JP2020067508A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
工程2:工程1で得られた着色マスターバッチと非晶質ポリエステルを含むトナー成分を混練する工程、及び工程3:工程2で得られた混練物を粉砕する工程を含む方法により製造する方法であって、前記結晶性複合樹脂Cが炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分と、スチレン系樹脂成分とを含む樹脂である、電子写真用トナーの製造方法が記載されている。当該方法によれば、低温定着性、耐熱保存性を満足しつつ、画像濃度に優れる電子写真用トナーが得られると記載されている。
そこで、本発明は、高い画像濃度が得られ、保存後の低温低湿環境下での転写性に優れるトナーの製造方法等に関する。
本発明は、ポリエステル系樹脂及び着色剤を含む混合物を、溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、
前記着色剤が、付加重合体Eで被覆された着色剤である、トナーの製造方法に関する。
本発明のトナーの製造方法は、ポリエステル系樹脂A(以下、単に「樹脂A」ともいう)及び着色剤を含む混合物を、溶融混練する工程を含む。
着色剤は、付加重合体Eで被覆された着色剤(以下、「被覆着色剤P」ともいう)である。
以上の製造方法により、高い画像濃度が得られ、保存後の低温低湿環境下での転写性(以下「LL環境転写性」ともいう)に優れるトナーが得られる。
本発明の製造方法は、溶融混練する工程を含む方法に関する。溶融混練法で製造したトナーを長期間保管した後に、低温低湿度の環境下で転写すると、静電付着力が極端に上昇し、定着画像の画像抜けの問題が発生することがあった。これは、使用しているポリエステルの特に低分子量成分が保管中にブリードアウトすることに起因するものと考えられた。一方、本発明では、付加重合体Eで被覆された着色剤をトナーの原料として使用することで、溶融混練時に着色剤のポリエステル系樹脂中への分散性を高めることで高い画像濃度のトナーが得られるとともに、ブリードアウトしやすかった親水性の高いポリエステル系樹脂の低分子量分が、付加重合体Eと相互作用することでトナー粒子中にとどまりやすくなり、保存時のブリードアウトを抑制することができる。その結果高い画像濃度と、優れた保存後の低温低湿環境下での転写性を示すトナーが得られたと考えられる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
「ビスフェノールA」は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
炭化水素基に関して、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「スチレン系化合物」とは、無置換又は置換のスチレンを意味する。
「主鎖」とは、付加重合体中で相対的に最も長い結合鎖を意味する。
工程1:ポリエステル系結着樹脂A及び被覆着色剤Pを含む混合物を、溶融混練する工程(以下、「工程1」ともいう)、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程(以下、「工程2」ともいう)
を含む。
以下、当該実施態様を例にとり、本発明について説明する。
工程1の混合物は、高い画像濃度が得られ、保存後の低温低湿環境下での転写性に優れるトナーを得る観点から、ポリエステル系樹脂A及び被覆着色剤Pを含む。
当該混合物は、好ましくは、結晶性ポリエステル樹脂(以下、「樹脂C」ともいう)、荷電制御剤、又は離型剤を含む。
これらのトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
ポリエステル系樹脂Aは、好ましくは非晶性である。
ポリエステル系樹脂Aとしては、例えば、ポリエステル樹脂、変性されたポリエステル系樹脂が挙げられる。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントを含む複合樹脂が挙げられる。
これらの中でもポリエステル樹脂が好ましい。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
(式中、OR1及びR2Oはオキシアルキレン基であり、R1及びR2はそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(以下「BPA−PO」ともいう)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(以下「BPA−EO」ともいう)が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、アルコール成分は、BPA−PO及びBPA−EOを含む。
アルコール成分中、BPA−POとBPA−EOとのモル比(BPA−PO/BPA−EO)は、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、更に好ましくは65/35以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、及び、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が好ましく、ドデセニルコハク酸がより好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
樹脂Aは、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。
必要に応じて、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
樹脂Aの軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
樹脂Aのガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
樹脂Aの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、樹脂Aを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度、及び酸価の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
結晶性ポリエステル系樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)は、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、変性された結晶性ポリエステル系樹脂が挙げられる。変性された結晶性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性結晶性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性結晶性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを含む結晶性複合樹脂が挙げられる。
これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂、又は、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを含む結晶性複合樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを含む結晶性複合樹脂がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分は、好ましくはα,ω−脂肪族ジオールを含む。
α,ω−脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω−脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは8以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でもセバシン酸が好ましい。
樹脂Cは、好ましくは結晶性複合樹脂である。
複合樹脂のポリエステル樹脂セグメントは、例えば、前述のポリエステル樹脂Cからなる。
複合樹脂の付加重合樹脂セグメントは、例えば、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物からなる。
スチレン系化合物としては、例えば、無置換又は置換スチレンが挙げられる。スチレンに置換される置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホン酸基又はその塩が挙げられる。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
付加重合樹脂セグメントの原料モノマー中、スチレン系化合物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はターシャリー)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸ステアリルが好ましく、(メタ)アクリル酸ステアリルがより好ましい。
「両反応性モノマー由来の構成単位」とは、両反応性モノマーの官能基、付加重合性基が反応した単位を意味する。
付加重合性基としては、例えば、炭素−炭素不飽和結合が挙げられる。
両反応性モノマーとしては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する付加重合性モノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する付加重合性モノマーが好ましく、カルボキシ基を有する付加重合性モノマーがより好ましい。
カルボキシ基を有する付加重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、複合樹脂Aのポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは3モル部以上、更に好ましくは5モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは20モル部以下、更に好ましくは10モル部以下である。
工程Aの後に工程Bを行ってもよいし、工程Bの後に工程Aを行ってもよく、工程Aと工程Bを同時に行ってもよい。
工程Aにおいて、カルボン酸成分の一部を重縮合反応に供し、次いで工程Bを実施した後に、カルボン酸成分の残部を重合系に添加し、工程Aの重縮合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応を更に進める方法が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、付加重合樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
付加重合の温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。
樹脂Cの軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは125℃以下である。
なお、樹脂Cを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、及び融点の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
被覆着色剤Pは、高い画像濃度が得られ、保存後の低温低湿環境下での転写性に優れるトナーを得る観点から、付加重合体Eで被覆された着色剤であり、好ましくは、着色剤と付加重合体Eと水とを含有する混合液中で分散させて得られた付加重合体Eで被覆された着色剤である。
被覆着色剤Pは、分散後に得られる着色剤粒子であってもよいし、当該着色剤粒子の分散液の溶媒を除去して得られる塊状の着色剤であってもよい。
被覆着色剤Pは、画像濃度及び保存後の低温低湿環境下での転写性をより向上させる観点から、好ましくは、着色剤と付加重合体Eと水とをビーズミル、又は、ホモジナイザーにより混合して得られるものである。
被覆着色剤Pは、例えば、着色剤の表面に付加重合体Eを有し、好ましくは着色剤の表面が付加重合体Eで被覆されている。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエローが挙げられる。トナーは、黒トナー、黒以外のカラートナーのいずれであってもよい。
これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。これらの中でも、着色力と帯電制御の観点から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックのpH値は、画像濃度をより向上させる観点から、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7.5以下である。
カーボンブラックのpH値の測定は、具体的には以下の手順で行うことができる。
(1)カーボンブラック5gとpH7の蒸留水50mLを容器に採取し混合する。
(2)これを15分間煮沸し、その後常温まで30分で冷却する。
(3)この上澄み液中にpHメータの電極を浸し、pHを測定する。
pHメータとしては、例えば、「HM30R」(東亜ディーケーケー株式会社製)が挙げられる。
付加重合体Eは、画像濃度及び、保存後の低温低湿環境下での転写性をより向上させる観点から、好ましくは、芳香族基を有する付加重合性モノマーa(以下、単に「モノマーa」ともいう)を含む原料モノマーの付加重合体である。つまり、付加重合体Eは、好ましくは、芳香族基を有する付加重合性モノマーa由来の構成単位を主鎖に含む。
付加重合体Eの原料モノマーは、芳香族基を有する付加重合性モノマーaの他、好ましくはイオン性基を有する付加重合性モノマーb(以下、単に「モノマーb」ともいう)を含有する。
また、付加重合体Eの原料モノマーは、モノマーbに加えて、より好ましくは、ポリアルキレンオキサイド基を有する付加重合性モノマーc(以下、単に「モノマーc」ともいう)又はマクロモノマーd(以下、単に「モノマーd」ともいう)から選ばれる少なくとも1種を更に含有する。
ここで、「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させた試料を、25℃のイオン交換水100gに飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満である性質を意味する。溶解量の測定は、付加重合体Eのイオン性基が100%中和された状態で行う。例えば、カルボキシ基を有する付加重合体の場合、溶解量は、付加重合体のカルボキシ基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
付加重合体Eの水に対する溶解量は、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
芳香族基を有する付加重合性モノマーaは、好ましくは非イオン性である。
芳香族基を有する付加重合性モノマーaとしては、例えば、スチレン系化合物a−1、芳香族基含有(メタ)アクリレートa−2が挙げられる。
スチレン系化合物a−1としては、例えば、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。スチレンに置換される置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホ基又はその塩が挙げられる。
スチレン系化合物a−1の分子量は、好ましくは1,000未満、より好ましくは800以下、更に好ましくは500以下、更に好ましくは300以下であり、そして、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは100以上である。
スチレン系化合物a−1としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩が挙げられる。これらの中でも、画像濃度を高める観点から、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物a−1の量は、画像濃度をより向上させる観点から、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは65質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
芳香族基含有(メタ)アクリレートa−2の量は、画像濃度をより向上させる観点から、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは65質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
イオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、アミノ基、又はこれらの塩が挙げられる。
イオン性基としては、好ましくはアニオン性基である。アニオン性としては、酸性基又はこれらの塩が好ましく、カルボキシ基、スルホ基、又はこれらの塩がより好ましく、カルボキシ基、又はこれらの塩が更に好ましい。
カルボキシ基を有する付加重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性基を有する付加重合性モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が更に好ましい。
モノマーbを含有する場合、モノマーbの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
モノマーcは、好ましくは非イオン性である。
モノマーcとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレート等のアリールオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマーcを含有する場合、モノマーcの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
モノマーdにおいて、スチレン系化合物としては、スチレンが好ましい。
モノマーdの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
スチレン系マクロモノマーの市販品としては、例えば、「AS−6」、「AS−6S」、「AN−6」、「AN−6S」、「HS−6」、「HS−6S」(以上、東亞合成株式会社製)が挙げられる。
モノマーdを含有する場合、モノマーdの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
その他のモノマーとしては、例えば、炭素数1以上22以下(好ましくは6以上18以下)のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他のモノマーを含有する場合、その他のモノマーの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
付加重合反応の重合開始剤としては、例えば、ジブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物が好ましく、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)がより好ましい。
重合開始剤の使用量は、付加重合樹脂Eの原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
付加重合反応の温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
被覆着色剤Pは、例えば、着色剤と付加重合体Eとを混合して得られる。混合方法は、特に限定されないが、例えば、付加重合体Eの融点以上の温度で、乾式条件下で、着色剤と付加重合体Eを混合してもよい。
また、被覆着色剤Pは、画像濃度、及び保存後の低温低湿環境下での転写性を向上させる観点から、着色剤を付加重合体Eにより分散した、着色剤粒子の分散液を使用することが好ましい。
着色剤粒子の分散液の製造方法に特に制限はなく、公知の混練機、分散機等を用いて所望の体積中位粒径D50の着色剤粒子を得るよう制御できればよいが、着色剤と付加重合体Eとをビーズミル、又は、ホモジナイザーにより混合して得ることが好ましい。
工程a:付加重合体Eと有機溶媒とを混合した後、必要に応じて中和剤を混合し、更に水性媒体を混合して、付加重合体Eの分散液を得る工程、及び
工程b:工程aで得られた分散液と着色剤とを分散処理して被覆着色剤Pの分散液を得る工程
を有する方法である。
有機溶媒が含まれることで、着色剤と付加重合体とが有機溶媒に溶解し、着色剤へ付加重合体が吸着しやすくなり、より着色剤の分散性を高めることができる。
ここで使用する有機溶媒としては、例えば、炭素数1以上3以下のアルキルアルコール、総炭素数3以上5以下のジアルキルケトン、環状エーテルが挙げられる。これらの中でも、総炭素数3以上5以下のジアルキルケトンが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。付加重合体Eを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
付加重合体Eの中和度は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは98モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。
なお、付加重合体Eの中和度は、下記式によって求めることができる。
中和度(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/{付加重合体Eを構成する酸性基を有する付加重合性モノマーの質量割合×付加重合体Eの質量(g)/酸性基を有する付加重合性モノマーの分子量}〕×100
工程aにおいて、混合に用いる装置としては、例えば、アンカー翼、ディスパー翼等を備えた混合撹拌装置が挙げられる。
混合時の温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。
混合時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
ホモジナイザーを用いる場合、処理圧力は、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、そして、好ましくは270MPa以下、より好ましくは200MPa以下、更に好ましくは180MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
また、着色剤粒子の分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去するのが好ましい。また、分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、被覆着色剤の付加重合体Eを架橋処理してもよい。
また、有機溶媒、防腐剤、防黴剤等の各種添加剤を、着色剤粒子の分散液に添加してもよい。
着色剤粒子の分散液の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
被覆着色剤Pは、画像濃度、及び保存後の低温低湿環境下での転写性をより向上させる観点から、当該の体積中位粒径D50を有する着色剤粒子を経て得られるものであることが好ましい。
着色剤粒子のCV値は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、そして、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。
着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値は、実施例の方法によって測定される。
離型剤としては、例えば、ワックスが挙げられる。
ワックスとしては、例えば、炭化水素ワックス、エステルワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミドワックスが挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物又は石油系炭化水素ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等のポリオレフィンワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、モンタンワックス等の鉱物又は石油系エステルワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系エステルワックス;ミツロウ等の動物系エステルワックスが挙げられる。
脂肪酸アミドワックスとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、炭化水素ワックス又はエステルワックスが好ましく、炭化水素ワックス及びエステルワックスがより好ましい。
離型剤の含有量は、トナー中の樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN―11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP―B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ―2001」、「PLZ―8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
溶融混練する温度は、好ましくは80℃以上160℃以下である。
工程1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
工程2の粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を1mm以上5mm以下に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
以上の工程により、トナー粒子が得られる。
トナー粒子の体積中位粒径D50は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは6μm以上であり、そして、好ましくは12μm以下、より好ましくは9μm以下である。
トナー粒子のCV値は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
トナー粒子の体積中位粒径D50及びCV値の測定方法は、実施例に記載の方法による。
トナー中、トナー粒子の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下である。
トナーは、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理されていることが好ましい。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ等の酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、カーボンブラック等の無機材料粒子、及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー粒子が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素粒子が好ましく、疎水性シリカ粒子がより好ましい。
外添剤の個数平均粒径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下である。
外添剤の個数平均粒径の測定方法は、実施例に記載の方法による。
なお、「アルキレンオキサイド(X)」等の標記において、かっこ内の数値Xは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を意味する。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定する。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却しそのまま1分間静止させた。その後、昇温速度50℃/minで測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側に現れるピークの温度を樹脂の吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とする。
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
トナー粒子の体積中位粒径は、下記の方法で測定する。
測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(ベックマン・コールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター株式会社製)
分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径D50を求める。
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔GPC装置「HLC−8320GPC」(東ソー株式会社製)、カラム「TSKgel SuperAWM−H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolum Super AW−H」(東ソー株式会社製)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F−550、F−80、F−10、F−1、A−1000)、PStQuick C(F−288、F−40、F−4、A−5000、A−500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定する。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに試料分散液をとり、蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径D50及び体積平均粒径Dvを測定する。また、CV値は次の式に従って算出する。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径Dv)×100
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分、水分量の変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定する。固形分濃度は次の式に従って算出する。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
〔画像濃度〕
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(沖データ株式会社製)用カートリッジにトナーを充填、プリンターに装填し、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、J紙(富士ゼロックス株式会社製)に、トナーの紙面上の付着量が0.40mg/cm2となるベタ画像を出力した。
印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、出力した印刷物のベタ画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、画像上の任意の5点を測定した値を平均して画像濃度とした。数値が大きいほど、画像濃度に優れる。
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(沖データ株式会社製)用カートリッジにトナーを充填し、温度40℃相対湿度50%の環境下で、120時間静置した後、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、8時間以上静置した。その後、カートリッジをプリンターに装填し、温度10℃相対湿度20%の環境下で8時間以上静置した後、温度10℃相対湿度20%の環境下で1ページ20秒間欠の条件で印字率5%の画像を100枚印字した後、J紙(富士ゼロックス株式会社製)の上端より2cmの部分に1cm×1cmのベタ画像を1cm間隔で8点印刷した。得られた定着画像の画像抜けの有無を目視で確認し、以下の評価基準に従ってLL環境転写性を評価した。
A:画像抜けは見られない
B:画像抜けが1〜2点の画像で発生
C:画像抜けが3点以上の画像で発生
〔非晶性ポリエステル系樹脂の製造〕
製造例A1、A2(樹脂A−1、A−2の製造)
表1に示すトリメリット酸無水物以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。更に210℃に昇温した後、トリメリット酸無水物を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、更に40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させた。得られた樹脂の物性を表1に示す。
製造例C1(樹脂C−1の製造)
表2に示すポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー(P)、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。
その後、表2に示す付加重合樹脂セグメントの原料モノマー(S)、両反応性モノマー(D)及び重合開始剤(I)を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間、付加重合樹脂セグメントの原料モノマーの除去を行った。更に、200℃まで8時間かけて昇温し、8.3kPaにて2時間反応させて、樹脂C−1を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
表2に示す原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、樹脂C−2を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
製造例E1、E2(付加重合体E−1、E−2の製造)
表3に示す種類及び量の原料モノマーを混合し、モノマー総量100gのモノマー混合液を調製した。
窒素導入管、滴下ロート、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、メチルエチルケトン18g、2−メルカプトエタノール0.03g、及び前記モノマー混合液の10質量%を入れ、撹拌しながら75℃まで昇温した。75℃に保持した状態で、モノマー混合液の残りの90質量%と2−メルカプトエタノール0.27g、メチルエチルケトン42g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)「V−65」(和光純薬工業株式会社製)3gの混合物を滴下ロートより3時間かけて滴下した。滴下終了後2時間75℃に保持した後、V−65 3gをメチルエチルケトン5gに溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間保持した。その後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、付加重合体E−1、E−2を得た。得られた付加重合体の重量平均分子量を表3に示す。
製造例P1(着色剤粒子P−1及び被覆着色剤P−1の製造)
ディスパー翼を備えた撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた内容積5Lの容器に、付加重合体E−1 75g及びメチルエチルケトン630gを入れ20℃にて樹脂を溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液101g(付加重合体E−1の中和度が91モル%になる)添加し、更に脱イオン水を955g添加して、ディスパー翼で20℃にて10分撹拌した。次いで、カーボンブラック「Regal−330R」(キャボット社製)300gを加え、ディスパー翼で6400r/minにて20℃で2時間撹拌を行った。その後、200メッシュのフィルターを通し、ホモジナイザー「Microfluidizer M−110EH」(Microfluidics社製)を用いて150MPaの圧力で15パス処理した。得られた分散液を撹拌しながら、減圧下70℃でメチルエチルケトンと一部の水を留去した。冷却後、200メッシュのフィルターを通し、固形分濃度が20質量%になるように脱イオン水を加えることにより、着色剤粒子P−1の分散液を得た。得られた着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
着色剤粒子P−1の分散液を40℃に保持した真空乾燥機に放置し、分散液を乾燥させ、塊状の被覆着色剤P−1を得た。
付加重合体E−1を付加重合体E−2に変更した以外は、製造例P1と同様にして、着色剤粒子P−2及び塊状の被覆着色剤P−2を得た。得られた着色剤粒子P−2の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
付加重合体E−1を135g、メチルエチルケトンを820g、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を180g(付加重合体E−1の中和度が91モル%になる)、脱イオン水を1180gにそれぞれ変更した以外は製造例P1と同様にして、着色剤粒子P−3及び塊状の被覆着色剤P−3を得た。得られた着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
付加重合体E−1を付加重合体E−2に変更した以外は製造例P3と同様にして、着色剤粒子P−4及び塊状の被覆着色剤P−4を得た。得られた着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
カーボンブラック「Regal−330R」(キャボット社製)をピグメントイエロー「ファストエロー7413」(山陽色素株式会社製)に変更した以外は、製造例P1と同様にして着色剤粒子P−5及び塊状の被覆着色剤P−5を得た。得られた着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
実施例1〜7(トナー1〜7の製造)
表5に示す所定量の結着樹脂100質量部及び塊状の被覆着色剤と、荷電制御剤「ボントロンE−304」(オリヱント化学工業株式会社製)1.0質量部、離型剤「SP−105」(加藤洋行株式会社製、フィッシャートロプシュワックス、融点105℃)0.5質量部、及び「WEP−9」(日油株式会社製、エステルワックス、融点72℃)1.5質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
被覆着色剤を使用せず、「Regal−330R」(キャボット社製)8.0質量部を加えた以外は実施例1と同様にして、トナー81を得た。得られたトナーの評価結果を表5に示す。
Claims (8)
- ポリエステル系樹脂及び着色剤を含む混合物を、溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、
前記着色剤が、付加重合体Eで被覆された着色剤である、トナーの製造方法。 - 前記付加重合体Eは、芳香族基を有する付加重合性モノマーを含む原料モノマーの付加重合体である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記被覆された着色剤が、前記着色剤と前記付加重合体Eと水とを含有する混合液中で分散させて得られたものである、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記被覆された着色剤が、前記着色剤と前記付加重合体Eと前記水とをビーズミル、又は、ホモジナイザーにより混合して得られるものである、請求項3に記載のトナーの製造方法。
- 前記被覆された着色剤が、0.05μm以上0.3μm以下の体積中位粒径D50を有する着色剤粒子を経て得られる、請求項1〜4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記混合物が、結晶性ポリエステル系樹脂を更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記結晶性ポリエステル系樹脂が、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを含む結晶性複合樹脂である、請求項6に記載のトナーの製造方法。
- 前記着色剤が、カーボンブラックである、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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