JP2020081984A - 粉粒体処理装置用ロータ、及び粉粒体処理装置 - Google Patents

粉粒体処理装置用ロータ、及び粉粒体処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に洗浄することができる粉粒体処理装置用ロータ、及び粉粒体処理装置を提供する。【解決手段】回転円板と、回転円板の処理室12に面する表面に設けられた複数の上面ブレード38と、回転円板の流体分散板18に面する表面に設けられた複数の下面ブレード40とを備え、前記複数の下面ブレード40は、回転方向に向かって凸状に湾曲した湾曲面42を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、粉粒体処理装置用ロータ、及び粉粒体処理装置に関する。
原料粉末を流動させながら造粒、乾燥、コーティング等の処理を行う処理装置本体と、この処理装置本体に連結されて、流動層状態にある処理済み製品を真空吸引して製品ホッパーに輸送する排出手段とを有する粉粒体処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。上記粉粒体処理装置は、装置の状態を確認するために、定期的にメンテナンスをする必要がある。メンテナンスに先立って、作業者が処理装置本体や配管などを、分解して部品ごとに洗浄する必要がある。
特開平7−289878号公報
しかしながら、上記のような従来の洗浄方法の場合、部品を取り外して、部品ごとに洗浄する必要があるため、作業工数が多く作業効率が悪い、という問題があった。特に、ロータによって原料粉末を転動させながら造粒処理を行う処理装置は、部品点数が多く、さらに洗浄作業が煩雑である。
本発明は、効率的に洗浄することができる粉粒体処理装置用ロータ、及び粉粒体処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る粉粒体処理装置用ロータは、処理室と、弁体を介して前記処理室に隣接された、第1接続口を有する排出室と、前記処理室の底部に設けられた、流体が流通可能な流体分散板と、前記流体分散板の下面側に設けられた、第2接続口を有する給気室と、一端が前記第1接続口に接続され、他端が前記第2接続口に接続された流体循環路とを備える粉粒体処理装置の、前記流体分散板の上面側に回動自在に設けられる粉粒体処理装置用ロータであって、回転円板と、前記回転円板の前記処理室に面する表面に設けられた複数の上面ブレードと、前記回転円板の前記流体分散板に面する表面に設けられた複数の下面ブレードとを備え、前記複数の下面ブレードは、回転方向に向かって凸状に湾曲した湾曲面を有する。
本発明に係る粉粒体処理装置は、上記粉粒体処理装置用ロータを備える。
本発明によれば、下面ブレードの湾曲面は、回転方向に向かって凸状に湾曲しており、洗浄液に対し、半径方向に押し出す遠心力を効率的に作用させることができる。したがって、下面ブレードによって給気室から処理室の側壁に沿って上昇する上昇流をより加速させることができるので、流体分散板を通過する洗浄液の流速を高め、粉粒体処理装置をより効率的に洗浄することができる。
本実施形態に係る粉粒体処理装置を示す概略図である。 本実施形態に係るロータを示す上から見た斜視図である。 本実施形態に係るロータを示す下から見た斜視図である。 本実施形態に係るロータを示す底面図である。 本実施形態に係る粉粒体処理装置の洗浄方法の説明に供する概略図である。 シミュレーションに用いたモデルを示す概略図であり、図6Aは実施例、図6Bは比較例である。 シミュレーションに用いたロータの説明に供する側面図である。 シミュレーションに用いたロータの説明に供する底面図であり、図8Aは実施例、図8Bは比較例である。 本実施形態に対応するモデルのシミュレーションの結果を示す図であり、図9Aは洗浄液の速度分布を示す等高線図、図9Bは洗浄液の流れを示すベクトル図である。 比較例に対応するモデルのシミュレーションの結果を示す図であり、図10Aは洗浄液の速度分布を示す等高線図、図10Bは洗浄液の流れを示すベクトル図である。 実機試験後の流体分散板を示す写真であり、図11Aは実施例、図11Bは比較例である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(全体構成)
図1に示す粉粒体処理装置10は、処理室12と、排出室14と、粉粒体処理装置用ロータ(以下、「ロータ」という)16と、流体分散板18と、給気室20と、流体循環路22とを備える。粉粒体処理装置10は、給気室20へ供給された流動化気体を処理室12へ導入し、処理室12内において粉粒体の造粒、コーティング、混合、乾燥などの粉粒体処理を行い、処理後の製品を排出室14から取り出せるように、形成されている。
処理室12は、筒状の部材であって、上端に投入口24を有し、底部にロータ16が回動自在に設けられている。処理室12の側壁13の下部に、厚さ方向に貫通した排出口26が形成されている。排出口26は、回動自在に設けられた弁体28によって、開放、及び閉塞される。処理室12は、排出口26及び弁体28を介して排出室14が接続されている。排出室14は、第1接続口30が設けられており、当該第1接続口30を通じて外部へ連通している。
ロータ16は、流体分散板18の上面側に、回動自在に設けられている。ロータ16は、回転円板としての、上方に突出した円錐台形状の中空のコーン部32と、コーン部32の底辺に接続された板状の環状板部34と、コーン部32及び環状板部34の下面側に設けられた下面部37とを有する。ロータ16は、環状板部34の表面がXY平面に平行になるように配置される。環状板部34、環状板部34と接している下面部37には、図示しないが、厚さ方向に貫通する穴が無数に形成されている。環状板部34、及び下面部37の環状板部34に接する部分は、例えば穴径2mmの穴を複数有するパンチングメタルで形成されるのが好ましい。当該穴を通じて、下面側から上面側へ、粉粒体、及び流体(気体、液体)が流通する。
ロータ16の外縁と処理室12の側壁13の間には、隙間Sが設けられている。コーン部32が回転軸36の上端にかぶせるように配置されており、コーン部32の上端が回転軸36の上端に固定されている。回転軸36は、処理室12の中央であって、Z軸に平行に配置される。下面部37は、中央に厚さ方向に貫通する貫通穴39を有する。当該貫通穴39の周縁は、回転軸36が挿入されるスリーブ41の基端に接続されている。スリーブ41の先端は、コーン部32の上端に接続されている。回転軸36は、貫通穴39を通って、下方に延びている。回転軸36と貫通穴39の内周面の間には、スリーブ41と回転軸36の間の空間に異物や洗浄液の進入を防ぐシール部43が設けられている。
図2に示すように、環状板部34の上面35には、複数(本図の場合3個)の上面ブレード38が設けられている。上面ブレード38は、環状板部34の周方向に均等に配置され、回転方向(図中矢印方向)の前側の前縁45と、後ろ側の後縁47が、互いに平行な直線状であって、後縁47側の方が前縁45側より上面35からの高さが高くなるように形成され、前縁45へ向かって高さが漸減した形状を有する。
図3に示すように、下面部37は、円盤状の部材であって、中央の貫通穴39を回転軸36が貫通しており、表面49に複数(本図の場合8個)の下面ブレード40が設けられている。下面ブレード40は、回転軸36を中心として放射状に配置されている。下面ブレード40は、下面部37の中心側の内端51から、下面部37の半径方向外側の外端53まで、下面部37の表面49からの高さが一定である。下面ブレード40は、6個以上であるのが好ましい。内端51は、下面ブレード40の最も内側に位置する辺又は面である。外端53は、下面ブレード40の最も外側に位置する辺又は面である。
図4に示すように、下面ブレード40は、回転方向(図中矢印方向)の前側の前縁に、回転方向に向かって凸状に湾曲した湾曲面42を有する。湾曲面42の曲率半径は、例えば、下面部37の半径を1100〜1200mmとした場合、350〜450mmが好ましい。回転方向の後ろ側の後縁は、湾曲面42より曲率半径が大きい後湾曲面55を有する。ロータ16の底面から見た下面ブレード40の形状は、内端51と外端53の間の中間における周方向の長さ(幅長さ)が最も大きく、外端53へ向かって幅長さが漸減し、尖った形状を有する。下面ブレード40の外端53の位置は、下面部37の外縁とほぼ一致している。下面ブレード40の内端51から外端53までの直線長さは、下面部37の半径より大きい方が好ましい。下面ブレード40の内端51から外端53までの直線長さは、下面部37の半径に対し、50〜80%であるのが好ましい。
下面ブレード40の外端53は、下面部37の中心と内端51を通るXY平面に平行な仮想線より、回転方向に対し後方側に配置されるのが好ましい。本図の場合、内端51は、下面ブレード40の最も内側に位置する面であり、仮想線は内端51を構成する面内を通ればよい。下面ブレード40の外端53は、回転方向に対し後方に配置される隣の下面ブレード40の内端51と下面部37の中心とを通るXY平面に平行な仮想線に重なる位置又は回転方向に対し後方側に、配置されるのがより好ましい。本図の場合、外端53は、下面ブレード40の最も外側に位置する辺である。下面ブレード40は、内端51と外端53の間の中間より外側で、下面部37の中心と内端51を通る仮想線と湾曲面42が交差しないように、配置されるのが好ましい。
一例として、隣り合う2つの下面ブレード40、すなわち下面ブレード40Aと、下面ブレード40Aに対し回転方向後方に配置された下面ブレード40Bに基づき、具体的に説明する。下面ブレード40Aの内端51と下面部37の中心を通る仮想線をL1、下面ブレード40Bの内端51と下面部37の中心を通る仮想線をL2とする。下面ブレード40Aの外端53は、仮想線L1より回転方向に対し後方に配置されるのが好ましく、仮想線L2に重なる位置又は回転方向に対し後方側に配置されるのがより好ましい。下面ブレード40Aは、内端51と外端53の間の中間より内側においてのみ仮想線L1と湾曲面42が接している。
流体分散板18(図1)は、処理室12の底部であってロータ16のZ軸の下側に配置されており、粉粒体が通過せず、かつ、流体(液体、気体)が通過できる程度の大きさの流通穴(図示しない)を、無数に有する。流通穴の大きさは、例えば100〜150μmとすることができる。流体分散板18は流通穴として所定の網目を有する金網、又は流通穴として所定の大きさの穴を有する金属板を適用することができる。流体分散板18の中央には、厚さ方向に開口する貫通穴57が設けられており、当該貫通穴57に図示しないシール部を介して回転軸36が挿入されている。流体分散板18のZ軸の上側表面と、下面ブレード40の間には、隙間が形成されている。
給気室20は、流体分散板18のZ軸の下側に設けられている。給気室20の底部44には、筒状のハウジング46の基端が固定されている。ハウジング46は、先端において軸受け48を介して回転軸36の中央部を支持している。回転軸36は、図示しないが、下端において、プーリ及びベルトを介して、駆動モータに連結されている。駆動モータの回転力がベルト及びプーリを介して入力されると、回転軸36とロータ16が一体に回転する。なおハウジング46と軸受け48の間には、軸受け48に異物や洗浄液の進入を防ぐシール部(図示しない)が設けられている。
給気室20の底部44には、排水口50が設けられており、外部に通じている。給気室20の側壁21には、第2接続口52が設けられており、当該第2接続口52を通じて外部へ連通している。第2接続口52には、流体循環路22が接続されている。流体循環路22は、配管であり、一端が第1接続口30に接続され、他端が第2接続口52に接続される。なお粉粒体を処理する間は、流体循環路22の他端は第2接続口52に接続されておらず、第2接続口52は図示しない蓋で閉塞されている。また給気室20の側壁21には、給気ダクト54が接続されている。給気ダクト54を介して、所定の流量及び温度からなる流動化気体が、給気室20へ供給される。
給気ダクト54から給気室20へ供給された流動化気体は、流体分散板18を通過して、ロータ16の外縁と処理室12の側壁13の間の隙間S、下面部37及び環状板部34の穴を通じて処理室12内に導入される。投入口24から投入された原料となる粉粒体は、回転するロータ16によって、ロータ16の外周部分に転動してきたときに流動化気体に乗って処理室12の側壁13に沿って吹き上げられ、中央部からコーン部32に沿ってロータ16上面へ戻るという経路(図1中矢印A1)で循環する。上記のようにして、粉粒体処理装置10は、粉粒体を転動、循環させることによって、所定の処理をする。粉粒体処理装置10は、必要に応じて、図示しないスプレー供給部から、処理室12内へ液体を供給してもよい。処理がなされた粉粒体(製品)は、弁体28を回動し排出口26を開放することによって、排出口26を通じて処理室12から排出室14へ移動する。第1接続口30に輸送配管(図示しない)を接続し、当該輸送配管を通じて重力、およびロータ回転による遠心力によって、製品が排出室14から外部に取り出される。なお、製品は、輸送配管を通じて真空吸引によって排出室14から外部に取り出してもよい。
(作用及び効果)
次に、図5を参照して、粉粒体処理装置10の洗浄方法及び効果を説明する。粉粒体処理装置10の洗浄は、ロータ16や流体分散板18を取り外さずに行う。まず流体循環路22によって第1接続口30と第2接続口52を接続し、排出室14と給気室20とが流体循環路22を介して接続される。また排出口26は開放され、処理室12と排出室14が連通される。上記の様にして、処理室12と給気室20が、排出室14及び流体循環路22を介して接続される。この状態で、投入口24から処理室12へ洗浄液56が供給される。洗浄液56は、処理室12、排出室14、流体循環路22、及び給気室20を満たし、水位がコーン部32の上部に到達する程度に、充填される。洗浄液56は、例えば、温水、酸性溶液、アルカリ性溶液、界面活性剤溶液などを用いることができる。給気ダクト54は、図示しないが、開閉弁によって水密に閉塞される。
洗浄液56を充填した後、回転軸36を回転させ、ロータ16を回転させる。ロータ16が回転することによって、処理室12内の洗浄液56に回転軸36を中心として水平方向に回転する回転流A2が生じる。
また下面ブレード40によって、下面部37と流体分散板18の間の洗浄液56に遠心力が加わり、給気室20から流体分散板18を通過し、ロータ16の下面側から隙間Sを通って処理室12の側壁13に沿って上昇する、一連の上昇流A3が、より加速される。上記上昇流A3によって、給気室20の洗浄液56が流体分散板18を通過し、処理室12の側壁13に沿って上昇し、中央部からコーン部32に沿ってロータ16上面へ戻る渦流A4を生じさせる。上記水平方向の回転流A2と渦流A4とによって、流体分散板18、ロータ16、及び処理室12の内部に付着した粉粒体の残渣などの汚れを除去することができる。除去された汚れは、水平方向の回転流A2と渦流A4の遠心力によって処理室12の側壁13へ移動する。
さらに処理室12内の洗浄液56の圧力と、給気室20内の洗浄液56の圧力に差が生じることによって、処理室12内の洗浄液56が排出口26から排出室14を通って流体循環路22を介して給気室20内に流入する、循環流が生じる。上記のようにして、洗浄液56は、処理室12、排出室14、流体循環路22、給気室20、流体分散板18、ロータ16を順に通過する経路で、処理室12に再び戻る。処理室12の側壁13へ移動した汚れは、循環流に乗って処理室12から排出口26を通じて給気室20へ移動する。給気室20に流入してきた段階で、洗浄液56に含まれる汚れ58は、重力によって給気室20の底部44へ落下し、排水口50から外部へ排出される。
上記のように循環流によって、流体分散板18、ロータ16、処理室12、弁体28、排出室14、給気室20が効率的に洗浄される。また処理室12、弁体28、排出室14、流体分散板18、ロータ16から回収された汚れ58は、排水口50から外部へ排出されることによって、洗浄液56から除去されるので、流体分散板18、ロータ16、処理室12、弁体28、排出室14に汚れ58が再度付着することを防止できる。
下面ブレード40の湾曲面42は、回転方向に向かって凸状に湾曲していることによって、下面部37と流体分散板18の間の洗浄液56に対し、半径方向に押し出す遠心力を効率的に作用させることができる。下面ブレード40が洗浄液56に作用させる遠心力は、湾曲面42を有しない直線状のブレードに比べて、大きい。また下面ブレード40が洗浄液56に作用させる遠心力によって生じる上昇流A3の流速は、回転軸36に後述する補助撹拌ブレードを備える場合に比べても、大きい。
したがって粉粒体処理装置10は、下面ブレード40によって処理室12の側壁13に沿って上昇する上昇流A3をより加速させることができるので、流体分散板18を通過する洗浄液56の流速を高め、流体分散板18及びロータ16をより効率的に洗浄することができる。下面ブレード40の外端が、下面部37の中心と内端51を通る仮想線より、回転方向に対し後方側に配置されることによって、洗浄液56に作用する遠心力をより大きくすることができる。
さらに洗浄液56を半径方向に押し出す遠心力が大きいことによって、排出口26を通じて排出室14へ流れ込む洗浄液56の流速も高められるので、排出室14もより効率的に洗浄することができる。さらに上昇流A3をより加速させることによって、処理室12と給気室20の洗浄液56の圧力差が大きくなり、循環流の流速が高まる。したがって、粉粒体処理装置10は、部品を取り外さずに、処理室12、弁体28、排出室14、給気室20、流体分散板18、ロータ16を洗浄できる。
また粉粒体処理装置10は、補助撹拌ブレードを備える場合に比べても洗浄液56を半径方向に押し出す遠心力がより大きいので、補助撹拌ブレードを省略でき、部品点数を減らすことができる。部品点数を減らすことによって、微細な凹みも減らせるため、異物が残ることを防止でき、より衛生性を向上することができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、洗浄液56による洗浄後、洗浄液56を排出し、洗浄水を処理室12及び給気室20に充填して、洗浄水によってすすぎ洗いを行ってもよい。
(検証)
下面ブレードの洗浄効果を、シミュレーションで検証した。シミュレーションは、図6A,6Bに示すモデルに対し、数値解析ソフト(Flow Simulation、Solidworks 2014)を用いて行った。図6Aは、本実施形態に対応するモデルであり、処理室110と給気室112の間にロータ16を備える。処理室110と給気室112は流体循環路114で連通されている。図6Aと同様の構成について同様の符号を付した図6Bは、比較例に対応するモデルであり、従来のロータ100と、上述した補助撹拌ブレード102とを備える。補助撹拌ブレード102は、回転軸36に固定され、給気室112に配置されており、ロータ100と一体的に回転する。
上記モデルに対し、格子数は約500000、境界条件は処理室110の上面を液面部として、環境圧力101325Pa(大気圧)、ロータ回転数を30rpm(-3.14 rad/s)、解析収束条件(サーフェイスゴール)、回転領域表面における流量一定、かつ給気室112の上端面の流速一定として、シミュレーションを行った。
ロータ16,100の共通する形態について図7を参照して説明する。ロータ16,100は、外径1140mm、コーン部32の高さ260mm、上面ブレード38の長さ280mm、上面ブレード38の高さ35mmとした。
本実施形態に対応するモデルで用いたロータ16の下面ブレード40は、図8Aに示すように、8個とし、長さ520mm、高さ45mm、湾曲面42の曲率半径350mm、後湾曲面55の曲率半径450mmとした。
比較例に対応するモデルで用いたロータの下面ブレード104は、図8Bに示すように、直線状であって、周方向に均等に3個配置し、長さ300mm、高さ45mmとした。補助撹拌ブレード102は、2個とし、長さ400mm、高さ100mm、厚さ6mmとした。
シミュレーションの結果を図9A,9B、及び図10A,10Bに示す。図9A,10Aは、流速の分布を色の明暗で表しており、暗いほど流速が高いことを示し、図9B,10Bは、洗浄液の流れをベクトルで表しており、矢印の方向は洗浄液の方向を示し、矢印の長さは流量を示している。
図9A、図9Bに示すように、本実施形態に対応するモデルは、ロータ16の下面側の領域、及び給気室112の側面近傍における広い領域において、流速が高いことが確認できた。これは、下面ブレードによってロータの下面側の洗浄液に対し付与する遠心力が大きくなったことによると考えられる。さらに流体循環路114から給気室112へ流れ込む洗浄液の流量が大きい。これは、処理室110において流速が高まったことによって、処理室110と給気室112の間の圧力差が大きくなったことによると考えられる。また、処理室110において、渦流が生じており、洗浄液が高速で循環していることが分かる。
一方、図10A,10Bに示すように、比較例に対応するモデルは、流速の高い範囲がロータ100の外縁近傍及び補助撹拌ブレード102の外縁近傍の狭い領域に限られる。また比較例に対応するモデルは、流体循環路114から給気室112へ流れ込む洗浄液の流量が小さい。また、特に処理室110の中央付近において、洗浄液の流れがほとんど見られない。
このことから、本実施形態におけるロータ16は、湾曲面42を有する下面ブレード40を備えることによって、比較例に比べ、ロータ16の下面における流速が大きくなり、高速の上昇流が得られ、流体循環路114を流れる洗浄液の流量が大きくなることが分かった。また、本実施形態の場合、処理室110において洗浄液が高速で循環していることによって、ロータ16の上面や処理室110の側壁の汚れをより確実に洗浄できるといえる。
本実施形態に対応するモデルの場合、流体循環路114における洗浄液の流量が、比較例に対応するモデルに比べ13%向上した。また、ロータ16の下面における流速が、比較例に対応するモデルに比べ平均で17%向上した。このことから、ロータ16の下面に下面ブレード40を設けることによって、従来のロータ100にさらに補助撹拌ブレード102を設けた比較例に対応するモデルよりも、高い洗浄効果が得られることが確認できた。
なお、比較例のモデルに相当する実機において洗浄液の流量及び流速を測定したところ、シミュレーションの結果と同等であった。このことから、上記シミュレーションの結果は工学的に妥当といえる。
以上より、粉粒体処理装置は、ロータの下面に下面ブレードを備えることによって、洗浄液の流速を高めることができるので、効率的に機械から汚れを剥離および/または溶解し、効率的に洗浄できるといえる。
実際に本実施形態に対応するロータを作製し、洗浄試験を行い、洗浄効果を検証した。ロータの各部の寸法は、シミュレーションと同じとした。ロータと流体分散板の周辺に粉粒体((株)明治製、製品名:ザバスウェイトダウン)を5kg散布した状態で、洗浄液(アルカリ洗剤、質量濃度1%、液温60℃)を液面がロータの上部に到達する程度に充填した。この状態で、ロータを30rpmで回転させ、15分間保持した。終了後、洗浄液を排出口から排出し、ロータと流体分散板上の粉粒体の残渣を確認した。
その結果を図11A,11Bに示す。本実施形態に対応するロータで洗浄処理を行った場合、ロータと流体分散板18に粉粒体の残渣は認められなかった。一方、比較例に対応するロータと補助撹拌ブレードを備えた構成の場合、流体分散板18に粉粒体の残渣58が多数認められた。この結果から、ロータの下面に下面ブレードを設けることによって、従来のロータにさらに補助撹拌ブレードを設けた構成よりも、高い洗浄効果が得られることが、実機において確認できた。
10 粉粒体処理装置
12 処理室
16 ロータ
18 流体分散板
20 給気室
22 流体循環路
30 第1接続口
32 コーン部(回転円板)
34 環状板部(回転円板)
37 下面部(回転円板)
38 上面ブレード
40 下面ブレード
42 湾曲面
52 第2接続口

Claims (5)

  1. 処理室と、
    弁体を介して前記処理室に隣接された、第1接続口を有する排出室と、
    前記処理室の底部に設けられた、流体が流通可能な流体分散板と、
    前記流体分散板の下面側に設けられた、第2接続口を有する給気室と、
    一端が前記第1接続口に接続され、他端が前記第2接続口に接続された流体循環路と
    を備える粉粒体処理装置の、前記流体分散板の上面側に回動自在に設けられる粉粒体処理装置用ロータであって、
    回転円板と、
    前記回転円板の前記処理室に面する表面に設けられた複数の上面ブレードと、
    前記回転円板の前記流体分散板に面する表面に設けられた複数の下面ブレードと
    を備え、
    前記複数の下面ブレードは、回転方向に向かって凸状に湾曲した湾曲面を有する、
    粉粒体処理装置用ロータ。
  2. 前記湾曲面の内端から外端までの長さは、前記回転円板の半径より長い、請求項1に記載の粉粒体処理装置用ロータ。
  3. 前記複数の下面ブレードは、6本以上である、請求項1又は2に記載の粉粒体処理装置用ロータ。
  4. 前記複数の下面ブレードは、前記回転円板の周方向に均等に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒体処理装置用ロータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉粒体処理装置用ロータを備えた、粉粒体処理装置。
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