JP2020067120A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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京平 鈴村
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【課題】ベルト式無段変速機に設けられたベルトの劣化を抑制できる車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。【解決手段】プライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslp及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsにより、ベルト式無段変速機24のベルト挟圧力Cpの増減が制御されると共にライン圧PLの増減が制御される。ベルト式無段変速機24のベルト滑りが検出されると、ベルト挟圧力Cpの増加が禁止され(ステップS20)、ベルト式無段変速機24への入力トルクTinが制限される(ステップS30)。ベルト滑りが検出されている間は、ライン圧PLの増圧を必要とする油圧制御の実行要求がされても、ライン圧PLの増圧は禁止されてベルト挟圧力Cpの増加が禁止される。【選択図】図9

Description

本発明は、ベルト式無段変速機を有する車両用動力伝達装置の制御装置であって、ベルト式無段変速機に設けられたベルトの劣化の抑制に関するものである。
エンジンの動力を駆動輪へ伝達する車両用動力伝達装置において、ベルト式無段変速機を有するものがある。このような車両用動力伝達装置の制御装置において、コスト削減のため、共通の制御油圧によってベルト式無段変速機のベルト挟圧力が制御されると共にライン圧が制御されるものが知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置がそれである。具体的には、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置では、例えばベルト挟圧力の増減を制御するプライマリ用ソレノイドバルブから出力される制御油圧およびセカンダリ用ソレノイドバルブから出力される制御油圧によって、ライン圧の増減も制御される。
特開2012−154434号公報
特許文献1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置の場合において、ベルト式無段変速機においてベルト滑りが発生しているときにはベルト挟圧力を減少させてベルト式無段変速機のプーリとベルトとの間での凝着摩耗の発生を抑制することが考えられる。しかし、ベルト滑りが発生しているときにベルト挟圧力の増減制御とは異なる油圧制御の実行要求に応じてライン圧を増圧させてしまうと、それに応じてベルト挟圧力も増加させられてしまう。その結果、ベルト滑り時にベルト挟圧力が増加させられることでベルト式無段変速機のプーリとベルトとの間での凝着摩耗が発生してベルトが劣化してしまうおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ベルト式無段変速機に設けられたベルトの劣化を抑制できる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、ベルト式無段変速機を有する車両用動力伝達装置の、制御装置であって、共通の制御油圧の増減圧に応じて、前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力の増減が制御されると共にライン圧の増減が制御され、前記ベルト式無段変速機のベルト滑りを検出した場合において前記ライン圧の増圧を必要とする油圧制御の実行要求がされても、前記ライン圧の増圧を制限して前記ベルト挟圧力の増加を制限することにある。
本発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、共通の制御油圧の増減圧に応じて、前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力の増減が制御されると共にライン圧の増減が制御され、前記ベルト式無段変速機のベルト滑りを検出した場合において前記ライン圧の増圧を必要とする油圧制御の実行要求がされても、前記ライン圧の増圧が制限されて前記ベルト挟圧力の増加が制限される。これにより、ベルト滑り時にベルト挟圧力が制限なく増加させられることによるベルト式無段変速機のプーリとベルトとの間での凝着摩耗の発生が回避されて、ベルトの劣化が抑制される。
本発明の実施例1に係る車両用動力伝達装置の電子制御装置を搭載した車両の骨子図であるとともに、車両における各種制御の為の電子制御装置の制御機能および制御系統の要部を説明する機能ブロック図である。 図1に示す車両用動力伝達装置の走行モードの切り替りを説明する図である。 図1に示す油圧制御回路の要部を説明する油圧回路図である。 図3に示すプライマリレギュレータバルブを拡大した図である。 図3に示すプライマリレギュレータバルブを拡大した図であって、図4とは異なる作動状態を示す図である。 図3に示す油圧制御回路内に設けられているアプライ制御弁の構成を説明する図である。 後進油圧を示す軸とスプール弁子の切替位置を示す軸との二次元座標内に、図6に示すアプライ制御弁の作動を示す図である。 図1に示すベルト式無段変速機の変速制御に関する要部を説明する図である。 図1に示す電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの一例である。 本発明の実施例2に係る車両用動力伝達装置の電子制御装置を搭載した車両の骨子図であるとともに、車両における各種制御の為の電子制御装置の制御機能および制御系統の要部を説明する機能ブロック図である。 図10に示す電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの一例である。
本発明の一実施形態において、前記ベルト式無段変速機のベルト滑りを検出した場合において前記油圧制御の実行要求がされたとき、前記油圧制御の実行に必要とされる前記ライン圧が前記増圧が制限された前記ライン圧を超過しているときは前記油圧制御の実行を禁止し、前記油圧制御の実行に必要とされる前記ライン圧が前記増圧が制限された前記ライン圧以下であるときは前記油圧制御の実行を許可する。このように前記油圧制御の実行に必要とされるライン圧が確保されていないときには前記油圧制御の実行が禁止されることによって、ライン圧が圧力不足の状態で前記油圧制御が実行されてしまうことによる不具合の発生が回避される。
本発明の一実施形態において、前記油圧制御は、入力軸及び出力軸の間で前記ベルト式無段変速機と並列に設けられたギヤ機構の動力伝達を成立させるシンクロ係合装置の係合制御であり、前記ベルト式無段変速機のベルト滑りを検出した場合において前記係合制御の実行要求がされたとき、前記係合制御の実行に必要とされる前記ライン圧が前記増圧が制限された前記ライン圧を超過しているときは前記係合制御の実行を禁止し、前記係合制御の実行に必要とされる前記ライン圧が前記増圧が制限された前記ライン圧以下であるときは前記係合制御の実行を許可する。このようにシンクロ係合装置の係合制御の実行に必要なライン圧が確保されていないときにはその係合制御の実行が禁止されることによって、ライン圧が圧力不足の状態でシンクロ係合装置の係合制御が実行されてしまうことによる不具合の発生が回避される。
以下、本発明の実施例1について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1に係る車両用動力伝達装置16の電子制御装置100を搭載した車両10の骨子図であるとともに、車両10における各種制御の為の電子制御装置100の制御機能および制御系統の要部を説明する機能ブロック図である。
まず図1に基づいて、車両用動力伝達装置16の電子制御装置100を搭載した車両10の骨子図を説明する。車両10は、エンジン12、車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16と記す場合がある)、駆動輪14、油圧制御回路46、および電子制御装置100を備える。
エンジン12は、車両10の駆動源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成されている。
動力伝達装置16は、流体式動力伝達装置であるトルクコンバータ20、入力軸22、前後進切替装置26、ベルト式無段変速機24(以下、無段変速機24と記す場合がある)、ギヤ機構28、出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30およびカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36、ギヤ36に連結されたデフギヤ38、および車軸40を含む。
トルクコンバータ20は、ポンプ翼車20pおよびタービン翼車20tを備えており、流体を介して動力伝達を行う。ポンプ翼車20pはエンジン12のクランク軸に連結され、タービン翼車20tはトルクコンバータ20の出力側部材に相当する入力軸22を介して前後進切替装置26に連結されている。ポンプ翼車20pおよびタービン翼車20tの間にはロックアップクラッチLUが設けられており、ロックアップクラッチLUが完全係合されることでポンプ翼車20pおよびタービン翼車20tは一体回転させられる。
エンジン12で発生させられた動力(トルク)は、トルクコンバータ20を介して入力軸22に伝達される。動力伝達装置16では、入力軸22と出力軸30との間で第1の動力伝達経路PT1および第2の動力伝達経路PT2のいずれかが選択的に形成可能となっている。第1の動力伝達経路PT1は、入力軸22から前後進切替装置26およびギヤ機構28を経由して出力軸30に動力を伝達する。第2の動力伝達経路PT2は、入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30に動力を伝達する。第1の動力伝達経路PT1が形成され、ギヤ機構28を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モードが、ギヤ走行モードである。第2の動力伝達経路PT2が形成され、無段変速機24を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モードが、ベルト走行モードである。出力軸30は、減速歯車装置34、カウンタ軸32、ギヤ36、デフギヤ38、および車軸40を介して駆動輪14に動力を伝達する。車両10の走行状態に応じて第1の動力伝達経路PT1と第2の動力伝達経路PT2とを切り替えるために、動力伝達装置16は、前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1を備える。前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1は断接装置に相当するもので、何れもアクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
前後進切替装置26は、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、およびダブルピニオン型の遊星歯車装置26pを主体として構成されている。遊星歯車装置26pは、サンギヤ26s、キャリア26c、及びリングギヤ26rを備える。サンギヤ26sは、ギヤ機構28を構成する小径ギヤ48に連結されている。キャリア26cは入力軸22に一体的に連結されている。リングギヤ26rは、後進用ブレーキB1を介して非回転部材であるケース18に選択的に連結される。サンギヤ26sとキャリア26cとが、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。
ギヤ機構28は、小径ギヤ48、ギヤ機構カウンタ軸50、および大径ギヤ52を備える。大径ギヤ52は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心で相対回転不能に設けられて小径ギヤ48と噛み合う。大径ギヤ52は、小径ギヤ48よりも大径である。ギヤ機構28は、アイドラギヤ54および出力ギヤ42を備える。アイドラギヤ54は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心で相対回転可能に設けられる。出力ギヤ42は、出力軸30まわりにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてアイドラギヤ54と噛み合う。出力ギヤ42は、アイドラギヤ54よりも大径である。
ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50まわりに、大径ギヤ52とアイドラギヤ54との間に設けられて、これらの間の動力伝達経路を選択的に接続したり、切断したりする噛合クラッチD1を備える。噛合クラッチD1は、ギヤ機構カウンタ軸50と一体的に回転させられる第1ギヤ64と、アイドラギヤ54と一体的に回転させられる第2ギヤ66と、第1ギヤ64及び第2ギヤ66と嵌合可能(係合可能、噛合可能)な溝部を備えたスリーブ68と、を備える。スリーブ68が、第1ギヤ64及び第2ギヤ66と嵌合させられることで、ギヤ機構カウンタ軸50とアイドラギヤ54とが接続され、一体的に回転させられる。噛合クラッチD1は、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1のいずれか一方と共に係合されることで第1の動力伝達経路PT1を形成する。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、または、噛合クラッチD1が解放されると、第1の動力伝達経路PT1は切断される。噛合クラッチD1は、係合する際に大径ギヤ52およびアイドラギヤ54の回転を同期させる同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備える。
ギヤ機構28は、入力軸22と出力軸30との間で形成される第1の動力伝達経路PT1において、1つのギヤ段を有する有段変速機として機能する。入力軸22と出力軸30との間に設けられたギヤ機構28による変速比が、ギヤ走行モードにおける有段変速比γgear(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)である。
無段変速機24と出力軸30との間には、これらの間を選択的に断接するベルト走行用クラッチC2が介挿されている。ベルト走行用クラッチC2が係合されると、エンジン12の動力が入力軸22および無段変速機24を経由して出力軸30に伝達される。ベルト走行用クラッチC2が解放されると、無段変速機24から出力軸30に動力が伝達されない。
無段変速機24は、入力軸22側に設けられた入力側部材であるプライマリプーリ58と、出力側部材であるセカンダリプーリ60と、プライマリプーリ58とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられたベルト62と、を備える。無段変速機24は、プライマリプーリ58およびセカンダリプーリ60とベルト62との間の摩擦力を介して動力伝達を行うベルト式無段変速機である。前記摩擦力は、挟圧力に対応しており、ベルト挟圧力Cpともいう。このベルト挟圧力Cpは、無段変速機24におけるベルト62のトルク容量にも対応している。
プライマリプーリ58は、プライマリ固定シーブ58a、プライマリ可動シーブ58b、およびアクチュエータ58cを備える。プライマリ固定シーブ58aは、入力軸22に対して同軸心に取り付けられた入力側固定回転体として機能する。プライマリ可動シーブ58bは、入力軸22に対して同軸心に取り付けられ、プライマリ固定シーブ58aに対して軸心まわりに相対回転不能且つ軸心方向に移動可能に設けられた入力側可動回転体として機能する。アクチュエータ58cは、プライマリ固定シーブ58aおよびプライマリ可動シーブ58bの間のV溝幅を変更するためにプライマリ可動シーブ58bに対して後述するプライマリ推力Win(N)を付与する。
セカンダリプーリ60は、セカンダリ固定シーブ60a、セカンダリ可動シーブ60b、アクチュエータ60c、およびセカンダリ出力軸60dを備える。セカンダリ固定シーブ60aは、セカンダリ出力軸60dに対して同軸心に取り付けられた出力側固定回転体として機能する。セカンダリ可動シーブ60bは、セカンダリ出力軸60dに対して同軸心に取り付けられ、セカンダリ固定シーブ60aに対して軸心まわりに相対回転不能且つ軸心方向に移動可能に設けられた出力側可動回転体として機能する。アクチュエータ60cは、セカンダリ固定シーブ60aおよびセカンダリ可動シーブ60bの間のV溝幅を変更するためにセカンダリ可動シーブ60bに対して後述するセカンダリ推力Wout(N)を付与する。
電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置100は、無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力制御、油圧式摩擦係合装置(例えば前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ベルト走行用クラッチC2、噛合クラッチD1)の断接制御等を実行する。なお、電子制御装置100は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置100には、車両10に備えられた各種回転速度センサ70、72、アクセル操作量センサ74、スロットル開度センサ76、およびシフトポジションセンサ78などの各種センサ等によって、プライマリ回転速度Npri(rpm)と同値となる入力軸回転速度Nin(rpm)、車速V(km/h)に対応する出力軸回転速度Nout(rpm)、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量θacc(%)、スロットル開度tap(%)、および車両10に備えられたシフトレバー98の操作ポジションPOSshなどの各種検出信号等がそれぞれ入力される。なお、入力軸回転速度Ninは入力軸22の回転速度であり、プライマリ回転速度Npriはプライマリプーリ58の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸30の回転速度である。
電子制御装置100からは、車両10に設けられた油圧制御回路46に無段変速機24の変速やベルト挟圧力Cp等を制御する為の油圧制御指令信号Scvt、油圧式摩擦係合装置を断接制御する為の油圧制御指令信号Scbsなどの各種指令信号がそれぞれ出力される。
シフトレバー98の操作ポジションPOSshは、例えばP、R、N、D操作ポジションである。P操作ポジションは、動力伝達装置16がニュートラル状態とされ、且つ、出力軸30が回転不能に機械的に固定された、動力伝達装置16のPポジションを選択するパーキング操作ポジションである。動力伝達装置16のニュートラル状態は、例えば前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、およびベルト走行用クラッチC2が共に解放されることで実現される。R操作ポジションは、ギヤ走行モードにて後進走行を可能とする動力伝達装置16のRポジションを選択する後進走行操作ポジションである。N操作ポジションは、動力伝達装置16をニュートラル状態とする動力伝達装置16のNポジションを選択するニュートラル操作ポジションである。D操作ポジションは、ギヤ走行モードにて前進走行を可能とするか、または、ベルト走行モードにて無段変速機24の自動変速制御を実行して前進走行を可能とする、動力伝達装置16のDポジションを選択する前進走行操作ポジションである。従って、R操作ポジションは後進走行モードに該当し、N操作ポジション、P操作ポジション、およびD操作ポジションは非後進走行モードに該当する。
オイルポンプ44は、ポンプ翼車20pに連結された機械式オイルポンプである。オイルポンプ44は、エンジン12により回転駆動されることによって、無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力Cpの制御、および油圧式摩擦係合装置の断接制御などのための作動油を油圧制御回路46へ圧送する。
油圧制御回路46は、電子制御装置100から入力された油圧制御指令信号Scbsに基づいて、前進用クラッチC1を断接制御するC1制御油圧Pc1(MPa)、ベルト走行用クラッチC2を断接制御するC2制御油圧Pc2(MPa)、後進用ブレーキB1を断接制御するB1制御油圧Pb1(MPa)、および噛合クラッチD1を断接制御するS1制御油圧Ps1(MPa)を生成して動力伝達装置16内のアクチュエータにそれぞれ出力する。電子制御装置100から入力された油圧制御指令信号Scvtに基づいて、油圧制御回路46は、後述するようにプライマリ圧Pin(MPa)をアクチュエータ58cに供給し、セカンダリ圧Pout(MPa)をアクチュエータ60cに供給する。
図2は、図1に示す動力伝達装置16の走行モードの切り替りを説明するための図である。図2において、C1が前進用クラッチC1に対応し、C2がベルト走行用クラッチC2に対応し、B1が後進用ブレーキB1に対応し、D1が噛合クラッチD1に対応する。「○」は係合された状態、すなわち接続された状態を表し、「×」は解放された状態、すなわち切断された状態を表す。なお、噛合クラッチD1は、シンクロメッシュ機構S1を備えており、噛合クラッチD1が係合する際にはシンクロメッシュ機構S1が作動する。
ギヤ機構28を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達されるギヤ走行モードでは、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合される一方、ベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1が解放される。
無段変速機24を経由してエンジン12の動力が出力軸30に伝達されるベルト走行モード(高車速)では、ベルト走行用クラッチC2が係合される一方、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1が解放される。このように噛合クラッチD1が解放されるのは、ベルト走行モード中におけるギヤ機構28等の引き摺りをなくすとともに、高車速においてギヤ機構28等が高回転化するのを防止するためである。
ギヤ走行モードからベルト走行モード(高車速)、ないしはベルト走行モード(高車速)からギヤ走行モードへ切り替えられる際には、ベルト走行モード(中車速)を過渡的に経由して切り替えられる。ベルト走行モード(中車速)では、ベルト走行用クラッチC2および噛合クラッチD1が係合される一方、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が解放される。
図3は、図1に示す油圧制御回路46の要部を説明するための油圧回路図である。なお、本明細書において、「油圧(出力圧および制御油圧を含む)を供給する(出力する)」とは、「そのような油圧となっている作動油を供給する」と同義である。
油圧制御回路46は、C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、D1用ソレノイドバルブSLG、切替用ソレノイドバルブSLC、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、およびセカンダリ用ソレノイドバルブSLSを備える。また、油圧制御回路46は、モジュレータバルブ80、マニュアルバルブ82、アプライ制御弁84、アキュムレータ86、プライマリ圧制御弁88、セカンダリ圧制御弁90、およびプライマリレギュレータバルブ92を備える。
プライマリレギュレータバルブ92は、例えばオイルポンプ44から圧送された作動油圧を元圧として、SLP出力圧PslpおよびSLS出力圧Pslsのいずれか一方に基づいてエンジン12の負荷等に応じた油圧値に調圧したライン圧PLを生成して出力する。プライマリレギュレータバルブ92の詳細については、図4及び図5に基づいて後述する。なお、SLP出力圧Pslpはプライマリ用ソレノイドバルブSLPの出力圧であり、SLS出力圧Pslsはセカンダリ用ソレノイドバルブSLSの出力圧である。
モジュレータバルブ80は、元圧であるライン圧PLを調圧してライン圧PLより低圧の一定のモジュレータ圧PM(MPa)を生成する。
マニュアルバルブ82は、運転者によるシフトレバー98(図1参照)の切替操作に連動して機械的に油路が切り替えられる。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がD操作ポジションにあるときには、供給されたモジュレータ圧PMを前進油圧PD(MPa)として出力し、シフトレバー98がR操作ポジションにあるときには、供給されたモジュレータ圧PMを後進油圧PR(MPa)として出力する。マニュアルバルブ82は、シフトレバー98がN操作ポジション或いはP操作ポジションにあるときには、油圧の出力を遮断し、前進油圧PDおよび後進油圧PRはドレイン圧(後述の排出油路EXの油圧)とされる。
C1用ソレノイドバルブSL1は、油圧制御指令信号Scbsに基づいて、前進油圧PDを元圧としてC1制御油圧Pc1を生成して前進用クラッチC1を断接制御するアクチュエータC1aに出力する。C2用ソレノイドバルブSL2は、油圧制御指令信号Scbsに基づいて、前進油圧PDを元圧としてC2制御油圧Pc2を生成してベルト走行用クラッチC2を断接制御するアクチュエータC2aに出力する。
D1用ソレノイドバルブSLGは、油圧制御指令信号Scbsに基づいて、後述するアプライ制御弁84の第3出力ポート84kから出力される後進油圧PRまたはモジュレータ圧PMを元圧として噛合クラッチD1を断接制御するS1制御油圧Ps1となり得るSLG出力圧Pslg(MPa)を生成して出力する。なお、SLG出力圧Pslgは、シフトレバー98がR操作ポジションとされてマニュアルバルブ82から後進油圧PRが出力される後進走行時には、後進用ブレーキB1を断接制御するアクチュエータB1aに供給されるB1制御油圧Pb1となり得る。
プライマリ用ソレノイドバルブSLPは、モジュレータ圧PMを元圧としてプライマリプーリ58のアクチュエータ58cに供給されるプライマリ圧Pinを制御する為のSLP出力圧Pslp(MPa)を生成して出力する。セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、モジュレータ圧PMを元圧としてセカンダリプーリ60のアクチュエータ60cに供給されるセカンダリ圧Poutを制御する為のSLS出力圧Psls(MPa)を生成して出力する。
切替用ソレノイドバルブSLCは、モジュレータ圧PMを元圧としてアプライ制御弁84に供給されるSLC出力圧Pslcを生成して出力する。
プライマリ圧制御弁88は、ライン圧PLを元圧としてプライマリ圧Pinを調圧して生成し、そのプライマリ圧Pinをプライマリプーリ58のアクチュエータ58cに出力する。プライマリ圧制御弁88は、不図示の全開状態と全閉状態との間で位置が自在に切り替えられるスプール弁子およびそのスプール弁子を全開状態位置方向に付勢するスプリングを備える。プライマリ圧制御弁88は、そのスプール弁子の全開位置方向への推力としてSLP出力圧Pslpが供給され、そのスプール弁子の全閉位置方向への推力として前記プライマリ圧Pinが供給される。プライマリ圧制御弁88は、SLP出力圧Pslpおよびプライマリ圧Pinに基づいてプライマリ圧Pinを調圧する。プライマリ圧制御弁88では、SLP出力圧Pslpが大きくなるとプライマリ圧Pinが大きくされる。
セカンダリ圧制御弁90は、ライン圧PLを元圧としてセカンダリ圧Poutを調圧して生成し、そのセカンダリ圧Poutをセカンダリプーリ60のアクチュエータ60cに出力する。セカンダリ圧制御弁90は、不図示の全開状態と全閉状態との間で位置が自在に切り替えられるスプール弁子およびそのスプール弁子を全開状態位置方向に付勢するスプリングを備える。セカンダリ圧制御弁90は、そのスプール弁子の全開位置方向への推力としてSLS出力圧Pslsが供給され、そのスプール弁子の全閉位置方向への推力として前記セカンダリ圧Poutが供給される。セカンダリ圧制御弁90は、SLS出力圧Pslsおよびセカンダリ圧Poutに基づいてセカンダリ圧Poutを調圧する。セカンダリ圧制御弁90では、SLS出力圧Pslsが大きくなるとセカンダリ圧Poutが大きくされる。
アキュムレータ86は、前進油圧PDが流通する油路に接続されている。アキュムレータ86は、不図示のスプリングや作動油の漏れを抑制するシール部材などを備え、油圧の蓄圧と蓄圧した油圧の出力とが可能な公知の蓄圧器である。アキュムレータ86内の油圧よりも前進油圧PDが流通する油路の油圧が高い場合には、その油路からアキュムレータ86に油圧が供給され、アキュムレータ86内の油圧よりも前進油圧PDが流通する油路の油圧が低い場合には、アキュムレータ86からその油路に油圧が出力される。
図4および図5に示すように、プライマリレギュレータバルブ92は、入力ポート92i、スプール弁子92a、プランジャ92b、フィードバック油室92c、油室92d、油室92e、およびドレインポート92hを備える。入力ポート92iには、オイルポンプ44から圧送された作動油圧が入力される。スプール弁子92aは、バルブボデー内において軸方向へ移動可能に設けられ、これにより入力ポート92iとドレインポート92hとを適宜接続および遮断する。プランジャ92bは、バルブボデー内においてスプール弁子92aと直列に配置され、スプール弁子92aに対して軸方向への相対移動が可能である。フィードバック油室92cには、スプール弁子92aに開弁方向の推力を付与するためにライン圧PLが入力される。油室92dはスプール弁子92aとプランジャ92bとの間に設けられ、油室92dには、スプール弁子92aに閉弁方向の推力を付与するためにセカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsが入力される。油室92eには、プランジャ92bを介してスプール弁子92aに閉弁方向の推力を付与するためにプライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslpが入力される。
このように構成されたプライマリレギュレータバルブ92において、スプール弁子92aとプランジャ92bとは、油室92dに入力されるSLS出力圧Pslsおよび油室92eに入力されるSLP出力圧Pslpの大きさに応じて、互いに当接或いは乖離するように構成されている。プランジャ92bには、ランド92fが設けられており、ランド92fが受ける推力の差に応じてプランジャ92bがスプール弁子92aに対して当接或いは乖離させられる。具体的には、プランジャ92bのランド92fは、下式(1)で算出されるプランジャ92bをスプール弁子92aから乖離させる方向に作用する推力F1を受ける。ここで、A1は、ランド92fの油室92d側の受圧面積である。また、プランジャ92bのランド92fは、下式(2)で算出されるプランジャ92bをスプール弁子92aに当接させる方向に作用する推力F2を受ける。ここで、A2は、図4に示すプランジャ92bの円筒部92gの受圧面積をA3とすると、ランド92fの受圧面積A1と円筒部92gの受圧面積A3との差(A2=A1−A3)で算出される受圧面積に対応している。したがって、受圧面積A2は、受圧面積A1に比べて小さい。
F1=A1×Psls ・・・(1)
F2=A2×Pslp ・・・(2)
推力F2が推力F1よりも大きいと、プランジャ92bがスプール弁子92aに当接させられる。すなわち、図4に示す作動状態となる。このとき、ライン圧PLは、下式(3)に基づいて算出される。なお、A4は、フィードバック油室92cの受圧面積差である。下式(3)より、SLP出力圧Pslpが高くなるに従って、ライン圧PLが高くなる。
一方、推力F2が推力F1よりも小さいと、プランジャ92bがスプール弁子92aから乖離する方向に相対移動させられる。すなわち、図5に示す作動状態となる。このとき、ライン圧PLは、下式(4)に基づいて算出される。下式(4)より、SLS出力圧Pslsが高くなるに従って、ライン圧PLが高くなる。
PL=(Pslp×A2)/A4 ・・・(3)
PL=(A1×Psls)/A4 ・・・(4)
このように、プランジャ92bがスプール弁子92aに当接した作動状態(図4)または乖離した作動状態(図5)に切り替えられることによって、プライマリレギュレータバルブ92におけるライン圧PLを制御する油圧がSLP出力圧PslpおよびSLS出力圧Pslsのいずれかに切り替えられる。ここで、本実施例では、推力F1と推力F2とが等しくなるとき、SLP出力圧PslpとSLS出力圧Pslsとが等しくなるように、各受圧面積等が設定されている。したがって、SLP出力圧PslpがSLS出力圧Pslsよりも大きくなると、プランジャ92bがスプール弁子92aと当接する位置(図4)に切り替えられ、SLP出力圧PslpがSLS出力圧Pslsよりも小さくなると、プランジャ92bがスプール弁子92aと乖離する位置(図5)に切り替えられる。
図6は、図3に示す油圧制御回路46内に設けられているアプライ制御弁84の構成を説明する図である。アプライ制御弁84は、スプール弁子84a、第1油室84b、スプリング84c、第2油室84d、入力ポート84e、ドレインポート84f、第1出力ポート84g、入力ポート84h、第2出力ポート84i、入力ポート84j、第3出力ポート84k、ドレインポート84l、モジュレータ圧供給ポート84m(ヒス回路ポート)、及びヒス油室84nを備える。アプライ制御弁84のスプール弁子84aは、ランドL1、ランドL2、及びランドL3を備える。
アプライ制御弁84は、スプール弁子84aが第1切替位置(後進位置)と第2切替位置(非後進位置)とに切り替えられる供給圧切替弁として機能するものである。第1切替位置では、スプール弁子84aが図6の右側に示す位置にあり、第2切替位置では、スプール弁子84aが図6の左側に示す位置にある。
スプール弁子84aは、バルブボデーBBのボアBBa内に摺動可能に嵌め入れられている。第1油室84bには、スプール弁子84aの小径側端面すなわちランドL1の端面に作用して第1切替位置へ向かう推力を発生させる後進油圧PRが供給される。第2油室84dには、スプール弁子84aの大径側端面すなわちランドL3の端面に作用して第2切替位置へ向かう推力を発生させる切替用ソレノイドバルブSLCのSLC出力圧Pslcが供給されるとともに、第2切替位置へ向かう付勢力を発生させるスプリング84cが収容されている。第1出力ポート84gは、第1切替位置では入力ポート84eに接続されてSLG出力圧PslgをアクチュエータB1aに出力するが、第2切替位置では排出油路EXへの接続ポートであるドレインポート84fに接続されてアクチュエータB1aをドレイン圧にする。第2出力ポート84iは、第1切替位置では入力ポート84hに接続されてモジュレータ圧PMをアクチュエータS1aに出力するが、第2切替位置では入力ポート84eに接続されてSLG出力圧PslgをアクチュエータS1aに出力する。第3出力ポート84kは、第1切替位置では入力ポート84jに接続されて後進油圧PRを元圧用にD1用ソレノイドバルブSLGへ出力するが、第2切替位置では入力ポート84hに接続されてモジュレータ圧PMを元圧用にD1用ソレノイドバルブSLGへ出力する。
ランドL1は、スプール弁子84aの軸端に形成されて第1油室84b内の圧力が作用させられる。ランドL2は、スプール弁子84aにおいてランドL1に隣接して設けられている。ヒス油室84nは、第1切替位置ではランドL1により排出油路EXへの接続ポートであるドレインポート84lと遮断され且つランドL2によりモジュレータ圧供給ポート84m(ヒス回路ポート)と接続されるが、第2切替位置ではランドL1によりドレインポート84lと接続され且つランドL2によりモジュレータ圧供給ポート84mと遮断される。
第1切替位置では、アプライ制御弁84は、D1用ソレノイドバルブSLGからのSLG出力圧PslgをB1制御油圧Pb1としてアクチュエータB1aに供給し、且つ、噛合クラッチD1のアクチュエータS1aにS1制御油圧Ps1としてモジュレータ圧PMを供給する。第2切替位置では、アプライ制御弁84は、D1用ソレノイドバルブSLGからのSLG出力圧PslgをS1制御油圧Ps1としてアクチュエータS1aに供給し、且つ、アクチュエータB1aにB1制御油圧Pb1としてドレイン圧を供給する。このようにアプライ制御弁84は、単一のD1用ソレノイドバルブSLGのSLG出力圧Pslgを用いて後進用ブレーキB1および噛合クラッチD1を択一的に制御する。
図7は、後進油圧PRを示す軸とスプール弁子84aの切替位置を示す軸との二次元座標内に、図6に示すアプライ制御弁84の作動を示す図である。アプライ制御弁84は、例えば前述した非後進走行モードにおいて当初は第1油室84bに後進油圧PRが供給されず、専らスプリング84cの付勢力F(N)により下式(5)が成立するので、スプール弁子84aは図6の左側に示す第2切替位置にある。次いで、後進油圧PRが所定値以上に増加して下式(6)が成立すると、図7の矢印Aに示すように作動してスプール弁子84aは図6の右側に示す第1切替位置へ切り替えられる。スプール弁子84aが一旦第1切替位置に切り替えられると、下式(7)が成立している限り後進油圧PRがドレイン圧に低下しても図7の矢印Bに示すように作動してスプール弁子84aは第1切替位置に保持される。この保持状態で、電子制御装置100からの油圧制御指令信号Scbsに基づいて切替用ソレノイドバルブSLCのSLC出力圧Pslc(保持解除圧)が任意(所望)のタイミングで増加させられて下式(8)が成立すると、図7の矢印Cに示されるように作動してスプール弁子84aは第2切替位置へ復帰させられる。任意(所望)のタイミングとは、例えばシフトポジションセンサ78により操作ポジションPOSshがR操作ポジションでなくなったことが検出されたタイミングである。なお、下式(5)〜(8)において、AL1(mm)はランドL1の受圧面積、AL2(mm)はランドL2およびランドL3の受圧面積である。
AL1×PR < AL2×Psls+F ・・・(5)
AL1×PR > AL2×Psls+F ・・・(6)
(AL2−AL1)×PM > AL2×Psls+F ・・・(7)
(AL2−AL1)×PM < AL2×Psls+F ・・・(8)
このようにスプール弁子84aのランドL1、ランドL2、及びランドL3、第1油室84b、第2油室84d、並びにヒス油室84nは、アプライ制御弁84の第1切替位置と第2切替位置との間の切り替えにヒステリシスを付与するヒス回路すなわち切替位置保持復帰手段を構成している。
切替用ソレノイドバルブSLCの通常のSLC出力圧Pslcでは、アプライ制御弁84のスプール弁子84aは第1切替位置を保持するように設定されている。従って、アプライ制御弁84のスプール弁子84aを保持状態である第1切替位置から第2切替位置へ復帰させる切替制御が実行されるには、切替用ソレノイドバルブSLCのSLC出力圧Pslcが通常よりも昇圧されてアプライ制御弁84へ供給される必要がある。
図8は、図1に示す無段変速機24の変速制御に関する要部の説明図である。前述したように、アクチュエータ58cは、プライマリ固定シーブ58aおよびプライマリ可動シーブ58bの間のV溝幅を変更するためにプライマリ可動シーブ58bに対してプライマリ推力Win(N)(=プライマリ圧Pin(MPa)×受圧面積(mm))を付与する。プライマリ推力Winは、アクチュエータ58cによって付与されるベルト62を挟圧するプライマリプーリ58の推力である。プライマリ圧Pinは、油圧制御回路46によってアクチュエータ58cに供給される油圧であり、プライマリ推力Winを生じさせるプーリ油圧である。入力軸22は、プライマリプーリ58に入力トルクTin(Nm)を伝達する。前述したように、アクチュエータ60cは、セカンダリ固定シーブ60aおよびセカンダリ可動シーブ60bの間のV溝幅を変更するためにセカンダリ可動シーブ60bに対してセカンダリ推力Wout(N)(=セカンダリ圧Pout(MPa)×受圧面積(mm))を付与する。セカンダリ推力Woutは、アクチュエータ60cによって付与されるベルト62を挟圧するセカンダリプーリ60の推力である。セカンダリ圧Poutは、油圧制御回路46によってアクチュエータ60cに供給される油圧であり、セカンダリ推力Woutを生じさせるプーリ油圧である。セカンダリ出力軸60dには、セカンダリプーリ60から出力トルクTout(Nm)が伝達される。
無段変速機24では、油圧制御回路46から供給される油圧であるプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutが電子制御装置100により各々調圧制御されることにより、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々制御される。無段変速機24では、無段変速比γcvtの目標変速比γcvt_tgtに応じてプライマリプーリ58およびセカンダリプーリ60のV溝幅が変更させられると共に、ベルト62が滑らないようにベルト挟圧力Cpが制御される。
従って、SLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsにより、プライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutがそれぞれ制御されて無段変速機24のベルト挟圧力Cpの増減が制御される。また、SLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsにより、プライマリレギュレータバルブ92が制御されてライン圧PLの増減が制御される。すなわち、無段変速機24のベルト挟圧力Cpの制御およびライン圧PLの増減圧の調圧制御は、共通するSLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsによって行われる。このように共通するSLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsによってベルト挟圧力Cpの制御およびライン圧PLの調圧制御が行われることから、コストの削減が図られる。なお、SLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsは、本発明における「制御油圧」に相当する。
このように、ベルト挟圧力Cpはベルト62が滑らないように制御されるが、例えば車両10の急加速や急制動においては無段変速機24のプライマリプーリ58およびセカンダリプーリ60のそれぞれのV溝幅が直ぐには変化させられずベルト滑りが発生してしまう場合がある。
図1に戻り、車両10における各種制御の為の電子制御装置100の制御機能および制御系統の要部を以下に説明する。電子制御装置100は、ベルト滑り判定部100a、挟圧力制御部100b、入力トルク制御部100c、動作要求判定部100d、必要ライン圧判定部100e、およびアクチュエータ制御部100fを機能的に備える。
ベルト滑り判定部100aは、ベルト滑りが発生しているか否かを判定する。ベルト滑りが発生しているか否かは、例えば入力軸回転速度Ninと、出力軸回転速度Noutに基づく入力軸22の同期回転速度Ninsync(=Nout×γcvt_tgt)と、の回転速度差(=Nin−Ninsync)が所定回転速度差以上となっているか否かに基づいて判定される。所定回転速度差は、例えばベルト滑りが発生していることを判定する為の予め定められた判定閾値である。
ベルト滑りが発生しているとベルト滑り判定部100aにより判定されると、挟圧力制御部100bは、ライン圧PLを増加させる制御を禁止してベルト挟圧力Cpが増加するのを禁止する。ライン圧PLを増加させる場合、SLP出力圧PslpおよびSLS出力圧Pslsの少なくとも一方を増圧させることになり、この増圧に応じてプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutが増圧させられてしまう。また、プライマリ圧制御弁88及びセカンダリ圧制御弁90はいずれも元圧がライン圧PLであることから、ライン圧PLが増加させられるとそれによってもプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutが増加させられてしまう。その結果、ベルト挟圧力Cpも増加してしまい、無段変速機24のプライマリプーリ58とベルト62との間及びセカンダリプーリ60とベルト62との間で凝着摩耗が発生してベルト62が劣化してしまうおそれがある。そこで、ライン圧PLを増加させる制御が禁止されることでベルト挟圧力Cpが増加するのが禁止される。凝着摩耗とは、プライマリプーリ58またはセカンダリプーリ60とベルト62との接触部分における凝着結合の破壊による摩耗のことであり、すべり摩擦によってこの凝着結合がせん断破壊され削られることにより凝着摩耗が生じる。
ライン圧PLを増加させる制御が挟圧力制御部100bにより禁止されると、入力トルク制御部100cは、無段変速機24のプライマリプーリ58への入力トルクTinに上限値を設定して制限をかける制御を開始する。
入力トルクTinに上限値の制限をかけた制御が入力トルク制御部100cにより開始されると、動作要求判定部100dは、ライン圧PLの増圧を必要とする油圧制御であって無段変速機24以外のアクチュエータ、例えば前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1をそれぞれ断接制御するアクチュエータC1a、C2a、B1a、およびS1aに対する動作要求があるか否かを判定する。動作要求があるか否かは、例えばアクセル開度θacc及び車速Vに基づいて走行モードを切り替えるために前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1に対して解放状態及び係合状態の一方から他方へ切り替える指令が必要か否かにより判定される。
無段変速機24以外のアクチュエータに対する動作要求があると動作要求判定部100dにより判定されると、必要ライン圧判定部100eは、動作要求があるアクチュエータを正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_need(MPa)が現在のライン圧PL_crnt(MPa)を超過しているか否かを判定する。例えば、この必要とされるライン圧PL_needは、上記アクチュエータを正常な動作速度で動作させるためにライン圧PLが元圧として必要とされる油圧値範囲の下限値として予め実験的に或いは設計的に求められて設定されたマップから導出される。
動作要求があるアクチュエータを正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過していると必要ライン圧判定部100eにより判定されると、アクチュエータ制御部100fは、当該アクチュエータの動作を禁止する。必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過している場合、動作要求があるアクチュエータを正常に動作させるにはライン圧PLを増圧する必要があるが、ベルト62の劣化抑制のためにライン圧PLを増圧することはできないため、当該アクチュエータの動作を禁止するものである。動作要求があるアクチュエータを正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下であると必要ライン圧判定部100eにより判定されると、アクチュエータ制御部100fは、当該アクチュエータの動作を許可する。必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下である場合、ライン圧PLを増圧することなく動作要求があるアクチュエータを正常に動作させることができる。そのため、ベルト62が劣化することがないため、当該アクチュエータの動作を許可するものである。
ベルト滑りが発生していないとベルト滑り判定部100aにより判定されると、入力トルク制御部100cは無段変速機24のプライマリプーリ58への入力トルクTinに上限値を設定して制限をかける制御を終了し、挟圧力制御部100bはライン圧PLを増加させる制御の禁止を解除し、アクチュエータ制御部100fは上述の無段変速機24以外のアクチュエータの動作禁止を解除する。
図9は、図1に示す電子制御装置100の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図9のフローチャートは、例えば、電子制御装置100においてスタートを繰り返して実行される。
まず、ベルト滑り判定部100aに対応するステップS10において、ベルト滑りが発生しているか否かが判定される。ステップS10の判定が肯定される場合は、ステップS20が実行される。ステップS10の判定が否定される場合は、ステップS80が実行される。
挟圧力制御部100bに対応するステップS20において、ライン圧PLを増加させる制御が禁止されてベルト挟圧力Cpが増加するのが禁止される。そしてステップS30が実行される。
入力トルク制御部100cに対応するステップS30において、無段変速機24のプライマリプーリ58への入力トルクTinに上限値を設定して制限をかける制御が開始される。そしてステップS40が実行される。
動作要求判定部100dに対応するステップS40において、無段変速機24以外のアクチュエータに対する動作要求があるか否かが判定される。ステップS40の判定が肯定される場合は、ステップS50が実行される。ステップS40の判定が否定される場合は、リターンとなる。
必要ライン圧判定部100eに対応するステップS50において、動作要求があるアクチュエータを正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているか否かが判定される。ステップS50の判定が肯定される場合は、ステップS60が実行される。ステップS50の判定が否定される場合は、ステップS70が実行される。
アクチュエータ制御部100fに対応するステップS60において、無段変速機24以外のアクチュエータの動作が禁止される。そしてリターンとなる。
アクチュエータ制御部100fに対応するステップS70において、無段変速機24以外のアクチュエータの動作が許可される。そしてリターンとなる。
入力トルク制御部100cに対応するステップS80において、無段変速機24のプライマリプーリ58への入力トルクTinに上限値を設定して制限をかける制御が終了される。そしてステップS90が実行される。
挟圧力制御部100bに対応するステップS90において、ライン圧PLを増加させる制御の禁止が解除されてベルト挟圧力Cpの増加の禁止が解除される。そしてステップS100が実行される。
アクチュエータ制御部100fに対応するステップS100において、無段変速機24以外のアクチュエータの動作禁止が解除される。そしてリターンとなる。
本実施例の車両用動力伝達装置16の電子制御装置100によれば、共通の制御油圧であるSLP出力圧Pslp及びSLS出力圧Pslsの増減圧に応じて無段変速機24のベルト挟圧力Cpの増減が制御されると共にライン圧PLの増減が制御され、無段変速機24のベルト滑りが検出された場合においてライン圧PLの増圧を必要とする無段変速機24以外のアクチュエータの動作要求があっても、ライン圧PLの増圧が禁止されてベルト挟圧力Cpの増加が禁止される。すなわち、無段変速機24のベルト滑りが検出された場合においてライン圧PLの増圧を必要とする無段変速機24以外のアクチュエータに対する油圧制御の実行要求があっても、ライン圧PLの増圧が禁止されてベルト挟圧力Cpの増加が禁止される。これにより、ベルト滑り時にベルト挟圧力Cpが増加させられることによる無段変速機24のプライマリプーリ58とベルト62との間及びセカンダリプーリ60とベルト62との間での凝着摩耗の発生が回避されて、ベルト62の劣化が抑制される。
本実施例の車両用動力伝達装置16の電子制御装置100によれば、無段変速機24のベルト滑りを検出した場合において無段変速機24以外のアクチュエータの動作要求がされたとき、当該アクチュエータの動作に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているときは当該アクチュエータの動作が禁止され、当該アクチュエータの動作に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下であるときは当該アクチュエータの動作が許可される。すなわち、無段変速機24のベルト滑りを検出した場合において無段変速機24以外のアクチュエータに対する油圧制御の実行要求がされたとき、当該油圧制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているときは当該油圧制御の実行が禁止され、当該油圧制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下であるときは当該油圧制御の実行が許可される。このように当該油圧制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが確保されていないときには当該油圧制御の実行が禁止されることによって、ライン圧PLが圧力不足の状態で当該油圧制御が実行されてしまうことによる不具合の発生が回避される。この不具合としては、例えば油圧式摩擦係合装置内の摩擦板の摩耗がある。
以下、本発明の実施例2について図面を参照しつつ詳細に説明する。図10は、本発明の実施例2に係る動力伝達装置16の電子制御装置200を搭載した車両110の骨子図であるとともに、車両110における各種制御の為の電子制御装置200の制御機能および制御系統の要部を説明する機能ブロック図である。実施例2に係る車両110の構成は、実施例1に係る車両10の構成と略同じであるが、実施例2における電子制御装置200の構成が実施例1における電子制御装置100の構成と異なる。そのため、異なる部分を中心に説明することとし、実施例1と機能において実質的に共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
以下に、図10に基づいて車両110における各種制御の為の電子制御装置200の制御機能および制御系統の要部を説明する。電子制御装置200は、ベルト滑り判定部100a、挟圧力制御部100b、入力トルク制御部100c、シンクロ係合判定部200d、必要ライン圧判定部200e、およびシンクロ係合制御部200fを機能的に備える。前述の実施例1の電子制御装置100における動作要求判定部100d、必要ライン圧判定部100e、およびアクチュエータ制御部100fの各機能ブロックが、実施例2の電子制御装置200ではそれぞれシンクロ係合判定部200d、必要ライン圧判定部200e、およびシンクロ係合制御部200fの機能ブロックに置き換わっている。なお、電子制御装置200は、本発明における「制御装置」に相当する。
入力トルクTinに上限値の制限をかけた制御が入力トルク制御部100cにより開始されると、シンクロ係合判定部200dは、ライン圧PLの増圧を必要とする油圧制御であるシンクロ係合の動作要求があるか否かを判定する。シンクロ係合とは、油圧式摩擦係合装置において回転部材の一方の回転速度と他方の回転速度とを同期(シンクロ)させ、同期が完了すると解放状態から係合状態へ状態変更させるシンクロ係合装置での係合のことである。シンクロ係合装置には、例えば入力軸22と出力軸30との間で無段変速機24と並列に設けられたギヤ機構28の動力伝達を成立させる噛合クラッチD1を解放状態から係合状態へ状態変更させるシンクロメッシュ機構S1がある。
シンクロ係合の動作要求があるとシンクロ係合判定部200dにより判定されると、必要ライン圧判定部200eは、動作要求があるシンクロ係合を正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているか否かを判定する。例えば、この必要とされるライン圧PL_needは、当該シンクロ係合を正常な動作速度で動作させるためにライン圧PLが元圧として必要とされる油圧値範囲の下限値として予め実験的に或いは設計的に求められて設定されたマップから導出される。
動作要求があるシンクロ係合を正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過していると必要ライン圧判定部200eにより判定されると、シンクロ係合制御部200fは、当該シンクロ係合の動作を禁止する。必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過している場合、動作要求があるシンクロ係合を速やかに動作させるにはライン圧PLを増圧する必要があるが、ベルト62の劣化抑制のためにライン圧PLを増圧することはできないため、当該シンクロ係合の動作を禁止するものである。動作要求があるシンクロ係合を正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下であると必要ライン圧判定部200eにより判定されると、シンクロ係合制御部200fは、当該シンクロ係合の動作を許可する。必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下である場合、ライン圧PLを増圧することなく動作要求があるシンクロ係合を速やかに動作させることができる。そのため、ベルト62が劣化することがないため、当該シンクロ係合の動作を許可するものである。
ベルト滑りが発生していないとベルト滑り判定部100aにより判定されると、入力トルク制御部100cは無段変速機24のプライマリプーリ58への入力トルクTinに上限値を設定して制限をかける制御を終了し、挟圧力制御部100bはライン圧PLを増加させる制御の禁止を解除し、シンクロ係合制御部200fは上述のシンクロ係合の動作禁止を解除する。
図11は、図10に示す電子制御装置200の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図11に示すフローチャートは、前述の図9に示すフローチャートと略同じであるが、図9におけるステップS40、ステップS50、ステップS60、ステップS70、およびステップS100が、図11ではそれぞれステップS140、ステップS150、ステップS160、ステップS170、およびステップS200に置き換わっている点が異なる。そのため、異なる部分を中心に説明することとし、図9に示すフローチャートと機能において実質的に共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。図11のフローチャートは、例えば、電子制御装置200においてスタートを繰り返して実行される。
入力トルク制御部100cに対応するステップS30の実行後、ステップS140が実行される。
シンクロ係合判定部200dに対応するステップS140において、シンクロ係合の動作要求があるか否かが判定される。ステップS140の判定が肯定される場合は、ステップS150が実行される。ステップS140の判定が否定される場合は、リターンとなる。
必要ライン圧判定部200eに対応するステップS150において、動作要求があるシンクロ係合を正常に動作させるのに必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているか否かが判定される。ステップS150の判定が肯定される場合は、ステップS160が実行される。ステップS150の判定が否定される場合は、ステップS170が実行される。
シンクロ係合制御部200fに対応するステップS160において、シンクロ係合の動作が禁止される。そしてリターンとなる。
シンクロ係合制御部200fに対応するステップS170において、シンクロ係合の動作が許可される。そしてリターンとなる。
挟圧力制御部100bに対応するステップS90の実行後、ステップS200が実行される。
シンクロ係合制御部200fに対応するステップS200において、シンクロ係合の動作禁止が解除される。そしてリターンとなる。
本実施例の車両用動力伝達装置16の電子制御装置200によれば、無段変速機24のベルト滑りを検出した場合においてライン圧PLの増圧を必要とするシンクロ係合装置であるシンクロメッシュ機構S1の係合制御の実行要求がされたとき、当該係合制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crntを超過しているときは当該係合制御の実行が禁止され、当該係合制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが現在のライン圧PL_crnt以下であるときは当該係合制御の実行が許可される。このようにシンクロ係合装置であるシンクロメッシュ機構S1の係合制御の実行に必要とされるライン圧PL_needが確保されていないときにはその係合制御の実行が禁止されることによって、ライン圧PLが圧力不足の状態でシンクロメッシュ機構S1の係合制御が実行されてしまうことによる不具合の発生が回避される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例1における図9のフローチャート及び前述の実施例2における図11のフローチャートのステップS20では、ライン圧PLを増加させる制御が禁止されたが、これに限らない。例えば、ベルト62の劣化が実用上許容できる範囲内であれば、ライン圧PLはその許容範囲内に応じて増加させられても良い。この上記許容範囲内に応じて増加させられたライン圧PLは、図9のフローチャート及び図11のフローチャートのステップS50では現在のライン圧PL_crntとなり、「増圧が制限されたライン圧PL」である。これにより無段変速機24のベルト滑りを検出した場合においてライン圧PLの増圧を必要とする油圧制御の実行要求がされても、ライン圧PLの増圧が前記許容範囲内に応じて制限されてベルト挟圧力Cpの増加も制限される。そのため、ベルト62の劣化が実用上許容できる範囲内に抑制される。また、ライン圧PLがベルト62の劣化の許容範囲内に応じて増圧されるため、実施例1における無段変速機24以外のアクチュエータに対する油圧制御や実施例2におけるシンクロメッシュ機構S1の係合制御が許可される可能性が高くなる。そのため、実施例1における無段変速機24以外のアクチュエータに対する油圧制御や実施例2におけるシンクロメッシュ機構S1の係合制御が速やかに実行され得る。
前述の実施例1における図9のフローチャート及び前述の実施例2における図11のフローチャートにおいて、ステップS40、S50、S70やステップS140、S150、S170は必ずしも実行されなくて良い。このようにベルト滑りを検出した場合、ライン圧PLが増加させられるのが禁止されているため、実施例1における無段変速機24以外のアクチュエータに対する油圧制御や実施例2におけるシンクロメッシュ機構S1の係合制御が禁止される。これにより、ライン圧PLが圧力不足の状態で前記油圧制御や前記係合制御が実行されてしまうことによる不具合の発生が回避される。
前述の実施例1における図9のフローチャート及び前述の実施例2における図11のフローチャートにおいて、ステップS30およびステップS80は必ずしも実行されなくて良い。入力トルクTinに上限値の制限をかける制御の実行及びその制御の解除がされなくとも、ライン圧PLの増圧を必要とする無段変速機24以外のアクチュエータの動作が禁止され、または、シンクロ係合の動作が禁止されることで、ベルト挟圧力Cpの増加が禁止されてベルト62の劣化が抑制される。
前述の実施例1及び実施例2では、共通の制御油圧はプライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslp及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsであったが、これに限らない。例えば、制御油圧として、プライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslpの代わりにプライマリ圧Pinが用いられても良いし、セカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsの代わりにセカンダリ圧Poutが用いられても良い。
前述の実施例1及び実施例2では、共通の制御油圧はプライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslp及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsの2つであったが、これに限らない。例えば、プライマリレギュレータバルブ92を制御する制御油圧として、プライマリ用ソレノイドバルブSLPのSLP出力圧Pslp及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSのSLS出力圧Pslsのいずれか一方のみとし、他方はベルト挟圧力Cpの増減制御とは無関係の制御油圧であっても良い。
前述の実施例1では、無段変速機24以外のアクチュエータとして前進用クラッチC1、ベルト走行用クラッチC2、後進用ブレーキB1、および噛合クラッチD1をそれぞれ断接制御するアクチュエータC1a、C2a、B1a、およびS1aを例示したが、これに限らない。例えば、トルクコンバータ20に設けられたロックアップクラッチLUを断接制御するアクチュエータであっても良い。
前述の実施例1及び実施例2では、入力軸22と出力軸30との間で無段変速機24を経由する第2の動力伝達経路PT2およびギヤ機構28を経由する第1の動力伝達経路PT1のいずれかが選択的に形成可能となっていたが、これに限らない。例えば、ギヤ機構28を経由する第1の動力伝達経路PT1が設けられず、無段変速機24を経由する第2の動力伝達経路PT2のみが設けられた動力伝達装置16であっても良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:車両用動力伝達装置
24:ベルト式無段変速機
100、200:電子制御装置(制御装置)
Cp:ベルト挟圧力
PL:ライン圧
Pslp:SLP出力圧(制御油圧)
Psls:SLS出力圧(制御油圧)

Claims (1)

  1. ベルト式無段変速機を有する車両用動力伝達装置の、制御装置であって、
    共通の制御油圧の増減圧に応じて、前記ベルト式無段変速機のベルト挟圧力の増減が制御されると共にライン圧の増減が制御され、
    前記ベルト式無段変速機のベルト滑りを検出した場合において前記ライン圧の増圧を必要とする油圧制御の実行要求がされても、前記ライン圧の増圧を制限して前記ベルト挟圧力の増加を制限する
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
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