JP2020070397A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】機能性材料を塗布して機能性材料層の薄膜(機能性膜)を得るための工程基材として使用した際に、塗布性、加工後の剥離性、機能性膜の特性、品位を良好とすることが可能なフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】ポリエステルA層を少なくとも一方の表層に有するポリエステルフィルムであって、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3以上1.6以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11以上0.3以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルム。ここで、配向パラメータ、および配向パラメータの標準偏差の測定領域を20μm×20μm、測定間隔を0.6μmとして求めた値とする。【選択図】なし

Description

本発明は、製造工程用フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂フィルムは、各種特性に応じて、光学用途、包装用途、工業材料用途などで幅広く使用されている。また、工業材料用途においては、半導体の薄膜や回路部材を製造するための工程基材、コンデンサー用や太陽電池バックシートなどの工業材料用フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムが使用されており、例えば、コンデンサー用フィルム(例えば、特許文献1)や、太陽電池バックシート(例えば、特許文献2)が提案されている。
特許文献1に見られるようなフィルムの場合、薄膜かつ平滑な設計のため、工程基材として使用する際に、ハンドリング性や機能性材料の塗工性、機能性材料を塗工、乾燥した後の機能性材料層の離型性に劣る場合があった。
特許文献2に見られるようなフィルムの場合、結晶性の高い白色の設計となっており、機能性膜を塗工する工程基材として使用する際に、視認性の不足や機能性材料層の離型性に劣る場合があった。
特開2002−361732号公報 特開2011−192970号公報
本発明では上記の欠点を解消し、機能性材料を塗布して機能性材料層の薄膜(機能性膜)を得るための工程基材として使用した際に、加熱前の機能性材料層との密着性を維持しつつも、機能性膜を得るための乾燥工程の加熱後には適度な剥離性を有し、機能性膜の特性、品位を良好とすることが可能なフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1)ポリエステルA層を少なくとも一方の表層に有するポリエステルフィルムであって、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3以上1.6以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11以上0.3以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルム。ここで、配向パラメータ、および配向パラメータの標準偏差の測定領域を20μm×20μm、測定間隔を0.6μmとして求めた値とする。
(2)180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータをF2、180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差をS2とした際に、式1、式2の関係を満たす、(1)に記載のポリエステルフィルム。
0<(F1−F2)<0.04・・・式1
0<(S1−S2)<0.15・・・式2
(3)ポリエステルA層が、主成分のポリエステルaと、ポリエステルa以外のポリマーbを少なくとも含み、ポリマーbがポリエステルA層中にドメインを形成し、ポリマーbのドメインの長径の平均値が0.5μm以上8μm以下であり、ドメインの楕円率が0.02以上0.08以下である、(1)または(2)に記載のポリエステルフィルム。
(4)ポリマーbのガラス転移温度がポリエステルaのガラス転移温度よりも低い、(3)に記載のポリエステルフィルム。
(5)主配向方向、および主配向方向と垂直な方向それぞれにおいて、150℃30分間における熱収縮率が0.1%以上2.5%以下である、(1)から(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)製造工程用途に用いられる、(1)から(5)に記載のポリエステルフィルム。
本発明のフィルムは、加熱前の密着性、加熱後の剥離性を良好にできることから、機能性材料を塗布して機能性材料の薄膜(機能性膜)を得るための工程基材として使用した際に、機能性膜の特性、品位を向上させる効果を奏する。
以下、本発明のフィルムについて詳細に説明する。
本発明においてポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子の総称であって、通常、ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
ここで使用するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂において、全ジカルボン酸成分中の、テレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸の割合は、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることが耐熱性、生産性の点から好ましい。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなど各成分が挙げられる。中でも、取り扱い性の点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールの各成分が好ましく用いられる。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂において、全ジオール成分中の、エチレングリコールの割合が、65モル%以上であると、耐熱性、生産性の点から好ましい。これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層を少なくとも一方の表層に有するポリエステルフィルムであって、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3以上1.6以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11以上0.3以下であることが重要である。ここで、配向パラメータ、および配向パラメータの標準偏差の測定領域を20μm×20μm、測定間隔を0.6μmとして求めた値とする。
本発明におけるレーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1を1.3以上1.6以下とし、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1を0.11以上0.3以下とすることで、機能性膜の工程基材としてフィルムを使用した際に、例えば、本発明のフィルムが機能性膜と積層された構成であった場合に、良好な機能性膜の塗工性を維持しつつも、局所的に配向が強い部分が点在しているため、機能性膜を乾燥する際の乾燥熱によって配向が緩和され、機能性膜の平滑性を大きく変化させずにフィルムと機能性膜との界面に微小な空間を形成し、乾燥した機能性膜をフィルムから容易に剥離できたりする。
本発明におけるレーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3未満であると、機能性膜を乾燥する前の配向が強い部分が少なく、乾燥後の機能性膜を剥離し難い場合があり、配向パラメータF1が1.6より大きいとフィルムの配向が大きく、結晶化が進んでいるため、フィルムが脆く、ハンドリング性に劣る場合がある。ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11未満であると、機能性膜の塗工性は良好であるが、乾燥した機能性膜をフィルムから剥離する際に、フィルムと機能性膜との界面に微小な空間が少ないために機能性膜を剥離することが困難な場合があり、標準偏差S1が0.3より大きいと局所的な配向が強く、生産時に破断しやすかったり、厚みムラが大きくなり、機能性膜を塗工する際に塗工欠点が発生してしまう可能性があるため好ましくない。
ポリエステルA層の配向パラメータF1と配向パラメータの標準偏差S1を前述の範囲とするための方法としてはポリエステルA層を2種類以上のポリマーを組み合わせた構成とし、ポリエステルA層を延伸させた後、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーのみを機能性膜を乾燥する際の加熱により変形させてポリエステルA層表面に歪みを形成させる方法において、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーをサイドフィード方式により押出機に投入する方法が挙げられる。低融点のポリマーのみをサイドフィード方式にて投入することで、低融点のポリマーが融点よりはるかに高い温度(たとえば、ポリエステルA層に含まれる、主成分の融点が高いポリマーに適した押出温度)で押し出され、溶融粘度が低くなってポリエステルA層の主成分のポリマーとの分散性低下を抑制することが可能となる。その他の方法としては、ポリエステルA層に結晶性ポリマーを含む構成とし、UV処理やプラズマ処理などによりポリエステルA層に微結晶を形成させ、機能性膜乾燥時の加熱によって微結晶周辺の非晶部分のみを熱運動させてポリエステルA層表面に歪みを形成させる方法において、UV処理やプラズマ処理などの表面処理条件とポリエステルA層中の結晶性ポリマーの濃度を調整する方法、ポリエステルA層に、微小な空隙を形成しておき、機能性膜乾燥時の加熱によって空隙周辺のポリマーを軟化させて空隙の形状を変化させ、ポリエステルA層表面に歪みを形成させる方法において、空隙の大きさを特定範囲にする方法、フィルムの製造工程において、たとえば、テンター式横延伸機などでフィルムを幅方向に延伸する際に、延伸前半部の温度を低くして、延伸後半部の温度を高くし、前半部と後半部で5℃以上15℃以下の差をつけた温度を設定し、より好ましくは前半部と後半部8℃以上12℃以下の差をつけた温度を設定する方法などが挙げられる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、機能性膜の塗工性、乾燥後の機能性膜の剥離性の観点から、ポリエステルA層を少なくとも一方の表層に有するポリエステルフィルムであって、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3以上1.6以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11以上0.3以下であり、好ましくは、ポリエステルA層の配向パラメータF1が1.35以上1.55以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.14以上0.26以下であるとより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータをF2、180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差をS2とした際に、式1、式2の関係を満たすことが好ましい。
0<(F1−F2)<0.04・・・式1
0<(S1−S2)<0.15・・・式2
本発明における、180℃5分間熱処理とは、機能性膜の工程基材としてフィルムを使用した際に、機能性膜の乾燥、機能性向上のために生じるフィルムへの加熱を模した処理であり、たとえば、180℃に設定した熱風循環方式のコンベアオーブンにフィルムを5分間かけて搬送する処理を指す。また、フィルムを搬送する際には、2枚の金属枠でフィルムを挟み込んだ後、金属枠を金属クリップで固定することで、フィルムが直接コンベアに接触しないようにして行うものとする。
本発明において、式1は、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータが180℃5分間の熱処理後に小さくなり、配向が緩和されていることを示しており、式2は、ポリエステルA層の配向パラメータの分散度が180℃5分間の熱処理後に小さくなり、熱処理によってフィルムの局所的な配向が緩和されている事を示している。たとえば、本発明のフィルムが機能性膜と積層された構成であった場合に、機能性膜を乾燥する際の工程で機能性膜の平滑性を大きく変化させずにフィルムと機能性膜との界面に局所的な配向状態の緩和によって微小な空間を形成し、機能性膜との密着性を低下させることが可能となる。すなわち、本発明のフィルムは、レーザーラマン分光法で求められる局所的な配向を加熱後に小さくすることで、加熱前の機能性膜との密着性や塗工性、および、加熱後の機能性膜との剥離性を両立できることを見出したものである。本発明のポリエステルフィルムの(F1−F2)、(S1−S2)は機能性膜の塗工性や平滑性、乾燥した機能性膜の剥離性を良好とする観点から、(F1−F2)は0.01以上0.03以下とし、(S1−S2)は0.05以上0.1以下とすることがより好ましい。
(F1−F2)、(S1−S2)を式1、式2の範囲とするための方法としては、前述のポリエステルA層を2種類以上のポリマーを組み合わせた構成とし、ポリエステルA層を延伸させた後、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーのみを機能性膜を乾燥する際の加熱により変形させてポリエステルA層表面に歪みを形成させる方法において、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーをサイドフィード方式により押出機に投入する方法に加えて、主成分のポリマーと低融点ポリマーの配向差を180℃5分間などの機能性膜の加工時の処理で配向緩和させるため、フィルムを延伸した後の熱処理を低融点ポリマーの配向が残るように低温で熱処理を行う、例えばポリエステルA層の融点より10℃以上30℃以下低い温度で熱処理を実施する方法、より好ましくはポリエステルA層の融点より15℃以上25℃以下低い温度で熱処理を実施する方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルA層を延伸させた後、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーのみを機能性膜を乾燥する際の加熱により変形させてポリエステルA層表面に歪みを形成させる観点から、ポリエステルA層が、主成分のポリエステルaと、ポリエステルa以外のポリマーbを少なくとも含み、ポリマーbがポリエステルA層中にドメインを形成し、ポリマーbのドメインの長径の平均値が0.5μm以上8μm以下であり、ドメインの楕円率が0.02以上0.08以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおけるポリエステルA層は主成分のポリエステルaと異なるポリマーbを1種類以上含有している構成が好ましい。主成分のポリエステルaと異なるポリマーbとしては、ポリエステルA層中にドメインを形成し、相溶性の低いドメイン部分を加熱で運動させてポリエステルA層と機能性膜の界面に歪みを形成させる観点からは、主成分のポリエステルaと相溶性が高い部分と相溶性が低い部分の両方の構成を有するポリマーが好ましく選定される。また、主成分のポリエステルaと異なるポリマーbは、ポリエステルA層の主成分のポリエステルaとの配向の差をより大きくしてポリエステルA層と機能性膜の界面に歪みを形成させやすくするため、主成分のポリエステルaより融点が低いことが好ましい。主成分のポリエステルaと異なるポリマーbは、主成分のポリエステルaよりも融点が15℃以上低いことが好ましく、30℃以上低いことがより好ましい。また、主成分のポリエステルaは、融点を有しない非晶性のポリマーでも構わないが、非晶性ポリマーの場合は、180℃での加熱でもフィルムの変形が起きないよう、ポリエステルA層100質量%に対して20質量%以下の濃度であることが好ましい。また、主成分のポリエステルaと異なるポリマーbとして、加熱後に局所的な配向変化によって空隙の形状を変化させてポリエステルA層と機能性膜の界面に歪みを形成させる観点からは、ポリエステルA層の主成分のポリエステルaと相溶性が低いポリマーであり、かつ溶融粘度が近いポリマーが好ましく選定される。本発明のポリエステルA層の一例として、主成分のポリエステルaがポリエステル系樹脂の中でもポリエチレンテレフタレートである場合、主成分のポリエステルaと相溶性が高い部分と相溶性が低い部分の両方の構成を有するポリマーbとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリコールのブロック共重合体(ポリブチレンテレフタレートがポリエチレンテレフタレートと相溶性が高い部分であり、ポリオキシアルキレングリコールがポリエチレンテレフタレートと相溶性が低い部分)、各種変性ポリオレフィン系樹脂(変性させた官能基がポリエチレンテレフタレートと相溶性が高い部分であり、ポリオレフィン部分がポリエチレンテレフタレートと相溶性が低い部分)などが挙げられる。また、主成分のポリエステルaと相溶性が低いポリマーbとしては、各種ポリオレフィン系樹脂で、主成分のポリエステルの溶融押出温度にて主成分のポリエステル(今回の例ではポリエチレンテレフタレート)と近い溶融粘度特性を有するポリマーなどが挙げられる。また、加熱後の配向変化により表面形状を変化させてポリエステルA層と機能性膜の界面に歪みを形成させる観点から、ポリエステルA層中にポリマーbが形成するドメインは、ドメインの長径の平均値が0.5μm以上8μm以下であり、ドメインの楕円率が0.02以上0.08以下であることが好ましく、ドメインの長径の平均値が0.7μm以上7.5μm以下であり、ドメインの楕円率が0.03以上0.07以下であることがより好ましく、ドメインの長径の平均値が0.6μm以上7μm以下であり、ドメインの楕円率が0.04以上0.06以下であることがさらに好ましい。ドメインの長径の平均値が0.5未満であるとドメインが微小過ぎて加熱後の配向変化による表面形状の変化が不十分となり、機能性膜の剥離性が不十分である場合があり、ドメインの長径の平均値が8μmより大きいと軟らかい機能性膜ではドメインとともに機能性膜が歪んでしまい、得られる機能性膜の品位が著しく悪化する場合がある。また、ドメインの楕円率が0.02未満では、ドメインがほぼ正円、もしくは球状であるため、延伸工程を経てフィルムを生産する場合に得ることが困難である場合があり、ドメインの楕円率が0.08より大きいとフィルムの物性のバランスが悪くなり、ハンドリング性に劣る場合がある。
ポリマーbのドメインの長径の平均値とドメインの楕円率を所定の範囲とする方法としては、ドメインの径を大きくするためフィルムを高倍率で延伸した後に幅方向に延伸後のリラックスを10%未満で行う方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムについて、前述のポリエステルA層中の主成分のポリエステルaと異なるポリマーbのガラス転移温度がポリエステルaのガラス転移温度よりも低いことが好ましい。ポリマーbのガラス転移温度がポリエステルaより高い場合、延伸工程において、ポリマーbによるドメインが延伸できず、微小なドメインしか形成されないため加熱後の配向変化による表面形状の変化が不十分となり、機能性膜の剥離性が不十分となる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、機能性膜の塗工性や機能性膜の平面性の観点から、主配向方向、および主配向方向と垂直な方向それぞれにおいて、150℃30分間における熱収縮率が0.1%以上2.5%以下であることが好ましく、0.15%以上2%以下であるとより好ましく、0.2%以上1.5%以下であるとさらに好ましい。一般に生産時にフィルムを高倍率で延伸し、その後でリラックス処理をして低熱収縮のフィルムを得る方法があるが、150℃30分間における熱収縮率が0.1%未満のフィルムを得るためには、かなりの高倍率で延伸する必要があり、フィルムの破断が生じやすくなり、生産性に劣る場合がある。また、150℃30分間における熱収縮率が2.5%より大きいと機能性膜を塗工する際の熱処理などでシワが発生し、機能性膜の品位が悪化する場合がある。主配向方向、および主配向方向と垂直な方向それぞれにおいて、150℃30分間における熱収縮率を所定の範囲とする方法としては、フィルムの組成(融点、2種類以上の原料のアロイ)、低融点ポリマーの配向が損なわれないような製造条件(二軸延伸処理、および当該処理における延伸温度や延伸倍率など)による調整を行う方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、工程基材として使用した際に、塗布性、加工後の剥離性、傷付き性を良好とすることができるため、導電性、磁性を有する各種材料やセラミック部材等の回路部材、光学部材など各種機能性膜の製造工程用途として好ましく使用できる。
本発明における、機能性膜を構成する機能性材料とは、材料の持つ様々な物理的特性、化学的特性に基づき機能を発現させることを目的として各種製品に用いられる材料を指し、感光性や感熱性などの特徴を有する高分子材料、接着剤、粘着材、光学材料、セラミック、金属材料、磁性材料などが例として挙げられる。
感光性や感熱性などの特徴を有する高分子材料としては、紫外線やレーザーなどの光、あるいは熱で硬化するアクリル系樹脂などが挙げられ、各種レジスト材料や印刷インク、プラスチック材料の表面保護用途などで好ましく用いられる。
接着剤、粘着材としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂などの材料が挙げられ、半導体チップの封止材や導電性接着剤、ディスプレイなどの電子部材のシール材、半導体チップ製造時のダイシングテープ、メッキのマスキングテープなどの加工用途などで好ましく用いられる。
光学材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂など透明性、位相差特性などに特徴のある材料が挙げられ、光ディスク、フラットパネルディスプレイなど情報の記録、表示、伝送を担う光学材料向け用途などで好ましく用いられる。
セラミックとしては、チタン酸バリウムやアルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、ゼオライトなど、誘電特性や耐熱性に特徴のある材料が挙げられ、スマートフォンなど各種デジタル電子機器で使用される、コンデンサーやインダクタ、回路基板材料用途などで好ましく用いられる。
金属材料としては、銀、胴、鉄など、導電性、放熱性、電磁波遮蔽性、バリア性に特徴のある材料が挙げられ、金属転写箔用途などで好ましく用いられる。
磁性材料としては、フェライトやパーマロイなど、磁界中で磁力が発生したり変形したり、あるいは電気抵抗が変化する特徴を有する材料が挙げられ、インダクタやノイズ抑制、無線通信、無線給電用途などで好ましく用いられる。
次に、本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
はじめに、ポリエステルA層を構成する原料をベント式二軸押出機に供給して溶融押出する。ポリエステルA層とポリエステルA層以外の層を積層させる場合は、ポリエステルA層に用いるポリマーaと、ポリエステルA層以外の層に用いるポリエステル原料とをそれぞれ別々のベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。また、異なる組成のポリエステルA層同士を積層させる場合は、各ポリエステルA層に用いるポリマーaを、それぞれ別々のベント式二軸押出機に供給し溶融押出するが、以下においては、ポリエステルA層と、ポリエステルA層以外の層(ポリマーB層とする)を積層した構成として説明する。溶融押出を行う際は、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂の押出温度は、各層のうち最も融点が高い樹脂の融点より5℃〜40℃高く設定することが好ましく、融点が観測されない非晶性樹脂のみの場合は、溶融粘度や溶融状態を見ながら例えば180℃〜270℃の範囲内で調整することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、ポリエステルA層とポリマーB層を合流させた後、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリマーaのガラス転移点以下(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステル系樹脂を使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
また、ポリエステルA層を2種類以上のポリマーを組み合わせた構成とする場合は、押出機の溶融ゾーンからも原料投入が可能である、いわゆるサイドフィード方式の押出機がポリエステルA層の押出機として好ましく用いられる。また、低融点のポリマーが過度に加熱され溶融粘度が低くなってしまい、ポリエステルA層を不均一な構成となることを防止する観点から、ポリエステルA層に含まれるポリマーの中で低融点のポリマーをサイドフィード側から投入する方法が好ましく用いられる。
本発明のフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向させることが好ましく、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことが好ましい。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、2.7倍以上4倍以下、さらに好ましくは3倍以上3.5倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、80℃以上130℃以下が好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上4倍以下、より好ましくは、3倍以上3.8倍以下が好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが好ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行ってもよい。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は、二軸配向後の配向結晶を成長させて熱寸法性を向上させることが目的であるため、最も融点の高いポリエステルA層の融点以下の範囲内で、なるべく高い熱処理温度に設定する場合が一般的である。また、ポリエステルA層において、ポリエステルA層の主成分より融点の低いポリマーを少量含有させる構成とすることで、ポリエステルA層の中で低配向のドメインを形成し、加熱後のポリエステルA層の表面歪みを形成しやすい設計とすることができる。ポリエステルA層が2種類以上のポリマーを組み合わせた構成とする場合は、ポリエステルA層の主成分のポリマーと、ポリエステルA層の融点の低いポリマーの配向差をつけておき、機能性膜の加工時に配向緩和の差によりポリマーA層と機能性膜の界面に歪みを形成させやすくする観点からは、二軸延伸の後のフィルムの熱処理温度は、融点の低いポリマーの融点より15℃以上30℃以下の温度であることが好ましい。
また、本発明のフィルムは、機能性膜との加熱前の密着性、加熱後の剥離性をより良好とするために、ポリマーA層の表面に、コロナ処理やプラズマ処理、UV処理をはじめとした表面処理を行ったり、易接着層、離型層をフィルムの製造工程中にコーティングさせたりしてもよい。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次の通りである。
(1)ポリマーの組成
公知のポリマー組成分析手法(FT−IR、NMRなど)によりポリマーA層の組成を求めた。ポリマーA層のうちポリエステルが含まれている場合においては、ポリマーA層をフィルムから削り取った後、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)固有粘度
公知のポリマー組成分析手法(FT−IR、NMRなど)によりポリマーA層がポリエステルである傾向が確認された場合においては、ポリマーA層をオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価した。
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルム厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所5ヵ所の厚みを測定し、平均値を求めた。層厚みを測定する際は、フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、各層の厚みを求めた。
(4)ガラス転移温度、融点
示差走査熱量計(SIIテクノロジー(旧セイコー電子工業)製、EXTRA DSC6220)を用い、JIS K−7121−1987、JIS K−7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。フィルム5mgをサンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線より得られた転移の開始温度から転移の終了温度の中間点をガラス転移温度とし、吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。なお、積層フィルムの場合は、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体のガラス転移温度および融点を測定した。また、複数のガラス転移温度の内、最も高温側をポリマーaのガラス転移温度として、ポリマーaの次に高温側をポリマーbのガラス転移温度として採用し、複数の融点が観測された場合は、最も面積が大きな吸熱ピークを層の融点として採用した。
(5)配向パラメータ、標準偏差
ラマンレーザー分光法にて、配向パラメータと標準偏差を以下の条件で求めた。
・測定装置:in Via(RENISHAW)
・測定モード:顕微ラマン
・対物レンズ:100倍
・ビーム径:1μm
・光源:YAG2nd 532nmライン
・レーザーパワー:100mW
・回折格子:Single 3000gr/mm
・スリット:65μm
・検出器:CCD/RENISHAW1024×256
測定領域を20μm×20μm、測定間隔を0.6μmに設定して測定し、得られた主配向方向に垂直な偏向位置での1615cm-1ラマンバンド強度を主配向方向に平行な偏向位置での1615cm-1ラマンバンドで除した値を配向パラメータとして、測定領域20μm×20μmの算術平均値を算出し、任意の異なる5点の測定領域20μm×20μmで算出した算術平均値の算術平均値を配向パラメータF1およびF2として採用した。また、任意の異なる5点の測定領域20μm×20μmで測定した値の標準偏差を配向パラメータの標準偏差S1およびS2として採用した。なお、180℃5分間の熱処理はA4サイズのフィルムを、A4サイズで四辺1cm幅以外がくり抜かれた厚み2mmのアルミニウム枠2枚で挟み込んだ後、アルミニウム枠を金属クリップで固定したサンプルを準備した。その後、180℃に設定したコンベア式オーブン(フジマック製FGJOA9H)にて、オーブン通過時間が5分になるように設定し、フィルムの熱処理を行った。
(6)ポリマー楕円率、長径
(3)フィルム厚みに記載の方法と同様にしてフィルムの断面を拡大観察し、断面写真を撮影、ドメインである海島構造の島相部分の長径と短径を測定し、短径を長径で除した値を楕円率とした。なお、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。また、島相は200個測定し、得られた値の平均値をそれぞれポリマーの長径、楕円率として採用した。
(7)150℃30分間熱収縮率
フィルムを主配向方向および主配向に垂直な方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも主配向方向および主配向に垂直な方向に5サンプル実施して平均値を採用した。
(8)機能性膜の塗工性
フィルムのポリエステルA層側に、機能性膜として、フェライト系スラリーを乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した。なお、フェライト系スラリーとしては、軟磁性フェライト粉末(数平均粒子径0.7μm)100部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)社製「エスレックBM−S」)30部、可塑剤(フタール酸ジオクチル)5部、トルエン/エタノール混合溶媒(混合比率:6:4)200部よりなるスラリーを使用し、乾燥条件は100℃5分間とした。A4サイズのフィルムの長手方向および幅方向の中央部から、長手10×幅10cmの寸法において、機能性膜(フェライト系スラリー)を樹脂層上に塗工した状態を観察し、下記判定基準で評価した。ここで、塗工ムラとはスラリー塗工直後のスジ等の発生や乾燥後にフィルムから剥離したスラリー乾燥膜において、長手方向および幅方向に任意で5点ずつ測定したスラリー乾燥膜厚みの最大厚みと最小厚みの差が1.5μm以上であることを示す。また、スラリー乾燥膜の厚みは(3)フィルム厚みの測定方法と同様にして測定した。また、ピンホールとは、塗工の抜け等により発生した針先状の微少な穴のことであり、ここでは、フィルム側から蛍光灯を照らして、塗工したすべてのスラリー乾燥膜を目視で検査し、穴の有無を判断し、下記基準にてB以上を合格とした。
A:塗工ムラがなく、ピンホールも発生なし
B:塗工ムラは発生するが、ピンホールの発生なし
C:塗工ムラ、ピンホールの発生あり。
(9)密着性
(8)機能性膜の塗工性で得られたフィルム/機能性膜(フェライト系スラリーを乾燥させて得られた層)の、機能性膜側に、日東電工製OPP粘着テープ(ダンプロンエースNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該サンプルをフィルム/機能性膜層間で剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行った。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とした。なお、測定は5回行い、その平均値を採用した。このようにして求めた剥離強度に対して、下記基準にて機能性膜との密着性を評価した。
A:0.030N/10mm以上
B:0.010N/10mm以上0.030N/mm未満
C:0.010N/10mm未満。
(10)機能性膜との剥離性(加熱後)
(8)と同様にフィルム/機能性膜を作製したのち、(5)と同様にして180℃5分間の加熱処理を行った。その後は(9)と同様の方法にて剥離強度を算出した。その後、(9)で求めた剥離強度と、180℃5分間加熱処理を行った後の剥離強度を比較し、下記基準にて加熱後の剥離性向上効果を評価した。
A:180℃5分間加熱後に、剥離強度が0.01N/10mm以上低くなった。
B:180℃5分間加熱後に、剥離強度が0.005N/10mm以上、0.01N/10mm未満低くなった。
C:180℃5分間加熱後に、剥離強度が0N/10mmを超えて0.005N/10mm未満低くなった。
(11)機能性膜の均一性
(8)と同様にフィルム/機能性膜を作製したのち、機能性膜の表面比抵抗を測定し、下記基準にて評価した。機能性膜の組成が均一であれば、機能性膜に含有される金属が均一に分散し、電流が流れやすくなるので表面比抵抗は小さくなり、機能性膜が均一であることの指標となる。なお、表面比抵抗の測定方法としては、フィルムを200mm×200mmに切り取った後、23℃、相対湿度25%に調湿された部屋にて24時間放置後、その雰囲気下で、ポリマーA層側についてデジタル超高抵抗/微小電流系R8340A(アドバンテスト製)を用いて測定を行った。
A:1.0×10Ω/sq以下
B:1.0×10Ω/sqを超えて1.0×1013Ω/sq以下
C:1.0×1013Ω/sqを超えて1.0×1015Ω/sq以下
D:1.0×1015Ω/sqを超えた値
(12)機能性膜の平滑性
(9)と同様にしてフィルムから剥離した機能性膜について、蛍光灯の下に置き、視認される蛍光灯の像を下記基準で評価した。
A:蛍光灯の輪郭がはっきりと確認できた。
B:蛍光灯の輪郭がぼやけて見えるものの、蛍光灯の状態をほぼ確認できた。
C:蛍光灯の輪郭がほとんど確認できなかった。
本発明のポリエステルフィルムの製造には下記の樹脂を使用した。
(ポリエステル1)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂を製造後、数平均粒子径2.2μmのシリカ粒子をポリエチレンテレフタレート樹脂100質量%に対して0.04質量%含有させた、粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.63)。
(ポリエステル2)
ポリブチレンテレフタレート90質量%と、ポリテトラメチレングリコールを10質量%とをブロック共重合させたポリエステル系樹脂を用いた。
(ポリエステル3)
ポリエステル1と同様にして得られたポリエチレンテレフタレート樹脂50%に対してポリエーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社登録商標)50%を300℃に加熱されたベント式の二軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出して得られた、ポリエーテルイミドを50質量%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
(実施例1)
組成を表の通りとして、ポリエステル1を酸素濃度を0.2体積%としたベント同方向二軸押出機の通常フィーダーに供給し、ポリエステル2を、同方向二軸押出機のサイドフィーダーから供給し、ポリマーA層の押出機のシリンダー温度を280℃で溶融し、短管温度を280℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向へ延伸温度85℃で長手方向に3.5倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸温度100℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度を245℃として熱処理を行った。なお、幅方向に5%縮めながら熱処理を行い、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2〜6、9、比較例1、2)
組成、製造条件を表のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給した。ポリマーA層についてはポリエステル1を通常フィーダーに供給し、ポリエステル2を、サイドフィーダーから供給しポリマーA層の押出機のシリンダー温度を280℃に設定して原料を溶融させた。ポリマーB層については、ポリエステル1を通常フィーダーに供給し、押出機シリンダー温度を280℃に設定して原料を溶融させた。その後、それぞれの押出機にて溶融させたポリマーA層、ポリマーB層の原料について、フィードブロック内でA層/B層の2層構成になるよう合流させた以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給した。ポリマーA層についてはポリエステル1を通常フィーダーに供給し、ポリエステル2を、サイドフィーダーから供給しポリマーA層の押出機のシリンダー温度を280℃に設定して原料を溶融させた。ポリマーB層については、ポリエステル1を通常フィーダーに供給し、押出機シリンダー温度を280℃に設定して原料を溶融させた。その後、それぞれの押出機にて溶融させたポリマーA層、ポリマーB層の原料について、フィードブロック内でA層/B層/A層の3層構成になるよう合流させた以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2020070397
Figure 2020070397
本発明のポリエステルフィルムは、加熱後の剥離性を良好にできることから、機能性材料を塗布して機能性材料の薄膜(機能性膜)を得るための工程基材として好ましく用いられる。

Claims (6)

  1. ポリエステルA層を少なくとも一方の表層に有するポリエステルフィルムであって、レーザーラマン分光法で求めたポリエステルA層の配向パラメータF1が1.3以上1.6以下であり、ポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差S1が0.11以上0.3以下であることを特徴とする、ポリエステルフィルム。ここで、配向パラメータ、および配向パラメータの標準偏差の測定領域を20μm×20μm、測定間隔を0.6μmとして求めた値とする。
  2. 180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータをF2、180℃5分間加熱処理後のポリエステルA層の配向パラメータの標準偏差をS2とした際に、式1、式2の関係を満たす、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    0<(F1−F2)<0.04・・・式1
    0<(S1−S2)<0.15・・・式2
  3. ポリエステルA層が、主成分のポリエステルaと、ポリエステルa以外のポリマーbを少なくとも含み、ポリマーbがポリエステルA層中にドメインを形成し、ポリマーbのドメインの長径の平均値が0.5μm以上8μm以下であり、ドメインの楕円率が0.02以上0.08以下である、請求項1または請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. ポリマーbのガラス転移温度がポリエステルaのガラス転移温度よりも低い、請求項3に記載のポリエステルフィルム。
  5. 主配向方向、および主配向方向と垂直な方向それぞれにおいて、150℃30分間における熱収縮率が0.1%以上2.5%以下である、請求項1から請求項4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 製造工程用途に用いられる、請求項1から請求項5に記載のポリエステルフィルム。
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