JP2020075689A - 自動二輪車の変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トップギヤとオーバートップとの切換を自動で行うことが簡単な構成でできるようにして、エンジンの低回転運転による燃費向上を低価格ニーズの自動二輪車で可能とする変速装置を提供すること。【解決手段】変速機主軸上にはクランク軸から駆動されたクラッチが游動する入力軸を備え、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路を備えて、2つの経路を切り換える切換装置を備えるようにした。【選択図】図2
Description
本発明は、クランク軸から減速して入力されクランク軸と平行に配置されて複数のギヤ対を用いた変速機から後輪を駆動する自動二輪車の変速装置に関する。
一般に二輪車はスロットル操作に応じた軽快な走行を可能とするため走行速度に対して比較的エンジン回転数を高くして運転する設定となっており、マニュアル操作の多段式変速機が用いられている。
ところで、二輪車においても燃費改善についての要求が高まっており、郊外などの信号の少ない平坦路などを走行する際には頻繁なスロットル開閉操作をする必要がないため、経済的な運転をするためにはエンジン回転数を下げて運転できることが望ましい。それには、トップギヤよりももっと減速比を小さくしたオーバートップを設定することであり、変速段数を増やすことが軽快な運転と両立させることになる。
しかし、一般に運転者は速度が上がると最上段まで変速段を上げて運転するため、一旦オーバートップにシフトするとそのまま走行してしまう場合があり、そのため、途中で速度が低下してもスロットル操作だけを行って加速が悪いとか速度が出ないなど運転性に不満を持つ場合がある。必要な場合にはシフトダウンして走行することが必要であるが、運転者にとってシフトダウンする操作は面倒でもあるが、それ以前にオーバートップの目的についての理解が少ない場合がある。
自動二輪車でも燃費が求められるのはコミュータとしての用途である場合が多いが、コミュータには誰でも使用できる簡便さが求められ、そのためオーバートップを設定するには自動でシフトできることが商品性の上から不可欠である。
ところで、二輪車においても燃費改善についての要求が高まっており、郊外などの信号の少ない平坦路などを走行する際には頻繁なスロットル開閉操作をする必要がないため、経済的な運転をするためにはエンジン回転数を下げて運転できることが望ましい。それには、トップギヤよりももっと減速比を小さくしたオーバートップを設定することであり、変速段数を増やすことが軽快な運転と両立させることになる。
しかし、一般に運転者は速度が上がると最上段まで変速段を上げて運転するため、一旦オーバートップにシフトするとそのまま走行してしまう場合があり、そのため、途中で速度が低下してもスロットル操作だけを行って加速が悪いとか速度が出ないなど運転性に不満を持つ場合がある。必要な場合にはシフトダウンして走行することが必要であるが、運転者にとってシフトダウンする操作は面倒でもあるが、それ以前にオーバートップの目的についての理解が少ない場合がある。
自動二輪車でも燃費が求められるのはコミュータとしての用途である場合が多いが、コミュータには誰でも使用できる簡便さが求められ、そのためオーバートップを設定するには自動でシフトできることが商品性の上から不可欠である。
自動二輪車においてもAMT(Automatic Manual Transmission)が用いられるようになり、マニュアル式多段変速機を用いながら自動で変速が可能なものがある。下記特許文献1及び2に開示されたものではクラッチ操作とシフト操作をモータなどのアクチュエータを用いて自動で変速を行うものである。
しかしながら、特許文献1ではクランクケースの上にアクチュエータを配置しているための搭載上の問題からリンク機構を備えているため、複雑化したりガタが増えたりする問題があった。また特許文献2では後輪駆動スプロケットの外側にモータを配置しているため、幅が大きくなるために乗車姿勢に制約が出るだけでなくモータを取り付けたスプロケットカバーを強固にする必要から重量増加などの問題があった。
更にいずれの特許文献においても2つのアクチュエータを備えることから価格が上昇してしまう問題が避けられず、コミュータ的な用途の二輪車では燃費向上に加えて低価格であることも求められるため、いずれも適用しにくいという問題があった。
更にいずれの特許文献においても2つのアクチュエータを備えることから価格が上昇してしまう問題が避けられず、コミュータ的な用途の二輪車では燃費向上に加えて低価格であることも求められるため、いずれも適用しにくいという問題があった。
かかる実情に鑑み、本発明はトップギヤとオーバートップとの切換を自動で行うことが簡単な構成でできるようにして、エンジンの低回転運転による燃費向上を低価格ニーズの自動二輪車で可能とすることを目的とする。
本発明の変速装置は、クランク軸から減速して入力されクランク軸と平行に配置されて複数のギヤ対を用いた変速機を有する二輪車の動力伝達経路において、変速機主軸上にはクランク軸から駆動されたクラッチが游動する入力軸を備え、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路を備えて、2つの経路を切り換える切換装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路はオーバートップとして変速機のトップギヤよりも小さな減速比に設定され、設定された車速とスロットル開度の運転範囲において入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路に自動で切り換えるようになったことを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、切換装置は入力軸上に備えたセレクタをモータによって軸方向に移動させてドグクラッチの噛合いを切り換えるようになったことを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、切換装置は変速機とクラッチとの間に配置されたことを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、切換装置はモータからサイクロイド減速機で減速してセレクタを作動させることを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、減速装置とモータを一体のユニットとしてクランクケースに組み付けることを特徴とする。
また、本発明の変速装置において、設定された車速とスロットル開度の運転範囲において、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路のいずれの経路も接続しない状態の運転条件を有することを特徴とする。
本発明の変速装置によれば、走行中にトップギヤとオーバートップとの切換を自動で行うことが簡単な構成でできるようになり、エンジンの低回転運転による燃費向上が可能となる。
以下、本発明の実施形態である変速装置を図面に基づいて説明する。
図1において、二輪車1はフレーム2の前方と後方に前輪3と後輪4を備え、フレーム2の中央下部に搭載したエンジン5には前傾したシリンダ6を備えており、上部に燃料タンク7が搭載され、後部にシート8を備えて運転者が乗車し、ハンドル9を操作して走行する。
図2に示すように、エンジン5はクランク11の動力を右端に備えた1次減速ドライブギヤ12から減速された1次減速ドリブンギヤ13によって多板式のクラッチ14に伝達し、クランク軸と平行に配置されて複数のギヤ対を用いた変速機15からスプロケット16に架けたチェーン17によって後輪を駆動する構成となっている。
クランク11は左クランク18と右クランク19とをクランクピン20に圧入して一体となっている。クランクピン20にはコンロッド21によって上部に図示しないピストンが取り付けられ、ベアリング22とベアリング23で支承されて左右のクランクケース24、25に取り付けられている。また、左クランク18にはエンジン始動のためのワンウェイクラッチ26を取り付けた発電器27が取り付けられている。
クラッチ14は1次減速ドリブンギヤ13からダンパー28で緩衝されてクラッチハウジング29にクランク11の動力が伝達され、複数の摩擦板30とクラッチ板31とがクラッチスプリング32によってプレッシャープレート33から加圧され、摩擦力によって動力をクラッチボス34に伝える。ハンドルに設けた図示しないクラッチレバーを操作することでレリーズアクスル35が時計方向に回動し、レリーズピース36を右に移動させることによってプレッシャープレート33を引き離して動力伝達を遮断する。
クラッチボス34はスプライン37によって入力軸38に一体に取り付けられているので、1次減速ドリブンギヤ13の動力は入力軸38に伝達される。動力切換装置の一部を構成する入力軸38は左端にスプライン39を一体に有してセレクタ40を取り付けている。スプライン39は角スプラインでもインボリュートスプラインでも構わない。
セレクタ40は両端にドグ41と42を備え、左右にスライドすることによってドライブプレート43と入力軸38上で遊動可能になっているオーバートップドライブギヤ44とに設けたドグとを選択して噛合わせることで動力を伝達する。図3に示すように、セレクタ40のドグ41は内歯の歯ドグを有しており、ドライブプレート43の外歯の歯ドグと噛合っている。
なお、ドグ43は外歯の歯ドグで、オーバートップドライブギヤ44は内場の歯ドグとなっているが、逆の組み合わせであっても構わない。
なお、ドグ43は外歯の歯ドグで、オーバートップドライブギヤ44は内場の歯ドグとなっているが、逆の組み合わせであっても構わない。
上記入力軸38は変速機15の主軸45の軸上にナット46で締め付けられたスペーサ47上で遊動可能となっている。
変速機15は左右のクランクケース24、25内に収められて、主軸45及び駆動軸48がそれぞれベアリング49、50及びベアリング51、52で支持されて、主軸45上に各々のピニオンギヤ、駆動軸48上に各々のドリブンギヤが備えられ、左から2速、トップ(5速)、4速、3速、1速の順に配列された5段変速機で構成されている。変速は図示しないシフトペダルによってシフトカムが回動し、シフトフォークによって摺動ギヤを左右にスライドさせてドグの噛合いを選択することで行う。なお、変速ギヤの配列は他の配列であっても構わない。
駆動軸48の右端にはスプラインによってオーバートップドリブンギヤ53が取り付けられ、オーバートップドライブギヤ44と噛み合っている。そして、オーバートップドライブギヤ44の歯数は変速ギヤのトップギヤの歯数よりも大きく、即ち、ギヤ対としてトップギヤよりも小さな減速比となっている。
また、左右のクランクケース24、25には発電器カバー54とクラッチカバー55とが取り付けられている。なお、クラッチカバー55はレリーズアクスル35を取り付け支持している。
図4に示すように、ドライブプレート43はベアリング50の支持部43aを備えて、端部に凹部43bを有している。また、図5に示すジョイント56にはベアリング50の支持部56a端部に凸部56bを備えており、そして、ドライブプレート43の凹部43bとジョイント56の凸部56bが嵌まるように組み合わされる。更に、ジョイント56は左端部に1速ピニオンギヤ歯面を収容する凹部56cを有しており、これによって主軸45と結合される。このため、ドライブプレート43はジョイント56を通して主軸45と一体で回転し動力伝達する。ここでドライブプレート43から駆動軸48までの動力伝達経路にセレクタ40とドライブプレート43のドグが追加されたことになるが、図3に示したようにセレクタ40とドライブプレート43は歯ドグで結合しているためドグの噛合いラッシュが小さいので、ミッションギヤのドグの噛合いラッシュを含めて動力伝達経路全体としてラッシュを大きくすることがない。そのため、スロットルの開閉に駆動が遅れることなく運転できる。
そして、切換装置を説明する図6及び図7に示すように、セレクタ40には溝部に先端が二股になったセレクトフォーク57が挿入されておりセレクトフォーク57はボス部57aによってガイドピン58にスライド可能に支持されている。ガイドピン58上でセレクトフォーク57が左右にスライドすることによりセレクタ40が左右に移動する。ガイドピン58は右クランクケース25に挿入されてガイドピン58に一体のフランジ部58aを有してボルト59によって取り付け固定されている。そして、図8に示すようにボス部57aには溝60が設けられピン61が収容されている。
減速装置について説明すると、シフトモータ62は出力軸63を有し、出力軸63にセレーション結合された駆動軸64がホルダ65に支持された軸受け66で支承されており、出力軸63の先端に中心からeだけ偏芯した入力ピン67を備える。pは出力軸63の軸心である。
減速機はサイクロイド減速機と呼ばれるもので、入力ピン67から軸受け68を介して、図9に示すように、中心がeだけ偏芯した位置の遊星歯車69がケース74に圧入された中心がpの内歯歯車70と噛合っており、遊星歯車69の歯数は内歯歯車70より1歯少なくなっている。干渉なく噛み合わせるため歯車はサイクロイド歯形を用いると内歯歯車と遊星歯車の歯数差を最小とできやすいが、インボリュート歯形であっても構わない。
出力軸63がpを中心に1回転すると入力ピン67がeだけ偏芯して1回転するため、遊星歯車69は偏芯しながら内歯歯車70の周りを回転するが、歯数の違いによって1歯ずれた状態となる。遊星歯車69に一体に設けた複数のギヤピン71はピン穴72の中で偏芯して揺動しながら1歯ずれ分だけピン穴72を移動させる。こうしてピン穴72を設けた駆動盤73が1歯ずれ分だけ回動するため、一体に設けられたピン61を軸心pと同芯上で回動させる。なお、上記減速装置は一体にケース74内に収容され、シフトモータ62を組み付けてユニットとして右クランクケース25に取り付けている。
このように、出力軸63の1回転で遊星歯車69の1歯ずつの回動を駆動盤73に与えるので、1組の遊星歯車と内歯歯車の組み合わせだけで大きな減速比が得られ、しかも、出力軸63と駆動盤73が同芯であるため最も小型に配置できる。
なお、大型化するがサイクロイド減速機に替えてピニオンとドリブンギヤからなるギヤ対を組み合わせた一般的な減速装置を用いることも可能である。
このように、出力軸63の1回転で遊星歯車69の1歯ずつの回動を駆動盤73に与えるので、1組の遊星歯車と内歯歯車の組み合わせだけで大きな減速比が得られ、しかも、出力軸63と駆動盤73が同芯であるため最も小型に配置できる。
なお、大型化するがサイクロイド減速機に替えてピニオンとドリブンギヤからなるギヤ対を組み合わせた一般的な減速装置を用いることも可能である。
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図8に示したピン61が軸心pから最も左にある状態では、図6に示したようにセレクタ40が左にあり、ドグ41がドライブプレート43と噛合っているため、図2に示したようにクランク11の動力はクラッチ14のクラッチボス34から入力軸38によってセレクタ40に伝達され主軸45を回転させる。そして運転者が適宜、変速ギヤを選択して走行する。
図8に示したピン61が軸心pから最も左にある状態では、図6に示したようにセレクタ40が左にあり、ドグ41がドライブプレート43と噛合っているため、図2に示したようにクランク11の動力はクラッチ14のクラッチボス34から入力軸38によってセレクタ40に伝達され主軸45を回転させる。そして運転者が適宜、変速ギヤを選択して走行する。
トップギヤで走行中、図10に示した車速とスロットル開度の運転条件においてオーバートップでの走行が可能となる。例えば制限速度範囲で巡航走行しているような条件であり、実線はトップギヤ(T)からオーバートップ(OT)へのアップシフト時の変速線、破線はオーバートップからトップギヤへのダウンシフト時の変速線である。スロットル小・中開度の制限速度からの緩加速時などではオーバートップにアップシフトし、スロットル高開度の急加速時や高速走行時にはトップギヤへのダウンシフトやトップギヤを維持しての走行となるようにして、走行性能を落とさないようにしている。アップシフトとダウンシフトのポイントに差を設けて、同一変速点とした場合の頻繁な変速をさせないようになっている。
なお、オーバートップ範囲の設定は図10に限らず要求に応じて設定できることは勿論である。
なお、オーバートップ範囲の設定は図10に限らず要求に応じて設定できることは勿論である。
自動でシフトをするために図11に示すように、エンジン回転数、スロットル開度、トップギヤのシフトポジジョンを検出し、ECUによって点火時期とシフトモータ62を制御する。なお、オーバートップへのシフトをキャンセルする信号も入力できる。
図10のオーバートップ域になると、ECUからの指令によってシフトモータ62を回転させると遊星歯車69のギヤピン71によってピン穴72を設けた駆動盤73が回動し、図8においてピン61中心をrの位置に移動するため、図12に示したようにセレクトフォーク57が右側に移動してセレクタ40のドグ42がオーバートップドライブギヤ44のドグと噛合う。これによって、入力軸38の動力はセレクタ40からオーバートップドライブギヤ44に伝達されて、オーバートップドリブンギヤ53から変速機15の駆動軸48を駆動する。このため、同じ車速でクランク11の回転を低くして運転できる。
上記のシフト切り換えを円滑に行うため、切り換え時にECUによって点火時期を一瞬遅角する。これによってクランク11の発生トルクが低下するためドライブプレート43とドグ41の間の摩擦を低下させてセレクタ40の移動を容易としている。更に、図8に示したように、ピン61は駆動板73が180度回動してrに移動するようになっているので、切り換え初めにセレクタ40を軸方向に移動させる力を最大とできる。そのため、スロットルを開けたままでの変速を可能としている。なお、シフト時のクランク回転数変化によるショックは1次減速ドリブンギヤ13に設けたダンパー28で緩衝する。このようにして1つのシフトモータだけで変速を可能としている。
なお、点火時期遅角でなく燃料噴射量を減らしてトルクを低下させてもよい。
なお、点火時期遅角でなく燃料噴射量を減らしてトルクを低下させてもよい。
オーバートップからトップギヤへのシフトダウン時においては、シフトモータ62の回転によってrにあったピン61を左に移動し図8の状態に戻し、図6に示したセレクタ40の位置での噛み合いとする。
なお、右クランクケース25には油孔75が設けられており、1次減速ドリブンギヤ13の回転による潤滑油飛沫を捕らえてケース74とホルダ65の溝を通して減速装置の内部に導入し、遊星歯車69などを潤滑する。
以上説明したように、本発明の変速装置によれば、変速機主軸上にはクランク軸から駆動されたクラッチが游動する入力軸を備え、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路を備えて、2つの経路を切り換える切換装置を備えたので、従来の変速機及びシフト装置には手を加えることなく簡単な構成でオーバートップへの変速を可能とすることができる。
また、入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路はオーバートップとして変速機のトップギヤよりも小さな減速比に設定され、設定された車速とスロットル開度の運転範囲において入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路に自動で切り換えることができるので運転者にとって操作が簡便で、経済性が求められる常用運転範囲におけるエンジンの低回転運転を可能として燃費を向上できる。
また、切換装置は入力軸上に備えたセレクタをモータによって軸方向に移動させてドグクラッチの噛合いを切り換えるので、素早い切換えと確実な動力伝達が可能とできるだけでなく、1つのモータだけで変速を実現しているので安価に実施でき、コミュータとしての自動二輪車への適用が可能とできる。
また、切換装置は変速機とクラッチとの間に配置したので、クラッチカバーを外せば保守点検が可能である。またシフトモータを前傾シリンダの後方でクラッチの内側のスペースに配置できることから、シフトモータの取り付けがエンジン全体の構成に影響することがないため大型化することがないので、従来例のような後輪駆動スプロケットの外側に配置して脚の邪魔になるなど乗車時姿勢に影響が生じることがない。
また、切換装置はモータからサイクロイド減速機で減速してセレクタを作動させるので、モータと同軸上でかつ1段の減速で大きな減速比が得られるため、簡単で軽量な減速機で構成できるのでエンジンを大型化することなく、従来例のようなリンク機構による複雑化やガタを生じることがなく実現できる。
また、減速装置とモータを一体のユニットとしてクランクケースに組み付けるので、作動信頼性が高められるとともに工場での組み付け性が向上する。
更に本発明の他の実施形態について説明する。
図13に示したように、セレクタ40を左右の中間に位置させることによって動力伝達をカットした状態とするものである。
ハンドルに設けたスロットルグリップを、全閉にしたアイドリング開度の状態からスロットルが開き始めるまでの間に若干の余裕を持たせ、即ち、スロットル全閉でもないが開いてもいないという区間を設ける。
車両が所定の速度になった時、スロットルを全閉でもないが開いてもいないという区間にすると、ECUからの指令によってセレクトフォーク57を左右の中間の位置にしてセレクタ40が動力伝達をカットした状態にする。これはエンジンからの駆動もエンジンブレーキも働かない状態なので惰性走行する。これによって長い距離を速度を維持して走行できる。このとき点火カットあるいは燃料カットしてエンジンを停止することで燃料を消費することなく走行可能とできる。
惰性走行中にスロットルグリップを全閉にするとセレクタ40が移動してエンジンブレーキがかかり、逆にスロットルグリップを開けるとセレクタ40が移動して同時にエンジンが運転を開始する。このため惰性走行からエンジン運転走行への移行が円滑にできる。また、ブレーキを作動するとセレクタ40が移動してドグが噛合い、エンジンブレーキがかかる制御を加えることもできる。
惰性走行中にスロットルグリップを全閉にするとセレクタ40が移動してエンジンブレーキがかかり、逆にスロットルグリップを開けるとセレクタ40が移動して同時にエンジンが運転を開始する。このため惰性走行からエンジン運転走行への移行が円滑にできる。また、ブレーキを作動するとセレクタ40が移動してドグが噛合い、エンジンブレーキがかかる制御を加えることもできる。
惰性走行可能範囲は図10のオーバートップ範囲であっても良いし、別の範囲を設定することも可能である。
上記によれば、設定された車速とスロットル開度の運転範囲において、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路のいずれの経路も接続しない状態の運転条件を有することで、エンジンを停止しての惰性走行が可能となり、燃費向上が可能となる。
以上、トップギヤとオーバートップとの切換を自動で行うことが簡単な構成でできるようにして、エンジンの低回転運転による燃費向上を可能とする本発明を実施形態に基づいて説明したが、変速機は5段でなくても構わないし、エンジンは多気筒であっても適用可能である。また、コミュータ的な用途の低価格の二輪車だけでなく、スポーツタイプの自動二輪車や前輪が2輪である鞍乗型車両などにも適用可能である。
1 二輪車 2 フレーム
3 前輪 4 後輪
5 エンジン 6 シリンダ
7 燃料タンク 8 シート
9 ハンドル 11 クランク
12 1次減速ドライブギヤ 13 1次減速ドリブンギヤ
14 クラッチ 15 変速機
34 クラッチボス 38 入力軸
40 セレクタ 43 ドライブプレート
44 オーバートップドライブギヤ 45 主軸
48 駆動軸 53 オーバートップドリブンギヤ
57 セレクトフォーク 58 ガイドピン
62 シフトモータ 63 出力軸
67 入力ピン 69 遊星歯車
70 内歯歯車 73 駆動盤
74 ケース
3 前輪 4 後輪
5 エンジン 6 シリンダ
7 燃料タンク 8 シート
9 ハンドル 11 クランク
12 1次減速ドライブギヤ 13 1次減速ドリブンギヤ
14 クラッチ 15 変速機
34 クラッチボス 38 入力軸
40 セレクタ 43 ドライブプレート
44 オーバートップドライブギヤ 45 主軸
48 駆動軸 53 オーバートップドリブンギヤ
57 セレクトフォーク 58 ガイドピン
62 シフトモータ 63 出力軸
67 入力ピン 69 遊星歯車
70 内歯歯車 73 駆動盤
74 ケース
Claims (7)
- クランク軸から減速して入力されクランク軸と平行に配置されて複数のギヤ対を用いた変速機を有する自動二輪車の動力伝達経路において、変速機主軸上にはクランク軸から駆動されたクラッチが游動する入力軸を備え、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路を備えて、2つの経路を切り換える切換装置を備えたことを特徴とする自動二輪車の変速装置。
- 入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路はオーバートップとして変速機のトップギヤよりも小さな減速比に設定され、設定された車速とスロットル開度の運転範囲において入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路に自動で切り換えるようになったことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の変速装置。
- 切換装置は入力軸上に備えたセレクタをモータによって軸方向に移動させてドグクラッチの噛合いを切り換えるようになったことを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車の変速装置。
- 切換装置は変速機とクラッチとの間に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の二輪車の変速機装置。
- 切換装置はモータからサイクロイド減速機で減速してセレクタを作動させることを特徴とする請求項3〜4に記載の自動二輪車の変速装置。
- 減速装置とモータを一体のユニットとしてクランクケースに組み付けることを特徴とする請求項5に記載の自動二輪車の変速装置。
- 設定された車速とスロットル開度の運転範囲において、入力軸から変速機主軸を駆動する経路と入力軸から変速機駆動軸を駆動する経路のいずれの経路も接続しない状態の運転条件を有することを特徴とする請求項1及び請求項3に記載の自動二輪車の変速装置。
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