形成されてもよい。
また例えば、外郭撥液領域は備えられなくてもよい。親液領域105における親液レベルの勾配の形成において、ノズルプレート103の最外周にあたる位置の親液レベルを低く設計することによって溶媒109が濡れ広がることを抑制する構成であってもよい。
また、インク吐出の系(インクジェットヘッドと被塗布物302を含む)を略密閉に覆う壁部を形成し、系内を減圧及び/または加温するなどの手段を用いて溶媒109の揮発を促進する揮発促進手段を備えてもよい。さらに、あらかじめ揮発させたガス状の溶媒109を系内に充満させ、溶媒109が十分揮発するまでの準備期間を短縮する構成を備えてもよい。
本開示におけるインクジェットヘッド、及びインクジェット装置は、産業用インクジェットヘッド、及びインクジェット装置として広く使用される。
101、101b、101c、101d、101e、101f、101z インクジェットヘッド
102 ノズル
103、103d ノズルプレート
104 撥液領域
104b、104c 撥液膜
104f 外郭撥液領域
105 親液領域
106 溶媒供給口
107 溶媒回収口
108 インク
109 溶媒
201 インク室
202 ミスト
203 振動板
204 ピエゾ素子
301 ステージ
302 被塗布物
303 印刷方向
304 風
305 メニスカス
401 撥液膜の端面
501 テーパ形状
601 溶媒の流れ
900 インクジェット装置
901 溶媒供給タンク
902 溶媒供給経路
903 溶媒回収経路
904 溶媒回収タンク
905 正圧制御部
906 負圧制御部

Claims (11)

  1. 第1液体を吐出する複数のノズル口を含む面であるノズル開口面を備えるインクジェットヘッドであって、
    前記ノズル開口面は、前記複数のノズル口それぞれの外側に位置した撥液領域と、
    前記撥液領域の外側に位置した親液領域と、を含み、
    前記インクジェットヘッドはさらに、前記親液領域に対して、第2液体を供給する供給口を備える
    インクジェットヘッド。
  2. さらに、前記親液領域に供給された前記第2液体を回収する回収口を備える
    請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記親液領域には、供給された前記第2液体によって第2液体膜が形成され、
    前記ノズル口から前記第1液体を吐出している時の前記第2液体膜の体積S1と、
    前記ノズル口から前記第1液体を吐出していない時の前記第2液体膜の体積S2とは、
    S1>S2の関係を満たす
    請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記第2液体膜の表面は波状である
    請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記撥液領域には、前記第1液体の吐出方向に向けて所定の厚さを有する撥液膜が配置される
    請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記撥液膜は、前記吐出方向に向けて先細りとなるテーパ形状である
    請求項5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記ノズル開口面は、重力方向と直交する面に対して所定の角度に傾斜可能である
    請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記ノズル開口面は、前記供給口が設けられた箇所から、前記回収口が設けられた箇所に向かって、重力方向と直交する面に対して重力方向に傾斜可能である
    請求項7に記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記親液領域は、
    前記回収口が設けられた箇所における前記第2液体に対する親和性が、前記供給口が設けられた箇所における前記第2液体に対する親和性より高い
    請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  10. さらに、前記親液領域の外側に、外郭撥液領域が配置されている
    請求項1から9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット装置であって、
    前記供給口から前記第2液体を供給する制御を行う制御部を有する
    インクジェット装置。
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