以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、断面図の図面においては、視認性に鑑みて適宜ハッチングを省略している。さらに、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
<システムキッチン100の全体構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1が収納された状態のシステムキッチン100を示す外観斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の洗浄槽2を引き出した状態のシステムキッチン100を示す外観斜視図である。
図1及び図2に示すように、システムキッチン100は、食器洗浄機1を備える。システムキッチン100は、図示しない加熱調理器及びシンクを備えても良い。食器洗浄機1、加熱調理器及びシンクなどは、一体化したユニットに形成されている。システムキッチン100は、キッチンの小物を収納する引き出し101と、鍋又はフライパンなどを収納する収納庫102と、を備える。引き出し101は、収納庫102の上方Uに配置されている。
食器洗浄機1は、食後の汚れた食器を洗浄する。食器洗浄機1の上方Uに平面部103が形成され、まな板などが載置される。図1及び図2では、平面部103は、食器洗浄機1の左方L及び右方Rの両側の引き出し101上にも形成されている。
図示しない加熱調理器は、食器洗浄機1の隣などに配置されている。加熱調理器は、載置面にて誘導加熱コイルによって鍋又はフライパンなどを誘導加熱する。加熱調理器は、載置面の下方Dの内部に魚などを焼くグリルを内蔵している。
シンクは、食器洗浄機1の隣などに配置されている。シンクは、キッチン水栓の蛇口から水を流す水槽状のユニットである。
図2及び後述する図5に示すように、食器洗浄機1は、直方体形状の本体3で区画されたユニットである。食器洗浄機1は、本体3から前方Fに洗浄槽2を引き出し自在である。前方F又は後方Bに引き出し自在の洗浄槽2は、上部が開口されている。洗浄槽2には、上部の開口から洗浄槽2内に食後の汚れた食器が並べられ、洗浄される。食器洗浄機1は、洗浄槽2を前方Fに自動的に引き出せる。
<食器洗浄機1の外観構成>
図3は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1がシステムキッチン100に収納された状態を示す食器洗浄機1及びその周辺のシステムキッチン100の一部正面図である。図3に示すように、食器洗浄機1は、洗浄槽2の前面側に取り付けられて前方Fの正面を構成した正面部20を有する。正面部20は、上下に隔てて配置された第1意匠面部6及び第2意匠面部7を有する。
第1意匠面部6は、第1化粧板と、第1化粧板の後方Bに配置された平板状の第1基部とを有する。第2意匠面部7は、第2化粧板と、第2化粧板の後方Bに配置された平板状の第2基部とを有する。なお、第1化粧板及び第1基部は、別体である。第1基部は、洗浄槽2に固定される。同様に、第2化粧板及び第2基部は、別体である。第2基部は、洗浄槽2に固定される。また、第1基部と第2基部とは、別体で構成される。なお、双方を一体で構成しても良い。第1化粧板は、洗浄槽2に固定される。第1化粧板を第1基部に固定するようにしても良い。同様に、第2化粧板は、洗浄槽2に固定される。第2化粧板を第2基部に固定するようにしても良い。
図3に示すように、洗浄槽2の前方Fの外側面には、水平方向に延伸する所定幅の第1隙間4及び第2隙間5を有して第1意匠面部6、第2意匠面部7及び第3化粧板8が取り付けられている。第1意匠面部6は、第2意匠面部7の上方Uに配置されている。第2意匠面部7は、第3化粧板8の上方Uに配置されている。第1意匠面部6、第2意匠面部7及び第3化粧板8は、システムキッチン100における、食器洗浄機1と隣接して配置される他の隣接ユニットの前側意匠面部と同じ色彩又は模様などの意匠が施されている。
第1隙間4は、第1意匠面部6と第2意匠面部7とを上下方向に分割して隔てて横方向に延伸する境界部である。第1意匠面部6と第2意匠面部7とは、第1意匠面部6の前面及び第2意匠面部7の前面と、隣接ユニットの前面とが面一になる厚みを有する。境界部である第1隙間4は、食器洗浄機1が配置されるシステムキッチン100の隣接ユニットの隣接境界部である第1隣接隙間104と上下方向の幅と高さとが同じであり、横方向に隣接して配置されている。
第1意匠面部6の下端は、食器洗浄機1の左方L及び右方Rの両側に隣接する引き出し101の下端と上下方向の高さが一致する。第2意匠面部7の上端は、食器洗浄機1の左方L及び右方Rの両側に隣接する収納庫102の上端と上下方向の高さが一致する。第1意匠面部6と第2意匠面部7との間にて水平方向に延伸する境界部である第1隙間4は、食器洗浄機1に隣接する引き出し101と収納庫102との間の隣接境界部である第1隣接隙間104と上下方向の幅と高さとが同じであり、横方向に隣接して配置されている。第3化粧板8の上下方向長さは、食器洗浄機1の左方L及び右方Rの両側に隣接する収納庫102の下方の下部化粧板105の上下方向長さと一致した長さである。第2意匠面部7と第3化粧板8との間にて水平方向に延伸する第2隙間5は、食器洗浄機1に隣接する収納庫102と下部化粧板105との間の第2隣接隙間106と上下方向の幅と高さとが同じであり、横方向に隣接して配置されている。これにより、食器洗浄機1は、システムキッチン100に意匠性を損なうことなく配置されている。
食器洗浄機1は、洗浄槽2の正面部20に、物体検出センサ50を備える。物体検出センサ50は、洗浄槽2の前面側に取り付けられている。物体検出センサ50は、正面部20の前方Fに存在する物体の有無を検出する。物体検出センサ50は、赤外線センサなどの検出方向の物体を認識できるセンサであれば良い。物体検出センサ50は、複数設けられている。ここでは、物体検出センサ50は、6つ設けられた例を挙げる。しかし、物体検出センサ50の数は、これに限られず1以上であれば良い。
6つの物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方の正面部20のうち第1意匠面部6及び第2意匠面部7以外の位置に配置されている。具体的には、上方Uの3つの物体検出センサ50は、境界部である第1隙間4に点在して配置されている。下方Dの3つの物体検出センサ50は、第2隙間5が存在する正面部20の下側縁部に点在して配置されている。6つの物体検出センサ50は、正面部20に固定され、洗浄槽2とともに移動する。
食器洗浄機1は、正面部20に配置され、移動部30に洗浄槽2を引き出す動作を指令する接触スイッチ部9を有する。接触スイッチ部9は、分割された第1意匠面部6と第2意匠面部7との間の境界部である第1隙間4に配置されている。接触スイッチ部9は、第1隙間4の中央部にて、洗浄槽2を自動的に引き出す開動作を使用者が手指を触れて指令するように配置されている。接触スイッチ部9は、静電スイッチなどで構成されている。接触スイッチ部9は、第1隙間4の範囲内に上下方向長さを有するとともに、第1隙間4の範囲内に横方向長さを有する。
使用者は、接触スイッチ部9に手指を触れることにより、洗浄槽2が自動的に前方Fへ移動し、本体3から引き出される。接触スイッチ部9の前端は、第1意匠面部6の前面及び第2意匠面部7の前面と面一に配置されている。これにより、使用者が目視せずに手指を第1隙間4に沿って移動させることにより、手指が接触スイッチ部9の前端に触れられる。
第1隙間4内において、食器洗浄機1の接触スイッチ部9の左方Lには、排気口10が形成されている。排気口10は、第1隙間4の高さ方向の幅の範囲内に上下方向の長さを有するとともに、第1隙間4の横幅の一部の範囲内に横方向の長さを有する。排気口10は、食器洗浄機1の洗浄槽2からの排気を室内に排出する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の洗浄槽2が本体3に収納された状態を示す斜視図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1において、洗浄槽2を本体から引き出した状態の食器洗浄機1を示す斜視図である。図4及び図5に示すように、食器洗浄機1は、上部が開口した洗浄槽2が本体3から前方F又は後方Bに出し入れ自在に構成されている。なお、食器洗浄機1は、システムキッチン100に搭載されるだけでなく、筐体又はキャビネットなどに搭載して単体でも使用できる。
<食器洗浄機1の内部構成>
図6は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の機能を示す機能ブロック図である。図6に示すように、食器洗浄機1は、物体検出センサ50と、制御部31と、接触スイッチ部9と、移動部30と、操作部32と、表示部33と、報知部34と、加熱ヒータ35と、洗浄ポンプ36と、送風ファン37と、乾燥ヒータ38とを有する。
移動部30は、後述する制御部31の指令によって洗浄槽2を本体3に対して前後方向に移動させる。移動部30は、駆動源及び移動機構などから構成され、食器洗浄機1の第3化粧板8の後方Bの裏側内部空間などに配置されている。
操作部32は、搭載されたスイッチ類に使用者が触れることによって操作情報の各種指令を入力する。入力された操作指令は、制御部31に出力される。操作部32には、センサスイッチ32aが設けられている。センサスイッチ32aは、物体検出センサ50のON状態とOFF状態とを切り替える。これにより、物体検出センサ50は、センサスイッチ32aのONとOFFとの切替によって使用者の意図に応じて物体を検出するか否か切替自在である。表示部33は、制御部31の指令によって食器洗浄機1の各種情報を表示する。操作部32及び表示部33は、図示しない正面部20の上側縁部である上面部などに設けられている。
報知部34は、制御部31の指令によって洗浄槽2の引き出し開始の合図などをブザー、アナウンス又は表示などを用いて報知する。報知部34の表示は、正面部20の第1隙間4などにてLEDなどを用いて発光すると良い。
加熱ヒータ35は、洗浄工程にて洗浄水を加熱する。洗浄ポンプ36は、洗浄工程及びすすぎ工程にて図示しない洗浄ノズルに供給する洗浄水を圧送する。送風ファン37は、食器洗浄機1の使用時に洗浄槽2内の空気又は水蒸気を排気口10から排出するように送風する。乾燥ヒータ38は、乾燥工程にて洗浄槽2内に導入される外気を加熱して食器類を乾燥させる。
<制御部31>
図7は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の制御部31を示すブロック図である。図7に示すように、制御部31は、物体検出センサ50、接触スイッチ部9、移動部30、操作部32、表示部33、報知部34、加熱ヒータ35、洗浄ポンプ36、送風ファン37及び乾燥ヒータ38の制御を担う。制御部31は、CPU、ROM及びRAMなどのメモリ並びにI/Oポートなどの入出力装置を備えたマイコンを有した処理回路である。
<食器洗浄機1の動作>
汚れた食器を洗浄する場合には、使用者が接触スイッチ部9に手指を触れる。これにより、食器洗浄機1は、制御部31から開動作を指令された移動部30によって、自動的に洗浄槽2を本体3から洗浄槽2の上部の開口を食器洗浄機1の外部に最大に露出させるように前方Fに引き出す。洗浄槽2の引き出し開始時には、報知部34が合図を報知する。そして、使用者は、洗浄槽2内に汚れた食器類を並べる。食器類が並べ終わると、使用者は、洗浄槽2内の洗浄水に洗剤を投入する。次に、使用者は、操作部32のスタートスイッチをONする。洗浄開始の合図は、表示部33に表示される。
次に、使用者は、たとえば第1意匠面部6を手で押して洗浄槽2を本体3内に押し込む。このとき、使用者の洗浄槽2を押し込む動作の途中からは、食器洗浄機1が移動部30によって自動的に閉動作を実行しても良い。あるいは、使用者は、完全に洗浄槽2が引き出された食器洗浄機1の接触スイッチ部9に手指を触れる。これにより、接触スイッチ部9からの閉動作の指令によって、食器洗浄機1は、移動部30によって自動的に閉動作を実行しても良い。このとき、洗浄槽2の閉動作開始の合図が報知部34によって報知される。そして、食器洗浄機1は、洗浄槽2の本体3内への閉動作が完了すると、洗浄工程を実施する。
洗浄工程では、給水弁が開弁され、洗浄槽2内に洗浄水が給水される。そして、水量センサが所定量の洗浄水の給水を検知すると、給水弁が閉弁される。次に、加熱ヒータ35が通電され、洗浄水が所望の温度に加熱される。そして、洗浄ポンプ36が駆動され、温水化した洗浄水が洗浄ノズルに圧送され、洗浄ノズルのノズル孔から斜め上方といった上方に向けて洗浄水が噴射され、食器類が洗浄される。このとき、洗浄ノズルは、洗浄水の噴射による反力によって回転する。これにより、洗浄槽2内に並べられた食器類に万遍なく洗浄水が噴射される。洗浄槽2内に噴射された洗浄水は、落下して洗浄槽2内の下部に集まり、再び洗浄ノズルから噴射される。この循環が繰り返される。なお、洗浄工程では、洗浄槽2が本体3内に収納されているので、洗浄水が洗浄槽2外に飛散することはない。
所定時間経過すると、制御部31により、加熱ヒータ35及び洗浄ポンプ36への通電が停止する。また、制御部は、図示しない排水ポンプへの通電も制御する。制御部31により通電が開始された排水ポンプが駆動され、洗浄槽2内の洗浄後の洗浄水が外部に排出される。
洗浄後の洗浄水の排水が終わると、制御部31は、排水ポンプへの通電を停止し、給水弁が開弁され、新たな洗浄水が洗浄槽2内に給水される。以後、上述した洗浄工程と同様の動作によって食器類のすすぎ洗いが行われ、所定時間のすすぎ洗いが終わると、すすぎ洗いに用いた洗浄水が排水される。このようなすすぎ洗いと排水とが数回繰り返される。この繰り返しがすすぎ工程となっている。このとき、図示しないリンスタンクからリンスが供給されてすすぎ洗い用の洗浄水に加えられるようにしても良い。リンス剤が洗浄水に加えられると、後述する乾燥工程において、食器類が綺麗な状態で乾燥できる。
すすぎ工程が終了すると、制御部31により送風ファン37及び乾燥ヒータ38が通電され、洗浄槽2内に外気が導入される。外気は、乾燥ヒータ38で加熱されて温風となり、洗浄槽2内に送られて食器及び洗浄槽2の内部全体を乾燥させる。乾燥に用いた温風は、排気口10から食器洗浄機1の外部の室内に排出される。この工程が乾燥工程となる。
乾燥工程が所定時間経過すると、制御部31により送風ファン37及び乾燥ヒータ38への通電が停止され、乾燥工程が終了する。これにより、食器類の洗浄、すすぎ及び乾燥が完了する。なお、これら一連の動作は、制御部31のマイクロコンピュータに設定されたプログラムに従って自動的に行われる。
食器類を取り出す場合には、使用者は、制御部31から指令された報知部34による食器洗浄機1の洗浄完了のアナウンス、ブザー又は表示などの報知を確認し、接触スイッチ部9に手指を触れる。これにより、食器洗浄機1は、制御部31から開動作を指令された移動部30によって自動的に洗浄槽2を本体3から前方Fに引き出す。その後、使用者は、本体3から引き出された洗浄槽2の上部の開口から食器類を取り出す。
<物体検出センサ50の検出範囲>
図8は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の中央の物体検出センサ50の横方向の検出範囲51aを示す模式図である。図9は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の中央の物体検出センサ50の検出範囲51aを示す斜視図である。図8及び図9に示すように、上方Uかつ中央の物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側であるほぼ中央部の検出範囲51aの物体を検出する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の左方Lの物体検出センサ50の横方向の検出範囲51bを示す模式図である。図10に示すように、左方Lの物体検出センサ50の物体検出方向は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側に向いて右方Rに傾いている。上方Uかつ左方Lの物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側である左方Lから中央部までの検出範囲51bの物体を検出する。
図11は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の右方Rの物体検出センサ50の横方向の検出範囲51cを示す模式図である。図11に示すように、右方Rの物体検出センサ50の物体検出方向は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側に向いて左方Lに傾いている。上方Uかつ右方Rの物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側である右方Rから中央部までの検出範囲51cの物体を検出する。
図12は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51dを示す模式図である。図13は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の洗浄槽2を引き出した状態での物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51dを示す模式図である。図12及び図13に示すように、物体検出センサ50の高さ方向での物体検出方向は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側に向いている。物体検出センサ50の前方Fへの物体検出距離は、前方Fへの検出限界距離52に規定されている。検出限界距離52は、たとえば50mm以下などの距離である。また、検出限界距離52は、50mm以上かつ検出から停止までのリードタイムなどで決定されても良い。好ましくは、洗浄槽2の引出量が小さくなって使い勝手が悪くならないように、検出限界距離52は、10mm以上150mm以下程度であると良い。ここで、物体検出センサ50の検出限界距離52は、物体検出センサ50の前方Fへの物体の検出最大能力距離より短くても良い。物体検出センサ50の検出限界距離52があまりに長すぎると、洗浄槽2の引出量に関係ない遠方の物体まで検出するおそれがあるためである。
なお、物体検出センサ50の物体検出範囲は、物体検出センサ50の一部にマスキングをして検出する幅又は検出する高さを制限するほか、物体検出センサ50の取付角度で検出する幅又は検出する高さを設定する。また、物体検出センサ50の物体検出範囲は、使用するセンサの特性を用いても良いし、赤外線などの照射距離を抑えるために照射源の手前に照射する赤外線などの透過を抑えるフィルターなどを設けても良い。
図8〜図12に示すように、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲と一致している。つまり、物体検出センサ50の物体検出領域は、正面部20の上縁部、下縁部、左縁部及び右縁部までの前方Fへの投影領域をカバーしている。なお、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも広くても良い。詳しくは、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも一回り広くても良い。
<洗浄槽2を引き出す開動作の制御>
図14は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の洗浄槽2を引き出す開動作の制御を示すフローチャートである。図15は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の開動作指令発令時の状態を示す模式図である。図16は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の人検出時の状態を示す模式図である。図17は、本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機1の対向面検出時の状態を示す模式図である。なお、図14の制御ルーチンは、洗浄槽2が本体3に収納された状態で実施される。
図14に示すように、ステップS1にて、制御部31は、洗浄槽2を前方Fに引き出す開動作指令が発令されたか否かを判別する。すなわち、食器洗浄機1の洗浄槽2が本体3に収納された状態で、使用者が接触スイッチ部9に手指を触れ、洗浄槽2を前方Fに引き出す合図が生じるか否かを判別する。ステップS1にて開動作指令が発令された場合には、ステップS2に移行する。ステップS1にて開動作指令が発令されない場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS2にて、制御部31は、移動部30に指令を発令して洗浄槽2の前方Fへの自動的な開動作を実施する。このとき、図15に示すように、センサスイッチ32aがON状態であれば物体検出センサ50を物体検出状態にする。なお、センサスイッチ32aがOFF状態であれば物体検出センサ50が駆動されない。ステップS2の処理の後、ステップS3に移行する。
ステップS3にて、制御部31は、物体検出センサ50が検出範囲内で物体を検出したか否かを判別する。ステップS3にて物体を検出した場合には、ステップS4に移行する。ステップS3にて物体を検出しない場合には、ステップS7に移行する。
ステップS4にて、制御部31は、移動部30に指令を発令して前方Fに引き出している洗浄槽2の自動的な開動作を停止する。ここで、停止動作は、物体検出センサ50の物体の検出直後に直ぐに実施される。なお、停止動作は、物体の検出後での開動作の速度を通常よりも遅くしたリードタイムといった期間の経過後に実施されても良い。ステップS4の処理の後、ステップS5に移行する。図16及び図17に示すように、物体検出センサ50の検出範囲53内で人60又は対向面61を検出すると、前方Fへの洗浄槽2の開動作を停止する。なお、ここでの検出範囲53は、上述した上方Uの3つの物体検出センサ50の検出範囲51a、検出範囲51b及び検出範囲51c及び同様な検出範囲を有する下方Dの3つの物体検出センサ50の全てを合わせた範囲である。
ステップS5にて、制御部31は、物体検出センサ50が物体を非検出の状態となるか否かを判別する。ステップS5にて物体が非検出となった場合には、ステップS6に移行する。ステップS5にて物体が非検出とならない場合には、ステップS5に戻る。図16のように、物体検出センサ50が人60を検出している場合には、人60が食器洗浄機1の物体検出センサ50の検出範囲53から居なくなることにより、物体検出センサ50が物体を非検出の状態となるからである。一方、図17のように、物体検出センサ50が対向面61を検出している場合には、洗浄槽2が対向面61にぶつかる前に洗浄槽2の前方Fへの自動的な開動作が停止された状態となる。物体検出センサ50が対向面61を検出した場合には、ステップS5のループ状態となり、使用者の次の指示を待つ状態となる。対向面61は、使用者が大きさの異なる食器棚などに買い替えた場合に異なる距離となるが、物体検出センサ50が対向面61を衝突前に自動的に検出して開動作を停止するので、食器洗浄機1では自動で洗浄槽2の引出量が決定できる。
ステップS6にて、制御部31は、前方Fへの洗浄槽2の引き出し開動作を再開する。物体検出センサ50が物体を非検出となり、前方Fに引き出される洗浄槽2に何も衝突するおそれが無いからである。ステップS6の処理の後、ステップS7に移行する。
ステップS7にて、制御部31は、前方Fへの洗浄槽2の引出量が最大引出量となったか否かを判別する。ステップS7にて最大引出量である場合には、本ルーチンを一旦終了する。ステップS7にて最大引出量でない場合には、ステップS2に戻る。
<変形例1>
図18は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51eを示す模式図である。図19は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る洗浄槽2を引き出した状態での物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51eを示す模式図である。変形例1では、上記実施の形態と同じ事項の説明を省略し、その特徴部分のみを説明する。
図18及び図19に示すように、食器洗浄機1は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の上部に操作部32を備える。また、操作部32には、表示部33が設けられても良い。この場合には、使用者が操作部32を操作している状態で物体検出センサ50が物体を検出しようとすると、使用者の操作中の手指を検出するおそれがある。そこで、上方Uの3つの物体検出センサ50の物体検出の高さ方向の検出範囲51eは、操作部32の下方Dの下側縁部までの範囲に制限されている。
<変形例2>
図20は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51fを示す模式図である。図21は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る洗浄槽2を引き出した状態での物体検出センサ50の高さ方向の検出範囲51fを示す模式図である。変形例2では、上記実施の形態などと同じ事項の説明を省略し、その特徴部分のみを説明する。
図20及び図21に示すように、食器洗浄機1は、洗浄槽2を前方Fに自動的に引き出す開動作の指令を発令する手段として、洗浄槽2の前方Fの正面部20の上部にノック部39を備える。使用者がノック部39をノックすることにより、制御部31が開動作指令を認識し、洗浄槽2の前方Fへの自動的な開動作が開始される。この場合には、使用者がノック部39をノックしている状態で物体検出センサ50が物体を検出しようとすると、使用者のノック中の手指を検出するおそれがある。そこで、上方Uの3つの物体検出センサ50の物体検出の高さ方向の検出範囲51fは、ノック部39の下方Dまでの範囲に制限されている。
なお、ノック部39を有する食器洗浄機1であっても、ノック部39も上方Uの3つの物体検出センサ50の物体検出範囲に含ませても良い。この場合には、使用者がノック部39をノックした手指をまず検出して開動作が停止され、物体検出範囲から使用者の手指がなくなったことを検出して開動作が開始される。
<変形例3>
図22は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る洗浄槽2を引き出す開動作の制御を示すフローチャートである。変形例3では、上記実施の形態などと同じ事項の説明を省略し、その特徴部分のみを説明する。
本ルーチンでは、ステップS4にて開動作を停止した処理の後、ステップS8に移行する。ステップS8にて、制御部31は、移動部30に指令を発令し、停止動作の後に洗浄槽2を少量後方に引き戻す。洗浄槽2が少量後方に引き戻されることにより、物体がより洗浄槽2に衝突するおそれが回避できる。また、物体が人60である場合には、引き出される洗浄槽2が人60に圧迫感を感じさせない。ステップS8の処理の後、ステップS5に移行する。
<実施の形態1の効果>
実施の形態1によれば、食器洗浄機1は、上部の開口した洗浄槽2を、洗浄槽2の収容される本体3から前方Fに自動的に引き出す。食器洗浄機1は、洗浄槽2の前面側に取り付けられて洗浄槽2の前面を構成した正面部20に配置され、正面部20の前方Fに存在する物体を検出する物体検出センサ50を備える。
この構成によれば、洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出される開動作中に、物体検出センサ50が洗浄槽2の前方Fに物体を検出すると、洗浄槽2が物体に衝突する前に洗浄槽2の開動作が停止できる。このため、洗浄槽2を前方Fに自動的に引き出している際に、人60が近づくと、洗浄槽2への接触の前に洗浄槽2の開動作が停止でき、安全性が確実に得られる。また、洗浄槽2の前方Fへの引出量が変更自在な食器洗浄機1に対向する位置に設置された食器棚などが入れ替えられても、引き出す洗浄槽2の食器棚などの対向面61への衝突が防止できる。さらに、洗浄槽2の引出量が長くできる空間があれば、洗浄槽2の引出量が自動的に利便性良く長くできる。したがって、安全かつ快適に洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出せる。
実施の形態1によれば、食器洗浄機1は、洗浄槽2の前方Fへの自動的な引き出しを制御する制御部31を備える。制御部31は、物体検出センサ50が物体を検出すると、洗浄槽2の前方Fへの自動的な引き出しを停止する。
この構成によれば、洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出される開動作中に、物体検出センサ50が洗浄槽2の前方Fに物体を検出すると、洗浄槽2が物体に衝突する前に洗浄槽2の開動作が停止できる。したがって、安全かつ快適に洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出せる。
実施の形態1によれば、制御部31は、洗浄槽2の前方Fへの自動的な引き出しを停止した後に、物体検出センサ50が物体を検出しなくなると、洗浄槽2の前方Fへの自動的な引き出しを再開する。
この構成によれば、物体検出センサ50が物体を検出しなくなると、洗浄槽2の前方Fへの自動的な引き出しが再開されるので、洗浄槽2が物体に衝突せずに最大引出量まで引き出せる。
実施の形態1によれば、制御部31は、物体検出センサ50の物体の検出直後に停止動作を実施する。
この構成によれば、開動作中の洗浄槽2が物体に衝突し難くなる。
実施の形態1によれば、制御部31は、物体検出センサ50の物体の検出後での開動作の速度を通常よりも遅くした期間の経過後に停止動作を実施する。
この構成によれば、開動作の速度を通常よりも遅くした期間中の洗浄槽2に対して物体が回避動作を実施でき、洗浄槽2が物体に衝突し難くなる。
実施の形態1によれば、制御部31は、停止動作の後に洗浄槽2を部分的に後方Bに引き戻す。
この構成によれば、洗浄槽2に衝突しようとする物体に対して洗浄槽2が部分的に後方に引き戻されて回避動作でき、洗浄槽2が物体に衝突し難くなる。また、引き戻される洗浄槽2は、物体に対して圧迫感が無く、安全性が向上する。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲と一致する。
この構成によれば、物体が洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲と一致する範囲に存在する場合に、物体検出センサ50が物体を検出し、洗浄槽2の開動作の停止が実施できる。このため、物体検出センサ50が不必要に物体を検出することによる洗浄槽2の開動作時の無駄な停止動作が削減できる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも広い。
この構成によれば、物体が洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも広い範囲に存在する場合に、物体検出センサ50が物体を検出し、洗浄槽2の開動作の停止が実施できる。このため、開動作中の洗浄槽2に近づいて来る物体に対して洗浄槽2が衝突し難くなる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の物体検出領域は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも一回り広い。
この構成によれば、物体が洗浄槽2の前方Fの正面部20の投影範囲よりも一回り広い範囲に存在する場合に、物体検出センサ50が物体を検出し、洗浄槽2の開動作の停止が実施できる。このため、開動作中の洗浄槽2に高確率で近づいて来る物体に対して洗浄槽2がより衝突し難くなる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の前方Fへの物体検出距離は、前方Fへの検出限界距離52である。
この構成によれば、物体検出センサ50が検出限界距離52以上に前方Fで離れた物体を検出しても、洗浄槽2の開動作が停止されないので、安全かつ快適に洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出せる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の検出限界距離52は、物体検出センサ50の前方Fへの物体の検出最大能力距離より短い。
この構成によれば、物体検出センサ50が検出最大能力距離より短い予め定められた検出限界距離52以上に前方Fで離れた物体を検出しても、洗浄槽2の開動作が停止されないので、安全かつ快適に洗浄槽2が前方Fに自動的に引き出せる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50は、複数設けられている。
この構成によれば、複数の物体検出センサ50によって確実に洗浄槽2の前方Fに存在する物体が検出できる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50の物体検出方向は、洗浄槽2の前方Fの正面部20の内側に向く。
この構成によれば、物体検出センサ50の物体検出方向が洗浄槽2の前方Fの正面部20と一致する範囲程度に収められる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50は、物体を検出するか否か切替自在である。
この構成によれば、必要のない場合に洗浄槽2の自動的な開動作の停止が実施されず、食器洗浄機1の使用者の利便性が向上できる。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方Fの正面部20のうち第1意匠面部6及び第2意匠面部7以外の位置に配置されている。
この構成によれば、洗浄槽2の前方Fの正面部20に配置された物体検出センサ50が食器洗浄機1の美観を損なわせない。
実施の形態1によれば、第1意匠面部6及び第2意匠面部7は、食器洗浄機1の設置されるシステムキッチン100に合わせて上下方向に分離した境界部としての第1隙間4を有する。物体検出センサ50は、第1隙間4に配置されている。
この構成によれば、洗浄槽2の前方Fの正面部20に配置された物体検出センサ50がシステムキッチン100と統一性を持った食器洗浄機1の美観を損なわせない。
実施の形態1によれば、食器洗浄機1は、洗浄槽2を前方Fに自動的に引き出す指令を発令する接触スイッチ部9を有する。接触スイッチ部9は、第1隙間4に配置されている。
この構成によれば、洗浄槽2の前方Fの正面部20に配置された接触スイッチ部9が物体検出センサ50とともにシステムキッチン100と統一性を持った食器洗浄機1の美観を損なわせない。
実施の形態1によれば、物体検出センサ50は、正面部20の下側縁部に配置されている。
この構成によれば、洗浄槽2の前方Fの正面部20に配置された物体検出センサ50がシステムキッチン100と統一性を持った食器洗浄機1の美観を損なわせない。