以下、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施例における画像形成装置10の概略断面図である。また、図2は、本実施例の画像形成装置10の制御系統のブロック図である。図2に示すように、画像形成装置10は、ホスト機器であるパーソナルコンピュータ200に接続している。パーソナルコンピュータ200による動作開始指令と画像信号は、制御手段としてのコントローラ110に送信され、コントローラ110が各種手段を制御することによって、画像形成装置10において画像形成が実行される。
図1に示すように、本実施例の画像形成装置10は、電子写真方式を利用した、中間転写方式のカラー画像形成装置であり、複数の画像形成手段として、第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するためのものである。これらの4個の画像形成部1a、1b、1c、1dは、一定の間隔をおいて1列に配置されている。なお、本実施例では、第1〜第4の画像形成部1a〜1dの構成は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために図中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、総括的に説明する。
図1に示すように、画像形成部1には、図示矢印R1方向に回転可能であって、トナー像が形成される第1の像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと称する)2が設置されている。感光ドラム2の周囲には、感光ドラム2を帯電する手段としてのドラム帯電ローラ3、現像手段4、及びクリーニング手段6が設置されている。また、感光ドラム2の回転方向に関して、ドラム帯電ローラ3よりも下流側であって且つ現像手段4よりも上流側には、露光手段7(レーザースキャナ)が配置されている。
本実施例における感光ドラム2は、負帯電性のOPC(有機光導電体)感光体であり、アルミニウムのドラム基体上に感光層を有している。感光ドラム2は、駆動装置(不図示)によって図示矢印R1方向(時計回り)に所定の周速度(表面移動速度)で回転駆動される。本実施例では、この感光ドラム2の周速度が、画像形成装置10のプロセススピードに相当する。
ドラム帯電ローラ3は、感光ドラム2に所定の圧接力で接触しており、不図示の電源から所定の電圧を印加されることで、感光ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム2は、ドラム帯電ローラ3により負極性に帯電させられる。
露光手段7は、感光ドラム2の表面を露光することにより、ドラム帯電ローラ3で帯電された感光ドラム2の表面に、画像情報に応じた静電潜像を形成する。即ち、露光手段7において、パーソナルコンピュータ200から入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光がレーザー出力部から出力され、このレーザー光が反射ミラーを介して感光ドラム2の表面に照射される。
本実施例における現像手段4は、現像方式として1成分接触現像方式を用いており、トナー担持体としての現像ローラ8を有する。現像ローラ8に薄層状に担持されたトナーは、駆動源M(図2に図示)によって現像ローラ8が回転駆動されることで、感光ドラム2と現像ローラ8とが対向する対向部(現像部)に搬送される。そして、不図示の現像電源から現像ローラ8に電圧が印加されることにより、露光手段7によって感光ドラム2に形成された静電潜像がトナー像として現像される。なお、本実施例においては、トナーの正規の帯電極性は負極性であり、感光ドラム2の帯電極性と同極性に帯電したトナーを、露光手段7によって形成された静電潜像に対応する位置に付着させる反転現像方式によって感光ドラム2にトナー像を現像している。
また、各現像手段4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。本実施例の画像形成装置10の構成においては、画像形成部1a〜1dの全てを用いて画像形成を行うフルカラー画像形成モードでは、現像手段4a〜4dにおいて全ての現像ローラ8a〜8dを感光ドラム2a〜2dに対して当接させる。一方で画像形成部1dのみを用いて画像形成を行うモノカラー(単色)画像形成モードでは、現像ローラ8dを感光ドラム2dに当接させ、現像ローラ8a〜8cは感光ドラム2a〜2cに対して離間させる。これは、画像形成を行わない画像形成部1a〜1cにおける現像ローラ8a〜8c及びトナーの劣化、消耗を防止するためである。
各画像形成部1の感光ドラム2と対向する位置には、移動可能な無端状の中間転写体である中間転写ベルト20が設けられている。中間転写ベルト20は、複数の支持部材としての駆動ローラ21、張架ローラ22、対向ローラ23に張架されている。駆動ローラ21が図示矢印R2方向に回転駆動されることによって、中間転写ベルト20は、駆動ローラ21から伝達される駆動力を受けて、図示矢印R3方向に、感光ドラム2の周速度と略等速、即ち、所定プロセススピードにて周回移動(回転)する。なお、駆動ローラ21、張架ローラ22、対向ローラ23はアースに接続されている。
中間転写ベルト20の内周面には、各画像形成部1の各感光ドラム2に対応して、1次転写部材(接触部材)としての1次転写ローラ5a〜5dがそれぞれ配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト20の内周面に接触して中間転写ベルト20の移動に従動して回転する。また、1次転写ローラ5は、中間転写ベルト20を感光ドラム2に対して付勢することにより中間転写ベルト20と感光ドラム2とが接触する位置に1次転写部N1(接触部)を形成する。さらに、1次転写ローラ5には、1次転写電源40が接続されており、1次転写電源40は正極性または負極性の電圧を1次転写ローラ5に印加することが可能である。画像形成時においては、1次転写電源40から1次転写ローラ5にトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例においては正極性)の電圧を印加することによって、感光ドラム2に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に1次転写している。
中間転写ベルト20の外周面側には、対向ローラ23に対向して2次転写部材としての2次転写ローラ24が配置されており、2次転写ローラ24と中間転写ベルト20とが接触する位置に2次転写部N2が形成されている。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト20、若しくは、2次転写部N2に搬送される転写材Pの移動に従動して回転する。また、2次転写ローラ24には2次転写電源44が接続されており、2次転写電源44は正極性または負極性の電圧を2次転写ローラ24に印加することが可能である。画像形成時においては、2次転写電源44から2次転写ローラ24にトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例においては正極性)の電圧を印加することによって、中間転写ベルト20から転写材Pにトナー像を2次転写している。
本実施例では、トナー像を担持する第2の像担持体としての中間転写ベルト20として、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂を用いた。中間転写ベルト20の表面抵抗率は5.0×1010Ω/□であり、体積抵抗率は8.0×1010Ωcmである。なお、抵抗率の測定には、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP及び測定電極としてハイレスタUP専用プローブURSプローブを用い、印加電圧100Vで測定した。
中間転写ベルト20としては、弗化ビニリデン樹脂(PVDF)、四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなどの樹脂を無端ベルト状に構成したものを用いることができる。或いは、中間転写ベルト20としては、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのゴム基層の上に、例えばウレタンゴムにPTFEなど弗素樹脂を分散したものを被覆して無端ベルト状に構成したものを用いることができる。
1次転写ローラ5は、例えばスポンジゴムなどの弾性部材で構成される。本実施例では1次転写ローラ5として、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒上に、NBRヒドリンゴムを肉厚4mmで被覆したものを用いた。1次転写ローラ5の電気抵抗値は、1次転写ローラをアルミシリンダ上に、9.8Nの力で押圧し、50mm/secで回転させた状態で100Vを印加した場合において1.0×105Ωである。
なお、画像形成装置10は、1次転写ローラ5a、5b、5c、5dを、中間転写ベルト20を介して感光ドラム2に当接、又は離間させる手段(不図示)を有する。そして、制御手段110は、フルカラー画像形成モード(以下、フルカラーモードと称する)と、モノカラー画像形成モード(以下、モノクロモードと称する)のいずれかを選択して画像形成を行うことが可能である。図3(a)は、本実施例のフルカラーモード(第1のモード)について説明する模式図であり、図3(b)は、本実施例のモノクロモード(第2のモード)について説明する模式図である。
図3(a)に示すように、フルカラーモードでは、不図示の当接離間機構によって1次転写ローラ5a〜5dを感光ドラム2a〜2dに向けて押圧し、各画像形成部1a〜1dにおいて1次転写部N1a〜N1dを形成して画像形成を行う。一方で、モノクロモードでは、図3(b)に示すように、不図示の当接離間機構によって1次転写ローラ5dのみを感光ドラム2dに向けて押圧し、ブラックのトナーを収容する画像形成部1dのみにおいて1次転写部N1dを形成して画像形成を行う。
モノクロモードでは、図3(b)に示すように、不図示の当接離間機構によって1次転写ローラ5a〜5dを感光ドラム2a〜2cに向けて押圧する状態が解除される。その結果、感光ドラム2a〜2cが中間転写ベルト20から離間されることで1次転写部N1a〜N1cが形成されない状態となる。即ち、モノクロモードによって画像形成を行う時には、各画像形成部1a〜1cにおいて各部材の駆動を停止することができる。このような構成とすることにより、不要な動作を抑え、各画像形成部1a〜1cの寿命の長期化を図ることができる。
感光ドラム2と中間転写ベルト20を当接又は離間させる機構に関しては、例えば、バネなどの付勢手段によって、中間転写ベルト20を介して1次転写ローラ5を感光ドラム2に向かって押圧する構成が考えられる。このような構成においては、バネによる付勢状態を解除することで1次転写ローラ5と中間転写ベルト20を感光ドラム2から離間させることが可能である。
2次転写ローラ24は、例えば、スポンジゴムなどの弾性部材で構成される。本実施例では2次転写ローラ24として、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒上に、NBRヒドリンゴムを肉厚6mmで被覆したものを用いた。2次転写ローラ24の電気抵抗値は、2次転写ローラ24をアルミシリンダ上に、9.8Nの力で押圧し、50mm/secで回転させた状態で1000Vを印加した場合において3.0×107Ωである。
中間転写ベルト20の移動方向に関して、2次転写部N2よりも下流側であって、最上流に設けられた画像形成部1aよりも上流側には、中間転写ベルト20に残留したトナーを帯電する帯電手段としての導電ブラシ31が設けられている。導電ブラシ31の構成、及び動作の詳細については後述する。
転写材Pの搬送方向に関して、2次転写部N2よりも上流側には、レジストローラ13と、搬送ローラ15と、給送ローラ14と、転写材Pを収容する収容部としての給紙カセット16と、が設けられている。給紙カセット16に収容された転写材Pは、給送ローラ14の回転によって搬送ローラ15に向けて給送された後に、搬送ローラ15とレジストローラ13によって2次転写部N2に向けて搬送される。
また、転写材Pの搬送方向に関して、2次転写部N2よりも下流側には、熱源を備えた定着ローラ12Aと、定着ローラ12Aに対して所定の圧力で当接する加圧ローラ12Bと、を有する定着手段12が設けられている。
[画像形成動作]
次に、本実施例の画像形成装置10による画像形成動作について、フルカラー画像形成モードを例として説明する。
先ず、画像形成動作の開始信号が発せられると、感光ドラム2は、所定の周速度で図示矢印R1方向に回転駆動され、回転過程でドラム帯電ローラ3に帯電されることによって表面に一様な電位を形成される。そして、感光ドラム2は、回転過程で露光手段7によって表面に静電潜像が形成された後に、現像手段4に収容されたトナーによって静電潜像が現像されることで、感光ドラム2の表面に画像情報に応じたトナー像が形成される。なお、本実施例においては、現像方式として、トナーを担持する現像ローラ8を感光ドラム2に接触させて静電潜像の現像を行う接触現像方式を用いたが、これに限らず、非接触現像方式を用いても良い。また、本実施例においては、反転現像方式を用いて静電潜像の現像を行ったが、これに限らず、感光ドラム2の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーにより静電潜像を正現像する画像形成装置にも本発明を適用できる。
感光ドラム2に現像されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写電源40から1次転写ローラ5にトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧を印加することによって、感光ドラム2から中間転写ベルト20に1次転写される。このようにして、各1次転写部N1において、各色のトナー像が中間転写ベルト20に順次重ね合わせて1次転写され、中間転写ベルト20には複数色のトナー像から成る多重トナー像が形成される。
レジストローラ13は、中間転写ベルト20に1次転写された複数色のトナー像の先端が2次転写部N2に到達するタイミングに合わせて、2次転写部N2に転写材Pを搬送する。そして、2次転写電源44からトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧を2次転写ローラ24に印加することにより、2次転写部N2において、中間転写ベルト20から転写材Pに複数色のトナー像が一括して2次転写される。
その後、複数色のトナー像を2次転写された転写材Pは定着手段12に搬送され、定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bとによって加熱及び加圧されることにより複数色のトナーが溶融混色して転写材Pに定着される。そして、複数色のトナー像が定着された転写材Pが画像形成装置10の外部に排出されて、一連の画像形成動作が終了する。
1次転写後に感光ドラム2に残留したトナーは、ウレタンゴム等の弾性体で形成された当接部材としてのクリーニングブレード61によって感光ドラム2から除去され、トナーを回収する回収手段としてのクリーニング手段6に回収される。
また、転写材Pに2次転写されずに中間転写ベルト20に残ったトナー(以下、転写残トナーと称する)は、中間転写ベルト20とともに移動し、導電ブラシ31によって帯電される。その後、転写残トナーは、中間転写ベルト20とともに移動し、1次転写部N1を通過する際に感光ドラム2と中間転写ベルト20との間の電位差によって中間転写ベルト20から感光ドラム2に静電的に移動し、クリーニング手段6により回収される。
[転写残トナーの回収動作]
本実施例における、フルカラーモードでの転写残トナーの回収動作について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、本実施例における導電ブラシ31の周辺構成を説明する模式図である。図4に示すように、導電ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向に関して、2次転写部N2よりも下流側であって、1次転写部N1aよりも上流側に配置されており、中間転写ベルト20に接触して帯電部Cを形成している。
導電ブラシ31は、材料に導電性を付与したナイロンを使用したブラシ部材であり、繊度は7dtex、パイル長さは5mm、密度は70KF/inch2、ブラシ幅(中間転写ベルト20の回転方向から見たときの幅)は5mmである。導電ブラシ31の電気抵抗値は、導電ブラシ31をアルミシリンダに対して9.8Nの力で押圧し、50mm/secで回転させた状態で500[V]の電圧を印加した場合において1.0×106Ωである。
図4に示すように、導電ブラシ31は、電流検知手段71を介して帯電電源51に電気的に接続されており、帯電電源51は、正極性又は負極性の電圧を導電ブラシ31に印加することが可能である。転写残トナーの回収動作を実行する場合、導電ブラシ31には、帯電電源51から正極性の電圧が印加される。帯電電源51から出力される電圧の出力値は、電流検知手段71が検出した電流の値に基づいて、コントローラ110によって予め設定した目標電流値になるように制御(定電流制御)される。目標電流値は、画像形成装置10の設計や環境に応じて、転写残トナーを過剰に帯電させることなく、且つ、転写残トナーの帯電不足によるクリーニング不良を生じさせないように適宜設定される。本実施例においては、導電ブラシ31の目標電流値を20μAに設定した。
2次転写部N2を通過する前に中間転写ベルト20に担持されているトナーは、感光ドラム2の表面の帯電電荷と同極性の負極性で、且つ、電荷の分布のばらつきが小さい状態で帯電している。一方、2次転写部N2を通過した後の転写残トナーは、電荷の分布がブロードになった上に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性側にピークが移動した分布を有する傾向にある。即ち、転写残トナーは、負極性に帯電したもの、殆ど帯電されていないもの、及び正極性に帯電したもの、が混在した状態となっている。
本実施例における転写残トナーの回収動作では、帯電電源51から導電ブラシ31に正極性の電圧を印加することによって、導電ブラシ31と中間転写ベルト20とが接触する位置を通過する転写残トナーを正極性に帯電する。この時、転写残トナーのうち負極性に帯電した一部のトナーは、正極性の電圧を印加された導電ブラシ31に静電的に回収される。
導電ブラシ31によって正極性に帯電させられたトナーは、中間転写ベルト20の移動に伴い最上流に配置される画像形成部1aの1次転写部N1aに到達する。この時、1次転写ローラ5aに正極性の電圧を印加することによって、正極性に帯電された転写残トナーを中間転写ベルト20から感光ドラム2aに静電的に移動させる。その後、感光ドラム2aに移動した転写残トナーは感光ドラム2aの回転に伴って移動し、クリーニングブレード61aによってクリーニング手段6aに回収される。以上の動作により、中間転写ベルト20から転写残トナーが除去される。
フルカラーモードにおいては、このようにして中間転写ベルト20から転写残トナーがクリーニングされる。なお、フルカラーモードにおいては、画像形成部1aで回収されなかった転写残トナーに関しては、画像形成部1b〜1dで同様に回収される。
一方、図3(b)に示すように、モノクロモードでは、導電ブラシ31によって正極性に帯電されたトナーは、中間転写ベルト20の移動に伴って、各画像形成部1a〜1cと中間転写ベルト20とが対向する位置を通過し、1次転写部N1dに到達する。このとき、1次転写電源40dから1次転写ローラ5dに正極性の電圧を印加することによって、正極性に帯電された転写残トナーを中間転写ベルト20から感光ドラム2dに静電的に移動させる。その後、感光ドラム2dに移動した転写残トナーは感光ドラム2dの回転に伴って移動し、クリーニングブレード61dによってクリーニング手段6dに回収される。モノクロモードでは、このようにして中間転写ベルト20から転写残トナーがクリーニングされる。
[吐き出し工程]
転写残トナーの回収動作を繰り返されると、導電ブラシ31に付着する負極性のトナーが増加した場合に、導電ブラシ31による転写残トナーの帯電性能が低下してしまうおそれがある。そこで、本実施例の構成においては、導電ブラシ31にトナーが溜まることによる導電ブラシ31の帯電性能の低下を抑制するために、画像形成時以外の所定のタイミングで導電ブラシ31に付着したトナーを中間転写ベルト20に吐き出す動作を実行している。
具体的には、画像形成動作が終了した後の非画像形成時に、トナーの正規の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の電圧を導電ブラシ31に印加することで、導電ブラシ31に付着した負極性のトナーを中間転写ベルト20に移動させている。導電ブラシ31から中間転写ベルト20に静電的に移動した負極性のトナー(以下、吐き出しトナー)は、中間転写ベルト20の移動に伴い1次転写部N1に到達する。この時、1次転写電源40から1次転写ローラ5に負極性の電圧を印加することで、導電ブラシ31から中間転写ベルト20に移動した吐き出しトナーが中間転写ベルト20から感光ドラム2に静電的に移動する。そして、感光ドラム2に移動した吐き出しトナーは、感光ドラム2の回転に伴って移動し、クリーニングブレード61によってクリーニング手段6に回収される。以上の動作により、導電ブラシ31に付着した負極性のトナーの吐き出し工程が実行される。
このように、本実施例においては、吐き出し工程を所定のタイミングで実施することにより、導電ブラシ31に溜め込まれた負極性のトナーの吐き出しを行い、良好なクリーニング性能の維持を図っている。なお、吐き出し工程の実施によって中間転写ベルト20に吐き出されたトナーは、画像形成部1a〜1dのうち、少なくとも一つの画像形成部の感光ドラムで回収すればよい。
以下、本実施例のフルカラーモードにおける吐き出し工程と、モノクロモードにおける吐き出し工程について、図5(a)、(b)を用いてより詳細に説明する。図5(a)は、本実施例のフルカラーモードにおける吐き出し工程について説明する模式図であり、図5(b)は、本実施例のモノクロモードにおける吐き出し工程について説明する模式図である。
図5(a)に示されるようにフルカラーモードにおける吐き出し工程においては、導電ブラシ31、1次転写ローラ5aと5d、及び2次転写ローラ24に負極性の電圧を印加している。即ち、本実施例では導電ブラシ31から吐き出された負極性のトナーを、画像形成部1aと1dで回収している。吐き出しトナーの大半は、中間転写ベルト20の回転方向において上流側に配置された画像形成部1aで回収されるものの、吐き出しトナーの量が多く、画像形成部1aで回収されなかった場合には、下流の画像形成部1dでも回収される。このように、フルカラーモードにおいては、画像形成部1aと1dの2つの画像形成部で吐き出されたトナーの回収を行っている。
なお、1次転写ローラ5bと5cに正極性の電圧を印加している理由は、中間転写ベルト20上に存在する微量の正極性トナーを感光ドラム2bと2cに逆転写してクリーニングするためである。
また、吐き出し工程において、2次転写ローラ24に負極性の電圧を印加している理由は、仮に画像形成部1aと1dで全ての負極性トナーを回収できなかった場合に、負極性トナーが2次転写ローラ24に付着することを防止するためである。これにより、吐き出し工程を実施した後に2次転写部N2に搬送される転写材Pが、2次転写ローラ24に付着したトナーによって汚れることを抑制することが可能である。
ここで、本実施例においては、中間転写ベルト20の移動方向に関して、最上流の画像形成部1aと最下流の画像形成部1dにおいて吐き出しトナーを回収する構成について説明した。しかし、フルカラーモードにおいては画像形成部1a〜1dの4つ全ての画像形成部で1次転写部N1a〜N1dが形成されている。したがって、いずれの画像形成部1a〜1dにおいても吐き出しトナーの回収を行うことが可能であり、その組み合わせは適宜自由に設定して良い。
一方、図5(b)に示されるようにモノクロモードにおける吐き出し工程では、導電ブラシ31、1次転写ローラ5d、及び2次転写ローラ24に負極性の電圧を印加している。モノクロモードでは、感光ドラム2dに当接している1次転写ローラは5dのみなので、導電ブラシ31から吐き出された吐き出しトナーを画像形成部1dのみで回収している。このようにモノクロモードでは、フルカラーモードに比べ吐き出しトナーを回収する画像形成部が少なく、フルカラーモードと比べると吐き出しトナーの回収効率が低くなる傾向にある。
[吐き出し工程の実施条件]
次に、本実施例における吐き出し工程を実施する条件について説明する。本実施例では、中間転写ベルト20から転写材Pにトナー像を2次転写することによって転写材Pに画像形成を行う際(以下、単に画像形成時と称する)に導電ブラシ31に付着するトナー量を予測する。そして、導電ブラシ31に付着するトナー量が所定の閾値を超えた場合に、導電ブラシ31の帯電性能が低下すると判断し、吐き出し工程を実施する。
まずは、導電ブラシ31に付着しているトナー量の予測方法について説明する。本実施例では、転写材Pに形成する画像(以下、プリント画像と称する)の平均印字率を画像が形成された転写材Pの枚数毎に積算することで、導電ブラシ31に付着しているトナーの量を予測する。プリント画像の平均印字率が高い画像ほど、転写残トナー量が多くなり、導電ブラシ31に付着するトナーの量も多くなる。そこで、本実施例においては、コントローラ110によってプリント画像の平均印字率を画像が形成された転写材Pの枚数毎に積算することで、導電ブラシ31に到達する転写残トナーの総量を推定し、導電ブラシ31に付着するトナー量を予測する。
ここで、プリント画像の平均印字率は、以下のように算出する。まず、パーソナルコンピュータ200からコントローラ110に入力された画像情報を、コントローラ110において、画像形成部1a〜1d毎に時系列のカラー画像信号に色分解する。次に各画像形成部1で、全画像画素数に対して、露光手段7で発光した画素数(つまり画像を形成した画素数)の割合を算出し、各画像形成部1における印字率をそれぞれ算出する。そして、各画像形成部1の印字率を平均化することで、プリント画像の平均印字率を算出する。なお、モノクロモードにおいては、第4の画像形成部の印字率を4で割った値を平均印字率としている。
表1は、本実施例における、プリント画像の平均印字率の積算方法を説明する表である。表1に示すように、本実施例においては、プリント画像の平均印字率に基づき、1ページ毎にカウントを加算し、カウントによる積算値(以下、単にカウント値と称する)をもとに導電ブラシ31に付着しているトナー量を予測する。すなわち、カウント値が大きい程、導電ブラシ31に付着しているトナー量が多いことを示している。例えば、平均印字率7.5%の画像を10形成した場合には、1ページ当たり+2のカウントが加算されるため、カウント値は20となる。
なお、吐き出し工程を実施した場合には、導電ブラシ31から中間転写ベルト20にトナーが吐き出され、導電ブラシ31に付着しているトナー量が減少する。そこで、吐き出し工程を実施した際にはカウント値を減算する。本実施例では、フルカラーモードにおいて吐き出し工程を実施した場合はカウント値を100減算し、モノクロモードにおいて吐き出し工程を実施した場合はカウント値を50減算するように設定している。
なお、フルカラーモードに対してモノクロモードにおける減算量が小さい理由は、前述のように、モノクロモードでは、吐き出しトナーを回収する画像形成部が1dのみであり、フルカラーモードと比較すると、吐き出しトナーの回収効率が低くなるためである。吐き出し工程において、吐き出しトナーの量が多い場合、モノクロモードでは一部のトナーが画像形成部1dで回収されず、中間転写ベルト20上に残存する。中間転写ベルト20上に残存したトナーは、吐き出し工程後の画像形成時において、中間転写ベルト20の回転に伴い、再度導電ブラシ31に回収される。すなわち、導電ブラシ31から吐き出されたトナーの一部が再び導電ブラシ31に回収されるため、吐き出し工程における導電ブラシ31に溜まったトナーの減少量が小さくなる。したがって、本実施例ではモノクロモードのカウント減算量をフルカラーモードのカウント減算量よりも小さい値に設定している。
以上のように、本実施例では、上記のカウント値を用いることで、導電ブラシ31に付着しているトナー量を予測する。そして、コントローラ110は、画像形成時にカウント値を逐次参照し、予め設定された閾値と比較する。カウント値が閾値を超えた場合には、導電ブラシ31に付着しているトナー量が許容量を超え、帯電性能が低下すると判断し、画像形成時に紙間を延長し、吐き出し工程を実施する。
本実施例において、閾値は、フルカラーモードとモノクロモードにおいて異なり、フルカラーモードにおける閾値Xfc(第1の閾値)を200、モノクロモードにおける閾値Xmc(第3の閾値)を150としている。フルカラーモードの閾値Xfcよりも、モノクロモードの閾値Xmcを小さい値に設定している理由は以下の通りである。
図3(a)と(b)に示されるように、フルカラーモードでは導電ブラシ31によって正極性に帯電された転写残トナーを回収する画像形成部は1a〜1dの4つであるのに対し、モノクロモードでは1dの1つのみである。即ち、転写残トナーの回収時においても、フルカラーモードと比べるとモノクロモードにおける転写残トナーの回収効率は低くなる傾向にある。転写残トナーが回収しきらずに中間転写ベルト20に残留してしまうと、転写残トナーが残留している位置にプリント画像に対応したトナー像が1次転写された場合に、画像不良が発生してしまう。即ち、導電ブラシ31の帯電性能が同じでも、モノクロモードではフルカラーモードよりも、転写残トナーに起因した画像不良が発生しやすい傾向にある。
以上の理由から、フルカラーモードに対しモノクロモードでは、導電ブラシ31の帯電性能を、より高く保つ必要がある。したがって、本実施例ではフルカラーモードの閾値Xfcよりも、モノクロモードの閾値Xmcを小さい値に設定し、導電ブラシ31の帯電性能をより高く保つ構成としている。
その結果、本実施例では、平均印字率が同じプリント画像を形成する際、フルカラーモードとモノクロモードとでは、吐き出し工程を実施する転写材Pのページ数が異なり、モノクロモードのほうが少ないページ数で吐き出し工程を実施する。例えば平均印字率7.5%の画像を連続画像形成する場合、フルカラーモードでは100ページで吐き出し工程を実施するのに対し、モノクロモードでは75ページで吐き出し工程を実施する。
[フルカラーモードからモノクロモードへ切り替える際の吐き出し工程]
次に、本実施例の特徴である、フルカラーモードからモノクロモードへの切り替え(フルモノ切り替え)を実施する際の吐き出し工程について説明する。フルカラー画像を画像形成した後にモノクロモード画像を画像形成する場合、図3(a)の状態から図3(b)の状態へと1次転写ローラの当接状態が切り替わる。
本実施例では、コントローラ110によって、上記フルモノ切り替えを実施する直前にカウント値を参照する。そして、カウント値が閾値Xch(第2の閾値)以上である場合、モノクロモードの状態へと移行する前にフルカラーモードの状態で吐き出し工程を実施する。なお、閾値Xchはフルカラーモードにおける閾値Xfcよりも低い値に設定され、本実施例では閾値Xchを100としている。
即ち、本実施例では平均印字率が同じ画像を画像形成する際、フルカラーモードのみで連続して画像形成する場合に比べ、途中でフルモノ切り替えを実施する場合のほうが、より少ないページ数で吐き出し工程を実施する。例えば、平均印字率7.5%の画像を連続画像形成する際、フルカラーモードのみで連続して画像形成を行う場合は、吐き出し工程を実施するページ数は100ページである。それに対し、50ページ以降にフルモノ切り替えを実施する場合、フルモノ切り替えを実施する前に吐き出し工程を実施する。例えば、75ページでフルモノ切り替えを実施する場合、75ページで吐き出し工程を実施する。
このように、フルモノ切り替え時にフルカラーモードで吐き出し工程を実施してからモノクロモードの状態へと移行する理由は、画像形成ジョブ全体での吐き出し工程の実施回数を減らし、画像形成の待機時間を抑制することにある。図6を用いて詳細に説明する。図6(a)は、比較例1における画像形成時のカウント値の推移を示したグラフであり、図6(b)は、本実施例における画像形成時のカウント値の推移を示したグラフである。ここで、比較例1は、フルモノ切り替え前に吐き出し工程を実施しない構成である。また、比較例1は、本実施例に対して、フルモノ切り替え前に吐き出し工程を実施しない点を除いてその他の構成は本実施例と共通する部分が多い。したがって、以下の説明において、比較例1と本実施例とが共通する構成に関しては、本実施例と同一の符号を付して説明を省略する。
図6(a)〜(b)では、まずフルカラーモードで画像形成した後、フルモノ切り替えを実施し、その後モノクロモードで画像形成を行う場合のカウント推移を示している。フルカラーモードでは平均印字率15%の画像を33ページ形成しており、その後のモノクロモードでは、平均印字率7.5%(ブラックの印字率30%)の画像を30ページ画像形成している。
まず、比較例1におけるカウント値の推移について図6(a)を用いて説明する。図6(a)に示すように、比較例1においては、フルカラーモードでは平均印字率15%の画像を画像形成しており、1ページ当たり+5のカウントが加算されるため、33ページで計165カウント加算される。その後、フルモノ切り替えを実施し、モノクロモードへと移行すると、カウント値165がモノクロモードにおけるカウント閾値Xmcの150を超えているため、吐き出し工程を実施する。モノクロモードで吐き出し工程を実施すると、カウント値が50減算されるため、カウント値は115となる。
そして、比較例1においては、吐き出し工程終了後、さらに、モノクロモードで平均印字率7.5%(ブラックの印字率30%)の画像を30ページ画像形成する。平均印字率7.5%の画像では、1ページ当たり+2のカウントが加算されるため、18ページ画像形成するとカウント値は閾値Xmcの150を再び超える。そのため、再度吐き出し工程を実施することになり、比較例1では今回の画像形成ジョブにおいて計2回の吐き出し工程を実施する構成となる。
次に、本実施例におけるカウント値の推移について図6(b)を用いて説明する。図6(b)に示すように、フルカラーモードでは平均印字率15%の画像を画像形成しており、1ページ当たり+5のカウントが加算されるため、33ページで計165のカウントが加算される。その後、フルモノ切り替えを実施しようとするが、カウント値が閾値Xch以上であるため、フルモノ切り替えを実施する前にフルカラーモードで吐き出し工程を実施する。フルカラーモードで吐き出し工程を実施すると、カウント値が100減算されるため、カウント値は65となる。
本実施例においては、その後、フルモノ切り替えを実施して、モノクロモードで平均印字率7.5%(ブラックの印字率30%)の画像をさらに30ページ形成する。平均印字率7.5%の画像では、1ページ当たり+2のカウントが加算され、30ページで計60のカウントが加算されるが、カウント値は閾値Xmcの150を超えない。したがって、本実施例では、今回の画像形成ジョブにおいて計1回の吐き出し工程を実施する構成となる。
モノクロモードにおいて吐き出し工程に要する時間Tmと、フルカラーモードにおいて吐き出し工程に要する時間Tfは、共に導電ブラシ31から吐き出されたトナーが第4の画像形成部に到達するまでに要する時間が律速である。したがって、TmとTfに差は無く、本実施例及び比較例1において共に4.0secである。すなわち、単純に吐き出し工程の実施回数が少ない本実施例のほうが、比較例1に対し画像形成ジョブ中の待機時間を短くすることができる。
このように、本実施例ではフルモノ切り替えを実施する際に、カウント値が閾値Xch以上である場合は、吐き出しトナーの回収効率が高いフルカラーモードで吐き出し工程を実施してからフルモノ切り替えを行う。その結果、吐き出し工程の実施頻度を下げ、画像形成の待機時間を低減することが可能となる。
[待機時間の測定結果]
次に、比較例1と本実施例とにおける待機時間を比較した実験結果について説明する。本実験では、フルカラーモードとモノクロモードを交互に繰り返すような画像形成ジョブにおいて、吐き出し工程を実施することに伴う待機時間を測定し、比較例1と本実施例とで待機時間を比較した。
画像形成ジョブとしては、フルカラーモードで平均印字率15%の画像を33ページ画像形成し、その後モノクロモードで平均印字率7.5%(ブラックの印字率30%)の画像を30ページ画像形成する。さらに続けて、フルカラーモードで平均印字率15%の画像を33ページ画像形成し、その後モノクロモードで平均印字率7.5%(ブラックの印字率30%)の画像を20ページ画像形成する。
本実験を実施した画像形成装置10のプロセススピードは180mm/sec、スループットは1分間に30枚である。また、転写材PにはGF−C081(キヤノン製、商品名)を用い、画像形成モードとしては普通紙モードを選択した。表2は、比較例1と本実施例における吐き出し工程の実施回数と、画像形成ジョブ中の待機時間を示す表である。
表2に示されるように、フルモノ切り替えを実施する前に吐き出し工程を実施しない比較例1では、吐き出しトナーの回収効率が低いモノクロモードでの吐き出し工程の実施回数が多く、画像形成ジョブ全体での吐き出し工程の実施回数は計5回であった。その結果、画像形成ジョブ全体での待機時間は20secとなった。
それに対し、本実施例ではフルモノ切り替えを実施する前にカウント値を参照し、カウント値が閾値Xch以上である場合は、フルカラーモードで吐き出し工程を実施する。そのため、吐き出しトナーの回収効率が高いフルカラーモードでの吐き出し工程の実施回数が多くなり、画像形成ジョブ全体での吐き出し工程の実施回数は計3回であった。その結果、本実施例における画像形成ジョブ全体での待機時間は12secとなり、比較例1に比べ待機時間が短い結果となった。
以上、説明したように、本実施例では、フルモノ切り替えを実施する前にカウント値を参照し、カウント値が閾値Xch以上である場合にはフルカラーモードで吐き出し工程を実施する。この構成により、画像形成ジョブ中の吐き出し工程の実施回数を低減し、待機時間を削減することが可能となる。
なお、本実施例において、フルモノ切り替えを実施する前に吐き出し工程を実施するか否かを判断するカウント値の閾値Xchを100としているが、これに限定されるものではない。閾値Xchは、フルカラーモードにおける閾値Xfcよりも小さい値であれば良く、例えばモノクロモードにおける閾値Xmcと同じ値としても良い。
<変形例>
また、本実施例では、転写残トナーを帯電する帯電部材として導電ブラシ31のみを設ける構成について説明したが、これに限らない。例えば、本実施例の変形例として、図7に示されるように、より高い帯電性能を得るために、中間転写ベルト20の移動方向に関して導電ブラシ31の下流側に、帯電電源52から正極性の電圧を印加される帯電ローラ32(導電部材)を設けても良い。帯電ローラ32としては、例えば、ニッケルメッキ鋼棒上に、カーボンが分散されたEPDMゴムからなるソリッド弾性体を被覆したもの等を用いることが可能である。
検知手段72は、帯電ローラ32に流れる電流を検知するためのものであり、検知手段72で検知する電流値が一定になるように帯電電源52からの出力電圧を制御することで、導電ブラシ31を通過した転写残トナーを一様に正極性に帯電する。このように、帯電ローラ32を設けることで、転写残トナーを帯電する帯電性能をより高めることが可能となる。
また、図7の構成においては導電ブラシ31と帯電ローラ32にそれぞれ別の帯電電源51,52から電圧を印加する構成としたが、共通の帯電電源を用いて電圧を印加する構成としても良い。
なお、図7に示される変形例において吐き出し工程を実施する場合には、導電ブラシ31だけでなく帯電ローラ32にも負極性のトナーを印加する構成としても良い。このような構成とすることで、導電ブラシ31から吐き出された負極性のトナーが帯電ローラ32に付着するのを防止すると共に、帯電ローラに付着していた負極性のトナーを中間転写ベルト20上へと吐き出すことが可能である。
本実施例においては、閾値Xchとして、予めコントローラ110に格納された所定の閾値を用いたが、これに限らない。例えば、閾値Xchを固定値ではなく、コントローラ110が取得した画像形成の予約情報(以下、単に予約情報と称する)に基づいて設定する構成としても良い。より詳細には、例えば、画像形成の予約情報としてフルモノ切り替え後のモノクロモードで画像形成する枚数、及び平均印字率を事前に取得し、取得した予約情報に基づき閾値Xchを設定する構成としても良い。このように設定することによって、より適切なタイミングで吐き出し工程を実施することが可能であり、各画像形成条件下における待機時間の低減効果をより向上させることが可能である。
本実施例においては、フルカラーモードからモノクロモードに切り替える際に、カウント値が閾値Xch以上である場合に、吐き出しトナーを回収する画像形成部がより多いフルカラーモードにおいて吐き出し工程を実施する構成について説明した。しかし、これに限らず、モノクロモードからフルカラーモードへの切り替え(モノフル切り替え)時間が著しく短い場合には、吐き出し工程を全てフルカラーモードで実施しても良い。即ち、モノクロモードで画像形成時にカウント値がXmcを超えた場合、モノフル切り替えしてフルカラーモードで吐き出し工程を実施した後、再度フルモノ切り替えし、モノクロモードで画像形成を再開するようにしても良い。このように、吐き出しトナーの回収効率が高いフルカラーモードで吐き出し工程を実施することで、画像形成ジョブ全体の待機時間を短縮することが可能となる。