以下、図面を用いて、本実施の形態に係る断熱材支持構造が適用されたユニット建物の床部における一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
(断熱材支持構造の構成)
図1に示されるように、例えば、ユニット建物10の骨格の一部を構成する建物ユニット12の床部16について説明する。まず、当該建物ユニット12は、図示はしないが、略箱形を成しており、建物ユニット12の四隅には、それぞれ同じ長さを有する角筒状の柱が立設されている。建物ユニット12の床部16において、建物ユニット12の桁方向(長手方向;矢印A方向)に沿って隣り合う柱間は、図示しない床大梁によって架け渡されており、建物ユニット12の妻方向(短手方向;矢印A方向に対して直交する方向)に沿って隣り合う柱間は、床大梁(鉄骨梁)18によってそれぞれ架け渡されている。また、建物ユニット12において、妻方向に対向する図示しない床大梁間には、複数の床小梁(鉄骨梁)20が所定の間隔で架け渡されている。
これら複数の床大梁18と床小梁20とは、その上面高さが略同じとなっており、床大梁18及び床小梁20の上には根太22がそれぞれ設けられている。そして、根太22を含んで隣り合う床大梁18と床小梁20、床小梁20と床小梁20の間には、床下56と床上58の間を断熱する床下断熱材(第1断熱材)24がそれぞれ配置されている。この床下断熱材24は、例えば、ウレタンフォーム等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材により板状に形成されており、所定の厚みを有した矩形板状を成している。
さらに、根太22の上には、床下地材26が設けられている。当該床下地材26として、例えば、パーティクルボードが用いられており、床下地材26の上には、図示はしないがフローリング等の床仕上げ材が敷設されている。
一方、床小梁20の下部21には、後述する断熱材支持金具(断熱材支持具)28が固定されている。この断熱材支持金具28には、例えば、グラスウールやロックウール等の繊維で形成された圧縮可能な梁下断熱材(第2断熱材)30が支持されている。この梁下断熱材30は、床下断熱材24に接触した状態で配置されており、梁下断熱材30と床下断熱材24とは連続的に設けられている。つまり、梁下断熱材30は、床下断熱材24との間に隙間が設けられていない状態で配置されている。なお、梁下断熱材30は、圧縮可能な断熱材であればよいため、繊維系の断熱材に限るものではない。
(断熱材支持具の構成)
ここで、本実施形態に係る断熱材支持具の構成について説明する。
図2には、本実施の形態に係る断熱材支持金具28を右斜め前方側から見た斜視図が示されている。図2に示される断熱材支持金具28は、矩形板状の金属板がプレス加工により形成されたものである。金属板としては、例えば、表面に防錆塗装を施した炭素鋼、ステンレス鋼などの合金鋼、銅ニッケル合金などの非鉄金属などの各種金属材料を用いることが可能である。なお、本実施形態では、断熱材支持金具28は、金属で形成されているが、梁下断熱材30が支持可能であればよいため、必ずしも金属に限るものではない。例えば、繊維強化樹脂等によって形成されてもよい。
断熱材支持金具28は、固定部32と、支持部としての係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aと、を含んで構成されている。固定部32は、断熱材支持金具28の長手方向(矢印L)の略中央部に設けられており、図1〜図3に示されるように、床小梁20の下面20Aに当接可能な当接部(第1当接部)39と、床下断熱材24によって床小梁20の側壁部20B側へ向かって押圧される押圧壁部37、38と、を含んで構成されている。さらに、当該押圧壁部37、38は、床小梁20の側壁部20Bに当接可能な縦壁部(押圧壁部)40、42と、床下断熱材24が当接可能なバネ板部(押圧壁部)44、46と、を含んで構成されている。
当接部39は、断熱材支持金具28の下部を構成しており、平面視で略矩形状を成している。この当接部39は、前述のように、床小梁20の下面20Aに当接可能とされ固定されるようになっている。例えば、本実施形態では、当該当接部39は、床小梁20の下面20Aに対して、接着剤45(図4(B)参照)等を介して固定される。つまり、この場合、当接部39は、床小梁20の下面20Aに対して、接着剤45等を介して間接的に当接することとなるが、本態様ではこのような場合も含まれる。
また、縦壁部40、42は、断熱材支持金具28の長手方向(矢印L)から見て矩形状を成して形成されており、当接部39の両端39A、39Bからそれぞれ上方側へ向かって起立すると共に、上方側へ向かうにつれて互いに近づく方向へ向かって僅かに傾斜して形成されている。
縦壁部40の上端40Aからは、下方側へ向かうにつれて当該縦壁部40から離間する方向へ向かって僅かに傾斜するバネ板部44が形成されている。当該バネ板部44は、断熱材支持金具28の長手方向(矢印L)から見て矩形状を成しており、バネ板部44には、床下断熱材24が圧接されるように設定されている。
また、バネ板部44の下端44Aからは、平面視で矩形状を成す支持片48が当該バネ板部44から離間する方向へ向かって略水平方向に延びている。そして、支持片48の自由端部には、断熱材支持金具28の長手方向(矢印L)に対して略直交する幅方向(矢印W)を長手方向とする矩形状の係止孔34が形成されている。
当該縦壁部40と同様に、縦壁部42の上端42Aからは、下方側へ向かうにつれて当該縦壁部42から離間する方向へ向かって僅かに傾斜するバネ板部46が形成されている。当該バネ板部46は、断熱材支持金具28の長手方向(矢印L)から見て矩形状を成しており、バネ板部46には、床下断熱材24が圧接されるように設定されている。
また、バネ板部46の下端46Aからは、平面視で矩形状を成す支持片50が当該バネ板部46から離間する方向へ向かって略水平方向に延びており、支持片50の自由端部には、断熱材支持金具28の幅方向(矢印W)を長手方向とする矩形状の係止孔36が形成されている。なお、バネ板部44、46の上下方向の長さは、縦壁部40、42の上下方向の長さよりもそれぞれ短くなるように設定されている。
一方、床小梁20の下部21側に設けられる梁下断熱材30は、グラスウールやロックウール等の繊維で形成され圧縮可能とされており、ビニールタイ等で形成された紐部材(保持部材)52によって保持されるようになっている。そして、紐部材52の端部52Aには、フック54が設けられており、当該フック54が、支持片48、50にそれぞれ形成された係止孔34、36の周辺部34A、36Aに係止可能とされる。
このように、梁下断熱材30を保持する紐部材52のフック54が、断熱材支持金具28の係止孔34、36の周辺部34A、36Aにそれぞれ係止された状態で、梁下断熱材30は断熱材支持金具28に支持される。この状態で、梁下断熱材30が床下断熱材24に接触し、梁下断熱材30と床下断熱材24とが連続的に設けられる。すなわち、当該梁下断熱材30は、床下断熱材24との間に隙間が設けられていない状態で配置されることとなる。
なお、当該フック54は必ずしも必要ではなく、図示はしないが、紐部材52の端部52Aが当該係止孔34、36内へ挿通されたあと、当該紐部材52の端部52Aを紐部材52自体に巻き付けることで、紐部材52が係止孔34、36の周辺部34A、36Aに係止されるようにしてしてもよい。また、紐部材52は、伸縮性を有する部材が用いられてもよい。
(断熱材支持具の作用及び効果)
次に、本実施形態に係る断熱材支持具の作用及び効果について説明する。
図1に示されるように、建物ユニット12の床部16では、床大梁18及び床小梁20の上に設けられた根太22の上に床下地材26が設けられ、さらに、床下地材26の上には図示しない床仕上げ材が敷設される。
本実施形態では、まず、床小梁20と床小梁20、及び床小梁20と床大梁18の間において、図4(A)に示されるように、床小梁20の側壁部20Bに当接させた状態で床下断熱材24が配置される。つまり、床小梁20の側壁部20Bは、床下断熱材24によって覆われた状態となっている。
次に、図4(B)に示されるように、床小梁20に対して断熱材支持金具28を下方側から取付ける。具体的に説明すると、図4(B)、図5(A)に示されるように、断熱材支持金具28の押圧壁部37、38(縦壁部40、42、バネ板部44、46)を、床小梁20の側壁部20Bと床下断熱材24の間に差し込む。
ここで、例えば、床小梁20の下面20A、又は断熱材支持金具28の当接部39には、接着剤45が塗布されており、断熱材支持金具28の縦壁部40、42及びバネ板部44、46を床小梁20の側壁部20Bと床下断熱材24の間に差し込んだとき、当該接着剤45を介して断熱材支持金具28の当接部39が床小梁20の下面20Aに当接する。これにより、断熱材支持金具28の当接部39及び床小梁20の下面20Aを介して、断熱材支持金具28が床小梁20の下部21に固定されることとなる(断熱材支持具固定工程)。
なお、図示はしないが、さらに縦壁部40、42の内面側にも接着剤が塗布され、当該接着剤を介して断熱材支持金具28の縦壁部40、42が床小梁20の側壁部20Bに固定されるようになっていてもよい
次に、図5(B)、図6に示されるように、紐部材52で保持された梁下断熱材30を断熱材支持金具28に係止させる。
具体的に説明すると、本実施形態では、断熱材支持金具28の支持片48、50の自由端部にそれぞれ設けられた係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aに対して、紐部材52の端部52Aに設けられたフック54をそれぞれ係止させる(第2断熱材保持工程)。この状態で、梁下断熱材30は床下断熱材24に接触する。
これにより、本実施形態では、梁下断熱材30と床下断熱材24とが連続的に設けられ、床下断熱材24によって床小梁20の側壁部20Bが覆われると共に、梁下断熱材30によって床小梁20の下面20Aを含み、床小梁20の下部21が覆われるようになっている。
ところで、本実施形態では、図2、図6に示されるように、断熱材支持金具28が、固定部32と、支持部としての係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aと、を含んで構成され、固定部32が、床下56に配設された床小梁20に固定されるようになっている。
ここで、固定部32には、当該固定部32と繋がり固定部32から離間する方向へ向かって水平方向に延びる支持片48、50がそれぞれ設けられており、係止孔34、36は、当該支持片48、50の自由端部にそれぞれ設けられている。一方、前述のように、図示はしないが、床大梁18(図1参照)と床小梁20(図1参照)、床小梁20と床小梁20の間には、床下断熱材24が床小梁20の両側壁部20Bと当接して設けられている。また、断熱材支持金具28の係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aは、梁下断熱材30を保持する紐部材52を支持可能としている。
当該梁下断熱材30は、圧縮可能とされており、当該梁下断熱材30を保持する紐部材52のフック54が断熱材支持金具28の係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aにそれぞれ係止された状態で、床下断熱材24に対して当該梁下断熱材30を押し付け圧縮させた状態で配置することができる。
したがって、梁下断熱材30を保持する紐部材52のフック54が断熱材支持金具28の係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aにそれぞれ係止された状態で、床下断熱材24と梁下断熱材30とが連続的に設けられた状態を維持することができる。これにより、当該床下断熱材24と梁下断熱材30によって、床小梁20は側壁部20B及び床小梁20の下面20Aを含む床小梁20の下部21が覆われた状態が維持される。すなわち、本実施形態では、床下断熱材24と梁下断熱材30との間で隙間が形成されないようにすることが可能となり、床下断熱材24と梁下断熱材30によって当該床小梁20の熱橋対策を図ることができる。
このように、本実施形態では、梁下断熱材30は床小梁20の熱橋対策を図る部材の一つとして用いられるが、熱橋対策を図るために必要な断熱性能を得るため、梁下断熱材30において使用される材料に応じて、床小梁20の幅方向に沿った寸法W1(図6参照)は異なる。この寸法W1は、断熱材支持金具28の支持片48、50の長さによって決まるため、断熱性能の高い梁下断熱材30が用いられる場合、断熱性能の低い梁下断熱材30が用いられる場合と比較して、支持片48、50の長さは短くなる。つまり、本実施形態では、支持片48、50において、予め床小梁20の熱橋対策を図るために必要な長さとなるように設定されている。
また、本実施形態では、断熱材支持金具28の固定部32は、床小梁20の下面20Aに当接可能な当接部39を含んで構成されており、断熱材支持金具28は床小梁20の下方側から床小梁20に取付けられ固定されるようになっている。
したがって、本実施形態では、建物の建築後に梁下断熱材30を取付けることが可能であり、また、建物の建築後に当該梁下断熱材30を交換することも可能である。特に、本実施形態では、梁下断熱材30が圧縮可能であるため、床下56で作業をする際に、梁下断熱材30を圧縮させることにより作業の邪魔にならないようにすることができ、作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、断熱材支持金具28に係止孔34、36が形成され、梁下断熱材30を取付ける際には、当該係止孔34の周辺部34A、係止孔36の周辺部36Aに当該梁下断熱材30を保持する紐部材52のフック54を係止させるだけなので、作業性が良い。なお、当該断熱材支持金具28は、工場生産時に予め床小梁20に取付けられてもよい。
さらに、本実施形態では、断熱材支持金具28の固定部32は、床下断熱材24と床小梁20の側壁部20Bとの間に差し込まれる押圧壁部37、38を含んで構成されており、当該押圧壁部37、38は、床下断熱材24によって当該床小梁20の側壁部20B側へ向かって押圧される(押圧力F)ようになっている。
前述のように、断熱材支持金具28は、床小梁20の下方側から床小梁20に取付けられ固定されるようになっているため、断熱材支持金具28の当接部39が床小梁20の下面20Aに当接する際、断熱材支持金具28の押圧壁部37、38は、床下断熱材24と床小梁20の側壁部20Bの間に差し込まれる。
このように、押圧壁部37、38が床下断熱材24と床小梁20の側壁部20Bの間に差し込まれた状態で、当該押圧壁部37、38は、床下断熱材24によって床小梁20の側壁部20B側へ向かって押圧される(押圧力F)。これにより、床下断熱材24と押圧壁部37、38との間には摩擦力が生じる。この摩擦力によって床下断熱材24は支持され、断熱材支持金具28の支持片48、50において、床下断熱材24による負荷が軽減される。
その結果、断熱材支持金具28の支持片48、50において、当接部39の両端39A、39Bを基点として下方側へ向かう撓みを軽減することが可能となる。また、押圧壁部37、38が床下断熱材24と床小梁20の側壁部20Bの間に差し込まれた状態で、当該押圧壁部37、38と床下断熱材24との間に摩擦力が生じることによって、断熱材支持金具28を落下し難くすることができる。
また、本実施形態では、押圧壁部37、38は、床小梁20の側壁部20Bに当接可能な縦壁部40、42と、床下断熱材24が当接可能なバネ板部44、46と、を含んで構成されている。前述のように、押圧壁部37、38が床下断熱材24と床小梁20の側壁部20Bの間に差し込まれた状態では、床下断熱材24によって、バネ板部44、46が床小梁20の側壁部20B側へ向かってそれぞれ押圧される。
当該バネ板部44、46は、それぞれ縦壁部40の上端40A、縦壁部42の上端42Aから下方側へ向かうにつれて当該縦壁部40、42から離間する方向へ向かって僅かに傾斜している。このため、床下断熱材24によってバネ板部44、46が押圧されることによって、当該バネ板部44、46は、それぞれ縦壁部40の上端40A、縦壁部42の上端42Aを中心に縦壁部40、42側へ向かってそれぞれ弾性変形し、付勢力が生じる。この付勢力によって、床下断熱材24に対して、バネ板部44、46による反力が増大し、当該バネ板部44、46と床下断熱材24との間の摩擦力が増えることとなる。
また、前述のように、バネ板部44、46は、それぞれ縦壁部40の上端40A、縦壁部42の上端42Aから下方側へ向かうにつれて当該縦壁部40、42から離間する方向へ向かって傾斜している。このため、当該バネ板部44、46の斜面44B、46Bを利用して、床下断熱材24を上方側へ付勢する力を発生させることができる。つまり、バネ板部44、46によって床下断熱材24が支持された状態が維持されることとなる。
(本実施形態の変形例)
図2に示されるように、本実施形態では、断熱材支持金具28において、押圧壁部37、38が、床小梁20の側壁部20Bに当接可能な縦壁部40、42と、床下断熱材24が当接可能なバネ板部44、46と、を含んで構成されているが、当該バネ板部44、46は必ずしも必要ではない。
例えば、図7に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)60では、押圧壁部62、64にバネ板部44、46(図2参照)は設けられていないが、このような構成でもよい。
本実施形態における押圧壁部62、64は、床小梁20の側壁部20B及び床下断熱材24が当接可能な縦壁部66、68を含んで構成されている。この縦壁部66、68の幅方向(矢印W)の中央部には、断熱材支持金具60の長手方向(矢印L)から見て矩形状を成す切欠き部70、72がそれぞれ形成されている。切欠き部70、72の下辺70A、72Aからは、平面視で矩形状を成す支持片74、76が当該縦壁部66、68から離間する方向へ向かってそれぞれ略水平方向に延びている。そして、支持片74、76の自由端部には、円形の係止孔74A、76Aがそれぞれ形成されている。
なお、図2に示されるように、断熱材支持金具28では、支持片48、50の自由端部に形成された係止孔34、36は、それぞれ矩形孔とされている。つまり、断熱材支持金具において、係止孔の形状については特に規定されるものではない。
<第2実施形態>
(断熱材支持具の構成)
図2、図4(B)に示されるように、第1実施形態では、断熱材支持金具28の当接部39は、床小梁20の下面20Aに固定されるようになっている。これに対して、図8(A)、(B)に示される、第2実施形態における断熱材支持金具(断熱材支持具)100では、図示はしないが、断熱材支持金具100の上部に設けられた当接部(第2当接部)102が図3に示す床小梁20の上に設けられた根太22の上面22Aに固定されるようになっている。
ここで、第2実施形態に係る断熱材支持金具100の構成について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と略同じ構成については同じ符号を用いて説明を割愛する。
図8(A)には、本実施の形態に係る断熱材支持金具100を左斜め前方側から見た斜視図が示されている。図8(A)に示されるように、断熱材支持金具100は、固定部104と、係止片(支持部)118、120と、を含んで構成されている。
固定部104は、断熱材支持金具100の長手方向(矢印L)の略中央部に設けられており、前述したように、図3に示される根太22を介して床小梁20の上面20Cに当接可能な当接部102と、床下断熱材24によって床小梁20の側壁部20B側へ向かって押圧される縦壁部(押圧壁部)110、112と、を含んで構成されている。
当接部102は、断熱材支持金具100の上部を構成しており、平面視で略矩形状を成している。当接部102は、根太22の上面22Aに当接して固定されるようになっている。また、縦壁部110、112は、当接部102の両端102A、102Bからそれぞれ下方側へ向かって垂下されており、縦壁部110の下端110Aからは、当該縦壁部110から離間する方向へ向かって支持片114が略水平方向に延びている。また、縦壁部112の下端112Aからは、当該縦壁部112から離間する方向へ向かって支持片116が略水平方向に延びている。
この支持片114、116の自由端からは、断熱材支持金具100の長手方向(矢印L)から見て矩形状の係止片118、120がそれぞれ垂下されている。支持片114、116と係止片118、120との間には、平面視で矩形状を成す係止孔106、108がそれぞれ形成されており、支持片114、116と係止片118、120との間で形成される係止孔106、108の内縁は、逆L字状を成している。
そして、図8(A)、(B)に示されるように、係止孔106、108を通じて係止片118、120に対して、梁下断熱材30を保持する紐部材52の端部52Aに設けられたフック54が断熱材支持金具100の内側から係止可能とされる。なお、図8(B)は、図8(A)で示す係止片120側を拡大したものである。また、以下で説明する図9(A)、(B)〜図11(A)、(B)も図8(A)、(B)と同じである。
(断熱材支持具の作用及び効果)
次に、第2実施形態に係る断熱材支持金具100の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、図示はしないが、図3に示す床小梁20の上に設けられた根太22に対して、図8(A)、(B)に示す断熱材支持金具100を上方側から取付け、当該断熱材支持金具100を床小梁20に固定する(断熱材支持具固定工程)。
次に、図8(A)、(B)に示す断熱材支持金具100の縦壁部110、112に当接させた状態で床下断熱材24を配置させる(第1断熱材配置工程)。そして、断熱材支持金具100の支持片114、116に梁下断熱材30を保持する紐部材52を支持させる(第2断熱材配置工程)。
本実施形態では、図8(A)、(B)に示す断熱材支持金具100の固定部104は、図3に示す床小梁20の上面20Cに当接可能な当接部102を含んで構成されており、図示はしないが、本実施形態では、断熱材支持金具100は、床小梁20の上に設けられた根太22の上方側から床小梁20に取付けられ固定される。
つまり、図8(A)、(B)に示す断熱材支持金具100は、図3に示す根太22の上面22Aに当接部102を当接させた状態で、断熱材支持金具100は床小梁20に支持されることになるため、落下防止用として断熱材支持金具100を床小梁20に仮止めさせるための接着剤等の必要が無く、作業性がよい。
(本実施形態の変形例)
上記実施形態では、図8(A)に示されるように、断熱材支持金具100において、支持片114、116の自由端からそれぞれ係止片118、120が垂下され、支持片114、116と係止片118、120との間で、支持部としての係止片118、120がそれぞれ設けられているが、当該支持部はこれに限るものではない。なお、以下の説明において、第2実施形態と略同じ構成については同じ符号を用いて説明を割愛する。
(1)第1変形例として、図9(A)に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)130では、一対の支持片132の自由端からそれぞれ係止片(支持部)134が垂下されている。この係止片134は、断熱材支持金具130の長手方向(矢印L)から見て略矩形状を成しており、係止片134には切欠き部136がそれぞれ形成されている。
本実施形態における切欠き部136は、係止片134の上下方向の中央部かつ前後において、断熱材支持金具130の幅方向(矢印W)に沿って矩形状にそれぞれ切り欠かれた前側切欠き部136A、後側切欠き部136Bによって構成されている。このため、図9(A)、(B)に示されるように、当該前側切欠き部136A、後側切欠き部136Bを通じて係止片134に対して、紐部材52の端部52Aに設けられた環状部138が係止されるようになっていてもよい。なお、係止片134の形状はこれに限るものではない。
(2)第2変形例として、図10(A)に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)140では、一対の支持片142の自由端からそれぞれ係止部(支持部)144が垂下されている。この係止部144は、正面視で略U字状を成しており、内側を構成する内壁部144Aと外側を構成する外壁部144Bと、内壁部144Aと外壁部144Bを繋ぐ奥壁部144Cと、を含んで構成されている。これにより、図10(A)、(B)に示されるように、この係止部144に、紐部材52の端部52Aに設けられた環状部138が係止されるようになっていてもよい。
(3)第3変形例として、図11(A)に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)150では、一対の支持片152の自由端からそれぞれ係止片(支持部)154が垂下されている。この係止片154は、断熱材支持金具150の長手方向(矢印L)から見て矩形状を成しており、係止片154には、当該係止片154の上下方向の中央部かつ前部において、断熱材支持金具150の幅方向(矢印W)に沿って矩形状の切欠き部154Aが形成されている。
なお、本実施形態では、図11(A)、(B)に示されるように、当該切欠き部154Aには、帯状の紐部材(保持部材)156の端部156Aに設けられたストッパ158が係止されるようになっている。つまり、係止部の形状等に応じて、紐部材156の構成は適宜変更可能である。
以上の実施形態では、断熱材支持具に形成された係止片に紐部材が係止されるようになっているが、断熱材支持具によって梁下断熱材を支持することができればよいため、これに限るものではない。
(4)第4変形例として、図12(A)に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)160では、一対の支持片162の自由端からそれぞれ係止部(支持部)164が垂下されている。この係止部164は、図10(A)に示す断熱材支持金具140と同様に、正面視で略U字状を成しており、図12(A)に示されるように、内側を構成する内壁部164Aと、外側を構成する外壁部164Bと、内壁部164Aと外壁部164Bを繋ぐ奥壁部164Cと、を含んで構成されている。
ここで、当該内壁部164Aは、先端へ向かうにつれて肉厚が細くなるように形成されている。このため、本実施形態では、図12(B)に示されるように、当該係止部164に対して、梁下断熱材30を当該内壁部164Aの上方側から刺突させることによって、係止部164に梁下断熱材30を支持させることができる。
つまり、本実施形態では、図8(B)等に示される紐部材52は必ずしも必要ではない。なお、図12(B)は、図12(A)で示す断熱材支持金具160によって梁下断熱材30が支持された状態を示しており、床小梁20の幅方向に沿って切断したときの断面図である。また、以下で説明する図13(A)、(B)も図12(A)、(B)と同じである。
また、図12(A)、(B)では、断熱材支持金具160の係止部164の内壁部164Aに対して、梁下断熱材30を上方側から刺突させることによって、係止部164に梁下断熱材30を支持させることができるが、刺突方向については規定されない。
(5)第5変形例として、図13(A)に示されるように、断熱材支持金具(断熱材支持具)170では、一対の支持片172の自由端からそれぞれ係止部174が垂下されている。この係止部174は、正面視で略逆L字状を成しており、図13(A)では、外側を構成する外壁部176と、当該外壁部176の下端から内側へ向かって略水平に沿って形成された刺突片(支持部)178と、を含んで構成されている。
本実施形態では、刺突片178は、前後方向の中央部が三角形状に切り欠かれており、刺突片178の前部及び後部には、平面視で三角形状を成す刺突部178A、178Bがそれぞれ形成されている。これにより、図13(B)に示されるように、この刺突部178A、178Bに対して梁下断熱材30を略水平方向に沿って刺突させることによって、当該刺突部178A、178Bを介して、係止部174に梁下断熱材30を支持させることができるようにしてもよい。
<第3実施形態>
上記第1実施形態、第2実施形態では、図1に示される床小梁20に固定され当該床小梁20の下部21を覆う梁下断熱材30を支持する断熱材支持金具28について説明した。これに対して、本実施形態では、床大梁18に固定され当該床大梁18の下部19を覆う梁下断熱材(第2断熱材)180を支持する断熱材支持金具(断熱材支持具)182、184について説明する。
本実施形態では、梁下断熱材180は、建物ユニット12の床大梁18に固定された断熱材支持金具182、及び、当該建物ユニット12の隣に設置された建物ユニット14の床大梁186に固定された断熱材支持金具(断熱材支持具)184に支持されるようになっている。つまり、本実施形態では、隣り合って配置された建物ユニット12、14の妻方向に沿ってそれぞれ配置された床大梁18、186に固定される断熱材支持金具184について説明する。なお、当該断熱材支持金具184は、図示はしないが、隣り合って配置された建物ユニットの桁方向に沿って配置された床大梁同士に固定されてもよい。
(断熱材支持具の構成)
ここで、本実施形態に係る断熱材支持具の構成について説明する。
図14には、本実施の形態に係る断熱材支持金具182、184を右斜め前方側から見た斜視図がそれぞれ示されている。図14に示されるように、断熱材支持金具182と断熱材支持金具184は略同じ形状であるため、両者を代表して断熱材支持金具182の構成について説明する。
まず、図15に示されるように、床大梁18は、上下方向に沿って切断したときの断面形状は、床小梁20(図1参照)側を開口側とする略U字状に形成されており、ウエブ(鉄骨梁の側壁部)18Aと、上フランジ18Bと、下フランジ18Cと、を含んで構成されている。
また、床大梁18内には、グラスウールやロックウール等の繊維で形成された圧縮可能な断熱材188(図1参照)が充填されており、断熱材支持金具182は、床大梁18の下フランジ18Cに固定されるようになっている。なお、床大梁186については、床大梁18と略同じ構成であるため、床大梁18を構成する構成部材と同じ構成部材については、アルファベットを用いて説明は省略する。
図14に示されるように、断熱材支持金具182は、固定部190と、支持部としての係止孔196の周辺部196Aと、を含んで構成されている。固定部190は、断熱材支持金具182の下部を構成しており、係止孔196は断熱材支持金具182の上部を構成する支持片192の自由端部に形成されている。また、固定部190と支持片192の間には、両者を繋ぐ縦壁部(固定部)194が設けられている。
固定部190は、図14、図15に示されるように、床大梁18の下フランジ18Cを挟持可能としている。固定部190では、金属板が上下に重なるように湾曲されており、当該固定部190内には床大梁18の下フランジ18Cが進入可能とされている。
固定部190の口部190A側は、奥部190B側よりも上下方向の隙間が小さくなっており、固定部190内に床大梁18の下フランジ18Cが進入する際、当該固定部190は弾性変形し、当該固定部190によって床大梁18の下フランジ18Cが挟持されるようになっている。また、支持片192に設けられた係止孔196の周辺部196Aには、図1に示す梁下断熱材180を保持する紐部材52のフック54が係止可能とされる。
(断熱材支持具の作用及び効果)
次に、本実施形態に係る断熱材支持具の作用及び効果について説明する。
図16(A)、(B)に示されるように、床大梁18、186内にはそれぞれ断熱材188が充填される。また、当該床大梁18と床小梁(図示省略)、床大梁186と床小梁(図示省略)の間に床下断熱材24がそれぞれ配置される。さらに、床大梁18のウエブ18Aと床大梁186のウエブ(鉄骨梁の側壁部)186Aの間には、ウレタンフォーム等の合成樹脂の発泡体からなる発泡系断熱材により形成された床下断熱材(第1断熱材)198が配置されている。なお、建物ユニット12の床下地材26と建物ユニット14の床下地材26の間には、ドッキング部床材27が嵌合されるようになっている。
次に、床大梁18に対して断熱材支持金具182を取付け、床大梁186に対して断熱材支持金具184を取付ける。具体的に説明すると、図16(B)、図17(A)に示されるように、床大梁18の下フランジ18Cに対して、断熱材支持金具182の固定部190を略水平方向に沿って移動させ、当該下フランジ18Cを固定部190内へ進入させ、床大梁18に断熱材支持金具182を固定させる(断熱材支持具固定工程)。このとき、断熱材支持金具182の縦壁部194によって断熱材188は圧縮される。
次に、図15、図17(B)、図18に示されるように、紐部材52で保持された梁下断熱材180を断熱材支持金具182に係止させる。具体的に説明すると、断熱材支持金具182の支持片192の自由端部にそれぞれ形成された係止孔196の周辺部196Aに対して、紐部材52に設けられたフック54を係止させる(第2断熱材保持工程)。
また、床大梁18と同様に、床大梁186の下フランジ186Cを断熱材支持金具184の固定部200内へ進入させ、床大梁186に断熱材支持金具184を固定させる(断熱材支持具固定工程)。このとき、断熱材支持金具184の縦壁部(固定部)202によって断熱材188は圧縮される。
次に、図17(A)、(B)、図18に示されるように、断熱材支持金具184の支持片204の自由端部にそれぞれ形成された係止孔206の周辺部206Aに対して、紐部材52に設けられたフック54を係止させる(第2断熱材保持工程)。
これにより、図18に示されるように、梁下断熱材180が床下断熱材24及び断熱材188に接触し、床下断熱材24と梁下断熱材180とが連続的に設けられると共に、床下断熱材198と梁下断熱材180とが連続的に設けられる。その結果、当該床下断熱材24、198及び梁下断熱材180によって、床大梁18のウエブ18A、床大梁186のウエブ186Aを含んで床大梁18の下部19及び床大梁186の下部187が覆われることとなる。これにより、床大梁18及び床大梁186の熱橋対策を図ることができる。
<第4実施形態>
上記第3実施形態では、図18に示されるように、隣り合って配置された建物ユニット12の床大梁18及び建物ユニット14の床大梁186に固定され、当該床大梁18の下部19及び床大梁186の下部187を覆う梁下断熱材180を支持する断熱材支持金具182、184について説明した。
これに対して、本実施形態では、図20に示されるように、ユニット建物11の外壁を含む建物ユニット210の床大梁212に固定され、当該床大梁212の下部213を覆う梁下断熱材(第2断熱材)214を支持する断熱材支持金具(断熱材支持具)216について説明する。なお、以下の説明において、第3実施形態と略同じ構成については同じ符号を用いて説明を割愛する。
(断熱材支持具の構成)
以下、本実施形態に係る断熱材支持具の構成について説明する。
図19には、本実施の形態に係る断熱材支持金具216を右斜め前方側から見た斜視図が示されている。図19に示されるように、断熱材支持金具216は、固定部218と、係止孔220の周辺部(支持部)220A、係止孔222の周辺部(支持部)222Aと、を含んで構成されている。
固定部218は、断熱材支持金具216の下部を構成している。また、係止孔220は、断熱材支持金具182と同様に、断熱材支持金具216の上部を構成する支持片224の自由端部に形成されている。そして、固定部218と支持片224の間には、両者を繋ぐ縦壁部(固定部)226が設けられている。
固定部218は、図20に示されるように、床大梁212の下フランジ212Cを挟持可能としている。図19に示されるように、固定部218は湾曲して形成されており、当該固定部218内に床大梁212の下フランジ212Cが進入可能とされる。固定部218の口部218A側は、奥部218B側よりも上下方向の隙間が小さくなっており、固定部218内に床大梁212の下フランジ212Cが進入する際、当該固定部218は弾性変形し、当該固定部218によって床大梁212の下フランジ212Cが挟持される。
ここで、固定部218の口部218Aからは、平面視で略矩形状を成す支持片228が支持片224とは反対側へ向かって縦壁部226から離間する方向へ略水平方向に延びている。支持片228は、床大梁212の下フランジ212Cの長さよりも長く形成され、当該床大梁212の熱橋対策を図るために必要な長さとなるように設定されている。
そして、支持片224に形成された係止孔220の周辺部220A、及び支持片228に形成された係止孔222の周辺部222Aに、図20に示す梁下断熱材214を保持する紐部材52のフック54がそれぞれ係止可能とされる。
図20に示されるように、支持片224に形成された係止孔220の周辺部220A、支持片228に形成された係止孔222の周辺部222Aに、梁下断熱材214を保持する紐部材52のフック54がそれぞれ係止された状態で、梁下断熱材214は、床下断熱材24及び断熱材188に接触する。これにより、床下断熱材24と梁下断熱材214とが連続的に設けられると共に、断熱材188と梁下断熱材214とが連続的に設けられる。つまり、梁下断熱材214、床下断熱材24及び断熱材188によって、床大梁212は覆われることとなり、これにより、床大梁212の熱橋対策を図ることができる。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した実施形態及び変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。