以下、食器洗浄機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いられる図面では、同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、および配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。また、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
本実施の形態1に係る食器洗浄機について説明する。
[システムキッチン100の構成]
図1は、本実施の形態1に係る食器洗浄機が収納された状態のシステムキッチンの外観の一例を示す斜視図である。図2は、本実施の形態1に係る食器洗浄機の洗浄槽が引き出された状態のシステムキッチンの外観の一例を示す斜視図である。なお、以下の説明では、各方向を図1および図2に示すように規定する。具体的には、重力と平行な上下方向において、上向きの方向を上方Uと規定し、下向きの方向を下方Dと規定する。また、水平方向において、紙面に向かって左向きの方向を左方Lと規定し、右向きの方向を右方Rと規定する。さらに、上下方向および水平方向に垂直な方向である前後方向において、前方向を前方Fと規定し、後ろ方向を後方Bと規定する。
図1および図2に示すように、システムキッチン100は、食器洗浄機1を備えている。また、システムキッチン100は、図示しない加熱調理器およびシンクを備えていてもよい。食器洗浄機1、加熱調理器およびシンクなどは、一体化したユニットに形成されている。さらに、システムキッチン100は、キッチンで使用される調理小物等を収納する引き出し101と、鍋またはフライパンなどの調理器具等を収納する収納庫102とを備えている。引き出し101は、例えば、収納庫102の上方Uに配置されている。
食器洗浄機1は、食後の汚れた食器などの洗浄対象を洗浄する。食器洗浄機1の上方Uには平面部103が形成され、平面部103にはまな板などが載置される。図1および図2において、平面部103は、食器洗浄機1の左方Lおよび右方Rの両側に設けられた引き出し101上に延びるように形成されている。
図示しない加熱調理器は、例えば、食器洗浄機1の隣などに配置されている。加熱調理器は、誘導加熱コイルにより、載置面である平面部103に載置された鍋またはフライパンなどを誘導加熱する。加熱調理器は、例えば、載置面の下方Dの内部に、魚などを焼くグリルを内蔵している。
シンクは、例えば、食器洗浄機1の隣などに配置されている。シンクは、キッチン水栓の蛇口から水を流す水槽状のユニットである。
図2に示すように、食器洗浄機1は、前面が開口する直方体形状の本体3と、本体3の開口から前方Fに引き出し自在であり、食器などの洗浄対象を収容する洗浄槽2とを含んで構成されている。前方Fへの引き出し、および後方Bへの引き込み自在の洗浄槽2は、上部が開口している。洗浄槽2の内部は、上部の開口から食後の汚れた食器が並べられるようになっている。本実施の形態1において、食器洗浄機1は、洗浄槽2を前方Fに自動的に引き出すことができる。
[食器洗浄機1の外観]
図3は、本実施の形態1に係るシステムキッチンの食器洗浄機が収納された部分を拡大して示す正面図である。図3に示すように、食器洗浄機1は、洗浄槽2の前面側に取り付けられた正面部20を有する。正面部20は、食器洗浄機1の正面を構成し、2つに分割された第1意匠面部6および第2意匠面部7で構成されている。
第1意匠面部6は、第1化粧板と、第1化粧板の後方Bに配置された平板状の第1基部とを有する。第2意匠面部7は、第1意匠面部6の下方Dに配置され、第2化粧板と、第2化粧板の後方Bに配置された平板状の第2基部とを有する。なお、第1化粧板および第1基部は、別体で形成されてもよいし、一体的に形成されてもよい。同様に、第2化粧板および第2基部は、別体で形成されてもよいし、一体的に形成されてもよい。
第1意匠面部6と第2意匠面部7との間には、任意の上下方向の高さで水平方向に延伸する第1隙間4が設けられている。また、第2意匠面部7と、第2意匠面部7の下方に配置された第3化粧板8との間には、任意の上下方向の高さで水平方向に延伸する第2隙間5が設けられている。第1意匠面部6、第2意匠面部7および第3化粧板8は、例えば、システムキッチン100における、食器洗浄機1と隣接して配置される他の隣接ユニットの前側意匠面部と同じ色彩または模様などの意匠が施されている。
第1隙間4は、第1意匠面部6と第2意匠面部7とを上下方向に隔て、水平方向に延伸する境界部である。第1隙間4は、第1意匠面部6および第2意匠面部7に対して前後方向に凹となるように設けられている。第1意匠面部6および第2意匠面部7は、第1意匠面部6の前面および第2意匠面部7の前面と、システムキッチン100における隣接ユニットの前面とが面一になる厚みを有する。第1隙間4は、食器洗浄機1が配置されるシステムキッチン100における隣接ユニットの隣接境界部である第1隣接隙間104と水平方向の延長線上に一致するように配置されている。
第1意匠面部6の下端は、食器洗浄機1の左方Lおよび右方Rの両側に隣接する引き出し101の下端と上下方向において一致する。第2意匠面部7の上端は、食器洗浄機1の左方Lおよび右方Rの両側に隣接する収納庫102の上端と上下方向において一致する。第1隙間4は、食器洗浄機1に隣接する引き出し101と収納庫102との間の隣接境界部である第1隣接隙間104と上下方向の幅と前後方向の深さとが一致し、第1隣接隙間104と水平方向に隣接して配置されている。第3化粧板8の上下方向における長さは、食器洗浄機1の左方Lおよび右方Rの両側に隣接する収納庫102の下方に設けられた下部化粧板105の上下方向における長さと一致する。第2隙間5は、第2意匠面部7および下部化粧板105に対して前後方向に凹となるように設けられている。第2隙間5は、食器洗浄機1に隣接する収納庫102と下部化粧板105との間の第2隣接隙間106と上下方向の幅と前後方向の深さとが一致し、第2隣接隙間106と水平方向に隣接して配置されている。これにより、食器洗浄機1は、システムキッチン100の意匠性を損なうことなく配置されている。
食器洗浄機1において、洗浄槽2の正面部20には、1または複数の物体検出センサ50が設けられている。物体検出センサ50は、正面部20の前方Fに存在する物体の有無を検出する。物体検出センサ50は、赤外線センサなどの検出方向の物体を認識できるセンサであればよい。本実施の形態1において、物体検出センサ50は、複数設けられており、具体的には、6つ設けられている。なお、物体検出センサ50の数は、これに限られず、1以上であればよい。
本実施の形態1における6つの物体検出センサ50は、洗浄槽2の前方の正面部20のうち、第1意匠面部6および第2意匠面部7以外の位置に配置されている。例えば、3つの物体検出センサ50は、境界部である第1隙間4に点在して配置されている。残りの3つの物体検出センサ50は、第2隙間5が存在する正面部20の下側縁部に点在して配置されている。これら6つの物体検出センサ50は、正面部20に固定され、洗浄槽2とともに移動する。
第1隙間4には、接触スイッチ部9が設けられている。接触スイッチ部9は、第1隙間4における水平方向の中央部に、第1隙間4の上下方向の高さの範囲内に上下方向長さと、第1隙間4の水平方向の幅の範囲内に水平方向長さとを有して設けられている。接触スイッチ部9は、静電スイッチ等の接触式のスイッチで構成されている。接触スイッチ部9は、使用者が手指で触れることにより、後述する移動部30に対して洗浄槽2を引き出す動作を指令するための信号を出力する。使用者が接触スイッチ部9に手指で触れることにより、洗浄槽2は、自動的に前方Fへ移動し、本体3から引き出される。
接触スイッチ部9は、第1隙間4から前後方向に凸となり、かつ、第1意匠面部6の前面および第2意匠面部7の前面と面一になるように設けられている。これにより、使用者は、目視せずに手指を第1隙間4に沿って移動させることで、接触スイッチ部9を手指で触れることができる。
第1隙間4には、排気口10が設けられている。排気口10は、接触スイッチ部9の左方Lに、第1隙間4の上下方向の高さの範囲内に上下方向長さと、第1隙間4の水平方向の幅の範囲内に水平方向長さとを有して設けられている。排気口10は、食器洗浄機1の洗浄槽2からの湯気を室内に排出する。
図4および図5は、本実施の形態1に係る食器洗浄機の外観の一例を示す斜視図である。図4では、洗浄槽2が本体3に収納された状態が示されている。図5では、洗浄槽2が本体3から引き出された状態が示されている。図4および図5に示すように、食器洗浄機1は、上部が開口した洗浄槽2が本体3から前方Fまたは後方Bに出し入れ自在に構成されている。なお、食器洗浄機1は、システムキッチン100に搭載されるだけでなく、例えば、他の筐体またはキャビネットなどに搭載され、単体でも使用できるようにしてもよい。
[食器洗浄機1の構成]
食器洗浄機1の構成について説明する。図6に示すように、食器洗浄機1には、上述した物体検出センサ50および接触スイッチ部9等に加えて、移動部30、操作部32、表示部33、報知部34、加熱ヒータ35、洗浄ポンプ36、送風ファン37および乾燥ヒータ38(いずれも図示せず)が設けられている。
移動部30は、後述する制御装置40からの指令に基づき、洗浄槽2を本体3に対して前後方向に移動させる。移動部30は、駆動源および移動機構などから構成され、食器洗浄機1の第3化粧板8の後方Bの裏側内部空間などに配置されている。
操作部32は、搭載されたスイッチ類に使用者が触れることにより、操作に応じた操作信号を出力する。操作部32から出力された操作信号は、制御装置40に入力される。操作部32には、センサスイッチ32aが設けられている。センサスイッチ32aは、使用者の操作に応じてON状態またはOFF状態とされ、移動部30のON状態とOFF状態とを切り替えることができる。センサスイッチ32aのONとOFFとの切り替えにより、移動部30は、使用者の意図に応じて洗浄槽2を自動的に引き出すか否かが設定される。
表示部33は、食器洗浄機1の各種情報を表示する。表示部33は、制御装置40によって制御される。操作部32および表示部33は、正面部20における図示しない上側縁部である上面部などに設けられている。
報知部34は、洗浄槽2の引き出し開始の合図などをブザーまたはアナウンスなどの音声、あるいは、表示などを用いて報知する。報知部34は、制御装置40によって制御される。報知部34の表示は、例えば、正面部20の第1隙間4などにLED(Light Emitting Diode)などを用いて発光させて行う。なお、報知部34の表示は、これに限られず、表示部33を用いて行ってもよい。
加熱ヒータ35は、食器の洗浄を行う洗浄工程の際に、図示しない洗浄ノズルに供給される洗浄水を加熱する。加熱ヒータ35は、制御装置40によって制御される。洗浄ポンプ36は、洗浄工程および食器のすすぎを行うすすぎ工程の際に、洗浄ノズルに供給する洗浄水を圧送する。洗浄ポンプ36は、制御装置40によって制御される。
送風ファン37は、食器洗浄機1の使用時に、洗浄槽2内の空気または水蒸気などの気体を排気口10から排出するように送風する。送風ファン37は、制御装置40によって制御される。乾燥ヒータ38は、洗浄された食器を乾燥する乾燥工程の際に、洗浄槽2内に導入される外気を加熱して食器類を乾燥させる。乾燥ヒータ38は、制御装置40によって制御される。
また、食器洗浄機1は、制御装置40を備えている。制御装置40は、食器洗浄機1全体を制御する。図6は、本実施の形態1に係る食器洗浄機の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置40は、情報取得部41、判断部42、機器制御部43および記憶部44を備えている。なお、以下では、本実施の形態1の特徴に関連する部分についてのみ、説明する。また、制御装置40は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
情報取得部41は、物体検出センサ50で検出された、食器洗浄機1の前方Fにおける物体の有無を示す情報を取得する。また、情報取得部41は、湯気排出時間T1を記憶部44から読み出して取得する。湯気排出時間T1は、後述する乾燥工程の経過時間に対して設定された閾値を示し、具体的には、洗浄槽2内の湯気が外部に排出される時間を示す。
判断部42は、後述する洗浄槽2の開閉処理の際に各種の判断を行う。本実施の形態1において、判断部42は、情報取得部41で取得した物体検出センサ50の検出結果に基づき、食器洗浄機1の洗浄槽2の前方Fに物体が検出されたか否かを判断する。また、判断部42は、機器制御部43による制御の結果に基づき、洗浄槽2に対する開動作が実施済みであるか否かを判断する。さらに、判断部42は、乾燥工程の経過時間と、情報取得部41で記憶部44から読み出された湯気排出時間T1とを比較し、乾燥工程の経過時間が湯気排出時間T1以下であるか否かを判断する。
機器制御部43は、判断部42による判断結果に基づき、食器洗浄機1の各部の動作を制御する。本実施の形態1において、機器制御部43は、判断部42による判断結果等に基づき、洗浄槽2の前方Fへの引き出し、および後方Bへの引き込みを制御する。このとき、機器制御部43は、洗浄槽2を移動させるように移動部30を制御する。また、機器制御部43は、洗浄槽2が引き出されている間に物体の検出を停止するよう、物体検出センサ50の検出動作を停止させる。さらに、機器制御部43は、食器洗浄機1の各部に対する通電も制御する。具体的には、機器制御部43は、食器洗浄機1に設けられた加熱ヒータ35、洗浄ポンプ36、送風ファン37および乾燥ヒータ38等の通電を制御する。
記憶部44は、制御装置40の各部で用いられる各種の情報を記憶する。本実施の形態1において、記憶部44は、判断部42で用いられる湯気排出時間T1を記憶する。湯気排出時間T1は、例えば、使用者によって予め設定されるものである。
図7は、図6の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。制御装置40の各種機能がハードウェアで実行される場合、図6の制御装置40は、図7に示すように、処理回路61および入出力装置62で構成される。図6の情報取得部41、判断部42、機器制御部43および記憶部44の各機能は、処理回路61により実現される。また、食器洗浄機1に設けられた接触スイッチ部9および操作部32は、図7の入出力装置62に対応する。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路61は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報取得部41、判断部42、機器制御部43および記憶部44の各部の機能それぞれを処理回路61で実現してもよいし、各部の機能を1つの処理回路61で実現してもよい。
図8は、図6の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。制御装置40の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図6の制御装置40は、図8に示すように、プロセッサ63、メモリ64および入出力装置65で構成される。情報取得部41、判断部42、機器制御部43および記憶部44の各機能は、プロセッサ63およびメモリ64により実現される。また、食器洗浄機1に設けられた接触スイッチ部9および操作部32は、図8の入出力装置65に対応する。
各機能がソフトウェアで実行される場合、情報取得部41、判断部42、機器制御部43および記憶部44の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ64に格納される。プロセッサ63は、メモリ64に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
メモリ64として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ等が用いられる。また、メモリ64として、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
[食器洗浄機1の動作]
上記構成を有する食器洗浄機1の動作について説明する。食器洗浄機1では、食器を洗浄する洗浄工程、洗浄された食器をすすぐすすぎ工程、および、すすがれた食器を乾燥させる乾燥工程が行われる。本実施の形態1では、すすぎ工程と乾燥工程との間に、洗浄槽2を開閉する開閉処理が行われる。
まず、汚れた食器を洗浄する場合には、接触スイッチ部9が使用者によって操作される。食器洗浄機1では、制御装置40の機器制御部43によって開動作が指令された移動部30により、洗浄槽2が本体3から自動的に前方Fに引き出される。この場合、洗浄槽2は、上部の開口が食器洗浄機1の外部に最大で露出するように引き出される。ここで、洗浄槽2の引き出しが開始される場合、報知部34は、洗浄槽2の引き出し開始を示す合図を報知する。
洗浄槽2が引き出されると、洗浄槽2内には、汚れた食器類が使用者によって並べられる。食器類が並べ終わると、洗浄槽2内の洗浄水に洗剤が投入される。次に、操作部32に設けられたスタートスイッチが使用者によってONされる。そして、例えば第1意匠面部6が使用者の手で押され、洗浄槽2が本体3内に押し込まれる。
このとき、使用者によって洗浄槽2が押し込まれる動作の途中からは、食器洗浄機1が移動部30によって自動的に閉動作を実行してもよい。あるいは、完全に洗浄槽2が引き出された状態で、食器洗浄機1の接触スイッチ部9が使用者によって操作されることによって接触スイッチ部9から出力される閉動作の指令に基づき、食器洗浄機1は、移動部30によって自動的に閉動作を実行してもよい。この場合、洗浄槽2の閉動作開始の合図が報知部34によって報知される。
そして、洗浄槽2の本体3内への閉動作が完了すると、食器洗浄機1は、洗浄工程を実施する。洗浄開始の合図は、表示部33に表示される。
(洗浄工程)
洗浄工程では、洗浄水を給水するための給水弁が開弁され、洗浄槽2内に洗浄水が給水される。そして、水量センサが予め設定された量の洗浄水の給水を検知すると、給水弁が閉弁される。次に、加熱ヒータ35が通電され、洗浄水が所望の温度に加熱される。そして、洗浄ポンプ36が駆動され、温水化した洗浄水が洗浄ノズルに圧送され、洗浄ノズルのノズル孔から斜め上方といった上方に向けて洗浄水が噴射され、食器類が洗浄される。
このとき、洗浄ノズルは、洗浄水の噴射による反力によって回転する。これにより、洗浄槽2内に並べられた食器類に万遍なく洗浄水が噴射される。洗浄槽2内に噴射された洗浄水は、落下して洗浄槽2内の下部に集まり、再び洗浄ノズルから噴射される。洗浄工程では、この循環が繰り返される。なお、洗浄工程では、洗浄槽2が本体3内に収納されているので、洗浄水が洗浄槽2外に飛散することはない。
所定時間経過すると、機器制御部43により、加熱ヒータ35および洗浄ポンプ36への通電が停止する。また、機器制御部43は、図示しない排水ポンプへの通電も制御する。機器制御部43により通電が開始された排水ポンプが駆動し、洗浄槽2内の洗浄後の洗浄水が外部に排出される。
(すすぎ工程)
洗浄後の洗浄水の排水が終わると、機器制御部43は、排水ポンプへの通電を停止し、給水弁を開弁する。これにより、新たな洗浄水が洗浄槽2内に給水される。以後、上述した洗浄工程と同様の動作によって食器類のすすぎ洗いが行われ、予め設定された時間だけすすぎ洗いが行われると、すすぎ洗いに用いた洗浄水が排水される。このようなすすぎ洗いと排水とが数回繰り返され、すすぎ工程が行われる。なお、このとき、図示しないリンスタンクから供給されるリンス剤が、すすぎ洗い用の洗浄水に加えられるようにしても良い。リンス剤が洗浄水に加えられると、後述する乾燥工程において、食器類が綺麗な状態で乾燥できる。
(開閉処理)
すすぎ工程が終了すると、乾燥工程に移行する前に、洗浄槽2の開閉処理が行われる。開閉処理では、洗浄槽2が自動的に引き出され、洗浄槽2内部の蒸気が排出される。そして、蒸気が排出された後、洗浄槽2は自動的に引き込まれる。このとき、洗浄槽2の引き出し量は、洗浄槽2の開口が完全に本体3から引き出される「全開」だけでなく、開口の一部が本体3から引き出される「半開」としてもよい。なお、「半開」は、「全開」と、洗浄槽2の開口が完全に本体3に引き込まれた状態を示す「全閉」との間の範囲で開かれた状態である。また、洗浄槽2を引き出してから引き込むまでの間で、洗浄槽2が一旦停止するようにしてもよい。なお、開閉処理は、食器洗浄機1の前面側の状態に応じて行われないこともある。開閉処理の詳細については、後述する。
(乾燥工程)
洗浄槽2の引き出し動作および引き込み動作が終了した後、乾燥工程が行われる。乾燥工程では、機器制御部43により送風ファン37および乾燥ヒータ38が通電され、洗浄槽2内に外気が導入される。外気は、乾燥ヒータ38で加熱されて温風となり、洗浄槽2内に送られて食器および洗浄槽2の内部全体を乾燥させる。乾燥に用いた温風は、排気口10から食器洗浄機1の外部の室内に排出される。
乾燥工程が予め設定された時間だけ経過すると、機器制御部43により送風ファン37および乾燥ヒータ38への通電が停止され、乾燥工程が終了する。これにより、食器類の洗浄、すすぎおよび乾燥が完了する。なお、これら一連の動作は、制御装置40のマイクロコンピュータに設定されたプログラムに従って自動的に行われる。
乾燥工程が終了した後、洗浄槽2内の食器類が取り出される。機器制御部43から指令された報知部34による食器洗浄機1の洗浄完了のアナウンス、ブザーまたは表示などの報知が使用者によって確認されると、接触スイッチ部9が使用者によって操作される。食器洗浄機1では、機器制御部43によって開動作が指令された移動部30により、洗浄槽2が本体3から自動的に前方Fに引き出される。その後、本体3から引き出された洗浄槽2の上部の開口から食器類が使用者によって取り出される。
ここで、乾燥工程中の洗浄槽2内は、温度が上昇していることによって食器が乾燥している。一方、乾燥工程が終了しても、すぐに洗浄槽2内の食器類が取り出されない状態が一定時間続くと、洗浄槽2内の温度が低下する。このとき、送風ファン37および乾燥ヒータ38への通電が停止されており、洗浄槽2内の空気の入れ換えおよび加熱が行われないため、低下した洗浄槽2内の温度に対する相対湿度が高くなり、内部の食器などが結露する場合がある。
そこで、乾燥工程終了後に、洗浄槽2に対する開動作が一定時間経過しても行われない場合には、機器制御部43によって洗浄槽2の開動作および閉動作が行われ、洗浄槽2内の空気が入れ換えられるようにしてもよい。これにより、洗浄槽2内の温度低下とともに相対湿度が急激に上昇することが抑制されるため、乾燥工程終了後の食器類の結露を防止することができる。
[物体検出センサ50の検出範囲]
次に、物体検出センサ50の検出範囲について説明する。図9は、本実施の形態1に係る食器洗浄機に設けられた物体検出センサの検出範囲について説明するための概略図である。図9では、食器洗浄機1に設けられた6つの物体検出センサ50のうち、上方Uかつ中央に設けられた物体検出センサ50の検出範囲の一例が示されている。図9に示すように、物体検出センサ50は、洗浄槽2の正面部20の前方Fにおける、網掛けされた部分を検出範囲51aとして、この検出範囲51a内の物体を検出する。
図10は、本実施の形態1に係る食器洗浄機の物体検出センサの前後方向および上下方向の検出範囲について説明するための概略図である。図10において、上側の図は、洗浄槽2が本体3に引き込まれた状態を示し、下側の図は、洗浄槽2が本体3から引き出された状態を示す。
図10に示すように、物体検出センサ50の物体検出距離は、前方Fへの前方検出距離52で規定される。このときの前方検出距離52は、0mm以上かつ洗浄槽2の最大の引出量程度とすると好ましい。これは、洗浄槽2の最大の引出量まで物体を検出することができれば、洗浄槽2が引き出された際に、物体に接触する可能性が低下するためである。また前方検出距離52は、キッチンの壁などの食器洗浄機1に対向して設けられた物体が検出されないように、洗浄槽2の前後方向の引出範囲と同等である0mm以上500mm以下程度とすると好ましい。これは、キッチンの壁などの対向面が検出されると、以下に説明する自動的に開閉動作をする機能を実行させることができないためである。
一方、物体検出センサ50の上下方向の検出範囲は、上方Uおよび下方Dへ広がりを持った検出範囲であると好ましい。通常、システムキッチン100の平面部103の高さは、80cm~90cm程度である。この場合、食器洗浄機1の排気口10から排出される湯気の高さは、平面部103の高さから平面部103の厚みを差し引いた75cm~85cm程度である。物体検出センサ50は、正面部20に配置された前述の高さよりも低い位置に配置されるため、前方Fに人が立っていればその人の検出が可能である。これは、掴まり立ちできる子供の身長が75cm程度であるためである。
なお、人が、前述の湯気が排出される高さより身長が低い、または座っている状態であれば、湯気は上方へ立ち上るため、湯気がかかることはない。物体検出センサ50における上下方向の検出範囲の高さは、使用者の立つ床面から50cm~150cm程度まで検出すると好ましい。これは、洗浄槽2の上方に大人が顔だけ覗き込んだときなどに不用意に引き出されないようにするためである。立ち上る湯気は50cm以上あれば分散されるため、火傷などの危険性がなくなることが期待できる。
ここで、洗浄槽2が自動的に引き出される動作中に、人が洗浄槽2の前方を横切る等により、物体検出センサ50によって洗浄槽2の前方に物体または人が検出される場合が考えられる。この場合には、洗浄槽2の引き出し動作が一時停止するようにしてもよい。これは、洗浄槽2の引き出し動作中に、洗浄槽2と物体とが接触して物体の損傷または人の怪我を防止するためである。
[洗浄槽2の開閉処理]
図11は、本実施の形態1に係る食器洗浄機による洗浄槽の開閉処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示す開閉処理は、すすぎ工程が終了し、食器洗浄機1の洗浄槽2が本体3に引き込まれた状態、すなわち、洗浄槽2が本体3に収納された状態で行われる。
まず、ステップS1において、すすぎ工程が終了すると、制御装置40の判断部42は、ステップS2において、情報取得部41で取得した物体検出センサ50の検出結果に基づき、食器洗浄機1の洗浄槽2の前方Fに物体が検出されたか否かを判断する。すなわち、ステップS2では、洗浄槽2が本体3に収納された状態で、洗浄槽2が前方Fに引き出されても物体に接触しないかどうかが判断される。洗浄槽2の前方Fに物体が検出されなかった場合(ステップS2:NO)には、処理がステップS3に移行する。一方、洗浄槽2の前方Fに物体が検出された場合(ステップS2:YES)には、処理がステップS5に移行する。
ステップS3において、機器制御部43は、移動部30に対して指令を送り、洗浄槽2を前方Fに引き出す開動作を行う。これにより、すすぎ工程において洗浄槽2内に充満した湯気が外部の室内に排出される。すすぎ工程では、温水によるすすぎが行われるため、洗浄槽2内部の温度は外気よりも高く、湯気は洗浄槽2の開口から上方に排出される。なお、使用者の操作によってセンサスイッチ32aがOFF状態とされている場合には、洗浄槽2の自動的な開動作が行われない。
ステップS4において、機器制御部43は、移動部30に対して指令を送り、洗浄槽2を後方Bに引き込む閉動作を行う。ステップS5において、機器制御部43は、送風ファン37および乾燥ヒータ38を通電させる。これにより、乾燥工程が開始される。
ステップS6において、判断部42は、ステップS3による洗浄槽2に対する開動作が実施済みであるか否かを判断する。洗浄槽2に対する開動作が実施されていないと判断された場合(ステップS6:NO)には、処理がステップS7に移行する。一方、洗浄槽2に対する開動作が実施されたと判断された場合(ステップS6:YES)には、処理がステップS11に移行し、乾燥工程が継続される。
ステップS7において、判断部42は、乾燥工程の経過時間が予め設定された湯気排出時間T1以下であるか否かを判断する。乾燥工程の経過時間が湯気排出時間T1以下でない、すなわち、洗浄槽2内の湯気が外部に排出されたと判断された場合(ステップS7:NO)には、処理がステップS11に移行し、乾燥工程が継続される。これは、乾燥工程開始前に洗浄槽2の開閉動作が行われていない状態であっても、乾燥工程によって洗浄槽2内の湯気が外部に排出されているために、開閉動作を行って洗浄槽2内の湯気を外部に排出する必要がないからである。
一方、乾燥工程の経過時間が湯気排出時間T1以下である、すなわち、洗浄槽2内の湯気が外部に排出されていないと判断された場合(ステップS7:YES)には、処理がステップS8に移行する。このとき、制御装置40は、乾燥工程を一旦停止する。
ステップS8において、判断部42は、情報取得部41で取得した物体検出センサ50の検出結果に基づき、食器洗浄機1の洗浄槽2の前方Fに物体が検出されたか否かを判断する。すなわち、ステップS8では、ステップS2の処理と同様に、洗浄槽2が本体3に収納された状態で、洗浄槽2が前方Fに引き出されても物体に接触しないかどうかが判断される。洗浄槽2の前方Fに物体が検出されなかった場合(ステップS8:NO)には、処理がステップS9に移行する。一方、洗浄槽2の前方Fに物体が検出された場合(ステップS8:YES)には、処理がステップS7に戻る。
ステップS9において、機器制御部43は、ステップS3の処理と同様に、移動部30に対して指令を送り、洗浄槽2を前方Fに引き出す開動作を行う。これにより、洗浄槽2内に残っている湯気が外部の室内に排出される。ステップS10において、機器制御部43は、移動部30に対して指令を送り、洗浄槽2を後方Bに引き込む閉動作を行う。
ステップS12において、判断部42は、乾燥工程の経過時間が予め設定された乾燥時間以下であるか否かを判断する。乾燥工程の経過時間が乾燥時間以下である、すなわち、乾燥工程が乾燥時間を経過していないと判断された場合(ステップS12:YES)には、処理がステップS11に戻り、乾燥工程が継続される。一方、乾燥工程の経過時間が乾燥時間以下でない、すなわち、乾燥工程が乾燥時間を経過したと判断された場合(ステップS12:NO)、制御装置40は、ステップS13において、乾燥工程を終了させる。
このように、洗浄槽2の開閉処理では、すすぎ工程が終了した後、本体3から洗浄槽2が自動的に前方Fに引き出され、その後、洗浄槽2が本体3に自動的に引き込まれる。これにより、温水によるすすぎ工程で発生した洗浄槽2内の飽和水蒸気である湯気が外部に排出され、湿度100%RHの空気と外気とが入れ替えられる。そのため、開閉処理を行わずに乾燥工程を行う場合と比較して、洗浄槽2内の絶対水蒸気量を短時間で大幅に減少させることができる。例えば、洗浄槽2内の温度が60℃から40℃に低下した場合には、飽和水蒸気量が約60%程度低下するため、その分だけ洗浄槽2内の絶対水蒸気量を減少させることができる。
なお、洗浄槽2を自動的に開閉動作させる場合、制御装置40は、洗浄槽2が引き出されている間、送風ファン37を駆動させてもよい。これにより、洗浄槽2内の湯気をより効率的に排出することができ、湯気の排出を促進させることができる。
[変形例1]
次に、本実施の形態1の変形例1に係る食器洗浄機1について説明する。なお、以下では、本実施の形態1と共通する部分に同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図12は、本実施の形態1の変形例1に係る食器洗浄機の外観の一例を示す側面図である。図12に示すように、変形例1に係る食器洗浄機1は、正面部20の上側に操作部32が設けられている。なお、操作部32には、表示部33が設けられてもよい。また、操作部32は、正面部20の上側に限られず、正面部20の他の部分に設けられてもよい。
[変形例2]
次に、本実施の形態1の変形例2に係る食器洗浄機1について説明する。なお、以下では、本実施の形態1および変形例1と共通する部分に同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図13は、本実施の形態1の変形例2に係る食器洗浄機の外観の一例を示す側面図である。図13に示すように、変形例1に係る食器洗浄機1は、変形例1と同様に、正面部20の上側に操作部32が設けられている。また、操作部32には、物体検出センサ50が設けられている。
このように、操作部32に物体検出センサ50が設けられた場合でも、本実施の形態1と同様に、食器洗浄機1の前方Fの物体を検出することができる。また、物体検出センサ50が操作部32に設けられるため、意匠性を損なうことなく物体検出センサ50を設けることができる。
さらに、本実施の形態1では、正面部20が第1意匠面部6および第2意匠面部7に分割されているが、例えば、正面部20が複数の意匠面部に分割されていない場合でも、物体検出センサ50が操作部32に設けられることにより、意匠性を損なうことがない。なお、操作部32には、変形例1と同様に、表示部33が設けられてもよい。
[変形例3]
次に、本実施の形態1の変形例3に係る食器洗浄機1について説明する。なお、以下では、本実施の形態1と共通する部分に同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
変形例3では、乾燥工程の際に、洗浄槽2内の湿度と外気の湿度とに基づき、乾燥工程の終了を判断する。この場合、食器洗浄機1は、洗浄槽2の内部と、洗浄槽2の外部、例えば正面部20などに湿度センサを配置する。これらの湿度センサは、それぞれ周囲の湿度を検出する。
図14は、本実施の形態1の変形例3に係る食器洗浄機による洗浄槽の開閉処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図14に示すフローチャートにおいて、本実施の形態1と共通するステップS1からステップS6、ならびに、ステップS8からステップS13までの処理については、図11に示す本実施の形態1における開閉処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS21において、制御装置40の判断部42は、洗浄槽2の内外にそれぞれ設けられた湿度センサで検出された湿度に基づき、湿度差が予め設定された設定値以上であるか否かを判断する。湿度差が設定値以上でないと判断された場合(ステップS21:NO)には、処理がステップS11に移行し、乾燥工程が継続される。一方、湿度差が設定値以上であると判断された場合(ステップS21:YES)には、乾燥工程を中断して処理がステップS8に移行する。
これは、湿度差が設定値以上でない場合、すなわち湿度差が小さい場合には、洗浄槽2に対して開動作を行っても湯気の排出量が少なく、開動作による効果がないからである。洗浄槽2の開閉動作が未実施であり、乾燥工程が進み、洗浄槽2内部の湿度が低下した場合がこれに該当する。
ステップS8において、判断部42は、情報取得部41で取得した物体検出センサ50の検出結果に基づき、食器洗浄機1の洗浄槽2の前方Fに物体が検出されたか否かを判断する。洗浄槽2の前方Fに物体が検出されなかった場合(ステップS8:NO)には、処理がステップS9に移行する。一方、洗浄槽2の前方Fに物体が検出された場合(ステップS8:YES)には、処理がステップS21に戻る。
なお、すすぎ工程は、予め設定された温度と100%RHの湿度とで行われており、当該工程の際の条件が固定されている。そこで、変形例3では、洗浄槽2外の湿度のみを検出し、固定条件である100%RHの湿度との比較で、開動作の要否を判断してもよい。
以上のように、本実施の形態1に係る食器洗浄機1では、すすぎ工程が終了した際に、洗浄槽2を自動的に引き出す開動作と、洗浄槽2を自動的に引き込む閉動作を順次行うように洗浄槽2の動作が制御される。これにより、洗浄槽2内の湯気が外部に排出され、洗浄槽2内の飽和水蒸気量を減少させて乾燥時間を短縮することができる。そのため、洗浄開始から乾燥終了までの時間を短縮することができる。
食器洗浄機1において、洗浄槽2の開閉動作は、物体検出センサ50の検出結果に基づき制御される。具体的には、食器洗浄機1の前面側に物体が検出されない場合には、洗浄槽2の開動作および閉動作が順次行われ、その後、乾燥工程が行われる。また、食器洗浄機1の前面側に物体が検出された場合には、洗浄槽2の開動作を行わずに乾燥工程が行われる。これにより、食器洗浄機1の前面に人が立っているといった場合に、引き出された洗浄槽2と人との接触を防止することができる。また、洗浄槽2内の湯気が人にかかるのを防止することができる。そのため、使用者が安全に食器洗浄機1を使用することができる。
食器洗浄機1では、乾燥工程が行われている状態で、食器洗浄機1の前面側に物体が検出されない場合に、すすぎ工程が終了した後に洗浄槽2の開閉動作が行われたか否かが判断される。そして、洗浄槽2の開閉動作が行われていると判断された場合には、乾燥工程が継続され、洗浄槽2の開閉動作が行われていないと判断された場合には、洗浄槽2の開動作および閉動作が順次行われる。これにより、洗浄槽2の開閉動作が行われている場合には、洗浄槽2内の湯気がすでに排出されているため、効率的に乾燥工程を行うことができる。
食器洗浄機1では、洗浄槽2の開動作が行われずに乾燥工程が行われている状態で、乾燥工程の経過時間が湯気排出時間T1以下であり、かつ、食器洗浄機1の前面側に物体が検出されない場合には、洗浄槽2の開動作および閉動作が順次行われる。乾燥工程において通常の湯気排出時間T1が経過していない場合には、洗浄槽2内に湯気が残っている可能性がある。そのため、乾燥工程が湯気排出時間T1だけ経過していない場合に洗浄槽2の開閉動作が行われることにより、洗浄槽2内を効率的に乾燥させることができる。
食器洗浄機1では、開動作が行われずに乾燥工程が行われている状態で、洗浄槽2の内外の湿度差が設定値以上である場合に、洗浄槽2の開動作および閉動作が順次行われる。湿度差が大きい場合には、洗浄槽2内に湯気が残っている可能性がある。そのため、洗浄槽2の内外の湿度差が大きい場合に洗浄槽2の開閉動作が行われることにより、洗浄槽2内を効率的に乾燥させることができる。
食器洗浄機1では、開動作において洗浄槽2が本体3から引き出されている場合に、送風ファン37による送風が行われる。これにより、開動作時における洗浄槽2内の湯気が効率的に排出されるため、洗浄槽2内の排出を促進させることができる。
食器洗浄機1では、乾燥工程終了後に、洗浄槽2の開動作および閉動作が行われる。これにより、乾燥工程終了後に洗浄槽2が本体3から引き出されずに洗浄槽2内の温度が低下することによる相対湿度の上昇が抑制されるため、乾燥工程終了後の洗浄槽2内の食器類の結露を防止することができる。
以上、本開示の実施の形態1および変形例1~3について説明したが、本開示は、上述した実施の形態1および変形例1~3に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形または応用が可能である。例えば、上述した開閉処理は、前部が開口した洗浄室を有し、洗浄室の前方に、下部を軸として回動動作で開閉する回動ドアを有する本体を備えた食器洗浄機にも適用することができる。この場合、制御装置40は、物体検出センサ50の検出結果に基づき、回動ドアの開閉を制御する。