以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
実施例1
(1)画像形成装置の全体構成
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置10は、中間転写方式、インライン方式を採用した電子写真方式のフルカラープリンタである。
画像形成装置10は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒色)の各色の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部1a、1b、1c、1dの4つの画像形成部(ステーション)を備えている。これらの4つの画像形成部1a〜1dは、一定の間隔をおいて一列に配置されている。
尚、本実施例では、各画像形成部1a〜1dの構成及び動作は、使用するトナーの色を除いて共通する部分が多い。従って、以下の説明において、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために図中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して総括的に説明する。
画像形成部1には、像担持体としての円筒型の感光体、即ち、感光ドラム2が設けられている。感光ドラム2の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置4、1次転写部材としての1次転写ローラ5、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が設けられている。又、帯電ローラ3と現像装置4との間の図中上方には、露光手段としての露光装置7が設けられている。又、全ての画像形成部1a〜1dの感光ドラム2a〜2dに対向するように、中間転写体としての無端ベルト状の回転部材である中間転写ベルト20が配置されている。
各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。本実施例では、いずれの色のトナーも、粒径が7μm、正規の帯電極性が負極性のトナーである。
感光ドラム2は、本実施例では負帯電性の有機感光体である。この感光ドラム2は、アルミニウムのドラム型の基体上に感光層を有しており、駆動装置(図示せず)によって図中矢印R1方向(時計方向)に所定のプロセススピード(PS)で回転駆動される。本実施例では、プロセススピードは、感光ドラム2の周速度(表面移動速度)に相当する。
帯電ローラ3は、感光ドラム2に所定の圧接力で接触しており、1次帯電電圧供給手段としての1次帯電バイアス電源(図示せず)によって、所望の帯電バイアスを印加され、感光ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム2は帯電ローラ3により負極性に帯電される。
露光装置7は、本実施例では、レーザスキャナ装置であり、画像情報に対応したレーザ光を出力し、感光ドラム2の表面を走査露光する。これにより、感光ドラム2の表面に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
現像装置4は、本実施例では、現像方式として接触現像方式を用いている。現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラを有し、感光ドラム2上に形成された静電潜像は、現像ローラと感光ドラム2との対向部(現像部)において、現像ローラによって搬送されたトナーによってトナー像として現像される。このとき、現像ローラには、現像電圧供給手段としての現像バイアス電源(図示せず)により現像バイアスが印加される。本実施例では、反転現像方式にて、静電潜像を現像する。即ち、帯電処理後の感光ドラム2における、露光によって電荷が減衰した部分に、感光ドラム2の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで、静電潜像をトナー像として現像する。
後述するフルカラー画像形成モードでは、全ての画像形成部1a〜1dの現像装置4a〜4dの現像ローラは、感光ドラム2a〜2dに当接する。一方、後述するモノカラー画像形成モードでは、画像を形成する画像形成部以外の画像形成部においては、現像装置4の現像ローラは、感光ドラム2から離間する。斯かる構成は、現像ローラ及びトナーの劣化、消耗を防止するのに有効である。
中間転写ベルト20は、PVdF(弗化ビニリデン樹脂)、ETFE(四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂を無端ベルト状に構成したものを好適に用いることができる。或いは、中間転写ベルト20としては、例えばEPDM等のゴム基層の上に、例えばウレタンゴムにPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など弗素樹脂を分散したものを被覆して、無端ベルト状に構成したものを好適に用いることができる。
中間転写ベルト20は、複数の支持部材としての駆動ローラ21、テンションローラ22、2次転写対向ローラ23に掛け渡されており、駆動ローラ21に回転駆動力が伝達されることで、図中矢印R2方向(反時計回り)に回転(周回移動)する。本実施例では、中間転写ベルト20は、感光ドラム2の周速度と略同一の所定のプロセススピード(PS)で回転駆動される。各1次転写ローラ5a〜5dは、中間転写ベルト20の内周面側において、各画像形成部1a〜1dの感光ドラム2a〜2dに対応して設けられている。又、中間転写ベルト20の外周面側において、2次転写対向ローラ23に対向して2次転写部材としての2次転写ローラ24が設けられている。
1次転写ローラ5としては、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)などから成るスポンジゴムなどの弾性部材で構成されたものを好適に用いることができる。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト20を感光ドラム2に向けて押圧して、感光ドラム2と中間転写ベルト20とが圧接する1次転写部(1次転写ニップ)T1を形成する。即ち、各1次転写ローラ5a〜5dは、各1次転写部T1a〜T1dにて、中間転写ベルト20を介して各感光ドラム2a〜2dに当接する。そして、1次転写ローラ5は、中間転写ベルト20に従動して回転する。
各1次転写ローラ5a、5b、5c、5dには、それぞれ1次転写電圧供給手段としての1次転写バイアス電源40a、40b、40c、40dが接続されている。そして、1次転写ローラ5には、1次転写バイアス電源40から、所定のタイミングで所定のバイアスが印加される。感光ドラム2上形成されたトナー像は、1次転写バイアス電源40によって所定の1次転写バイアスが印加された1次転写ローラ5により、回転している中間転写ベルト20上に転写(1次転写)される。
2次転写ローラ24は、2次転写対向ローラ23に対向する位置において中間転写ベルト20に圧接し、2次転写部(2次転写ニップ)T2を形成する。即ち、2次転写ローラ24は、中間転写ベルト20を介して2次転写対向ローラ23と当接する。
2次転写ローラ24には、2次転写電圧供給手段としての2次転写バイアス電源(図示せず)が接続されている。そして、2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源から、所定のタイミングで所定のバイアスが印加される。中間転写ベルト20上に形成されたトナー像は、2次転写バイアス電源によって所定の2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ24により、2次転写部T2を通過する転写材Pに転写(2次転写)される。
中間転写ベルト20の外周面側において、2次転写対向ローラ23の近傍には、中間転写ベルト20の表面に残った転写残トナーを除去して回収するための中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置30が設けられている。ベルトクリーニング装置30の構成及び動作の詳細については後述する。
尚、本実施例では、感光ドラム2、2次転写対向ローラ23は、電気的に接地されている。
転写材Pの搬送方向において2次転写部T2の上流側には、転写材収容部(図示せず)から供給された転写材Pと中間転写ベルト20上の画像との同期をとるためのレジストローラ13が配置されている。
又、転写材Pの搬送方向において2次転写部T2の下流側には、定着手段としての定着装置12が設けられている。定着装置12は、加熱手段を内蔵した定着ローラ14と、定着ローラ14に圧接する加圧ローラ15と、を有する。そして、定着装置12は、未定着トナーを担持した転写材を定着ローラ14と加圧ローラ15とで挟持して搬送することで、転写材Pの表面にトナー像を溶融定着させる。
ドラムクリーニング装置6は、1次転写後に感光ドラム2の表面に残ったトナー(1次転写残トナー)を除去して回収する。即ち、本実施例では、ドラムクリーニング装置6は、クリーニング部材としての弾性体で形成された板状部材である弾性ブレードと、回収トナー容器と、を有する。そして、弾性ブレードによって感光ドラム2の表面から除去したトナーを、回収トナー容器に回収する。
ここで、各画像形成部にて、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうち少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置の本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを構成できる。
(2)ベルトクリーニング装置
ベルトクリーニング装置30は、2次転写残トナーを帯電させるトナー帯電手段(トナー帯電装置)として構成される。本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、帯電部材としてのトナー帯電ローラ32を有する。
そして、本実施例では、このトナー帯電ローラ32を用いて所望のトリボ(単位重量当りのトナーの持つ電荷量)に帯電させた2次転写残トナーを、画像形成部において1次転写を行いながら中間転写ベルト20から感光ドラム2に回収させる(転写同時回収方式)。感光ドラム2に転写されて、感光ドラム2を1次転写残トナーと共に搬送された2次転写残トナーは、画像形成部内においてドラムクリーニング装置6によって感光ドラム2から除去されて回収トナー容器に回収される。
本実施例では、トナー帯電ローラ32としては、直径6mmのニッケルメッキ鋼棒上に、ゴム層を肉厚5mmで被覆したものを用いた。ゴム層としては、例えば、次のようなものを用いることができる。EPDMゴムにカーボンを分散させたもの、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とエピクロルヒドリンゴムとを混合したもの、ウレタンゴムを用いたもの、或いはシリコンゴムにPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)チューブを被覆したものである。本実施例では、トナー帯電ローラ32のゴム層として、EPDMゴムにカーボンを分散させたものを用いた。
又、本実施例では、トナー帯電ローラ32の体積抵抗率は5.0×108Ω・cmに調整されている。一方、トナー帯電ローラ32の電気抵抗値は、直径30mmの金属ローラに総荷重9.8Nで回転当接させ、+500Vの直流電圧を印加して測定した電流値から換算して、5.0×107Ωである。
トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電圧供給手段としてのトナー帯電電源42が接続されている。そして、詳しくは後述するように、トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電源42から、トナー帯電電圧(トナー帯電バイアス)として直流電圧(DC電圧)と交流電圧(AC電圧)とが重畳された交番電圧が印加される。
更に説明すると、本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、トナー帯電ローラ32によって、中間転写ベルト20上の2次転写残トナーを、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の所望の電荷量に帯電させる役割を持っている。トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電源42から、トナー帯電電圧としてDC定電圧とAC定電圧とが重畳されたバイアスが印加される。このトナー帯電電圧の印加によって、2次転写残トナーは、トナー帯電ローラ32及び中間転写ベルト20の両方から放電を受け、均一に帯電される。更に、両者の間で飛翔(ジャンピング)も発生するため、トナー層は攪乱され、2次転写残トナーの均一な帯電が可能になる。
尚、トナー帯電電圧においてDC電圧に重畳するAC電圧の周波数は、典型的には、画像形成装置10のプロセススピード(PS)から決定される。本実施例では、プロセススピード(PS)が100mm/secであるため、このAC電圧の周波数は、中間転写ベルト20上でのトナー帯電電圧のAC成分の周期が十分短くなるように決定されている。即ち、本実施例では、このAC電圧の周波数として1000Hzを用いた場合には、中間転写ベルト20上でのピッチは100μmとなる。一般的には、周期は1mm以下になることが好ましい。
又、このAC電圧は、中間転写ベルト20からトナー帯電ローラ32に逆放電が発生し始めるようなピーク間電圧Vppを有することが望ましい。より詳細には、このAC電圧は、中間転写ベルト20とトナー帯電ローラ32との間の放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧Vppを有することが望ましい。
一方、トナー帯電電圧において、AC電圧(電流)が重畳されるDC電圧(電流)に関しては、これを変化させることによって、トナー帯電ローラ32を通過した後のトナーのトリボ(単位重量当りのトナーの持つ電荷量)を制御できる。即ち、印加するDC電圧の絶対値を高くすることによって、トナー帯電ローラ32を通過した後のトナーのトリボの絶対値を高い値にすることができる。又、印加するDC電圧の極性は、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である。
更に、トナー帯電電圧において、DC成分にAC成分を重畳させることによって、トナーのトリボの収束性を期待できる。そのため、トナー帯電ローラ32を通過する前のトナーのトリボの分布が広くても、トナー帯電ローラ32を通過した後のトナーのトリボを安定した既定の値にすることができる。
ここで、感光ドラム2に回収される時のトナーのトリボの大きさにより、クリーニング不良、ネガゴーストの2つの問題のいずれかが発生し易くなる。次に、これら2つの問題について説明する。
先ず、クリーニング不良について説明する。
感光ドラム2に回収される時のトナーのトリボの絶対値が所望の値に対して低い場合、連続画像形成時においては、形成中の次画像にクリーニング不良が発生することがある。
つまり、転写同時回収による中間転写ベルト20のクリーニングは、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電させられた2次転写残トナーを、感光ドラム2と中間転写ベルト20との間の電界で感光ドラム2に回収することによって行われる。そのため、正極性の弱い(即ち、絶対値が小さい)トリボ又は負極性のトリボを持ったトナーは、1次転写部T1で感光ドラム2に回収されず、この感光ドラム2に回収されなかったトナーが形成中の画像に残ってしまうクリーニング不良が発生する。これにより、形成中の画像に、前画像の2次転写残トナーが、ポジゴーストとして表れ、画像不良を発生させてしまうことがある。
この現象を防止するためには、感光ドラム2に回収される時のトナーのトリボが正極性の適度な値になるように、大きいDC電流をトナー帯電ローラ32に流す必要がある。
次に、ネガゴーストについて説明する。
感光ドラム2に回収される時のトナーのトリボの絶対値が所望の値に対して高い場合、連続画像形成時においては、形成中の次画像にネガゴーストが発生することがある。
トリボが高い(即ち、絶対値が大きい)トナーは、1次転写部T1で感光ドラム2に回収される際に、正規の帯電極性、即ち、トナー帯電ローラ32を通過した後のトナーとは逆極性である、次画像のトナーを静電的に吸着してしまう。そして、この吸着された次画像のトナーは、中間転写ベルト20に1次転写されることなく、感光ドラム2に戻ってしまう。この結果、形成中の画像には、前画像に対応する部分のトナーが感光ドラム2に戻ってしまっているため、濃度差が生じる。これにより、形成中の画像に、前画像の2次転写残トナーに対応する部分が、濃度が薄いネガゴーストとして観察されることがある。
この現象を防止するためには、感光ドラム2に回収される時のトナーのトリボが正極性の適度な値になるように、小さいDC電流をトナー帯電ローラ32に流す必要がある。
このように、クリーニング不良とネガゴーストとはトレードオフの関係になっており、トナー帯電ローラ32に流すDC電流を大きくすると、ネガゴーストが激しくなり、小さくすると逆にクリーニング不良が激しくなる。そのため、両者を満足する領域を使用することが望まれる。
尚、本実施例の画像形成装置10においては、2次転写残トナーを回収する画像形成部1の1次転写部T1の直前において、2次転写残トナーのトリボが+30μC/g程度であると、良好なクリーニング性を示した。
しかしながら、前述のように、回収先の画像形成部を振り分けるべく、2次転写残トナーを回収させない画像形成部の1次転写部を通過させる構成では、その通過の際に、2次転写残トナーの電荷量が変わってしまう。そのため、回収させる画像形成部の1次転写部に到達した時に、2次転写残トナーの電荷量を所望の電荷量にできなくなる。
本実施例では、詳しくは後述するように、フルカラー画像形成モードと、モノカラー画像形成モードとで、2次転写残トナーを回収する画像形成部を振り分ける。そして、本実施例では、これら両モードで、2次転写残トナーがトナー帯電手段によって帯電させられてから、所定の感光ドラムに回収されるまでに受ける電荷量の変化は異なる。そこで、本実施例では、この両モードにおいて、所定の感光ドラムに回収される時の2次転写残トナーのトリボが所望の値になるように、以下に説明するような構成とする。
つまり、本実施例の画像形成装置10は、トナーを担持するN個(但し、Nは2以上の自然数)の像担持体としての感光ドラム2を有する。本実施例では、N=4であり、画像形成装置10には、4個の感光ドラム2が設けられている。又、画像形成装置10は、4個の感光ドラム2のそれぞれからトナーが転写される移動可能な中間転写体としての中間転写ベルト20を有する。又、画像形成装置10は、1次転写手段としての1次転写ローラ5a〜5dを有する。1次転写ローラ5a〜5dは、4個の感光ドラム2と中間転写ベルト20との間に形成される4個の1次転写部T1のそれぞれに、感光ドラム2から中間転写ベルト20へと第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを転写させる電界を形成する。又、画像形成装置10は、2次転写部T2に、中間転写ベルト20から転写材Pへと上記第1の極性に帯電したトナーを転写させる電界を形成する、2次転写手段としての2次転写ローラ24を有する。更に、画像形成装置10は、中間転写ベルト20上のトナーを上記第1の極性とは逆極性である第2の極性(本実施例では正極性)に帯電させるトナー帯電手段としてのベルトクリーニング装置30を有する。ベルトクリーニング装置30は、中間転写ベルト20の移動方向において2次転写部T2より下流側且つ4個の1次転写部T1のうち中間転写ベルト20の移動方向において最上流の1次転写部T1aよりも上流側においてトナーを帯電させる。更に、画像形成装置10は、ベルトクリーニング装置30(より詳細にはそのトナー帯電ローラ32)にトナーの帯電のための電圧を供給するトナー帯電電源42を有する。
上記画像形成装置10は、画像形成モードとして、画像形成に使用する画像形成部の数の異なる次の2つのモードを有している。第1のモードは、フルカラー画像形成モードである。即ち、第1のモードでは、4個の感光ドラム2のそれぞれにトナー像を形成して該トナー像を中間転写ベルト20に転写させる。第2のモードは、モノカラー画像形成モードである。即ち、第2のモードでは、4個の感光ドラム2のうち中間転写ベルト20の移動方向において最上流の感光ドラム2aからM番目(但し、Mは1からN−1までの自然数)までの感光ドラム2にはトナー像を形成しない。そして、第2のモードでは、M+1番目の感光ドラム2にはトナー像を形成して該トナー像を中間転写ベルト20に転写させる。本実施例では、M=3であり、第2のモードでは、中間転写ベルト20の移動方向において最上流の感光ドラム2aから4番目の感光ドラム2、即ち、ブラック色用の感光ドラム2にトナー像が形成される。又、画像形成装置10は、感光ドラム2から中間転写ベルト20へと上記第1の極性に帯電したトナーを転写させるのと同時に中間転写ベルト20から感光ドラム2へと上記第2の極性に帯電したトナーを転写させることができるようになっている。そして、第1のモードと第2のモードとで、第1の極性に帯電したトナーを中間転写ベルトから主に転写させる感光ドラム2が異なるように設定される。更に、ベルトクリーニング装置30により帯電させられた後で、最上流の1次転写部T1aに到達する前の、中間転写ベルト20上のトナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は、第2のモードにおけるものの方が第1のモードにおけるものよりも小さい。
ここで、本実施例では、第2のモードでは4個の1次転写部T1のうち中間転写ベルト20の移動方向において最上流の1次転写部T1aからM番目(本実施例では3番目)までの1次転写部T1cには第1のモードとは逆向きの電界が形成される。
換言すれば、画像形成装置10は、トナー像を担持する第1の像担持体2a(第1の画像形成部の感光ドラム)と、第1の像担持体2aから中間転写体20にトナー像を転写する第1の転写部材5a(第1の画像形成部の1次転写ローラ)と、を有する。又、画像形成装置10は、中間転写体20の移動方向において第1の像担持体2aの下流に配置されておりトナー像を担持する第2の像担持体2d(第4の画像形成部の感光ドラム)を有する。又、画像形成装置10は、第2の像担持体2dから中間転写体20にトナー像を転写する第2の転写部材5d(第4の画像形成部の1次転写ローラ)を有する。又、画像形成装置10は、中間転写体20から転写材Pにトナー像が転写された後に中間転写体20上に残留する残留トナーを正規の極性とは逆の極性に帯電する帯電部材(トナー帯電ローラ)32を有する。更に、画像形成装置10は、両方の極性の電圧を第1の転写部材5aに印加可能な電源40a(第1の画像形成部の1次転写バイアス電源)を有する。又、この画像形成装置10は、複数の転写材Pに連続してトナー像の形成を行う際に、第1の像担持体上のトナー像と第2の像担持体上のトナー像で転写材Pにトナー像の形成を行う第1のモード(フルカラー画像形成モード)を有する。この第1のモードでは、第1の像担持体2aから中間転写体20にトナー像の転写が行われるのと同時に、残留トナーを中間転写体20から第1の像担持体2aへ転写する。更に、この画像形成装置10は、複数の転写材Pに連続してトナー像の形成を行う際に、第2の像担持体2d上のトナー像のみで複数の転写材Pに連続してトナー像の形成を行う第2のモード(モノカラー画像形成モード)を有する。この第2のモードでは、電源40aは第2の転写部材5dに印加する電圧とは逆の極性の電圧を第1の転写部材5aに印加する。又、この第2のモードでは、第2の像担持体2dから中間転写体20にトナー像の転写が行われるのと同時に、残留トナーを中間転写体20から第2の像担持体2dへ転写する。そして、帯電部材32によって帯電された残留トナーの単位重量あたりの電荷量は、第1のモード実行時よりも第2のモード実行時の方が小さいように設定する。
本実施例では、トナー帯電電源42は、ベルトクリーニング装置30(より詳細にはそのトナー帯電ローラ32)に、上記第2の極性の直流成分を有する電圧を供給する。そして、該直流成分の絶対値は、第2のモードにおけるものの方が第1のモードにおけるものよりも小さい。より詳細には、本実施例では、トナー帯電電源42はベルトクリーニング装置30(より詳細にはそのトナー帯電ローラ32)に直流成分を有する交番電圧を供給する。そして、本実施例では、該交番電圧の供給によりベルトクリーニング装置30(より詳細にはそのトナー帯電ローラ32)に流れる直流電流の絶対値は、第2のモードにおけるものの方が第1のモードにおけるものよりも小さい。
つまり、本実施例は、モノカラー画像形成モードが選択された場合の、トナー帯電ローラ32に印加する交番電圧に含まれるDC電圧の絶対値を、フルカラー画像形成モードが選択された場合よりも小さくするようにしたものである。
(3)制御態様
図2は、本実施例の画像形成装置10の概略制御ブロックを示す。画像形成装置10の動作は、コントローラ110が記憶手段120に記憶されたプログラムやデータに従って統括的に制御する。コントローラ110は、画像形成装置10のインターフェース130を通じて通信可能に接続された外部機器であるホストコンピュータ200からの画像形成指令に従って、画像形成装置10の各部の動作を制御する。コントローラ110は、制御部、演算部、記憶部を有するマイクロコンピュータ等を備えた演算制御回路により構成される。
特に、本実施例に関連して、コントローラ110は、1次転写バイアス電源40a〜40d、トナー帯電電源42や、1次帯電バイアス電源140、現像バイアス電源150、2次転写バイアス電源160といった高圧電源の動作を制御する。即ち、コントローラ110は、各高圧電源の出力電圧、出力電流をモニターしながら、予めプログラムされた制御電圧、制御電流、タイミングで高圧電源の制御を行うことができる。詳しくは後述するように、コントローラ110は、ホストコンピュータ200からの指令に従って、フルカラー画像形成モード、モノカラー画像形成モードを識別する。そして、コントローラ110は、各モードに合わせて、各1次転写バイアス電源40a〜40dの出力の切り替え、トナー帯電電源42の出力の切り替えなどを行う。即ち、本実施例では、コントローラ110は、1次転写バイアス電源40a〜40dの出力値を制御して、各1次転写部T1に形成する電界を切り替える1次転写部電界切り替え手段の機能を有する。特に、本実施例では、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写バイアス電源40a〜40cは、1次転写ローラ5a〜5cに、両極性の電圧を印加可能である。即ち、これら1次転写バイアス電源40a〜40cは、正極性の電圧を出力する第1の電圧出力部と、負極性の電圧を出力する第2の電圧出力部と、を有する。そして、コントローラ110は、1次転写部電界切り替え手段として、これら1次転写バイアス電源40a〜40cの出力する電圧の極性を切り替えることができる。又、コントローラ110は、トナー帯電電源42の出力値を切り替えるトナー帯電電圧切り替え手段の機能を有する。
(4)フルカラー画像形成動作
次に、本実施例の画像形成装置10によるフルカラー画像形成モードでの画像形成動作について説明する。
フルカラー画像形成モードでの画像形成動作の開始信号が発せられると、第1〜第4の画像形成部1a〜1dの各感光ドラム2a〜2dは、100mm/secのプロセススピード(PS)で回転駆動される。回転する各感光ドラム2a〜2dは、各帯電ローラ3a〜3dによって、本実施例では負極性に一様に帯電させられる。具体的には、本実施例では、各感光ドラム2a〜2dの表面は約−500Vに均一に帯電される。
そして、各露光装置7a〜7dはそれぞれ、ホストコンピュータ200から入力されるカラー色分解された画像情報を、レーザ出力部にて光信号に変換して出力し、反射ミラーを介して各感光ドラム2a〜2d上を走査露光する。これにより、各帯電ローラ3a〜3dで帯電させられた後の各感光ドラム2a〜2dの表面に、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
そして、先ず、第1の画像形成部1aにおいて、感光ドラム2a上に形成された静電潜像は、イエロー色のトナーによってトナー像として現像される。
即ち、現像装置4aの現像ローラ上に担持されて薄層を形成しているトナーは、現像ローラが回転することにより感光ドラム2aと現像ローラとの対向部(現像部)に搬送される。又、現像ローラには、感光ドラム2aの帯電極性(本実施例では負極性)と同極性の現像バイアスが印加される。これにより、現像ローラ上のイエロー色のトナーが、感光ドラム2aの表面の帯電電位に応じて感光ドラム2aの表面に静電吸着し、感光ドラム2a上の静電潜像をトナー像として現像する。
感光ドラム2a上に形成されたイエロー色のトナー像は、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aにて、プロセススピード100mm/secに移動している中間転写ベルト20上に転写(1次転写)される。このとき、1次転写ローラ5aには、1次転写バイアスとして、温度23℃、湿度50%Rhの環境(以下、「N/N環境」という。)では、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)である+600VのDC電圧が、その芯金を介して印加される。1次転写バイアスの印加により、1次転写部T1aには、第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを感光ドラム2aから中間転写ベルト20へと向かわせる方向の電界が形成される。
次いで、第2の画像形成部1bにおいても、上記同様にして感光ドラム2b上に形成されたマゼンタ色のトナー像が、第2の画像形成部1bの1次転写部T1bにおいて、中間転写ベルト20上のイエロー色のトナー像の上に重ね合わせて転写(1次転写)される。
更に、第3、第4の画像形成部1c、1dにおいても、上記同様にして、シアン、ブラックの各色のトナー像の転写(1次転写)が行われる。即ち、感光ドラム2c、2d上にそれぞれ形成されたシアン、ブラックの各色のトナー像が、各1次転写部T1c、T1dにおいて、中間転写ベルト20上に重畳転写されたイエロー、マゼンタの各色のトナー像の上に順次重ね合わせて転写(1次転写)される。これにより、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト20上に形成される。
そして、中間転写ベルト20上のフルカラーのトナー像の先端が2次転写部T2に移動されるタイミングに合わせて、レジストローラ13により、転写材Pが2次転写部T2に搬送されてくる。この転写材Pに、中間転写ベルト20上のフルカラーのトナー像が一括して転写(2次転写)される。このとき、2次転写ローラ24には、2次転写バイアスとして、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の所定のDC電圧が印加される。2次転写バイアスの印加により、2次転写部T2には、第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを中間転写ベルト20から転写材Pへと向かわせる方向の電界が形成される。
その後、フルカラーのトナー像が形成された転写材Pは、定着装置12に搬送される。転写材Pは、定着装置12に設けられた定着ローラ14と加圧ローラ15と間の定着ニップ部で未定着のフルカラーのトナー像が加熱、加圧されて、その表面に熱定着された後、画像形成装置10の外部に排出される。こうして、フルカラー画像が出力される。
1次転写後に各感光ドラム2a〜2d上に残った1次転写残トナーは、各ドラムクリーニング装置6a〜6dによって除去されて回収される。
又、2次転写後に中間転写ベルト20上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置30によって、次のようにして回収される。
本実施例では、フルカラー画像形成モードにおける2次転写残トナーの主たる回収先は第1の画像形成部1aとする。
前述のように、ベルトクリーニング装置30のトナー帯電ローラ32には、DC定電圧にAC定電圧を重畳したトナー帯電電圧を印加する。具体的には、フルカラー画像形成モードでは、N/N環境において、DC電圧は+1.5kV、AC電圧はピーク間電圧で2.5kV、周波数1000Hzの矩形波とした。このトナー帯電電圧の印加により、トナー帯電ローラ32には、N/N環境では、約30μAのDC電流が流れる。
このトナー帯電電圧の印加によって、中間転写ベルト20上の2次転写残トナーは、トナー帯電ローラ32及び中間転写ベルト20の両方から放電を受け、均一に帯電される。具体的には、このトナー帯電電圧の印加により、2次転写残トナーは、トナー帯電ローラ32を通過した後に、約+30μC/gに帯電させられる。
そして、この2次転写残トナーは、その後、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aまで搬送される。次いで、この2次転写残トナーは、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aにおいて、感光ドラム2aから中間転写ベルト20へのイエロー色のトナー像の1次転写を行いながら、感光ドラム2aに逆転写されて回収される。このとき、第1の画像形成部1aの1次転写ローラ5aには、その芯金を介して+600Vの1次転写バイアスが印加されている。つまり、このとき、1次転写部T1aには、1次転写バイアスの印加により、第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを感光ドラム2aから中間転写ベルト20へと向かわせる方向の電界が形成される。換言すれば、このとき、1次転写部T1aには、1次転写バイアスの印加により、第2の極性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを中間転写ベルト20から感光ドラム2aへと向かわせる方向の電界が形成される。
第1の画像形成部1aの感光ドラム2aに逆転写されて、その感光ドラム2a上の1次転写残トナーと共に搬送された2次転写残トナーは、ドラムクリーニング装置6aによって除去されて回収される。
(5)モノカラー画像形成動作
本実施例の画像形成装置10は、上述のフルカラー画像形成モード(第1のモード)の他に、単色トナー像を形成するモノカラー画像形成モード(第2のモード)も選択可能である。以下、本実施例の画像形成装置10によるモノカラー画像形成モードでの画像形成動作について説明する。
尚、本実施例では、一番使用頻度が高いブラック単色の画像形成を行うモノカラー画像形成モードを例に説明する。しかし、本発明は、モノカラー画像形成モードがブラック単色の画像形成を行う場合に限定されるものではない。
モノカラー画像形成モード(ブラック単色)での画像形成動作の開始信号が発せられると、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの現像装置4a〜4cの現像ローラは、それぞれ感光ドラム2a〜2cから離間させられる。これら感光ドラム2a〜2cから離間させられた現像ローラの回転駆動を行わないことで、現像ローラ及び対応する色のトナーの劣化、消耗を防止することができる。これにより、画像形成部としての寿命の減少を防止することができる。
そして、フルカラー画像形成モードと同様に、第1〜第4の画像形成部1a〜1dの各感光ドラム2a〜2dは、100mm/secのプロセススピード(PS)で回転駆動される。又、フルカラー画像形成モードと同様に、回転する各感光ドラム2a〜2dは、各帯電ローラ3a〜3dによって一様に帯電させられる。具体的には、本実施例では、各感光ドラム2a〜2dの表面は約−500Vに均一に帯電される。
第1〜第3の画像形成部1a〜1cにおいては、上述の感光ドラム2a〜2cと帯電ローラ3a〜3cの動作を行うのみであり、その他の画像形成動作は行わない。
一方、第4の画像形成部1dでは、フルカラー画像形成モードと同様にして画像形成を行う。即ち、フルカラー画像形成モードと同様に、感光ドラム2dの表面にブラック色の画像情報に従って静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置4aによってブラック色のトナー像として現像する。こうして感光ドラム2d上に形成されたブラック色のトナー像は、第4の画像形成部1dの1次転写部T1にて、プロセススピード100mm/secに移動している中間転写ベルト20上に転写(1次転写)される。このとき、1次転写ローラ5dには、フルカラー画像形成モードと同様に、1次転写バイアスとして、N/N環境では+600VのDC電圧が、その芯金を介して印加される。1次転写バイアスの印加により、1次転写部T1dには、第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを感光ドラム2dから中間転写ベルト20へと向かわせる方向の電界が形成される。又、このときの第1〜第3の画像形成部1a〜1cの転写ローラ5a〜5cの動作については後述する。
そして、フルカラー画像形成モードと同様に、中間転写ベルト20上のブラック色のトナー像の先端が2次転写部T2に移動されるタイミングに合わせて、レジストローラ13により、転写材Pが2次転写部T2に搬送されてくる。この転写材Pに、中間転写ベルト20上のブラック色のトナー像が転写(2次転写)される。このとき、2次転写ローラ24には、2次転写バイアスとして、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の所定のDC電圧が印加される。
そして、ブラックのトナー像が形成された転写材Pは、定着装置12に搬送され、定着装置12の定着ニップ部で未定着トナー像が加熱、加圧されてその上に熱定着された後、画像形成装置10の外部に排出される。こうして、ブラック単色のモノカラー画像が出力される。
1次転写後に感光ドラム2d上に残った1次転写残トナーは、ドラムクリーニング装置6dによって除去されて回収される。
又、2次転写後に中間転写ベルト20上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置30によって、次のようにして回収される。
本実施例では、モノカラー画像形成モードにおける2次転写残トナーの主たる回収先は、モノカラー画像形成モードで画像形成を行っている第4の画像形成部1dとする。この理由は、次の通りである。即ち、モノカラー画像形成モードにおいて劣化、消耗するのは第4の画像形成部1dであり、その他の画像形成部1a〜1cはほとんど劣化、消耗しない。従って、モノカラー画像形成モードで2次転写残トナーを回収する回収トナー容器として、第4の画像形成部1dの回収トナー容器を利用することで、画像を形成しない第1〜第3の画像形成部1a〜1cの寿命の減少を防止できる。
このように2次転写残トナーを第4の画像形成部1dの1次転写部T1dにおいて感光ドラム2dに逆転写させて回収することを達成するために、第1〜第3の画像形成部1a〜1cでは次のような動作を行う。即ち、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部T1a〜T1cにて、1次転写ローラ5a〜5cには、トナーの正規の帯電極性と同極性である負極性のバイアスを印加する。具体的には、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写ローラ5a〜5cには、その芯金を介して−1000VのDC電圧を印加する。
これにより、第1〜第3の画像形成部1a〜1cにおいて、約−500Vに帯電した感光ドラム2a〜2cに対して電位差を設けることができる。従って、トナー帯電ローラ32を通過した後の正極性に帯電したトナーは、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部T1a〜T1cにて感光ドラム2a〜2cに回収されることなく、中間転写ベルト20上にとどまる。そして、この2次転写残トナーは、そのまま、第4の画像形成部1dの1次転写部T1dまで搬送される。このとき、1次転写部T1a〜T1cには、上記のバイアスの印加により、第2の極性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを感光ドラム2a〜2cから中間転写ベルト20へと向かわせる方向の電界が形成される。
尚、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写ローラ5a〜5cに印加する電圧は、例えば、次のようなことを条件として適宜選択することができる。即ち、中間転写ベルト20の電気抵抗、1次転写ローラ5a〜5cの電気抵抗、2次転写残トナーの劣化状態、感光ドラム2a〜2cの膜厚などのばらつきによらず、安定して2次転写残トナーが1次転写部を通過することができるようにする条件である。上記本実施例における−1000Vは、これらの条件を満たすものとして選択されたものである。
そして、2次転写残トナーは、第4の画像形成部1dの1次転写部T1dにて、感光ドラム2dから中間転写ベルト20へのブラック色のトナー像の1次転写を行いながら、感光ドラム2dに逆転写されて回収される。このとき、第4の画像形成部1dの1次転写ローラ5dには、その芯金を介して+600Vの1次転写バイアスが印加されている。つまり、このとき、1次転写部T1dには、1次転写バイアスの印加により、第1の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを感光ドラム2dから中間転写ベルト20へと向かわせる方向の電界が形成される。換言すれば、このとき、1次転写部T1dには、1次転写バイアスの印加により、第2の極性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを中間転写ベルト20から感光ドラム2dへと向かわせる方向の電界が形成される。
第4の画像形成部1dの感光ドラム2dに逆転写されて、その感光ドラム2d上の1次転写残トナーと共に搬送された2次転写残トナーは、ドラムクリーニング装置6dによって除去されて回収される。
ところで、ベルトクリーニング装置30のトナー帯電ローラ32には、フルカラー画像形成モードと同様に、DC定電圧にAC定電圧を重畳したトナー帯電電圧得を印加する。ただし、モノカラー画像形成モードでは、N/N環境において、DC電圧は+1.1kV、AC電圧はピーク間電圧で2.5kV、周波数1000Hzの矩形波とした。このトナー帯電電圧の印加により、トナー帯電ローラ32には、N/N環境では、約20μAのDC電流が流れる。即ち、トナー帯電電源42がトナー帯電ローラ32に供給する電圧の直流成分の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおけるものの方がフルカラー画像形成モードにおけるものよりも小さい。特に、本実施例では、トナー帯電電源42がトナー帯電ローラ32に交番電圧を供給することによりトナー帯電ローラ32に流れる直流電流の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおけるものの方がフルカラー画像形成モードにおけるものよりも小さい。
このトナー帯電電圧の印加によって、中間転写ベルト20上の2次転写残トナーは、トナー帯電ローラ32を通過した後に、約+20μC/gに帯電させられる。このように、ベルトクリーニング装置30による帯電処理後、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aに到達前の2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおいて、フルカラー画像形成モードよりも小さい。
約+20μC/gに帯電された2次転写残トナーは、上述のように第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部T1a〜T1cにて感光ドラム2a〜2cに回収されることなく、中間転写ベルト20上にとどまる。そして、この2次転写残トナーは、そのまま、第4の画像形成部1dの1次転写部T1dまで搬送される。ここで、第1〜第3の画像形成部1a〜1cでは、1次転写部T1a〜T1cを2次転写残トナーを通過させるべく、1次転写ローラ5a〜5cに−1000Vのバイアスが印加される。そして、第1〜第3の画像形成部1a〜1cでは、この−1000Vのバイアスと、約−500Vに帯電された感光ドラム2a〜2cの電位差により発生する放電の影響で、2次転写残トナーは、更に正極性の電荷を付与される。具体的には、第1〜第3の画像形成部1a〜1cの1次転写部T1a〜T1cを通過した後に、2次転写残トナーは、約+30μC/gに帯電される。このように、フルカラー画像形成モードにおける第1の画像形成部1aの1次転写部T1aの直前、モノカラー画像形成モードにおける第4の画像形成部1dの1次転写部T1dの直前の、各2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は略同一となる。
(6)本実施例と比較例との画像出力実験結果
次に、本実施例と比較例との画像出力実験の結果について説明する。
実験に用いた画像形成装置のプロセススピードは100mm/sec、スループットは1分間に18枚であった。又、実験を行った雰囲気環境は温度23℃、湿度50%のN/N環境下であった。
評価画像は、次のようなものであった。転写材PにFox River Bond(Fox River Bond Corporation、商品名)を用いた。そして、ブラック単色のベタ画像(最大濃度レベルの画像)を2枚、ベタ白(最小濃度レベルの画像、即ち、非画像部)を2枚の繰り返しで、計20枚の出力を、トナー帯電ローラ32に印加するバイアスを後述のように7段階に変化させて、7セット出力した。画像形成モードとしてはラフ紙(粗面紙)モードを用いた。
実験に用いた転写材Pは、所謂、ラフ紙と呼ばれるものであり、2次転写効率が悪くなることから、2次転写残トナーの量が多くなり、厳しい条件となる。
サンプリングした評価画像を用いて、(1)クリーニング不良、(2)ネガゴースト、という2つの画像不良の観点で、出力画像を観察しランク付け評価を行った。ランク付けは、画像不良がまったく発生しない場合を○、わずかに確認できる場合を○△、確認できる場合を△、少しレベルが悪い場合を△×、レベルが悪い場合を×として行った。
トナー帯電ローラ32に印加したバイアスは、AC電圧はピーク間電圧で2.5kV、周波数1000Hzの矩形波として固定し、DC電圧を+0.7kVから+1.9kVまで、0.2kV刻みで変化させた。
各条件における、2次転写残トナーのトリボの状態を観察するため、画像出力とは別に、同条件で画像形成動作中の画像形成装置を強制停止させて、2次転写残トナーが回収される画像形成部の1次転写部T1の直前のトナーのトリボを測定した。同様にして、トナー帯電ローラ32を通過した後であって、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aに到達する前の2次転写残トナーのトリボも測定した。トナーのトリボとしては、中間転写ベルト20上のトナーをエアーによって吸引し、サンプリングされたトナーの重量と電荷量を、電子天秤とファラデーゲージで測定した値から、μC/gの単位で定義される値を算出した。
評価結果を表1に示す。
本実施例では、フルカラー画像形成モード時にDC電圧を+1.5kV、モノカラー画像形成モード時にDC電圧を+1.1kV印加している。これにより、フルカラー画像形成モード、モノカラー画像形成モードの違いによらず、クリーニング不良とネガゴーストを発生しないバイアス条件を選択できることが分かった。
一方、比較例としては、フルカラー画像形成モード時とモノカラー画像形成モードで同一のDC電圧を印加する次のものに注目する。即ち、DC電圧を+1.1kV印加した場合(比較例1とする)には、モノカラー画像形成モードでは画像不良は発生しないものの、フルカラー画像形成モードでは少しレベルの悪いクリーニング不良(△×)が発生する。又、DC電圧を+1.3kV印加した場合(比較例2とする)には、フルカラー画像形成モードでは確認できるクリーニング不良(△)が発生し、モノカラー画像形成モードではわずかに確認できるネガゴースト(○△)が発生する。更に、DC電圧を+1.5kV印加した場合(比較例3とする)には、フルカラー画像形成モードでは画像不良は発生しないものの、モノカラー画像形成モードでは確認できるネガゴースト(△)が発生する。
このように、比較例では、フルカラー画像形成モード、モノカラー画像形成モードの違いによらずに、クリーニング不良とネガゴーストを発生しないバイアス条件を選択することができないことが分かった。
(7)まとめ
以上、本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、トナー帯電ローラ32を用いる。そして、モノカラー画像形成モードが選択された場合の、トナー帯電ローラ32に印加する交番電圧に含まれるDC電圧の絶対値を、フルカラー画像形成モードが選択された場合よりも小さくする。これにより、2次転写残トナーを中間転写ベルト20から複数の感光ドラム2に振り分けて逆転写させて回収することで2次転写残トナーの回収の偏りを緩和しつつ、逆転写によるクリーニング性を向上し、又逆転写に伴う画像不良を抑制することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、実施例1にて説明した帯電部材としてのトナー帯電ローラ32に加えて、後述する導電ブラシを有する。又、本実施例は、モノカラー画像形成モードが選択された場合の、トナー帯電ローラ32に印加するDC電圧の絶対値を、フルカラー画像形成モードが選択された場合よりも小さくするようにしたものである。以下、更に詳しく説明する。
図3は、本実施例の画像形成装置10の概略構成を示す。又、図4は、本実施例の画像形成装置10が備えるベルトクリーニング装置30をより詳しく示す。
本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、2次転写残トナーを回収、保持するトナー回収保持部材としての導電性ブラシ31と、2次転写残トナーを帯電する帯電部材としてのトナー帯電ローラ32と、を有する。
導電性ブラシ31は、中間転写ベルト20の移動方向において、2次転写部T2よりも下流側、且つ、トナー帯電ローラ32よりも上流側に位置する。そして、導電性ブラシ31は、2次転写残トナーの一部を回収、保持する。これに限定されるものではないが、本実施例では、導電性ブラシ31の材料はナイロンであり、繊度は7デシテックス、パイル長さは5mm、ブラシ幅(中間転写ベルトの移動方向に沿う方向の幅)は5mm、電気抵抗値は1.0×106Ωに設定されている。導電性ブラシ31には、回収保持電圧供給手段としての回収保持用電源41が接続されており、所定のDC電圧が印加される。導電性ブラシ31に印加する電圧は、導電性ブラシの材料や画像形成装置10が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。
2次転写前の中間転写ベルト20上のトナーは、感光ドラム2上と同極性であり、且つ、電荷の分布ばらつきの小さい状態で負極性に帯電されている。一方、2次転写後の中間転写ベルト20上の2次転写残トナーの電荷は、分布が広くなった上に、正極性側にピークが移動した分布を示す。この結果、2次転写残トナーは、負極に帯電したもの、殆ど帯電されていないもの、正極に帯電したものの混在した状態となっている。
ここで、導電性ブラシ31に正極性の電圧を印加することで、極性が混在した状態のトナーのうち負極に帯電したトナーを導電性ブラシ31に回収でき、画像形成動作中にトナー帯電ローラ32を通過するトナー量を減少させることができる。又、負極性トナーを回収することに加え、導電性ブラシ31と2次転写残トナーとの間で放電が起き、トナーをわずかではあるが正極側に帯電する作用がある。そのため、導電性ブラシ31に回収しなかったトナー中には、負極性のトナーはほとんど存在しない。
トナー帯電ローラ32を通過するトナー量を抑え、又負極性トナーを取り除くことにより、正極性のトナー帯電電圧が印加されるトナー帯電ローラ32の表面へのトナー付着を大幅に減少させることができる。その結果、トナー帯電ローラ32によるトナーの帯電処理が安定して行えるため、より良好な2次転写残トナーのクリーニング性を確保することができる。
トナー帯電ローラ32は、中間転写ベルト20の移動方向において、導電性ブラシ31よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aよりも上流側に位置する。そして、トナー帯電ローラ32は、導電性ブラシ31にて回収されなかった2次転写残トナーを正極性の所望の電荷量に帯電する役割を持っている。トナー帯電ローラ32の構成は、実施例1と同様である。
そして、本実施例では、トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電圧としてDC定電圧を印加する。具体的には、N/N環境において、フルカラー画像形成モードでは+2.0kV、モノカラー画像形成モードでは+1.5kVのDC電圧とした。このトナー帯電電圧の印加により、トナー帯電ローラ32には、N/N環境において、フルカラー画像形成モードでは約30μA、モノカラー画像形成モードでは約20μAのDC電流が流れる。即ち、本実施例では、トナー帯電電源42がトナー帯電ローラ32にDC電圧を供給することによりトナー帯電ローラ32に流れる直流電流の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおけるものの方がフルカラー画像形成モードにおけるものよりも小さい。
これにより、ベルトクリーニング装置30による帯電処理後、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aに到達前の2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおいて、フルカラー画像形成モードよりも小さくなる。そして、フルカラー画像形成モードにおける第1の画像形成部1aの1次転写部T1aの直前、モノカラー画像形成モードにおける第4の画像形成部1dの1次転写部T1dの直前の、各2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は略同一となる。実施例1にて説明したのと同様の理由による。
ここで、本実施例において、トナー帯電電圧としてDC電圧のみを用いて2次転写残トナーの良好なクリーニング性が達成できるのは、上述のように、導電性ブラシ31により、クリーニング性に関するマージンを確保できているためである。
以上、本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、導電ブラシ31とトナー帯電ローラ32とを用いる。そして、モノカラー画像形成モードが選択された場合の、トナー帯電ローラ32に印加するDC電圧の絶対値を、フルカラー画像形成モードが選択された場合よりも小さくする。これにより、2次転写残トナーを中間転写ベルト20から複数の感光ドラム2に振り分けて逆転写させて回収することで2次転写残トナーの回収の偏りを緩和しつつ、逆転写によるクリーニング性を向上し、又逆転写に伴う画像不良を抑制することができる。
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1、2のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、実施例2にて説明した導電ブラシ31とトナー帯電ローラ(第1の帯電部材)32に加えて、更に後述する針状帯電器(第2の帯電部材)を有する。
図5は、本実施例の画像形成装置10の概略構成を示す。又、図6は、本実施例の画像形成装置10においてベルトクリーニング装置30が備える針状帯電器34の概略構成を示す。
第2の帯電部材としての針状帯電器34は、中間転写ベルト20の移動方向において、トナー帯電ローラ32よりも下流側、且つ、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aよりも上流側に位置する。そして、針状帯電器34は、トナー帯電ローラ32にて正極性に帯電させられた2次転写残トナーを、負極性側に帯電させる役割を持っている。
図6に示すように、針状帯電器34は、所定の間隔で直線上に並べられた複数の針状電極34Aと、針状電極34Aの針先端近傍に配置され放電補助部材の役割を果たす放電補助金属板34Bと、絶縁スペーサ34Cと、を有して構成されている。針状帯電器34は、その長手方向が中間転写ベルト20の移動方向と略直交する方向に沿うように配置されており、針状電極34Aは、その長手方向に沿って直線上に並べられている。
針状電極34Aと放電補助金属板34Bとは、絶縁スペーサ34Cを介在して距離dを保った状態で電気的に絶縁されている。そして、放電補助金属板34Bがアースされると共に、針状電極34Aにはトナー帯電電圧供給手段としての第2のトナー帯電電源44が接続されている。本実施例ではd=5.0mmである。
第2のトナー帯電電源44から針状電極34Aに所定のDC電圧を印加することにより、針状電極34Aと放電補助金属板34Bとの間でコロナ放電を発生させて、針状電極34Aの近傍に位置するトナーを負極性に帯電することができる。針状電極34Aに印加する電圧は、針状帯電器34の構成や画像形成装置10が使用される環境などによって異なる。本実施例では、針状電極34Aに印加するDC電圧として、次のような設定を用いた。つまり、フルカラー画像形成モードでは電圧印加を行わずに(即ち、印加電圧はゼロ)、モノカラー画像形成モードでは−3.0kVを印加した。
モノカラー画像形成モードにおいて針状電極34Aに電圧を印加した時には、約−60μAの電流が流れる。その電流のほとんどが放電補助金属板34Bに対して流れ込むが、一部のおよそ5μA程度の電流がイオン風として流れ、2次転写残トナーを負極性側に帯電させる。
本実施例では、トナー帯電ローラ32には、トナー帯電電圧として、フルカラー画像形成モード、モノカラー画像形成モードのいずれにおいても、N/N環境では+2.0kVのDC電圧を印加した。このトナー帯電電圧の印加によって、トナー帯電ローラ32を通過した後であって針状帯電器34に到達する前の2次転写残トナーは、約+30μC/gに帯電させられる。
そして、トナー帯電ローラ32を通過した後の2次転写残トナーは、モノカラー画像形成モードでは、針状電極34Aに印加したバイアスの効果により、負極性側に帯電させられる。これにより、モノカラー画像形成モードでは、針状帯電器34を通過した後の2次転写残トナーは、約+20μC/gに帯電させられる。
このように、ベルトクリーニング装置30による帯電処理後、第1の画像形成部1aの1次転写部T1aに到達前の2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は、モノカラー画像形成モードにおいて、フルカラー画像形成モードよりも小さくなる。そして、フルカラー画像形成モードにおける第1の画像形成部1aの1次転写部T1aの直前、モノカラー画像形成モードにおける第4の画像形成部1dの1次転写部T1dの直前の、各2次転写残トナーの単位重量当たりの電荷量の絶対値は略同一となる。実施例1にて説明したのと同様の理由による。
尚、本実施例では、トナー帯電ローラ32にDC電圧のみを印加しているため、2次転写残トナーの表層が強く帯電され易い現象が発生している。この状態で、更に針状帯電器34によって同様にDC電圧を印加することにより負極性側に帯電するので、強く帯電された部分が負極性側に帯電される。その結果、針状電極34Aの近傍を通過した後のトナーのトリボが均一になり易いというメリットがあり、クリーニング性に関するマージンを増加させることができる。
以上、本実施例では、ベルトクリーニング装置30は、導電ブラシ31、トナー帯電ローラ32、及び針状帯電器34を用いる。そして、モノカラー画像形成モードが選択された場合に、針状帯電器43にDC電圧を印加し、トナーのトリボの絶対値を小さくする。これにより、2次転写残トナーを中間転写ベルト20から複数の感光ドラム2に振り分けて逆転写させて回収することで2次転写残トナーの回収の偏りを緩和しつつ、逆転写によるクリーニング性を向上し、又逆転写に伴う画像不良を抑制することができる。
(その他の実施例)
本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではない。
例えば、上記各実施例では、モノカラー画像形成モードにて用いる画像形成部が、中間転写体の移動方向において最下流に位置するものとして説明した。しかし、モノカラー画像形成モードにて用いる画像形成部、中間転写体の移動方向において最上流に位置する場合以外であれば、同様の効果が得られる。又、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの色順についても任意の色順にて同様の効果が得られる。モノカラー画像形成モードにおいて2次転写残トナーが回収されずに画像形成部を通過する回数が多いほど、その通過時に2次転写残トナーが帯電されるため、本発明の効果が大きくなる。ここで、N個の画像形成部のうちモノカラー画像形成モードで画像を形成する画像形成部が中間転写体の移動方向において最上流の画像形成部からM+1番目であり、2次転写残トナーがM個の画像形成部を回収されずに通過する場合について考える。ここで、Nは自然数で、Mは1からN−1までの自然数とする。このとき、フルカラー画像形成モードとモノカラー画像形成モードとにおける、トナー帯電手段による帯電処理後で最上流の1次転写部に到達する前の2次転写残トナーのトリボの絶対値の差の絶対値は、Mの値が大きいほど大きくすることが好ましい。一実施態様では、トナー帯電手段に供給する電圧の直流成分の絶対値の差の絶対値は、Mの値が多いほど大きくすることが好ましい。上述のように、モノカラー画像形成モードにおいて2次転写残トナーが回収されずに画像形成部を通過する回数が多いほど、その通過時に2次転写残トナーが帯電されるためである。
又、上記各実施例では、モノカラー画像形成モードにおいてブラック単色の画像を形成するものとして説明した。しかし、イエロー、マゼンタ、シアンなどのその他の単色画像を形成したり、複数の画像部のうち全てではない複数の画像形成部を用いてマルチカラー画像を形成したりする場合にも、同様の効果が得られる。このとき、2次転写残トナーを回収する画像形成部は、画像を形成する画像形成部のうち、中間転写体の移動方向において最上流側に配置された画像形成部である。
又、上記各実施例では、2次転写残トナーを帯電させる手段として帯電ローラを用いるものとして説明した。しかし、コロナ帯電器や、針状帯電器などを用いても、同様の効果が得られる。
又、実施例3では、トナー帯電ローラを通過した後の2次転写残トナーを再帯電させる手段として、針状帯電器を用いるものとして説明した。しかし、コロナ帯電器や、帯電ローラなどを用いても、同様の効果が得られる。
又、上記各実施例において、モノカラー画像形成モード時に、特定の(上記実施例ではブラック色用の)画像形成部に2次転写残トナーを回収させる方法を説明した。しかし、画像形成部の回収トナー容器における回収トナー量のモニター結果によって、トナー回収部により余裕のある任意の画像形成部(但し最上流ではない画像形成部)に2次転写残トナーを回収させるようにしても、同様の効果が得られる。上述のように、モノカラー画像形成モードにおいて2次転写残トナーが回収されずに画像形成部を通過する回数が多いほど、その通過時に2次転写残トナーは帯電されるため、本発明の効果が大きくなる。従って、上記同様に考えて、モノカラー画像形成モードにおいて2次転写残トナーが回収されずに通過する画像形成部の数に応じて、次のように設定することが好ましい。即ち、その数が大きいほど、フルカラー画像形成モードとモノカラー画像形成モードとにおける、トナー帯電手段による帯電処理後で最上流の1次転写部に到達する前の2次転写残トナーのトリボの絶対値の差の絶対値を大きくする。又、一実施態様では、その数が大きいほど、トナー帯電手段に供給する電圧の直流成分の絶対値の差の絶対値を大きくする。
又、上記各実施例において、2次転写残トナーを通過させる画像形成部における感光ドラムの電位は、帯電ローラにより帯電されたVD電位(約−500V)であるものとして説明した。しかし、露光装置の強制発光を組み合わせ、感光ドラムの電位をVL電位(例えば、約−100V)にすることもできる。この場合、2次転写残トナーを通過させる画像形成部における1次転写ローラに印加するバイアスとしては、例えば−600Vなど、より小さい値を選択しても、上記各実施例とほぼ同様の電界が形成でき、同様の効果が得られる。
又、上記各実施例において、1次転写バイアス電源は、各画像形成部について独立して設けるものとして説明した。しかし、例えば、モノカラー画像形成モードで画像を形成しない画像形成部(上記実施例ではイエロー、マゼンタ、シアンの各色用の画像形成部)について1次転写バイアス電源を共通化して、1つの電源を用いてもよい。更に、例えば、イエローの画像形成部で1つの電源、マゼンタとシアンの画像形成部で共通化した1つの電源のように、モノカラー画像形成モードで画像を形成しない画像形成部の1部について共通化した電源を用いてもよい。このように1次転写バイアス電源の共通化を図る場合にも、同様の効果が得られる。