JP2020073793A - アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法 - Google Patents

アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】形状記憶合金製のワイヤを容易に固定できるアクチュエータ等を提供すること。【解決手段】アクチュエータは、回動可能に支持された複数の固定子ローラと、前記固定子ローラの配列方向の両側にそれぞれ配置された固定端子22とを有する固定子20と、前記固定子ローラの間に配置されており回動可能に支持された移動子ローラを有する移動子40と、前記固定子ローラと前記移動子ローラとの間に挟まれた形状記憶合金製のワイヤと、前記ワイヤの両端を前記固定端子22にそれぞれカシメ固定した端子板32とを備え、前記端子板のカシメ部35は、前記固定端子22との間で前記ワイヤを挟んだ部分が筋状に盛り上がった形状を有する。【選択図】図11

Description

本発明は、アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法に関する。
平行に配置された熱伝導性材料製の複数の円柱の間を縫うように通した形状記憶合金製のワイヤにパルス電圧を印加し、ジュール熱によりワイヤを収縮させることにより、円柱を動かすアクチュエータが開示されている(特許文献1)。ワイヤで発生したジュール熱は円柱を通じて速やかに拡散し、ワイヤの長さは元に戻る。これにより、円柱は速やかに元の位置に戻る。
国際公開第2012/023605号
しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエータにおいては、ワイヤの端部はネジにより固定されている。細いワイヤをネジで固定する作業は難易度が高く、量産には不向きである。
一つの側面では、形状記憶合金製のワイヤを容易に固定できるアクチュエータ等を提供することを目的とする。
アクチュエータは、回動可能に支持された複数の固定子ローラと、前記固定子ローラの配列方向の両側にそれぞれ配置された固定端子とを有する固定子と、前記固定子ローラの間に配置されており回動可能に支持された移動子ローラを有する移動子と、前記固定子ローラと前記移動子ローラとの間に挟まれた形状記憶合金製のワイヤと、前記ワイヤの両端を前記固定端子にそれぞれカシメ固定した端子板とを備え、前記端子板のカシメ部は、前記固定端子との間で前記ワイヤを挟んだ部分が筋状に盛り上がった形状を有する。
一つの側面では、形状記憶合金製のワイヤを容易に固定できるアクチュエータ等を提供できる。
アクチュエータの斜視図である。 アクチュエータの分解斜視図である。 固定子の斜視図である。 固定子の上面図である。 図4のV-V線による断面図である。 移動子の斜視図である。 留具の斜視図である。 アクチュエータの組立工程を説明する説明図である。 アクチュエータの組立工程を説明する説明図である。 アクチュエータの組立工程を説明する説明図である。 アクチュエータの組立工程を説明する説明図である。 アクチュエータの組立工程を説明する説明図である。 図11のA部拡大図である。 図12のB部拡大図である。 アクチュエータの上面図である。 図15のXVI-XVI線による断面図である。 図15のXVII-XVII線による断面図である。 図15のXVIII-XVIII線による断面図である。 図15のXIX-XIX線による断面図である。 アクチュエータの動作状態を説明する説明図である。 図17のC部拡大図である。 移動子が左側にずれた状態を説明する説明図である。 実施の形態2のアクチュエータの分解斜視図である。 実施の形態2のアクチュエータの断面図である。 実施の形態3の固定子の斜視図である。 実施の形態3のアクチュエータの断面図である。 実施の形態4の固定子の斜視図である。 実施の形態4の固定子の断面図である。 実施の形態4の移動子の斜視図である。 実施の形態5の固定子ローラの正面図である。 実施の形態5のアクチュエータの断面図である。 実施の形態6のアクチュエータの分解斜視図である。 実施の形態6の留具および移動子を除去したアクチュエータの斜視図である。 実施の形態6の留具および移動子を除去したアクチュエータの部分拡大断面図である。
[実施の形態1]
図1は、アクチュエータ10の斜視図である。以下の説明では、各図中に矢印で示す前、後、左、右、上および下のそれぞれの向きを使用する。アクチュエータ10は、左右方向に長い略直方体形状を有し、前後方向および左右方向に面対称な形状である。アクチュエータ10は、たとえばスマートフォンまたはタブレット等の機器の内部に後述するように組み込まれ、機器に触れているユーザにクリック感等の触感を感じさせる。
図2は、アクチュエータ10の分解斜視図である。アクチュエータ10は、固定子20、移動子40および留具50を有する。固定子20は、固定子枠21、固定端子22、および5個の固定子ローラ23を有する。移動子40は、移動子枠41、および、4個の移動子ローラ42を有する。留具50は、移動子40を固定子20に押し付ける4個の付勢バネ51を有する。固定子20、移動子40および留具50の構成の詳細については、後述する。
図3は、固定子20の斜視図である。図4は、固定子20の上面図である。図5は、図4のV-V線による断面図である。図2から図5を使用して、固定子20の構成を説明する。
固定子ローラ23は、円柱形である。固定子ローラ23は、両端面から同軸的に突出する円柱形の固定子軸部231を有する。すなわち、固定子ローラ23は、中央部に比べて細い固定子軸部231を両端に有する、段付き円柱形状である。
固定子ローラ23は、熱伝導率の高い材料製である。固定子ローラ23の材質は、たとえば、アルミニウムもしくは銅等の金属、または、窒化アルミニウムもしくは窒化ケイ素等のセラミックスである。固定子ローラ23は、樹脂製であってもよい。
固定子枠21は、左右方向に長い略長方形の枠であり、前壁および後壁の内面に五組のローラ支持部25を有する。ローラ支持部25は、上側に開口する略U字型の溝であり、一組ずつ互いに対向している。ローラ支持部25の開口部の幅は、固定子軸部231の直径より若干広い。対向する一組のローラ支持部25により、1個の固定子ローラ23が回動可能に支持される。
固定子枠21の前壁と後壁とは、複数の接続部28を介して接続されている。接続部28は、ローラ支持部25の下側に位置している。接続部28により、固定子枠21が前後方向に広がるような変形が防止されている。
固定子枠21の上面の四隅から、略直方体の留具支持部26が上向きに突出している。4個の留具支持部26の突出高さは同一である。固定子枠21の前壁および後壁の中央部の外面に、略直方体の留具固定突起24が設けられている。固定子枠21は、たとえば樹脂またはセラミックス等の、絶縁性を有する材料製である。
固定端子22は、固定子枠21の左右両端に設けられている。固定端子22は、固定子枠21の上面の左右両端から外向きに延びる長方形の端子板部223を有する。端子板部223の前側および後側から下向きに端子脚部222が延びている。端子板部223の中央部に浅い窪み状の端子凹部221が設けられている。
固定端子22は、黄銅またはリン青銅等の導電率の高い金属板を屈曲させて形成されている。固定端子22の表面は、錫メッキ層または金メッキ層等の、半田付けが容易な層により被覆されている。2つの固定端子22は、互いに絶縁されている。2個の固定端子22は、インサート成形により、固定子枠21と一体化されている。
左右の端子板部223の上面の高さと、5個の固定子ローラ23の上端の高さとは、ほぼ同一であることが望ましい。理由については、後述する。
図6は、移動子40の斜視図である。図2および図6を使用して、移動子40の構成を説明する。
移動子ローラ42は、円柱形である。移動子ローラ42は、両端面から同軸的に突出する円柱形の移動子軸部421を有する。移動子ローラ42は、熱伝導率の高い材料製である。
移動子枠41は、天板部47と、4個の矩形箱状のローラ保持部44とを有する。天板部47は、前後方向が固定子枠21と略同一寸法で、左右方向が固定子枠21よりも短い、略長方形板状である。ローラ保持部44は、開口部を下に向けて、天板部47の下面に左右方向に一列に並んでいる。ローラ保持部44の、右壁および左壁のそれぞれ中央には、第1ワイヤ通過溝46が設けられている。
移動子枠41の前壁と後壁とには、ローラ保持溝45が設けられている。ローラ保持溝45は略U字型であり、開口部を狭くして抜け止めを形成してある。ローラ保持溝45の幅は、移動子軸部421の直径より若干広い。移動子枠41は、たとえば樹脂またはセラミックス等の、絶縁性を有する材料製である。
対向する一組のローラ保持溝45により、1個の移動子ローラ42がローラ保持部44の内側に回動可能に保持される。ローラ保持溝45の入口部分に設けられた抜け止めの作用により、天板部47を上側にして移動子40を保持した場合であっても、移動子ローラ42は落下しない。
図1および図2に示すように、天板部47の上面に、略直方体形状の押圧部43が2個、左右方向に並んで設けられている。2個の押圧部43の突出高さは同一である。
図7は、留具50の斜視図である。図7を使用して、留具50の構成の詳細を説明する。留具50は、前後に対向する2枚の側板部52を有する。側板部52は、左右方向に長い略長方形である。前後の側板部52は、中央部に掛け渡された連結部54、および、左右両端に掛け渡された支持板部55により連結している。
連結部54は略長方形であり、左右の縁から2本ずつ先細り形状の付勢バネ51が延びている。付勢バネ51は、下向きにゆるやかに曲がり、先端近傍で上向きに曲がっている。以上により、連結部54の左右に合計4本の付勢バネ51が構成されている。付勢バネ51の機能については後述する。
支持板部55は略長方形である。2枚の支持板部55と、連結部54とは、同一平面上である。側板部52の中央部に、左右方向に長い長孔状の取付孔53が設けられている。取付孔53の中央部は、太くなっている。取付孔53の機能については後述する。
前後の側板部52の間隔は、固定子20の前後方向の寸法と略同一である。左側の支持板部55の左端から右側の支持板部55の右端まで寸法は、固定子20の左右方向の寸法と略同一である。
留具50は、所定の形状に切断したステンレスバネ鋼板、または、ベリリウム銅板等の板バネ用の金属板を折り曲げて製作されている。留具50は、樹脂により製作されても良い。
図8から図12は、アクチュエータ10の組立工程を説明する説明図である。図8から図12は、アクチュエータ10の長手方向に沿った中央部の断面図である。アクチュエータ10は、固定子20、移動子40および留具50を以下の手順で組み立てて製作する。
まず、図3から図5を使用して説明した通り、固定子枠21のローラ支持部25に固定子ローラ23の固定子軸部231を挿入して、固定子20を組み立てる。
図6を使用して説明したように、移動子枠41のローラ保持溝45に移動子ローラ42の移動子軸部421を挿入して、移動子40を組み立てる。この際、移動子軸部421をローラ保持溝45の入口部分に外側から押し当てることにより、ローラ保持溝45が弾性変形して対向する抜け止め同士の間隔が広がり、移動子軸部421がローラ保持溝45の中に入る。ローラ保持溝45が弾性復帰して、天板部47を上側にした場合であっても移動子ローラ42が落下しない状態になる。
図8に示すように、固定子ローラ23の上側にワイヤ31を配置する。ワイヤ31の直径は0.1ミリメートル弱である。ワイヤ31は、前述の第1ワイヤ通過溝46に挿通可能である。ワイヤ31は、形状記憶合金製である。ワイヤ31は、温度が変態点を超えた場合に、瞬時に約4パーセントから5パーセント程度短くなり、冷えると元の長さに戻る。本実施の形態で使用するワイヤ31の変態点は、70℃から100℃程度である。
図9に示すように、固定子ローラ23同士の隙間に、移動子ローラ42が対向するように、移動子40を位置合わせする。この際、第1ワイヤ通過溝46の位置とワイヤ31の位置とが、前後方向に一致するように配置する。
図10に示すように、固定子20と移動子40とを近づけ、移動子ローラ42および移動子枠41を固定子枠21の中に挿入する。図2に示すように、固定子枠21の前壁および後壁の内面はローラ支持部25同士の間で凹んでおり、ローラ保持部44を入れることができる。
ワイヤ31は、固定子ローラ23および移動子ローラ42が回動することにより、固定子枠21の内部に引き込まれ、固定子ローラ23の上側と移動子ローラ42の下側とを通る波型になる。固定子ローラ23と移動子ローラ42との間においては、ワイヤ31は第1ワイヤ通過溝46を通過する。第1ワイヤ通過溝46の機能については、後述する。
固定子ローラ23および移動子ローラ42の作用により、ワイヤ31の一部分に過度な引張り応力が発生して、ワイヤ31が組立途中で破断する等のトラブルの発生を防止することができる。これにより、固定子20と移動子40との組み付けを高速に、かつ、高歩留まりで行なうことができる。
なお、固定子枠21の下面側から、ワイヤ31および移動子ローラ42の下側の状態を確認できる。固定子枠21の下面にカメラを配置して、画像処理によりワイヤ31のずれ等の異常の有無をリアルタイムで検出しても良い。
図11および図12に示すように、ワイヤ31を端子板部223と第2端子板32とで挟んでカシメ固定を行なう。図13は、図11のA部拡大図である。図14は、図12のB部拡大図である。図2および図11から図14を使用して、カシメ固定について説明する。
図2に示すように、第2端子板32は、略T字型の板である。第2端子板32は、破線で示すようにT字の縦棒に相当する部分の下面に、ワイヤ保持溝33を有する。ワイヤ保持溝33は、ワイヤ31の外形と略同一の幅および深さを有するU字型の溝である。第2端子板32は黄銅またはリン青銅等の導電率の高い金属製である。
第2端子板32は、ワイヤ保持溝33にワイヤ31が入るようにして、端子板部223の上に配置される。端子板部223の下面をダイにより支え、端子凹部221に対応する位置に第2端子板32の上側からポンチを押し込むことにより、端子板部223とワイヤ31と第2端子板32とをカシメ固定して、カシメ部35を作成する。
ワイヤ31に対応する部分に溝を有するポンチを使用することにより、カシメ部35は図13に示すように、ワイヤ31の上が筋状に盛り上がった形状になる。図14に示すように、ワイヤ31はあまり潰さずに、端子板部223および第2端子板32を塑性変形させることにより、ワイヤ31の破断を防止することができる。
カシメ部35において、ワイヤ31と、固定端子22と、第2端子板32とが電気的および機械的に接合される。以上により、ワイヤ31と固定端子22とを良好に導通させることができる。その後、固定端子22の外側で余剰のワイヤ31を切断して除去する。ワイヤ31の両端が、それぞれ固定端子22に接続された状態になる。
次に、移動子40の上側から留具50を被せ、取付孔53と留具固定突起24とを係合させる。さらに詳細に説明する。図3に示す通り、留具固定突起24の上面は外向きに傾斜している。留具50の下端部は、留具固定突起24の上面に沿って拡がる。前述の通り、取付孔53は長孔状であるので、弾性変形により留具固定突起24が通過可能になる。留具固定突起24が通過した後、留具50は弾性復帰する。以上により、図1に示すように留具固定突起24と取付孔53とが係合する。
付勢バネ51により、移動子40が固定子20に押し付けられる。前述のように、連結部54の左右に合計4本の付勢バネ51が構成されているので、移動子40の前後左右が均等に固定子20に向けて押圧される。図1に示すように、左右それぞれの付勢バネ51の間から、上向きに押圧部43が突出した状態になる。以上により、図1に示すアクチュエータ10が完成する。
図15は、アクチュエータ10の上面図である。図16は、図15のXVI-XVI線による断面図である。図17は、図15のXVII-XVII線による断面図である。図18は、図15のXVIII-XVIII線による断面図である。図19は、図15のXIX-XIX線による断面図である。図1および図15から図19を使用して、完成後のアクチュエータ10の構造を説明する。
図1、図16および図19に示すように、留具支持部26の上面と、支持板部55の下面とが当接して、留具50を固定子枠21の上に固定する。図17および図18に示すように、付勢バネ51は、天板部47を固定子20に向けて付勢する。
図16および図18に示すように、連結部54の下面と天板部47の上面との間には空間が空いている。この空間の機能については、後述する。
図16に示すように、5個の固定子ローラ23と、4個の移動子ローラ42とは、平行に、かつ、交互に配置されている。ワイヤ31は、固定子ローラ23の上部と、移動子ローラ42の下部との間を縫うように屈曲している。ワイヤ31の両端に接続された、固定端子22の下端部は、固定子枠21の下面よりも下側に突出している。
図19に示すように、ワイヤ31は固定端子22の端子板部223の上面と第2端子板32との間でカシメ固定されている。前述の通り、第2端子板32に設けられたワイヤ保持溝33の中にワイヤ31を保持した状態でカシメが行なわれるので、カシメ部35におけるワイヤ31の断面形状は略円形を保っている。
ワイヤ31を破断せずに、固定端子22と、第2端子板32とをカシメ固定できる形状であれば、カシメ固定後のワイヤ31の断面形状は任意であり、たとえば、楕円形、長円形または長方形等でも良い。
アクチュエータ10は、図16および図17に仮想線で示す第1板61と第2板62とにより、上下から挟んだ状態で使用される。第1板61は、たとえばプリント基板であり、固定端子22の先端を挿入可能な孔を有する。固定端子22は、半田付けによりプリント基板上に設けられた電気回路に接続される。
第2板62は、たとえばタッチパネルの表面のガラス基板等、アクチュエータ10が取り付けられた機器を使用するユーザが触れる部品、またはその近傍の部品である。
図20は、アクチュエータ10の動作状態を説明する説明図である。図16および図20を使用して、アクチュエータ10の動作を説明する。
図16は、アクチュエータ10の初期状態を示す。固定端子22の間にパルス電圧を印加することにより、ワイヤ31はジュール熱により瞬時に発熱する。ワイヤ31は、温度が変態点を超えた場合に、瞬時に短くなる。ワイヤ31が短くなることにより、移動子ローラ42が上向きに移動する。移動子ローラ42の動きに伴い、移動子40が付勢バネ51を押して上向きに移動する。
前述の、図16および図18における連結部54の下面と天板部47の上面との間の空間は、移動子40を動作させた場合に天板部47の上面が移動可能な空間である。この空間は、左右の固定端子22の間に所定のパルス電圧が印加された場合に、連結部54と天板部47とが衝突しない程度の高さを有する。
パルス電圧の終了に伴い、ジュール熱の発生は停止する。ワイヤ31に発生した熱は、固定子ローラ23および移動子ローラ42を介して外部に放散されて、ワイヤ31の温度は変態点以下に下がる。付勢バネ51の作用によりワイヤ31の長さは元に戻り、アクチュエータ10は図16を使用して説明した状態に戻る。
ワイヤ31の熱容量は、アクチュエータ10全体の熱容量に比べて非常に小さいので、パルス電圧を繰り返し印加して動作させた場合であってもアクチュエータ10全体の温度は殆ど上昇しない。なお、アクチュエータ10を頻繁に動作させる場合には、ペルチェ素子または放熱板等の冷却機構をアクチュエータ10に取り付けても良い。
以上に説明したように、パルス電圧を印加することにより、第1板61と第2板62との間の距離が瞬間的に大きくなり、その後元の状態に戻る。これにより、第2板62に触れているユーザは、クリック感を感じる。
付勢バネ51の作用により、移動子40の高さは動作が終了するたびに元の高さに戻る。これにより、パルス電圧を印加するたびに、一定の動き出し位置から、一定の移動量だけ移動する動作を繰り返す移動子40を実現できる。これにより、安定な特性を有するアクチュエータ10を実現できる。
第1ワイヤ通過溝46により、ワイヤ31の蛇行、ならびに、移動子ローラ42および固定子ローラ23からの脱落が防止される。第1ワイヤ通過溝46により、ワイヤ31の状態が安定して保持される。これにより安定して動作するアクチュエータ10を実現できる。
ワイヤ31の伸縮状態に場所によるムラが生じた場合、固定子ローラ23および移動子ローラ42が自動的に回動することにより、ワイヤ31に加わる張力が一様な状態に保たれる。したがって、細いワイヤ31を使用した場合であっても、ワイヤ31の破断を防止することができる。
細いワイヤ31を使用する場合には、ワイヤ31の抵抗値が大きくなる。したがって、定電圧のパルス駆動によりジュール熱を発生させる場合に、ワイヤ31に流れる電流値が小さくなる。以上により、消費電流の小さいアクチュエータ10を提供できる。
さらに、細いワイヤ31を使用する場合には、ワイヤ31の熱容量が小さくなる。したがって、パルス駆動により生じたジュール熱が速やかに放散される。以上により応答の速いアクチュエータ10を提供できる。また、ワイヤ31で発生するジュール熱が少ないので、繰り返し使用した場合であっても温度上昇が少ないアクチュエータ10を提供できる。
固定子ローラ23および移動子ローラ42は、それぞれ絶縁性の固定子枠21および移動子枠41により支持され、互いに絶縁している。そのため、たとえば銅等の熱伝導性と導電性の両方が高い材料を固定子ローラ23および移動子ローラ42に使用しても、ワイヤ31の両端へのパルス電圧の印加が妨げられない。
図21は、図17のC部拡大図である。図21を使用して、ローラ支持部25およびローラ保持溝45の幅の詳細について説明する。
固定子軸部231の直径をD1、移動子軸部421の直径をD2、ローラ支持部25の幅をP、ローラ保持溝45の幅をQでそれぞれ示す。本実施の形態においては、D1=D2=0.5ミリメートル、固定子ローラ23および移動子ローラ42の中央部の直径は1ミリメートルである。1本の固定子軸部231の左右の、ローラ支持部25との間の隙間の和pは、(1)式で表される。
p=P−D1 ‥‥‥ (1)
同様に、1本の移動子軸部421の左右の、ローラ保持溝45との間の隙間の和qは、(2)式で表される。
q=Q−D2 ‥‥‥ (2)
固定子枠21および移動子枠41が樹脂製であり、固定子ローラ23および移動子ローラ42が金属製である場合、pは0.04ミリメートルから0.1ミリメートル程度の範囲であり、qはpよりも0.04ミリメートルから0.06ミリメートル程度大きいことが望ましい。pは、0.07ミリメートル程度であり、qは0.12ミリメートル程度であることが、さらに望ましい。
このように、固定子軸部231および移動子軸部421を支持する部分を、いわゆるガタを有して支持する寸法にすることにより、固定子ローラ23および移動子ローラ42がスムーズに回動し、ワイヤ31の破断を防止するアクチュエータ10を実現できる。
図22は、移動子40が左側にずれた状態を説明する説明図である。図22においては、留具50の図示を省略する。第2板62が左側に動いている。第2板62にひきずられて、移動子40も左側に動き、本来の位置からずれている。
このようなずれは、たとえば第1板61と第2板62との間に剪断方向の外力が加わった場合に発生し得る。また、アクチュエータ10が固定された場所の外側で、第1板61と第2板62との間に押圧力等の外力が加わった場合にも発生し得る。
移動子40が本来の位置からずれることにより、移動子ローラ42の左右でワイヤ31に加わる張力に不均衡が生じる。具体的には、楕円形で示すE部、すなわち移動子ローラ42の右側においては、ワイヤ31に張力が加わる。一方、楕円形で示すF部、すなわち移動子ローラ42の左側においては、ワイヤ31が緩んだ状態になる。
僅かなずれであれば、ローラ支持部25およびローラ保持溝45の中で固定子軸部231が左に、移動子軸部421が右にそれぞれ移動することにより、ワイヤ31に加わる張力が緩和されて、均等な状態になる。そのため、ワイヤ31の破断が防止される。
ずれが大きい場合であっても、固定子ローラ23および移動子ローラ42が回動し、ワイヤ31が固定子ローラ23の左側から右側に引き込まれることにより、ワイヤ31に加わる張力が緩和されて、均等な状態になる。そのため、ワイヤ31の破断が防止される。ローラが回動可能であるので、ワイヤ31とローラとの間の摩擦によるワイヤ31の破断も防止される。
以上により、様々な外力が加わった場合であっても、ワイヤ31の破断を防止できるアクチュエータ10を提供できる。
図21を使用して説明したようにpの値を設定することにより、固定子ローラ23の左右方向への移動量を制限し、ワイヤ31の折れ曲がり等の異常な変形が発生することを防止できる。pの値よりもqの値を大きくすることにより、移動子40の傾きおよびずれに追従して移動子ローラ42が速やかに動き、ワイヤ31の破断を防止できる。
すなわち、固定子ローラ23を配列方向のガタを有して支持し、移動子ローラ42を同じ方向でさらに大きいガタを有して支持することにより、ワイヤ31の伸縮に応じて自動的にそれぞれのローラが動く。これにより、ワイヤ31に生じる張力を自動的に均一に保つアクチュエータ10を提供できる。
固定端子22と固定子ローラ23とが隣接して配置されているので、移動子40が上下方向に動いた場合であっても固定端子22付近のワイヤ31は上下方向に動かない。ワイヤ31に剪断方向の力が加わらないので、ワイヤ31の破断を防止できるアクチュエータ10を提供できる。
前述の通り、左右の端子板部223の上面の高さと、5個の固定子ローラ23の上端の高さとは、ほぼ同一であることが望ましい。このようにすることにより、図16に示すように左右のカシメ部35と両端の固定子ローラ23との間で、ワイヤ31が屈曲せず、略直線状になる。そのため、カシメ部35付近でワイヤ31に不要なストレスが加わることを防ぐことができる。また、ワイヤ31が第2端子板32の縁などに擦れて傷付くことも防ぐことができる。
移動子ローラ42の形状および材質は、固定子ローラ23と異なっていても良いが、ワイヤ31からの均等な放熱を得る観点で固定子ローラ23と同一の形状および材質であることが望ましい。固定子ローラ23と移動子ローラ42とに共通の部品を使用することにより、アクチュエータ10のコストおよび部品管理の労力を低減することもできる。
アクチュエータ10をタッチパネルに取り付けて使用する場合について説明する。ユーザによるタッチパネルの操作に合わせてアクチュエータ10を動作させて、タッチパネルの表面を動かすことにより、機械式のキーボードを操作しているような感触をユーザに感じさせることができる。
アクチュエータ10を取り付ける機器は、スマートフォンまたはタブレット等のタッチパネル式の情報機器に限定しない。自動車、オートバイまたは自転車等の輸送機器の、ハンドルまたは座面等にアクチュエータ10を取り付けても良い。その他、ユーザが触れて使用する任意の機器にアクチュエータ10を取り付けることができる。
ユーザが行った操作に応じて、アクチュエータ10を動作させることにより、触覚を通じて操作に対するフィードバックを行なえる。また、たとえば自動運転中に異常が発生した場合等にアクチュエータ10を動作させることにより、触覚を通じてユーザに対する注意喚起を行なえる。
押圧部43は、アクチュエータ10を取り付ける部位に応じた任意の形状にすることができる。たとえば、押圧部43は上側からピンを挿入する穴、または、ネジを固定するネジ穴を有しても良い。押圧部43は、アクチュエータ10を取り付ける部位に係合する突起または窪みの形状であってもよい。
本実施の形態によると、消費電力の少ないアクチュエータ10を提供できる。本実施の形態によると、小型で、瞬間的に変位を発生するアクチュエータ10を提供できる。本実施の形態のアクチュエータ10は、たとえばクリック感等の触感をユーザに提示する、いわゆる触覚デバイス用に適している。
本実施の形態によると、組立が容易なアクチュエータ10を提供できる。具体的には、固定子20および移動子40の組立が容易なアクチュエータ10を提供できる。また、固定子20とワイヤ31と移動子40との組み付けが容易なアクチュエータ10を提供できる。本実施の形態によると、組立時のワイヤ31の破断を防止できる。
固定子20と移動子40とを組み付ける際に、固定子20の下面からワイヤ31の状態を観察することにより、組立工程での不具合の発生を速やかに検知し、対策できるアクチュエータ10を提供できる。
固定子ローラ23および移動子ローラ42を、それぞれ細径部である固定子軸部231および移動子軸部421で保持するため、図16に示すように固定子ローラ23と移動子ローラ42とを左右方向に近接して配置できる。そのため、小型のアクチュエータ10を実現できる。
さらに、ワイヤ31の伸縮により固定子ローラ23および移動子ローラ42に加わる回転モーメントが、固定子軸部231および移動子軸部421に生じる摩擦力による回転モーメントを容易に上回る。これにより、固定子ローラ23および移動子ローラ42が、ワイヤ31の伸縮に連動して、円滑に回動する。
ここで、固定子ローラ23および移動子ローラ42に加わる回転モーメントは、ワイヤ31が固定子ローラ23および移動子ローラ42を回転させる力と、固定子ローラ23および移動子ローラ42の半径との積である。摩擦力による回転モーメントは、固定子軸部231および移動子軸部421とそれらを支持する部分との間で生じる摩擦力と、固定子軸部231および移動子軸部421の半径との積である。
固定子ローラ23、および移動子ローラ42の表面は、潤滑性の高い材料製の皮膜により覆われていても良い。皮膜の厚さは、ワイヤ31と、固定子ローラ23および移動子ローラ42との間の熱伝達の妨げにならない厚さである。具体的には、皮膜の厚さは、1マイクロメートルから数十マイクロメートル程度である。
固定子軸部231とローラ支持部25との間の摩擦、および、移動子軸部421とローラ保持溝45との間の摩擦が低減されることにより、固定子ローラ23および移動子ローラ42が円滑に回動できる。さらに、固定子ローラ23および移動子ローラ42と、ワイヤ31との間の摩擦が低減されることにより、ワイヤ31が円滑に伸縮できる。以上により、ワイヤ31の破断を防止できる。
前述の潤滑性の高い材料は、絶縁性であっても良い。固定子軸部231および移動子軸部421の表面が絶縁性の材料により覆われている場合には、固定子枠21および移動子枠41は導電性を有する材料製であっても良い。
固定子枠21の下面は、あらかじめ透明な板等で覆われていても良い。固定子20と移動子40とを組み付けた後に、固定子20の下面を板等で覆っても良い。組立工程における固定子20の下面からの観察に支障を与えずに、アクチュエータ10の内部への異物の侵入による破損を防止できる。組立工程が安定し、固定子20と移動子40との組み付け工程を観察する必要性が低い場合には、固定子枠21は有底、かつ、不透明であっても良い。
本実施の形態によると、外力が加わった場合のワイヤ31の破断を防止したアクチュエータ10を提供できる。本実施の形態によると、プリント基板等への実装が容易なアクチュエータ10を提供できる。
第1板61と第2板62とを押し付けあう方向に付勢する手段を有する用途に使用する場合には、アクチュエータ10は、付勢バネ51を備えなくても良い。さらにアクチュエータ10は留具50を備えなくても良い。
固定子ローラ23および移動子ローラ42の数は、5個と4個とに限定しない。アクチュエータ10は、任意の数の固定子ローラ23および移動子ローラ42を有することができる。ワイヤ31は1本に限定しない。アクチュエータ10は、任意の数のワイヤ31を有することができる。アクチュエータ10の各部の寸法は、本実施の形態に記載した寸法に限定しない。
アクチュエータ10は、固定子20側をユーザの触れる部分の近傍に固定して使用されても良い。
[実施の形態2]
本実施の形態は、移動子40に横ずれが発生しにくい用途に適したアクチュエータ10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図23は、実施の形態2のアクチュエータ10の分解斜視図である。図24は、実施の形態2のアクチュエータ10の断面図である。固定子20は、固定子枠21と一体に形成された、5個の固定子突起29を有する。固定子突起29の上面は、略円筒面である。移動子40は、天板部47と一体に形成された4個の移動子突起49を有する。移動子突起49の下面は、略円筒面である。
固定子20および移動子40は、樹脂の射出成形により製作することが望ましい。固定子突起29および移動子突起49の表面は、潤滑性が良い材料製の皮膜により覆われていることが、さらに望ましい。
固定子20および移動子40は、セラミックス製または金属製であっても良い。固定子20および移動子40は、互いに異なる材料製であっても良い。固定子20および移動子40が導電性の材料製である場合には、固定子突起29および移動子突起49の表面は、絶縁性の材料製の皮膜により覆う。
第2端子板32は、ワイヤ保持溝33に加えて、中央部に浅い窪みを有する。固定端子22と、ワイヤ31と、第2端子板32とをカシメ固定する際に、この窪みを目印にして、パンチの位置決めをすることができる。
本実施の形態のアクチュエータ10を使用する際には、図24に二点鎖線で示すように、第1板61および第2板62の上下方向への平行移動以外の動きを規制する摺動柱63のような構成を設けることが望ましい。移動子40の横ずれを防止することにより、使用時のワイヤ31の破断を防止することができる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、固定端子22の縁に曲面部27を設けたアクチュエータ10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。図25は、実施の形態3の固定子20の斜視図である。図26は、実施の形態3のアクチュエータ10の断面図である。
固定端子22は、端子板部223の端子脚部222から遠い側の辺から、端子脚部222と同じ向きに延びる曲面部27を備える。曲面部27は、固定子ローラ23の曲率と略同一の曲率を有する。固定子20は、3個の固定子ローラ23を有する。
図2に示すように、ワイヤ31は両端で曲面部27に沿って屈曲し、移動子ローラ42に接触する。導体である固定端子22と接触している部分では、ワイヤ31にジュール熱は発生しないので、収縮も生じない。
仮に固定端子22またはワイヤ31の表面に非導電性の被覆を設けた場合であっても、ワイヤ31で発生したジュール熱は固定端子22に速やかに拡散するので、ワイヤ31の温度は上昇しない。したがって、固定端子22と接触している部分では、ワイヤ31の収縮も生じない。
実施の形態1と異なり、端子板部223と固定子ローラ23との間でワイヤ31が空中で左右方向に保持される部分(図14参照)が無い。そのため、パルス電圧を印加した際のワイヤ31の伸縮が、移動子40の前後方向の動作に効率良く寄与するアクチュエータ10を提供できる。
[実施の形態4]
本実施の形態は、固定子20がワイヤ31のずれを防止する溝を備えるアクチュエータ10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。図27は、実施の形態4の固定子20の斜視図である。図28は、実施の形態4の固定子20の断面図である。
固定子枠21は、左右方向に長い略長方形の枠であり、前壁および後壁の内面に五組のローラ支持部25を有する。ローラ支持部25は、上側に開口する略U字型の溝であり、一組ずつ互いに対向している。ローラ支持部25の開口部の幅は、固定子軸部231の直径より若干広い。対向する一組のローラ支持部25により、1個の固定子ローラ23が回動可能に支持される。
固定子枠21の前壁と後壁とは、上側に開口する略U字型の接続部28を介して接続されている。接続部28は、固定子ローラ23の左、右および下を囲んでいる。接続部28により、固定子枠21が前後方向に広がるような変形が防止されている。
接続部28の左右の壁にそれぞれ、接続部28を前後に分ける第2ワイヤ通過溝212が設けられている。第2ワイヤ通過溝212は、ワイヤ31の外形よりも大きい溝幅を有する。
図29は、実施の形態4の移動子40の斜視図である。移動子40は、移動子枠41、および、4個の移動子ローラ42を有する。
移動子枠41は、天板部47と、4個の矩形箱状のローラ保持部44とを有する。天板部47は、前後方向が固定子枠21と略同一寸法で、左右方向が固定子枠21よりも短い、略長方形板状である。ローラ保持部44は、開口部を下に向けて、天板部47の下面に左右方向に一列に並んでいる。ローラ保持部44の、右壁および左壁は大きく開口している。
移動子枠41の前壁と後壁とには、ローラ保持溝45が設けられている。対向する一組のローラ保持溝45により、1個の移動子ローラ42がローラ保持部44の内側に回動可能に保持される。ローラ保持溝45の入口部分に設けられた抜け止めの作用により、天板部47を上側にして移動子40を保持した場合であっても、移動子ローラ42は落下しない。
図27および図28を使用して説明した固定子20と、図29を使用して説明した移動子40とを組み付けて、留具50で固定することにより、アクチュエータ10が完成する。
ワイヤ31は、固定子ローラ23の上側と移動子ローラ42の下側とを通る波型になる。固定子ローラ23と移動子ローラ42との間においては、ワイヤ31は第2ワイヤ通過溝212を通過する。
本実施の形態によると、移動子40が軽量であるので、消費電力が少ないアクチュエータ10を提供できる。
[実施の形態5]
本実施の形態は、ローラにワイヤ31を案内する溝を設けたアクチュエータ10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。図30は、実施の形態5の固定子ローラ23の正面図である。なお、移動子ローラ42も同様の形状である。
固定子ローラ23は、円柱形である。固定子ローラ23は、両端面から同軸的に突出する円柱形の固定子軸部231を有する。固定子ローラ23は、側面に2本の畝部232を有する。畝部232は、固定子ローラ23を中心軸まわりに1周する筋状の突起である。2本の畝部232は平行であり、その間に案内溝233が形成されている。
固定子ローラ23を、中心軸を含む面で切断する断面でみると、案内溝233は、ワイヤ31の半径よりも約10パーセント大きい半径を有する円弧状の底を有する。
図31は、実施の形態5のアクチュエータ10の断面図である。ワイヤ31は、案内溝233により案内されるので、前後方向へのずれが防止される。案内溝233の底と、ワイヤ31の外形とが近接しているので、ワイヤ31で発生した熱が固定子ローラ23および移動子ローラ42に伝導しやすい。そのため、パルスを印加した後に、速やかにワイヤ31が冷却される。
なお、固定子ローラ23または移動子ローラ42のいずれか一方のみを、図30を使用して説明した形状にしても良い。複数の固定子ローラ23および移動子ローラ42の一部を、図30を使用して説明した形状にしても良い。
[実施の形態6]
本実施の形態は、両端の固定子ローラ23と、隣接する固定端子22とが導通するアクチュエータ10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
図32は、実施の形態6のアクチュエータ10の分解斜視図である。固定子20は、固定子枠21、固定端子22、および5個の固定子ローラ23を有する。5個の固定子ローラ23のうち、固定端子22に隣接して配置される左右それぞれ1個の固定子ローラ23は、他の固定子ローラ23と形状の異なる、端部固定子ローラ234である。
端部固定子ローラ234は、固定子ローラ23と同一の外径を有し、固定子ローラ23よりも低い円柱形である。端部固定子ローラ234は、両端面から同軸的に突出する円柱形の端部固定子軸部235を有する。端部固定子軸部235を含めた端部固定子ローラ234の高さは、固定子軸部231を含めた固定子ローラ23の高さと同一である。
端部固定子ローラ234は、熱伝導率と、導電率の両方が高い材料製である。端部固定子ローラ234の材質は、銅が望ましい。端部固定子ローラ234の材質にアルミニウムを用いる場合には、銅メッキ等の導電性が高い皮膜を表面に形成する。アルミニウムは、表面に非導電性の酸化皮膜を形成しやすいからである。
第2端子板32は、略T字型の板である。第2端子板32は、T字の縦棒に相当する部分の先端に、二股に分かれたブラシ部36を有する。ブラシ部36は、斜め下向きに屈曲している。第2端子板32は黄銅またはリン青銅等の導電率の高い金属製である。
図33は、実施の形態6の留具50および移動子40を除去したアクチュエータ10の斜視図である。図34は、実施の形態6の留具50および移動子40を除去したアクチュエータ10の部分拡大断面図である。
ブラシ部36は、端部固定子軸部235に押し付けられている。そのため、端部固定子ローラ234は回動可能であり、かつ、ブラシ部36と、第2端子板32とカシメ部35とを介して固定端子22と導通する。すなわち、ブラシ部36と端部固定子ローラ234とは、いわゆるスリップリング様の構造を形成する。
本実施の形態によると、固定端子22と端部固定子ローラ234との間では、ワイヤ31に電流が流れない。パルス電圧は、両端の端部固定子ローラ234同士の間に印加される。ワイヤ31のうち、移動子40の動作に寄与する部分のみにパルス電圧が印加されるので、効率が高く消費電力の少ないアクチュエータ10を提供できる。
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 アクチュエータ
20 固定子
21 固定子枠
212 第2ワイヤ通過溝
22 固定端子
221 端子凹部
222 端子脚部
223 端子板部
23 固定子ローラ
231 固定子軸部
232 畝部
233 案内溝
234 端部固定子ローラ
235 端部固定子軸部
24 留具固定突起
25 ローラ支持部
26 留具支持部
27 曲面部
28 接続部
29 固定子突起
31 ワイヤ
32 第2端子板(端子板)
33 ワイヤ保持溝
35 カシメ部
36 ブラシ部
40 移動子
41 移動子枠
42 移動子ローラ
421 移動子軸部
43 押圧部
44 ローラ保持部
45 ローラ保持溝
46 第1ワイヤ通過溝
47 天板部
49 移動子突起
50 留具
51 付勢バネ
52 側板部
53 取付孔
54 連結部
55 支持板部
61 第1板
62 第2板
63 摺動柱

Claims (12)

  1. 回動可能に支持された複数の固定子ローラと、前記固定子ローラの配列方向の両側にそれぞれ配置された固定端子とを有する固定子と、
    前記固定子ローラの間に配置されており回動可能に支持された移動子ローラを有する移動子と、
    前記固定子ローラと前記移動子ローラとの間に挟まれた形状記憶合金製のワイヤと、
    前記ワイヤの両端を前記固定端子にそれぞれカシメ固定した端子板とを備え、
    前記端子板のカシメ部は、前記固定端子との間で前記ワイヤを挟んだ部分が筋状に盛り上がった形状を有する
    アクチュエータ。
  2. 前記カシメ部において前記端子板は前記ワイヤを挟んだ部分の両側にそれぞれ窪みを有する
    請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記端子板は、前記ワイヤに対応するワイヤ保持溝を備える
    請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記固定子に取り付けられた2枚の側板部と、前記固定子との間に前記移動子とを挟んで前記側板部同士を連結する連結部と、前記連結部から延びて前記移動子を前記固定子に向けて付勢する付勢バネとを備える留具を備える
    請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
  5. 前記付勢バネは、前記連結部から前記固定子ローラの配列方向に延び、先端側で前記移動子を前記固定子に向けて付勢する板バネである
    請求項4に記載のアクチュエータ。
  6. 前記固定子ローラは、中央部に比べて細い固定子軸部を両端に有する段付き円柱形状であり、前記固定子軸部で支持されている
    請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
  7. 前記移動子ローラは、中央部に比べて細い移動子軸部を両端に有する段付き円柱形状であり、前記移動子軸部で支持されている
    請求項1から請求項6のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
  8. 前記固定子ローラは、前記移動子ローラと同一の形状である
    請求項1から請求項7のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
  9. 複数の固定子ローラを、前記固定子ローラの配列方向の両側にそれぞれ配置された固定端子を有する固定子に取り付け、
    移動子ローラを回動可能に移動子に取り付け、
    前記固定子ローラと前記移動子ローラとの間に形状記憶合金製のワイヤを挟み、
    前記移動子ローラを前記固定子ローラの間に挿入し、
    前記形状記憶合金製のワイヤの両端を前記固定端子と端子板との間に挟み、
    前記ワイヤに対応する溝を有するポンチを用いて前記端子板と前記固定端子とをカシメ固定する
    アクチュエータの製造方法。
  10. 前記端子板は、前記ワイヤに対応するワイヤ保持溝を有する
    請求項9に記載のアクチュエータの製造方法。
  11. 前記固定端子は、カシメ固定する位置に対応する窪みを有する
    請求項9または請求項10に記載のアクチュエータの製造方法。
  12. 2枚の側板部と、前記側板部同士を連結する連結部と、前記連結部から延びる付勢バネとを有する留具を、前記連結部と前記固定子との間に前記移動子を挟み、前記付勢バネにより前記移動子を前記固定子に向けて付勢した状態で、2枚の前記側板部をそれぞれ前記固定子に取り付ける
    請求項9から請求項11のいずれか一つに記載のアクチュエータの製造方法。
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