JP2020073303A - 印刷物及びその製造方法 - Google Patents

印刷物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020073303A
JP2020073303A JP2017046008A JP2017046008A JP2020073303A JP 2020073303 A JP2020073303 A JP 2020073303A JP 2017046008 A JP2017046008 A JP 2017046008A JP 2017046008 A JP2017046008 A JP 2017046008A JP 2020073303 A JP2020073303 A JP 2020073303A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
inkjet
printed
overcoating
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017046008A
Other languages
English (en)
Inventor
浩喜 平山
Hiroki Hirayama
浩喜 平山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2017046008A priority Critical patent/JP2020073303A/ja
Priority to PCT/JP2018/007603 priority patent/WO2018163939A1/ja
Publication of JP2020073303A publication Critical patent/JP2020073303A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D1/00Processes for applying liquids or other fluent materials
    • B05D1/26Processes for applying liquids or other fluent materials performed by applying the liquid or other fluent material from an outlet device in contact with, or almost in contact with, the surface
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D1/00Processes for applying liquids or other fluent materials
    • B05D1/36Successively applying liquids or other fluent materials, e.g. without intermediate treatment
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D3/00Pretreatment of surfaces to which liquids or other fluent materials are to be applied; After-treatment of applied coatings, e.g. intermediate treating of an applied coating preparatory to subsequent applications of liquids or other fluent materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet

Abstract

【課題】本発明の目的は、鑑賞者に強い印象を与えることができる印刷物を提供することである。【解決手段】本発明によれば、凹凸を有する基材シートの印刷面に、第一のインクジェット印刷像が設けられており、該第一のインクジェット印刷像の上に、凸部を有する上塗り処理部が部分的に設けられており、さらに上塗り処理部を覆うようにして且つ第一のインクジェット印刷像に重ねて、第二のインクジェット印刷像が設けられている印刷物であって、第一のインクジェット印刷像は、第二のインクジェット印刷像と同等であって且つ第二のインクジェット印刷像より明度が高く、上塗り処理部の凸部の基材シートからの高さの最大値が50〜1000μmの範囲にある、ことを特徴とする印刷物が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷物及びその製造方法に関し、より詳細には、下地画像の印刷像上に凸部を有する上塗り処理部が形成されており、その上に本画像の印刷像が設けられた印刷物及びその製造方法に関する。
近年、スマートフォン等の普及により、人々は写真を紙等の基材に印刷した状態ではなく、ディスプレイ画面を通して見ることが多くなってきた。しかし、写真家らは、人々に、展覧会等に足を運んで印刷された写真を鑑賞してほしいと願っており、観る人を惹きつけ、強い印象を与える写真印刷技術の確立を望んでいる。
かかる要求に応える技術として、例えば、特許文献1では、元画像から輪郭線を抽出する輪郭抽出手段と、該輪郭線にゆらぎ処理を加えて変形する第1の処理手段と、上記元画像の所定の領域に上記ゆらぎ処理を加えて変形する第2の処理手段と、上記第1の処理手段で変形処理した輪郭線と上記第2の処理手段で変形処理した領域画像を合成する合成手段と、上記合成手段で得た画像を画調変換する画調変換手段とを備えた画像変換装置が提案されている。特許文献1の装置によれば、写真を、人間が手描きしたような絵画としての自然さを備えた画像に変換することができる。
しかしながら、特許文献1の装置により得られる画像では、印刷した状態で鑑賞する場合もディスプレイ画面を通して鑑賞する場合も、人々に与える印象に差がなく、上記要求を満たすものではなかった。
特開2013−257844号公報
従って、本発明の目的は、鑑賞者に強い印象を与えることができる印刷物及びその製造方法を提供することである。
本発明によれば、凹凸を有する基材シートの印刷面に、第一のインクジェット印刷像が設けられており、該第一のインクジェット印刷像の上に、凸部を有する上塗り処理部が部分的に設けられており、さらに上塗り処理部を覆うようにして且つ第一のインクジェット印刷像に重ねて、第二のインクジェット印刷像が設けられている印刷物であって、
第一のインクジェット印刷像は、第二のインクジェット印刷像と同等であって且つ第二の印刷像より明度が高く、
上塗り処理部の凸部の基材シートからの高さの最大値が50〜1000μmの範囲にある、ことを特徴とする印刷物が提供される。
本発明の印刷物においては、
(1)前記基材シートが、無機固体層が基材紙上に設けられたものであること、
(2)前記第二のインクジェット印刷像が、風景または生き物を被写体としたレタッチ写真であること、
が好ましい。
また、本発明によれば、凹凸を有する基材シートの印刷面に、第一のインクジェット印刷像、凸部を有する上塗り処理部および第二のインクジェット印刷像がこの順に設けられている印刷物の製造方法であって、
第二のインクジェット印刷像用の第二の画像データを準備し、更に、第二の画像データの明度を選択的に処理して、第二の画像データよりも明度が高い、第一のインクジェット印刷像用の第一の画像データを準備し、
基材シート上に、第一の画像データを用いてインクジェット印刷して第一のインクジェット印刷像を形成し、
第一のインクジェット印刷像の上に、無機粒子を含むスラリーを塗布し、乾燥して、部分的に凸部を形成して上塗り処理部を設け、
その上に、第二の画像データを用いてインクジェット印刷により第二のインクジェット印刷像を形成する、インクジェット印刷物の製造方法が提供される。
本発明の印刷物は、写真そのまま、或いは画像編集ソフトで編集した写真からなる本画像を明度処理して得られる下地画像を基材シートにインクジェット印刷して第一のインクジェット印刷像を形成し、印刷された下地画像に従って明度の高い部分、強い印象を与えたい部分、奥行き感を強調したい部分等の要所に凸部を有する上塗り処理部を設け、その後、本画像をインクジェット印刷して第二のインクジェット印刷像を形成したものである。そのため、本発明では、写真の魅力と凸部の効果が融合し、リアリティ(臨場感)や奥行き感があり、被写体の存在感や生命感が引き出された最終画像を得ることができ、鑑賞者に、画面を通じてでは感じることのできない感動を喚起させる。
本発明の印刷物の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1に示されている本発明の印刷物1は、基材シート2の上に、明度の高い下地画像の印刷像(第一のインクジェット印刷像)3、部分的に存在する凸部を有する上塗処理部4、本画像の印刷像(第二のインクジェット印刷像)5をこの順で有する。本発明の印刷物を観る鑑賞者は、本画像の印刷像が凸部及び場合によっては下地画像の印刷像と重なってできる最終画像を視認する。以下、各層の詳細を説明するが、その前に印刷対象について説明する。
<印刷対象(画像)>
本発明において、本画像は、カメラ(スマートフォン等のカメラ機能付デバイスやデジタルカメラを含む。)で撮影した写真、または、写真を公知の画像編集ソフトにより編集したレタッチ写真であり、レタッチ写真が好ましい。写真をそのまま使うと、上塗り処理部4の凸部と写真とが馴染まず、本発明の効果が発揮されにくい傾向にある。
レタッチとは、写真データをトーンカーブ補正、レベル補正、色相補性、彩度補正、カラーバランス調整等の公知の技法で補正乃至調整することを意味する。
編集は、例えば画像編集ソフトとしてアドビシステムズ株式会社製のAdobe Photoshop CS6(登録商標)(以下、これをフォトショップと略称することがある。)を用いる場合であれば、カメラから直接あるいは予め印刷した写真をスキャナで読み込んで未編集写真データをパソコンに取り込み、これをフォトショップで開き、各種編集コマンドを適用すればよい。
勿論、上記方法はあくまで一例であり、本発明では、公知の画像編集ソフトおよび公知の方法により編集し、レタッチ写真データを作成すればよい。得られるレタッチ写真データには、共通して、本発明の効果が最も発揮されるような編集が施されている。具体的態様は、編集コマンドの種類や設定にもよるが、例えば、背景のぼかし、色域の拡大、明度の拡大等である。
本発明では、そのままの写真またはレタッチ写真を本画像とし、公知のパーソナルコンピュータ及びインクジェットプリンタ等を用い、必要に応じて画像編集ソフトを通じて本画像を印刷することができる。
本発明の効果が最大限に発揮されるという観点から、本画像としては、カラーバランス調整、色相・彩度調整、コントラスト調整、露光量調整、またはトーンカーブ調整が施されたレタッチ写真が特に好ましい。
本発明では、かかる本画像に比べて、明度を高く調整した下地画像データ(第一の画像データ)を作成し、これを使用してインクジェット印刷し、下地画像の印刷像3を形成する。下地画像データは、本画像データ(第二の画像データ)をそのまま使い明度を高く調整して得ることができるが、必要に応じて、本画像データの一部を切り取って明度を高く調整したものとしてもよい。即ち、本発明では、本画像データの一部または全てを用い、色相はそのままに明度を選択的に調整することで下地画像データを得ることができる。よって、下地画像は、本画像の一部または全部と同じ構成を有し、明度が選択的に高められた画像となっており、言い換えると、本画像と同等であって且つ本画像よりも明度が高くなっている。
明度は、所望の最終画像が得られ、且つ、下地画像の印刷像3と上塗り処理部4(凸部)の境界が視認されない程度に調整される。調整には、フォトショップ等公知の画像編集ソフトを使用する。例えば、本画像データをフォトショップで開き、その上に不透明度50%以上100%未満の白色レイヤー(白さ100%)を重ねると、明度処理された下地画像データを作成することができる。
得られた下地画像データを用い、公知のパーソナルコンピュータ及びインクジェットプリンタ等を用い、必要に応じて画像編集ソフトを通じて印刷すると、下地画像の印刷像(第一のインクジェット印刷像)が形成される。
本発明の印刷物では、基材シートの印刷面に下地画像が印刷されており、その上に部分的に凸部が設けられ、更にその上から本画像が印刷されている。その結果、本発明の印刷物が有する最終画像は、基本的には凸部と本画像の印刷像が融合したものとなっており、写真の内容等によっては、更に下地画像の印刷像が融合したものとなっている。即ち、鑑賞者は、凸部と本画像の印刷像が融合した画像、場合によっては、更に下地画像の印刷像が融合した画像を視認する。
次に、各層の詳細を説明する。
<基材シート2>
本発明では、基材シート2が、その表面に凹凸を有することが重要である。凹凸がない平滑な表面の基材シートを用いると、本画像の印刷像と上塗り処理部の凸部がうまく馴染まず、印刷物を見た鑑賞者に違和感を覚えさせてしまう。
基材シート2の凹凸の程度は、印刷しようとする写真の種類、内容等に応じて適宜決定すればよいが、通常は、JIS B0601−2001に規定される算術平均粗さRaが5〜50μmであることが好ましい。表面が平滑すぎると、上記したように鑑賞者に違和感を与える虞があり、表面が荒すぎると、耐久性が損なわれる虞がある。
基材シート2には、その表面にインクジェット印刷が可能で、また上塗り処理部4を形成することができ且つ上記凹凸を付与することができるものであれば、任意の基材紙を用いることができる。具体的には、パルプ紙または以下の樹脂等からなる樹脂製シート乃至フィルムを用いることができる。
ビニル系樹脂、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等;
アクリル系樹脂、例えばポリ(メタ)アクリレート等;
ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等;
ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート等;
あるいは、ガラス繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布を用いることもできる。基材紙は、これらを2種類以上積層した積層フィルム乃至シートであってもよい。
好適な基材シート2は、可撓性を有し、適度な腰の強さを有するものである。このような性質を有する基材シートは、折り曲げても折り目が形成され難く、そのため、この基材シート上に設けられる上塗り処理部4に割れ目が形成されるなどの不都合を有効に抑制することができるからである。このような好適な基材シート2には、一般に、和紙或いは画材紙のようなパルプ紙;ガラス繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の化学繊維をバインダー繊維としてパルプと混抄した合成紙;炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムとパルプを混抄した無機質紙;を用いることができる。
基材シート2では、基材紙上に公知のインクジェット受容層2aが設けられていることが好ましく、特に、基材紙上に無機固体層が設けられていることが好ましい。基材紙上に無機固体層が形成された基材シートとしては、例えば、特許第5039701号に記載されている、基材紙上に設けられる印刷層が水酸化カルシウムを有しており、この水酸化カルシウムの一部が空気中の炭酸ガスと反応して漆喰(炭酸カルシウム)となっている、印刷シートが挙げられる。
基材シート2の表面は、コロナ処理などを行って親水性を向上させてもよい。これにより、上塗り処理部4と基材シート2との接合強度を向上させることができる。
基材シート2の厚みは、印刷物の大きさ等に応じて適宜の範囲に設定されるが、通常、平均厚みが0.02〜0.6mmとなるように設定される。基材シートが厚すぎると、上塗り処理部形成後にインクジェット印刷する際に、上塗り処理部付き基材シートがプリンタを通過できない虞がある。基材シートが薄すぎると、最終的に得られる印刷物の強度が低下する虞がある。平均厚みは、JIS P 8118に準拠して測定される。
<下地画像の印刷像3>
基材シート2の印刷面上には、上述の下地画像データ(第一の画像データ)を用いて、画像をインクジェット印刷し、インクが基材シート表面に浸透することで、下地画像の印刷像(第一のインクジェット印刷像)3が形成されている。下地画像の印刷像3は、上塗り処理部4の位置および形を決めるためのガイドとしての役割を果たす。
用いるインクジェット印刷機は公知のものが特に制限なく使用できるが、非接触式のインクジェットプリンタを用いるのが好適である。
本発明においては、インクジェット印刷により吐出されたインクが前記基材シートの最表面に浸透し、定着することにより下地画像が印刷される。従って、基材シートの最表面にインクジェット印刷像が存在する。浸透深さ、即ち、浸透により形成される下地画像の印刷像3の厚みは、用いるインクの種類と基材シート表面の組み合わせにより変化する。よって、用いるインクの種類と基材シート表面は、浸透深さの最大値が10μm未満となるような組み合わせとすることが好ましい。浸透深さが深すぎると、上塗り処理部4によるリアリティや奥行き感などの視覚効果を阻害し、鑑賞者にとって不自然な印象の印刷物となる虞がある。また、上塗り処理部4を形成する際、下地画像の印刷像3と上塗り処理部4の凹凸が混在し、上塗り処理部4による効果が損なわれる虞がある。
尚、浸透深さは、印刷物断面をデジタルマイクロスコープで解析することにより測定することができる。
<上塗り処理部4>
下地画像の印刷像3の上には、基材シート表面からの高さの最大値(以下、最大高さと呼ぶことがある。)が50〜1000μm、特に100〜600μmの範囲にある凸部を有する上塗り処理部4が部分的に形成されている。上塗り処理部4は、印刷した下地画像を検討し、明度の高い部分、強い印象を与えたい部分、奥行き感を強調したい部分等の要所に選択的に設けられる。例えば、顔写真を編集したレタッチ写真を本画像とする場合であれば、首筋や鼻先、アクセサリーに凸部を設けると、実物の被写体と同様の奥行感・立体感を最終画像に付与することができ、生命感と情緒にあふれ、鑑賞者を惹きつける印刷物が得られる。上塗り処理部が低すぎると、視覚により凹凸感を感じることができず、鑑賞者に与える印象が薄れる虞がある。また、高すぎると、視覚により不自然な凹凸感を感じ鑑賞者に与える印象が不快になる虞がある。更に後述するインクジェット印刷の際の搬送性が損なわれる虞がある。加えて、インクジェットのプリンタヘッドと上塗り処理部4が接触して上塗り処理部4が欠落する虞も生じる。上塗り処理部4の高さは、スラリーの塗布量により調整することができる。また、上塗り処理部4の高さは、例えば三次元測定レーザー顕微鏡(オリンパス製、型番:OLS4100)により対象物表面の凹凸測定を行ない、画像解析することで求めることができる。
上塗り処理部4には、(1)滑らかな表面となること、(2)基材シート2に密着し、乾燥工程やインクジェット印刷工程中のハンドリング操作によって剥離や亀裂が起きないこと、および(3)インクジェット印刷による本画像の印刷像5形成時にインクの滲みや色むらが発生しないことが要求され、かかる要求を満たす限り、任意の材料を用いることができ、通常は無機粒子を含むスラリーを塗布、乾燥して形成される。好ましいスラリーは、有機バインダー、水酸化カルシウム粒子および水不溶性無機粉体を含む水酸化カルシウムスラリーであり、特に、有機バインダー、レーザー回折散乱法で測定した通過分積算分布の体積基準メディアン径(d50)(以下、「d50」と呼ぶことがある。)が20μm以下の水酸化カルシウム粒子およびd50が10μm以下の水不溶性無機粉体を含む水酸化カルシウムスラリーである。
水酸化カルシウムスラリーは、水系またはアルコール系であることが好ましい。具体的には、かかるスラリーにおける媒体(溶媒乃至分散媒)として、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
水酸化カルシウムスラリーに配合される有機バインダーには、(1)スラリーを塗布しやすい粘度に保つこと、(2)無機粉体(水酸化カルシウムおよび水不溶性無機粉体)を均一分散させること、(3)乾燥後に下地画像の印刷像3を含む基材シート2との接着性を高めること、(4)無機粉体の結着性を高めることが要求される。かかる要求を満たす有機バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレンーアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ウレタン樹脂などがあり、疎水性であるため、アクリル樹脂、スチレンーアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂またはウレタン樹脂が好ましい。
有機バインダーは、そのまま使用してもよく、媒体に溶解した状態、或いはエマルジョンのように媒体に分散した状態にしてから使用してもよい。
水酸化カルシウムスラリー中に存在する固形分中の有機バインダーの含有量は、上塗り処理部4に靭性とインク浸透性の両方を最大限付与する観点から、5〜70質量%が好ましく、特に10〜60質量%である。
水酸化カルシウムスラリーは有機バインダー以外に水酸化カルシウムと水不溶性無機粉体を含む。
水酸化カルシウムのメディアン径(d50)は20μm以下、特に10μm以下が好ましい。下限は、一般に0.1μm以上が好ましい。このような粒径の水酸化カルシウムは、スラリーを滑らかに塗ることを可能にし、その結果、形成される上塗り処理部4に滑らかな表面を与える。
水酸化カルシウムスラリーを用いて上塗り処理部4を形成するにあたっては、スラリーを塗布・乾燥させて媒体を除去(揮発)し、スラリーに含まれる一部の水酸化カルシウムを空気中の炭酸ガスと反応させて徐々に漆喰(炭酸カルシウム)にさせる。よって、このようなスラリーを用いた場合に得られる上塗り処理部4は、水酸化カルシウムが炭酸化して生じる炭酸カルシウム(漆喰)と、まだ炭酸化が行われていない水酸化カルシウムとを含む半固化状態の漆喰を有する。この上塗り処理部4上に本画像をインクジェット印刷し、空気中に放置すると、残存する水酸化カルシウムが空気中の炭酸ガスと反応して漆喰(炭酸カルシウム)となり、さらに固化が進行する。このとき、インク中に含まれていた色材の一部が生成する漆喰(炭酸カルシウム)に取り込まれる。その結果、紫外線等による色材の劣化抑制効果が発揮されることとなり、印刷物の耐光性が向上する。このように、上記スラリーを用いて上塗り処理部4を形成し、本画像印刷後に大気中に放置すると、上塗り処理部4中に残存していた水酸化カルシウムが炭酸化していき、最終的に上塗り処理部4は完全に固化する。
水酸化カルシウムスラリー中に存在する固形分中の水酸化カルシウム含有量は、上塗り処理部4中の水酸化カルシウム量が後述の数値範囲となるように適宜決定されるが、10〜80質量%、特に20〜70質量%が好ましい。
水酸化カルシウムスラリーには、水不溶性無機粉体も含まれる。ここで、水不溶性無機粉体とは、25℃における水100gに対する溶解度が0.1g以下の無機粉体をいう。水不溶性無機粉体により、上塗り処理部4は、水性インク中の水により膨潤したり溶解したりせず、その形状を強固に保持できる。水不溶性無機粉体としては、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、白色度が高く鮮明な本画像を印刷できるので、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは硫酸カルシウムが好ましく、コストの点で、特に酸化アルミニウムが好ましい。
水不溶性無機粉体の粒径としては、レーザー回折散乱法で測定した体積基準のメディアン径(d50)が10μm以下、特に5.0μm以下が好ましい。かかる粒径の水不溶性無機粉体は、スラリーにチキソトロピー性(撹拌等をすると粘度が低下してゾル化し、静置すると粘度が上昇してゲル化する性質)を付与し、上塗り処理部4の形成を容易にするからである。スラリーのチキソトロピー性が高いと、塗布直後にスラリーが流れることがなく、塗布直後の形を保ったまま乾燥することができ、意図した凸部を有する上塗り処理部を簡単に形成することができる。
水酸化カルシウムスラリー中に存在する固形分中に占める水不溶性無機粉体の含有量は、10〜50質量%、特に20〜40質量%が好ましい。水不溶性無機粉体が少なすぎると、スラリーのチキソトロピー性が十分に発現されない虞がある。水不溶性無機粉体が多すぎると、得られる上塗り処理部の靱性が低く、下地画像の印刷像3を含む基材シート2との接着性が低下し、印刷工程などのハンドリングの際に上塗り処理部の一部が剥がれたり、欠落したりする虞がある。
このようなスラリーには、上記の有機バインダー、無機粉体および媒体以外に、物性調整のための各種添加剤、例えば界面活性剤、高分子分散剤、カチオン性ポリマー等を配合してよい。
界面活性剤は、有機バインダーや無機粉体等を媒体に安定に均一分散させるために使用され、特にスラリーが水系の場合に添加される。この場合、界面活性剤は、水に可溶なものであれば良く、イオン性、両性及びノニオン性いずれのタイプも使用できる。代表例は、以下に示す通りである。配合量は、良好な分散が確保されるように適宜決定される。
イオン性界面活性剤の代表例;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、
ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ラウリルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等
両性界面活性剤の代表例;
ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等
ノニオン系界面活性剤の代表例;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコー
ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等
高分子分散剤は、スラリーが水系の場合に添加することが好ましい。高分子分散剤としては、分子量が大きく、親水性であり、水酸化カルシウムや水不溶性無機粉体を分散し得るものであれば特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。その代表例としては、リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸コポリマー等があり、ポリカルボン酸塩またはポリカルボン酸コポリマーが好ましい。ポリカルボン酸塩としては、以下のものを例示することができる。
スチレン−無水マレイン酸共重合体またはその部分エステルの塩(特開平1−92
212号参照)、
アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の塩(特開昭63−2
85140号参照)、
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはその誘導体の塩
(特開昭58−74552号、特開平1−226757号等参照)、
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の塩(特開昭60−10
3062号参照)、
これらのポリカルボン酸塩の側鎖にアルキレングリコール鎖がグラフト結合したも
の(特開2007−332027号参照)
塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、低級アミン塩、低級アルカノールアミン塩などがある。ポリカルボン酸類の中でもアルキレングリコール鎖を有するものが好ましい。ポリカルボン酸塩の質量平均分子量は1000〜10万が好ましい。
高分子分散剤は、無機粉体(水酸化カルシウム及び水不溶性無機粉体)あたり0.5〜10質量%使用することが好ましい。使用量が少なすぎると分散効果が十分に発現されない虞があり、過剰だと、消石灰(水酸化カルシウム)の水性スラリーの粘性が経時と共に大きく変化し、スラリーが不安定となる虞がある。
カチオンポリマーは、インクの滲み防止や耐水性を向上させるために使用され、特にスラリーが水系の場合に添加される。この場合、スラリー中に分散し、安定なものであれば特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。このようなカチオンポリマーとしては、四級アンモニウム塩型を使用することが好ましい。例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの誘導体、ポリウレタン骨格を含む4級アンモニウム塩型のカチオンポリマー、アクリルエステル、アクリルエステル誘導体の骨格を含む四級アンモニウム塩型のカチオンポリマー等が挙げられる。
このような中でも、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの誘導体が好ましい。
カチオン性ポリマーは、無機粉体あたり0.2〜5質量%使用することが好ましい。使用量が少なすぎると効果が十分に発現されない虞があり、過剰だと、消石灰(水酸化カルシウム)の水性スラリーの粘性が経時と共に大きく変化したり、スラリーが分離したりする虞がある。
水酸化カルシウムスラリーは、上述の有機バインダー、水酸化カルシウム、水不溶性無機粉体及び必要により使用される添加剤を、適量の媒体と混合することで調整される。各材料及び媒体は一斉に投入してもよく、或いは、有機バインダーと媒体とを投入・撹拌してから残りの材料を投入してもよい。混合は、公知の方法に従って行えばよい。スラリーの粘度は、媒体の添加量によって調整することができ、5〜100Pa・Sが好ましい。
このようにして得られたスラリーは、下地画像の印刷像3を含む基材シート2上に塗布され、その後乾燥されて、上塗り処理部4となる。スラリーの塗布には、スクリーン印刷やグラビア印刷等の各種印刷手段を用いることもできるが、より自然な質感が得られる筆、刷毛、ヘラなどの絵画用具を用いることが好ましく、絵画用具を用いて人が手描きして上塗り処理部4を形成することが特に好ましい。
乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥等公知の方法により行えばよいが、短時間で乾燥を行う観点から加熱乾燥が好ましく、基材シート2の変形等が生じないという観点から、40〜100℃での加熱乾燥がより好ましい。乾燥は、上塗り処理部4中の媒体(水、アルコール)含有率が5%以下となる程度に行えばよい。
乾燥によって得られる上塗り処理部4における重合体(ポリマー)の固形分量は、インクジェット印刷の前の段階で、5〜70質量%、特に10〜60質量%が好適である。スラリーを塗布・乾燥させて得られる上塗り処理部4において、有機バインダー中の媒体は蒸発しているが、重合体成分は残存している。残存した重合体成分には、上塗り処理部4の靭性を高め、下地画像の印刷像3を含む基材シート2との接着性を高める効果があるが、一方で、重合体の固形分(即ちポリマー)が上塗り処理部4に過度に存在すると、印刷像(印刷インク)の上塗り処理部4への浸透性を低下させる虞がある。よって、重合体量が上記範囲にある上塗り処理部4は、靱性と浸透性のバランスに優れている。
上記態様において、上塗り処理部4は、インクジェット印刷直前において、水酸化カルシウムが完全に炭酸化して固化する前の半固化状態であればよく、具体的には、上塗り処理部4中の水酸化カルシウム量が、10〜70質量%、特に15〜55質量%であることが好ましい。水酸化カルシウムが上記範囲よりも少ないと、画像の耐光性が低下する傾向にある。即ち、印刷を行なったとき、印刷インク中に溶出して表面に移行する水酸化カルシウムの量が少なくなるため、印刷像の保護効果が低下し、紫外線等による印刷像の劣化抑制効果の低下が生じる。水酸化カルシウムが多すぎると、上塗り処理部4の靱性が低下し、印刷工程中に上塗り処理部4の破損等を生じ易くなる。
本画像を印刷する前の上塗り処理部4中の水酸化カルシウムの量の調整は、上塗り処理部4の形成に用いる水酸化カルシウム質量割合や、その炭酸化率(前述したスラリーの調製に用いた水酸化カルシウムの質量に対する、生成した炭酸化カルシウムの質量割合)、あるいは、有機バインダーや水不溶性無機粉体等の割合の調節によって行うことができる。
上記調整方法のうち、水酸化カルシウムの炭酸化率を調整する方法を採用する場合、炭酸化率の上限は、60%、特に40%とすることが望ましい。即ち、炭酸化が過度に進みすぎた場合、上塗り処理部4の表面が緻密化され、印刷インクの浸透性が低下する傾向がある。尚、炭酸化による表面の緻密化の程度は、例えば上塗り処理部4表面の耐摩擦度によって判定することができる。
上塗り処理部4中の水酸化カルシウムの量は、示差熱分析や強熱減量法により確認することができる。
尚、水酸化カルシウムの炭酸化反応は炭酸ガスとの接触により進行するが、上塗り処理部4を形成した後に非通気性の袋や容器等に密封状態で保存し、大気中の炭酸ガスとの接触を断っている限り、所定の炭酸化率を維持し、上塗り処理部4中の水酸化カルシウム量を一定の範囲に保持することができる。
上塗り処理部4中の水不溶性無機粉体の量は、スラリーに配合する水不溶性無機粉体の量によって適宜決定されるが、通常は、インクジェット印刷の前の段階で、10〜60質量%が好ましい。
上述のスラリーでは、上塗り処理部4が印刷層としても機能できるように、組成等の条件が調整されている。従って、上塗り処理部4上には、インクの滲みや色むらがなく、表面が滑らかな本画像の印刷像5を形成することができる。
<第二のインクジェット印刷像5>
上塗り処理部4形成後、本画像データ(第二の画像データ)を用いて本画像の印刷像(第二のインクジェット印刷像)5を形成する。具体的には、本画像が下地画像と一致するように、上塗り処理部4の上から本画像をインクジェット印刷する。印刷には、非接触式のインクジェットプリンタを用いるのが好適である。
上塗り処理部4の形成に上述の水酸化カルシムスラリーを使用した場合は、印刷後、1〜30日程度放置して、上塗り処理部4の表面および内部に残存している水酸化カルシウムを完全に漆喰(炭酸カルシウム)とする。乾燥後の上塗り処理部4は、炭酸カルシウムと水不溶性無機粉体とを含有している。即ち、本画像印刷後の放置期間中に、上塗り処理部4の表面および内部に存在していた全ての水酸化カルシウムは炭酸化され、漆喰(炭酸カルシウム)となる。そのため、本発明の印刷物における上塗り処理部4は、水酸化カルシウムが炭酸化した炭酸カルシウムを含有することとなる。更に、本発明の印刷物中の上塗り処理部4には、チキソトロピー性を付与するためスラリーに配合されていた水不溶性無機粉体がそのまま残っている。
かくして得られる本発明の印刷物は、その最大厚みが0.1〜3.0mmの範囲にあることが好ましい。
本発明では、写真の魅力と凸部の効果が融合し、リアリティ(臨場感)や奥行き感があり、被写体の存在感や生命感が引き出された最終画像を得ることができ、鑑賞者に、画面を通じてでは感じることのできない感動を喚起させる。特に被写体に風景やヒト、動物、植物等の生き物が含まれるときには、こうした効果が格別に際立つ。
本発明の優れた効果を、次の実験例で説明する。
なお、以下に、実施例および比較例で用いた各試験評価方法および材料を示す。
<各実施例および比較例で用いられた試験評価方法>
実施例および比較例で得られた印刷物を目視観察し、最終画像のリアリティと奥行き感を下記基準に従って評価した。
(1)画像のリアリティの評価
A:最終画像は鮮明でリアリティは非常に良好である。
B:最終画像は鮮明でリアリティは良好である。
C:最終画像は鮮明であるがリアリティは十分ではない。
(2)画像の奥行き感の評価
A:最終画像の奥行き感は非常に優れている。
B:最終画像の奥行き感は優れている。
C:最終画像の奥行き感は十分ではない。
<算術平均粗さRa、および上塗り処理部の最大高さの測定方法>
JIS B 0601−2001に準拠し、三次元測定レーザー顕微鏡(オリンパス製、型番:OLS4100)により対象物表面の凹凸測定を行ない、画像解析により、基材シート表面の算術平均粗さRaと上塗り処理部が有する凸部の最大高さを求めた。
<基材シートの平均厚さ、印刷物の最大厚さ>
JIS P 8118に準拠し、デジマチックマイクロメータ(ミツトヨ製、型番:MDC−25MX)により、基材シートの平均厚さおよび印刷物の最大厚さを測定した。
<各実施例および比較例で用いられた材料>
(A)基材紙:
基材紙A:インクジェット原紙(富士共和製紙製、商品名:FKスラットR−IJ、平均粗さRa:4.2μm、平均厚み:0.17mm、目付量:160g/m
基材紙B:和紙(アワガミファクトリー製、商品名:群雲こうぞ、平均粗さRa:12.1μm、平均厚み:0.16mm、目付量:42g/m、原料構成:楮+木材パルプ)
基材紙C:コットン紙(ハーネミューレ製、商品名:ジャーマン エッチング、平均粗さRa:9.5μm、平均厚み:0.50mm、目付量:310g/m、原料構成:アルファセルロース)
(B)水酸化カルシウム:
水酸化カルシウムA:高純度消石灰分級品(宇部マテリアルズ製、通過分積算分布のメディアン径(d50):3.1μm)
(C)水不溶性無機粉体:
無機粉体A:酸化アルミニウム(大明化学工業製、アルミナ1水和物、商品名:ベーマイトC06、通過分積算分布のメディアン径(d50):0.7μm)
無機粉体B:二酸化ケイ素(トクヤマ製、商品名:エクセリカ(分級品)、通過分積算分布のメディアン径(d50):1.5μm)
無機粉体C:炭酸カルシウム(白石カルシウム製、商品名:ホワイトンSB、通過分積算分布のメディアン径(d50):2.0μm)
(D)有機バインダー:
有機バインダーA:水性アクリル樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製、商品名:ポリトロン、固形分濃度:40質量%)
有機バインダーB:エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(昭和高分子社製、商品名:ポリゾールEVA、品番:AD−92、固形分濃度:37質量%)
(E)添加剤
分散剤A:ポリカルボン酸コポリマー(竹本油脂製、製品名:チューポールSSP、固形分濃度:40質量%)
添加剤B:カチオン性ポリマー(センカ社製、商品名:パピオゲンP−105、固形分濃度:60質量%)
[実施例1]
図1に示される印刷物を次の方法に従って製造した。
(インク受容層2aを有する基材シート2の作成)
有機バインダーとして有機バインダーA100質量部、無機粉体として水酸化カルシウムA150質量部、水不溶性無機粉体として無機粉体A50質量部、添加剤として分散剤A10質量部、および水100質量部を秤取り、ホバートミキサーで15分混錬し、スラリーAを得た。
得られたスラリーAをA3サイズにカットした基材紙Aの一方の表面にドクターナイフコーターで均一にコートし、送風乾燥機中に入れ80℃で20分間乾燥させ、インク受容層を有する基材シート2を得た。得られた基材シートの表面の算術平均粗さRaは8.7μmであり、平均厚みは210μmであった。
(本画像データおよび下地画像データ作成の準備)
背景を含む人物の写真データをパソコンに取り込み、これをフォトショップで開き、フォトショップのコマンドを使って色調調整およびトーンカーブ調整を行い、それを背景レイヤーとし、その上に白色レイヤー(白さ100%)を重ね、その白色レイヤーの不透明度が調整できるようにして、本画像データおよび下地画像データを得るための画像データとした。
(基材シート2上への下地画像の印刷像3の形成)
上記の画像データを基に、その白色レイヤーの不透明度を65%に調整して下地画像データを得た後、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンタ(品番:PX−5V、顔料が分散された水性インクを使用)を用いて、インク受容層を有する基材シート2に印刷し、1時間室温にて静置してインクを定着させ、下地画像の印刷像3を表面に有する基材シート2を得た。
尚、下地画像の印刷像3を有する基材シート2の平均厚さは、210μm、表面の平均粗さRaは8.7μmであった。
(上塗り処理部4用のスラリーBの作製)
有機バインダーA100質量部、無機粉体として水酸化カルシウムA100質量部、水不溶性無機粉体として無機粉体A40質量部、添加剤A10質量部、および水25質量を部秤取り、ホバートミキサーで20分混錬し、スラリーBを得た。
(上塗り処理部4の形成)
つづいて、下地画像が印刷された基材シート2上に、上記のようにして得られたスラリーBを市販の4号の硬毛筆を用いて塗り、室温で3時間放置し、下地画像の明度の高い部分、強い印象を与えたい部分、奥行き感を強調したい部分等の要所に凸部を有する上塗り処理部4を形成した。
尚、上塗り処理部4の最大高さは145μm、本画像印刷直前の炭酸化率は22%であった。
(本画像の印刷像5の形成)
つづいて、上記の画像データにおいて、その白色レイヤーの不透明度が0%に調整された本画像データを用いて、上記上塗り処理部4を形成したシートに本画像を印刷し、室温で3日放置して、印刷物Aを得た。
尚、印刷物Aの最大厚さは361μmであった。
(印刷物の評価)
このようにして得られた印刷物Aについて、前述の最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の操作で基材紙B上にインク受容層を形成し、その後下地画像の印刷像3を形成した。下地画像の印刷前後いずれにおいても、基材シート2の平均厚さは、260μm、算術平均粗さRaは18.3μmであった。つづいて、実施例1と同様の操作で上塗り処理部4を形成した。上塗り処理部4の最大高さは189μm、炭酸化率は26%であった。その後実施例1と同様の操作で本画像を印刷し、印刷物Bを製造した。印刷物Bの最大厚さは454μmであった。得られた印刷物Bについて、前述の最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例3]
有機バインダーAの量を120質量部とした点以外は実施例1と同様の操作で、基材紙C上にインク受容層を形成し、その後下地画像の印刷像3を形成した。下地画像の印刷前後いずれにおいても、基材シート2の平均厚さは、550μm、算術平均粗さRaは11.1μmであった。つづいて、実施例1と同様の操作で上塗り処理部4を形成した。上塗り処理部4の最大高さは105μm、炭酸化率は35%であった。その後実施例1と同様の操作で本画像を印刷し、印刷物Cを製造した。印刷物Cの最大厚さは668μmであった。得られた印刷物Cについて、前述の最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例4〜6]
実施例1において、上塗り処理部4用のスラリーを作製する際、表1の組成に従って製造した以外は同様の操作を行い、印刷物D〜Fを製造した。
上塗り処理部4の最大高さ、および炭酸化率をそれぞれ測定した。つづいて、印刷物D〜Fの最大厚さの測定および最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、上塗り処理部4の最大高さを18μmとした以外は、同様の操作を行い、印刷物Xを得た。上塗り処理部4の炭酸化率は35%であった。また、印刷物Xの最大厚さは245μmであった。得られた印刷物Xについて、前述の最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、上塗り処理部4を形成するために硬毛筆を用いて塗る代わりに、ドクターナイフコーターを用いて均一な厚さで全体に上塗り処理部4用のスラリーBを塗工した以外は同様な操作を行い、印刷物Yを得た。上塗り処理部4の最大高さは235μm、炭酸化率は27%であった。また、印刷物Yの最大厚みは478μmであった。最終画像のリアリティと奥行き感の評価を行った。その結果を表2に示す。
1:印刷物、2:基材シート、3:下地画像印刷像(第一のインクジェット印刷像)、
4:上塗り処理部、5:本画像印刷像(第一のインクジェット印刷像)

Claims (4)

  1. 凹凸を有する基材シートの印刷面に、第一のインクジェット印刷像が設けられており、該第一のインクジェット印刷像の上に、凸部を有する上塗り処理部が部分的に設けられており、さらに上塗り処理部を覆うようにして且つ第一のインクジェット印刷像に重ねて、第二のインクジェット印刷像が設けられている印刷物であって、
    第一のインクジェット印刷像は、第二のインクジェット印刷像と同等であって且つ第二のインクジェット印刷像より明度が高く、
    上塗り処理部の凸部の基材シートからの高さの最大値が50〜1000μmの範囲にある、ことを特徴とする印刷物。
  2. 前記基材シートが、無機固体層が基材紙上に設けられたものである、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記第二のインクジェット印刷像が、風景または生き物を被写体としたレタッチ写真である、請求項1または2に記載の印刷物。
  4. 凹凸を有する基材シートの印刷面に、第一のインクジェット印刷像、凸部を有する上塗り処理部および第二のインクジェット印刷像がこの順に設けられている印刷物の製造方法であって、
    第二のインクジェット印刷像用の第二の画像データを準備し、更に、第二の画像データの明度を選択的に処理して、第二の画像データよりも明度の高い、第一のインクジェット印刷像用の第一の画像データを準備し、
    基材シート上に、第一の画像データを用いてインクジェット印刷して第一のインクジェット印刷像を形成し、
    第一のインクジェット印刷像の上に、無機粒子を含むスラリーを塗布し、乾燥して、部分的に凸部を形成して上塗り処理部を設け、
    その上に、第二の画像データを用いてインクジェット印刷により第二のインクジェット印刷像を形成する、インクジェット印刷物の製造方法。
JP2017046008A 2017-03-10 2017-03-10 印刷物及びその製造方法 Pending JP2020073303A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017046008A JP2020073303A (ja) 2017-03-10 2017-03-10 印刷物及びその製造方法
PCT/JP2018/007603 WO2018163939A1 (ja) 2017-03-10 2018-02-28 印刷物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017046008A JP2020073303A (ja) 2017-03-10 2017-03-10 印刷物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020073303A true JP2020073303A (ja) 2020-05-14

Family

ID=63448929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017046008A Pending JP2020073303A (ja) 2017-03-10 2017-03-10 印刷物及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2020073303A (ja)
WO (1) WO2018163939A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019137022A (ja) * 2018-02-15 2019-08-22 株式会社トクヤマ 印刷物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003080344A1 (fr) * 2002-03-26 2003-10-02 Mastermind Co., Ltd. Procede de creation d'image imprimee tridimensionnelle et article imprime tridimensionnel
US20080069981A1 (en) * 2006-09-18 2008-03-20 Lexmark International, Inc. Ink jet recording media coatings to improve printing properties
US20170259558A1 (en) * 2014-09-09 2017-09-14 Tokuyama Corporation Method for manufacturing reproduction of painting

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019137022A (ja) * 2018-02-15 2019-08-22 株式会社トクヤマ 印刷物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018163939A1 (ja) 2018-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100295881A1 (en) Method for simulating, fabricating, or duplicating an oil painting
JP6606502B2 (ja) 絵画の複製物の製造方法
JP2020073303A (ja) 印刷物及びその製造方法
JP4504913B2 (ja) 複製画の製造方法
US6843177B2 (en) Methods and materials for producing an image, and articles comprising materials for producing an image
JP3146474B2 (ja) インクジェット記録媒体
JP2008037033A (ja) 意匠構造体
JP2019155828A (ja) 印刷物及びその製造方法
JP2006336001A (ja) インクジェット記録用顔料インク及びインクジェット記録用顔料インクセット
JP2019137022A (ja) 印刷物
JP2009166476A (ja) 記録紙
JP5038049B2 (ja) 印刷用紙および複製画
JP2009062404A (ja) 修正部材及びその製造方法
CN109476944B (zh) 墨的涂覆方法、壁纸的制造方法、图像形成组、图像形成系统、墨和墨组
JP2008105389A (ja) 印刷用紙および複製画
JP2011183674A (ja) 複製画及びその製造方法
JP2021142692A (ja) 印刷用記録材料
WO2018190155A1 (ja) ディスプレイ用印刷物
JP2007296804A (ja) 意匠構造体及び意匠構造前駆体
ITMI980183A1 (it) Procedimento per la preparazione di riproduzione di opere pittoriche e prodotti cosi' ottenuti
Parraman Colour printing techniques
JP2015167902A (ja) 無機固化層上に顔料が固定された意匠シートの製造方法
KR20090021205A (ko) 이미지 출력물을 이용한 유화제품 및 그 제조방법
JP2021098921A (ja) 着色不織布
CN110962409A (zh) 一种具有油画质感的画及其制作方法