JP2020075221A - フィルタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】、濾過部の圧力損失を低減させ得るとともに、フランジ部の強度を高めることができるフィルタの製造方法を提供する。【解決手段】本フィルタの製造方法は、ひだ折りされたろ材11の外周部を平坦状に加熱圧縮して、ひだ折りされた濾過部2の周縁にフランジ部3を備えるフィルタ1を製造するフィルタの製造方法であって、ろ材のひだ折方向Qの両側14を複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、ろ材のひだ幅方向Pの両側15を平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程と、加熱圧縮されたろ材のひだ幅方向Pの両側15を内側に折り込む折込み加工工と、折り込まれたろ材のひだ幅方向Pの両側15を加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、フィルタの製造方法に関し、さらに詳しくは、ひだ折りされた濾過部の外周にフランジ部を備えるフィルタの製造方法に関する。
従来のフィルタとして、例えば、図10(a)に示されるように、ひだ折りされた濾過部102の周縁にフランジ部103を備えるエアフィルタ101が一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、例えば、図11に示されるように、成形型117でひだ折りされたろ材111(図10(b)参照)の外周部を加熱圧縮することで、ひだ折りされた濾過部102の周縁にフランジ部103を備えるエアフィルタ101を製造する製法が記載されている。このエアフィルタ101において、濾過部102は、ろ材111の単層の部分で形成され、フランジ部103は、ろ材111が複数重ねられた部分で形成される。
特開2016−211081号公報
しかし、上記特許文献1に記載されたエアフィルタの製造方法では、ひだ折りされたろ材111の外周部を単純に加熱圧縮しているため、ひだの倒れ方向が制御されておらず、図10(a)に示されるように、フランジ部103のひだ幅方向Pの両側115に低目付の箇所U(すなわち、ろ材111の単層の部分で形成された箇所U)が生じ、フランジ部103の強度が低下してしまう。このフランジ部103の強度低下は、濾過部102の圧力損失の低減を目的として低目付のろ材111を使用する場合に問題となる。
ここで、上記フランジ部103の強度を向上させるために、以下の対策が考えられるが、背反する問題が生じる。例えば、フランジ部103の低目付の箇所Uを強度が掛かり難い箇所に部分的にずらす対策では、暫定的な対策となる。また、高目付のろ材111を使用する対策では、濾過部102の圧力損失が高くなる。さらに、フランジ部103に対して樹脂枠をインサート成形する対策では、コストアップとなり、さらに形状の組付自由度(例えば、曲げて組付ける等)が低い。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、濾過部の圧力損失を低減させ得るとともに、フランジ部の強度を高めることができるフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ひだ折りされたろ材の外周部を平坦状に加熱圧縮して、ひだ折りされた濾過部の周縁にフランジ部を備えるフィルタを製造するフィルタの製造方法であって、前記ろ材のひだ折方向の両側のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程と、加熱圧縮された前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に折り込む折込み加工工程と、折り込まれた前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1加熱圧縮成形工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に仮折りする仮折り加工工程を含み、前記折込み加工工程は、仮折りされた前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込むことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記仮折り加工工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ろ材のひだ幅方向に沿う断面でL字状に仮折りすることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は2に記載の発明において、前記第1加熱圧縮成形工程は、成形型に前記ろ材を配置するとともに、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮し、前記仮折り加工工程は、前記成形型に備えられる仮折り機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを仮折りし、前記折込み加工工程は、前記成形型に備えられる折込み機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込み、前記第2加熱圧縮成形工程は、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮することを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記折込み加工工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ひだが立ち上がる側の表面同士が重なるように折り込むことを要旨とする。
本発明のフィルタの製造方法によると、ろ材のひだ折方向の両側のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程と、加熱圧縮されたろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に折り込む折込み加工工程と、折り込まれたろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程と、を備える。これにより、得られたフィルタにおいて、濾過部は、ろ材の単層の部分から主に形成される一方、フランジ部は、ろ材が重ねられた部分から主に形成される。よって、濾過部の圧力損失を低減させ得るとともに、フランジ部の強度を高めることができる。
また、前記第1加熱圧縮成形工程が、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に向かって仮折りする仮折り加工工程を含み、前記折込み加工工程が、仮折りされた前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込む場合は、ろ材の所定部を容易且つ正確に折り込むことができる。
また、前記仮折り加工工程が、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ろ材のひだ幅方向に沿う断面でL字状に仮折りする場合は、ろ材の所定部を更に容易且つ正確に折り込むことができる。
また、前記第1加熱圧縮成形工程が、成形型に前記ろ材を配置するとともに、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮し、前記仮折り加工工程が、前記成形型に備えられる仮折り機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを仮折りし、前記折込み加工工程が、前記成形型に備えられる折込み機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込み、前記第2加熱圧縮成形工程が、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮する場合は、フィルタを効率良く製造できる。さらに、成形型に備えられる仮折り機構及び折込み機構でろ材の所定部を仮折りして折り込むため、ろ材の所定部を容易且つ正確に折り込むことができる。
さらに、前記折込み加工工程が、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ひだが立ち上がる側の表面同士が重なるように折り込む場合は、ろ材の所定部を容易且つ正確に折り込むことができる。さらに、フィルタのろ過効率の低下を抑制できる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例に係るフィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)はろ材をセットした状態を示し、(b)は型開き状態の成形型の断面図を示し、(c)は型締め状態の成形型の断面図を示す。 上記フィルタの製造方法(第1加熱圧縮成形工程)を説明するための説明図であり、(a)は図1のa−a線断面図を示し、(b)は図1のb−b線断面を示し、(c)は仮折り加工工程を示す。 上記フィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)は折込み加工工程を示し、(b)は第2加熱圧縮成形工程を示す。 上記ろ材を説明するための説明図であり、(a)はろ材の斜視図を示し、(b)はろ材の平面図を示し、(c)はc−c線断面図を示す。 上記ろ材を説明するための説明図であり、(a)は仮折りされたろ材の斜視図を示し、(b)は折り込まれたろ材の斜視図を示す。 上記フィルタを説明するための説明図であり、(a)はフィルタの斜視図を示し、(b)はフィルタの平面図を示し、(c)はc−c線断面図を示す。 上記フィルタの使用形態を説明するための説明図である。 他の形態に係る仮折り加工工程を説明するための説明図であり、(a)は薄肉部を設けて仮折りされたろ材の要部斜視図を示し、(b)はミシン目を設けて仮折りされたろ材の要部斜視図を示す。 他の形態に係る折込み加工工程を説明するための説明図であり、(a)はろ材の所定部がひだ側壁を覆うように折り込まれた形態を示し、(c)はろ材の所定部がひだの近傍部位で重ならないように折り込まれた形態を示し、(a)はろ材の所定部の表面同士が対向するように折り込まれた形態を示す。 従来のフィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)はフィルタの斜視図を示し、(b)はろ材の斜視図を示す。 従来のフィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)は成形型にろ材をセットした状態を示し、(b)は成形型でろ材を加熱圧縮した状態を示す。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本実施形態に係るフィルタの製造方法は、ひだ折りされたろ材(11)の外周部を平坦状に加熱圧縮して、ひだ折りされた濾過部(2)の周縁にフランジ部(3)を備えるフィルタ(1)を製造するフィルタの製造方法であって、ろ材(11)のひだ折方向(Q)の両側(14)のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、ろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程(例えば、図1(c)及び図2(b)等参照)と、加熱圧縮されたろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを内側に折り込む折込み加工工程(例えば、図3(a)等参照)と、折り込まれたろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程(例えば、図3(b)等参照)と、を備える。
本実施形態に係るフィルタの製造方法としては、例えば、上記第1加熱圧縮成形工程は、ろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを内側に仮折りする仮折り加工工程(例えば、図2(c)等参照)を含み、折込み加工工程は、仮折りされたろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを折り込む形態が挙げられる。
上述の形態の場合、例えば、上記仮折り加工工程は、ろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを、ろ材のひだ幅方向(P)に沿う断面でL字状に仮折りすることができる(例えば、図5(a)等参照)。
上述の形態の場合、例えば、上記第1加熱圧縮成形工程は、成形型(17)にろ材(11)を配置するとともに、成形型(17)でろ材(11)を加熱圧縮し、仮折り加工工程は、成形型(17)に備えられる仮折り機構(23)でろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)を仮折りし、折込み加工工程は、成形型(17)に備えられる折込み機構(26)でろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)を折り込み、第2加熱圧縮成形工程は、成形型(17)でろ材(11)を加熱圧縮する形態が挙げられる(例えば、図2及び図3等参照)。
上記仮折り機構(23)は、例えば、成形型(17)を構成する開閉可能な一対の型(18、19)のそれぞれに備えられる外型(24)及び内型(25)により構成され、外型(24)は、ろ材(11)の所定部(15)を加熱圧縮するための型であり、内型(25)は、外型(24)の内側に配置されてろ材(11)の所定部(15)の内側を加熱圧縮するための型であるとともに、外型(24)に対して開閉方向(T)に移動可能に設けられていることができる(例えば、図2等参照)。
上記折込み機構(26)は、例えば、成形型(17)を構成する開閉可能な一対の型(18、19)のうちの一方の型(19)に備えられるスライダ(27)により構成され、スライダ(27)は、成形型(17)の内側に出没するように開閉方向(T)に対して交差する方向にスライド可能に設けられていることができる(例えば、図3等参照)。
本実施形態に係るフィルタの製造方法としては、例えば、上記折込み加工工程は、ろ材(11)のひだ幅方向(P)の両側(15)のそれぞれを、ひだが立ち上がる側の表面同士が重なるように折り込む形態が挙げられる(例えば、図3(a)等参照)。
なお、上記ろ材(11)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。このろ材(11)は、例えば、不織布により形成されていることができる。この不織布の目付量としては、例えば、30〜150g/m(好ましくは50〜100g/m、特に50〜80g/m)が挙げられる。また、不織布は、例えば、熱融着性繊維(特に、融点の異なる複数の熱融着性繊維)を含むことができる。この熱融着性繊維の材質としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を利用できる。また、不織布は、例えば、上述の熱融着性繊維と補強繊維とを含んでいることができる。この補強繊維としては、例えば、無機繊維(ガラス繊維等)や有機繊維(植物繊維、動物繊維等の天然繊維や化学繊維)を利用できる。
上記フィルタ(1)の用途、形状、大きさ等は特に問わない。このフィルタとしては、例えば、フランジ部(3)の目付量が濾過部(2)のうちのひだ幅方向(P)の側壁(4)を除く部位の目付量よりも大きい形態が挙げられる(例えば、図6等参照)。このフランジ部(3)の目付量(T1)と濾過部(2)の目付量(T2)との比(T1/T2)としては、例えば、1.5〜10(好ましくは2.0〜7、特に2.5〜5)が挙げられる。これにより、濾過部の圧力損失の低減とフランジ部の強度向上とを効果的に両立させることができる。
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「フィルタ」として、車両室内Rから外部へ送出されるエアをろ過するエアフィルタ1を例示する(図7参照)。
(1)エアフィルタの構成
本実施系に係るエアフィルタ1は、図6に示すように、ひだ折りされた濾過部2と、濾過部2の周縁に設けられるフランジ部3と、を備えている。この濾過部2のひだは、山部と谷部がひだ折方向Qに沿って連続して形成されている。さらに、濾過部2のひだ幅方向Pの両端側は、側壁4により閉塞されている。さらに、フランジ部3の目付量(例えば、200g/m以上)は、濾過部2の側壁4を除く部位の目付量(例えば、70g/m以下)よりも大きい。
上記エアフィルタ1は、ハイブリッド車両におけるバッテリの冷却装置(図示省略)に搭載される。このエアフィルタ1は、図7に示すように、そのフランジ部3を湾曲枠状のベゼル5に支持し、そのベゼル5を区画壁6に着脱自在に取り付けることで、車両室内Rとバッテリ収容室Sを区画するように配置される。このベゼル5に支持された状態において、エアフィルタ1は、ベゼル5の湾曲形状に沿って曲げられる。そして、バッテリ収容室Sの区画壁6からベゼル5とともにエアフィルタ1を取り外すことで、エアフィルタ1の点検・清掃等が実施される。
なお、上記エアフィル1としては、フランジ部3が平坦状のままでベゼル5に支持される形態を採用してもよい。
ここで、上記エアフィルタ1でろ過する車両室内Rのエアは、内燃機関の吸気系のエアクリーナ等で用いられるエアフィルタでろ過する外気よりも汚染度が低い。そのため、エアフィルタ1には、圧力損失の低減を目的として低目付のろ材(不織布)11を使用することが求められる。
(2)エアフィルタの製造方法
本実施例に係るエアフィルタ1の製造方法は、ひだ折りされたろ材11の外周部を平坦状に加熱圧縮して、ひだ折りされた濾過部2の周縁にフランジ部3を備えるエアフィルタ1を製造する製法である。このエアフィルタ1の製造方法は、以下に述べる第1加熱圧縮成形工程、折込み加工工程及び第2加熱圧縮成形工程を備えている。この第1加熱圧縮成形工程は、以下に述べる仮折り加工工程を含んでいる。このエアフィルタ1の製造方法では、成形型17を用いてろ材11からエアフィルタ1が得られる。
上記ろ材11は、図4に示すように、不織布を山部と谷部が連続するように規則的に折り返してひだ折りされている。このろ材11のひだ折方向Q(すなわち、ひだ連続方向Q)の両側14は、複数(図中3つ)折り返されている。さらに、ろ材11の目付量は、約60g/mとされている。
上記成形型17は、図1に示すように、開閉可能な一対の上型18及び下型19を備えている。これら各型18、19は、濾過部2を形成するためのひだ状面20と、フランジ部3を形成するための平坦状面21と、を備えている。この平坦状面21は、ひだ状面20を囲むようにひだ状面20の外周側に配置されている。また、成形型17には、以下に述べる仮折り機構23及び折込み機構26が備えられている。
上記仮折り機構23は、図2に示すように、各型18、19に備えられる外型24及び内型25により構成されている。この外型24は、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15を加熱圧縮するための型である。また、内型25は、外型24の内側に配置されてろ材11の所定部15の内側を加熱圧縮するための型である。さらに、内型25は、外型24に対して開閉方向T(すなわち、上下方向T)に移動可能に設けられている。
上記折込み機構26は、図3に示すように、下型19(具体的に、外型24)に備えられる突起状のスライダ27により構成されている。このスライダ27は、成形型17の内側に出没するように開閉方向Tに対して交差する方向にスライド可能に設けられている。
上記第1加熱圧縮成形工程は、図1及び図2に示すように、ろ材11のひだ折方向Qの両側14のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する工程である。この第1加熱圧縮成形工程では、成形型17にろ材11が配置されるとともに、成形型17でろ材11が加熱圧縮される。
具体的に、ろ材11を分離型29上にセットし(図1(a)参照)、その分離型29を型開き状態の成形型17の下型19に取り付ける(図1(b)及び図2(a)参照)。次に、成形型17を型締めすることで、各型18、19のひだ状面20の間でろ材11が加熱圧縮されて濾過部の中間体2’が形成されるとともに、各型18、19の平坦状面21の間でろ材11が加熱圧縮されてフランジ部の中間体3’が形成される(図1(c)及び図2(b)参照)。次いで、仮折り加工工程が行われる。
上記仮折り加工工程は、図2(c)に示すように、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを内側に仮折り(筋付け)する工程である。この仮折り加工工程では、成形型17に備えられる仮折り機構23でろ材11の所定部15が仮折りされる。また、仮折り加工工程は、成形型17の型締め状態で行われる。
具体的に、成形型17の型締め状態で、外型24及び内型25のうちで少なくとも外型24の加圧力を若干緩めて、各外型24に対して各内型25を下方に移動させる。これにより、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15は、ろ材11のひだ幅方向Pの断面でL字状に仮折りされる(図5(a)参照)。この仮折りされたろ材11の所定部15は、外型24内に位置するスライダ27と対向する。
ここで、図5(a)に示すように、上記濾過部の中間体2’の側壁4’を除く部位は、ろ材11の単層の部分から形成されている。また、フランジ部の中間体3’のうちのろ材11のひだ折方向Qの両側14は、ろ材11が重ねられた部分から形成されている。さらに、フランジ部の中間体3’のうちのろ材11のひだ幅方向Pの両側15及び濾過部の中間体2’の側壁4’は、その大部分がろ材11のひだが倒れて重ねられた部分から形成されているが、ひだの倒れ方向によってはろ材11の単層の部分から形成される箇所が生じる。
上記折込み加工工程は、図3(a)に示すように、仮折り加工工程で仮折りされたろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを内側に折り込む工程である。この折込み加工工程では、成形型17に備えられる折込み機構26でろ材11の所定部15が折り込まれる。また、折込み加工工程は、成形型17の型開き状態で行われる。
具体的に、第1加熱圧縮成形工程の後に成形型17を型開き状態とし、スライダ27を成形型17の内側に突出させる。この突出されたスライダ27の押圧により、仮折りされたろ材11のひだ幅方向Pの両側15は、ひだの立ち上がる側の表面同士が重なるようにろ材11の内側に折り畳まれる(図5(b)参照)。その後、スライダ27は、成形型17の内側から退避した元の位置に戻される。
上記第2加熱圧縮成形工程は、図3(b)に示すように、折込み加工工程で折り込まれたろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを加熱圧縮する工程である。この第2加熱圧縮工程では、成形型17でろ材11が加熱圧縮される。
具体的に、折込み加工工程の後に成形型17を型締めすることで、各型18、19のひだ状面20の間で濾過部の中間体2’が加熱圧縮されて冷却固化後に濾過部2が形成されるとともに、各型18、19の平坦状面21の間でフランジ部の中間体3’が加熱圧縮されて冷却固化後にフランジ部3が形成される。その結果、ひだ折りされた濾過部2の周縁にフランジ部3を備えるエアフィルタ1が得られる。
なお、上記第2加熱圧縮成形工程の加熱圧縮は、第1加熱圧縮工程の加熱圧縮よりも大きな加圧力及び/又は長い加圧時間で行わる。
ここで、図6に示すように、濾過部2の側壁4を除く部位は、ろ材11の単層の部分から形成されており、低目付となっている。また、フランジ部3及び濾過部2の側壁4は、ろ材11が重ねられた部分から形成されており、高目付となっている。
(3)実施例の効果
本実施例のエアフィルタ1の製造方法によると、ろ材11のひだ折方向Qの両側14のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程と、加熱圧縮されたろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを内側に折り込む折込み加工工程と、折り込まれたろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程と、を備える。これにより、得られたフィルタ1において、濾過部2は、ろ材11の単層の部分から主に形成される一方、フランジ部3は、ろ材11が重ねられた部分から主に形成される。よって、濾過部2の圧力損失を低減させ得るとともに、フランジ部3の強度を高めることができる
ここで、ろ材11に対して別体ろ材を追加してフランジ部3を補強する形態では、別体ろ材を成形する工程が必要であり、ろ材11に対して別体ろ材を正確に位置決めして設置する必要がある。
これに対して、本実施例のエアフィルタ1の製造方法によると、別体ろ材を成形する工程を追加することなく、フランジ部3を補強できる。また、ろ材11の所定部15を正確に重ね合わせた状態で一体化して高強度のフランジ部3を形成できる。その結果、フランジ部3を濾過部2の近傍まで補強できる。さらに、シンプルな形状の場合、従来必要な余剰分のトリム加工をすることなく、製品形状を形成できる。
また、本実施例では、第1加熱圧縮成形工程は、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを内側に仮折りする仮折り加工工程を含み、折込み加工工程は、仮折りされたろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを折り込む。これにより、ろ材11の所定部15を容易且つ正確に折り込むことができる。
また、本実施例では、仮折り加工工程は、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを、ろ材11のひだ幅方向Pに沿う断面でL字状に仮折りする。これにより、ろ材11の所定部15を更に容易且つ正確に折り込むことができる。
また、本実施例では、第1加熱圧縮成形工程は、成形型17にろ材11を配置するとともに、成形型17でろ材11を加熱圧縮し、仮折り加工工程は、成形型17に備えられる仮折り機構23でろ材11のひだ幅方向Pの両側15を仮折りし、折込み加工工程は、成形型17に備えられる折込み機構26でろ材11のひだ幅方向Pの両側15を折り込み、第2加熱圧縮成形工程は、成形型17でろ材11を加熱圧縮する。これにより、エアフィルタ1を効率良く製造できる。さらに、成形型17に備えられる仮折り機構23及び折込み機構26でろ材11の所定部15を仮折りして折り込むため、ろ材11の所定部15を容易且つ正確に折り込むことができる。
さらに、本実施例では、折込み加工工程は、ろ材11のひだ幅方向Pの両側15のそれぞれを、ひだが立ち上がる側の表面同士が重なるように折り込む。これにより、ろ材11の所定部15を容易且つ正確に折り込むことができる。さらに、エアフィルタ1のろ過効率の低下を抑制できる。
これに対して、ろ材11の所定部15をひだが立ち上がる側と反対側の表面同士が重なるように折り込む形態では、濾過部2の谷部の底縁側にろ材11の重なる部分が生じる可能性があり、その場合、エアフィルタ1のろ過効率が低下してしまう。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例の仮折り加工工程においては、例えば、図8(a)に示すように、ろ材11の所定部15は、その折れ曲がりの交差部にろ材11のひだ折方向Qに沿って薄肉部31(脆弱部)が形成されて仮折りされてもよい。さらに、例えば、図8(b)に示すように、ろ材11の所定部15は、その折れ曲がりの交差部にろ材11のひだ折方向Qに沿ってミシン目31(脆弱部)が形成されて仮折りされてもよい。これらにより、ろ材11の所定部15を容易且つ正確に折り込むことができる。
また、上記実施例では、ろ材11の所定部15を各辺が略直交した断面L字状に仮折りする仮折り加工工程を例示したが、これに限定されず、例えば、ろ材11の所定部15を各辺が鈍角で交差した断面L字状に仮折りする仮折り加工工程としてもよい。
また、上記実施例では、成形型17の型締め状態で行われる仮折り加工工程を例示したが、これに限定されず、例えば、成形型17の型開き状態で行われる仮折り加工工程としてもよい。
また、上記実施例では、ろ材11の所定部15を各辺が略同じ長さで折り込む折込み加工工程を例示したが、これに限定されず、例えば、図9(a)に示すように、ろ材11の所定部15をひだ側壁を覆うように折り込む折込み加工工程としてもよい。さらに、例えば、図9(b)に示すように、ろ材11の所定部15をひだの近傍部位で重ならないように折り込む折込み加工工程としてもよい。
また、上記実施例では、ろ材11の所定部15を表面同士が重なるように折り込む折込み加工工程を例示したが、これに限定されず、例えば、図9(c)に示すように、ろ材11の所定部15を表面同士が対向するように折り込む折込み加工工程としてもよい。
また、上記実施例では、仮折りされたろ材11の所定部15を内側に折り込む折込み加工工程を例示したが、これに限定されず、例えば、仮折りされていないろ材11の所定部15を把持手段等で把持して内側に折り込む折込み加工工程としてもよい。
また、上記実施例では、第1及び第2加熱圧縮成形工程を共通の成形型17で行うようにしたが、これに限定されず、例えば、第1及び第2加熱圧縮成形工程を別々の成形型で行うようにしてもよい。
また、上記実施例では、上下方向に開閉可能な成形型17を例示したが、これに限定されず、例えば、左右方向や斜め方向に開閉可能な成形型17を採用してもよい。
さらに、上記実施例では、車両室内Rから外部へ送出されるエアをろ過するエアフィルタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、内燃機関の吸気系のエアクリーナで用いられるエアフィルタとしたり、エアコンディショナで用いられるエアフィルタとしたりしてもよい。さらに、燃料ガス等の空気以外の気体をろ過する気体フィルタとしたり、オイル等の液体をろ過する液体フィルタとしたりしてもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明は、流体をろ過するフィルタに関する技術として広く利用される。
1;エアフィルタ、2;濾過部、3;フランジ部、11;ろ材、14;ろ材のひだ折方向の両側、15;ろ材のひだ幅方向の両側、17;成形型、23;仮折り機構、26;折込み機構、P;ひだ幅方向、Q;ひだ折方向。

Claims (5)

  1. ひだ折りされたろ材の外周部を平坦状に加熱圧縮して、ひだ折りされた濾過部の周縁にフランジ部を備えるフィルタを製造するフィルタの製造方法であって、
    前記ろ材のひだ折方向の両側のそれぞれを複数重ねた状態で平坦状に加熱圧縮するとともに、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを平坦状に加熱圧縮する第1加熱圧縮成形工程と、
    加熱圧縮された前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に折り込む折込み加工工程と、
    折り込まれた前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを加熱圧縮する第2加熱圧縮成形工程と、を備えることを特徴とするフィルタの製造方法。
  2. 前記第1加熱圧縮成形工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを内側に仮折りする仮折り加工工程を含み、
    前記折込み加工工程は、仮折りされた前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込む請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  3. 前記仮折り加工工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ろ材のひだ幅方向に沿う断面でL字状に仮折りする請求項2記載のフィルタの製造方法。
  4. 前記第1加熱圧縮成形工程は、成形型に前記ろ材を配置するとともに、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮し、
    前記仮折り加工工程は、前記成形型に備えられる仮折り機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを仮折りし、
    前記折込み加工工程は、前記成形型に備えられる折込み機構で前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを折り込み、
    前記第2加熱圧縮成形工程は、前記成形型で前記ろ材を加熱圧縮する請求項2又は3に記載のフィルタの製造方法。
  5. 前記折込み加工工程は、前記ろ材のひだ幅方向の両側のそれぞれを、前記ひだが立ち上がる側の表面同士が重なるように折り込む請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフィルタの製造方法。
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